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流れ者 ギルバート は お尋ね者 クインジー に投票した。
双子 リック は 学生 ラッセル に投票した。
修道女 ステラ は 学生 ラッセル に投票した。
吟遊詩人 コーネリアス は お尋ね者 クインジー に投票した。
学生 ラッセル は お尋ね者 クインジー に投票した。
書生 ハーヴェイ は 流れ者 ギルバート に投票した。
牧童 トビー は お尋ね者 クインジー に投票した。
見習い看護婦 ニーナ は 吟遊詩人 コーネリアス に投票した。
お尋ね者 クインジー は 書生 ハーヴェイ に投票した。
医師 ヴィンセント は 見習い看護婦 ニーナ に投票した。
お尋ね者 クインジー は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、流れ者 ギルバート が無残な姿で発見された。
《★霊》 お尋ね者 クインジー は 【人狼】 のようだ。
現在の生存者は、双子 リック、修道女 ステラ、吟遊詩人 コーネリアス、学生 ラッセル、書生 ハーヴェイ、牧童 トビー、見習い看護婦 ニーナ、医師 ヴィンセント の 8 名。
─花山院邸・奥座敷─
[閉め切られたはずの座敷の帳の奥、ひゅるりと風が吹くのです。
床に倒れた鳴らぬはずの割れ笛も、その風にひゅるりと声を立てました。]
―安倍邸・昼近い午前―
[かけられた声に、琴の前からゆるり立ち上がると声のしたほうへと少しだけ足を向けて]
あ、はい、ええと。
───いってらっしゃいませ。
[誰かを見送るのになれていないせいか、若干ぎこちなく、照れたように少しだけ頬が染まる]
私の居らぬ間はあなたがこの屋敷の主、
皆あなたの思うがままにお仕え致しまする。
お出掛けになるも宜しいが、
その折には供を付ける事、そして、
[と、呪符のひとつを差し出し、]
……必ずこれをお持ちになって下さい。
あなたの外見を別人と見せかける力があります。
他の者から見れば別人に見えるというだけで、実際にお姿が変わる訳ではござりませんので、くれぐれもお気をつけて下さりませ──
[恭しく礼をする。
が、その姿はおそらくは戯れなのであろう。おとこの微笑は決して主に仕える者のそれではなかったから。]
──東寺──
[まざまざと見る、
これがうらみというものなのだろうか。
果てたばかりだというのに、腐臭がする。
けがらわしい匂いがする。
徴にあった美しい色など霞んでしまう。]
あれはお前の意志か。
何故殺す──
[絡みつく無我の、頬あたりに手を添えて
推し留めるように]
――羅生門――
[疑問は最もだ、と思い]
京に来たのは理由があるんだ。
昔、一度だけ見た庭を見てみたい、ただそれだけなんだけどね。
結構な邸に入り込んだのに、まだ見つからなくて。
まあ捕まったりとかもしたけど。
[白藤の手に留まる鷹を撫で様と手を伸ばし]
─件の大殿が屋敷・奥の間─
[暗き瞑き奥の間に、一陣の風が吹き抜けました。
褥の上で荒い息だけをする男の間。
御簾も格子も閉め切られたままに。
ぽうと灯るは、薄暗き灯火。
それは淡く青白く。
二つ三つ、七つ八つと灯ります。]
―羅生門―
一度だけ見た庭…?
其れは…桐弥が、盗みをする前に見た庭なのか。
其れとも、している最中に見た庭なのか。
…どちらにせよ、面白い、とは思うが…
[細めていた目が微かに見開く。
飛び立つ鷹に驚いたのではない]
桐弥、離れろっ!
[風の音はひゅるりと泣きて、割れ笛のごとき音。
仄かに灯る焔の下、風と共に現れるは白き姿。]
…お怨み申し上げまする。
[目を見開いた男の目前、そっと顔を寄せ囁くのです。
けれども彼は気づかぬでしょう。
その姿には吐息もぬくもりも無い事を。]
…兄さん…!
[白藤を見やる。
…何故気付かなかったのか。
極彩色が。白藤を]
く…ぅ…
[地に落ちるは極彩色に混じった赤。
口元に手をやり。眉を寄せ。
一歩、二歩。後ろへと下がり…]
…ようやく辿りつきました。
生きながら、貪り喰われた彼の方の無念。
さぞかし。
[かつて此処に住まい、死んでいった女御のものなのでしょうか。
部屋に捨て置かれた琵琶一つ。
びんと音高く鳴るは撥音。]
[後ずさり、目の前で起こる光景を見逃さないように、目を離さず]
[何かが、白藤の体を廻っていて]
[苦しそうなその顔にも、何かが這い登り]
いったい、誰がこんな……!
[音色と共にざわりと風騒ぎ、
座敷は消え去り、
其処は、いと広き湖水の上。
ちいさな小船にへたり込むは彼の武士、
舳先に立つは白糸の、人の姿した獣がひとり。]
──大路──
[おとこは路にしゃがみ込んだまま、節くれた両手で顔を覆う。]
・・…ああ
今度は、狐の恨みが── 人食いの鬼をも殺すか。
兄さん…
[目を逸らす事が出来ず。
ただただ、白が染まっていくのを見ることしかできなかった。
屋敷とは、全く逆に。
極彩色に、深き赤に、染まっていく]
分からぬ…だが…だが。
凶星…私と、兄さんが、追っていた…
[視界がぼやける。
何も出来ぬ。護ってもらっていたのは薬師だ。
病を祓えようと、祟りや呪いを祓えはしない。
ぎり、歯ぎしりの音]
お怨み申し上げまする。
[狐は低い音でそう言うのです。]
彼の御方の最期、垣間見たのです。
…あなたにも。
いいえ、それ以上に。
[びんと撥音。
ぞわりと湧くは大蟲小蟲。
彼の衣の裾へ、袂へ、這い回るが如く侵入し。
内側をずるりと這い回り、貪り喰らっていくのです。]
──東寺──
お前は、
その身でそれを受け止め
都を護って居るのでは無かったのか
お前が、怨の──
[消えいる言葉尻は、僅かに慄いている。
てのひらからひたひたと、
怨が呪が背筋を凍らせるようだ]
[はたと振り返る]
ええ?
そうではないか。
みやこの穢れ集めんと器に盛れば、それは形代にあらず、
混沌とあらゆる恨みを呑み込んだ蠱物(まじもの)となろう。
それが道理だ。
[にぃやりとおとこは嗤った。]
[彼のもののふの口元が、やめろと歪むそれをみて、
狐は、にいと笑ったのです。]
…何事を?
[男が気づけば、その身体には傷どころか蟲すら居らず。
狐の見せるゆめまぼろし、と。]
[男が嘲り笑おうとした刹那、
またも撥音。重なるは責め苦。]
修道女 ステラは、書生 ハーヴェイ を能力(襲う)の対象に選びました。
修道女 ステラは、牧童 トビー を投票先に選びました。
[幾度もそれは続きます。
全てを食い尽くされたと思えば、またも全ては消え去りて。
その姿を眼下に見、狐はくつりと笑うのです。]
[赤く]
[染まるは白であったもの]
……これは、大殿の邸で見た。
[あの時、あの陰陽師が祓ったのは、これと似たものではなかっただろうか]
[ぎり、と歯噛みして]
[巨き蟲けらに締め上げられて、小指の先からじわじわと。
喰らい尽くされ喉元までと…思えばまたもふりだしに。
男がその身をよじるたび、小船はゆらり、揺れるのでした。]
[ぎちりと締め上げられたまま、男は離せともがくのです。]
…えぇ、離して差し上げましょう。
[戒め緩み、男はもがいて
そしてその場を逃げ出しました。
けれどもそこは…]
[―――京の都には魔物が棲む。]
、―― は
[春なのに]
[つめたい くらい いたみに飲まれ]
[引きずられるように――ふかい闇の底へ]
修道女 ステラは、見習い看護婦 ニーナ を能力(襲う)の対象に選びました。
お前の主が本当にみやこを護ろうとしていたのか、
それともおれの邪推が当たっているのか、
そこらはどうでも良いが。
結果は同じことだ。
汐、さん、白藤さんは、何も、してなかったよね。
誰かに怨みを買われたり、酷いことなんて何も。
[中将もそうだった]
どうして、こんな目に合わなきゃいけないんだ。
[白藤の持っていた葉が、ひらりと落ちる。散る花のように]
だれが、こんな、こと。
[おさまりかけた怒りが、再び内に篭る]
──何を否とする
[焦れたように顔を顰める。
触れる手触りは何処までもすべらかだ。]
未だ、
未だそれをお前に奪われるわけにはゆかぬ。
それに──未だこの身、あなたの元へ帰るはあたわず
[静かに揺れる首を抱え、
屹と影居を睨み据え
地を縮める。人を運ぶことと比べればはるかにたやすい。]
─件の大殿の屋敷・奥の間─
[暫しのち、何方かが見つけたのは、褥の上で乱れた屍骸。
奇妙な事にその御方は、
部屋の中であるのに、溺れ死んでいたのだとか。*]
すまない、兄さん…私には…
[嗚呼、この声すら聞こえているのか。
うっすらと見えた苦悶の表情。
穴に入り込もうとする極彩色。
音すらも塞ぎ込んだ]
もう、止めろ…
止めて、あげてくれ…ぇ…
[掠れた声で言う。
しかし。蛇は、無情…元より。
人の声を知るかどうかも怪しいが。
薬師は言った。頬に、一筋。涙を流し。
はらり、草笛は地に落ちた。
赤の地に、緑が一つ]
…仕える、ですか。
[少しだけ困ったような顔をして、しぶしぶとばかりに頷く。
式、と呼ばれるそれらとの意思の疎通がどうも苦手だかららしい。
せめて動物型の式がいればよいと願いながら、呪符を受け取り、その後姿を見送り、ぽつん、と呟く]
…困ったなぁ。
[小さく肩をすくめる]
同じこと。
ならば、何とされます。
何れにせよ、
──未だこの身、あなたの元へ帰るはあたわず
[静かに揺れる首を抱え、
屹と影居を睨み据え
地を縮める。人を運ぶことと比べればはるかにたやすい。]
…兄さんは、何もしていない…はずだよ。
[桐弥の声に。掠れた声で]
兄さんは…大殿…に。雇われた。
流れの陰陽師…
恨まれるとすれば。
其れこそ、呪いか。祟りか…
[極彩色を白に染めていた陰陽師。
なれば、呪いの怨みは買うか?]
…どちらにせよ…兄さんは、悪くは、無い…
[その責苦は、白藤が息絶えるまで続き、息絶えて尚、赤いものを垂れ流させて]
[嗚咽を上げる汐を見て、そしてすぐに白藤へと視線を移し]
[愛しき者。
我が者にならなければ。
いっそ殺してしまえ。と。
其の、心が。分からぬと、言った]
兄さん…
[だが。
愛しき者。
我が者にならず。
殺すことも出来ぬのなら。
どうすれば良いのか]
[背後にする気配…というもおかしいか。
しかし感じたものに振りむきもせずに]
…白藤よ。
……この暗さにお前の名は合わないものよな。
[一部始終、鏡に見ていたから。何も語らずとも全てを知る]
─東寺─
[縮地の法にて消え去る己が式に目を細め]
未だ帰るあたわずか。
愚かなり…鳶尾。
だが、その様なお前もまた可愛いというものだ。
[喉を鳴らして嗤った。]
─花山院邸・奥座敷─
[ぼんやりと乱れ髪のまま座っていた狐は、顔を伏せたままくすくすと笑ったのです。
ゆらり揺れる狐の三ッ尾。その一本は穢れにて、赤黒く斑に染まってゆくのでした。]
病で死ぬのなら、恨まれて死ぬのなら、そこに理由はある、のに。
こんな、呪われた様な仕打ちは余りにも、
(酷すぎる)
[言葉にならずにゆらりと体が揺れて、その場に腰を落とす]
形代もそれを清め、
川へ流すものが無くば唯の蠱毒と大差無しと──
[あたりの景色へ飲み込まれるように、]
[消え]
──故・大殿の屋敷 屋根の上──
[からり]
[屋根のうえへ降りた]
主の謂うなら、
私が形を変えるに足るまで、
そうはさせまい。
[ちらり、傍らの女房を見やる。
まるで、能面のような]
…あの。ええと……。
[うーん、と小さく唸って首をかしげる。
じい、と見つめた後、口を開く]
[暫くして]
[白く、ふくふくと丸く太った子猫を肩に乗せた、童女の姿を安倍邸のあたりで見かけたという証言がいくつか]
…・・逝った
救われぬ あさましき 人食いの魂が
[うぉおおおおん] [怨]
[しゃがんだまま笑う男の傍に、うすあかい靄が立ち籠めた。]
影秀どの…
貴男の魂もまた、羅生門へ 向かうか?
[いたみは遠く。されど近く。]
[泣いているこえ]
[それも、もう“向こう側”]
[“こちら側”の声がする。]
―――橘―――……中将。
[呼び捨てかけて、小さく付け加えた。]
──故・大殿の屋敷 屋根の上──
[奪ったものが、無我の胎へまた奪い戻されたのを良しとせず、再び喰らいつこうとしたが、衣を引かれて止まる]
[ニヤリと笑み浮かべたまま、己が式の失せた跡を見るとはなしに見ていたが、]
──しまった。
[チ、と舌打ち。
忌々しげに見詰めるは、羅城門の方角。]
[口元から手を離せば。
ゆっくりとした足取りで。白藤へと歩み寄る]
…惨い。
[死して尚。
動いてる様に見えるは這いずり喰らう蛇の染色。
痙攣。
穴から出てくる蛇を睨みつける]
もう…臓も…無ければ。
薬を、処せぬ…
[細い手。握り拳が白く、堅く。
ぷつり、食い込んだ爪が新たに赤を紡ぐ]
死んではその名も意味はない。
橘で構わぬよ、白藤。
[ちょうど、表では白藤の姿が散るらしきを映す。
見るに偲ばず、後ろの者に振り返る]
…あぁ、死んでもこのようにまみえるとはな。
まさかお前とこうなるとは思わなんだ。
苦しかったであろうな。もう大事ないのか。
…無茶なんて、していないのに。
[むぅ、と小さく剥れて。相手の下に己の声が届くのも忘れ]
…でも、これ…わざわざ、この格好にする必要性はあるのだろうか…。
[初めて袖を通した、女物の着物。意外と重く、結構疲れる]
[何やら不満げな想い人の声伝われども、
今はそれに答えるゆとりも無く]
白藤
[一言だけがおとこの鎧ったこころの奥からぽろりと零れた。]
[倒れた白藤へと近づく汐を見つめて]
大殿の邸で、雇われていたから……?
それが何の怨みになるんだ。
どうして。
(どうして)
[立ち上がり、既に物言わぬ白藤の骸を見下ろし、蠢く蛇を睨み]
鬼、……。
おれが相手にしようとしていたのは、鬼なのか。
(どうやって見つけるというのか、如何にして傷つけようというのか。誰に聞けば、その方法はわかるのだろう)
[おとこは、顔を覆っていた手のひら、指を苦労して引き剥がし、立ち上がる。何時もの薄笑みは無く、暗いまなざしは何処か憂いを帯びていた。]
わたしは、ひとは嫌いだ…
・・・兄上 それに、影秀どの。
──ああ。葛木が、おのれの所業をおそれ悲しまぬが良い。
あのうつくしい銀の毛皮の沁みが あれ以上酷くならないとよいのだけれど。
[おとこは水晶の数珠をかかげ、空に向かい礼の形を取る。
瞠目。目の裏に浮かぶは──]
無我──ならば 澱みを請け負うことが出来るか。
……それでは、お言葉に甘えて?
[軽い調子を作ろうとして、
上手くいかなかったらしく苦笑を零す。
極彩色。
白。
おかされて滲む。
緑。
あかいはなびら。]
―――痛い。
[眼を細めて、小さく呟き]
でも、もうそれも……“向こう側”だ。
[これほど辛いことならば、もう情を持つことはやめた方がいいのだろう。仇すらとらないほうがいいのかも知れぬ、と]
[それでも]
[許せる所業ではなく]
あの男に聞けば、判るかな。あやかしの、鬼の殺し方が。
[ふくふくと丸く太った仔猫はすまし顔して少女の姿した少年の肩に鎮座する。
式神に、猫になれるかと願ったら、彼女はわざわざこんな姿になってくれたわけだが]
……?
[微かな異変を感じ取ったらしい猫が、短く一つ鳴く]
…なにが、一体。
[後ろの霧鏡から目の前の男が苦しむ声が聞こえる。
呪いが軋む音がする。汐や少年の悲鳴が聞こえる。
何より白藤の断末魔]
痛むか。お前の翡翠は結局役にはたたなんだな。
[下がる翡翠は濁ったようにも見えるか?]
魔除けの翡翠、か。
[もう一度、その翡翠に手を伸ばし]
綺麗な色をしていたのに。今はしかと見ることもかなわぬか。
呪いに抗する事が出来る…
呪いを仕掛けようとする者にとっては邪魔、なのだろうよ。
[ぽつりと。聞こえてきた問いに答える]
…そう、何か。理由が、あったと。
思わせて、おくれ…
[あらかた食い終えたのか。
どんどん出てくる蛇に小さく紡ぐ]
…あの、男…?
[振り返り、桐弥の姿を見ようとすれば。
一人の男が見えて]
──大路──
[ふくよかな猫だけを抱いた若宮が、路に佇んでいる姿を認めた。色薄き髪の色、間違うはずもない。]
…おや。
あなたは─、(供もつれず)
ああ、もしや…中将どのか、影秀どのをお探しですか?
[眼を伏せる。
聞こえてくる。
汐の慟哭も、桐弥の叫びも。]
――及ばないばかりだ。
[すまないな、と。それは誰に向けてか。]
翡翠は――魔除けだが
人喰いには……なんということもなかったんだろう。
[翡翠に伸ばされる手を伏せたままの瞳で見て。
ひやりとして揺れる魔除けは、微かに濁っている。]
[辺りを、きょろきょろと見回していると白く丸く太ったねこはぴょん、と器用に大路へと降り立つ。
そのまま、少しだけ駆けるとぴたっととまり、こちらを向いてにゃあとなく。
ついて来い、ということらしい]
…え、と。
[にゃあ]
…わ、わかった。行きます。
[そのまま、猫と少女の追いかけっこが始まる。
終着地は───羅生門]
[東寺から此処まで、多少の誤魔化しはしたが、最大限に急いでも間に合わぬと分かっていたから派手な技は使っていない。
酷薄かも知れぬ、が、若宮の身に危険が迫った訳でもなければそんなものであった。]
−大路・羅生門手前−
…え…?
[ぴたり。足が止まる。
猫が、訝しげな足取りで戻ってきて、法師を見る。
少女の姿した少年も、訝しげに彼を見るしかなかった]
…。
[確かに、護符があれば姿は違って見えると聞いたのに、どういうことなのかがわからず]
誰に対して詫びる?
そしてお前は誰から恨みを買うた?
[いつかたわむれに話していたこと思い出し]
お前も誰かに知らぬ間に恨まれていたか。
人のことは、いえないな?
[おとこは、若宮がいぶかしげに止まった理由が分からず、暗い目で見えがたそうに目を細めた。]
…はて。
[おとこに見えているのは、若宮の淡く宝玉のごとく光る《いろ》のみ。
近づいてみて、確かに若宮だと思った相手が、少女のような見目形をしていることに気付いた。周囲に人は多いが、大路を行く高貴な者をはやす声も聴こえない──。
暫しの沈黙ののち、おとこは若宮が何かの術を帯びていることに気付いた。]
…ああ。
申し訳有りません。[声を潜める]
わたしは目が暗いせいか、
人とは違うものが見える──のです。
─羅城門─
[おとこはふらり、無造作に骸の前に立ち尽くす人々に近付いて行く。
見るも無残な有様であった。
体の九穴から這い出る蛇、
血の池に沈む躯は、内腑がごっそり失せているのがはっきりと分かる。]
蛇蠱か。
[厭わしげに目を眇めた。]
…さようでございましたか。
[周りに聞かれても、あまり当たり障りのない言葉を選び、そして猫を抱き上げる]
…永漂さまは、どちらへ?
先ほど…中将殿か、影秀を、と…その名前が、聞こえましたが…。
[中将が殺されたのは知っていたが、何ゆえにそこに影秀の名が並ぶのかわからず首をかしげ]
[すこし離した口の隙間に尋ねた]
お前はほんとうにただ、穢れをその身に集めるだけなのか。
お前の主はお前をどうすると言いはしなかったのかな。
恐れ多くも、祓えなかったものすべてに、
……なんてな。
[首をゆるりと横に振る]
そうだな、おれも知らず恨みをかっていたらしい。
まったく、物好きもいるものだ。
――ああ、本当に。
あんたのことは、謂えない。
[ちいさく苦笑。]
[少女の姿の若宮が言の葉を紡ぐ間も、節くれた指を若宮にかざしていた。]
[ぴちゃぁあん] [何処かで水音が響き]
[おとこの足元に うっすらとあかい靄が煙る。
常人ならばその靄に気付かぬやもしれぬ。式ならば感ずるかもしれぬ。]
…・・
[翳した手をもどし、数珠を持って両手を合わせた。]
影秀どのは、中将どのと同じく
──もう、現の人ではなくなりましたゆえ。
本当に。恐れ多いことだよ。
人が手に持てる物など多くはない。
こぼせばそれはまさに桜の如く散るだけよ。
ならば最初から関わらねばよかったものを。
誰が誰を恨むのやら。だが俺もここにいては誰かを恨んでいるのだろう。当の相手は知らぬことだがな。
あの薬師と童は泣いていた。あやつらの恨みはどこに行くのだろうな。
[少女の姿の若宮が言の葉を紡ぐ間も、節くれた指を若宮にかざしていた。]
…・・
[翳した手に猫の舌先が触れるに、おとこは薄く笑い。
かざした手をもどすと、数珠を持って両手を合わせた。]
[ぴちゃぁあん] [何処かで水音が響き]
[おとこの足元に うっすらとあかい靄が煙る。
常人ならばその靄に気付かぬやもしれぬ。式ならば感ずるかもしれぬ。]
影秀どのは、中将どのと同じく
──もう、現の人ではなくなりましたゆえ。
[云ってから若宮の無邪気さにこまったように、眉をよせた。]
[白藤に近づく男、安倍を見やりどこかで聞いたような声を聞いて其方を見れば、猫を連れた童女と、法師の姿]
こんな所に、子どもなど。
[目を細める。その童女の気配が、どこか懐かしいようにも思えて]
若君様。
[ぽつりと]
[姿は違う。けれど、その歩みも気配焦がれた人と同じもので思わず口にしてからはっとする]
汐さん、白藤さんを、見ていて。
[汐へと声をかけて、童女の方へと足を向ける]
[式の猫の瞳に映るは法師姿の、
名はさだかに思い出せぬが、白藤と大殿邸で逢った時に一緒に居たおとこだ。
この気配──
[あかい霧、
あらざるところに通ずる深き穴のような、その、底無しの虚無、]
[猫は、何かをとらえたのか急に法師を威嚇し始める。
その様子に、慌てて猫をなだめながら]
…そんな…影秀、まで。
[宥めていた手が震えて、思わず猫を落としてしまう。
器用に猫はくるりと一回転して地に下りるが、少年はといえば眩暈を感じたように思わず大路に座り込んで]
………うそだ。そんなの、うそでしょう…?
…よくは、知りませんが。ね。
[目許を指先で拭うと、近づいてきた者に言葉を返し]
其の名。兄さんも言っていた…
貴方は、一体…?
[じ、と見つめる。
片腕。拳に力が籠もり。
何とか紡いだ言葉、少し震えて…
溢るる物を見せたくなかった、という事もあるのか。
視線を白藤に落とす。
もう、震えもせぬ。ただ、緑が赤の上。揺れていた*]
ふ、それでも……何とか、祓いたかったんだよ。
及ばなくても、また力を研ぎ澄まして。
ばかなことだ、な。
[瞑目し]
そうだな。この、くらいくらい闇のなかで。
おれも、だれかを恨むんだろう。
……皮肉なことだ。
[今一度、靄の向こう側のかれらに顔を向けて]
……汐――、桐弥……。
……。
[座り込んだ童女のほうへと寄り、傍にいる法師をちらりと見て]
先程この先で怪異がありましたので、余り寄らぬ方がいいかと。
[声をかけて、童女を見ると、ふるふると震えているようにも見えて]
どうか、なされましたか。
(若君様。ああ、そうだ。この童女はやはり。姿を変えていてもわかる。そしてこのようなことが出来るのは)
[白藤のところにいる男だろうと見当をつける。何より、浚ったのが赤毛の男の方であれば、このような場所にこうやって若宮が現れるはずもない、と]
葛木が恨みを人になげかけた。
あの哀れなキツネが。かわいそうに。そしてそれは私の為という。
私はそれを望まなかったのに。
お前もせめて想う人が恨みで道を外さぬよう願うのだな。
桜の薄紅、人を恨む血の色であればこれ以上は増えぬこと祈るよ。
[一息。力及ばなかったのは自分も同じ。
そして目の当たりにしていた悪友の変貌。目元が少し、歪む]
あぁ、もしこれが現世であればお前とは一度杯でも交わしたかったものよ。鷹もお前を認めていた。
嫌われてしまいましたか。
動物は好きなのですがね。
[猫の形をしたものに威嚇され、困った様な笑みはますます深くなる。生物ではない気配、何処かの力ある陰陽師の式か。無我とはまた異なる赤髪の人形(ひとがた)──を、大殿の屋敷で用いていた影居の姿を思い出し、]
(影秀どのが、中将どのを……なのですがねえ)
[この若宮にそれを告げてよいものか。
おのれが、影秀になしたことを忘れ去ったかのような、おとこのおもての気色。ゆるく首を横に振る。
人食い鬼と化した武士の話をするまえに、]
──ところで、もしや…あなたさまは、
羅生門にのぼろうなどど、思うてはおりませんな?
それは言えぬのか、
分からぬのか。
否、そも識とはそういうものだったかな──
[奪われたは奪い返す。
ままならぬも、すこしずつ穢れを取り込みながら。*]
……葛木が?
[眉を寄せて。項に手をやり翡翠に触れる。
ひやりとはしなかった。]
――そうか。
あいつは、泣いていたよ。あんたのために。
おれは好きにしろと謂った。……とめてもどうにもなるものでもない、が。
[止めるべきだったのだろうか。わからない。
続く言葉には俯き目を伏せて]
ああ、そうするさ。
ただもう……祈り願うことしかかなわないからな。
[影居。あのようなおとこだっただろうか。
ひどくするどく、鬼のような。]
……それは光栄、嬉しいことだね。
あの鷹から、何か聞けないかとも思ったんだが。
[猫の姿の式に威嚇された おとこの足元には あかぐろい あの犬の首がある]
[怨] [うぉぉおおおおん][怨] [怨] [怨]
─花山院邸・奥座敷─
[その肩が震えているのは、泣いているのか、笑うているのか。
己が泣きたいのか、笑いたいのかすら、もはや狐には判りませんでした。]
…もはや、もはや只の獣では居れぬ。
[己が何を為したのか、狐には良くわかっておりました。
そして、取り殺した彼の武士は、紛う事なくあの笛の方の仇であったとも。]
…出会わなければ、焦がれなければ、只の獣で居れたというのに。
[胸の奥焦がす悔恨の焔。
…けれども気づいてしまったのです。
幾度も弄び、死に追いやる事を…あの時の己は楽しんでいたと。]
月白は私以外には懐かぬよ。あれは賢くてな。
私が陰陽師を厭うこと常日頃もうしていたら覚えてしまったらしい。
襲われなかっただけでもよかったと思え
[少しだけ、口元緩め]
祈り願っても帰らぬものは帰らぬがそれしかできないのは私も同じ。
守らねばならぬものをともに守ろうとした者が穢してしまった。
友と思っていたのも私だけだったらしい。
そしてその方をお守りしていた者も…恨みの塊であったな。
たのみにするものもなく。憐れなものは恨みに汚れた。
私一人、道化のようであったろうよ。
[自嘲気味に笑う。
ただ、耐えきれなかったのは目元、ひと筋だけの水の跡。
[法師の男の言葉に顔を上げる]
羅生門に、登る?
登るって屋根に、ですか? それとも、梁?
[だがしかし何故そのようなことを童女に聞くのか、とも思い。やはり不思議そうに法師を見た]
[丸くなっていた背を伸ばし、数珠をかかげ、
墨染め法衣のおとこは、桐弥に一礼を──。]
──怪異ですか。
[怪異が起きている事は、承知と云わぬばかり。おとこは羅生門にひろがる新しいあかい海をことを、知るがゆえ、若宮をとどめようと言葉を掛けたのだった。]
[桐弥に、]
のぼるのは、内側に入るため ですよ。
死体が放り込まれ── 夜盗が寝床にしている場所ですゆえ。
《お嬢さん》が行くような場所ではないと。
[おとこは、桐弥が弥の君でもあることはもちろん、ただの人とおぼしき桐弥が、なにゆえにか若宮の気配を察しているとは思い及ばず。]
怪異が、なにごとか──聞いてもよいだろうか?
そうだな、実に賢い。
主が陰陽師嫌いじゃぁ、仕方がないねえ。
[つられるように、笑みを。]
――……守る。若宮様か。
[靄のむこうの、術で少女の姿をした“少年”。]
宮中も、恨みやたたりに囚われていたか。
否、宮中であればこそ、か。
[道化のようだ、とわらう、
零れるしずくを見て、ぬぐおうとしたか手を伸ばす]
[ふわり。
狐は白き夜着のまま、乱れ髪のまま風になるのです。
いえ、それは。
心を乗せたまぼろしなのでしょう。
大路に乱れ咲く枝垂桜の枝の上。
腰掛け狐は笛を吹くのです。
割れ笛の紡ぐ調べは、乱れ乱れて嘆き哭く。]
[法師へと向けて]
登っても、あそこには何も、ありはしません。
あるといえばあるのでしょうが。
[現のものでないものなら、あそこには一つ二つといわず]
怪異は、。
[目の前の若宮の前で言うことを憚られて言い淀み]
一人の陰陽師が、呪いを受けて息絶えた。それだけのことでございます。ですが、こちらの童に見せるのは酷かと思いまして。
…嫌っていたが…信用していなかったわけではないのだがな。
鷹には伝わらなかったらしい。そこまで人の感情教える術は知らん。
[影居も白藤も陰陽寮も、嫌っていたが信用とはまた別物]
役目であれば宮中も、宮様も、だ。
それが…このざまでな。
[伸ばされた手、逃げることはしないが]
…そういうことは想い人にしてやれ。
次は色恋で恨まれる羽目になるのはたまらぬ。
来世は静かに生きたいものだからな
[怨] [怨<won>──] [うぉおおおおん]
[咆哮ととも] [犬首からあかぐろい雫が滴り] [おとこの足元に怨み渦巻く ひろいひろい池をつくる]
[桐弥に話しかけながら、おとこは人肉をむさぼり大きく育った怨みの塊を、ゆびさきで撫でる。]
……隔たりがある、か。
仕方のないことだ。
[ふ、とわらう。]
――皮肉なもんだねぇ。
[眼を閉じて、すいとしずくを拭った後]
想いびと、ね。
あいにくどうにも……そういう方面には鈍くてね。
まぁ、何かしらの恨みはごめんだから、従うとしよう。
[本気か冗談か
そんなことを謂ってから手を離した。]
鈍いのはお互い様だがとばっちりはくれてくれるな。
[眉間の皺はもう顔から消えないらしい。
ふい、と霧の鏡をのぞき見て]
…また誰か、恨みを持ったか。それとも恨みに捕らわれたか…。
ここで何をしてもせん無きことだが…かくも哀れな人の世よ。
[俯いて、呟く言葉に込めた感情はそも何か──*]
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