情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
流れ者 ギルバート は 医師 ヴィンセント に投票した。
双子 リック は 学生 ラッセル に投票した。
修道女 ステラ は 吟遊詩人 コーネリアス に投票した。
冒険家 ナサニエル は 村長 アーノルド に投票した。
吟遊詩人 コーネリアス は 村長 アーノルド に投票した。
学生 ラッセル は 修道女 ステラ に投票した。
書生 ハーヴェイ は 村長 アーノルド に投票した。
牧童 トビー は 学生 ラッセル に投票した。
村長 アーノルド は お尋ね者 クインジー に投票した。
見習い看護婦 ニーナ は 吟遊詩人 コーネリアス に投票した。
お尋ね者 クインジー は 村長 アーノルド に投票した。
医師 ヴィンセント は 村長 アーノルド に投票した。
村長 アーノルド は村人達の手により処刑された。
冒険家 ナサニエル は、双子 リック を占った。
次の日の朝、冒険家 ナサニエル が無残な姿で発見された。
《★霊》 村長 アーノルド は 人間 のようだ。
現在の生存者は、流れ者 ギルバート、双子 リック、修道女 ステラ、吟遊詩人 コーネリアス、学生 ラッセル、書生 ハーヴェイ、牧童 トビー、見習い看護婦 ニーナ、お尋ね者 クインジー、医師 ヴィンセント の 10 名。
修道女 ステラは、流れ者 ギルバート を能力(襲う)の対象に選びました。
[白い腕を覆う幾重もの重なる色合い、その徴の意味するところは。]
だが、お前という器は無窮ではない。
お前の器が途方もなく巨(おお)きくとも、みやこに溢れる穢れ全てを収めんとしたとて収めきれるものではない……
話に聞くお前の主は本当にみやこを守護し奉らんとしてお前を作ったのか。
おれは……
[そこまで畳み掛けたところで。
ふと己の落ち着きを喪った様に気付いたのか。
きつく寄せた眉を開き、大きく息を吐く。]
……いかんな。
どうもひとの善意というものが信じられぬらしい。おれは。
…そなたも、どうぞご無事で。
[彼の法師に促されるままに、狐は垣根の外へと身を隠しておりました。
禍々しき気配は、己には辛いものでもあったので。
ふと見上げた空、落つるはふたつのほうきぼし。
狐は思わず、高い声で鳴くのです。
袂に収めた彼の笛には、ぴしりと亀裂が入っておりました。]
―大殿邸・庭、門近く―
……検分はお済ですか?
[陰のある細いおとこに、声をかける。
薄笑み、己と似たような笑みだろうか。分からない。]
…あぁ、嗚呼。何方が彼の御方を。
[件の笛を胸に擁き、はらはらと涙を零すのです。]
あの御方へのご恩は、未だ返せて居らぬというのに。
あの御方の笛の音を、未だ聞けておらぬというのに。
──大殿の屋敷・中庭──
[白藤に声を掛けられ、おとこは困ったように色褪せた薄茶の髪を掻いた。]
…いやあ。
検分は、むしろ中将どののお勤めでしょう。
わたしは、ただ。葬儀の手はずを。
血がつながるか繋がらぬかは兎も角、大殿を悼む屋敷の者や、身内のものがおられましょうゆえ。
[身内のものと云ったところで、おとこはおのれの兄を見た。]
──屋敷の外──
[空に星の流れたを、鳶尾が見たわけでは無かった。
ただ、星の引く尾の消えたあと、するすると立ち込める黒雲を見た。
いかにも不穏な雲は、さりとて雨を降らそうとするであなく、頭上に立ち込めては陽を遮り、不吉に影を落として広げる。]
鳴き声…?
[高い鳴き声。
狐の物と分かっていたが、何故こんな所で?
そう思ったのか、辺りを見回してみる。
しかし、其の鳴き声の主は見当たらず…
見えるは空を見上げる白藤の姿]
…?
[同じように空を見上げれば、見えるは二つのほうき星]
お前は、純粋な式らしい。
余分なものが無い。簡素で、しかも力づよい。
お前を生み出した理由は何にせよ、
[と苦笑しつつ一旦開いた眉根は。
すぐさまにまた寄せられた。
邸の塀のすぐ外から響き渡る、狐の鳴声。高く。
その声の方へと顔を向けると、みきり、と音がしそうなほど深く、皺というより溝が眉間に刻まれた。]
…人が悲しみを恨みと為すのは、このような時で御座いましょうか。
[よくして頂いたこと、いやそれだけではありませんでした。
ずっと焦がれていたのです。
あの笛のあるじは、どのような素晴らしい御方なのだろうと。]
[空へ向けていた視線と顔を永漂へと戻し]
……そうですな。
手はずを整えてくださり、ありがとうございます。
屋敷のものも、多少は心が慰められるでしょう。
[少しの間、眼を閉じる。
――次に開いたとき、見えたのは 兄 を見る 弟。
剣呑な、奇妙な空気
そして何よりもあの空が酷く不安にさせる。
星が 落ちる。]
[目が暗い所為で、先刻までは兄の傍にいるかれが汐であることがわからなかった。
おとこはゆっくりと庭を歩いていった。おとこと兄の距離が近づいたゆえに、汐のことも認識する事ができたのだった。]
[そちらへと足を向けたところで、気が付いたように黒白の式に振り返り、]
……来るか?
[端然と座り居る式──未だその名付けられたる名を知らず──に寂びた声を掛けた。]
[影居の厳しさを秘めた横顔は 先(せん)の緩みはなく
鍛え上げた鋼の心 よく研ぎ錬られた刀であった
妖狐の鳴く声に そちらへと顔を向ける]
お尋ね者 クインジーは、流れ者 ギルバート を能力(襲う)の対象に選びました。
…汐どの。
薬師のあなたも来られていたのか。
なにやら巻き込んでしまったような心地がして、申し訳ないねえ。
[遠くで 犬の鳴き声がきこえた気がした。]
[けれども、まばたきをしたおとこの耳に正しく届いたのは、狐の声だった。]
…葛木?
[案じるようにささやいた声は、低く響かず。
空をみあげても星の光は暗い目ではうまくみることが出来なかった。おとこは困ったような表情のまま、近くの兄へ、そして汐に、白藤に顔を向けた。]
──空になにが、見えますか?
─故大殿邸の庭─
[緩みの無い足取りで、真っ直ぐに外に通じる門へと向かう。]
鳶尾──
[己に従う式の名を呼べば、その顔は決然と。]
…此は…不吉、と言うべきなのかな?
[落ちる星。
視線を下ろし、禿の髪を掻く。
ふと、法師の言葉に目を瞬かせるが]
…何。私は白藤の兄さんに話を聞きに来ていたのですが、ね。
巻き込まれ…てるのかはよく分かりませんが。
法師様は悪くはないでしょう…恐らく。
[緩く首を横に振った。
顎に手をやると、法師を見やる目を細め。
白藤の言葉に、小さく頷いた]
[御簾の中までもどこからか狐の鳴く声が聞こえてきて、御簾の外を見つめ]
狐の声のように聞こえましたけども。
この京の中でそんな声を聞くなどとは。
[どこか不吉なものを感じて、わずかに身震いする]
[遠い呼び声──それは単純に知覚できる範囲での声というものでは無かったかも知れないが、
喚びつけられ、はたと我に返る。
一度、邸内に溜るものたちの顔を見て
門の横へ黙って控えた]
修道女 ステラは、吟遊詩人 コーネリアス を投票先に選びました。
[垣根の脇へとへたりこんで、ゆるゆると頭を振るのです。
笛は、彼の方より預かりし件の笛は、
口を寄せ、息を吹き込もうとも、二度と歌おうとはしないのでした。]
─故大殿邸門前─
[足を止め、門の横に控える己が式にちらりと視線を送る。]
急いで行かねばならん。
間に合わない──だろうが、それでも。
[元来気難しい顔だが、今はそれが凶相とも見えるほど険しい顔つきになっていた。]
──先んじて向かいましょうか。
それともすぐにもお運びしますか。
[今度は無我──識の視線を感じながらもその顔へ目を向けず、短く応えた。
健脚である主と人ならざるものものの道行き、徒歩で進んだところで大した時間は掛かるまいが。]
[門へと向かう影居らが見える。
険しい――酷く険しい顔だった。]
……
[それが伝染したかのように、眉間に皺が寄ったまま。]
凶兆だな。
[呟いた。]
わたしは目が暗いのでね…
星の光は、明るいものだけ、滲んでみえるのだけども。
…おつる星か
──見えなかったな。
[兄からすこし顔を背け、白藤と汐に、困ったような笑みを浮かべたままで呟いた。]
[ゆるゆると車は進み、やがて中将の邸へと辿り着く]
なにやら、お騒がしいご様子。
何か、あったのでしょうか。
[御簾を上げて若宮が降りれば、後ろを付いていくつもりで女房の手を取る]
……そうでしたか。
気づかず、申し訳なく。
[おとこの目元の影、それゆえだろうかと思いながら見つめ]
――遠い、ですからな。
すぐに、きえてしまった。
[茫とした目は焦点は結ばずに広い視野――否。理へ向いているようでもある
主のみへといらえる式神――鳶尾は何処ぞに心を引っ掛けていたのか …あえて目を向けずに居るのは]
[門のところへ出てきた方々へ、人の姿をした狐は涙に濡れた面を上げるのです。]
行かれるのですか?彼の御方の所へ。
…凶兆が御座いました。おそらくは……。
[既に。との言葉は音にはならず。
握り締めた竜笛には、深い亀裂が入っております。]
…凶兆、か。
まぁ、兄さんの聴いたとおりの話であるならば…
[手は髪を掻きつつ。小さく息をつき…
法師の言葉には]
…それは不便…でしょうねぇ…
[もう一度天を仰ぐ。
しかし、白藤の言う通りほうき星は見えなくなっていた]
飛ばせ。
事は一刻を争う。
[きっぱりと命じ、自分は式に力与える禹歩(うほ)─本邦で行われる反閇の原型となった歩行術─を開始した。]
[短く断り、影居の肘の辺りへ手を添え]
[力を得てはいつも自分ひとりでするように
門前よりふい、と消え
おのが主の念ずる場所へ──]
−中将殿の屋敷への道−
[若宮様に同行し、中将殿の屋敷へと歩いていく最中]
・・・・・・匂い。厭な匂いがする。
[このような状況で若宮様の傍を離れるのは芳しくないのは承知している。だが間違いない。
これから向かう先に、何かある。
傍に他の従者もいる、今なら]
若宮様、大変申し訳ありませぬが、思うところある故某先行して中将殿のお屋敷へと参ります。どうかお許しを。
[少し間があった後、若宮様の小さい許可を頂き、中将殿の屋敷へと向かう]
[後をついていくに従い、血の臭いがきつくなってくる]
これは……。
(何でこんなに血の臭いが。誰が、やられたんだ? まさか、中将……が?)
[先へ付いているはずの、侍従の男の姿も見えず]
……。
[あの方角は]
橘の――屋敷だったかね。
[誰に聞くでもなく謂って、門の方へと歩いていく。
しろいきつねが泣いている。]
・・・・・・
[既に気が付いたときには、中将の頬は血にまみれ、自身は中将の体を貪る様にまさぐっていた。
局所をなめらかに、かつ強く刺激し、その反応を弄ぶ。
もう数刻後には潰える命を背負い、何も出来ずただ屈辱に塗れる姿を見ながら、富樫は激しく興奮していた。
これこそが理性を失うことで手に入れることの出来る快楽。これこそが己の中に蠢く欲望。死の気配と性欲に溺れ、最後に富樫は恍惚の表情で。
橘中将の四肢を喰らった]
いや、白藤どの。
謝られることは──
[こまったような笑みを二人に対して浮かべたまま、おとこはおのれを祓いを花山院の屋敷で行うてくれた陰陽師の「凶兆」と云う言葉を聞き、ふと何かを思いついたように汐に近づいた。]
この位の距離ならば──なんとか見えるのですよ。
[そのような言葉を続けながら、おとこが至近距離でじっと凝らしたように探っていたのは、大殿を内側より喰ろうた呪と化した野犬の気配。
天をあおいだ汐の首筋におとこは骨張った手をのばす。]
[乾いたおとこの手のひらが、そっと汐のうなじに触れた。]
・・……
(──獣はここにはない。)
ああ、失礼を。
汐どのは、形のよい 首をしておられる。
[薬師との出会いがそうであったゆえに、おとこは大殿を喰ろうた犬が、汐の元へもどり来る気配がないと云うそのことに安堵をおぼえたようだった。]
[おとこが基点となす場所は若宮の居る場所──
何となれば、怪異の起こりたる左大臣邸にこそ、若宮はおわします故に──]
−中将殿の私室−
・・・・・・これは、一体!?
[既に館の中は騒然としていた。混乱する従者を掻き分け、その私室へとたどり着いた富樫は、予感が的中していた事を察した]
な、なんと惨たらしい・・・・・・
[中将殿の体は切り裂かれ四散し、既に息絶えていた。まさに回りは血の池、さらに着衣は失われ弄ばれたような後もある。
胃の中からこみ上げてくるものを必死で止め、近くにある布を上から被せる]
この位…?
それほどまでに近づかねば見えぬとは…
[直ぐ傍まで来た法師に目を丸くしつつも。
其の目を見つめ…]
…!?
[目を瞬かせる。
項に何かが触れたためだった。
…声を上げなかったのは直ぐ傍に法師が居たからだったのだろう。
しかし、其の原因も法師だったのだが]
は、はぁ…首、ですか。
首を褒められた事は無かったですねぇ…
[自身でも首に手を当ててみて。
しかし、其の首が良い形をしているのかは分からず、首を傾げつつ]
──橘の中将の屋敷・廊下──
[急ぎとあらば礼も置き去りに門をも超え、中将の私室からはすこし離れた廊下へ──以前に来たからおおまかのつくりは識っていた]
[まだ血の匂いの届かぬ場所であれど、
慌しく動くものたちの気配は遠く近く感じる。]
[…白藤が行く先を見やる。
門へと向かう其の様子に、少し考えていたが]
…どうしたのです?
[声を掛けつつ。首に手をやりつつも後を追う]
[――穢れていた
血腥く 闇と紅を孕んで
幾つもの業(ごう)を 呪を 怨を その身に請けて
胎(なか)は たぽり たぽり と 巨きな穢れをおさめていた
ゆるりと繋がった刹那 跳ぶ一時の間に安倍影居に知れよう
その穢れは
一日や一月のものではあるまい
嗚呼もし その文を見たのが目の悪い花京院明輔という法師でなければ 既に半年を経た紙と墨の翳を知ったろうに]
一体何が起こったのだ!事を見たものはおらぬのか!
[部屋から出て、廊下の喧騒へと声を荒げる。だが混乱した者達はただこの状況から脱する為に叫び、そして混乱した様子で行き来するだけであった]
[門をくぐり、向かうは中将の寝所で、走る女房や従者らしき男たちから漏れる声を聞けば、中将のみに何かがあったことが判り]
……この、臭いは。
[進む足を止めて、若宮の裾を掴み]
若君様、行ってはなりませぬ。
お待ちを。
[行けば、若宮が気を落とすのは目に見えて、気を落とすだけでよいならまだ良いが、心神を喪失しなければ良いと]
─橘左大臣邸─
[基点となる場所を少し外し、勝手知ったる左大臣邸の適度な場所を到達点として結んだ。
いきなり邸内に出現したことになるが、幸い見咎める者も居らず。
ざわめく邸内の雰囲気を感じ取り、眦が吊り上がる。]
―大殿邸 門―
[首についての遣り取りは途切れ途切れにしか聞こえておらず。
泣くしろいおとこを見て眼を伏せた。]
……ひとが居たんでな。
[門が面する通りはひともまばらで、
ひどく寂しいものだった。
向いた先は星の落ちた方角のひとつ]
橘の屋敷――へ、ひとが集っているようだねぇ……。
[どうするか、と考える様子。
薄笑みは無く。]
おとこがおとこに首のかたちを褒められても困りますかねえ。
[と、何かを冗談でまぎらせてから、話をしようと思うたのか。]
…汐どの。
影居どのは、大殿の寝所に若宮さまが踏み入れてしまったことを嘆いておられたが、理があるとわたしも思う。
…大殿を喰らった犬の呪に一度触れてしまった汐どのも、また同じく。
今後の不安があるならば──花山院の屋敷に。
よろしいならば。
[おとこは碌に挨拶すらしておらぬ兄を見て、咄嗟の会話の流れに兄が汐を歓迎する様子に暗い目を細め、 暫しの沈黙ののち──]
ああ。
わたしも都にいる間は、花山院の屋敷に滞在いたしますがゆえ。
[星を負うたものたちだけが
なにかに引き寄せられるように
──橘 智鷹の屋敷へ 意識を向かわせる 足を運ばせる]
[星のみえぬおとこは、汐と白藤の背を送りながら、狐の声のかなしさに、わずかに眉を顰めたのだった。]
─橘左大臣邸─
──いってらっしゃいませ。
[辺りの喧騒をしても、既に事の起こったことは疑いようも無い。
ひたりと控えた姿は、図らずとも無我と同じく]
…何方が、何方があのような…。
[何かを垣間見てしまったのか、震えの止まらぬ肩を抱きます。
未だ其処に居る御方に、目を上げて問うのです。]
乱れた気持ちが収まりませぬ。
あの方をあのような目に遭わせた方に…同じ痛みをと希う。
そんな己の気持ちが恐ろしいのです。
うらみ、とは…このような心持ちの事を言うのですか?
[ゆうらり目を開く。世界は暗い。熱くて寒い。
あぁ、自分は何をしていたのだろう。覚えがない。何も。
見えるものはぼんやりとした世界。
まるで夢と現実の狭間のようなその世界は見ようとすれば消え、見まいとすれば浮かび上がる。
感じ取れるものは今は懐かしきものとなった我が家と既に殻となった己の体を遠巻きに見る家人達]
………何故皆泣いている…?何が…あった?
人?
[白藤の言葉に緩く首を傾げるが。
門前に行く間際、法師の言葉には苦笑いし]
…首の形を褒めれる方は少ないでしょう。
ふむ…?
[話を聞いていたが、顎に手をやると]
…成る程。
見に来るだけでも関わった事になってしまうのですか…
それは…弱りました。ねぇ…
ええ、もし不安が募る様なれば…法師様の。
花山院のお屋敷にあがらせて頂きましょう…
[そう言うと、法師と師輔に頭を下げ、白藤の元へと]
[先ほど繋いだ刹那に察知した、黒白の式の負うた穢れの巨きさも気になっていたが、唯今はそれどころではなかった。
おとこには、何よりも大事な、確かめねばならぬことがあった。
──凶相の陰陽師がずかずかと、橘中将の私室までほぼ一直線に足早に突き進む。
以前に幾度も左大臣や中将に呼ばれていた関係で、邸内で召し使われている者達も影居の顔を知っていたが、皆怖れた目で見詰めるばかり。
呼び止め、或いは遮ろうとした随身達でさえも、咄嗟に口を噤んで棒立ちとなる有様。]
[その見える世界…波紋立つ泉のような鏡面は泣く銀色の男を映し出す。握る竜笛はあの時くれてやったものか]
…葛木よ、泣いてくれるな。笛もお前に握られ泣いている。
私も誰かに恨み買っていたのだろう。この結末も都では些細なことよ。
[言の葉と思いは裏腹に]
……そいつは、
[白いおとこを見下ろして、ふっと眼を逸らし]
そう。
届かぬものすらもころす うらみ さ。
野のいきものであるおまえでさえも、抱くか。それを。
[眼を閉じて]
うらみだよ。
間違いなく。
それを抱くこと、よいか悪いかはおれにはわからんがね……。
[門前へと出れば。
居たのは陰陽師と…銀の髪の男]
…
[白藤を見て。銀髪の男を見て。
声を掛けようとするも。
聞こえてきた言葉には眉をひそめ。口を噤んだ]
なんと・・・・・・一体どうしたものか。
[高鳴る鼓動を抑え、頭を冷やす。周りを見渡しつつ何か手がかりがないかと探る。
壁にまでべったりとついた血糊。だがよく観てみるとそこには人間の掌の形]
・・・・・・人。犬ではなく人。
もしこの手形が橘中将の物ではなかったとしたら、喰ったのも、人だと言うのか。
[確証には至らない。だがもしそうだとしたら、ここに人が居、そしてこの凶行を目の当たりにした可能性が高いという事]
[この先に行かせてはならない、と若宮を留めたまま、それでもなお行こうとするのならば、傷が痛んで裾を放し]
(中将……。ほんとうに、死んだ。のか)
[袖で鼻を押さえ、血の臭いから庇うように]
先程の邸もそうでしたが、ここも尚血の臭いが、きつすぎる。
貴女は、下がっていて。
[若宮には聞こえぬように、付いていた女房へ声をかける。自身は血の臭いにも慣れている。凄惨な状況も経験はあった、が老いた女房には酷と気づいて]
[調べるならば、今さっきそこらに四散していた肉塊の中に中将殿の掌があるか探ればよい。そして壁の手と照らし合わせればよいのだろう。だがさすがにそれは気が引けた]
─橘中将の私室─
[無惨に朱染まる室内。
血の海には形ばかり衣が被せてあったが、その下にある「物」の形は隠しようもなく。
塗篭に、人の手形がべっとりと血の痕見せているのが、愈々もの凄まじい。
そこへ、凶相の陰陽師が踏み込んだ。]
[歩くに騒がしい音の無いものたちだから、障子のぶつかる音だけがよく聴こえた。]
[障子に光が遮られ、人気のない部屋のこと──いまは使われてもいないから、明かりも無い。わずかの光を背に立つ無我の顔はいよいよ霞む。
振り返り、刀へ手をかけた]
さて。
先ほどからあらわれては
……何のつもりだ?
[部屋に入ってくる人物は、確か観たことがある顔だった]
そなたは確か・・・安倍殿か。
[安倍殿も表情は険しかったが、自身の表情もこわばっているに違いない]
某がたどり着いたときにはもう。
わたくしは……
[返る言葉に項垂れて、笛を握った手は震えました。]
それでもわたくしは、彼の御方の仇をうちとうございます。
[それが何を意味為すものなのか。
恐れ多さに狐はその目を伏せるのでした。]
[血まみれの自室がまた映し出される。そこにいるのは富樫。この声聞こえるなら宮様を中にお通しだけはすなるな
そして凶相と共に入ってくる者は]
……影居、お前には見られたくなかったな。
そんな情けない姿…。
[向き合って目を向けられては、刀へかけた手に力を込め
ぐい、と身を沈める。
一息に刃を抜き、背にした障子ごとほそい胴を貫かんとする勢いで
突いた]
[無言で目を床に落とされ血に染んだ衣に落とし、
無造作に踏み込んで手を掛け、引き剥いだ。
衣の下に隠されていたものが露わになる。]
本当に無念だ。まさか中将にまで呪いが。
[壁の血糊の一部に目をやり]
あの血の手形が中将殿のものでなければ、凶行の最中にいたのは犬ではなく人、ということになるようだな。
──大殿の屋敷・中庭…→門──
[おとこは、兄と並んだところで、ようやく兄に顔を向けた。
おとこの声は相も変わらず通らず そして今は 地を這うように低かった。]
・・おひさしぶりですね、兄上。
[暗い目で兄を見る──。]
兄上は、都を落ちたわたしとは違って、花山院の名を、
よく保ってらっしゃるようだ──
大殿の葬儀の手配を、先ほどわたしが整えられたのも、うろんな法師がうろついて居られるのも、花山院の名あってのことでしょう。
[その刀は識の腹を突いた
刀が返され ――その胎(はら)、その胎(なか)が顕になる
僅かな隙間から覗いたのは
胎(うち)を埋めつくす無数の極彩色の徴
鳶尾に切り裂かれる事はなかった
その細い指にどこにそんな力があるのかと思われるほど 強い力で鳶尾の手首を握り 動きを封じる]
[――藤の甘い匂いがした]
ああ。文に書いたとおり。
わたしの記憶は──ほとんど戻らぬまま。
兄上に遊んでいただいた、子どものころの事はようくおぼえているのですけども。
大人になってからの事は何も。
[おのれが、門の外で鳴いている狐に、行き倒れたところを助けられたのだ。と云えば、この兄はなんといらえるのだろうか、と──おとこは想うた。]
[──目は逸らさない。
ただ、きつく顰めた眉根の下の目が細められ、
噛み締めた唇にじわりと血が滲んだ。]
智鷹……
[地を這うように低い声が、*歯の間から洩れた。*]
……そうか。
[顔をしろいおとこのほうへ戻して]
それをとめる理由も、権利も、おれにはない。
とめようとしたって、どうなるもんでもないしな。
……好きにすればいい。
[蒼いおとこと、この白い狐がいかな繋がりかは白藤は知らない。
しかし、この嘆きは確かに在るものだ。
項で揺れる翡翠と後ろ髪に手をやり、少しだけ滑らせ]
……信用できるって謂ってくれた傍から、これか。
[微か、苦い笑みで呟いた。]
大人になってからの事を、何も思い出せないと云うのは。
嘘ですね。
葛木に会うて
おのれが行き倒れていた時のことを思い出し、
兄上に会うて
わたしが兄上をどのような想いを抱いていたかを思い出した。
[腕は中空に捕らえられ]
[目は、はら に]
[目まぐるしき、溜め込まれた色彩を──
美しいと思いこそすれいまは]
──────おぞましい。
……大殿が屋敷にあらわれ、
我が主に取り入って、何とする。
[抗い太刀を戻そうとするも、細い指はからだに食い込むばかり]
……ぁ。
[突然小さな声を上げ、狐は顔を上げました。
普段は細いその目は、恐怖のあまりにか大きく見開かれ、
震えながら首筋へと己の手をやるのです。]
…何故、…何故……そんな。
[霞む意識に見える景色は、己の目の高さとは違っておりました。
耳元で聞こえる囁きに、確かに覚えはあったのです。]
…恨み辛み…か。
[まだ背に負う傘を頂いた中将の死を知らぬ薬師は頭を掻き]
やれ。何とも言えぬ…
あの部屋を見るのも。近づくのも辛かったが。
悲痛な声を聴くのも辛い物ですねぇ…
[門に凭れ。白藤と男を見やる]
[かつて、山にて行き倒れていた彼の法師は、
深い夢の中に魘されておいででした。
幾度も呟くうわ言は、誰かを妬み恨むものだったような覚えがありました。
そう、今聞こえたのと同じ声。]
『 に く い か 』
『 に く い か 』
『 に く い よ の 』
『 主と添い遂げたいのであろう 式でありながら 』
『 誰にも渡さず 闇の中閉じ込め奪い貪りたいのであろう 』
[藤の匂いは 藤色の靄を伴い 何時しか辺りを覆う]
『 お ぞ ま し い は 』
『 身 分 弁 え ぬ お 前 よ 』
『 嗚 呼 『欲望に』
『身をゆだね』 よ―― 』
[藤色の靄は鳶尾の身を包み込み染み入るように]
[四十を過ぎたの立派なおとこが、喉をそらせて苦しげに喘ぐそのさまを。押さえつけた手のひらで、気管の ふるえを味わうごとく。]
ふふ・・…
兄上は野心家でいらっしゃる。
昔から、お強くもあった──
お強いがゆえに 弱きもののこころが分からぬのでは無いかと。
ああ 今、鳴く狐にも、
少しばかりの好奇の気色を浮かべられましたな。
[首に掛けた手はそのまま、おとこは兄に息が掛かるほど顔を近づけたかと思うと]
…兄さんが…凶星、だったとしても、私には分からないからねぇ。
[ぽつり、と呟けば。白藤の側へと寄り。
其の顔を見つめ]
だとすると。
私は私の好きな様に流れれば良いのかねぇ?
[口元をつり上げれば、銀髪の男に視線を移す]
所で…其方の兄さんは大丈夫…じゃ、無さそうなんだが。
[白い膚のうえの唇は、そよとも動いた風が無いのに
声が──否、声は無い
藤のかおり──否、気付けば藤の色が染み出している
目が眩むようだ
何故か、
白いかおはくっきりと見えるのにそのかおつきは知れぬ]
[おぞましきは]
[奇しくも、心中のことばが染み出しでもしたか
否、これは私の言葉ではない]
────否、添い遂げる?
私はただ、何故か 酷く悔しいと
[途切れ途切れのこの言葉が私のものだ]
[身分も弁えず]
[身をゆだねよ]
[命じられることには弱い────否、これが強いのだ。
いっときでも美しいと、
悪しきにあらずと思うたはあやまりか]
[抗っていた筈の腕にいつしか力はなく]
[きりきりと、音を立てそうなほどに睨み付ける目は藤に霞み]
…なりませぬ。…なりませ…ぬ…。
[頸を押さえるその手が震えます。
重なったこころは恨みよりも、驚きと哀しみに彩られているように思えました。
あぁ、今逝かれる此の方は、人を喰らうような方ではなかろうと。
それだけを覚えて、
白狐は人の姿のまま、くらりと崩折れるのでした。]
[振り向きかけたのを、汐のこえに一度とめて。]
――そいつはお互い様だろう?
[笑みを敷いてしずかな声。
見つめられたのに、首を少しだけ傾けて]
そうだな。
好きなようにすればいいんじゃないかねぇ。
……うらむも。
……祟るも。
それを、祓うも。
[おのれが喪に服したまま、流れているように。
白い狐のおびえる様子、眉を寄せて
改めて背後を向けば、師輔咳き込みふらついていて]
……何を?
[怪訝そうに、聞いた]
[無我が喋っている声ではなく 声は虚空より聞こえているようだった 靄が凝結し誰とも知れぬ顔をつくると霧散し するすると鳶尾の口に滑り込み甘い湿り気で満たす]
[もう片手その指先を伸ばし 鳶尾の喉を柔らかに掴んだ]
[花山院 師輔が、久方ぶりに再会した弟に、その時何を云ったかは分からぬ。
だが、弟は兄より先に門にたどり着き、やはり薄笑みをはいたまま銀狐に変わらずやさしい声をかけたのだった。]
・・…葛木。
きみは、おそろしいのかい?
だいじょうぶ か な。
[くらり][崩れた狐をおとこは白藤の反対側より、膝をついて支える。]
[近く、白藤のそばにある男の目はまた暗く──]
[身分も弁えず、
あさましきと思うたは確かに私のこころだが]
[口内へ忍び行ったものを、反射的に飲み下さんとしたが
喉元を抑えられては、半端なところで息を詰まらせる]
[誰そを]
[問われては他に心に浮かぶもののある筈もなく、]
[その隙へ何かがこころ――否、身のうちか、同じこと
するりと忍び込んだようだ]
[嗚呼、あざけり笑う]
[中将の寝所から出てくるものたちの顔を見れば、そこがどんな状況であるのか、見ずともわかり]
若君様はどうぞこちらに。留まられてくださりませ。
(放っておけばいい。中将がどんな死に様でも、それを若君に見せてやればいい。それがどんな衝撃であろうと、おれには関係のないこと)
[そう思うのに、体はそうではなく、この腕は離すまいと、若宮の自身よりも小さな体を後ろから抱きしめて――]
(――葛木と名乗っているのか)
……陰の気が、濃いですからな。
あてられたのやもしれませんが。
[墨染めの男は、くらいくらい眼をしている。
それと悟られないようにできているだろうか。
警戒が解けない。この男は 何故だろうか――酷く 恐ろしい。]
……別の場所へ運んだほうがよろしいでしょう。
[す とさりげなく眼を逸らす]
…そうか。兄さんにも分からぬ、か。
なら。好きな様に流れれば良いか…
[ふふ、と。小さく息を漏らせば。
崩れ落ちた銀髪の男に近寄って]
…気を確かに…何処か具合が悪いのかい?
[背負っていた箱を下ろし。
後ろより聞こえた法師の声に振り返った]
『 それとも 之が識か? ―― 』
[指の力が緩まる]
[靄が無我の周囲から取り払われ鳶尾に全て吸い込まれてゆくと 無我のその身は障子を滑り刀が抜けた ――紅いの染みは何処にもあらず]
[憑物が落ちたような態で膝を折り ぺたりと座り込む]
[白藤が、汐が、葛木に気を取られたほんのわずかな隙に
《逢魔》
庭に居たはずの花山院師輔は神隠しにあったように、大殿の屋敷から突如すがたを消した。花山院の従者、屋敷の者に、検非違使が、夜を尽くし声を枯らし探せど呼べど姿は見えぬ──。]
[花山院師輔の屍骸は、翌朝
一番鶏のけたたましく鳴いたすぐのちの刻]
[皮肉にも、橘 智鷹が必死で守ろうとした内裏で発見されることとなる。]
[藤色の霞みなど何処にも無い]
[刀の幅だけわずかに空いた障子の穴から、かぼそく光が這入って無我の肩を照らす。刃傷沙汰の名残はそれだけだった。]
[ひとつ音を立て、刀をおさめた。]
──はぐれの識なぞに我が心の惹かるるものか。
[無我を見下ろすかたちで云った。
すこし身を屈め、僅かに見える胎の傷へ
ほじるようなしぐさで手を伸ばした。]
[汐に首をかたむけ、]
葛木は、山で、行き倒れて死にかけたわたしを助けてくれた。
…ああ。
毒が強いのかもしれないねえ。
[白藤の言葉に、おとこはおのが手のひらを反対の指でそっと押さえてみせる。]
花山院の屋敷に運んでよいならば、運ぼうか。
汐どのが、滋養のある物を商っているならば、葛木にくれてやってはくれぬだろうか──
…おや。
兄上は、先に屋敷に戻られたのか。
この刹那の隙に?
[兄の了承を得ようとおとこが振り返れば、花山院 師輔の姿はすでにそこに無かった。]
[その場に居た者たちがどう動くかはともあれ、おとこは兄の居らぬ屋敷──居心地悪く、白藤に庭で祓いをしてもらった──へ*もどるのだった*。]
―大殿邸・門前―
……奇縁、ですな。
[ぽつり呟く。
伺うように永漂をの眼を見るが
ただ其処には暗い影が落ちるだけ。
手を押さえるしぐさ、視線はあいまいに]
そうさせていただけるなら。
此処にいるのは、あまり良くないでしょうからな。
……薬師の出番みたいだな。
[などと、汐に謂って]
[しずかに遣えるものと云うよりかは、夜盗のような粗野な仕草で、
素早く傷跡に手を伸ばし、
その中に蓄えられたものの端へ指を掛ける]
[ずるり]
[つめたい風が
一瞬吹き抜けた気がした。
そこには誰も居ない。]
……?
[おかしな気配、だけれども、それを追うことはできなかった。
無残に塵となった折鶴のありさまを知るのは
朝の報せの後となるだろう。]
…山、ですか。
[山、と言う言葉が気になった様だが。
少し考え。背負っていた箱を下ろし、一つの草の根を取りだした]
命の恩人、と言う事ですかねぇ…
恐らく。陰の気に当てられたので在れば。
此を煎じて、白湯と共に飲ませると良い。
貴族の方々に売る事が多かったのはこの根、なので、ね。
[法師に手渡すと箱を背負い]
流石に。気を失ってるんじゃあ話も聞きようがないので。
大雑把な対応しかできませんが、ね。
…お代は結構です。一度…助けて頂きましたしねぇ。
[師輔が居ない…と、分かると、髪を掻きつつ]
何とも早くお帰りになる方なのですねぇ…
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新