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遅延メモが残されています。
チョコレート に 1人が投票した。
パイ に 3人が投票した。
マカロン に 1人が投票した。
ムース に 2人が投票した。
パイ は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか。
現在の生存者は、キャンディ、ドーナツ、チョコレート、マカロン、ムース、シュークリーム の 6 名。
「……なーんてね! あーあ、ムースじゃなくてマカロンに合わせておけば、二分の一の確率で死を免れたのに。
死亡フラグって本当にあるんだね、ウィンター。本物のシュークリームには会えたかい?」
「……っていうか、メモが正しければさてさキミ、ムースに投票してないだろ? まあいいや。死人に口なし、とりあえずあと二日頑張ってみるよ。」
「あの世とかあまり信じていないんだけれど、ひょっとしたらそっちでも身体が入れ替わっているのかな?」
「だとしたら酷い絵面だな! それってつまり、俺とウィンターが乳繰り合ってるってことだろ?
身の毛がよだつよ。」
「……今日についてだけれど、賭けに出ようと思ってるよ。」
あの世なんて信じていないと言いながら、俺はテレパシーを送る。
もしこれでウィンターが聞いていなかったらただの痛いやつだけれど、僕の言葉はなんとなく彼に届いているんじゃないかと思っていた。
「まず、俺はシュークリームを演じきるつもりだ。
最初からシュークリームが極上の甘味だったという可能性を追わせて憑依の先の撹乱をすることで、明日生き残れた時に自分が隠れる候補を増やす。」
「シュークリームが誰かに乗っ取られていたと思わせてしまうと、俺が極上の甘味だったと思われる可能性が高くなるからね。」
「賭けっていうのは、明日の憑依について。
──俺はマカロン嬢を乗っ取ろうと思う。」
「彼女はキャンディにも疑われているし、位置としては危険なゾーンに入る。安全に最後の日を迎えるなら、チョコレートの方がいい。」
「だけど、今のところケーキとスフレを疑っているのはマカロンだけだ。」
僕は一度言葉を切って、口の中に溜まった唾液を呑み込んだ。
そして、乾いた唇を舐めてから話を続ける。
「明日は変に事実を捻じ曲げた話で説得するよりも、ケーキとスフレがグルだったこと説を推した方が信憑性が増して、生き残れる可能性があがると思うんだ。」
「今日の流れによるけれど今はこんな感じ。」
[朝だ。今日も鏡を見る。さすがにやつれてきたみたい。そうよね、いい加減に食べなくちゃ……]
はあ。私ったら。
またひとつみんなに謝らなくては……
[自分の頬をぺちん!と叩いてから自室のドアを開ければ]
!!
こ、この、かおり、は……
[震える足で、匂いのもと。パイの部屋に向かった]
[結局、昨夜は投票がばらける事を懸念してマカロンではなくムースを指していた。
どちらもシューが疑っている候補だった為、指名する順番が入れ替わっても問題ないと判断したのだ。
目覚まし時計が朝の交流時間を知らせる。
シューは緩慢な動作で鐘を止め、身支度と朝のお祈りを済ませた。
そして、部屋の扉を開いた所で異変に気付いた。]
「…パイさんだけ?」
[漂う甘味の香りがパイのみだった事に気付いた瞬間、シューはパイが【極上の甘味】であると理解した。
そして、指名されたパイ以外に犠牲者がいないと言うのが意味する事も…。]
「!そう言う事だったっスか…!」
[パイの部屋を開ければ、それはそれは美味しそうな……焼きたてのアップルパイの香り。ああ、いつか彼が言っていたっけ。私は胃もたれすると言ったんだった]
ひにく。
私はあなたを指名しなかったのに。
恥ずかしいメモまで残しちゃったじゃないの。バカみたいだわ。
やっぱり、昨日のあなたは、乗り移られていたのかしら。
……ようやく見つけられた。極上の甘味を。
[血溜まりに指をつけて、その赤い液体を口に含んだ]
……あまい。少しすっぱい。
アップルパイ、食べたかったでしょうね。
あなたは大きすぎて、私ひとりでは運べないわ。
あとでちゃーんと食べてあげるんだから、待ってなさい。
おはよう。
[共同スペースのドアを開けて、少し気まずげに切り出した]
ええと……はじめに私、謝らなくてはいけないことがあ
るの。
実は昨日、最初はシュークリームと合わせようと思って、マカロンを指名するつもりで準備していたの。シュークリームはマカロンにする可能性が高いと思って。
でも、思い直してメモを書いておいた後、うっかり寝てしまったのよ。
だから、今日マカロンに入れたのは私。
今日は、パイだけ……?
だれも、乗り移られていないの?
パイが移動する予定だったから、仲間は身動き取れなかった、ということかしら。
なら、昨日の状態と変化ないのね?
……今日は、チャンス、ということね。
【昨日、誰を指名したのかはみんな言って欲しい】わ。手掛かりになりそうだから。
ああ、それと……パイを運ぶの、後で誰か手伝って。
さすがに、私だけでは運べないわ。あのひと、大きいのよ。
[淡々と言った。もう感覚がだいぶ麻痺している]
……お薬だものね。
目を開く。
いつもの部屋だが、鼻腔をくすぐる香りだけが違った。
甘い──けれども、違う。
衝動に引き摺られるように、香りの元に向かった。
「ああ、……パイ。君は……」
指が勝手に彼に伸びる。赤い血を掬った。これ以上思い出を失いたくはないのに。
「───っ」
泣きたくなるくらい、それは甘美なのだ。
>>キャンディ
「…………僕が運ぶよ」
昨日ムースを指名しようとした理由は、基本的にはタルトを軸に考えたわ。
第1に時計のコメント。既に言った通り、ムースはスフレの名前を出して突っ込んできたから。時計がスフレに関するものだと、情報共有か本人が成り代わっていたか知らないけれど、とにかく情報として知っていた可能性をみたのよ。
第2に、五日目のタルトはあまりムースを疑っていなかった。色々なパターンを挙げて色々な人の名前を出していたけれど、パイとムースならパイだと言っていたわ。
第3に、昨日の、スフレの名前の言い間違い、あれは前日の言い間違えを忠実に再現したのではないかと思ってしまったの。
第4に……友達に疑っているって言われても、特に、気にするようなそぶりを見せなかったのが……気になって…………はあ。気を使ってくれてることも考えたけれど。これは、私のわがままよ。きっと。
そう思っていたのだけれど。ムースは昨日、メモで考えてくれていたのね。
……私、もう一度、考えるわ。ちゃんと。
「昨日はほとんど話さないまま眠ってしまってすまない。
【僕はパイに投票したよ】」
腕を組んだ。
昨日と今日で入れ替わった人間はいない。確かに、これは大きいだろう。
「とはいえ、昨日は気づいたら交流時間を過ぎていてね。ボイスレコーダーを流しで聞いて、総合的に一番怪しいと思ったパイを指名することにしたんだ。メモを残しておけばよかったんだが、そこまで余裕はなかった」
>>2 キャンディ
「あ…………おはようっス、キャンディさん。」
[ようやく【極上の甘味】の尻尾を掴む事が出来た。
それはシューにとって、ケーキに辿り着く為の糸口を見付けられたと言う事に他ならない。
また1人仲間の死を迎えているにも関わらず、【極上の甘味】を見付けられてどこか安堵してしまっている事に、シューは自分自身を心の中で嘲笑する。]
「キャンディさんが謝る必要はないっスよ。そのお陰で…と言うのも変っスが、【極上の甘味】を1人見付ける事が出来たっスから。
パイさんが【極上の甘味】だった以上、昨夜の自分の考えは的外れだった事になるっスが…。
とにかく、今日も一緒に頑張るっスよ。」
[今日も誰かが遺体をしょくいんさんの部屋に運んでくれるだろう。
全盲のシューでは運ぶのを手伝う事は難しい為、運んでくれる誰かに感謝しつつ、気を引き締めた。]
[ただ、全てが的外れと言うわけではない。
パイはタルトが乗っ取っているのではないかとシューが疑っていた候補でもあった。]
「今朝亡くなったのがパイさんである事から、ムースちゃんが【極上の甘味】ではないかと言う疑念が少し薄くなったっス。
後で改めて聞き返すっスが、パイさんはタルトさんに乗っ取られていたんじゃないかと思うっス。」
朝。痛む頭を抑えつつ、いつものように身支度を整える。鏡の前で最後の確認をして、よしっと顔を叩いて気合いを入れた。
「………大丈夫。
私は、今日もきっと大丈夫ですわ。」
昨夜、キャンディの為にまとめたアレンジノートを持って、ノブを回す。そして、そのままドアを開けた瞬間、香ってくるのはいつもよりも強烈な──
「────っ!!!ま、まさか………!!」
急ぎ足で匂いの元へと向かう。2階の男子部屋、昨日マカロンが選んだ彼が倒れている。
部屋に入らずともわかる、いつもの朝漂っていたものとは違った、甘美な香り。あまりの強さに目眩がしそうだった。
「……あぁ、あぁ。貴方が、極上の甘味でしたのね……パイさん……」
強烈なパイの香り以外、なにも漂ってきてはいない。どうやら、他に亡くなった人はいないようだ。ほっと胸をなで下ろすと同時に、パイの部屋から急いで共有スペースへと向かう。今は、一刻も早く皆と顔を合わせたかった。
[しょくいんさんの部屋にパイを安置してから、スフレの遺体に近づく。自分で書いた張り紙をめくり、彼の顔に向けて口をとがらせた。まだ、『バカ!』は残っている]
見つけたわよ。私が指名したのではないけれど。
……頑張ってるわよ。あなたがいなくても。
的はずれなことばっかりかもしれないけど、頑張ってるわよ。
それから。これからパイを食べるわ。もしかしたら、あなたは気に入らないかもしれないけれど。もう限界。
……ここから無事に出られたら?二度と会えない人に会えるなら?
そんなの、あなたに決まってる。大好きよ、臆病でずるくて、やさしいスフレ。
[そう語りかけて、またさくら色のリップを取り出すと、もう片方の頬にキャンディの絵を描いてやった]
「俺って褒められて伸びるタイプだからさ、キミがいないと張り合いがないよ。
というか、交流時間外に何して暇潰せばいいか分からないんだけど。」
「昨日キャンディがクレープみたいなことを言ってたけど、もし二度と会えない人に会うことが出来るなら……俺はキミに会いたいなぁ。」
「………今キモいって思っただろ? あははっ。」
「へえ、あの男色野郎を食べるんだ。まあ確かに中身はウィンターだけれどさ、そんなもん食ったら絶対腹壊すからやめた方がいいと思うぜ。
お嬢がパイみたいに下品でデリカシーがなくなったら、さすがに俺も泣いちゃうかも。」
なんて、キャンディに語りかける。
僕の整った顔に落書きをするなんて罪深いけれど、張り紙のおかげで誰にも食べられてはいないみたいだ。
「俺も大好きだよ。詰めが甘くて単純ですぐ過呼吸になる可愛いキャンディ。
あはは、待ってろよ。最後にキミのその願いを叶えてやるからさぁ。」
[ムースとの約束。極上の甘味だけ食べるという約束。プリンの耳をもらってから、何も食べていなかった。パイの傍らに座ると、包丁も持たず、ただその腕を持ち上げた]
……私、アップルパイはかじりつきたいタイプなの。
いただきます。
今となっては、こうしてもあなたなら怒らないだろうというのが、少し、許された気持ちになる。
……ずるい、とは言いそうだけど。代わりに食べてあげるわよ、みんなで。
[そう死者へ言い終えると、二の腕にかじりついた。ああ、香ばしい。目をつぶって咀嚼すれば、それは紛れもないアップルパイだ。それも、食べたことの無いような、まさに極上の。シロップ漬けのリンゴ、ほのかなシナモンの香り。こんな美味しいアップルパイは初めてだ……
目をつぶって、夢中で食べた。お腹がすいていたから。途中から涙が出てきたけれど、涙の味はわからなかった。あまりにもアップルパイが美味しくて。
口の周りも、服も、赤い液体で汚して、彼の上腕をむさぼった]
「……おはようございます。」
急いで向かった共有スペース。既に集まっている面々は、昨日と変わらない。それに、少し安堵しつつも、忘れないうちにと話し始める。
「……昨日、私は最終的に、ムースさんとパイさんの2人に絞って考えました。チョコレートさんの事も考えたのですけれど、前日と比較するには、昨日はあまり顔を出されてはいなかったので、よくわからなくて……
ですので2人に絞って発言を聞き直しましたわ。聞いてるうちに、極上の甘味が隠れ蓑にできるのは、やはりパイさんの方ではないかな、と思いましたの。
具体的な理由を述べることはできないのが申し訳ないのですけれど、【選んだ先はパイさんで間違いありません】わ。」
ひと息に言い終えると、腹の虫が空腹時だと報せる為に激しい音を奏で始める。そう言えば、また何日も食事をとっていなかったっけ。今朝、漂ってきていたパイの香りを思い出すだけで涎が出てきそうだった。
誰かがいつもの場所に運んでいるだろうか。
それならば、朝の交流時間が終わる頃、食事を取りに行こうかと、心に決める。
いつものような葛藤はそこになく。ただただ、食事をとりたい、その気持ちだけだった。*
>>11 マカロン
「おはようっス、マカロンさん。…昨日はお返事する余裕が無くて申し訳なかったっス。」
[マカロンの声が聞こえ、シューは白杖をついて歩み寄った。
シューには他にもやるべき事があったが、先にマカロンと昨日の話をする必要があると思ったのだ。>>7:92]
「昨夜は話してくれてありがとうっス。
今まであまり話してこなかった人よりも、一貫した意見を主張している人の方が利用しやすいのではないか…と言うマカロンさんの考えは自分も半分同意っス。
ただ、ある程度思考を開示している人を真似すると言う事は、どこかでほつれが出るリスクも伴うっス。
いくら口調や雰囲気を真似ても、考え方と言うのは中々真似出来る物ではないと思うっスから…。」
>>11 マカロン
「それなら今まではっきりとした意見を発信して来なかった人を乗っ取った方が、前後の齟齬などを気にしなくていいっスからやりやすいんじゃないかと思ったっスよ。
確かにマカロンさんは自分も含めて何人かから名前が挙がっていたっス。
それを逆手に取っているのでは無いかと昨日は思ったっスよ。
最終的にムースちゃんかパイさん…今朝【極上の甘味】はパイさんと発覚したっスが…彼と繋がりを切って自分が指名されれば、パイさんが疑われにくくなると踏んだからじゃないかって事っスね。
という所っスが、決め付けずに改めてマカロンさんのお話を聞き返そうと思うっス。
マカロンさんはパイさんが乗り移られていたと思うっスか?もしそうだった場合、誰に乗っ取りそうだと考えているっスか?」
目を擦り、朝の支度を済ませる。
共同スペースへ向かうため部屋を出ると、ついこの前までは全く感じられなかった甘い香りが渦巻いていた。
様々の感情と共に。
「おはようみんな。わたしが来たわ!」
「パイを指名したのはわたし。
元からそうなのか誰かの隠れ蓑になってしまったかはわからないけれど、そう…昨日はパイがそうだったのね。」
その感情は表情からは読み取れない。
「あ、パイさんは指名されているので、乗っ取る事はないっス!自分が聞きたいのは元々乗っ取られていたか否かと言う事っス。」
[シューは自室へと戻る直前にマカロンに訂正した。]
>>15 キャンディ
「……おはようございます、キャンディさん。」
挨拶をされた方を振り向けば、服を血で染めたキャンディが立っている。どうやら、朝の食事を済ませてきたらしかった。少し驚いて言葉を失ってしまったけれど、務めて明るく挨拶を返した。
「……えぇ。約束したものですわ。」
そう言って、持っていた1冊のノートを彼女へ差し出した。ノートの中には彼女の為に選んだ10通りのヘアアレンジが書かれている。
アップスタイルから、ハーフアップ、サイドアップ、他にも色々と。どれも彼女に似合うようにと選んだものだ。
「……無事に約束が果たせて本当によかったですわ。」
この状況でこう考える事は不謹慎かもしれない。けれど、それでもこのノートを直接手渡せたことが嬉しくて、笑顔が溢れ出す。
もしかしたら、今日を迎えられていなかったかもしれない。昨日、一番疑われていたように感じていたから。そう思えば思うほど、今この瞬間があることを嬉しく思う。彼女の為に選んで書いたこのノートが遺品とならなくて良かったと、心からそう思った。*
「偽シュークリームはこのままマカロンを推すのが自然だから、よっぽど他に怪しくて指名しやすそうなやつがいない限りは彼女を俺は指定するつもり。
マカロン嬢が殺されそうな場合は、チョコレートかな。そっちもロジックは用意しているからきっと大丈夫。」
私のカンが正しかったのなら、極上の甘味はタルトからパイに移ったことになるわ。
つまり、今ここにいる極上の甘味は、少なくとも五日目からは移動していないのよね?
うーん……ケーキがひとりで乗り移り続けていたというより、やっぱりタルトかゼリーが仲間だと考えるのが妥当なように思うのだけれど、ね。
[それから、私の見解は……と、指折り話す]
私が今日固定して考えたいのはこうよ。
3日目は本当のスフレ、彼は極上の甘味ではない。
4日目は乗り移られたスフレ。ケーキ、もしくはゼリーによるもの。
5日目は本当のパイ、彼も極上の甘味ではない。
6日目は乗り移られたパイ。この場合、5日目のタルトからの移動。
パイが最初から極上の甘味の仲間ではないだろうことは、何度か指摘してきた通りよ。
では、そろそろお部屋に戻ろうかしら。
続きは夜ね。また。
「おはよ、ウィンター。昨日の夜は一時間置きに目が覚めちゃったからすっかり寝不足だよ。どうせやることもないから昼間はめいっぱい惰眠を貪っちゃった。」
「キミはどうしてる? あの世って煙草とかあるのかな。」
「なんだかこうしてみると、死んだ夫の墓の前で毎日他愛のない話をする未亡人みたいじゃない? 俺。」
「まあ、暇だから話しかけるけどさ。」
「暇だからシュークリームの身体でもまさぐっていようかなー。……あ、意外と胸が大きいんだな。」
僕はウィンターが聞いていたらとっても怒りそうなことを言いながらベッドにまた横たわった。
[夜の交流時間を告げる目覚まし時計が鳴り響く。
緩慢な仕草で鐘を止め、身支度を整えてシューは自室の扉を開けた。
そして、しょくいんさんの部屋に向かおうとして紙を踏んだ事に気付いた。]
「…またっスか?」
[後で誰かに読み上げてもらおうと思い、シューは紙をしまってからしょくいんさんの部屋へと向かった。]
[がばっ!と、身を起こす。ちょっぴり寝過ごした。ちょっぴりだけれど。あわてて部屋から出ようとして、思い直して鏡の前に座った]
……リップはしなくても。髪くらいはちゃんとしないとね。
レディですから。
[少し乱れた髪をゆい直し、自室の扉を開ける。すると、部屋の前にまたなにか落ちていた]
……また?次は何よ。
交流時間が来た。
日に日に数を減らす仲間たち。
その精神的な負担はドーナツの心に変化をもたらしただろうか。
「あらこれは。新たな子猫ちゃんの登場に流石のわたしも動揺を隠しきれないわ。おろおろ。」
昨日と同じような紙を拾い上げ、確認する。
[その前にキッチンに寄り、先日実験を行う際に使用したボウルとゴムベラを濯いで、水気を拭き取る。
謎の機械による実験は、既にシューが出来うる範囲では終了している。
これからシューが行うのは、謎の機械の解明ではなく、生きる事を目的とした行動だ。
ゴムベラはシンクに置いておき、ボウルを抱えてしょくいんさんの部屋へと向かう。]
こんばんは。気づいてるひともいるでしょうけれど、最初にこれは言っておきましょうか。
【ムースは極上の甘味ではない】と言っていいでしょう。
それは、今日の指名結果からわかるわ。
まだ全員の結果は聞いていないけれど、他のみんながどうしたか、聞いたから、もうハッキリしてるわね。
[わかりやすいように、とメモに図を書く。あとで貼りだそう]
【今日の投票】
チョコ1→ムース
パイ3→チョコレート、マカロン、ドーナツ
マカロン1→キャンディ
ムース2→シュークリーム、パイ
チョコレート、マカロン、ドーナツがパイを指名したのなら。残りの内訳はこうなるわ。
極上の甘味だったパイが指名しているムースは、仲間ではないと思って良いでしょう。
昨日はだいぶムースが疑われていたから、わざわざ仲間に入れる必要は無いわ。
そうなると、素直に考えれば……仲間同士、票をかためると思うのだけれど……シュークリーム、なのよね。もうひとりが。
……これを、どう考えるか、よね。
もちろん、私のようにうっかり寝てしまって、無意識にパイを指名してしまった可能性もあるけれど……どうなのかしら。
他の観点からも、私の考えを整理していくわ。
あ、それから。また部屋の前で紙を拾ったのだけれど。
[紙を改めて見て、顔を顰める]
……いやらしい質問。
『愛した人の秘密を全て受け入れる覚悟がある?A.あるB.内容による』ですって。
……愛した人、ね。私の愛についての価値観を試しているの?
んー、Bよ。内容によるわ!
たとえば、犯罪歴があるだとか、人道的に間違ったことをしてしまっただとかなら、私も、もうそちら側に踏み入れてしまっているから……どうこう言う権利は、ないわね。
むしろ、気持ちに寄り添えるかも。
でも、【妻子がいる】とかはダメ……!!
実は子どもがいる、だけならいいけれど、不倫だけは本当にだめ。むりだわ。不潔よ。最低だわ。
[しょくいんさんの部屋へと辿り着いたシューは漂う甘味の香りを頼りに歩んでいく。
焼き立てのパイ生地と、林檎と砂糖の香りが鼻腔をすり抜ける。
それは今まで感じたどの甘味よりも香り高く、空腹を刺激するものだった。
パイのシーツをめくり、シューは両手を合わせる。
そうした後、シューは手探りでしょくいんさんの机に置いてある刃物を手に取る。
探る際に指を切る事はもうなく、包丁の形をした物を取り出した。
パイの上体を起こし、首を斜めに傾ける。その下には以前と同じくボウルが設置されていた。
そしてシューはパイの首筋に刃物を押し当て、流血させる。
ボウルにパイの血液が流れて溜まっていく。
辺りに漂っていた甘美な香りは更にしょくいんさんの部屋に充満する。
ボウルに指を入れ、ある程度の量が溜まった事を確認したシューは、パイを再度寝かせ、首筋にシーツを押し当てた。
そして元の場所に刃物を置き、しょくいんさんの部屋を後にする。]
……私は私だけを愛してくれるひとじゃなきゃ、いや
わかってるわよ!めんどくさいってことくらい!
でも、ちょっとくらい注文つけたっていいでしょ!
寂しがりの甘えたなのよ!
……夢を見た。
小さな鍋の中で、バターとリンゴが混ざる匂い。しんなりと柔らかくなった果肉を、僕は篦で回していた。かつての自宅の、一人暮らしのマンションで、あの人のためにリンゴの甘煮を作っていた。
あの人が、僕の好きなものを食べたい、というから。あの人はキッチンから漏れ出す甘い匂いになぜだか目を和ませて、鍋をスプーンで一掬いする。そして顔を顰めて甘い、と言うのだ。
そりゃあ、林檎は甘いだろうと笑う僕に、あの人は言った。
──アップルパイにしてよ。
[キッチンに辿り着いたシューは、残りの粘土を冷蔵庫から取り出す。
…粘土を使用する事が出来るのはこれで最後だ。
シューは粘土を丸く、手の平サイズにこねる。粘土をこねて、甘い香りのする血液と共に機械に投入する。
着色料ももう使ってしまおうか。
あれから誰も使っていなければ最後にしまった場所に保管されているはずなので、記憶を頼りに棚から手探りで茶色い着色料を取り出し、それも投入口へと入れた。
そして、機械のスイッチを押す。]
「投票、投票ね。あはは、確かにそうだね。ひょっとしたら愛の力によって、俺も今夜が峠かな?
……まあいいさ、それならそれで。だったら俺は、最後まで悪あがきをするまでだ。なあウィンター、見てるかい?」
「今からキミを食べるよ。さぞかし美味しいだろうなあ」
「イイ予感がしマシタ!」
少女は飛び起きると共同スペースへ急ぐ。
「フフン、遂に極上の甘味を発見デス!
これでこの空腹も癒されると…ウワッ、プ!」
何かが顔に張り付いた。
勢いよく開けた扉に、落ちていた紙が舞いあげられたのだろう。
「またデスカ?キャンディでもないと言ってマシタし、ドーナツデスカね。
昨日聞き忘れてしまいマシタ。
早速朗報とともに喜びを分かち合いに行きマショウ。」
少女はルンルンと鼻歌を歌いながら共同スペースを目指した。
「ああ。……でもやっぱり、パイの顔をした死体を食べるのは気色が悪いからね。
シュークリームをならって、こうして血液を混ぜ合わせた粘土を口にすることにしたんだ。」
機械に投入した粘土を眺めながら、僕は口角をあげてそう言った。
それに、僕は紳士だからね。本当は悪党らしく死体にかぶりついてやってもよかったけれど、オーディエンスのイメージを壊してはいけない。
「ウィンター。キミはひょっとしたら怒るかも知れないけれど、俺は今とても穏やかな気分なんだ。」
「もちろん手にできる勝ちを負けにする気はないけどさ、もしここで俺が指名されても、まあいいかなってちょっとだけ思ってる。」
こほん。真面目な話に戻りましょう!
タルトについて、ムースが言っていたことを踏まえてレコーダーを聞き直したら、日記についてもやっぱりちょっと違和感があるように思うわね。
強いて言うなら、五日目は淡々としすぎかしら。
よって、タルトはスフレから乗り移られた可能性を見るわ。
五日目のタルトの発言は色々なパターンがあったけれど、名前が出てこないのが、マカロンとチョコレート。
現状から素直に考えたら、マカロンの方が極上の甘味に近いかしら……?
うーん。昨日は、マカロンは乗り移られていないと思うと言ったけれど、もう一度改めて考えてみる。
あとは、ケーキが本当にひとりでずっと移動していた、というパターンがあるのか、ということもね。
「でも、キミが俺以外のバカたちに食べられるのは不服だな。あーあ、もっと豪快なやつのふりをしていたら、貪りつくせたのに。」
シュークリームのことだけれど……ムースへの票数、パイの指名先から見たら、シュークリームは怪しいわ。シュークリームでなかったら、今日の決め手にしたくらいの話だわ。
けれど……シュークリーム、ずっとあの変な機械で、いろいろ試してくれてたんでしょう?
できるだけ、その、仲間を食べなくて良いように。
それに……シュークリームは乗り移られていないと思うから。あるとしたら、ずっとケーキが一人で移動していた、ということになるわ。
前にも言った気がするけれど……そんな負担を、シュークリームが許すかしら。
それに、これは私の価値観だけれど。せっかく乗り移ることができるなら……シュークリームが先に誰かになって、ケーキの顔を見たいと思わないのかしらって。
それに、四日目のスフレはシュークリームと話しすぎよね。
仲間同士だったらこんなにつっこんで話すかしら?
……別にうらやましいと思ってたとかじゃないのよ!ど、どうせニセモノだし!
「……自分もそうしたから、こういう事には引け目があるんだが……」
僕は口を開いた。
「極上の甘味の仲間はパイを指名しないと思うんだが。……クレープとティラミスの例があっただろう? キャンディは結局のところ違う人を指名したわけだが、パイに疑惑が集まってたわけだ。その段階でパイに敢えて票を寄せる行為は、危険じゃないか?
こうして票の話が出来るのも、犠牲が出なかったこそなわけだしな。……同じ理由で、キャンディが極上の甘味である可能性はないと見ていいと思う」
一つ一つ、考えたことを話していく。間違っているかどうかという不安は、一度置いておくことにした。
「……それから、今日誰も犠牲者が出なかったことについてなんだが。もし、パイとムースが極上の甘味であるなら、ムースは誰かしらに乗り移っていたのではないかと思う。どちらが指名されてもいいように、だ。そして、これはキャンディも言っていたが──パイがムースを指定する可能性もまた、同じように低いと見ていいだろう。…………」
そこまで言って、一度口を閉ざす。
[カタカタと音が鳴り始めたのを確認し、出来上がった塊を手に取る。
恐らくは茶色いそれを、シューは恐る恐る齧ってみた。
以前パイが読み上げてくれた【極上の甘味】と記されたメモが正しければ、『これ』は病を疾患は治してくれる“薬”だ。
未だに出来過ぎた話だとは思う。しかし、この狂おしい程の香り。その極上のパイの香りがシューの胸に芽生えた期待を膨れ上がらせた。]
「………」
[一口頬張れば粘土の柔らかい触感と共に香ばしいパイの味が広がっていく。
…もし目がまた見えるようになったら。
シューはまず一番にケーキの顔が見たいと思った。
彼がどんな表情で眠っているか知りたい。
そのまま甘味の塊を貪り、嚥下する。
そして、閉じていた目をゆっくりと開けてみる事だろう。]
「……そうなると、一人なんだ。理屈で詰めれば、一人。俄には信じ難いんだが、状況からすると…………シュークリームが極上の甘味である、ということになる」
キッチンの方を見る。この場にはいない彼女を。
「……ただ、彼女の雰囲気は、変わらないと思う。まるで、本人そのままなんだよ」
>>40 キャンディ
「そうだな。マカロンの視点で考えてみると、キャンディはパイに対して疑いをもっていて、あの日夜時点で誰を指名するか言っていない人間が三人(ドーナツ、ムース、僕)いたわけで……、その上でパイが指名される可能性を考えないのは考えづらいと思う。
と、いうかな。パイが指名される可能性があった状況で自分が乗り移る、という手を取らないのは、パイが残り、自分が誰かに乗り移った場合不利になる人間だと思う。つまりあの段階で疑われていたマカロン、ムースは除外されるだろう」
そう言ってから、僕は僅かに唇をあげた。
「まあ、極上の甘味の乗り移りが、そういった自分たちが生き残るために完全に行われている、と仮定した場合だが」
[しかし、シューの真っ暗な世界にはまだ、光は訪れない。]
「………駄目っスか…」
[視力が戻るかも知れないと期待していた半面、何も変わらない可能性も充分あり得るとも思っていた。
少なくとも、【極上の甘味】を1人食しただけでは効果はないと分かった。
血液のみを摂取した事が原因なのかも知れないが…。
でも、いくらパイが【極上の甘味】だったとは言え、これ以上彼の身体を傷付けるのは気が引けた。
それに今は、もう1人の【極上の甘味】を見付け出さなければならない。
シューはゴムベラやボウルの後片付けをして、共同スペースへと向かう事だろう。]
>>27 キャンディ
[共同スペースに着くと、ボイスレコーダーを再生してキャンディが録音していた投票の話を聞き返す。
シューは、彼女の言い分を理解した。
昨日時点でパイが【極上の甘味】だった以上、単純に考えれば昨夜【極上の甘味】はパイ以外の誰かを指名したかった筈だ。
そして、パイはムースを指名している。
同じくムースを指していたシューが【極上の甘味】で、パイと票を固めようとしたように見えるのは、客観的に見れば納得出来た。]
「確かに投票結果から紐付けていくと、自分が怪しくなるのは理解出来るっス。
これは自分目線での話っスが、【極上の甘味】がムースに投票しようと打ち合わせしていたとして、もう1人がうっかりでムース以外を指名してしまった………と言うのは考えにくいと思うっス。
考えられる可能性として、自分は2つあると思うっス。」
ただ、私、チョコレートは……昨日言った、時計への感想のことからも、あまり怪しいとは思えないの。
乗り移られたとしたら昨日だと思っていたけれど、実際はパイだったはずだし。
今も、仮にシュークリームを追い詰めるためだと仮定しても、わざわざ乗り移りについてのヒントを、みんなに与えなくてもいいように思うのよね。
その点……私は昨日、時計に関する理由で、ムースを……挙げたわけだけれど。
昨日言った通り、スフレの名を出したのは、シュークリームとムース。シュークリームも含まれるのよね。
だから、あってドーナツかしら。
少なくとも、マカロンは外してもいいように思える。
「まず1つは、見捨てる覚悟でパイさんを指名した可能性っス。
この場合、仲間は誰かを乗っ取る必要はないっス。
明日【極上の甘味】の1人がパイさんだと発覚すれば、必然的にその仲間は疑われにくくなるっスから。
つまり、チョコレートさん、マカロンさん、ドーナツさんの3人っスね。
パイさんが指名されなかった時の為に、誰かを乗っ取るのは彼に任せれば問題ないっス。
上手く乗っ取る事が出来れば、2人で生き残る事が出来る。
仮に乗っ取る事が出来なくても、【極上の甘味】にとって不利ではない状況っスよ。
本来なら今日は5人で迎える筈だった朝が、6人になって容疑者が増えたっスから。」
「そして2つ目は、ムースちゃんに投票した誰かに嫌疑を掛けたかった可能性っスね。
この場合仲間はムースちゃん以外を指名していればいいっス。
ただ、出来るだけパイさんの事も指したくないだろうっスから、チョコレートさんを指名したムースちゃんとマカロンさんを指したキャンディさんも少し怪しくなってくるっス。
…うーん、この場合投票結果に関連付けた考察を展開したキャンディさんが【極上の甘味】である可能性が出てくるっスが…キャンディさんだと仮定すると違和感モリモリっス。
今まで自分が伝えた考えとしてもそうっスが、わざとマカロンさんを指名して、うっかりしてしまったと主張するのはあまりにもあざと過ぎるっス。
話を戻すと…見落としがあったら申し訳ないっスが、ムースちゃんの名前を挙げていたのは自分も含めてキャンディさん、マカロンさん、それから【極上の甘味】だったパイさんっスね。
…自分の事はよく分からないっスが、つまり【極上の甘味】は自分やキャンディさん、マカロンさんに疑いを向けたかったと言う事になるんじゃないかと思うっス。」
ふむ。どのケースでも、やっぱりムースは極上の甘味ではないと言えるわね。
今日確実なのは、それ。
やっぱり今日重要なのは、シュークリームだと思うわ。
私、聞き返したのだけれど……シュークリームが仲間だと仮定して、ケーキの移動後、極上の甘味同士の会話があったのは、四日目のスフレと昨日のパイ。
ついでに本物のスフレの声も聞いてきたんだけれど、それまでもよく話していたのね。だから、話さないと逆に怪しいと思った可能性はあるかも。
昨日のパイは……やけに親切ねえ、と思ったのよねえ。そんなことするのね、って。ケーキの優しさだったら……ちょっと、せつないわ。
んー、あとは、そうね、シュークリームは……五日目はマカロンが怪しいと言いつつ、ちょこちょこタルトの名前も出しているのよね。仲間なら、周到だわ。
ゼリーについては、実験を優先していた日だったからか、そこまで気にかけていなかったような感じかしら。
「パイさんがムースちゃんに投票し、仲間は別の誰かを指名すれば見事スケープゴートの出来上がりっス。
この場合、自分を疑う声に【極上の甘味】は隠れると考えてるっスよ。
今話した事を総合すると、自分は1つ目の可能性の方が高いかなと思うっス。」
ドーナツとマカロンも、できるだけいっぱいお話して欲しいわ。
あ、あの、もちろん。ムースも……
[昨日、ムースを指名すると言ったことが胸に引っかかっていた。もし自分が予定通りムースを指名していたなら、票数は同票……ムースが犠牲になっていたかもしれなかった]
>>17 シュークリーム
朝、部屋に戻り、シュークリームの質問への答えを考えていた。
頭をひねってみたけれど、やはり考えは変わらない。共有スペースへ赴いて、彼女の事を見つけると、今朝の返事と傍に寄って。
「こんばんは、シュークリームさん。今朝のお話の続きを致しましょうか。
質問の答えですけれど、私はパイさんは誰かに乗っ取られていたと感じていますわ。誰にも乗り移らずにここまで来ることは、やはり少し難しいと思いますから。
誰に乗っ取られていたのか……ケーキさんではないように感じています。彼の性格からして、あんな楽しそうな雰囲気を出せるのか少し疑問に思う所がありますから……
そうなると、もう1人が誰なのか、ですけれど。私は以前からずっとスフレさんではないかとお話させて頂いていましたけれど、今でもその考えは変わらないままですわ。そうですわね……タルトさんから乗り移られたのではないでしょうか。」
自分の考えを素直に話し終える。
そうして、彼女の返事を待つ事にした。
「……うーん、回りくどいっスかね…?」
[【極上の甘味】は最終局面に向けて、出来るだけ多くの場所に疑念の芽を植え付けたい筈だ。
可能性があればある程、シュー達はそれらの全てを1つずつ検証しなければならないのだから。]
「あっ、忘れる所だったっス。どなたか申し訳ないっスが、この紙を見てもらえないっスかね?」
[シューは綺麗に四つ折りにした紙を取り出し、周囲に聞こえるように声を掛けた。]
私の主張による、成り代わりの可能性を整理するわ
[また、紙を取り出してパターン別に番号を振る]
@ケーキ・ゼリー
2日目ケーキ→3日目ドーナツorマカロン(今も)
3日目ゼリー→4日目スフレ→5日目タルト→6日目パイ
この場合、タルトが3日目から入れ替わっていたなら、ケーキがタルトに移った可能性もあるけれど、いずれにせよケーキはいきなり女性になったことになるわね
Aケーキ・タルト
2日目ケーキ→3日目ゼリー→4日目スフレ→ドーナツorマカロン(今も)
5日目タルト→6日目パイ
こちらは、まだわかるかも。タルトは乗り移られた可能性を高く見ているけれど、スフレとパイほど、違う、と言えなくて。
Bケーキだけずっと乗り移り
この場合が一番ややこしいわ……。
「なあウィンター、あの世でシュークリーム嬢と乳繰り合いながらでもいいから俺を労ってよ。
キミが褒めてくれたら、もう少し頑張れる気がするんだ。」
パイは疑われていたと言っても、ほぼ私が感覚的なことで因縁をつけに行ったようなものだし……正直朝パイが選ばれていてびっくりしたのよ。
パイにわざわざ投票して、いわゆる《捨て駒》のようにするには、もったいない気がするわ。
今まで、今までと違う!って言って失敗してきたんだもの。
それなら、そうよ。
たとえば、マカロンやムースなら、中途半端に片方だけムースに投票せず、パイと相互で指名するとかするべきなのよ。
その点、やっぱりムースは違うわ。パイを指名していないんだもの。
だから、やっぱり今日マカロンは外していいと思う。
私の、今日の指名候補は、【シュークリームかドーナツ】
交流時間が終わるまでに、最終的に1人に決めようと思うわ。
票の件、時計の件で、すごくシュークリームに傾いているのだけれど……でも、やっぱり、ちゃんと動機が欲しいわ。ケーキがひとりで乗り移り続けていたことに関する、動機、理由が……。
それに、ドーナツが仲間だった場合の想定も。
どうしてか、大嫌いだった兄貴のことを思い出した。
何をするにも不器用で、悪いところを挙げたら指がいくつあっても足りなくなるような、そんなダメでどうしようもない僕のきょうだい。
──僕は本当に、兄貴のことを軽蔑していた。
何をしても失敗ばかりで、そのくせ笑って誤魔化す兄貴が。
「俺と違っておまえはすごいな」と、自分の才能のなさを認めて開き直っている兄貴が。
それがただただかっこ悪くて、情けなくて、大嫌いだったんだ。
だって、僕たちは同じきょうだいなのに。
どうして僕に出来ることが、兄貴には出来ないんだろう。それが不思議でしょうがなかった。
あっ……
でも。極上の甘味が、ケーキ一人だった時、納得出来ることがひとつ。
ゼリーはケーキを食べていた。人目も気にせず、食べ過ぎたというくらいに。
これは、ケーキ本人だったなら、とても納得がいくことよ。
そして……それ以降、抜け殻の死体を食べる人はあまりいなかったわ。隠れて食べていたら知らないけれど。
怪しまれるから、避けたのかと思ったけれど、ガマンできるものなの?
今まで、抜け殻を飛びつくように食べたひとがいないのは、やっぱり、まだ誰にも成り代わっていないひとがいることの証明のような気もする。
こほん、と一つ咳払いをして、スマートフォンの録音ボタンを押す。
自分の頭の整理と、他の住人へ自分の意見を聞いてもらう為に、ゆっくりと話し始めた。
「………えぇと、色々考えないといけないことが山積み、ですわね。とにかく、部屋に戻ってから考えた事を話しておきますわ。
今日の投票先について、ですけれど。……なんだか自分で言ってしまうとそれを逆手に取っての行動をしているのでは、と邪推されてしまいそうな気はしますが、話しておきますわね。
まず、私が極上の甘味だった場合、わざわざパイさんを指名することはしないと思いますの。昨日は確かに私とムースさんが怪しいと沢山の方が声を上げていらっしゃいましたわ。パイさんを怪しいと発言していた方はあまりいらっしゃらないように感じましたし、ここで敢えて私が仲間を売りに出すような危険な行為はしないと思いますの。
そもそも、皆さんは選出人のお名前を隠されていました。それならば、パイさんと一緒にムースさんを選んで票をまとめてしまった方が二人共逃れる術はあったように思います。現に、本日パイさんが選ばれていなければ、一番票が集まっていたのはムースさんでしたわ。」
「それから、本日犠牲者が誰も出ていなかったということは、極上の甘味さん達は、きっとパイさんが選ばれるとは思っておられなかったはずですわ。……これが、意図しての行為だとすれば、根本的な部分から話は大分と変わってきますけれど。
パイさんが選ばれないと踏んで、昨夜行動をされていたのだと思います。それが、選ばれてしまった。だから今朝は誰も犠牲にならなかった。
…そう考えると、ムースさんは外して良いかと思いますわ。なによりパイさんはムースさんを選んでいますし、もし仮に彼女が極上の甘味だとしても、パイさんがムースさんを売るような真似をするとは思えませんわ。」
「そこから見てみると、怪しいのはムースさんに投票された、シュークリームさん……という事になります。信じ難い部分はありますけれど、現段階でとても怪しい人物になると思いますわ。
それから、本来なら私ではなくムースさんに入れる予定だったキャンディさん。……ただ、私、彼女はあまり疑いたくはありませんの。いつも見ているキャンディさんと、なんら変わりありませんから、乗り移られているようには見えませんし、彼女が極上の甘味だとすれば、こんなウッカリしなさそうですし……。
本日、パイさんに入れた方は一旦保留とさせて頂きたいですわ。チョコレートさんとドーナツさん……ですわね。
選ぶとするなら……交流時間が終わるまでに候補を絞っておきますわ。もう少し、皆さんの発言を聞き直して参りますわね。」
言い終えるとボイスレコーダーの録音を停止し、再生に切り替えてから過去の発言を聞き返してゆく。
見つけなければならなかった。些細な事でも、聞き逃さないように。
「……僕も今のところは、その二人が候補だな。言葉が、言い回しといえばいいのかな。その雰囲気が少し変わったように見えるのはドーナツの方だと思う。四日目と五日目で少々……なんと言えばいいのかな、奇抜さが抜けたような気がする。印象論ではあるんだが」
それでも、僕たちきょうだいが仲が良かった時期も確かにあった。
僕たちが唯一心の底からきょうだいだといえたのは、二人で親父のスフレチーズケーキを食べている時だった。
あつあつでふわふわのスフレが出来上がるのが待ちきれなくて、子供の頃はよく兄貴とオーブンの前に張り付いてたっけ。
特に兄貴は地蔵のようにオーブンの前から動かなくなるから、見兼ねた母さんが親父にスフレ禁止令を出したんだ。
僕の家はパティスリーだった。街の一角にあるお菓子屋さん。職人気質の親父は毎日新作のレシピ作りに励んでいて、学校から帰るといつも、客の賑わいと甘い香りが僕を満たしてくれた。
兄貴は昔から、将来は親父の後を継ぐのだと夢を語っていた。
今思えば、僕がパティシエを目指したのは兄貴の影響でもあるのかもしれない。
その頃の僕にとって、親父は美味しいお菓子を作ってくれる魔法使い。
そして、兄貴は俺が見る世界のすべてだったから。
私、仲間がドーナツだとしても、乗り移られてというよりは、ドーナツはドーナツのままでいると思うわ。
雰囲気いっしょだもの。
ドーナツについて気になるのは、マイペースにのらりくらりとしていて、結局誰が怪しいと思うかをはっきり言わなかったり、ひとりでいることが多いことかしら……。
「ハァーイ!諸君!コンバンハデス!
コレでやっと1人は捕獲できマシタね!
過半数以上ダト、正体を暴いても為すすべがないデスから、このタイミングは何よりデス!」
少女はいつもどおり、快活に扉を開いて話し出した。
「ア!そうデス、今日は部屋を見てくるのを忘れマシタ。
でも、パイ以外いなくなってナイデスね…?」
少なくなった部屋の中。
ぐるりと見回して欠けた人間がいないのに気がつく。
「“極上の甘味”は、パイが成りかわる予定だったノデスカね?
昨日は疑いが集まっていまシタカラ。
それなら、もう1人は安全なトコロデショウ。
フフン、証拠も沢山集まりマシタ。
美少女探偵ムースちゃんの腕の見せどころデスね!」
とにかく、学校を卒業するとすぐに、僕たちは親父の店でパティシエ見習いとして働くことになった。
自分で言うのもなんだけれど、僕は手先がとても器用だ。要領も良い方だから、見習いになってから菓子職人としての技術を驚くべきはやさで身につけた。接客ひとつにしても、不器用でどんくさい兄貴よりも遥かにうまくやれる。
そんな僕を見て兄貴は、いつも「おまえはすごいな」と笑った。当然だよ、僕には才能があるんだから。
でも、親父は──。
……親父は、こともあろうか兄貴に店を継がせると言ったんだ。
どうして僕じゃないんだ!
そう言って、何度も親父に食い下がったけれど、返ってくる言葉は一つだけだった。
だったら好きにすればいい。その役立たずな兄貴に店を継がせて、あんな店なんて潰れちゃえばいいんだ。
僕は店のために考えたレシピ本をびりびりに破り裂いた。もうこんなもの必要ない。
僕は僕で自分の店を持って、僕を手放したことを後悔させてやるんだ。
そうして、そう心に決めた矢先に、気付いたんだ。自分の舌が甘味を感じられなくなっていることに。
「わたしがわたしでなくなるだなんて考えられないわ。だってそうでしょう?如何に物真似上手な極上の甘味と言えど、この内から溢れ出す知性と魅力とあとなんかステキなサムシングはそう簡単に再現出来るものではないと、わたしは、主張するわ!」
どうやら話を聞いていた様子のドーナツは、カメラを向けられたファッションモデルの如く、一言毎にポーズを変えながら声を上げる。
「正直難しい話は食後にして欲しいところだけれど、そもそも食事が出てこないんじゃあ仕方がないわね。
でもそうね、わたしのぼっち気質がみんなの考えを妨げることがあっては事だわ。わたしも少しくらいは自分の考えを話した方がよさそうね。
誰よ今ぼっちって言ったの。違うわ、違う。わたしは決してそのような。」
でも、うーん、ドーナツは、今朝パイを指名したのもそうだけれど、
全体的にあまりにマイペースがすぎるというか。
極上の甘味にしては余裕がありすぎるというか。
そういう点ではちょっと引っかかっていて。
……今日は【シュークリーム】にしようかと、思う。
一応言うと、チョコレートが怪しいとしたら、昨日の夜姿を見かけなかったから……うっかり、無意識にパイを指名してしまうとしたら、ドーナツより可能性が高そうということくらい。
でも。時計へのコメントと、今日の一連の指摘で、私は、シュークリームより優先度は低いと見るわ。
……そうね。理由を、つけるなら。
ケーキが、シュークリームを守るためにずっと移動を引き受けていた、と見る、とか。
または、シュークリームが最後まで残って……最後まで残ったら、病気が治ることに期待して、『自分の目』で、ケーキを見たかった、とか。
そんな、ところ?
ただ、その場合、本当に大胆なの……。「1人に集中してリスクを分散」と、自分で言及しているし…(>>4:20)
大胆不敵すぎて。連日の実験の意味がわからなくて。
まだ確信を持ってシュークリームと言うことが出来ない。いくら考えてもわからない。私と似た立場だとずっと思っていたのに……。
個人で見れば、乗り移られた可能性も含め、マカロンなのだけれど、マカロンは票や犠牲者が出なかったことから可能性が低いのは確かで。
……私、今日は、時計が、宝物が、幸運をくれることを信じよう、かしら。
[神頼みのような、不確実な結論でひとを死に導く……それでも、今までずっと外し続けていて、自信が無いのも確かだった。この地獄が終わるかもしれない今日。最後は、スフレに運を委ねてもいいかもしれない]
ううん、違うわ。
最後まで残るんじゃない……【ケーキが死んだ時】、極上の甘味であるケーキを食べて、病気が治ることに期待した。それで、『自分の目』でケーキを見たかった。
そういうことなら、ケーキが死ぬまで、待っていたことも納得出来るかもしれない。
「……俺はこんなところに詰め込まれたままでいい人間じゃないんだ。だって、俺には才能があるんだから。」
「味覚を治しておかしのいえから出て、みんなに分からせなきゃいけないんだ。
例えその結果誰かの身体を奪うことになっても、兄貴の身体を捨ててでも、俺は俺の才能を世の中に、親父に──兄貴に…………………あれ?」
そこまで呟いて、僕はふと首を傾げた。
「……………兄貴の身体って、なんだっけ?」
────今まで信じて疑いもしなかったものに亀裂が走る。耳を覆いたくなるようなノイズが混ざる。
そして、そこでようやく、僕は気付いた。
いや、思い出した。
……私、今日は、やっぱり、【シュークリーム】にするわ。
こじつけと思われてもいいわ。一応、ケーキがひとりで動いていた理由を、思いついたいま。現段階で。シュークリーム以上に優先すべきひとが居ないから。
>>75ドーナツ
「フフン、そうデショウ!
今日はいいコトもありましたカラね!
元気100倍!ムースちゃんのkawaiさも100倍なのデス!」
少女は誇らしげに胸を張った後、ドーナツの言葉に首を傾げる。
「アレレ、そうデスカ?
不思議な質問なのデ、ドーナツかと予測しマシタガ違いマシタカ。
あと残る候補はマカロンかチョコレートデスガ…kawaii子猫ちゃんなら、マカロンデスカね!
マカロンはkawaiiし美人サンデスから!
エ!だーくねすふぁいあちゃんは魔界に行けるノデスカ!
スゴイデス!マタ、だーくねすふぁいあちゃんに出会ったら、ムースちゃんも魔界に連れて行ってくれるよう頼んでくだサイ!」
「そうっスか…」
[シューはキャンディが導き出した結論を受け止める事にした。
誰かがシューと同じ状況だったならば、彼女もまたキャンディと同じ答えを出しただろう。
どうすれば自分が潔白だと言う事を説得出来るのか…。
シューは疲れて切っていて、もう分からなかった。]
「自分が【極上の甘味】ではないと言う根拠を考えてみたっスが…。
全て後付けと言われたらそれまでっスが…もし自分が【極上の甘味】だったら、一番最初に憑依を行っていたっス。それに…ケーキには可能な限り乗っ取らせないっスよ。
その理由はキャンディさんが話していた事も少しはあるっスが、そうではなくて。
ケーキも自分も相手の表情を伺い知る事が出来ない病を患っているっス。だから、こうして毎日誰かの身体に乗り移る事を考えていたなら、自分は早めに目の見える誰かを乗っ取ったと思うっス。
例えケーキと自分が【極上の甘味】だったとして………ケーキの顔は、ケーキが生きているうちに見たいに決まってるじゃないっスか…」
[好きな人の顔、とは言えなかった。
素直な気持ちを吐露出来るキャンディが、シューは羨ましかった。]
「…あ、あと、読み上げてくれてありがとうっス。
明日世界が滅ぶなら、っスか。………それなら自分は最後に、シュークリームが食べたいっスかね。
出来れば…いや、これはなんでもないっス。」
……やっぱりさっきの、結論は、一旦撤回するわ。
さっき考えたことは、本当に思ったことだけれど、やっぱり。もう一度考えて決める。
だって、せっかく治ったって、好きな人の死の代償なんて、やっぱり悲しすぎるわよ。
もちろん、同じ結論になるかもしれない。けれど、ギリギリまで考えたいわ。
いつもみたいに、メモに残すわね。
「……指名先は決めた。僕は揺らがないと思う」
呟いて、眉間を抑えた。交流時間は残り僅かとなった。そういいながら、共用スペースのソファーに座る。
── 時は少し戻って、自室の扉前 ──
「命をかけて………ですか…?」
拾った紙には昨日と同じく、可愛らしい文字には不釣り合いな文が並んでいた(>>#4)。
「私の命程度で救える方は、きっといませんわ…」
紙を握る手に力が籠る。紙にはクシャっと皺がつく。
父も、母も、執事にだって、きっと自分の命は見合わない。たとえ、救いを求めて手を伸ばされたとしても、彼女が犠牲になったとしても。その手が報われることは、きっとないのだろう。
「………私には、そんな方は………」
小さく小さく呟いて。溢れる涙を袖口で拭った。
……今は、こんな紙に惑わされている場合じゃない。今日で終わらせなければならいのだから。泣くな、泣くな、泣くな。
「急ぎませんと……」
皺のついた紙を4つに折り、ポケットへとしまう。
夜の交流時間はあと数時間。マカロンは、共有スペースへ急いだ。
マカロンがうっかりしたとしましょう。
乗り移る準備まで忘れるなんて考えにくいわ……シュークリーム……今までかなり発言力のあった彼女はマカロンを強く推していたのよ。
チョコレート……仮に、昨日の時計の件を無しにしても。私、彼がずっとケーキに移動させ続けるというのも考えにくいと思うわ。
たとえばタルトが動いた日、あの日にチョコレートが動いてもよかったんじゃないかしら。
それに……嫌な話だけれど、スフレに乗り移るなら、チョコレートの方が適任に思えるわよ。親しかったんだし。
ドーナツは、ほんとうに、なんともいえない、のよね。
少なくとも、ずっと本人だと思っているわ。
つまり、どのケースでも、ほぼ、ケーキが今までずっと一人で動いていたということだわ。
「なるほどね。色々考えてはみたけれど、なかなか人に伝わるように話すのは難しそうだわ。
ケーキが極上の甘味なのは間違いないわね。
そして懸案のシューについてはわたしはシロだと思うわ。シュークリームはどっちかといえば生クリームの白よりはカスタード派だけれど。
言動にブレはあまり見当たらないからあるとすれば最初から極上の甘味だったって可能性ね。でもケーキと2人で生き残るのなら初めからあんなに繋がりを見せるかしら。もちろん同情を買う為にという線もない訳では無いけれど、そうだとしたらシューの演技は相当のものね。」
ふと時計を見る。
「あら、もうこんな時間なの。いけないいけない。
続きは明日話すわ。わたしがわたしでいられたら、だけれども。」
少女はボイスレコーダーの再生機能を止めると、録音を開始した。
「そういえば、コレ、もともとスフレのスマホでシタね…
さて、美少女探偵ムースちゃんの出番デス!
ムースちゃんは、【チョコレート、シュークリーム】を疑っていマス!
昨晩はドーナツも疑っていたノデスガ、ドーナツはパイに投票したようデスノデ、除外しマシタ。
チョコレートもパイ票デシタガ、チョコレートは夜の自由時間にはいなかったデス。
間違えてパイに投票してしまった可能性がありマス。
あと、昨日が顕著デスガ、段々とおしゃべりが減っているいマス。加えて、表に出てくる感情が減っている気がするノデス。
…この異常な日常に疲れたノカモしれまセンガ。
シューは昨日の投票もソウデスガ、昨日と今日の考え方デスね。
もともとシューは、個人を順番に考えていくという考察方法を取っていたと思いマス。
しかし、昨日と今日はその方法を取っていマセン。どこかで成り代わった後、ほころびが出てきたのではと推理シマス!」
少女は録音されていることを確認すると満足げに共同スペースを去った。
>>88 キャンディ
「ありがとうっス、キャンディさん」
[シューはキャンディに心から感謝した。しかし、弁解出来る時間も残りわずかだ。]
「自分は変わらず【極上の甘味】はマカロンさんを乗っ取っていると思うっス。その次が、チョコレートさんっスね。
どうしてもマカロンさんの動きが、最後に向けての準備に思えてならないんス。
自分がもし【極上の甘味】なら、もう少し自分に有利になるように動くっスよ。
例えば昨夜のようにマカロンさんを疑い続けたりはしないっスね、周りとの繋がりはある程度曖昧にした方が後々楽っスから。」
>>91 キャンディ
「…どうっスかね…。
流石に実際に【極上の甘味】になってみないと、その時どう思ってどう動くかははっきりと答えられないっスが…自分は簡単には譲らなかったと思うっスよ。
誰かの身体を乗っ取る行為に大きな代償があるかも知れない…と考えて、少なくとも大丈夫そうだと思えるまでは、自分よりもまだ治る見込みがあるケーキには動かないで欲しいと頼んでいた気がするっス。
ケーキは優しい人だったっスから、それで言い合いになっていたかも知れないっスが…たはは」
僕は何をするにも不器用で、悪いところを挙げたら指がいくつあっても足りなくなるような、そんなダメでどうしようもない人間だった。
だから、出来の良い兄貴のことを尊敬していた。
小さい頃は、しょっちゅう兄貴のあとをついて回った。
同時に兄貴に対して酷く劣等感を抱いていたことも認めよう。
今になって思えば、僕は兄貴を羨むあまりに恨んでいたんだと思う。
兄貴は手先がとても器用だった。要領もとても良くて、何だってそつなくこなして、あの人が喋るとどんなにくだらない話も面白かった。
その一方で、僕は本当にダメだった。
僕は自分のことを軽蔑していた。
何をしても失敗ばかりで、そのくせ笑って誤魔化す自分を。
「僕と違って兄貴はすごいな」と、自分の才能のなさを認めて開き直っている自分を。
それがただただかっこ悪くて、情けなくて、大嫌いだったんだ。
だって、僕たちは同じきょうだいなのに。
どうして兄貴に出来ることが、僕には出来ないんだろう。それが不思議でしょうがなかった。
それでも、僕たちきょうだいが仲が良かった時期も確かにあった。
少なくとも当時の僕は、兄貴と自分の才能の差を恨みはすれど、兄貴を殺したくなるほど憎んではいなかったと……そう思っている。
───朝起きると目の前に、自分の死体が横たわっていた。
その恐怖と驚嘆を理解出来るのはきっと、僕と同じ境遇に置かれていたやつだけだろう。
その日、自分の死体が部屋に横たわっているかわりに、僕の姿は兄貴のものになっていた。
そりゃ混乱したよね。だって、そんなこと普通は起こりえない。
僕は憎くて羨ましくて大嫌いで大好きだった兄貴を殺してしまったことにしばらく呆然として、そしてこう思ったんだ。
これは神様がくれたチャンスなんだって。
才能のない░▓▒▓█▓░░▓▒は死んだ。
──これからは、僕が兄貴として生きよう。
そして、焦がれてやまなかった愛するこのパティスリーは、僕が継ごう。
親父は兄貴の腕を認めていた。だから、これでこの店は俺のものだって思った。
でもさ、僕の葬式の席で親父が突然言ったんだ。
おまえに店を継がせる気はないって。誰よりもこの店のお菓子を愛していたのはおまえじゃないってさ。……なんだよ、それ?
ふざけるな、何も分かってないくせに知ったような口をきくなよ。
兄貴の中にいるのが僕だってことなんか、親父は微塵も気付いていないくせに。
僕は兄貴だ。僕はグズでノロマで言われたことも何一つ出来ないような人間じゃない。僕には才能がある。僕には才能がある。僕には才能がある──!
……ゼリーじゃないけれど、僕が味覚を失ったのは、ある種自業自得なのかもしれない。
僕は家族を殺した。
本当は誰かの影を追いかけていなければ生きていけない人間のくせに、欲をかいた。
キャンディを苦しめたかったのは、パイの言うように安心したかったからなのだろうか。
もしかしたら、彼女には“僕”を見てほしかったのかも知れない。
……だから、あの懐中時計を、預けたのかも知れない。
けれど、彼女も結局僕のことなんて何も分かっちゃいなかった。
分かっていないくせに、彼女は僕を殺そうとしている。
「……なあ、ウィンター。明日もし僕が死んでいたらこの舞台はキミの大嫌いなハッピーエンドになってしまうけれど。
でも、少しはこの物語に後味の悪さを残せるかな。スフレを信じて考えた結果、最終的にスフレを殺すんだから。
彼女はたくさん傷ついてくれるかな。」
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