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>>66 >>67 ライカ
[イイトコ・イコーの仕事は的確だった。数船の乗り換えを経て辿り着いたそのコロニーは、穏やかに時間を蓄え続けており、住人の数は少なくとも、街並みや資料の類は過去を雄弁に語った。]
[故に、当初の目的は、期待通り達成された。
塔の採光窓から差す、橙がかった光の中、黒々とした影を落としながら。]
>>73
[ひとり外へ向かったあなたを、引き留めることはできなかった。言葉をかけることで、その半透明な姿を掻き消してしまうことを恐れるように、行方だけをゆるゆると追った。]
[人の身では留まれない場所に座ったあなたを確認してからしばらく、最もその高度に近い階層の、窓の横に寄りかかっていた。ぼんやりと資料について反芻しかけて、最後の情報と、それが齎した衝撃と、彼女の表情だけが甦った。思考になるはずがなかった。]
[――この塔から、軋んだ時報が遠ざかる。]
[時間の経過をようやく思い出したかのように、再び窓から顔を出した。彼女はまだ、最後に見たままの場所で膝を抱えていて、街へ向けられた表情はよくわからないままだった。]
……ライカ。
[続ける言葉も見つけないまま呼びかける。想定よりずっと掠れた声が出た。]
>>73
[街並みは遠い。けれど、見える。人々が行き交う姿も確かに見える。
――存在しないものは、見えない。]
[ソコラですら、何人も、何世代も生まれて死んでいくのを見た。人が、いつか死ぬことも知っている。]
["あの人"が死んでいるなんて、思うこともなかった。
だって、あの人は宇宙船の窓の向こうにいた。
少し髪が薄くて、指は中指がごつごつしていて、鉛筆の匂いがした。彼はコンピュータよりも手書きの計算が好きで、計算を仕込んでくれた。計算が速ければ、訓練を終えれば、いつも撫でてくれた。
名前は、覚えていない。
"あの人"は、ド・コカーノへ行っておいでと、自分を送り出した。いつかたどり着くために、先に行っておいでと、そう送り出した。]
[いつか、きてくれると信じていた。
だから生きていると、当たり前のように信じていた。]
>>80 ライカ
[あなたの耳が小さく揺れた。あなたは振り向かなかったけれど、声は聞こえているのだ。なので、行動をあなたに委ねたまま、見守るような視線を向けていて……、]
――っ!
[だから、あなたが消えかけた一瞬、窓から身を乗り出したのだ。霊体が重力に任せて落ちて来ることはないが、そんな理性は働かなかったし、そのまま消え去ってしまうようにさえ思ったのだ。とにかく姿を追おうとした。……結果、その姿は、すぐに傍へと現れたのだが。]
[一応の安堵は得ても、それは微かなものだ。近くにあっても、あなたはこちらを見ていない。あなたが見つめるものを想像して、それが失われていることに、胸が痛んだ。喪失感が再び思考を支配し始めていて、名を呼ばれなければ、返事はひどく遅れたかもしれない。]
……あ、ああ。うん。
覚えているし……記録も、したけど。
>>83 ライカ
[相手に伝わりもしないのに、ただ頷いたのは、言葉にならなかったからに他ならない。]
["うん"という声たったひとつでも、あなたの想いを乱暴に断ち切ってしまいそうで、発声を躊躇った。情報が間違っているかも、だなんて、気休めにすらならないことは、言いたくもならなかった。だから、ただ、緩慢に頷いて、あなたの言葉を聞いていた。]
――もちろん。いくとも。
ライカがいくと決めたなら。俺にいかない理由はないよ。
……さみしいままにはさせたくないものな。
[応答する。あなたの想いを否定しないように。あなたの並べる、"推測"を、今から肯定してしまわないように。
向かう先で、未だ情報として得ただけのものが、覆らない事実として形を成すことへの不安を押し殺しながら、進むことを決める。]
>>85 リスリー
ありがとうございます。
……リスリー。
わたし、もう少し、司書の方に資料を出してもらってきます。
座標だけではなくて……"あの人"の名前や。考えていた、ことや。あの人がつけてくれた、わたしの、名前や。そういうものを、知っておきたい。
[口元に触れる。
振り返らないのは、あなたから己の言葉の肯定が返るのが怖いからだ。
不安に耐えかねてこぼした弱音、それでも道筋を残してくれるあなたに、こんな表情を見せたくなかった。]
……、
――どうして、死んでしまったのでしょう?
[それは問いの形こそしすれ、答えなどないとわかっている。それでも零れただけの呟きだ。
せめて生きていれば、夢のひとつもかなえられたかも知れないのに。]
―コレコレ・コーイウ・コロニー/お昼前―
[もしタイムマシンに乗れたら、ムービーは過去の時代に住みたいのかと、哲学者風の額を持った弟が尋ねたことがある。
ムービーはしばらく考えてから、確かにレトロ趣味はあるが、過去に戻りたいわけではないと弟に答えた。
すると弟は目を光らせて、では、ムービーが愛している過去とは、歴史における過去ではなく、個人の記憶の中にある過去なのだと主張した。
もしムービーが過去に飛ばされたとしたら、ムービーは未来趣味者になるだろうと弟は予言する。ムービーにとっての過去は、その時「未来」になるからだ。「レトロ趣味」とは本来、「追憶趣味」と呼ぶべきではないかと、弟は提案した。
なんせ、知ったかぶりが多かった弟だ。ムービーには追憶に値する甘美な思い出なんてないことを、彼は見落としていたのだろうか。人の心は簡単に見透かせるものではないと、釘を刺しておくべきだったかもしれない。
ただ、「追憶」という言葉がムービーの心を捉えた。彼女が愛する物や人は、みな美しい過去の夢を持っているようだった。逆に、反りが合わないと感じる者は、美化できない過去を抱えていることが多かった。]
[過去を慈しみ続ける姿勢は、後ろ向きなものだろうか。]
……後ろ歩きでも、前には進めるから。
[サンドイッチの入ったバスケットを持って、『ラクリマ』に向かう彼女は、先代店主作品の解体許可を、これから店長に迫る予定だ。あるいは、店長に解体させる予定だ。
過去のムービーだったら止めたかもしれない。しかし、今のムービーにはエールの修理が最優先だった。それも、彼女にとっては「過去」を守る行為だった。
もし店長が解体を渋ったら、泣き落とそうか、おだてようか、あるいはビームで脅してしまおうか……。すました顔のうちに恐ろしいことを考えながら、ムービーは両手でバスケットを揺らして、ソコラに似た面影の街を歩いていく。]
[小惑星探査をすると言って、数年前に出奔した弟がどこにいるのか、ムービーは知らずにいる。**]
[返信のテキストメッセージが、タブレットのパネルを埋めていく。
無重力との相性はともかく、そちらも元気そうでなによりだということ。
こちらは二人とも元気にしていて、レキシー・アールに向かっていること。
ライカもメッセージを別の方法で送ったようだということ。]
"もしかしたら、もうとっくに見たあとかもしれないけれど。ライカの方は業者を挟んだ分ゆっくり届くはずだけど、通信自体は安定しているからね。"
[そして、また連絡を、と結ぶ。そのままタップで送信しようとして、指を止めた。ひとつ思い出したのだ。思考の間。片側の口角が上がった。指先は再度忙しく動いて文字を紡ぎ、今度こそ送信のタップまでやり切った。]
"追伸:ライカによれば、以前君が厄介者だと言っていたカルックスとやらが、粋な置き土産をくれたみたいだ。
ライカはとても喜んでいて、それは嬉しかったのだけれど... 厄介だというのは、まさか、請求が得意なたぐいだって話じゃないよな? :/ "
**
[ふたつ返事どころか、他に必要な設備は、なんて聞き返された。通信のあと、思わず彼と顔を見合わせてしまっただろうか。お金持ちすごいヤバい。
発注から納品までは少し間隔が空く。それは宇宙船としてはよくある話らしい。その間の数日は、レキシー・アールで調べ物をするには最適の時間だ。あるいは、無利子とはいえ借金を返す為の第一歩を始めるには。そして、波立つ胸中をおさめるには。
納品の連絡を受けて、納品場所の商業コロニー、コ・スパイーヨへと移動して――]
[宇宙船クレイオ号は、さほど大きな船ではない。
三基のエンジンを抱えた大型クルーザータイプ。規定乗員数は僅かに4――個人所有とすれば十分な数――、あくまでもクルーザーの域を出る規模ではない。
けれど、超光速航法、疑似有機演算回路による音声入力システム、翻訳機能に、予備がひとつ多い生命維持装置。それに着陸艇がひとつを搭載した、一般的から少しズレた船だ。
コックピットは単座ではなく、まるで往年の戦闘機のように複座。いざとなればほとんど全ての機能がマニュアル操作に切り替えられる――それはまるで、未開の海を行くかのような船だ。]
>>94
―小惑星群、ゴ・ロゴロ族付近―
[4重構造の強化ガラスのモニターに映るのは、まるでソコラの夜空とはかけ離れた宇宙の荒野だった。
アステロイドベルトとは全く様相の異なる、まるで岩石の海。熟練したパイロットであっても、この海に潜り込めば減速を強いられるに違いない。
小惑星群、ゴ・ロゴロ族。
かつてアン・ノヴァショウが存在し砕け散った周回軌道上に、その残骸は漂っている。
今のことに目をやるように、コパイロットシートのサブモニターに映し出された、数値を読み取る。
燃料は近くの宇宙ステーションとの往復が3回はできる程度残っている。超光速航法も、あと1回は可能だろう。エンジンの出力チェック、生命維持装置のチェック、あとは何をするのだったか――]
……観測データを、表示してください。
[音声入力は忠実にその指示に従う。宇宙ステーションが飛ばしている情報がサブモニターに高速で流れ出した。詳細はかいつまみ、結論。]
――システムオールグリーン。宇宙波の影響はありません。
[目をそらしたって、レーダーは映し出されている。映っているのは無数の小惑星――そこに星など、存在しない。
存在していない。]
>>95
[顔を上げれば、メインモニターが見えてしまう。
モニターに映し出された、岩石の海。かつての星の残骸。
その岩肌はぶつかり合って滑らかになり始めている。かの星が砕けてからいったいどれだけの時が経ったのか、推し量ることもできないだろう。
見えてしまうとわかっていたから、サブモニターだけを見ていた。]
……目標座標、到達しました。
[その声は、彼女が思っていたよりもずっと静かに、穏やかにコックピットへと響いた。
エンジン出力は、周回軌道維持に必要なだけ、20%に押さえられていた。
機械音がコックピットに満ちている。そんな音はすでに耳慣れてしまって、無音のように感じられた。
吸う息もない――"どうして死んでしまったのでしょう?"問いの答えは出ていない――覚悟のようなものを決める前動作も、死した彼女には許されない。
だから、唇を開いた。]
――リスリー。
モニターカメラを、切っていいですか。
[コックピットのガラスを覆う保護シールドを外して、目視でその残骸を見たい。見なければ、いけない気がした。]
>>94 >>95 ライカ
[その領域に向かう交通機関はない。自由に行き先を定められる船が欲しい、から始まったやり取りは、一隻を新規調達するに至った。借りるだけでも良かったのだけれど、長い目で見ればこちらの方が良いのだとか。お金持ちの思考だ。すごい。
納品までの数日は、日銭を稼ぐよりも文献を当たった時間の方が多かったかもしれない。それこそ、これまで生きて来た分に当たった文献の、総量に匹敵するくらいの。無論、これまでの分が少なかったのだ。]
[そうしていよいよ訪れた受け取りの日、操縦経験を確認された時の、担当者の何とも言えない顔をよく覚えている。]
>>97 続き
[――とはいえ、その手の注文者――大抵が、宇宙船を操縦したことのない金持ちが、急に操縦してみたくなったとポンと買うケース――はそれなりにいるらしく、非常に丁寧な説明と簡易教習を施して貰えた。自分が船を動かさねばならないのだという実感は、その頃になってようやく沸いた。
それでも短期間で出航まで漕ぎつけられたのは、ひとえに自動操縦や操作支援プログラムの緻密さと、ライカに助けられたおかげだ。ことライカの飲み込みが早かったために、最低限、覚えなければ致命的な操作の習得に集中できたことは大きかった。
ライカのサポートに寄り掛かるようにクレイオ号を泳がせる間、何度言葉にならない程の礼が篭った"ありがとう"をライカに告げ、何度心の中で"ありがとうビクトリアさん"を唱えたかしれない。
操縦も安定した頃、それならばと課題を与えられたかのように、目的の座標は近づいていた。多量の岩石を伴って。]
【惑星スサ・ミー 首都アレテール中央ドック 第一ゲート】
[数回の休憩を挟んだ航行から、数日経ったころ。ダマリからメールが届いた。簡潔な挨拶と、到着の日時と場所が書かれているそれを、忘れないようにソラリアに転送しておいたが、自分としては珍しく覚えていられた。まだ業務が始まっておらず、休日扱いだというのに、間に合う時間に起きられたのも、到着からの浅い眠りだけが原因ではあるまい]
[研究所と社員寮はドックから中央街を抜けた先、工場地帯と住宅区画の境ほどに存在している。どこへ行くのにもアクセスは悪くないが、どこへ行くのにも近いとも言い難い。
昨晩、徒歩で行くつもりだと伝えると、同じ寮住まいの同僚たち(数人ほどしかいないが、妙に面倒見が良く、世話を焼いてくれると感じる)に猛烈な反対を受けた。曰く、そんなぽやぽやと歩いていたら強盗に合う確率が150%(一度合ってからもう一度合うという意味らしい)だとか、タクシーが嫌ならせめてバスを使え、だとか。ソラリアを伴ってタクシーで行くと答えて、ようやく許してもらえた]
[首都とは名ばかりだ。なにせ、他にまともな都市はない。あってせいぜいはみ出し者の寄り添って住む集落くらいのものだという。しかしながら、ここから1時間ほどの鉱山で採掘されるレアメタルやガスを目当てに、大企業の支社やベンチャー企業が集まり、中央部の賑わいは往時のタヨーナ以上だ。呼んだタクシーの後部座席から、タヨーナ以上に多いホバー利用者を感嘆の目で見つめていた。]
[そうして着いたドックの第一ゲート。巨大な案内ホログラムの明滅する下、多くの者が人待ち顔で佇んでいる中に、ソラリアと共に加わる。そして、タブレットでホログラムを撮影すると、「これの下にいます」と書き添えてダマリに送信した。]
>>99 リスリー
ありがとうございます。
[サブモニターに視線を落としたまま、承諾の声に頷く。
唇を開く。また閉じた。一拍の間があいた。]
……モニターカメラ、格納します。
モニターシールド収納。モニターの電源を切断します。
[音声入力と背後のパイロットシートの彼への報告を兼ねた言葉は、存外にするするとはき出された。
メインモニターの明かりが消えたのを確かめる、なんて口実をつけて、顔を上げた。]
[それはまるで灰色の写真のようだった。
遠く近く、この船を引き寄せるほどの重力も失い、生命を失い、砂埃のようなざらざらした質感に覆われて、いくつもそこに散らばっている。
数にして数千、数万――あるいはそれ以上の小惑星が、無音の世界の中に漂っている。]
>>102続き
[このとき、彼女自身驚くほど、彼女の胸になんの感慨もわかなかった。
それはここに至るまでにいくつか接近しすぎた小惑星にひどくよく似ていて、つまり、この宇宙にいくらでもある小惑星にしか、見えなかった。
彼女は故郷の星のことを、覚えていない。宇宙からすれば一瞬の、けれどひとつの星が消え去り忘却されるほどの時間が、記憶を宇宙の暗闇に葬ってしまった。それでも、レキシー・アールで知ったかの惑星の姿とは、あまりにもかけ離れている。
目標座標を間違えていないか、なんて馬鹿馬鹿しい思いが今更ながらに過ぎるほど、その光景は"あっけなかった"。]
――……。
……R1T-TYR4M、こちらはR1T-K2RYV。
R1T-K2RYV、ただいま帰還いたしました。どうぞ。
[胸の通信端末を握って、応答を願う。
お化け端末はやはりチカチカ光るだけで、目の前の小惑星たちは何も答えない。
わかっていても、確かめずにはいられなかった。それが確認になどならないと、頭のどこかでわかっているのに。]
>>103続き
[そんなコールを何度か繰り返して、不意に端末を握りしめすぎた指が滑り降りた。
モニターへと手を伸ばす。コックピット内の空気をすり抜けて、けれどモニターにも届かない。
半透明の手の向こう、小惑星はただ沈黙している。]
なんだか、……。
[言葉を探した。
せめて自分が生きていれば、かの人の願っていたことは叶えられただろうか。けれどそれは叶わなかった。
死していても、もっと早く戻れば良かったのだろうか。けれど時はすでに流れてしまい、取り戻すことなどできない。]
わからなく、なりました。
[どこか、笑っているような声。]
ありがとうございます、リスリー。
なんだか、何もかも、溶けていったみたい。
>>102 >>103 >>104 ライカ
[報告の声が響く中、センサー類の表示拡大操作を終えた手が、ポケットの中を探った。小箱の輪郭を指が撫ぜて、それでも取り出せはしなかった。メインモニターが消えた向こう、岩石の海。これまで睨むようにして進んで来たものと全く変わらないものが、身体ごと引き付けるような威容を帯びてそこにある。]
[センサーウィンドウへ、振り切るように視線を落とす。手は再び彷徨って、結局操作パネルの傍に留まった。]
[ライカのコールが、機械音の中、繰り返される。目頭に熱を感じた。]
……、……。
[笑っているような声が、ひどく震えて聞こえて、]
……そっか。
ライカ、……。
[ソコラが生まれて消えるまで、あるいはそれ以上の時間の、こんな結末に、何を言えるだろう。それでも、頷いただけで納得できるわけもなく、せめてなにか、と、あなたの名を呼んだ。名を呼んで、それ以上の言葉は結局見つけられず、呼びかけの後には沈黙が続いた。]
― 惑星ヒロイナ・オーキナー ―
>>65 ニー
[長かった。本当に長かった。
操舵ライセンスを持った身内もいない、運転手を雇うのも流石に出来なかった。大枚をはたいて、自動運転CPU付きプランを組んで船を購入したはいいが、手動コントロールのない船の速度は遅い。
それでもノンビリ気ままに到着するまでは楽しんでいた。が、待ちわびた惑星にようやく着いたと思えば、入星手続きだの、生体検疫だのに数日取られたのは流石に辟易した。
家の購入も、まどろっこしさのあまり即決した。
地表の8割近くが水域というこの星の広大な海の上、白い砂浜沿いに直接建てられた、舟屋風のリゾートコテージに決めた。
船の購入で流石に貯金もザックリ削れていたので、生まれて初めてローンを組んだ。組めると思っていなかったので少々ビックリした。発表経歴や著作曲の印税というのは案外侮れない。
どうせ治安も環境も妥協しないのだから、少々値が張るくらいの物件で丁度よかった。
それもこれも、この碧い海と、友人の笑顔が見られれば。
それでお釣りがくるのだ。]
(続き)>>65 ニー
うわホントだ!ヤドカリだっけ?野生でいるんだぁ…
ふふ、スゴイ凄い!ニーがこんなに探検と狩りが上手なんてねー
[声をあげる。
来たばかりの家はまだまだ何もなく、自分ももっぱら移動着のパーカーウェアのまま、ピクニックのような簡素な衣食住で済ませている。早いことニンフェーアを泳がせてあげたくて、というか彼女がこの海で泳ぐ姿を自分が見たくて、荷ほどきよりも先に水陸両用の移動設備を整えてしまった。
今日あたり、家具よりも真っ先に、日常着兼用のスイムスーツでも買おうと思っている。]
>>105 リスリー
はい。
[伸ばしていた手で虚空をつかんで、引き戻す。もちろん何もつかめないまま、その手は口元へと添えられた。唇の震えを押さえるように押しつけてから、]
自暴自棄には、なっていません。
なんだか、とても……終わってしまったのです。
ここからソコラまで、船で向かって。
ずっと、ソコラで"あの人"を待っていて。
ソコラの日々を、すてきで優しいみんなの思い出を届けようと思って、……でも、……
[いったいいつから、この意思は無意味だったのだろう、そう思う。
届ける相手はいなかった。来る相手はいなかった。かの人が繁栄を願った星は、眼前、藻屑となって漂うばかり。]
……わたしには、もう、思い出しかありません。
仕方ないですね。
[ぼんやりと、本物の恒星が落とす眩しい日差し、青い空を眺める。
――新しい土地に来た感慨にふけっては、ソコラを離れた日のことを思い出した。
宇宙船のプールの中から、ソコラを見下ろすニンフェーアの背中。
そこに住む皆に愛された、タヨーナの街の一部のようだった人魚。
いくら大きく作ったとはいえ、コロニーの入り組んだ水路にくらべればあまりに狭い水槽と、それに収まる彼女の姿は、してはいけないことをしてしまったような、正しいことをしたのだというような、妙な感慨におそわれる光景だった。
『さようなら。』気持ちは同じだった。
一人で出ていくのも、残していくのも、寂しかった。
だから一杯抱きしめて、一緒だからね、絶対ステキな所まで行こうねと約束した。それは彼女の為というより、自分の為だったと思う。
だから、その笑顔が見れることが嬉しいのだ。
あの故郷を離れた、自分の最初の目標だったから。]
>>108 ライカ
["自暴自棄には"。あなたは、こんな時でさえ、聞く相手の存在を意識する。そんな風に思う。]
ライカ。
[あなたへ振り向く。センサー機能には音声アラートだってある。もっと向かい合うべきものが、すぐ後ろ、コパイロットシートにある。……あの日、塔で背を向けていたあなたは、それを望まないかもしれないけれど。]
……ライカが、これまで過ごしてきて、ここまで来て……、
大きな仕事を、ひとつ、終えて。さ。
[思い出しか。そんな言葉がつらかった。ソコラに居た頃、無人の通りで、膝を抱えていたあなたの姿が想起された。]
思い出しか、なくなってしまったとしても、
それは、ライカが、ずっと、ずっと重ねてきたものだから……、
……とても、大切な、ものだと思うよ。
俺から、言うようなことじゃ……ないだろうけど。
>>100>>101
[スサ・ミーについて初めに感じたのは、やはり治安の悪さだ。
女性一人だけであれば確実に声をかけられ、触れられる。大体悪い方に。
先にスサ・ミーで任務に就いていた同僚アンドロイド達より情報を共有し、適度な武装を行うことにした。
護身術機能を搭載することも考えたが、大幅にメモリを有してしまうので不要とした。
正確に言えば、メモリは足りるが、不要な部分を消去しなければならない。たとえば、ニンフェーアの歌に合わせた時に修得した、即興のベースなど。
それらは、ソラリア固有の「経験」である。出来れば、残しておきたいと感じること含めて、自分は固有個体として存在していると感じていた。
勿論、自身に護身術を組み込めないのならと、社宅の防犯システムの大幅向上を申請したが。]
[ダマリを迎えに来たドッグで、セイバリーがダマリに居場所を伝えるメールを送る。
放送を聞いていたソラリアが計算を終える。]
何も問題ないようでしたら、荷物の受け取りを含め。あと5分から10分ほどでおいでになるかと思います。
>>106 >>107 >>109ディア
ヤドカリ。
[相手の言葉をそのまま呟いて、エビじゃないのかとしげしげと手元の生き物を見た。しがし、すごいすごいと褒められれば、すぐまた得意げに笑う。迷惑そうに足をばたつかせていたヤドカリは、そっと砂浜に返して]
うん。ここはね、すっごく広いから。泳ぎやすいの!
見たいもの、あったら教えて?
わたし、探してくるよ!
[どこまでも広がる海の中は、細い水路や人工池と違い、勢いをつけて泳いでもぶつかるものがない。このヒレが全力で水を蹴ったとき、思いも寄らぬスピードが出るのだということを、この人魚は初めて知った]
[これならきっと、どこへでも行けるし、戻ってこれる。なんならディアの手を引いて泳いで、連れていくこともできる。だから、]
……わたし、
ディアにちゃんと、返したいから。
してもらうだけじゃ、なくて。
[目の前の友人の為に。何かできることが、あればと]
>>112 ニー
やどかり。
[オウム返す。にこにこ。]
快適なようで何より。
もうこの水が続くかぎりどこまでも行けちゃうからねー。でも、あんまり遠くに行っちゃうと迷子になりそうだから、ほどほどにね。
あと、一人で探しに行っちゃうのはズルい!一緒に探そ?
[水を得た魚に追いつくのは不可能だろうし、きっと彼女はちゃんと戻ってくるだろう。それでもできれば、新しいものは一緒に見たい。水上エアボートか何か、一台買う必要があるだろうか、などと考えた]
んー?返してもらうっていってもなー。
アタシのワガママでムリヤリついてきて貰ったよーなモンだと思ってるし…
[見つめる人魚の瞳を、見つめ返して頬に手を当てる]
タヨーナに居た時みたいに。
ニーが一緒に居てくれて、一緒に歌ってくれたらそれで充分。
>>110 リスリー
[あなたが振り返ったから、泣き笑いみたいな表情を伏せた。こんな顔を、見せたくなかった。
ここに来たいといったのは自分で、彼は自分の嬉しそうな顔の方がいいと言った。そんな表情を作れている気がしない。
あの塔の上にいた時と同じように、こんな顔を見せたくなかった。]
はい――とても、大切。です。
[大事に抱えてきた思い出の意味の片側は、削れ落ちた。かの人に、あの場所はとてもすてきな人がいる、幸せな場所だったと伝えるために抱えていた、その意味はもう、失われた。
小惑星の重力に持っていかれたかのように。]
思い出が――……
あの日が、みんなが。いて、くれたから。
[そしてたどり着いたのが、この虚空。]
わたしは、ここに。
リスリーと、いるのですもの。
>>100>>101 >>111
[到着日時は予定通りになるようだ。念のため忘れっぽい友人にメールを送っておいたがチェックしているだろうか。
自分もあのアンドロイドにつられて心配性になってきたかもしれない。]
【惑星スサ・ミー 首都アレテール中央ドック 第一ゲート】
[荷物の運搬用アンドロイドとドック内を歩く。途中の宅配カウンターで荷物を自分の住まいになる座標に送る手続きを済ませ、手荷物だけ持って第一ゲートへ向かった。
送られてきたメールの添付画像を確認する。第一ゲート案内ホログラム、そこが待ち合わせ場所だ。]
[ドッグ内は賑やかというよりは騒がしい。ソコラとはもちろん住民層の違いに慣れてないこともあるだろうが、どこか陰を感じざるを得なかった。
首都アレテール、巨大な都市であるものの過ごしやすいとはとても言えない。
これからの仕事のことを思うと心労が募る。そのせいかだいぶ歩いたような気がした。
しかしソラリアとセイバリーの姿を見つければ表情は明るいものになった。]
無事に着いたようだな。
[二人が無事であるかどうかをまじまじと確認している。]
>>113ディア
うん、うん。まいご、気をつけるね。
わかった!じゃあこんど、あそこにいっしょに行こ?
[指さす先は、この海岸から少し離れたところに見える小さな島だ。これといった施設もないが、付近の住民――主に子供達の遊び場になっている。もっとも、この人魚はそんなことは知らないのだが]
うーん……そうなの?
うん、いっしょにいるよ。歌うよ。でも、
[あなたの瞳を、同じように見つめ返す。それから、どう言葉にしたらいいかを迷うように、少し間が空いて]
(>>117続き)
……おばあちゃんと、おわかれしたとき。
お歌、聞かせてあげたらよかったなって。思ったの。
さいごだったのに。わたしのお歌、あんなに好きって言ってくれてたのに……
ほかのみんなだって、そう。
[あの街にいた17年間。好意、好奇心、同情、……形は様々だったろうけれど。周囲の皆が少しずつ、彼女を生かしていた]
いろんなもの、もらってたんだなって。
……ディアは、今もいっしょだけど。いっしょだから。
わたしも、ディアに……ううん、ディアだけじゃなくて。
ソラリアや、フェルムや、ムービー……まだ会えるみんなに、いろんなものをあげたい。
そうやって、いっしょにいたいの。
[――ソコラで生きた日々の消失は、この人魚に「後悔」の感情を芽生えさせていた]
[それと同時に、与えられるものをただ受けとり、手を放されれば追いすがることもなかった生き物は、「対等」を願い始めている]
[それはただ飼われるために生まれた動物には、分に過ぎた感情だったのかもしれないけれど――]
>>111 (>>116)
[メールを送るのに集中していて、全く放送を耳にしていなかった。ソラリアが言うダマリの到着時間に、あわてたように顔をあげる]
あ、あぁ、そっか。結構すぐ着くね。そりゃそうか、ぴったりになるように家を出たわけだから……。
[そう言うと、ごそごそと鞄を漁り始めた。タブレット端末、いつも持たされるハンカチと除菌スプレー、などなどの間から、丁寧にラッピングされた箱が出てくる。ノヘンノ文具のロゴが踊る包装紙に包まれた、長方形の箱だ]
えーとね。なんか、今になってごめんね。こっち来てから、職場だとばたばたしちゃって、なかなかゆっくり話せなかったから、今かなと思って……。
これ、途中でよったノヘンノのコロニーの、名産品なんだって。ペンなんだけど……名前、刻印してもらえて。ソラリアくんの名前、入れてもらったから。
いつもお世話になってるし、そのお礼、こんなもので悪いけどよかったら。
[あなたはその場で開けるだろうか。それを確認するでもなく、視線を左右に彷徨わせた。宇宙船の中やこちらについてから、彼女がメールをしたり、あるいは自分に話す言葉から、ソコラにいた間に彼女が自分の知らない交友関係を広げていたのだという感慨は、さらに深くなっていった。それはすなわち、あなたがもうすっかり「個」として独立したということで。]
あのね、ソラリアくん。
急で申し訳ないし、あの……嫌だったらその……ほんとにいいんだけど。
その、ソラリアくんさえよかったら……その。ええと。会社の所有……じゃなくて。正式に、あの。
わたしがマスターになってもいい、かな、って……考えてたんだけど……。
ほ、ほら。そしたら、いちいち会社に許可取らなくても、わたしの一存で、好きなことができるようになるし。
あと……所有者の許可さえあれば、たしか、アンドロイドひとりでも旅はできたはずだから……友達にも……会えるかなって。
ほんとに!嫌だったらぜんぜん!いいんだけど!
[そうしどろもどろになりながら、要領を得ない申し出をしている、まさにそのタイミングであっただろう。ダマリが2人のそばに到着したのは。]
>>114 >>115 ライカ
[俯いたあなたへ、気遣わしげな表情が向けられている。振り向く前に擦ったのか、赤い目頭をして。]
うん。……うん。
[ぽつりと落とされる言葉を、聞いていく。大切だと答えたのも、しあわせだと話したのも、きっと本心からだろう。しかし、仕方ないと称す通り、それがすべてなはずもない。そんなことは当然だ。漂う小惑星群がもたらしたものは、身体一つに、魂一つに対して、あまりに多すぎる。]
……ライカがしあわせだったって、知ってるよ。
ライカがみんなのことを大好きなことも。
それだから、俺についてきてくれて、
俺についてこさせてくれて、同じ目標へ、一緒に向かわせてくれたことも。
……でも、ライカ。
仕方がなくても、つらかったら。
その時は、つらがったって、いいんだからな。
>>117 ニー
あそこに?うーん…アタシでもギリギリ泳げそうな距離だけど…
よし、連れてってもらおっかな、今度!
[人魚の肩を掴んで、あそこまで泳いだらどれだけ爽快だろう。たったそれだけのことで、こんなにワクワクする。
それから。
彼女のこぼす言葉を、波のささやきと一緒に、じっと聞いた。
こうして言葉を聞くたびに思う。
人魚はペットなどではない。人の世話は必要とするかもしれないが、こうしてちゃんと個として意思を持っている。
きっと、それを人が。
この子を作った存在が必要としたからだ。]
…そうだね。
皆、ニーが大好きだったから。アタシだけ独り占めしてたんじゃ、申し訳ないくらい。
[コレコレ・コーイウ・コロニーに到着してから半年ほどたったころだろうか。
新生ラクリマの開店準備が落ち着いた頃から、フェルムはムービーと共に、祖父の作品を慎重に解体して技術を解析していく作業に入っていた。
タヨーナの店では看板代わりになっていた、ほとんど実物大のオオタカのからくりを解体しているとき、小さなチップが心臓部に埋まっているのを見つけた時は、目が白黒して、椅子から転げ落ちそうになった。
あわてて公証人も呼ばずに開いてしまったけれど、
内容は遺書というにはかなりフランクな私信だったので、まあよしとしたい。内容は以下である。]
愛すべき私の教え子のフェルムへ。
おそらくは、このオオタカが私の遺作というやつになるんだろうね。
>>116>>119>>120
[渡されたプレゼントに、きょとんと。ほんとうにきょとんとしてしまう。
マスターが、一所有物である私に、私用のものを?]
お礼、など、私は、アンドロイドとしての任務を遂行しているだけで……
当然の、事なのですが……そんな、名前入りでは、私専用と、言うことに……
[自分だけのものなど、持ったことがない。記憶だって、コピーしてしまえば同じ自分ができるのだ。
N-O-Uは個体差が大きいので、全く同じというわけではないかもしれないが。
初めてのものに、すぐに開けて確認したいと考えたが、この後の予定を考え、自分の体内で一番セキュリティの高い場所にしまい込んだ。]
[プレゼントの処理が終わっていないうちに、マスター権の話になり、完全にソラリアの思考回路が情報過多で停止する。
整理の為の時間を要求しようと思ったところに、声をかけられる]
[ダマリに向けてしずしずとお辞儀をする]
長旅、お疲れ様でした。ダマリ様。
……ようこそ、も、おかえり、もちがいますね。
……そうですね。無事に、おつきになられて、何よりです。
(続き)>>117 ニー
生きるって、色んなものが必要だってこと。
きっとアナタが一番よく知ってるでしょ。
皆にも、必要だったんだよ。ニーの歌とか、笑顔とか、お話とか。
勿論アタシにも。
だからアタシも、ニンフェみたいになりたくて。
聞いてほしいって、言ってもらいたくて歌ってるんだよ。
[皆が望んだから、人魚はあの街に居た。飼われるだけの人魚だとしても、決して、無力などではなかった。そう言い聞かせる。]
…よし。歌おう、ニー!
色んな星やコロニーに届くように、いつもみたいに歌って。
聞いてほしい人たち、皆に送ろう。
[立ち上がって、後ろに積んだままの荷物を漁り始める。掘り起こしたのは、ホロの撮影と録音の簡易機材だ。映像付きのメッセージや動画を撮ることができる。]
元気だよって。伝えよう。おばあちゃんにも届けるよ!
>>124
これを解体したのがお前なら、お前は本気で私を超えようとしているということだろう。
私の弟子でありつつ、私のからくりの一番のファンであるお前は、私の作品を解体することにとても抵抗があったようだから。遺作となれば、なおさらだろう。
強く成長してくれたことを誇りに思う。
こんな形でメッセージを渡してしまってすまない。
人を試すようなことはよくないとは言っても、お前が無理をして、好きでもないからくりを作るようなことだけは避けたかったからね。
期待を裏切るようだが、ここに私の技は記さない。記せるようなことは、全部お前に教えてしまった。あとは応用だ。お前が難問に挑んで失敗する度、引き出しの鍵が開く。よく覚えておくように。いいかい、失敗したときにだ。
>>127
お前は思い込みがはげしいから、違う見方をしてくれる仲間を見つけておくと良い。生涯を共にしてくれる相手だとなお良し。
からくりと結婚した〜なんて言っても、冗談としておもしろくないし、絶対に片思いなんだからからくりも迷惑だ。
お前のような孫に会えたことが、私にとって例えようもない僥倖だったから、口を酸っぱくして言うんだがね。
[〜ここからしばらく、彼の妻(つまり祖母である)について延々と綴ったのろけばなしが入るので省略する〜]
私の作品を指針にはしても、私と同じものを作ろうとは思わぬように。
おまえの全てを、私は肯定する。
私もまた、フェルムのからくりのファンだからね。
私は先に旅に出るよ。あの世というやつで会えたら、君のからくりを隅々解体させてくれ。
フェルムの成長を心より喜ぶ
君の祖父であり師匠のテツハルより
[そこにはフェルムも大事にしている写真が添付されていた。祖父と、祖父の膝の上でちょこんと座っている自分に、僕は大丈夫だよと微笑みかけた。**]
>>120>>121
[会社からの正式なマスター移譲。個人の所有となること……家族となること。
それは、アンドロイドからするとまさに「夢」に該当する、自分ではかなえられない目標である。
思考回路が追い付かず、はくはくと、言葉にならない声をあげる]
私が、ずっと、マスター・セイバリーの、おそばに、いて、いいと……?
[回路に熱を感じる。ニンフェーアと歌った時に似た、思考回路が一つの事にのみ解析を注ぐ状況。
ただ、解析だけは簡単に終わっている。断る理由はない。
ただ、その結果が何度も表示され、妙に回路を熱くさせる。]
………私に、断る、理由は、ありません。
貴方のそばでお仕えさせてください。この星を緑化させるそのお手伝いを、させていただきたいと思います。
……ただ、会社よりの移譲には、多くの手続きと必要経費があったと認識しているのですが……私に、そのような経費をかけて、よろしいのですか?
マスターの細かな考慮事項をすべて把握している私が引き継ぎ続けた方が便利だとは確かに思いますが、私より高精度のアンドロイドが来る可能性だってあるんですよ?
>>121
[あなたが近づいてくることに全く気付いてなかったため、今の不格好な申し出をしっかり見聞きされていたことだろう。そのことに声をかけられて初めて気づき、ぴょんと飛び上がる]
わ、わぁ。き、来たなら言ってよ。
[言っている]
ぶ、無事到着してよかったし、その、そう言ってくれると嬉しいけれど……。
>>125
[あなたが大事にプレゼントをしまい込んでくれたのを見て、とりあえず気に入ってくれたのかなと安心したが。それきりあなたが固まってしまったことに、情報量が多すぎたかなと反省した。そして処理が済んで口を開いてくれるのを今か今かと待っていたのだが……]
えっダマリくんが先なの?えっ!?
[流石にちょっと驚きで声が大きくなってしまった。]
あ、あぁ、そっちの方が優先順位高かったかな……処理も軽い……し……?
[一応納得した様子で首を左右に傾げた。そして、あなたの続ける言葉を、じっと聞いていた]
>>122 リスリー
ありがとう。リスリー。
[その声は、震えていなかったと思う。
あなたの言葉が、一緒に悲しんで――悲しみなんていう感情とは、少し違うような、そんな、――くれているように、思った。
いつもなら、きっと嬉しい気持ちの方が顔を出すのに。
悲しいことは嬉しいことで帳消しにならない。
もうすっかり、笑みなんてどこかに旅立ってしまったような顔を上げた。
胸中に詰まる言葉はあまりに多すぎて、喉はあまりにも狭くて、してもいない息が苦しい。]
わたし、……どうすれば、いいですか?
しあわせだったんです。とっても。
でも、あの人の為で……違うの。違うの。しあわせだったのは、あの人の為じゃなくて、みんながそうしてくれてたからですもの。
わたしがあそこにいたのは、あそこに行ったのが、あの人の為で。
でも、その意味はもうなくて、わたしは
[言葉と一緒に熱も持たない涙と鼻水が顔を汚して、途切れた言葉の間にぬぐう。言葉の出口を作るようにぬぐっても、もう、言葉にならなかった。
翻訳機の限界を超えた感情の波は、犬の遠吠えを響かせた。]
>>129
[あなたの回路が上げている悲鳴と熱が伝わってくるようだ。肯定的な返事が返ってきたことに、へにょ、と顔が安堵の笑みの形に崩れる]
あぁ、よかった。なかなか言い出せなくてごめんね。
宇宙船の中ででも話してれば、ゆっくり考えられたかもしれないのに。
[そして続けられた不安の言葉には、ゆっくりと、しかし確かに首を横に振る。そんなこと、考えるまでもない]
お金のことは心配しないで。タヨーナでは全然遊ばなかったから、実は結構貯まってるんだ。頭金くらいならすぐ出せるし、今後分割で払えるように、ちょっと給料のいいところに行こうって考えてたから。
それにほら、ダマリくんも言ったように、多分わたしと君は相性がいいんだよ。楽観的過ぎるわたしには、心配性な君がいてくれたほうがいいんだ。
なにより、わたしが、君が君の好きなことをしていくのを、応援したいと思ったんだよ。そのためのお金なんて、喜んで。
……て、手続きについては、また君に手伝ってもらうかもしれないけどね。
[といってこめかみを掻いて笑った。そして、両手を差し出して、あなたの片手を包むように握ろうと手を伸ばし]
これからもずっとよろしくね、ソラリアくん。**
>>125 >>ソラリア
ああ、ソラリアも出迎えありがとう。
[ソラリアにしては歯切れの悪い挨拶のように思えた。
(ビジー状態か?本人の決断を必要とする話に話しかけすぎたか。ならば悪いことをした。)
本人の悩ましさは知ることなくそう考えた。ならば、自分は静観するまで。
本人のことは本人で決める、あなたにはそれができると思っている。]
>>130 >>セイバリー
……初めに言った。
君が話している間に到着したから、聞こえてなかったんだろ。
それより、今は私より彼女と話すべきだ。
[目の前の彼女に視線を移す。
大きめ声での指摘には少し呆れてしまったが。申し出の成り行きを見守るだろう。]
>>123 >>126ディア
[あなたの言葉を。この人魚にしては珍しく、真剣な顔で聞いている。必要とされていた、だろうか。考えたこともなかった。ただ自分はそこに居るのが当たり前で、誰かと接することに何の疑問もなく。飼い主もなく放り出された愛玩動物は、ただ歌って、ただ生きて、それだけだった]
わたし――わたしも、ディアのお歌、すきよ。
ディアのお歌がききたい。ディアといっしょに歌いたい。
だから……、
[だから、の続きは止まる。自分の中に芽生え始めた感情は、まだ上手く言葉として形にすることができない。もどかしげに指先で手元の海水を弾いた。けれど]
[「歌おう」]
――。
うんっ!!
[そうだ。歌おう。自分には歌がある。言葉がなくても、確かな形がなくても、自分の全てを乗せて紡ぎ出せる歌が]
みんなに――とどくかなあ。
とどくといいな!
[友人が準備する機械が、何をどうするものなのかはまだよくわからないが。先程までの戸惑うような表情と打って変わって、わくわくと]
>>131 ライカ
[本来、あってはいけないことなんだろうと思う。悲しむ顔を見て、微かな安堵の火がともるなど。]
[けれど、それでいいと思ったのだ。それに、続くあなたの言葉に、泣き声に、胸が締め付けられても。今は実体を持たぬあなたの涙を、拭う手伝いもできない歯がゆさに震えても。あなたの感情に、再び目頭が熱を帯びても、けして零さずにいられたのは、きっとその安堵の灯のおかげだった。]
[あなたをソコラから連れ出そうとしたあの時のような、ないまぜの、どこか穏やかにも見える表情をして、あなたの言葉の一つ一つに頷いた。疑問符にも答えず、遮らないように、ただ聞き続けた。]
[身を乗り出して、手を伸ばして、輪郭を撫ぜようとする。
言葉にも、涙にも、遠吠えにも、全てに触れて、慰撫するように。
あなたに手が届かなくとも、あなたの感情が出しきられるまで、あなたに向き合い続ける。]
>>134 ニー
[澄んだ水に、鱗をきらめかせる人魚の笑顔。
その向こうに広がる青い海。
もう故郷はなくても、ここにはその先の、まだ見ぬ風景がある。]
連絡するって言ったもんね。
まずは、店長さんとムービーと…あとは2人が連絡先、知ってる人がいれば。元気にしてるよって、メッセージ、送ってもらおう。
勿論、歌も一緒に!それと…
[カメラとマイクを準備して、カタタ、と機材を打つ。身内向けメール用の収録準備に合わせて、星間通信ネットにもチャンネルを合わせ、送り先を選んだ]
配信者フリーのサイトに、ソコラ移住者向けのニュースタグさえつけとけば。
大体、届くはず。ううん。届ける。
(続き)>>134 ニー
[ホロカメラを覗き込めば、碧い海、青い空、蒼い人魚。
マイクを通して聞こえてくるのは、歌声と、波の音。
本当に、こんな風景、独り占めはもったいない。]
…休養宣言の撤回はまだしないけどね?
歌の配信活動くらいは、不定期で続けるのもアリかなって。
[言いながら、入力した配信タイトルは、
「今宵もタヨーNight 星間通信チャンネル番外編!」。]
よっし、撮るよーっ。
[近々、身内向けには、歌付きのビデオレターが。
そして宇宙のあちこちに、人魚と魔女のデュエットが届けられるだろう]
>>135 リスリー
[撫ぜる手が実体のない輪郭をなぞって、感じるわけもないのに、あたかもその手に許されたかのように言葉なき遠吠えをあげた。
仲間を求める犬の声よりも、仲間の死を悼む犬の声よりも、それ以上の思いがごたまぜになった声はコックピットに反響していく。
もしかしたら、空気なき宇宙にもあふれただろうか。あふれて届いて欲しいとばかりに、あなたの手に甘えて吠え声は続いた。]
[だからその声がでなくなった頃には、すっかりまぶたも腫れてしまった気がした。鼻だってこすりすぎて得意の嗅覚も全く鈍ってしまった。
鼻水を大きくすすり上げてから、もう一度顔をぬぐう。
そうしてようやくあなたを見上げて、呆れたように口の端を持ち上げた。]
――……ダメですねえ。
こんな顔じゃ、リスリーに恥ずかしいです。
でも、ありがとう、リスリー。
なんだか、
[その声は、先ほどよりも何もこらえていないような、軽い声だ。]
すっきりしました。
レキシー・アールから抱えてたものを、リスリーが溶かしてくれたみたい。
>>136 >>137ディア
そうだね!
えっと、わたし、送りかたわからないから……おねがい。
[いずれは覚えていきたいな、と思い始めるのは、もう少し先の話だ。今はまだ、あなたが機械をいじるのを海から眺めているだけ]
うん。
歌ってるディアが、いちばん、楽しそうだもん。
これからもいっしょに、歌おうね!
[そして、撮るよと合図がされる]
いいよーっ!
[元気よく返事をして。大きく息を吸い込んで。大空をあおぎ人魚は歌う。名前のない歌。歌詞のない歌。ただ自分の全て、ソコラで養った記憶の全てを叩きつけるような熱を持った――それでいて静かな、思い出の歌を]
[今は燃え尽きたあの場所にさえ、届けと願うように**]
―屋上菜園・朝―
[古びた小さなビルのてっぺん。鏡張りの空の下。蔦が絡まった屋上の柵。並んだ鉢植えに生える草。可憐な白い花が咲く畑。廃材に座る小人族。右肩に留まる機械の小鳥。]
…
どうぞ もう一度 帰っておくれ
青い雲のながれていた日
あの昼の星のちらついていた日……
あの日たち あの日たち 帰っておくれ
僕は 大きくなった 溢れるまでに
僕は かなしみ顫えている
[ムービーの紡ぐ言葉が、ひとつひとつ風に乗っていく。太古の昔にあった青い惑星で書かれたというこの詩を、彼女はときおり慰めに口ずさむことがあった。アンティークグッズである紙の本で読んで以来、詩の甘美な情景は、彼女の心の奥底にずっと潜んでいる。
ふと、彼女の名を呼ぶ声がビルの下から聞こえた。廃材の椅子から立ち上がったムービーが、柵の隙間から地面を覗きこむ。身長が低くて、柵から身を乗り出すことはできないのだ。
見知った顔を視線の先に見出すと、彼女は手を降って呼びかけに答えた。]
はーい。いまいくよー。
[体を回転させて屋上の出口へ向かおうとしたその瞬間、肩に乗っていた機械の小鳥が、ぴぃ、と鳴いた気がして **]
【アレテール中心街・カフェ/昼】
[移住からしばらく経って、仕事にも生活にもようやく馴染んできた。今セイバリーは、カフェなどという馴染みのない場所のオープンテラスに席を取って、サイダーを飲んでいる。]
[以前簡易的に『好きなように緑化できる』などと公言したが。本来、そう簡単なものではないことはきちんと承知していた。
どんなに不毛の土地であっても、荒れ地には荒れ地なりの生態系がある。やたらと緑を増やせばいいという話ではない。
現存の生態系の調査、土壌の検査、水源の確保とその方法……やるべきことは山ほどある。なにより、自分が所属するのは「会社」であって、慈善団体ではない。そこには、厳然たる利益活動の原則がある]
[幸いだったのは、この星を緑化することが、会社に利益をもたらすことだ。合成食品の需要が高く、工場も多く建っている。多くがハナサカ社の大口の顧客だ。この土地で原料となる植物を栽培できれば、輸送コストが大幅に削減される。
しかし、栽培用の実験施設を建てるには、今も競うように工場が増えるこの星の土地代はあまりに膨大だった。
広がる荒野を「農場」として利用できるようになれば、会社としても助かるのだ]
今日の会議……はぁ。気が重いなぁ。
計画が進んでるのが、幸いだけど。
[誤算だったのは、そのための計画を主導するのが「支社」の人たち……すなわち営業部であり企画部であり、研究所にいたのとは違う人種の人たちだったことだ。
そのせいで、研究所のメンバーは月に数度、ぞろぞろとドッグ付近に建つビルの方まで移動して、会議にいそしんでいるのである。
幸い、誰もが望んでこちらに来るような奇特な……やる気のある人物だ(左遷でこの土地を指定されたものは、おおむね他の会社を探してやめていくという)
計画自体は順調に進んでいたが、慣れない仕事に疲弊も多い]
[タブレットに表示された、予定表を閉じて、時間を確認する。そろそろ約束の時間だったはずだが]
[ダマリとは、こちらに来てからというものの、タヨーナにいた頃のようには会えなくなっていた。それも当然だ。人が足りなくてこちらに異動させられると言っていた気がする。
なら、忙しいに決まっているのだ。なによりここは治安が悪い。それを取り締まる側の出番が増えるのは、当たり前の話だろう。
職場が少し離れているのもあるし、互いに筆まめな方でもない。大したやりとりはしていない。時々、食事をとっているかどうか確認がくるが、それも期間が開くときがあった。
きっと、危険な仕事も多いのだろうと思うと、こちらが心配する筋合いもないのだろうが、少し胸に詰まるものがあるのも確かだ。
同じ惑星に住んでいて、友人と言える存在はダマリだけなのだ(同僚は親しくしてくれているが、それと友人とは別である)。
さすがに疎遠になるのもどうかと思って、街の中心部まで出てくる日を狙って、昼食でもどうかと誘ってみたのだが。]
……どんな風の吹きまわしだ、って言われそうだなぁ。
>>138 ライカ
[幾度も幾度も反響する声は、あの透明な窓の向こうへ、微細な振動として通り抜けていく。塵引く岩石達の間を、その振動は渡ったかもしれない。それくらいの間、まるで、今もあなたに実体があるかのように、その手は空ぶることがなかった。]
[全てを吐き出しつくしたような声を聴いて、ようやく心底安心したような顔を浮かべた。]
――よかった。
助けになれたなら何よりだ。
……俺がついてきた中で一番の仕事ができた気がするな?
[今度こそ、言葉通りにすっきりしたようなあなたの声色が嬉しくて、つい口が軽くなった。あなたの輪郭を最後にもうひと撫でして、小さく首を傾げた。]
―ある日のメール―
>>ソラリア
[あなたが人魚に教えたアドレスに、ある日一通のメールが届いた]
ソラリア、ソラリア!ニンフェーアだよ!
メール?って、すごいね。遠くにいても、おはなしできるのね。
[ホログラムに浮かんだ人魚は、青い空と海を背に、ニコニコと笑っている]
わたしは今ね、……ええっと。ヒロイナ・オーキナーってところにいるの。
ソラリアは、海って知ってた?すっごくいっぱい水があって、しょっぱい味がするのよ!
それから、ヤドカリがいるの!
[覚えたての知識を話したくて仕方がないように、ジェスチャーで手を大きく振り回しながらそう言って]
……ソラリアは、げんき?
今はどこにいるの?
ここから遠いところかなあ。
ソラリアとまいしゅう会えなくなって、やっぱりちょっと、さみしい。
でもげんきでいてくれるなら、うれしいなあ。
そうそう。ディアとね、はいしん?っていうの、始めたの。
ソラリアのいるところでも見られたら、見てほしいな。
それでね、いつかね、ソラリアもそこでいっしょに歌おうよ。
あのときのお歌、れんしゅうしておくから!
[……どうも、あなたにも一緒に、動画に出て欲しいらしい。人前に出ることを何の苦にも思わない人魚は、そう軽々と言ってのける]
じゃあ、今回は初めてだし、このへんにしとくね。
またメールするね!ばいばいー!
[そして映像は消えて。最後には、ディアに頼んで付け足して貰った、動画の配信先のアドレスが載っている]
[そしてあなたが返信しようとしまいと、週一くらいのペースで、こんな感じのメールが届くようになった。文通ってたのしいね!**]
―コレコレ・コーイウ・コロニー「ラクリマ」―
[宇宙船AMERIAでの冒険から数年後。
コレコレ・コーイウ・コロニーに改めて新装開店したラクリマは、他のコロニーにいる常連客に加えて現地の客も定着し、修理に商品製作にと忙しい日々を送っていた。フェルムはしみじみ、一人じゃなくてよかったなあと感じていたのだった。]
[今は、ディアから預かった、歌を録音している小鳥のからくりのエールに触れていた。エールは小さな体の中に沢山の繊細なバネやサスペンションが詰まっていて、どれか一個でも接続を間違えば飛べるはずさえない。のだが。
少し前から、ムービーと相談してそれを変えている。強度を調整して、パーツを変えて。それを何度か繰り返して、試しに話しかけて鳴らしてみたときだった。]
……。あれ、今…なっ……た…?
[かすかに音が鳴る。調整するほどに声は大きくなる。
何度か調整したときには、ディアの子供の時らしい声を、エールははっきり喋っていた。覚えてたのよ!と主張するように。
夢かもしれないと思ってスパナを握ったが頭を殴るのはやめておいた。]
…あ、そ、そうだ。モモさん!モモさーん!!!
[ばたばたと工房を飛び出す。]
>>139 ニー
まっかせなさい。
あっ、アタシが喋る時だけマイク持っててくれる?
[こんな些細な共同作業だって、2人でなければ出来ない。それが楽しいし、嬉しかった。操作だってこれからいくらでも教える時間はある。]
どうせ毎日一緒に歌うんだもん、デュオやらない?
アタシもニーの歌が一番好き。
一度ちゃんと録ってみたいんだよね―――
[言いながら、まずは皆に届けるのが先決と、ニンフェーアの歌声にマイクを向ける。
詞の無い歌。
けれどこの歌を聞けば、ソコラが、タヨーナの風景が。ありありと思い出される。故郷の歌だ。
届ける。届いている、ちゃんと。
そのとき。]
[景色の一番向こうに、見えたものがあった。
真昼のあざやかな青い空の上、丸く浮かび上がる、白い影。
コロニーの人工の空には、わざわざ昼には見えなかったもの。
だから、本当にそのとき、初めて気が付いた。
惑星ヒロイナ・オーキナーの衛星。
本物の"月"。
]
、あ。
[パパの好きだった歌。ママの歌っていた。
"月まで羽ばたかせて"
そうか。もう、ここまで来ていた。**]
>>143 リスリー
[あなたの表情の向こうに、小惑星の群れは依然浮かんでいる。
けれどもう、どこか吹っ切れたみたいな表情は曇らなかった。]
――操縦は、あまりお得意ではありませんものね。
[そんな軽口を叩き返せるくらいに。
ひとなでのあとに離れた手を視線だけで追いかける。
視線はすぐに、あなたへと戻った。]
意味なんて、もう、なくていいです。
もうあの人はいないけれど――あの人の願いも、叶えられないけれど、できることはもう、なくなってしまったけれど。
しあわせだったのは、確かですもの。
わたしはそれでもう、充分です。
[待ち続けることは、やめた。届けることは、できなかった。ならば、――あの人が残した軌跡を、つなげていくしかできないと、そう思った。
死してはいれど、意思はここに残っていると、そう信じる以外にないと、そう決めた。]
だから、次はリスリーの番。ですよ。
>>146 フェルム
[その時、ムービーは工房にいる店主の代わりにお店番をしていたのだろう。ちょうど客もいなかったので、ハタキを持って棚のほこりを落としているところだった。清掃用の小さなロボットもこの世には存在するのだが、ムービーの最近のお気に入りはハタキなのだ。
突然大きな声を出した店長に、ムービーはわずかばかり怪訝な顔をする。普段はそこまで大きな声を出す人ではないと思っていたのだが。]
どうしたの、てんちょー。何か爆発でもした?
[ハタキを下ろしてフェルムに向き合い、腰に手を当てる。すこしぶかぶかのエプロンが、地面に裾をくっつけていた。]
>>146>>151
[ラクリマ営業部長。それが新しいカルックスの肩書だ。
ここに来るまでに無茶で違法な改造を施されていたアメリアは、適当に解体と改良を施され、近所のコロニー間を行き来する中距離宇宙船として運航している。
そしてコロニー間の荷物の運搬と、向かったコロニーでの実演販売。ついでに軽い修理をその場で。難しければ『里帰り』させて修理を。それが今のカルックスの仕事だ。
アレアレ・ナ・マエーデンコロニーから帰ってきたカルックスは、やたらとラクリマがにぎわっていることに気付いた。
ただ、様子がおかしいのが、聞こえる声が二人。それも普段あまり大声を出さない、フェルムとムービーの声だからだ。]
ただいまー。なんだよなんか賑やかい……どぅわっ!?
[興奮した二人に詰められるまであと5秒]
―ある日のメール・2―
>>フェルム >>ムービー
[ディアのアドレスから、メールが届く]
フェルム!ムービー!ニンフェーアだよ!
ふたりとも、げんき?わたしはげんき!
ディアから聞いてるかな。ヒロイナ・オーキナーってところにいるの。
おおきな海があってね、波があってね……
そうそう!フェルムからもらったこの子!
波にくぐらせたら、ちょっと変わった声で歌うの!
こんどまた、ちゃんとろくおん?して、聞かせるね!
[ソコラを発つ前に、貰ったからくりを手にして、人魚は嬉しそうに近況を報告する]
……ソコラにいるうちに、もっとおはなししたかったな。
もっとはやく、出会えてたらよかったな。
たまに、そう思うの。
でも今、こうやってメールでおはなしできるから、それはすごくうれしい!
あっそうだ、ディアとわたしのどうが、見てくれた?
わたしたちのお歌、きこえたかなあ。
みんなのこと考えながら、歌ったんだよ!
[どことなく誇らしげな、笑顔]
おともだちになれたんだから、またいつか、会いたいなあ。
またメールもするからね。ディアといっしょに!
それじゃあ、またねー!
[ばいばいー、と両手を振る映像があって。少ししてから、「次はディアの番だよ」と、傍らの友人を促す。共通の知人へと、二人で一緒に送っているメールなのだった**]
>>151 ムービー
[ドアの縁に足をつっかけて、ふらついても、まさかエールを取り落すようなことはしない。ムービーが店先で掃除をする光景にも慣れているが、はたきを使い始めた頃は見かけるたびに、ムービーの背の高さとはたきの相性の悪さについて思いをはせたが、わざわざ口に出したことはない。エプロンも同様である。]
爆発音なんて、しなかった、でしょ![またからかって!と軽い抗議をしたものの。]
あ、そ、そうだ!モモさん、エールが…エールが喋ったよ!!
この間、言ってた、パーツの接続をちょっと変える、ってやつ。
…元通りにすれば直る、って思いこんでたけど…それじゃ、どうしようも、なかったんだね。エールに合わせて、変えなきゃ、だったんだ。
[エールをよく見せようと、止まり木に止まらせる。エールは「またからかって!」と繰り返している。]
【アレテール中心街・カフェ/昼】
[寝付く前に思いふける暇もなく眠り、起きて仕事に行く。
そのルーチンを繰り返していた。 ]
[大通りの煌びやかなビルから汚水の溜まった裏路地まで走り回った。
立場上たびたび罵倒されたが、時々だが感謝の言葉も貰った。
職員に対してとかく数が多すぎる。
ソコラでは待機時間もあり休憩も時間通りに取れたものだが。
人員が足りないと言われていたのも納得できた。恐らくまともにこなそうとすれば純人間の体力では追いつかない。
実際同僚には自分のような特異な種族が多いようだった。元々人付き合いは淡白であったが、同僚には同じくソコラ出身の者もいたし悪い環境ではなかった。
慣れない仕事が続き疲労はあった。
忙しい日々をこなすのは性に合っていた。]
>>159
[友人と会う暇はあまりない、隙を作った。
定期的に見に行かないと落ち着かなかった。
勤め先は都会の比較的安全な場所とはいえ、彼のぽやぽや歩いてる姿を見るとこの土地で無事に生きていけるのか心配になるものだった。
だが自分が口うるさく言える立場にいれるほどちゃんとした生活を送れていない自覚もあった。
まだ移住したばかりであるし、部屋には片付いていない荷物もあるし、飯のバランスを考慮する時間もなかなか取れなかった。
これは改善していかなくてはならない。
なので言い方は(本人としては)自戒を込めて言っていた。]
[そう過ごしているうちに休暇がようやく取れた。
いつもより長く睡眠を取った後乾いた空気の中約束の場所へ向かった。
その表情はやや固めであった。]
>>153 カルックス
カルックスー!!おかえりー!!
[仕事から戻ってきたカルックスに飛びつき]
エール!喋ったん、だよ!
さっき、ディアさんの歌も、歌った!
[いつもなら、宣伝に行った先のお客さんの反応やら、修理の詳細やら聞きたがるのだが、今はそんなことは二の次らしい。
なにせ、エールはフェルムがあれほど悩んでいたからくりを続ける要因になったもので。思い入れはひとしおだった]
―ヒロイナ・オーキナー 夜―
[家近くの桟橋に腰掛けて。人魚は静かに夜空を見ていた。散らばる星々の真ん中に、満月が白く浮かんでいる]
[ソコラは。この人魚の故郷は。どちらの方向にあっただろう。そんなことをとりとめもなく考えてみても、もはやわかるはずもない]
[コロニーの消失は、人魚から変わらぬ明日を奪い去った。変わらぬ明日の消失は、人魚に新しい生き方を与えた。――人工人魚。人に生み出された、人に愛されるための歪ないのち。ある研究者のメアリー・スーのひとりに過ぎなかった彼女は、今やその理想の枠を離れようとしている]
[人魚にとって、ソコラは、母なる海であった。そこに抱かれている間は、ただ、微睡むように揺らめいていれば良かった]
[そして――ソコラを失った人魚は、その瞬間に、世界に「生まれ落ちた」のだ]
[恋い焦がれた王子はいない。足を与えてくれる魔女もいない。それでも海を追われた人魚は、己の足で、歩く術を知らねばならない。それがどれほど、痛みを伴ったとしても]
[――彼女は歌う。変わりゆくものと、変わらないものを、ひとつに束ね抱きしめる]
[彼女はもはや「人魚」ではなく。ただひとりの「ニンフェーア」]
[夜の海辺に、透き通った歌声が、産声のように響いていた**]
月下35°24′S,44°0′Wより分岐せるアルマは飛翔の時を迎えていた。
D686世代のアルマは、己の最期の姿について思う。
月下35°24′S,44°0′Wにて株分けされたアルマの個体記憶には一つだけヒトの肉体情報が存在する。それはアルマをアルマとして分岐させた記憶であり、アルマが人間社会で生活するための鋳型である。だが、当代に続く少なくとも数十世代は、彼らの生涯のうちに二足歩行型の姿を構築する機会を持たない筈だった。
コロニーから退避した船――"珪素屋敷"と呼ばれていた船の外壁に体を張り付けて、アルマ=D686は肉体制御を開始した。四肢一瞬でほどけて"珪素屋敷"に浸透する。発信された固有正弦波が、眠っていた組織を次々に開放する。"珪素屋敷"は、今この時より、アルマの宿る星系間宇宙船として変生する。
アルマの固体化された種族記憶が宝珠として露わになり、瞬時に複層構造化した外殻に覆われる。左右に外骨格として突き出した角が分岐し、双翼の形に進展した。翼の中ほどには、イオン式の飛翔器が構築される。
記録機器や観測機器、生活の品々を封じたバイタルエリアを心臓のように抱き、アルマは"珪素屋敷"と完全に一体化する。
この全工程を完了するために、アルマ=D686の寿命のおよそ六割ほどの時間が費やされた。
月下35°24′S,44°0′Wより分岐せるアルマはイオンの青い吐息を双翼から噴き出して、惑星のスイングバイ軌道に入る。惑星重力を利用して加速した後は、ソンアタリー星系、辺境の鉱物惑星に満ちた一帯へと向かう、というのが固体記憶に蓄積されたアルマたちの判断だった。
ソコラで彼らが過ごした莫大な生の時間は、アルマの負う無数の種族記憶の中に埋もれ、保たれる。宇宙の孤独な飛翔に倦んだ未来の世代が、いつか娯楽として引き出すこともあるのかもしれないし、誰の検索が伸びることもなく、記憶容量を占め続けるだけかもしれない。アルマがいつか真の意味で朽ちるその時まで。
眼下、惑星にアルマは僅かな光を目視した。
コロニーの一部が既に突入しているのだろう。葬儀の光としてその光景を観測し、恐らくはそれを己の生の中の最大の成果として思い留めながら、月下35°24′S,44°0′Wより分岐せるアルマ=D686は、無の充ちる空を飛翔した。
>>157 フェルム
それくらいの興奮だったみたいだから……。
[バイトをしていた頃とは違う。もう数年の付き合いだ。軽口の応酬も飽きるほどやっただろう。さほど慌てもせず、ハタキを近くの棚においてぶかぶかのエプロンを外しはじめる。
しかし続いた言葉に、ムービーはエプロンを畳むことも忘れたまま、目を見開いて固まってしまったのだった。]
え
えええーーーーーー!!!!
[小さなムービーの口から、フェルムと同等の、もしくはそれ以上の大声が出る。ずっと信じられないような顔をしていたが、フェルムが止まり木に留まらせたエールを見ると、口をしばらくぱくぱくさせて]
ほんとに ほんとに じゃあ
私の夢、本当に、
>>157 フェルム
>>153 カルックス
[カルックスが帰ってきたのは、ちょうどこのタイミングではなかっただろうか。ムービーは止まり木のエールをずっと見つめて、カルックスの存在に気づいていなかった。]
[ムービーの体が小刻みに震える。何も言えないとでも言うように首が振られる。]
……てんちょーっ!
[その頃ちょうどカルックスの傍にいたフェルムに(>>161)、ムービーは抱きつこうとした。そこでようやくカルックスの存在に気づいたらしい。潤んだ目で彼を見ると、やっぱり]
……ししょーっ!
[抱きつこうとした。特にふたりが振り解こうとしなければ、そのまままとめてぎゅーっとしがみついていたことだろう。]
[案の定、あなたの第一声はいぶかしむような声音である。丁度飲んでいたサイダーをストローでずずと啜って、はは、と困ったような笑みを浮かべた]
どうしたって、うん……いや、うん、特にはうん、ホント何もないんだけど。
友達と食事するのに理由がいるかな?
[こちらも人を誘ってどうこうというのは全く慣れておらず、選んだ店もソコラにもあったようなチェーンのカフェである。あなたにメニューを差し出しながら、どう話をつづけたものかと思案する]
あんまり会えてないなーと思って、連絡も少ないし。
どう?最近。ここ、治安悪いから、怪我とかしてないか、ちょっと気になって。いや、わたしが心配するようなことじゃないかもなんだけど。
>>158 ライカ
[あなたとの距離が急速に近づいて、瞬間、硬直していたのは確かだ。胸が高鳴ったのを、あなたの敏感な耳が捉えてませんように。そんな、妙な矜持じみた思考が巡った。……頬をすりつける仕草に至って、おそらく何か、違うものであると理解した。胸の高鳴りが聞こえてなければいいと、今度は心の底から思った。]
……それは、半分だな。
ライカが行きたいところに、俺も行きたくなったからついていったんだ。だから、もしライカが……例えば、次はムービーのところに行きたかったとしたら、そうしていいんだぞ。
……それでも来てくれるっていうなら、嬉しいけどね。
ただ、次ってなると、なあ……。
[頭を掻く。思えば、移住先すら決めてない頃に、この場所を目指すことにしたのだ。]
……とりあえず、仕事が貰えるとこでも目指す、ってことになるかな。
全っっ然夢のない行き先なのが情けないけど。
立て替えて貰ったこの船のこともあるしな。
ライカが来てくれるっていうなら、もっとこう、星でも巡って旅行がてら現実逃避、とやりたいところなんだけど。
[さすがに買い物が大きい。堂々と踏み倒すことなど、とてもできない一般人の精神構造だった。]
>>168 ムービー
[抱きついてきたムービーを、年の離れた妹を迎えるような姿勢で受け止めた。震えを抑えようとするように、ぎゅうと抱きしめる。]
やったよーー!!やったよ、モモさんー!!
モモさんの、おかげ!たくさん、アイデアやアドバイス、くれたから!
[自分もカルックスに抱きつきに行っていたので何の問題もなかった。ぎゅっぎゅ!
興奮がほんの少し落ち着けば、ぜーぜー深呼吸(?)しながら]
ディアさんに…そうだ…連絡しなきゃ…!
きっと、よろこんでくれるね。録音、壊れてなきゃいいけど…!
>>170
は?
[だいぶ気の抜けた声がでてしまった。自分でもこんな声が出るのかと少し驚いた。]
いや……友人ならば理由はいらない、一般的にはな。君がそういう誘いをすることに驚いた。
[何もないならなによりではないか、そう持ち直そうとした。
誤魔化すようにメニューから適当にブランチになりそうなものを探す。
一通りペラペラとめくってみたものの合成サンドウィッチとコーヒーセットでいいか、と結局選びがちなメニューに落ち着いた。
店員を呼べばあなたの分まで注文を伝えただろう。]
そうだな、最近はメールも送ってなかったな。
どう?と言われても仕事の詳細内容を話すわけにもいかない。まあ忙しいな。[ぴしゃりと。]
怪我……
[思案しているうちに首筋に貼られたテープに意識がいっただろうか。思い出しているかのように首を少し傾げた。
ひったくり犯を確保する際についたものだ。
頭部を狙われたときのもの。幸い狙いは外れかすり傷で済んだのだが。]
多少はある。だが、どれも大したことはない。
>>172 フェルム
[姉のような役割をしたこともあったかもしれない。それでもこの時だけは、見た目通りの子供のように、服の裾をぎゅうと握って、いつまでも離れようとしなかった。]
私なんて、私なんて、本当に、口先だけで。
でも、嬉しい。てんちょーがそう言ってくれると……嬉しい。
ありがとう、てんちょ。ありがとう……。
[同じ言葉ばかりを繰り返しているムービーは、まるで片言になってしまったようだった。歓喜の頂点が、しばらく続いた。]
……そうだね。早く連絡しないと。
ディアさんの、大切な友達の病気、治せたよって……。
……ああ、だめだ。本当はこういうこと、私が先に気づかなきゃいけないのに。胸がいっぱいで、何も考えられないよ……。
[泣き笑いに近い、それでも満開の笑顔を、ムービーはその顔に咲かせる。]
>>171 リスリー
[頬をすりつけてから、至近距離で満面の笑みを浮かべた。尻尾もぱたぱたと揺れていて、真意はわかりやすいだろう。]
ありがとうございます。でも、……
リスリーの行くところに、わたしは行きたいのですよ。
……とはいっても、
[少し身を戻して、頬に指を当てた。涙のあとを撫でて、首を傾げる。]
ビクトリアに借りっぱなしと言うのも、悪いですし。
ムービーのところにも、カルックスにもお礼を言いに行きたいですけれど、ビクトリアへの通信がいつも借金残額の報告になるのは切ないですね。
[仕事がもらえるとこでも、そんな言葉に頷いた。]
リスリーのお仕事、星規模でやれたらいいのですけど。そういうお仕事って、ないのでしょうか……。コパイロットの仕事なら、わたしもお手伝いできますし。
[思案げに傾げていた首を戻して、まあ、と気持ちを切り替えるように笑みを浮かべた。]
まずは、コ・スパイーヨに行ってみましょうか。
>>173
わたしも自分で驚いてるよ。でも最近は、仕事の人とそうやって食事するのも覚えてきたから、いいかなって
[わたしホットケーキがいいなぁと呟いた。食事を食べるだけましだが、栄養のことは案の定考えていない]
内容はうん、そういう仕事だもんね。多分わたし聞いてもよくわかんないと思うし。忙しいんだろうねぇ。あまり顔見せないもの。ちゃんと寝ないと駄目だよ。
[それから、あなたが何でもないことのように告げる怪我の、その位置に目を丸くする]
首、じゃないか。……ダマリくん、種族は違うとはいえ、そこを怪我したら死んじゃうって、それはヒトと同じだよね。
[しばし、深刻な顔をして押し黙る。そうこうしているうちに、頼んだメニューが届くかもしれない。
しかし、それには手を出さず、思いのほか真面目な顔つきで、話を切り出した]
……実は、考えていたことがあって。いつ話そうかなと思ってたんだけど。
そんな怪我をするなら、やっぱり今、言っておくべきだと思った。
>>178 つづき
[今日はそんな話をするつもりは、あまりなかった。ただ話して、食事でもできればと、本当にそれだけ考えていたが。
いつもは数秒と持たない、真面目な顔つきのままあなたを見て]
ダマリくん、友達だって言ってくれたけど。友達だと、君が大きな怪我をしても、わたしには駆けつける資格もないんだよ。
もしも……嫌だけれど、もしものことがあったとき、わたしはそれを、何で知ることになると思う。
……こんな言い方しかできなくて悪いけれど。
わたしは、君に何かあった時の、緊急連絡先になりたいと、そう言ったら、伝わるかな。
さすがに、すぐに返事してくれとは言わない、考えてからでいいから。
>>176 ライカ
[真意はどうあれ、そんな無防備にされても、と思わなくもなかった。しかしあなたは幽体で、それが証拠に身体の向こうの尻尾が見えていて……まあ、そういうことだった。ひとつ、咳払いをした。]
……、いざそう言ってもらえると、
想像よりずっと嬉しいもんだなあ。
ありがとうライカ。
[とはいっても、である。]
その内メッセージを見るのが怖くなりそうだ。
……星規模、星規模なあ。たしかにこれだけの船と、ライカがいてくれるなら……いや、スケールが大きすぎないか?
俺、街のしがない札(タグ)付けだったんだぞ。
[すっかりぼやき混じりになった返事は、あなたの笑みで断ち切られる。]
そうしようか。
あそこは賑わっていたし、何を探すにしても便利そうだった。
>>174 ムービー
何、言ってるの。謙遜なんて、いーよ。仲間でしょ。
僕も、ありがとう、モモさん。
[どきどき鳴っている心臓をなだめながら、ディアにひとまずの報告をするためのメッセージファイルを作る。
…というのは建て前で、興奮していたとはいえ、思わずムービーを思い切り抱きしめた感触に脳みそがふわふわしきっていた。]
チェック項目、多いから。とりあえず、になっちゃうけど、ね。
[ディアさんには申し訳なかったけれど、エールには願掛けをしていた。きっと直ったらうまくいく、と念じながら、爪先より小さいパーツと格闘してきた。
しかしいざ、こうやって直られてしまうと、怖気づいてしまうわけで。結局逃げてただけなんじゃないかという感じがする。
正直、カルックスが帰ってきてくれてめちゃくちゃ安心していた。]
>>181
[ムービーの泣き笑いの笑顔を盗み見て、胸があたたかくなる。]
じゃあ、録音、調べてみよっか。えっと。
[エールを撫でてスイッチを探ると、エールは戸惑いもせずにしゃべりだした。
フェルムの声で。]
『あの、モモさん。
エールが、直ったら。言おうと、思ってたことが、あって。
[数拍。]
僕、あなたのことが、好きです。
店をやめるだなんて、情けないことを、言ってた僕に。しあわせになってほしい、なんて、言ってくれたこと。昨日のこと、みたいに。思い出せます。
ずっと、そばにいてくれる人を、僕が選べるんなら。
モモさん以外考えられなくて。
>>182
もし、いやじゃなかったら、僕と、けっ…けっk…え、えと…あー、だめだ、うまく、言えないや…』
[練習が録音されてたらしい。エールは、次はなにを喋るんですか、という顔でフェルムたちを見つめている。]
わ゛ーーーーーーーー!!!!
[上げたこともないような叫び声をあげてエールをひったくり、工房に駆けこんでた。]
>>180 リスリー
[咳払いに首を傾げれど、]
どういたしまして。
わたしも、リスリーが一緒に来てくれたのが、とっても嬉しかったですよ。リスリーも来たかった、と言ってくれたのは、もっと嬉しかった。
だから、そんなリスリーが行くところに、わたしも行きたいのです。
そういうことです。
……今更、置いてけぼりは嫌ですよ。
[三日に一度はメッセージを送ると言いましたし、なんて肩をすくめる。]
わたしなんて、ただの幽霊ですよ。
大丈夫です! なんとかなりますよ。
どんなお仕事でも、わたしも頑張りますから。
[最後にもう一度、涙のあとをこすってから、コパイロットシートへと身を戻す。]
それじゃあ――座標を設定しても?
>>183
[ふたりの喜びようにもみくちゃになっていたが、やったじゃんよかったじゃんと心から祝福することができた。
今三人でわちゃわちゃしていられるのも、つまるところエールのおかげなのだから]
[だからまあ、エールが新しい恋のキューピットになった瞬間も、カルックスは笑っていられた]
……俺、一応空気読むタイプだから
[ムービーの背中をバンと押して、そのうちひとりになったなら。
エールにやるじゃねえかと軽く小突いて見せるつもりだ。
からくりだって、そのうち心を宿すだろうから*]
>>187
[ずばりと言われて鼻白むくらいの情緒は持ち合わせている。ちょっとばかり後ろに仰け反った。でも、そのくらいの反応で、こちらとしてもありがたかった。ゆっくりと、深く、頷く。]
そういうことになる。
……案外驚かないんだね?わたしがこういうこと言いだしても。
[世間で言うところの恋愛とやらではないと自分でも分かっている。もとよりそんなものを、男であれ女であれ抱いたことはないし、目の前の友人が性別を持たないから、無性別者や他種族が好きだったのかと言われると答えは否だ。
ただ、実家とろくな繋がりももたず、ソラリアに頼りながら生活していた自分とまともな関わりを持ち続けていたあなたとの繋がりが、ただ友人という寄る辺ないものであるのが、なんとなく嫌だったと、それだけなのだ。]
>>183 >>186 フェルム カルックス
[フェルムがエールにどんな願掛けをしたか、なんてことはつゆ知らず、ムービーは安心しきった顔で、目尻に浮かんでいた涙を指でぬぐっていた。ししょーのおかげでもあるんだからね、とカルックスの肩を揺さぶったりもしていた。]
……それ、私の鼻歌も録音されてるかも。もし聞いちゃっても笑わないでよ。
[まだ胸は抑えていたが、そんな軽口を叩けるくらいに、ムービーは落ち着きを取り戻していた。だからこそ、エールが愛の言葉を囁いた時の、ムービーの顔と言ったら――]
ばっ
[カルックスにバンと背中を押される。ムービーは、また昔のようにカルックスを睨みつけると、その視線をそのまま工房へ向け]
ばっ
[工房に駆け寄って大声を上げた。]
ばかじゃないのーーーーーーー!!!!
>>フェルム
あのねてんちょ、小人族は普通、人間と結婚しないんだよ! こっちの寿命はあと30年くらいしかないの! いくら異種族婚が普通の時代だからって、寿命が違う相手と添い遂げる覚悟、ほんとにあるの!
[工房でまくし立てるように言ったのは、そんな怒りの言葉である。]
>>184 ライカ
[告げられた言葉が嬉しくて、こそばゆくて、頬を掻いた。]
途中で置いて行くのはなし、だもんな。
安心して欲しい。本当のところ、ライカ自身に頼まれたって置いて行きたくないくらいだから。
[言い終えたところで、照れくささが襲ってきた。それを隠すようにポケットの中を探る。今度は箱を手中に収める。]
今は優秀な副操縦士の幽霊、だな。
……うん、頑張るか。
できることをできる限りやっていこう。……二人で。
[あなたが身を戻したのを見届けて、パイロットシートに座り直す。無燃無煙式の電子タバコは、宇宙航行に影響を与えない為に作られたのだ。だから、こんな時にでも咥えることができる。]
うん、よろしく、ライカ。
>>186 カルックス
[カルックスがこうして、ラクリマを拠点にして仕事をしてくれているなんて、ソコラにいた頃は考えられないことだった。それもこれも、エールがみんなつなげてくれたのだとすれば、今ここでまたもう一仕事しようと鳥肌脱いでくれたことになる。]
>>189 >>190 ムービー
[そのエールを両手で抱えて工房の仮眠用のハンモック(ソコラで使ってたものと同じお気に入り)に半身ダイブしていた。ばかじゃないの!と声がかかる。]
うわああごめんなさい、ごめんなさい![久しく言っていなかった連発ごめんなさいであった。]
ちっ、ちが、ちがうの、もっと、その、あの…ちゃんと言おうって…!!
…え?
[ムービーの言葉に、思わず目をみはる。寿命?30年?
唇を少ししめらせて、口を開いた。]
長いとか、短いとか。関係ないよ。僕は、その、モモさんと一緒に、居たいだけ。いや、いてほしい…のかな。
一日だけだって、言われても。僕は、モモさんと一緒が、いいよ。
[相手の怒りをあまり理解していない顔だ。]
>>191 リスリー
よかった。
では、ずっと一緒ですね。
[嬉しい、と笑ってから、一瞬だけ表情が薄くなって、すぐに目を細める。]
もしかしたら、わたしはソコラと一緒に消えてしまっても、それはそれで幸せだったかも知れません。何にも知らないままって、結構幸せですもの。
――でも、リスリーはわたしと一緒に来てくれて。
もしかしたら、あの船に乗っていた"クドリャフカ"は、今、とっても不幸だわって嘆いているのかも。嬉しいことで、悲しいことは上書きできませんもの。
だけど、一緒に来てくれて、一緒に悲しんでくれて……一緒に行くのが嬉しいと、そう言ってくれて。置いていきたくない、なんて言ってくれて。二人で、って。
……わたしは、今とってもしあわせだなあって……思いましたよ。
>>193続き
[コパイロットシートへ身を沈める。少し沈みすぎたのは、胸中の言葉を形にするのに忙しかったからだ。]
結論が遅くてごめんなさい。わたしもまだ、まとまっていなくて。
ええと……リスリー。
しあわせのきっかけも、不幸のきっかけも、あなたに始まっていて……
わたしは、それを嬉しいと思っていて。
リスリーにとっての、そんな位置に、わたしもなれればいいと思っていて……
[座標の設定を忘れたかのように言葉は続いていたけれど、結論の言葉が見つからない。「それだけ。」なんて、苦笑めいた言葉で一度口を閉じた。
思い出したかのように、音声入力で目的地を入力。]
>>188
[あなたの動きを見ればさすがに驚いていることは分かった。こちらは先ほどと変わらない体制で座ったまま続けた。]
この食事の誘い自体のほうが驚いたな。
こちらも君と登録することは以前から考えていた。
まあ、落としどころだろうよ。
[あなたが自分が恋愛感情を持たぬ存在だとは分かっているはずだ。そして目の前相手がそういう感情を元に交流を持っているわけでないことも感じられていた。恋愛結婚主義を続ける人間の割りに奇妙だとは思っていたが、セイバリーという個体が特別変なのだろう。
戸籍上の表記が変わるだけで、別段今と関係性が変わることもないだろう。
自分が死亡した際に一度見たきりの甥や姪に引き取られるよりは、あなたに手続きをやってもらった方が良い。
ただ自分は種族としても一人働いてそのうち一人死ぬ。そのように一生を送るだろうと思っていたので、自分以外の誰かと生きることは予定外のようでどこかむずがゆくはあった。だがこの気持ちは無意識下のものであって表に出るほどではなく。
あなたの言うとおり連絡先があればお互いもしものときにも備えられる。手続きは面倒かもしれないがやる価値はあるだろう。]
>>192 フェルム
[ここの工房室もソコラと同じように暗いのだろうか。それでも慣れた足取りでハンモックに近づくと、感情のやり場がないようにハンモックをつかんで揺らしていた。]
どうして、よりによって、こんな時かなあ……!
かるぼ、ししょーにも見られちゃったし、ディアさんにもこれ聞かれちゃうじゃん……!
[ゆさゆさ。かあっと赤くなった顔を、相手に見られないと良いのだが。
続く言葉には、思わず目をそらしてしまった。誰もいない壁に向かって、ムービーは独りごちる。]
……どうしてそういうこと、何の恥ずかしげもなく言えるの。逆に、何も言えない私がばかみたいじゃん……。
[やがて、また気を取り直したようにフェルムを見つめ直すと、再びはっきりした声で]
てんちょには、もっといい人、いるよ。……私じゃ、もったいないくらいだよ。私は、ただの店員でも十分だから……。
>>195 >>196
[即決。まさかの。椅子からぴょんと体が浮いたような気がする。]
い、いぜんから。おとしどころ[なぜか復唱した]
そっか、うん。わたしでいいならいいんだ。
[何度かうんうんと頷いた。正直、書類の上のことで、関係性を変えようとは思っていなかったのだが、とはいえどう受け取られるか不安がなかったわけではないのだ。]
そしたら、ええと……どこに届け出ればいいのかなぁ。管理局……?全然調べてなかった……やったことないし。
あ、あと。ソラリアくんの緊急時代理マスター登録もしておきたいな。わたしに万一があるとはそうそう思えないけど、何かあった時便利だし、ソラリアくんも君なら安心だと思うし。……それ以前に、話さないと。
[無計画に話し始めてしまったことを少しだけ後悔したが、まぁ、いつものことだ。きっと快く対応してくれると信じたい。]
う、待って。ダマリくん食べるの早い……。
急ぎじゃないなら、もう少し話そうよー。
[もそもそとホットケーキを口に詰め込んで。忙しい街の片隅で、あまりにも淡々とした、しかし彼ららしい約束が結ばれたのであった**]
>>197 ムービー
[ソコラの工房は特別性だった。保存用の倉庫も兼ねていたので、素材の劣化を避けるためのものだから。こちらはそこまでは暗くはない。けれどまあ、薄暗いほうではある。
ハンモックはフェルムをのせたままゆらんゆらんと揺れた。]
だっ…だっ…だって、録音できてるとは思わなくって…忘れてたとも、言うけど…ふええ。
あの、二人にはなんとか、ごまかして…
[まだ暗い工房に目が鳴れていなくて、ムービーの顔に気を配れはしなかったけれど。こちらはリンゴもはだしで逃げ出す真っ赤さだった。]
モモさん、ぼく、モモさんよりいい人、しらないよ。
明るくて働き者で。…かわいく、て。僕、モモさんといると、幸せなんだ。
どうしても、だめ、かな?
[エールが「だめかな?」「だめかな?」と繰り返し始めたので、ついまた真っ赤になって]
>>199 フェルム
[フェルムの言葉ひとつひとつに、ぱちくりと、目を瞬かせる。ハンモックを揺らす手は、いつの間にか止まっていた。「幸せなんだ」で一度、耐えきれなくなったように一度目を閉じると、またゆっくりと開けて]
……キス。
[ぷいと、すねたように横を向く。]
そこまで言うなら、ほっぺたにキスくらいしてよ。
[エールが「キース! キース」とはやしたてるように繰り返す。このからくり、生きてるのでは……?]
>>193 >>194 ライカ
……あれは。あれは、俺が耐えられなかったんだよ。
だから、そうだとしたら……悪いことをしてしまったけど。
不幸にした分の責任だって、取れる限り取らせて欲しいと……思う。
……しあわせだって、まだまだあげたいし。さ。
[パイロットシートに座ってからは、前を向いたままだ。話の間、あなたの方を振り返らず、電子タバコのインジケータがくんくんと揺れていた。]
……。なってるよ。
不幸の方だけは、当てはまらないけど。
[高精度の音声認識にすら届かないほど小さな声。前を向きっぱなしだったために、あなたに届いたかは知れない。入力された目的地を確認、各種機能をアクティブに。エンジンの出力を上げる。]
よし。行くか!
>>198
[何故復唱した……?とツッコむよりはコーヒーを飲むことを優先した。]
私は構わない。君がそこまで望んでいることは知らなかったがね。
[いつか手続きの方法を調べてから記入データと共に伝えようと思っていたが、先に言われてしまったか。そのくらいにしか思っていなかった。恐らくはあなたに嫌われる想定は余りしていない。]
私も詳しくは知らない。だから管理局に行って調べるぞ。
マスター登録、そうだな……ついでに調べておくべきか。それも調べものに追加だ。
ソラリアにも意思の確認すべきか。今日君の家に行けるか?
今日中に目処を付けないとだいぶ先になるかもしれん。次の休みがすぐ取れる確証はない。
[まくしたてるように予定について話し続ける。休日出勤はよくあることなもので、たまに休暇があると予定を詰めてしまう。よくあることなのだ。]
君が遅い。
話したいことがあれば道中で話せばいい。どうせ時間がかかる。
[元々食べるのはあなたより早かったか。荷物をまとめ支払いの準備も終えていた。
しかし向かいの相手が食べ終わるのをただ待つのはとても退屈だったので、仕方なく普段の様子でも聞いてみたんだろう。**]
>>201 リスリー
……ありがとうございます。
リスリー、一緒にいてくれるだけで、わたしはとってもしあわせですよ。
嬉しいことで悲しいことが上書きできないように、悲しいことだって、嬉しくって幸せな気持ちを上書きなんてできないのですよ。
だけど、……
[あなたは前を向いたままだ。
だからこちらの表情が、言葉が転がり出たことにパッと表情を輝かせたことは気づかなかっただろう。
揺れる電子タバコのリズムよりももっと弾んだ声。]
リスリー、そう、わたしはあなたが大好きってことです!
[パイロットシートで尻尾を揺らし、たどり着いた言葉に得意げに手を合わせた。その言葉が、あなたの小さな声を受けてのものかどうか、知るものはこの場にいないかもしれない――大差はない。
巻き上がるエンジン音に、モニターへと視線を落とす。]
>>203 >>204 ライカ
[あなたの弾んだ声に電子タバコがピンと跳ねて、それ以降、しばらく経つまで静止していた。]
[シートが逆でなくて良かったと思う。あなたが前なら、きっとこちらを振り向きながらそう言って、すっかり赤くなった頬も、緩み切りそうな顔面を、なんとか口元だけ引き結んでいるような、滑稽極まりない表情も、全部見られていただろうから。]
[俺も、だなんて応答を、エンジン音が掻き消した。掻き消されてしまうように言った。あなたの音声入力が、滞りなく作業を進めていく。
この船の記憶に、かの隕石群が飲み込まれる。指先が、小さく動いた。ハンドヘルドタブレットに記録する時の動作。栞を滑り込ませるかのような、短いフリック。それは、この船の操作においては、意味をなさない動きであるのだが。]
>>200 ムービー
[なんだか、自分にしては上手く言えている気がする。そう、一人で考えたとき。]
…へ?え。だ、だって、…
[差し出された頬に、一瞬、思考が追いつかなかったけれど。
出てきた汗をぬぐって、生唾を呑み込んで。そっと唇を寄せた。]
…こ、こんなのでいいの、かな…
[おどおどと、すぐにそう聞く口調はロマンチックさからはいまいちかけ離れていて。エールもさすがにカバーしきれないという仕草でそっぽを向いたのだった。**]
カたコとカたン フェルムは、ビームが出せる ムービー・モモうっかり寝落ちしましてすみません、お待たせしました…!これにて〆とさせていただきます、お疲れ様です!
>>209続き
5、4、3、
(わたしはあなたのことを忘れてしまったけれど、あなたがわたしをソコラに行かせてくれなかったら、今のわたしはいないから――……)
[パイロットシートに収まった背中。電子タバコのインジケータはエンジンの振動の中、かすかに揺れている。
"一緒に"なんて言葉を思い出せば、鼓動なき胸が暖かくなるような気がした。]
(わたしは、しあわせでいます。みんながいて、そばにリスリーがいてくれる。しあわせにしてくれる。わたしも、彼をしあわせにしたい。そう思えることも、とってもしあわせです。
……あなたの軌跡が、ひとつしあわせに繋がっていると、信じたい。)
(だから、)
>>207 フェルム
[その時、ムービーはぎゅっと目をつむっていた。やがて顔と顔が離れると、フェルムが言ったセリフにふっと口元を緩めて]
もう。こんな時はなんだっていいんだよ。
[と、甘い微笑みを浮べていた。そのまま、何かの魔法が解けたように、ムービーはぽつりぽつりとつぶやきはじめる。]
……私も、てんちょと一緒にいると幸せだよ。落ち着くし、話も合うし、大切にしているものが似ているし……。ううん、やっぱりてんちょみたいにはうまく話せないね。
[頬を染めたままのムービーは、はにかむように笑った。]
私も、あなたのそばにいたいの。ずっと、ずーっと。
エールが直っても、お店が潰れちゃっても、私がおばあちゃんになっても。
だって、私……。
[ムービーは肩の力を抜くと、フェルムに悪戯っぽい視線を投げた。]
あなたのお祖父さんも言ってたんでしょ。フェルムは思いこみが激しいから、誰かが一緒にいないとって。私がそばにいるよ。
――ふたりで、幸せになろう。フェルム。
―いつか、ムービーの端末に届いたメッセージ―
[そのメッセージはいつかのようなホロではなく、テキストメッセージ。理由をあなたは知らないだろう。主に通信料の節約だ。]
ハロー、ムービー。
最後にアパートでお話ししてから、ずいぶん時間が経ちましたね。
もう夢が叶った頃でしょうか? それとも、楽しんで歩いている頃? どちらでも、ムービーが元気で幸せにいてくれたら、わたしは嬉しいです。
こちらはどこから話せばいいかわからないくらい、いろいろなことがありました。
結論から言うと、あの人には会えませんでした。あの人の住んでいた星も、もうアステロイドになっていました。
わたしのお留守番は、とっくの昔に意味がなくなっていたみたい。
―いつかのビクトリア宛のホロメッセージ―
[そのホロメッセージは、レトロにもメッセージキューブで届けられた。添えられていたのは、ウラメシ・ヤーン名産のロクモンセン・キャンディ。]
了解。ビクトリア、こちらはライカです。
この間は機械を送ってくださって、ありがとうございました。
早速起動したのですが――すごいです! 前よりもずっとしっかりした実体になれましたよ! リスリーに飛びついても、ちっとも透けなかったのですから!
[ホロの彼女は、それでも全身で喜びを表すかのように、くるりとその場で回った。尻尾は千切れんばかりにふられていて、あなたの親指ほどの小さな顔に浮かんだ表情を容易に伝えるだろう。]
本当にビクトリアはすごいです。ありがとうございます。
ビクトリアの"生徒"として、お友達として、わたしももっともっと頑張らなくっちゃ!
[この後、フェルムとムービーの二人がどういう顔でカルックスの前に出れたのかはわからない。ただ、一度はそっぽを向いた機械の小鳥が、また祝福のように、誰かの古い歌を口ずさむのだった。**]
>>215続き
[ひとしきりくるくると回った彼女は、喜びを落ち着かせるように胸を叩いた。
咳払いの仕草をひとつ。]
――それから、ビクトリアはもうご存じかも知れませんけれど。
この間お仕事で出かけたウラメシ・ヤーンで面白いことを聞きましたので、お伝えしますね。
霊体種族ではない、わたしのようないわゆる幽霊の霊体には、概ねの場合、未練……気にしていること、望んでいること、が、あるのだそうです。
その未練を"コア"に仕込むと――魔法の方の話のようで、わたしには"コア"がわからないのですが――消滅することがなくなる、のだそうです。
効果時間を延長する手がかりになるかも、と思いまして。
ビクトリアの研究の、お役にでもたてばいいのですが。
一緒に送った飴は、そのときのお土産です。
頭脳労働には甘いものがいいと聞きますよ! 休憩の時に召し上がってください。
>>217続き
今回はこの辺で。
取り急ぎ、お礼と報告をしたかったのです。
このあとのクレイオ号の航行予定も、データとして入れておきました。
ランデブーできるチャンスが、あるといいのですが。
お金の話もしなくてはいけませんね。
また連絡します。
荒野においても、ヒースの瞳があなたの歩みを見守りますように。
ビクトリア、こちらはライカです。どうぞ!
[あなたへ届くいつもの彼女のメッセージ。いつものように、笑顔の彼女が手を振った。
あの日冗談半分のように言った、"三日に一度は話しかける"――その言葉は有言実行され続けて、メッセージはあなたに向けて飛ぶ。
会う頻度は減りこそすれ、それが新しい日常へと変わっていた。**]
[遥かな過去に、星から旅立った犬亜人がいた。
彼女の旅は栄光に満ち、しかし予定調和の死で終わってしまった。
星の人々は、彼女が星から永久に失われたことを嘆いた。]
[コロニーに住み着いた幽霊がいた。
ただ、そこにいるだけの幽霊だった。
彼女は自身の死の理由も忘れ、名も忘れ、それでもそこにいた。まるで、そこにいることが"お仕事"だと言わんばかりに。
コロニーの中で人が生まれ、死に、そして生まれ……何世代繰り返したか、途方もない時間の中、彼女はそこに在り続けた。]
[コロニーの終焉とともに、彼女はコロニーから姿を消した。
コロニーから、彼女の消失を嘆く声は、聞こえなかった。
誰も消失を嘆かなかった。嘆く必要など、なかった。]
[――だって、終わった物語が再び動き出したのだから!]
村建て挨拶するけどまだ2時間強村は続くから!
みなさん、約1週間お疲れ様でした。
楽しんで振り返れる村になっていればみんなの幸いです。
はじまりにむけて【急にやるよRP村6月】へのご参加、ありがとうございました。
では、皆さんまたご一緒しましょう。
また同村してみんなで楽しめることを願いつつ。
ありがとうございました!
>>130
……僭越ならが申し上げますが、すぐに人が来るかもしれない状態で、会話を開始する内容ではなかったかと思います……。
[つっこみに対して、ソラリアは先にそう返す。その言葉はどこか不満気だ。
処理の終了間近を告げる、少しの沈黙。しかる後、>>129をつむぎだす。]
……私が、好きなことを、していく……。
………私は、音楽系統にかけるメモリを、すでに多く割いてしまっていて、新しくSP用のシステムを自身にダウンロードすることに、否定的に検討してしまっているのです。
アンドロイドにあるまじきことですが……それが、許されると?
[どこか泣きそうな顔に、両手が差し伸べられる。コマ切れになった処理に、暖かい感触が割り込む。
掌が伝えてくるものと、笑顔に、言葉に、許されたと感じる。ああ]
……こちらこそ。ずっと、よろしくお願いします。マスター **
>>144>>145
≫≫ソラリアより、ニンフェーアから、メッセージが届いています。
ソラリア様。
先日のお手紙、ありがとうございました。見せていただいた宝石を抱く貝はオーキナールアッコリャガイという種の様です。
その貝は例外なく宝石を抱くようですが、たまに海中に落ちてきた地上のものも抱いて宝石にしてしまうのだとか。
既に宝石と呼ばれるニンフェーア様なら問題ないと思いますが、あまり近づきすぎて宝石にされませんよう。
今回の配信も清聴させいていただきました。
配信時の音楽に合わせたベースデータを添付いたします。
今回はレッジェーロとして、アッコリャガイと合わせて煌めくようなものに仕上げました。
ディア様によろしくお伝えください。
>>202
[ホットケーキと一緒に詰め込まれていく予定には目を白黒させた。飲み込んでから、ちょっとむせて、セットのコーヒーで流し込んでから慌てて返す]
わ、わたし午後から会議なんだってば。
……それまでに、管理局に行って調べる時間くらいはあるけどさ。[本当にノープランだ。]
わかった、あと一口で食べ切るから待って、すぐ行こう。調べるだけ調べて、夜また話そう。
ソラリアくんには連絡しておくから、今夜、うちでまたご飯食べよう。
[言って、うちでご飯食べよう、なんて自分が言い出すのかと流石に笑ってしまって。それから、なんだか順序が逆だなぁと呟いてから付け足した。]
望むよ。ダマリくんが大事だもの。
わたし、好きなものを好きでい続けることくらいしか、得意なことないからね。
[世間一般のそれとは大きく違う形だが、嘘ではないのだからこれくらい言ってもいいだろう。へら、と笑うと、多分あなたの視線に催促される形で、ホットケーキを詰め込んだ**]
>>222
[ニンフェーアにメッセージを送る。配信の音楽に合わせたベース音楽を文通に添付する習慣は、始めたころからずっと続けている。
回路が覚え、配信を聞きながら同時に演算しても、熱を持ちすぎることはなくなった。
それを機械として安堵しながら、ソラリアとして、どこかもったいない気分を感じている。
あの熱はまさに、人が抱くようだと思っていたからだ。
貴方の声を確かに聴き、また一緒に歌っているのだと。
その証明に送り出したベース音楽は、ディアの耳にもかなうものだったようだ。
何度かねだられ、配信に一度使用されたこともある。流石に、その場でセッションというのはかないそうにない。
それでも回路が不思議な感覚を伝えた。肌に触れられてないのに、くすぐったいと感じたのだ。
聴覚システムに不調でもあるのかとセイバリーに質問すると、人間にはくすぐったいという感情もあるのだと言った。
きっとそれに該当するのだと思う。]
― ある日のメールの続き ―
[『次はディアの番だよ』
人魚の無邪気なビデオレター、に続けて青い海と空、小さな白い影を背景に、ラフな普段着のディアが映る]
『
Hi.
ムービー!店長さん!元気?
もうお店を出すところは決まった?
決まったら教えてちょうだい。
開店祝いにお花でもシャンパンでも送るよ!
エールも、元気にしてるかな?
あのね、思ったんだけど…
もし、あの子が直ったら、録音が戻る訳でしょ。
モチロンそうなって欲しくて2人に託した訳だけど。
アタシの小さい頃のヘタクソな歌、
真っ先に2人に聞かれちゃうんだなって、
今更気が付いて。
だからその、聞いても笑わないでね!
ふふ、今更だよね。
こんなこと、ようやく気付いたくらい。
本当に直るんだろうなって、思ってるの、アタシ。
中に入ってるのはね、いつもの歌なんだけど…
>>224
[メッセージを入力し終わり、ソラリアは立ち上がる。
向かうのはオーブン。綺麗に焼かれたスポンジケーキを見て、会心の出来だと判断する。
今日は、マスターとダマリがパートナー契約を結んだ日だ。
パートナー契約をソラリアは何の心配もなく賛成した。
ダマリが家にいてくれることに対する防犯性の向上、セイバリーのメンタルケア、またダマリ自身への生活環境の向上に貢献できる。
ダマリを心配するマスターを見ていたソラリアには、二人一緒であった方が、むしろ何より良いと感じていたのだ]
クリームに、キゥイチゴ。エディブルフラワーを添えて……
[この後のデコレーションを考え、ソラリアは家庭菜園に向かう。
花と緑にあふれたその場所は、近所から『楽園』と呼ばれて久しい。
そのうちここすべてが楽園になるのですよ。と、ソラリアは近くなくとも遠い未来を思って、心の中でつぶやくのだ。
二人そろっての帰還まで、あと3時間]
"月まで羽ばたかせて"って。
あれ、アタシのパパが好きだった古い歌なの。
「月」って、どんなものか知ってる?
コロニーの疑似光では知ってても、
今じゃ何なのか実物は知らない人も多いから…
月ってね、同じ星の周りに、ずっと寄り添ってる星なの。
いつでも見えなくても、見上げた空のどこかにいるの。
なんだか前にも言ったな、そう。ユニットなの。
エールは、アタシの月よ。
きっとニーだってそう。
フェルムと店長さんも、そう。
"月まで羽ばたかせて"ってね。
そんな風に寄り添ってるくらい、
すぐ隣の星にも行けなかった頃からあるフレーズなの。
あの言葉の、本当の意味はね。
"あの星まで飛べちゃうくらい、幸せなキスをして!"ってこと。
ラブソングなんだよ、あれ。
そうは聞こえない歌かもしれないけど。
エールには沢山、愛をこめて、って歌の記憶が詰まってるの。
だから、いつか歌が聞こえるようになったら…
2人の"愛をこめて"も。
エールに聞かせてあげてね!!』
―ウラメシ・ヤーン近郊星域―
[船内に居室や研究室に実験設備、自動航行機能に翻訳機能、着陸艇にマニュアル動作切り替え機能etc。それは彼女の友人にプレゼントした(位のつもりでいるのだ。モノがでかすぎて逆に困るかと思って一応安めの値段は伝えたけれど)船を更にカスタマイズして各部屋を広げたような、一言でいうと金持ち研究者の道楽の船である。
ウン十年結構真面目に働いたんだからいいでしょう。とふわふわ本人は笑っていたが少女からこんな船を依頼され、ぽんとお金を払われた宇宙船販売員の笑顔は若干固まっていた気もする。2隻オーダーしたし。]
[すこしふしぎなものがみたい。
そんなあやふやな希望で星々を巡って、いろんな種族やそこにある魔法、鉱物、植物、技術をみてまわる。偶に危険な目にもあったけれど、承知の上だ。
"開発者ビクトリア"は死んだので融通が利かないこともあったけれど、その時の特許で金には困らないし、何より気まぐれで自由だった。ソコラにいた頃に窮屈だったわけではないんだけれど。]
[船に備え付けたコーヒーメーカーからカフェオレを注いで、先ほど届いたメッセージキューブ>>215を起動する。ついていたキャンディにすこし目を見張った後、口にキャンディを放り込んだ。]
ふふ、飛びつけるくらい実体に、って要望がやっと叶えられて良かったわ。
[全身で喜びを表す生徒でおともだちな彼女に笑い声がもれる。音声入力の問題は疑似有機回路ですぐに解決したから船にも搭載できたけど、こちらの問題はある程度持ち運びの利くサイズにするのが大変だったのだ。
続いた言葉たち>>217,>>218へも微笑んで、時にその場で相槌をうつように頷きながら聞いた。3日に一度なんて冗談のような約束は果たされていて、驚きと喜びを感じたのはすこしだけ前になりつつある、けれど新しい記憶だ。
1人で始めた航行に寂しさや孤独を感じる性質ではなかったけれど、でもやはり親しい人からのメッセージには心が和らいだ。]
返信しなきゃね。メッセージキューブなんて本当、こんな時じゃないと使わないわ。
[飴が口からなくなるまでに航行予定のデータを展開する。
そうして、空のキューブを起動してレコードを開始した。]
了解。ライカ、こちらはビクトリア。
メッセージありがとう。喜んでもらえたようで良かったわ。でもあんまり飛びついたらリスリーが照れちゃうかもしれないわよ。顔を舐めたりしてないでしょうね?
あなたが頑張るなら私ももっと頑張らなきゃ。
――そうそうウラメシ・ヤーンの飴はもうさっそく頂いちゃったわ。
実は次にウラメシ・ヤーンを訪ねてみようかと思っていたところなの。
[視線が少し外れたのは宇宙船の外にみえるウラメシ・ヤーンへと視線を向けたのだ。]
未練……をコアに仕込む……。未練を解消しないようで悩むけれど、消滅したくない霊体には有効なのかしら?
これから尋ねた時にその辺りを詳しく聞いてみるわ。
情報ありがとう。
[今度は別の方へと一度視線を向ける。モニタに表示した航行予定だ。]
クレイオ号の航行予定も今見てるんだけど、モン・スター近郊の星には私も同じような日程で到着予定よ。丁度1か月後、添付したデータの座標で会いましょう?
お金の話よりもっと楽しい話が聞きたいわ。それに、あなたに紹介したいものもあるの。
じゃあ、また連絡まってるわね。
あなたの旅が良いものになりますように。
ライカ、こちらはビクトリアです。どうぞ。
[最後に笑顔で手を振って、メッセージを締めくくる。各部屋に備えたモニタへと視線を向けた。]
ゼン、メッセージキューブ送って置いてくれる?
[航行予定がモニタから消えて、呼びかけに返答するように画面が明滅して、**]
親愛なる先達者であり師匠のシゥル&メリードリーへ
フェルムとムービーの結婚式場への招待状。
会場:ラクリマ
アメリア2号でお迎えします
―ウラメシ・ヤーン近郊星域―
[呼ばれた名前にモニタの中を渡って彼女がいる部屋へと姿を現す]
了解した。いつものクレイオ号であるな。
ウラメシ・ヤーンに2日後には到着予定だが変わらずでよいかね。
[尻尾を揺らす姿も声も彼女には届いている。了承を得れば船の航路を改めて確認してから、メッセージキューブ送信のための手続きを取った。
ある日、疑似有機演算回路による音声入力の研究を彼女がしている最中に突然吾輩の声が機械へと届いて、データが狂うということが何度かあった。
音声データの解析だのをした結果、”そこに自分以外の何かがいる”と結論づけたようだが、怖がるわけでなく「それならデータが狂うのも納得だわ」となるのだから研究者はどうかしている。
なぜ急に届いたのかわからぬが、彼女自身のデータを有機演算回路のもとにしていたからかもしれない。]
[彼女がそれまでに吾輩の声を聴いたことがあったのかどうかは分からないが。のちのち、偶にうるさい(はなはだ失礼だ)猫の声は聞こえていた、と一度だけ零したことがあるから、聞こえないふりをしていたのかもしれぬ。
そうして今はこの船の中、彼女の旅の道連れとなっている。こんな優秀な人工知能みたことがないと評判だが当然だ吾輩なのだから。
ちなみに彼女にはこんなにうるさい猫はみたことないといわれる。やはり失礼だ。
実体はないが、彼女の研究に付き合い、実験のサポートをし、会話ができるのだから満足をしている。
ライカという彼女の友人、そう、あの犬のお嬢さんにも今度紹介してくれるそうだ。そうそう、同じ幽霊の彼女に会ったらまずは自己紹介をするべきだ。吾輩はこういうつもりだ。]
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