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貴族 サラ に 1人が投票した。
捨て子 リリアーヌ に 2人が投票した。
新聞屋見習い アイリーン に 4人が投票した。
新聞屋見習い アイリーン は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか。
照坊主の下駄が、どこからともなく 捨て子 リリアーヌ の頭に飛んできました。
からんころ〜ん♪…明日は… 真夏日 かなぁ?
暗雲が去り、まぶしい光が降り注ぐ。――全ての人狼を退治したのだ!
わーあまぐりさんだー!!ヘンリエッタもわたしも「えっ……?すき。」「えっ?えっ?先生好き……」ってなってた……
あざとくしてすまんな!!
「……サラ、ごめんなさい。
私あなたの言うことを聞かなかった。
因縁は大丈夫、なんて言うから。
でも私、先生のお心を覗いてみたかった。
いい子でなくてごめんなさい。」
投票は最後まで自分でやってしまい、占ってと言われたルーツは占わなかった。
強くてしなやかで、完璧なレディであったサラへの。
意味は特にあるはずもない対抗の気持ちだった。
エルスは確かに眷属などではなかった。
小さな病室でいろんな人を診る姿が見えたような気がした。しかし、霞がかかって届かなかった。
ヘンリエッタには、届かなかった。
花束に、なりたかった。
街はとてもとても静かで。
誰の気持ちとも裏腹に空は青々としていたかもしれない。
広場に出てきたら、ここにも風が吹いていた。
[少女は目を覚ます。昨日は寝付くまでリリアーヌが隣にいてくれただろう。]
「.......んむ。あれ.......ここは?」
[久しぶりに、自分の目を通して見る世界.......実際の世界とは隔絶された世界に、戸惑い、辺りを見回した。]
「リリーちゃん?」
[その声が友達に届くことは無い。]
一瞬、視界が翳り、半分の視野が失われる。
…いや、失われた視野が戻ってきた。
目線を下げると、油の染み付いた手のひらが見える。
「おお、戻ってきたか。流石我が身体、人手に渡っても戻りさえすれば十全に動かせる。ふふ、馴染む、馴染むぞ……!!
…と、そうか。」
欠けた視界の端に、所在なく佇む赤毛の少女が見えた。
「…トッティ少女か……彼女は何を背負っていたのだろうな。」
テルミットを騙りサラを護ると言い、アイリーンの手助けをしてくれた心ある少女が、何故この状況に至ったのかと思い、その名をぽつりと呟いた。
全てが終わった。この戦いを生き抜いた者も、“命の時計”を砕かれ、魂とだけなった者も。
明けていく空を見て、そう悟ることだろう。正しく時を刻む《マザー・クロック》は、この巨国の歴史を支えることを選んだのかも知れない。
数日もすれば、魔女がかけた眠りの魔法は解けるだろう。しかし、“命”を砕かれた者はどうだろうか。
母なる時計に選ばれ、この国の平和を勝ち取り。そうして生き残った者にのみ、時計の針を進めることが許される。
その先の幾重にも分かれた未来に手を伸ばすのも伸ばさぬのも、彼ら次第だ。
……。
[窓から明るい光が射し込む。昨日と変わらないような、僅かに明るさを増したような光。その陽射しは目蓋を軽く越えてエルスの意識を覚醒させる。
無言のまま起き上がる。顔を洗い、歯磨きをし、服を着替えた。顔全体を覆い隠してしまうほどに大きなマスクを被り、キッチンへと向かう。
湯を沸かし、煎った豆を機械で砕き、カップをセットして2杯分のコーヒーを淹れた。
そして、それに口を付けることなく流しに捨てた]
*☼*―――――*☼*―――――
『これでようやく、あの子を家から追い出せるわ』
『ねえ、あなた』
『そうだな、これからは家族だけで暮らそう』
*☼*―――――*☼*―――――
こつん、と。
懐かしい感触がして、リリアーヌは目を覚まします。隣にあった、幸せな温もりは無くなっていました。
「……トッティ」
救済は遠く、友を失った少女は、ほろほろと涙を流しました。
あーあ、残念。あと少しだったのにね。
でも、君たちはベストを尽くした。特に赤い髪のキミはね。
その小さなからだで、何人もの人間を模倣して。驚嘆に値するよ。
[恐らく、生きている者にはもう見えない彼女の姿を認めて、アベルは微笑んだ]
>>サラ、ルーツ、ヘンリエッタ、オブゼビオ
やあ、みんな。
お疲れ様。
「終わったんですね。」
[観測者の頁には、また新しい歴史が刻まれた。
この本を持ち帰って、この話をしたらどんな反応をするのだろう。
右眼に埋め込まれた時計の真相も知らなければならない。加護を受ける為なのか、それとも...。]
街は静かだ。太陽の光だけが煌々と降り注ぐ。
暑くなりそうだ。
[ふ、と目を覚ます。
自分の姿を確認すると、久々に、馴染みある身体に戻っていた。
終わったのだ。
ほっと安堵の息を吐いて、周りを見渡す。
──ふと、昨日までの自分の姿を見つけて。
ゆっくりと、歩み寄った。]
>>トッティ
トッティさん……
お疲れ様でした。
[恨んだこともあった。辛くて、どうしようもない時もあった。
しかし何故か今は、この少女を労わりたい。そう思った。]
テルミットの体をしたリーンの最後の記憶は、なんだっただろう。
次に瞼を開けた時、リーンはアイリーン・クロッカーとしてその意識のみを起こした。
目線の先には眠るように倒れている自分の姿。
その傍らに、砕けた時計はあったのか。
もしなかったとすれば、きっと誰かが持っているのだろう。
どちらにしても、自身を刻むその音が、止まってしまったことを自覚するには十分だった。
「ルーちゃん、ルーちゃん……」
口をついて出た言葉は、未だリーンの視界に入ることのない友人の姿。
意識の中の自分の姿が戻ったということは、正しくこの戦いは終わりを迎えたのだろう。
それならば。自分勝手にも無事を願った彼女はまだ、その未来へと続く時計の針は、今も変わらず進み続けている筈だ。
回ることのない歯車と、回り続ける歯車は、噛み合うことなどないことはわかっていたが、それでも会いたくて、せめて姿だけでも見たくて、リーンはルーツの姿を探した。
>>13 トッティ
目線を送っていた少女がこちらを視認して、駆け寄ってくる。
少女はおもむろに両の腕を広げ、いつかの自分の真似をして見せてくれた。
内心どう声をかけていいのかはかりかねていたテルミットは、束の間呆気に取られるも、不思議と笑いが込み上げてきた。
「……くく、くはは!ああーーーっはっはっはっごっほげほ。
…そうだな、モールト・ベニッシモだ、トッティ少女。
私の真似、とても上手だったぞ。あの機巧もあの大剣もすごい出来じゃないか!」
広げている両腕の下に手を入れ、トッティを持ち上げくるくる回る。
「はは!先生か!いいだろう、君は短い間とはいえ私の思考をトレースした。もう、機関の基礎はできているはずだ。……もし、本当にその気があるのならヴィブラート工房を訪ねるといい。誰であろうと、私は歓迎するよ。それが魔女殿であったとしてもね。」
トッティを地におろし、にっと笑ってみせた。
「……うん、いい子だ。子供が変に遠慮するものじゃない。子供の我儘を受け止めるのも大人の度量だ。
それに、今私は魂だけの存在になっているのだろう?世の偉大な科学者たちが解き明かせなかった知識の深淵に私は今立っているのだ!この状態が保っている間に、魂を機巧に定着させる技術の研究を進めておかねば!
興味があればトッティ少女もどうだ?なんなら希望があるならここの全員を何らかの機巧人形に収めることをも辞さないぞ!」
いつもの調子のテルミットである。
[トッティと話し終わった頃だろうか。
ルクレースはグレゴリオの姿を探した。
彼とは……ずっと、すれ違ったままだった気がして。それが、心残りだったから。]
>>グレゴリオ
……グレゴリオさん、
少し、お話……しませんか?
[セレナとの話を通して、ルクレースは、自分の口で気持ちを伝えることの大切さを改めて知った。
気持ちを表現できるようになってきた。
──そんな、今だからこそ。伝えられることが、ある気がした。]
>>19 >>20 テルミット
「きゃー!くるくるだぁー!」
[尊敬する発明家は、少女を抱き上げくるくると回してくれる。そんなふうに遊んでもらった経験のない少女は、無邪気に笑い声をあげる。]
「ほんとう!?でもねぇ、おっきい剣はまだ見た目だけだから、ちゃんばらにしか使えないと思うんだぁ。きっとテルミット先生だったら、もっともっとかっこいいのできるよね!ふふっ!
いいなぁ。トッティ.......うん!あのね、トッティ、大きくなったら、テルミット先生みたいに色んなものをつくりたくなったんだぁ。」
「それで.......みんなも、トッティみたいに、時間が進んだらしたいこと、あったんだぁ.......ってわかったんだぁ。」
[少し目線を落とすも、続くテルミットの言葉に、真剣な顔で彼の顔を見た。]
「やっぱり!テルミット先生!すごい!テルミット先生だったら、できるかも!ううん!トッティできるって思う!」
>>21 ルクレース
[ルクレースは目線を合わせ、少女の頭を暖かい手で撫でてくれる。じわりと伝わる優しさに、少女の体の力が抜ける。]
「ルクレースおねーさん.......ありがとー!
ルクレースおねーさんが書いた本、ちゃんと手に取って読んでみたいな。
あとあと、あのね、
アーネストおにーさんと、おじさんと.......いっぱいお話してあげてね。おじさんも、ほんとはちゃんと、ルクレースおねーさんとお話したかったんだよ。
あのときおじさんにお話したことは、トッティが言いたかっただけのことだから.......その。」
[話しているうちによく分からなくなってきて、口を一度つぐむ。]
「.......トッティもルクレースおねーさん、とっても好き。」
>>23 トッティ
「はっはっは!お易い御用だ!いくらでも回してやろう…!」
「ふむ、それは残念だな。しかしあれ程の物を生み出した発想そのものがすごい!よおし、それならば作るまでだ!変形はいいぞ!大剣から鎚への可変に加えて、砲弾を内蔵して遠距離攻撃にも対応しよう!大剣を展開させて大盾モードを追加するのもいいな!
トッティ少女……いや、トッティと私とで作るんだ。素晴らしいものになるぞ!!」
「ああそうだ。皆、自分の時計の針が回ってどんどん新しい自分になっていくのを楽しみに生きているんだ。それを他人が勝手に止めてしまうのが悪い事だということがわかったんだろう?それはトッティが新しい自分になれたということだ。
確かにトッティは悪い事をした。さっき私にしたように皆に謝りたいのなら、私も一緒に謝ってやろう。
なに、弟子の不手際の責任は師にあるものだ。」
この先どうなるかなど、そんなものは時の魔女の気分ひとつだ。あるかもしれない未来を思い描くことは罪になどならないだろう。
昇る太陽を見ていた。
東の空が紫色に染まり始め、金色の光がきらめく夜はその姿を朝の光の中に隠し始める。
「……終わったか。」
ゆっくりと、太陽が空に昇っていく。
黒紫青橙。その順に、空の色が変わっていく。
遂に星達が太陽の光で眠りにつくと、この街で久方ぶりに見る空の青さが目に染みて、柔らかな風がレーヴの頬を撫でた。
全てが終わって、始まった。
時が動き始める気配がした。
………本当に、そうだろうか。
隣で眠るレーヴはやはり目覚めることはなかったし、濃いクマが消えることもなかった。
その手元にはもう腕時計もなく、命の時計もくだけてしまっている。……けれど。
『attrape-rêve』
それが、時計職人の夢を捨て、この名前を背負って生きたレーヴの役目なら。
その手は宙を切り、もう何も受け止めることなんて出来ないけれど。
どうか、最期まで。
あの子がそれを心から望んでいるのなら。
あの子が幸せな夢を見れるように。
傍で見守っていてあげたいと、そう思った。
「………よし、行くか。」
立ち上がると、その小さな姿を探し始めた。
腕時計を託した、小さくて大切な友人を。
もう二度と、目の覚めることはないと思っていた。
まだ自分の存在はここにあって、そのことに少し安堵する。今までと同じ原理なら、少女もここに来ているのだろう。目立つ赤髪を探しに俺は立ち上がった。
>>トッティ
「トッティ。やっと見つけた。ごめんな、一人にして。」
彼女の目の前へしゃがみ、目を合わせて柔らかい髪を撫でた。
>>24 トッティ
手に取って……そう言ってもらえて、嬉しいです。
[言いながらも、自分たちにはそれがもうできないのであろうと悟り、切なくなる。でも、それを少女に言うこともできなくて、ただ頷いた。]
お話……
ええ、沢山したいなって、思ってます。
大丈夫ですよ。あの時、悪意があってああ言ったのではないって……もう、わかってますから。
……私もトッティさんのこと、大好きですよ。
[告げて、ルクレースはぎゅっと優しく少女を抱きしめた。それは本心からの言葉だった。
――沢山の罪を犯したのは、事実だろう。
沢山の人の時間を止めてしまったのだ。
でも、それは、今回の事件に関わった人全員に言える罪で。
この子がその事実に向き合いつつも、幸せになる未来があればいいと思った。]
〜その体がまだテルミットだった頃〜
>>6:+87 セレナ
「む…確かにそうかも…だけど…むむぅ…」
こんな状態で匂いを纏うのは難しいかもしれない。
そういえばセレナお姉さんはいまどんな匂いなんだろう。もしいつものリーンの調子で近づいていれば側から見れば犯罪者に見えるかもしれないだろう…。
>>6:+155 ブレイク
「元気…うん…ううん…うん……まぁ元気、かな?」
自分の体は奪われ、霊体の姿はテルミット。
この状態が果たして元気と言えるかどうかは、首を横に捻りすぎてバランスを崩して転びそうになってしまう程だが、でもこうやって彼と話ができるのだ。うん、それなら、そういうことにしよう!
「手紙…うん!嬉しかったよ!お兄さんにそんなものがないことくらい、わかるよ。あっそうだ!私ね、ブレイクお兄さんがいなくなって悲しくなっちゃったから…ダズリーお兄さんと一緒にブレイクお兄さんの話しをした時にね、お手紙のこと内緒で言っちゃおうかな…って思ったけど、恥ずかしいかな…って思っていたからちゃんと秘密にしたんだ!」
えらいでしょ!って腰に手を当てて如何にもな笑みを浮かべる。
彼が自分に目を合わせないことには気づいていたものの、自分の姿があべこべになっているせいなのかと特段気にする様子はない。
(目が覚める。起き上がると一つ欠伸をして、その声の低さに驚いた。そういえば元に戻ったんだったか。やっと居心地のいい姿に戻れたらしい。つまりは、この国の命の源は無事だということだ。よかったと言えるだろうか。多すぎる犠牲が出て、自分たちも戦いの中で命を落として。それでもよかったと思えるのだろうか。
のそりと起き上がって辺りを見渡し、特別誰かに言うでもなく1人呟いた。)
…………お疲れ様。長い一週間だった。
最後の時は。ヴェルと、初めて出会った場所で。
寒い中を。たった二人の片針達が。
相手の体温を、鼓動を、時が刻まれる音を、感じながら。
そこにある命と時間の暖かさを感じながら、過ごしたのだったか
*/
手元から逃れた《マザー・クロック》を見送り、
無事正史となった時計の国で、シルヴィは空を見上げる。
部下のものはよく頑張ってくれた。
今となっては時の止まった死体だ。新聞記事には堂々の一面かもしれぬが、長く時を経る記録書には、さらりと事実が記されるのみ、で済むのだろうか。
哀れに、思う。
この私の呪いで動いた彼らは、自分だけでも覚えていてやらねば、とシルヴィは深く脳に刻んだ。
空を見上げる。
耽っていられるのも、そう長くはないだろう。
/*
>>サラ
>>ルーツ
「見事だ。
負ける気は、本当にさらさらなかったんだがな。
《マザー・クロック》は返した。我が眷属たちは今や物言わぬ亡骸である。
貴殿らも、深く痛手を負っただろう。
罪なき国民たちも、ウチのものが派手に使い倒してバラバラだな。
幾重にも刻を止めた。
さ、そんな重罪人の私には……どんな罰が待っているのかな」
*/
問う。
見ようによっては悪びれもせず……とさえいえよう堂々たる態度で、彼女はこの国に未だ正しく生きている二名に、真剣な眼差しで対峙する。
/*
>>トッティ
実のところ、お嬢さんの最初の姿というのあまり印象が無い。確か、赤い髪の幼子。それぐらいの印象だ。
そもそもの願いにかける熱量が違ったのが…話ぐらいはしておきたい。そんな資格があるのかは置いておく、この際。一人奮闘した彼女を労いたい、と。彼女は、私に新しい価値観を教えてくれた訳だし、そのお礼もしておきたい。
ブレイクの姿は見当たらないが、昨日までと違い全く見えない訳では無いから問題ないだろう。しばらく探せば、トッティの姿を見つける。
「こんにちは、お嬢さん。
よく頑張っていたようだ」
>>ブレイク
「決着がついたようで、…何よりデスとは言えませんガ」
雑談のように軽い気持ちで、そこらにいた彼に声をかける。
「ところで、死後の世界というのはこの形が正しいのでしょうカ。死者がたむろって生者の様子を観察しているというのハ、確かに幾つもの創作で描かれている場面ではありまスが。
なにより、悪魔と契約して死を迎えたというのに、魂を奪われていないというのはどうなんでしょウ?サボりならそれはそれで、貴重な時間をいただいているということで異存はありませんがネ」
>>50 ルクレース
その返答には曖昧に、困ったように微笑むことだろう。
恐らく、彼女は私を肯定してくれているのだろう。それぐらいは分かる。なるべく、言葉を選びながら返事をする、つもりだったが。
「ありがとう」
一言でしか返せなかった。余計なことを言ってしまいそうで。
普通に暮らせていたのならば、優しさはプラスになるのだろう。私の身分では優しさは枷にしかならない。
他者をいたわる気持ちがある者など、簡単に搾取されて死んでいく。
もし、私が優しく見えるのならば、それは生きるための仮面だと自分自身がよく分かっている。愛は与えた分だけ与えられる。どんな形であれ。
「まあ…諦めるのは、やめにしたよ。これでもね」
広場に出てきょろきょろと目当てを探し回っていた。
「…………いらっしゃらないのね。」
魔女に打ち勝ったのではなかったか。
フェアリーテイルならここで呪いはとけてめでたしめでたし。
悲運に巻き込まれた人たちは解放されて再会を喜ぶ、そんなシーンが来るはずなのでは。
そんな風に思っていた。
ああでもルーツはハッピーエンドのその先を想像して恋をして、物語を紡いでいたではないか。
この物語が触れなかったところ。
登場人物である私たちに、このお話を読んだ人は何を知ってもらいたいだろうか?
「考えて。思いつくのよ、ヘンリエッタ。」
ヘンリエッタは花束を探したかった。
傷があるなら癒しを。
寒さに震えるなら毛布と暖炉を。
渇きに苦しむなら水を。
誰かと相談したい、顔を上げたときには観測者の姿が見えた。
>>オブゼビオ
「ごきげんよう。私の騎士さま。
"賢者"の夜歩きをもう1度ガードしてくださらないかしら?
歴史はときに物語のようだと父に聞かされています。
私の相談に乗って欲しいの。」
>>26 テルミット
[ぐるぐるとたくさん回してもらって、まるで遊園地で遊んだような気持ちになった。パパみたいだな、なんて微かに思ったけれど.......なんだかバチが当たりそうな気がした。]
「.......変形かっこいい!!遠距離攻撃もだけど、おおたてモードにもなれるなら、攻撃と守備の両方を兼ね備えた最強の武器になるー!!さすがテルミット先生だぁ!!わぁー!!トッティも.......」
[地面に足がつけば、テルミットを讃える意味で、バンザイをする。それから.......]
(だけど)
(そんな日はきっと来ない)
(トッティが.......先生から奪ったんだ)
[後ろから殴られるような衝撃があった。目にみるみる涙がたまる。それから、少女の過ちを理解し、諭し、その上で一緒に謝るとまで言ってくれるテルミットの言葉に、ぽろぽろと涙を流し、ぶんぶんと首を振った。]
「ううん.......ううん!トッティ、そこまで甘えちゃダメだから.......テルミット先生が、そう言ってくれるだけで、すっごくすっごく、勇気出るから。」
ーーー全てが終わる前。
>>34 アイリーン
/☼変わらずな声のトーンの彼女へ目を向ける。そこには、胸を張って微笑ましく笑うあの日のアイリーンの姿があった。
姿を奪われ、こうしてあの世と夢の狭間においても彼女は気丈に笑うのだ。これを強さと言わずとしてなんと言おうか。
……ふと、自身の置かれてる立場を顧みる。俺も、彼女のようにーーー。☼/
……体は違うが、元気そうだな。
ああ、偉い、偉いよ。リーンは。
…………あんたは、幸せになってほしい。……魂もないし、あんたとは敵と言える立場かもしれないが。……そう願わせてくれ。
/☼魂がない身では、何を指針とすればよいかわからない。
だが、彼女や皆ならなんと言うか、考えるように言葉を紡ぐ。継ぎ接ぎの言葉はぎこちなく聞こえてしまうだろうか?☼/
>>ダズリー
自分の体で意識を取り戻し暫く経った頃*
マスクを付けたダズリーの姿をその目に認め、リーンは彼へと駆け寄る。
「ダズリーお兄さん…!」
「あ、私だよ!リーンだよ!」
そうして気づいたように自分の肩に掛けられた鞄から、昨日トッティが見つけてくれたねこの髪飾りを大事そうに取り出し、彼がくれた時と同じように髪に着けた。
「っはは!
さあ、ごちゃごちゃと何やら騒がしくて敵わんよ。
それほどまでに、私の−−私たちの"罪"は、重なってしまったのだろうな。
私にだけ聞こえるのも不公平に思わぬか?
殺したのは私だけではない。
貴様らも、貴様ら同士で、殺しあったではないか!
っはははははははははは!」
「さあ共鳴せよ!
進みし時と止まりし刻が混ざる逢魔が時よ!
今この場の者たちの前で顕現するがいい!」
*/
浮き上がり逆立つシルヴィの髪と首飾りが、さらさらと、シャラシャラと音も立てて風を舞わす。
時が、混ざり合う。
/*
やがて。
リリアーヌは立ち上がります。
「Geld ist hin, Mädl ist hin,Alles ist hin, Augustin!
Ach, du lieber Augustin,Alles ist hin!」
小さく口ずさみながら、スキップをするような足取りで、家へと帰ります。片手には、幸せの小瓶。
慣れた小道を走り去って、やがて家の扉を開きます。
「ただいま、お父様、お継母さま!」
時の魔女──シルヴェールの声が響いた時、交わることのない針と針が再び交錯する。
《マザー・クロック》に選ばれた17人の人間は、再び同じ時の上に立つだろう。
相変わらず、家の中はしんと静まり返っていました。
眠りについた家族たちを眺めて、リリアーヌはそっと、小瓶の蓋を開けました。
「しあわせのお裾分けよ、お継母さま、お父様」
小指に薬をつけて、まるで口紅を塗るかのように、ふたりの唇をなぞります。
それがどういう行為なのか、リリアーヌには分かっていました。
分かっていて、したのです。
>>トッティ
リーンは、自分の中に入っていた小さな少女の元へと駆け寄る。
「トッティちゃん。」
膝を屈め、自分と同じ赤い瞳を持つその症状と目線を合わせる。
「トッティちゃんは、パパとママに会いたかったんだね。」
それは、家族に囲まれ何不自由なく過ごしてきたリーンには、到底計り知れない願い。
でもだからこそ、そんな小さな日常を魔女へと願った少女に向け、リーンは暖かな眼差しを向けた。
「私ね、トッティちゃんが魔女と契約していること、知っていたの。アーネストさんと、グレゴリオさんのことも。トッティちゃん、あの日から、ずっとひとりでがんばっていたね。私、伝えられなかったけど…トッティちゃんのこと、応援してたんだよ。」
そうして、少女の、年齢の割には小さなその体に腕を回しぎゅ、と抱きしめた。
>>63 オブゼビオ
「ありがとう騎士さま。いいえ、オブゼビオ。
改めて私はヘンリエッタ・フレジェでございます。
あんなに助けていただいたのにご挨拶もきちんとできていなかったわ。ごめんなさいね。
……あなたは、歴史を見守り、記録してきたと伺っているの。
聞きたいことは、『歴史を綴る中で、誰かの悲しみや苦しみを伝えたいと思ったことは、あって?』
今回のことほどではなくても……きっと、歴史なんて素敵なことばかりではなかったはずよ?
例えば、何かの諍いだって。
それを、その事実をあったままに記録していくこと、とても心が強くなくてはできないと私思ったわ。
調べていったら、どちらかに肩入れしたくなるようなことや、とても理不尽なことがあったかもしれないもの。
───史実からこぼれてしまったものを、あなたはすくいあげて記録したことは、あるかしら?
歴史を記録してきたあなたは、歴史を変えたいと思ったことは……あるのかしら。」
「…………わたし」
リリアーヌは口を開きます。
「本当は、知ってたわ」
時を止めてしまった二人に向けて。きっともう二度と話すことの無い二人へ向けて。
「お継母さまがわたしをきらいなこと。お父様がわたしを邪魔だと思ってること。……でも、いつかは。いつかはわたしをみてくれると信じたかった」
「だけど、もう、いいの」
リリアーヌは笑います。
「今度は忘れないでね、お父様。向こうではお母様と仲良くしてねお継母さま」
「夢の中では、しあわせな家族になりましょう」
「ヴェル」
貴女は、この魔女にどんな罰を望む?
いつの間にか、二人だけの響く時間は無くなっていたけれど。この二人には、もう秘密の響き合いは必要ない
>>オブゼビオ
「長くなっちゃったわ……ごめんなさいね。
あのね、私たちが物語なら、読んだかたは私たちをどう思うのかしらと思って。
ハッピーエンドだけど、滑稽で私たちは愚かと思われるかしら、と。」
考えながら話す。どうすべきなのかと。
「あのね。私とても尊敬するかたができたの。
そのかたが、甘い薬なんて武力ではなく花束で戦争を終わらせるようなもの、なんて例え話をしてくださったから。
ここに花束は、なかったのかしら、なんて。」
/☼ーーーしばらくして。
ふと、視界の端に映るのは。
僅かによろめきながらも歩き出すグレゴリオに、違和感を覚える。
その肩を掴んで前を向かせた。☼/
>>グレゴリオ
……おい。目、治ったのか?
>>69ヘンリエッタさん
「御丁寧にどうもありがとうございます。
それはどうか気になさらず。こうして砕かれる事なく済んだのですから」
[ヘンリエッタの問いに、オブゼビオは口を開き掛けたが再度閉じた。躊躇った。
誰かの哀しみ、苦しみ、怒り、喜び、愛情。
人なら必ず持っているもので。
それが戦争、宗教、政治...色々な物に絡んで来る。
そういう情景を見て、聴いて、感じて。
心が締め付けられるような思いもした。
ふわりと心がスキップするような、温かくなるような思いもした。
肩入れする感情があるから、しんどくなってしまう。
それならばいっそ───────。
感情を無くせばいいのだ。]
[はっ、と我に返る。
怪訝そうな顔でヘンリエッタが覗いていただろう。]
「史実から零れ落ちたものは沢山あります。
誰かの正義の裏には別の正義が。
別の正義を記録しようとしても、大抵は皆いなくなってしまう。記録すら出来ないことだってありましたよ。」
[何かを思い出すように、ぺらぺら、と頁を巡る。]
『夢の国で、幸せを求めていた彼女も、旅行に行って忘れ去られた青年も、異種族だからと言われて蔑まれてきた彼も。』
「彼彼女らがどのような想いで事を成し遂げようとしたのかはわかりません。
正義を砕かれたのですから。」
「観測者の私は、歴史を変えることは望みません。」
>>58 トッティ
楽しそうに未来の話をしていたトッティが突然言葉を詰まらせ涙を流す。
「……トッティ、君は私と話している間にもどんどん成長していくな。わかった。どんな結末が待っていようとも、私はトッティのことを愛すべき弟子に数えよう。トッティの帰りを君の姉弟子と共に待っているよ。」
己の死には触れず、トッティが生きることを諦めないよう言葉を選ぶ。罪は罪。生きることはそれとは別なのだ。
「いってらっしゃい。」
テルミットは幼い弟子を送り出すだろう。再び出会い、愉快な日々を送れることを夢想しながら。
「私は観測者の掟を破った。
この事象に最後まで介入するのであれば
全てを知って決断したい。たとえそれが歴史を変える事になったとしても」
「……魔女も気が利くわね?
去り行った時達と、言葉を交える事が出来そうだなんて
それとも、ある種の嫌がらせのつもりなのかしらね」
砕けた時の、幻影達がその場へ現れるのを見る
>>81 オブゼビオ
「なら…………私たちが知るべきは。
まだ知らないのは。」
たくさんある。たくさん、たくさんある。
「私たちは、誰の思いを知り、誰に伝えるべきかしら。」
物語の登場人物ごとにある。
しかし、物語の根元は。
>> ヴェル
スクルが私に声掛ける。
勝った後に、私は何を求めてたのか。
今の私に何も使命はない。
壊れた時計と遺体を眺めて、その後に空を見上げる。
そこに天国なんて無い、そこに求めても何も返ってこない。
だったら罰になんて価値も興味はない。
この魔女に使う言葉なんかない。
私は静かに首を振る。
>>55 グレゴリオ
[グレゴリオの返答から、少しだけ。ほんの少しだけ、お祭りのときよりもこの人は変わったのかもしれない、と思った。
きっかけを与えたのはきっと、自分の姿をしていたトッティなのだろう。]
……そう、ですか。
[少しだけ、安心する。
最初は小さな変化だっていいから。
それでも、どうか、この人が前に進んでいけますように。
他者をもう少し信じて、自分にももう少し優しくなれますように。
そう彼女は願いながら、言葉を紡ぐ。]
……こんな状態なので、私達の今後がよくわからないのが、気がかりですけど。
グレゴリオさんの今後が……少しでも明るくなるよう、祈っています。
>>74>>81ヘンリエッタさん
「...加護を受けた者同士、疑って、嘘をついて、騙して。これが物語なら、読み手は相当ハラハラドキドキな物語になるんじゃないでしょうか。書き手にもよりますけど」
「知力でもなく、武力でもなく、暴力でもなく。
そこに咲く花で...。
私が視てきた中で、そのような解決方法はしりません。
ですが、それで解決出来るのであればなんて理想的なのでしょう。その方はさぞ柔軟な思考が出来て、どこかぶっきらぼうなのでしょうね。」
[絶対無理だ...なんて嘗ての自分なら言って居たかもしれない。けど、何故か出来そうな気がしたのだ。]
「この事象のwhy done it.
まずはそこを埋めるところから始めなければなりませんね。
時の魔女は...話してくれるでしょうか。」
[もしかしたら彼女の心の傷を抉ってしまうかもしれない。その話を聴いて同情するかもしれない。
時計の国の根源に関わるような、そんな予感がした。]
ぱちぱちと、睫毛を揺らし瞬きを繰り返す。
「う………あれ…………?」
「…………!」
がばり。
勢い良くその体を起こして辺りを見渡せば、そこはいつかの自分が眠っていた、広場だった。
もしかすれば、自分と同じように体を起こす人もいただろうか。
「ぅ……いたた……」
地面で眠っていたためか、背中や体の節々が、少し痛い。でも今は、そんなことはどうでも良かった。
そう、目覚めたのだ。
スカートに取り付けられていた自分の命の時計はそこにはなかったが、確かに、眠りから覚めたのだということは理解できた。
>>89 オブゼビオ
「ありがとう。当てのない話にお付き合いくださって。
そうね。きっと素敵な物語になるはず。」
ルクレースの名前が浮かんだが、今はその時ではないと思った。残酷にすぎる気がした。
「ねぇ。面白い例えでしょう?
そのかたとっても……素敵なの。
きっと、私に話を合わせて花束とおっしゃったんでしょうけど。それでもユニークなかたって思ったわ。
なら、シルヴィとお茶をしたかたにもお話を聞いてみましょうか。」
目線をサラに向ける。
やっと落ち着いてお話ができる、そう思った。
「よかったらご一緒してね。
お話しされたいかたがいらしたら、ご無理はお願いしないから。」
>>48 サラ
もちろん。一度言ったことは取り消さないよ。
サラ・クロノスティス。歴史を勝ち取った者の名を、僕の長い生涯に刻もう。
[いつかアベルによって“誇り”を砕かれた少女は、こうしてアベルの前に立ちはだかる]
そうだね。キミたちが見せた覚悟に対して、彼女が何を持って応えるのか。僕はすべてに答えることはできないけど。
勝利を手にしたキミたちなら、彼女の心を溶かすことができるかも知れない。僕からはそう言っておくよ。
彼女は待ってるんだ。彼女の心を揺り動かしてくれる存在を。
キミにとってこの国の在り方は、“命の時計”は。素晴らしき時へ至るための歯車の一つに過ぎないかも知れない。
けれど、彼女にとっては、文字通り呪いなのさ。
/☼1歩ずつ、踏みしめて行く。感触のある足に”生”を感じる。
黒いヴェールから透ける赤髪を間違えるわけもない。
深呼吸を1つ。心を落ち着かせてその背に声をかけた。☼/
>>ルクレース
…………ルクレース。今、いいだろうか。
>>サラ
でも……そうだな。もしも、すべてを知りたいのなら。
《マザー・クロック》に触れてごらん。
あれには原初からの未来に至るまでの智慧が、すべての生物の記憶が詰まっている。
あの国王のように、もしかしたら自我が保てなくなるかもしれない。
それでももし、かつて刻まれた時を正しく知りたいのなら。
きっと母なる時計はキミに真実を教えてくれる。
彼女に何があったのか、この国はどのように成り立ったのか。
今回の騒動の全てが。“命”を砕かれた者たちの、悪魔に心臓を奪われた者の、眷属たちの声が。
それを知る権利が、勝利を得たキミたちにはある。
>>96 サラ
「ごきげんよう。クロノスティスのサラ。
……知らなければいけないことができたから。
シルヴィのことを、もっと。
あのかたが何を思ってこうしたのか。
あのかたにずいぶんと翻弄されたから知っておきたくて。
あなたはたくさんシルヴィとお話ししていたから……あなたのことばで、あなたの知っているあのかたのことをお聞きしたいの。」
スカートの裾を片手でつまみ、膝を曲げておじぎをして見せる。
りんご飴もキャンディももうないけれど。
サロンではないのだから。私たちは今まだ戦線にいるのだから。
>>51 ルクレース
ん。…………なんか、生き返ったっぽいな。
(マスクを受け取って装着。いつもよりもキツめに感じたのはさっきまでのこの女の身体の時にも付けていたからだろう。調節する。
この女に、ルクレースに感謝の気持ちもあるし謝罪したいという気持ちもある。完全にそれを伝えるタイミングを失ってしまっているが………困ったように後ろ頭をボリボリかきながら、かける言葉を考える。)
……………キャリバー通り三番地、赤いレンガの小さい建物がある。看板は俺の時計とおなじ黒字に螺鈿細工を施した小さいやつで、【ターナーズ メタル】って書いてあるから。
……俺がまた死ななければ、寄ってくれば?俺は顔出さないと思うけど。
何故なのかはわからない。
でも、理由なんてなんでもよかった。
きっと、リーンにとってはその理由こそ、自身の好奇心に従い惹き寄せられるものであったのに。
今は、そんなことよりも。
あの時伝えることのできなかった言葉を、伝えたくて。
確かに自分の足が地面を蹴る感覚を踏みしめながら、リーンは城下町を駆け出した。
>>エルス
「どうも、お元気に生きていらっしゃるようで何よりデス…えぇ、本当に」
薄ら笑いを浮かべて彼の行く手を阻む。
「ところで、せっかく結んだ縁です。ルーツさんとは仲良くなりましたかネ?」
魔女の横を通り抜け、根源の時計を目前にする。
全ての始まり、全ての原因。
これがなければ生きてはいないが、
これがなければこの争いは起きていない。
パラドックスを孕むこの時計に、釈然としない感情が湧いては沈む。
この存在すら、無くなってしまえば。
片針が触れる手に自分の手をそっと重ねる。
その刹那、何かが流れ込む。
時に一人称で、時に三人称で、誰かがその瞳で見た歴史が語られる。それは物語のように書かれた歴史ではなく、その場に生きた者の歴史。
至るべき場所に至り、私は目を開く。
知りたくなかった理由を見てしまった。
事情なんて見たくもなかったのに。
それを全て見て見ぬできる強さか1番欲しかった。
>>シルヴィ アベル
何も気づけなかった私は自戒のために再び喉を潰した。
それでも真実を手にした私は再び使命を背負うことになる。
再び彼らの力を借りる必要が生まれる。
ロキ「あなたたちも随分、卑怯ね。奪って戦って、負けてから、自分たちにはこんな事情がありました、なんて。お涙頂戴で情状酌量、みんな仲良し大団円って?」
彼女たちがしたことは許されない、その結果、善悪区別なく11個の時計の針が止まった。
彼らがいなければ唆されなかった人達がいた。
しかし、可哀想、と思った時点で私は揺らいでいる。
結局、私はスクルに助けを求めてしまう。
ねえ、あなたは記憶をみて何を下すの?
>>116 サラ
「まあ……シルヴィもレディなのね。
想像力が足りていなかったわ…………
覚悟とは、何かしら……
例えば……マザー・クロックに頼らなくても。
自分たちの知恵で文化を作って国を保つという気持ちかしら?太陽に頼るな、地面に植物を植えるな、水を飲むな。
そんなことと等しいのに。
知らないことは平和で幸せだもの。でも滑稽だわ。
……がんばりましょう。
知るのが恐ろしいけど……でも、私たちが知らないことがもっと恐ろしい罪なのかもしれなくてよ。
諦めない女の子の額には魔法が宿るの。
サラ、私たちできるわ。きっと。」
背伸びをしてサラに額を合わせた。
自分はまだ、諦めていないのだと。
>>68 アイリーン
[昨日一日だけ、自分のものだった声がする。]
「アイリーンおねーさん.......」
[アイリーンは、少女に目線を合わせてくれる。アイリーンの声で、体で、みんなの前で好き勝手にしたから、怒られるんだと思っていた。のに、やっぱりトッティを見る目は優しかった。]
「.......うん。トッティは、パパとママに会いたかった。」
[続く事実に、抱きしめられたまま、両手で自分の頬をぱちんと挟む。]
「うそ!ぜんぜん気が付かなかったよ!!ご、ごめんね!!せっかく残っててくれたのに!
.......最後、アイリーンおねーさんが疑われてるの、悲しくなっちゃったから。全部ばらしちゃった.......。あのね、でもね.......アイリーンおねーさんのおかげでね、トッティ.......大事なこと気づいたの。
新聞、とっても大事だね。
あとね。オブゼビオおにーさんとお話出来ないままにしちゃって、ごめんね。」
>>122ヘンリエッタ
「ええ、本当に。
でも知ってしまうと、彼女が恐ろしくは思えなくなったのよ。敵であったのは、変わりないけれど
……マザーに頼らない?
……確かに。この、長いマザーとの時を捨てるのなら、覚悟を示したと言えるのかもしれないけれど。
それだと。私達がなんのために闘ったのか、分からなくなってしまいそう。
全部を知らなければならない。私達の戦いの子細と、その犠牲の意味を。
……ふふ。乙女には、魔法が使えるものね。
沢山の、奇跡を起こせる魔法が。
出来ない事なんて、ないわ」
ヘンリエッタは。そのサラよりも小さい、されど未来への夢を立派に詰めた身体で。
諦めない思いを、サラへと対等に示すように。
淑女の額が合わさったなら、どんな悲劇も悲しい未来も、打ち倒す事が出来ると信じて
勝者たちは、手と手を重ねて。それぞれの覚悟を胸に、《マザー・クロック》に触れた。
途端、吸い込まれるように意識が泳いだ。あなたたちは手を伸ばす。求める“真実”へ。
膨大な知識が流れ込む。世界の成り立ち。人類の歴史。何千年にも渡る情報が、気が違いそうになるほどの真実が、頭の中へと溢れていく。
その莫大な記憶の流入に耐えながら、あなたたちは幾つかの記憶を絡め取る。
金の竜の言葉。時の魔女に何があったのか、この国はどのように成り立ったのか。
今回の騒動の全てが。“命”を砕かれた者たちの、悪魔に心臓を奪われた者の、眷属たちの声が。
まばゆいほどの光が思考を灼き、そして、ホワイトアウトする。
はるか昔に存在していた二つの国。とある少女と少年の間に芽生えた恋と裏切り。悲劇を礎に成り立っていった巨国の話。
人々が“命の時計”なくしては生きられない理由。誰かの涙。誰かの怒り。悲しみ。憎しみ。
あなたたちは知るだろう。今、眠りについている国王こそが《マザー・クロック》をこの国にもたらしたオズワルド一世であると。
名を変えて、姿を変えて。時には人の記憶に介入して。国の繁栄のために、人智を超えた力に依存して。
『この世に、真実など存在しない。ましてや真実の愛など』
かすかな言葉が紡がれる。その声を聞き届けたのを最後に、きゅるきゅるとどこからか音がすることに気がついた。
それと同時に、ぴしりとあなたたちが見ていた記憶に亀裂が走ったかと思うと、突然見えない濁流のようなものが自分の体を押し上げた。
抗いようのないその波に飲まれるように、風景が歪む。瞬きのたびに、景色が移ろう。
目まぐるしい速度で発展していくこの国の姿、日に日にそれが、あなたたちの知る時計の国へと完成していく。
押し寄せる記憶の奔流に流されるまま、そこで現実に戻されるだろう。
>>121 トッティ
[家族。その言葉に、ふっと心が揺らぐ。
あの写真――あの写真は、過去のもの。私にはもう、ないもの。失われて、しまったもの。
けれどそれを、この少女に今伝える必要はないと思った。
家族が失われてしまうものだなんて言うのは、悲しい。
その事実を、今は――この子は、知らなくていいと思った。]
……大丈夫ですよ。
トッティさんにも、できます。
家族には……血がつながっていなくても、なれるんですよ。
[母の再婚相手である、血の繋がらない父とは、自分は家族になれたのだろうか。――否、なれなかった、気がする。
けれどそれは、自分もなろうという努力をしてこなかったから。]
家族になろうと思えば、なれるんですよ。
[ルクレースは微笑んだ。
それは、お祭りが始まってから、彼女が初めて見せる表情だった。]
>>121 ルクレース
「そうなの?」
[目からウロコだというように、少女はぽかんとした顔でルクレースを見た。]
「トッティのほんとのパパとママに会えなくっても、家族って、いってもいいの。」
[首を傾げて考える。]
「.......そっかぁ。そういえば、パパとママも、もともと全然知らない人なんだよね。でも、家族になろってなって、なったんだぁ。そっかぁ。」
[小さくうんうんと頷いて、少し瞳を揺らして、ルクレースを見た。それを知っていたら、こんなことをしなかったのかな、なんて少しだけ思ったけれど。でも、しなかったら、少女の心の時間は止まっていたから。やっぱり、魔女に会ったことは、否定したくないな、とも思う。]
「.......ルクレースおねーさん、ありがとー」
>>ヴェル
全てを見終えた後。
「……ヴェル。貴女は勝者として。
何を魔女に望む?
どんな。罰を与えたいと言う?」
己の片針が刺したい未来の時を訪ねる
気付けば、自身が倒れていた場所に立っていた。
私の時は止まっていたはずなのに、今は時計が止まる前のような心地がする。
皆は、どこに行ったのだろう。
「……随分、私も変わったわね」
目を閉じ、息を大きく吐く。
以前のセレナなら、人を探すことなどしなかっただろう。
自分が元通りになれたことに安心しながら、そっと帰路につき、いつも通り帰宅の挨拶をして、部屋に戻るに違いない。
でも、今は皆と話がしたいと、素直にそう思えた。
>>ルーツ
大切な友人を探して、リーンは靴の底を擦り減らしながら駆けていく。
そうして着いた先。城門は開かれたままだ。
正しく終わったのであれば、マザークロックは再びここ、王城に納められているのだろうか。
もしそうなのであれば、彼女もここにいるかもしれない。
肩を大きく上下に揺らし、額に滴る汗を手の甲で拭う。
そうして、再びトンと踵を鳴らし、ホールの奥、マザー・クロックが鎮座していた台座の元へと駆けていけば。
走り続けたその先に、再び会いたいと、望んだその姿をーーその目に捉えた。
「っっルーちゃん………!」
勢いはそのまま。アクセルを目一杯踏んだ、いつかの時のように。
リーンは両手を広げ、ルーツ目掛けて抱きついた。
>>64 >>66 >>70
人を探すなら高い場所から見下ろすといい。
それは、長くこの街で飛び回っているうちに培った知恵だ。もっとも、配達業でいかされたことはないのだけれど。
いつもの様に屋根へと登れば、小さな姿を探す。…と、聞こえてきたのはいつか共に城内を歩いた時に、少女が歌っていたあのメロディ。
視線をそちらへ向ければ、楽しげに跳ねながらどこかへ向かうリリアーヌの姿があった。
「………みっけた。」
言うが早いか動くが早いか。
屋根から飛び降りれば、突き出た窓や下屋を経由して地面へと着地する。小走りでその少女の元へと向かえば、隣に立って同じ道を歩いた。
少女の手には、小さな瓶。きっと、あの医者から渡された"幸せの小瓶"なのだろう。
時計を砕くことが許されなかった少女の、幸せの形。
「…………まだ、飲んでなくてよかった。」
そう思ってしまうのは、ただのエゴになるのだろうか。
少女が足早に向かう小道は、いつか彼女を家まで送り届けたあの道だった。走る小さな背を追いかけながら、レーヴも同じように玄関扉をくぐる。
……なんか、いけないことしてるみたいだな。
内心ではそう思いつつも、どうせ見えてはいないのだからと開き直って歩を進める。そんな静まり返った家の中には、少女の足音だけが響いていた。
視線の先、横たわるのはきっとリリアーヌの家族だろう。幼い我が子を守るように覆いかぶさっている姿は、しかし、少し不気味に思えた。
なぜ、あの日、リリアーヌは1人だったのだろうか。なぜ、この子達を守ろうとする姿は見えるのに、彼女を1人であの祭りに行かせたのだろうか。
この子の性格を考えると、わがままを言って家を飛び出した、なんてことは有り得ないだろう。──ならば、何故。
「…………嬢ちゃん。」
理解する。あの時覚えた違和感の正体は、きっとこれだったのだろうと。
おすそ分けだと、そう言って小瓶の蓋を開けた少女は、まるでそこに化粧を施すように大人達の唇へと毒を塗っていく。
彼女の言葉を聞きながら、レーヴは為す術もなくその光景を見守るだけだった。
初めて出会ったあの日。
見せて貰った彼女の母の形見は偽物の石だった。精巧に作られたそれは、少女の眼では気が付かないものだっただろう。
けれど、子どもというものは、眼に見えない気持ちには敏感なものなのだ。特に、身近な大人の心には。
悲しい気持ちを胸の内に押し込んで、この子はどれ程の我慢をしてきたのだろう。
無邪気に明るく振る舞って、いつか来るかもしれない未来を夢見ていたのだろう。
幸せを願っていたのだろう。
手を伸ばす。その小さな身体を抱きしめようとして。
しかし、その手は宙を切る。踵を返したリリアーヌは、レーヴに気が付くことなく部屋を後にした。
ふと、気が付いた視線の先。眠る小さな子ども達。少女の気持ちを知ってか知らずか。それでも、この家の家族として暮らしてきた子ども達。
「……………………、ごめんな。」
そう呟くと、レーヴもそこを後にする。
唇を噛み締め、やるせない想いを胸に抱きながら。リリアーヌの後を追いかけた。
>>リリアーヌ
少女を追いかけ外に出ると、その場でぼぅっとしている姿が目に留まる。
その表情からは、今の気持ちを窺い知ることはできなくて。しかし、ゆっくりとした足取りでそこへ向かった。
決めたのだ。彼女を見守ることを。
それが例えエゴだとしても、幸せな夢を見られるように、その最期の時まで傍にいようと。
少女の隣で立ち止まる。
レーヴは悲しげに目を細めて。彼女の頭を優しく撫でた。
「……リリアーヌ。辛かったな。」
時計が砕かれてしまったこの身体では、もうこの言葉を少女の耳に届けることは出来ないけれど。
どうしても、そう零さずにはいられなかった。*
ぜんまいくるくる手まき時計…………かちかちくるくる準備する……
…………いちにち始まる準備する
マザークロック、マザークロック
…………おかおを見せてね、マザー………。
………………はあ。
(懐かしい。施設で教わった曲を十数年ぶりに口ずさむ。自分の技術を盗み好き勝手やっていた、あの少女が口ずさんでいた曲だ。マザークロックに触れ、真実を知った今、この時計の歴史の重みを一人で考えながら歩いていた。)
トッティと別れた後、広場で。
いくつか心残りがあった。その当てを探して広場へ出ると、ちょうど太陽の光に透けるオレンジ色を見つけたので、意を決して彼女へと近づいた。
「ヘンリエッタ。ごめん、今ちょっとだけ時間いいかな。」
すべてを知りたい。
それは覚悟をしたつもりであってもとても傲慢な願いで。
見たかったものに触れられたという思いと、
知らなかったより前にはもう戻れない、知ったという事実との対面を十数人、その思いごとに繰り返していく。
シルヴィと国王の幾星霜におよぶ物語。
それを知らずにいたことに涙がこぼれていく。
そして、涙を流すごとに体が溶けていくような錯覚に陥る。
頭が受け止めきれず白くかすみ始めた時、
「ぎゅ」と握り返すその手にからだを取り戻していく。
そうだ、私の戻るべき時間はここ。
この人と掴んだ今にしがみつきたい。
永遠にも思える数秒を耐えたのち、その場に思わずしゃがみ込んだ。
「大丈夫。サラ、私は大丈夫。
まだ立てるわ。
もう、立てるわ。」
自分に言い聞かせるように呟くと、ふら……と立ち上がり。
同じく意識を取り戻したか、というサラの肩を抱きしめてお互いを確認する。
額に汗を浮かべると、広場へと歩き出した。
>>142 アーネスト
「……まあ!お兄さま。
お身体は……大丈夫なの?
私は、あなたを…………あなたのことを。」
そこまで話して言い淀む。
しかしヘンリエッタは前に進むと決めた。起こったことを知った上で、また新しくこの人とも進んでいこう。そんな思いでアーネストに向かい合う。
「またお話ができる時を引き寄せたこと、とても嬉しいわ。
……お見かけしないうちに、お兄さまもお顔つきが変わったよう。
私もほんの少しお茶に詳しくなったのよ?」
得意げに微笑んで、また会話ができることを素直に喜んだ。
>>ブレイク
──それはいつの事だったか。
大きな男が立っているのが目に付いた。
こちらに背を向けている男は、いつか怒鳴りつけてしまった彼だろうか。
「……………あー、」
ガシガシと頭を掻きながら、どうしたものかと考えあぐねる。それでもこの気持ちを持ったまま死ぬのも何だか気持ちが悪くて。
せっかくまだ会話が出来る身体なのだから、あの日の無礼を詫びようと。
「……………どうも。ちょっと、今いいか?」
背後から近づいて、そう声をかけた。
>>スクル
マザークロックも泣いていた。
あまりにも悲しすぎる。
国王は確かに大切なものを守る気概がなかった。
そのために彼は何より大切なものを傷つける。
彼は"真実の愛などない"と絶望した。
魔女は彼の置かれた境遇を知ったらどう思っただろう。
いつか私は金色の龍に変わらない物はある喚いた。
あの時の声はただの負け惜しみ。
「相手のことなんて全ては分からないし、相手だってきっと自分のことを本当の意味では理解できない。
それでも、だからこそ。そこに“真実”が生まれるんだと思う。」
全てが終わった後で彼は真実について告げる。
魔女も、王も、スクルも、私も、真実の愛を知らない。
龍の彼が一枚上手、だったみたい。
あなたも彼女を救いたいのね。
勝った私の負けだ、全てを許す訳では無いが今回は彼の口車に乗せられてあげる。
すれ違いにこそ真実が生まれる。
なら、それを魔女に偉そうに教えてあげましょう。
「うん、じゃあ、罰として、魔女と恋バナの続きでもしようか。」
起きたことを全て乗り越え、前へ進む。
それが必要なのは私たちだけではない。
お前らを引き摺ってでも、進ませる。
「彼女に真実の愛について説いてあげよう。
それでもって、もいっかい王様と腹割って話してもらおう。
それでまた喧嘩するなら放っておけばいい。
本音と本音がぶつからなきゃ、本気と本気がぶつかるから、そこに思いが生まれるんだ。」
方法が間違ってると私は叫ぼう。
対話から逃げてはいけないと私は叫ぼう。
お前らも逃げるなと私は叫ぼう。
だからきっと私は"彼女"とも"彼女"とも話さなければならない。
見て、座って、話して、怒鳴って、喧嘩して、殴りあって、泣いて、笑って、許し合えばいい。
全て間違ってたから、もう一度歩き出せる。
時計の針を進めるのが、私たちの役目だ。
>>147 ダズリー
[ダズリーが振り返る。彼が猫背だというのを意識したのは、体を借りてからだったけれど。改めて見ると、前に見たときより大きく見えた。少女は、スカートの端をぎゅうっと握った。]
「ダズリーおにーさん。トッティ.......ダズリーおにーさんなら、トッティの時計に、アーネストおにーさんのアクアマリンつけられるって思って.......あの.......ダズリーおにーさんの体借りたの。
トッティが、自分のためにそうしたの。.......優しくしてくれたのに、ごめんなさい。」
[真剣な目でダズリーを見て、頭を下げる。ダズリーが同じ施設出身だったことも知っていたけれど、それには特に触れなかった。]
>>148 ヘンリエッタ
すこし見ない間に、ずいぶんと雰囲気が変わった。変えられてしまった、というべきなのか。しかし、どちらにせよ、彼女は前を向いて、凛と進んでゆくことを決意したようだった。
「お茶か。俺もそこまで詳しい訳じゃないけど、それじゃまた一歩素敵なレディに近づいたんだね。」
先日の茶会での彼女の様子を思い出して、少し笑ってしまった。それで、彼女を探していた理由も思い出す。
「ああそうだ。あの後結局きみと話す機会がなかったから。……これ。見繕ってきたんだ。よかったら貰って。」
そう言って、ポケットに忍ばせていたブローチを2つ、彼女へ手渡す。そのブローチには、ダイオプサイドが飾られていた。
[何人かと話をした後、カチリ、と、周囲の空気が変わったのを感じた。一瞬しんとして、それから]
「.......魔女様。やっぱり優しい」
[あのままでは話せない人に、話せる奇跡をくれたんだ、と少女は思う。
話さなくてはいけない。
昨日、きっとたくさんたくさん傷つけた人に。]
>>134 アイリーン
その時は訪れるべくして訪れた。
新聞屋は駆け回る。それは新聞を届けるという仕事のため。
でもこの時だけは、彼女は私に会うために、駆けてくれた、と信じるのは贅沢だろうか。
彼女が生きていた。
その足で、歩いて、私の名前を呼んでくれた。
時計が砕かれたのにどうして、という疑問より前に嬉しさが込上げる。
蓋を開けてみれば、彼女は敵だった。私は彼女を信じられなかった。私は彼女を見失っていた。彼女の身体をした狼に気づけなかった。ああ、確かに救いの無い関係だ。
それでも一つだけ、
そのすれ違いの中に残る真実があった。
彼女は私に、私は彼女に、嘘はつかなかった。
彼女が許してくれるのなら
私はもう一度、彼女の名前を呼べる。
「リンちゃん、会いたかったよ。」
私は両腕を開いて彼女を受けいれた。
>>117 ダズリー
「ふふ、わかっちゃったかぁ」
いつもの調子のダズリーを前にして、リーンは嬉しさが隠せずに頬を緩める。
「うん、お疲れさま。」
そうして、改めて彼のことを見つめて…一度だけ、その視線を外した。
「あの、あのね、ダズリーお兄さん…」
彼はまだ、自分が密かに魔女たちの味方をしていたことを知らない。嫌われたくなくて、ずっと、触れずに黙ってきたのだ。
「わた、私…」
言い掛けて、俯く。
心許なくてぎゅっと自分の服の握り締めた。
彼の目に、自分はどう映るのだろうか。
……礼をすると、約束していたな。
[診療所の扉を開け、戸締まりもせずに歩き出す。どうせもう此処に戻ってくることなど無いだろうから。
あの技師は何処に居るのだろうか]
*/
いずれ覚悟はしていたが、しかしアベルも余計なことを言う。と、魔女は独りごちている。
/*
「……触れているのか、《マザー・クロック》に」
*/
いつぞやご公女に言った。
知ったところでそれがどうなるかと。
同情される趣味はないと。
それは間違いなく彼女の本心でもあったが、《マザー・クロック》を盗み出したあの夜から脱出するまでの間、野暮用だとアベルに言いながらも結局国王のもとへ行けていないのは事実である。
私は、まだ今回の真の目的を達していない。
いや……達そうと、できていない、のかもしれない。
/*
*/
この場の誰よりも気丈で、淡白で、そして贔屓目に見なくとも純粋な力があるとさえ自負するシルヴィだが、同時に、この場の者たちの誰よりも、怯えていると……自覚している。
自分が臨まなければいけないものに。
重ねた罪の贖いに。
ずっと目を背けていたものに。
この国を眠らせた時、シルヴィは明確に、目を逸らした。
大切な記憶と、微笑ましくくすぐったい思い出に、封をした。
奪われるだけ奪われて、復讐するだけ復讐した。
そのまま、騙され続けるのが、あれ以上裏切られるのが……怖かった。
全く、口も利かずに圧殺したな、とシルヴィは振り返っていた。
/*
*/
あとは彼ら彼女らが、私に何を望むのか。
静寂と進行が滞留する亜空間で、シルヴィは待つことだろう。
人を使役し混乱を招いた支配者も、
自らと、向き合う時である。
/*
アーネストの手にはかわいらしいそろいのブローチが輝いていた。
小さくて品良いそれらには、宝石があしらわれて。
さりげなく身につけるのにちょうどいい。
>>154 アーネスト
「まあ……素敵!
私のオーダーを覚えてくださっていたのね!
……きれいな宝石。これを選んでくださったのにはきっと何かあなたの素敵なお考えがあるのよね?
ぜひとも教えてくださいな。
プレゼントするときにお友達に大いばりで教えてあげたいの!」
>>113 トッティ
駆け寄ってくるお嬢さんの頭を撫でる。
「お嬢さんの頑張りは、ずっと見ていたさ」
私は最初から諦めていたのかもしれない。期待しなければ、欲しなければ、失うことなんてないのだから。自分を守るための唯一の盾だった。
それを変えてくれたのがお嬢さんだったのだろう。
「お嬢さんは、魔女の力がなくとも見つけ出せるかもしれないさ」
彼女の両親が生きているのか、生きていたとして会おうとしているのか。それすら分からないのに無責任な言葉だと思う。だが、望まなければ叶わないし、多少無茶な願いでもお嬢さんなら叶えてしまいそうな気もする、と期待していた。
「私もお嬢さんに会いたかったよ」
サラは。ヘンリエッタと。ルーツと。手を重ね。繋いで。これまでの、自分達を繋いでいた時を想い。相手の時を想いながら。
母なる時を見た。それに立ち向かい。時の全てを身に刻んだ。
それ以外に語ることは無い。
だが。あるとするなら。正しき時の移りを知ると同時に
「……リリアーヌ」
サラ自身の歯車もまた、正しく嵌め揃われた
>>150>>151ヴェル
「……それは、素敵な罰ね。
彼女の、恥じらう姿が見れそう」
それはすなわち、魔女の時を進めると言うこと。
それはすなわち。魔女の呪いを解放すると言うこと。
彼女が自身の時すら停め続けた、1000年の呪いを。
「時を進ませる。私達はずっと、それを想って進んできた。
いつまでも互いの時間を停め続けている方々に。いい加減、油を刺して差し上げないと。
時計は。針が二つ無いと、正しく時を刻めないのだから」
……サラは。全てを間違いでは無かったとするために。
誤ったとされる過去を、そうではなかったとする未来の為に。
最初の時からこれからの時も、ずっとそれが二人の役割だ
>>135 アーネスト
[アーネストは少女を腕の中に包んで、とんとんと背中を撫でてくれる。1番初めに頭の中で、アーネストの声が聞こえた時に、ぱあっと明るく晴れた気持ちになったことを思い出した。]
「ふふっ。へんなの。最後はダメだったのに!トッティねぇ、色んな人の真似っ子したけどね、アーネストおにーさんとおじさんとお話してる気持ちで頭の中で話してたからね、トッティのままでいられたと思うんだぁ。
だから、トッティの方がありがとうだよ。」
[目を閉じて、園長先生のようなアーネストの優しさを受け入れる。お返しがしたかったな、と思った。]
「.......ありがとー。」
>>魔女
「魔女。勝者としての、貴女への沙汰を伝えましょう。
【私達へと掛けた、貴女の呪いを解きなさい】
それと共に。貴女が自身に掛けた、1000年の停滞の時計の針を進めなさい。
【貴女への罰は。王との二人の時間を進ませること】
私達が勝利した事により、この国の歴史はなるべくして成ったと、ここに証明した。
マザークロックがある者達こそ、正しき時の覇者。正しき指針は、私達を刺した。
『そしてなにより。それは貴女の過去が誤りでは無い事の証左』
貴女の恋は。誤りでは無かった。いいえ。これから、誤りではなかったとするのよ
私は。貴女に、動かないまま時を足踏みする事を許さない」
そうすることで。
サラ達のこの命の時計は、役目を終え。只の時計りとなり。
心臓のみが命を刻む事になるだろう。
けれども。それでも。時計を愛する事は変わらない。サラの在り方は変わらない。
自分の、命の時計へ触れる。
心臓と繋がっている。大切な大切なサラの時間。
例え繋がっていなくても。この時計は、サラの命の時間を刻み続けてくれる。共に、有り続ける。
人の命とは。すべからく、時と繋がっているのだから。
ならば。愛せる時計と歩むことは、変わらないのだから。
>>167 グレゴリオ
[初めて触ったグレゴリオの手は大きくて、その手で頭を撫でられると心地よい重みがあった。どこか厭世的な彼の雰囲気が変わったか、までは少女には分からなかったけれど。それでも、グレゴリオが言う言葉を信じたいと思った。]
「えへへ、おじさん、トッティのこと褒め上手!好き!」
「.......そうだね!トッティ、みんなのおうちから出ること考えてなくてね、だから、トッティじゃ探せないって思ってたの。他の子達も、パパとママを探すって子は誰もいなかった。
トッティ、もう誰かの真似っ子じゃなくっても、ちゃんと考えてみたいって思ったよ。
ちょっとは、考えるのも、頑張ってみたし。ふふっ、疲れちゃったけど」
[胸がチクチクする。なんでみんな応援してくれるんだろう。]
>>163 ルクレース
/☼未だに肉体に戻れぬ彼女に聞くのは酷だと思いながらも、どうしても彼女の口から聞きたかった。先が見えないのはお互い様だ。
だが、彼女から聞かされる前向きな言葉に見据える真っ直ぐな瞳を見て、口端を僅かに上げた。
ヴェールを纏いし頭へと伸ばしかけた手を引っ込める。”それ”をするのは俺の役目ではない。☼/
…………本当に、強くなったな。大丈夫だ、未来はサラやヘンリエッタが紡いでくれる。
俺は信じられずとも、2人は信じてやってくれ。……自慢の教え子と、年の離れた友人なんだ。
/☼今までの彼女達との思い出を振り返る。魂がなくなったせいだろうか。薄れていくそれらを必死に掻き集め、なくしたくないと叫ぶ心はきっと……。☼/
>>サラ
「やあ、サラ嬢。」
身体が眠りについても意識でずっと追い続けていたその淑女の凛とした立ち姿を見つける。
彼女が追い込まれる場面を幾度も見た。
その都度、自分が何も出来ないことに歯噛みした。
もう二度と、話をすることも叶わないかと覚悟していた。
「済まなかったね。一足先に床に就かせてもらったよ。くく、睡眠不足は頭の回転を鈍らせるからな。さしもの私もずっと眠らずとはいかなかったよ。
…というわけで、とある所で見かけた目覚まし時計とその反省を活かして私は新たな機巧を生み出したのだ!その名も《眠れる獅子を起こすくんDX》だ!これは座席型の目覚まし機でな。頭部に巻いたバンドと座席を繋げてな、上体が一定角度以上前傾になった時、全身に『電流』を流すことができるのだ!これで一発起床間違いなし…!それにしても、電気…!未だ研究途中の分野ではあるが、なんとも新しい時代の幕開けを感じる!」
戯けて見せるテルミットであったが、ふと、視線を落とす。
「…息災そうでなにより。怪我の具合はどうだい?
調子のいい約束を押し付けておきながら……騎士の役目は私には少し重かったようだな。」
眉を下げ、情けない、と笑った。
>>176 ダズリー
[ダズリーは、許すとも許さないとも言わず、しばらく沈黙する。少女は、話したくないくらい怒っているのかな、と思う。
もう戻ろうか、と足を動かしかけたとき、彼からの問いにぴくりとする。]
「.......そう、だと思う。だって、トッティが時計壊した人たちも、どうなるのか、わかんない。
みんなの時間を止めちゃったトッティが、時間を進めたらダメだと思う。」
「ダズリーおにーさんも、これから、たくさんたくさん、素敵なものを作ったり、直したりする人だったのに。」
[目を伏せてから、泣き笑いのような顔で少女はまた、ダズリーを見る。]
「.......あのね、ルーツおねーさんのマーマレード、トッティが食べちゃったの。だから.......もし、もし、できるなら、ルーツおねーさんのマーマレード、食べて欲しいの。」
「.......そうだ」
[少女は、ダズリーと話して、また、気づく。]
「トッティはトッティの時計が、ちっちゃい頃から大好きで、パパとママと一緒だった証拠で、宝物だったの。だから、どうしても直したかったの。穴ぼこのまま、ぐちゃぐちゃにするのが嫌だったの。
でも、みんなの時計も.......きっとおんなじだったんだね。ルクレースおねーさんの家族が入った時計も、ダズリーおにーさんのすごく細かくて綺麗な時計も、テルミット先生の左目も、アイリーンおねーさんの羽根ペンみたいな時計も.......。
でも、トッティは、みんなの時計を壊したのに、トッティの時計だけ、直そうとして、直して、喜んでたんだね。」
[また、ぽろりと涙が落ちる。知らないことは、なんて罪深いんだろう。もう、してしまったことは、取り返せない]
>>蓄音機・アイto全員
「……これを最後の、全員への語りとします
【魔女への覚悟。そして求める罰】
それを。魔女へと示しましょう
その意思を持って。誰を救いたいか。或いは、どんな未来の時間をいきたいかを、指し示して。
全ての選択は、皆の手の中にあります」
サラは。姿が見える、在りし日の人々へと。
先導者としての最後の言葉を発した
>>156 ルーツ
彼女が、自分に向かってその両手を広げる。
その腕には、代弁者たちはもういない。
それは、確かにあの日。自分が眠ってしまう前の日の。向き合うことをこわがった。再び背を向けられるのであれば、向けなければいけないのなら、それならいっそと触れることを躊躇った。
でももう、躊躇ったりなんかしない。
逃げていては得られるものも手に入らない。
「私も…会いたかった…っ!」
彼女の背に腕を回し、その体をぎゅぅと抱き寄せる。その温もりを溢さないように。
歪んだ歯車の軌跡はもう元には戻らない。
それでもきっと。きっと一緒にいれば、2人なら。歯車は噛み合う。その形を少しだけ変えながら、くるくるとまわり、やがて二人の針を重ね合わせる。
ねぇルーちゃん、あの日をもう一度やらせて。
今度こそ私、貴方にこう伝えるから。
「信じて、私はルーちゃんが大好き」
一緒に星を見に行こう。
例え夜空が雲に覆われその姿を捉えられなくても、それなら見えるところまで行けばいい。
きっと流れ星だって見つかるよ。
「ビッグニュースね!」なんて言って、そんなふうに笑い合うの。
例え私に未来がなくとも、
今この時だけは、そんな夢を一緒に見よう。
>>153 ブレイク
「大した用じゃないんだが……あぁ、いや、俺にとっては…その……大した用ではあるんだ。」
こちらを振り返った男に、少しバツの悪そうな顔をして頭を掻く。微かに弛められた口元にも、細められた目にも、レーヴはまだ気付かない。
「あの時……サラがアイツらにやられちまった時、その……怒鳴って悪かったな。
冷静さを欠いてたとはいえ、初対面の奴にするような態度じゃなかった。……アンタもお嬢さんを心配してたってのに。」
いつも以上に焦っていた事は本当だった。また取りこぼしてしまうのかと、助けられないのかと、冷静さを失っていた。怪我人に対する行動も、褒められたものではなかった。
それを注意してくれた人に向かって、こちらはとても酷い態度を取ってしまったから。
「………すまんかった。」
そう言って、頭を下げた。
>>124 トッティ
リーンの腕の中で自分の頬を小さく叩いてびっくりした顔をする少女に、リーンは眉を下げ笑う。
「ううん、こちらこそ。黙っていてごめんね。トッティちゃんが真似っこしてるのと同じで、お姉さんも隠れんぼしちゃったの。……許してくれるかな?」
少女の体を抱く距離はそのままに、片手だけ離してその頭を撫でる。
「私が疑われるのは仕方なかったんだ。だって、どうしても、魔女たちのこと、トッティちゃんたちのこと、忘れられなくて。
トッティちゃん。私の大事なもの。代わりに見つけてくれてありがとう。
テルにーの真似っこしている時から、一緒に探そうとしてくれて。ふふ、新聞書くの、どうだったかな?」
リーンは、お祭りの日。
初めてのお買い物だと言い自分の新聞を買ってくれたトッティのことを思い出す。
「アイリーン・クロッカーはね、今日あったこと、楽しいと感じたこと、悲しいと感じたこと。色んな情報を提供してくれるわたしの助手さんを募集しているの。
トッティちゃんが、誰かに話したいってことがあったら、お姉さんにまたお話ししてくれるかな?」
そうして少女から体を離し、目の前で小指を立てて見せる。
「ね、約束。」
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