情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新
ストーカー コレット に 4人が投票した。
格闘家 ナルバディン に 1人が投票した。
ストーカー コレット は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか。
つむじ風が舞い、村人達は凱歌を挙げた。
しかし、彼らは真の勝利者に気付いていなかった……。
青年 が見物しにやってきました。
──厳粛な雰囲気の中、1人、真っ白な衣装に包まれた青年が、歩み出る。協会の真ん中にある、真っ赤な絨毯を通り、色鮮やかなステンドグラスの装飾へと、歩を進める。
両橋には、礼装を着用した男女が見守り、拍手の音、シャッター音が祝福していた。
しかし、青年には自らの心臓の音しか届いておらず、表情は強張っていた。
神父の前でしばし待つと、自分の通ってきた道に、同じく純白に包まれた女性が現れた。モーニングコートを着こなす初老の男性にエスコートされ、留袖を着た初老の女性がベールを下ろす。
身を正し、こちらへと進む彼女と目が合った。
ベール越しでもわかる、珍しいヴァイオレットの瞳。吸い込まれそうな瞳が、青年は大好きだった。はにかむと出来るえくぼ。カールがかった髪。あいくるしい彼女と、しあわせになれる。嗚呼、幸せ者だと彼は思った。
互いに緊張していたが、目が合うと可笑しく、少しだけ笑みがこぼれる。これからの未来を想像し、幸せを噛み締めているようだった。
彼女の手を引く男性と一礼をする。眼鏡の奥に見える瞳は、涙で滲んでいた。
そして彼女の腕をとり、前に進む。神父の前で、粛々と、これからの出来事に想いを馳せる。「誓いますか」には「誓います」と答えたが、正直何も聞いてはいない。未来に思考を飛ばしていたのだ。隣の彼女も、鈴の転がすような声で誓うと答えていた。
愛の交換。綺麗な細い指にリングを。
お互い交わしたあと、愛の証明。式におけるメインはこれだと言わんばかりの、周りの視線が刺さる。
ベールを上げ、彼女の瞳を見つめる。相変わらず吸い込まれそうな程美しく、呑み込まれそうな程輝いていた。
─その時、ラビットは思ったんだ。“世界一の幸せ者”だって。だから、俺は知ってしまった。俺が、彼女の世界でしか生きていない事を。俺の存在は、彼女に創られたものだったって。知った。知ってしまった。
だから、ね、ラビット。
クェイク が見物しにやってきました。
「…………ヒドイのは、キミじゃないかラビット。俺のこと好きなんて。最初から、世界一の幸せ者になる為に仕組んでいたんだろう?
この幸せも仮初めで、自分が想像したって言うんだろ?酷いじゃないか。俺のこの気持ちが、嘘なんだろう?夢なんだろう?俺の存在自体も、君が、ラビットが、“生贄”だったからいけないんだろう?」
「でも安心して、ラビット。俺はね、そんなことじゃ怒らないよ。だってずっと一緒にいられるんだよ?俺はこれから、ずっと、ずっとずっと君にされた事をしてあげる。俺の幸せのために、ラビットは動くんだ。君のする事は、全部俺がさせたいこと。君の意思なんて何1つない。俺が幸せになる為に、ラビットは側にいて。」
白く、どこまでも白い世界に色が付き始めます。徐々に歪に、暗い赤、紫、灰色が渦巻くような空間に変わってしまいました。
そして、あなたたちは神様の声が聞こえないことに気づきます。どんなに呼びかけても、声が聞こえない。
繋がりを感じていた気がするのに、個性を取り戻すどころか、知らない何かまで入り込んで来たような感覚に襲われます。
クスクス、クスクス。
誰かの笑い声。その声は、少し前に聞いたことある、あの悪魔の声でした。
ははは、傑作だね、傑作だね。
神様。こんなもんか。ははっ、生贄、こんなもんか。
僕の勝ち。ボク、勝った、勝ったよ。
でもいらない。魂いらない。
ぼく怒った、怒ってたんだ
だからね、魂いらない。いらないよ。
でもね、面白い、面白いね。
人間、疑うの面白い、面白い
ずっと、ボクを楽しませてよ
ははは、ハハッ
しあわせ?ねぇしあわせ?
しあわせだよね。だって、ここでずっと、生贄一緒。生贄ずっと一緒。
神様に食べられなくて済んだね。嬉しいね、嬉しいね。
生贄ならなくていいんだ。しあわせしあわせ。
晴れてボクのオモチャだ。しあわせだね、しあわせだよね?
はは、ははっ
ボク優しい。とても優しい。神様とちがう。
ずっと一緒、みんな一緒。
暗い赤、紫、灰色が渦巻くような空間。歪な空間に、17人は集まっていることでしょう。
悪魔の、シャイターンの声が響きます。同時に貴方達は知るでしょう。この悪魔の手のひらで踊らされていたことに。
悪魔に力を貰った人たちは気付くでしょう。
悪魔の甘いささやきが嘘だった事を。
そして、自我を保っていられるのは僅かだという事を。
あははっ、なーんだ!みんなで一緒にいられるなら良かった!そうだね、そうだよねっ!それが当たり前で正しいことなんだから!
過去も未来も幸福も不幸も希望も絶望も!みんなで分け合ってまぜあえば、幸せだもんねっ!
だからさ!みんな、幸せだったころについて話そうよ!あたしたちがもっと一つになるためにさ!
そうしないと、カミサマのところにいけないもんねっ!
「……ごめんなさい、神様、歪みは取りきれなかったみたいだ。
神様…狼はいなくなったけど…
…神様?かみさま!?」
>>#1>>#2
「アンタ、誰だよ?
神様は?神様はどこに行ったの?
みんな戻ってる。修復は済んだってことさ。じゃあ神様は?
神様はどこへ行ったんだ?」
神様、神様。
神様ちがう、ボクの世界。
シャイターン、シャイターンだよ。
みんなの魂、ぼくの物。
新しい神様。みんなの神様。
デルタ、お疲れ様。ありがとう。
/*
抱きしめる腕の感覚が無くなるころ、聞き覚えのある耳障りな声が聞こえた。
呆然としたままゆっくりと身体を離す。
*/
……
「なんで神様の声が聞こえないの?歪みを取り除いたら、神様の生贄になるんだろう?
歪み、歪みは残ってるけど、善良なボクを傷つける歪みはいなくなった。修復も済んでる。なんで神様は…」
神様と同じように、何もない空間から声がします。
神様と異なる声が、聞き覚えのあるイヤな声がします。
>>#4
「アンタ、神様じゃない、ボクの知ってる神様じゃないよ。
ボクは知ってる、アンタの声を。
アンタは追い出されたはずだよ、神様に。神様はアンタを追い出したって言ってた。
神様の生贄にならないといけないのに。
だから、歪みを取り除いたのに。
ちゃんと生贄にならなきゃしあわせになれないのに。
しあわせじゃない、ここにただ居ることなんて、アンタが優しいなんて、あるはずない」
–––––チカチカチカチカチカチカ
身体中の電球は激しく点滅します。光度も、点滅頻度も今までのどんなときよりもっとも高く。
[自らの手で終わりを選択した瞬間、ふわりと何かに包まれた
冷たい金属が頬に触れる
視線をズラすと見慣れたピアスが目に入る]
…ベータ…?
[どこからともなく現れたベータに抱き締められたと気付くと、そっと背中に手を回してくしゃりと顔を歪めながら笑った]
ごめんなさい
負けちゃったわ
終わっ……たのに、なんだ、これ
あの、お化けの声……?
楽しませるとか、オモチャとか、どういう……ことだ?
[きょろきょろしている]
░▓▒ ▓█ が見物しにやってきました。
砂時計の砂が落ちきる。
すると、皆の姿が元通りになったようだ。
辺りを見渡すと、各々呆然としていたり、再会している者が目に入る。
自分も呆然としていると、あの白い生き物の声が耳に入り、首を傾げるが、今はそんな事より、相棒だった彼───マチャの目の前に立っている事が気掛かりだった。
自分の姿は本当に見えているだろうか?と曖昧な笑顔を浮かべながら、彼の顔を軽く覗き込み、手を振る。
「……えーと、マチャ
私の姿は見えてるかい……?」
『最後まで頑張ったね、みくる。偉かったよ』
░▓▒▓█は笑った。とても見慣れた明るい笑顔で、みくるの理想の姉の姿で、それは労いの言葉をかけた。
ぬいぐるみは力なく地面に横たわり、腹部には包丁が突き立てられていた。喰い込んだ刃先からは白い綿が飛び出ており、本来は白かったはずの長い髪や、肌は、点々と茶色いなにかで汚れている。
赤や紫、灰色が渦巻く歪な空間のなか、そのぬいぐるみの周りに帯のように黒い液体が流れ出た。
ゆっくりと、ゆっくりと。それは生き物のように、一定の粘度をもって進み、広がっていく。
生を受けていないはずのぬいぐるみが、まるでたった今命を奪われた死体のように見えた。鳥の羽があしらわれたような袖は奇妙に折れ曲がり、黒いドレスから覗く足はおかしな方を向いている。それが、妙に生々しい。
『偉かったよ、みくる。さすがはワタシの妹だね』
ぬいぐるみの目だけが、ただ真っ直ぐ、みくるを見ていた。
何を訴えるでもない。ただただ、そのつつじ色をした無機質な瞳のパーツは、みくるを見つめていた。
「う、あ、ああ」
噎せるような血の臭いがみくるの鼻孔をついた。塗りかわる。塗りかわっていく。玉の鎖がばらばらに切れたように、今までの思い出が飛び散っていく。いくつもの幸福な情景が頭の中に現れては、そこに黒く濁った何かを混ぜ合わされ、新しい記憶を植え付けられる。これこそが本当の記憶だと、訴えかけてくる。
みくるは咄嗟に口元を塞ごうとして、その寸前にぴたりと動きをとめた。
手のひらが汚れていたからだ。みくるはその手をじっと見つめて、やがてそれがぬいぐるみに付着したものと同じ血だと気付いた。両手にべっとりとついた血は既に乾いて、土のように白い皮膚にこびりついている。
瞼が出っ張って、いまにもころりと飛び出しそうなほど、まるい目が大きく見開かれる。直後、腹から込み上げてきた胃液は鼻にまでまわった。
「あ」
>>32 ジーノ
見えてるヨ。何か久しぶりだネ。
…俺、間違ってたみたいヨ。ジーノにいいおミヤゲ持って会いたかったヨ。ザンネンだよネ。
しばらく見えない間、音楽でも浮かんだ?
俺はมวยไทยやってたことも忘れそうだヨ。
>>43 マチャ
「ああ、なら良かった……うん、久しぶりだね
いや、それがマチャや皆の事が気になってしまって、ほぼ考えていなかったよ……はは、音楽家として失格だね
……その、君は私と話したいと言ってくれたのに、早々に消えてごめん
……マチャの声はずっと届いていたよ
君がおはようと言ってくれる事が、私の心の支えだった
本当に、お疲れ様
どんな結末であれ、またこうしてマチャに会えた事が嬉しいよ」
と穏やかに微笑んだ後、言いづらそうに言葉を詰まらせながら話す。
「…………その、マチャがまだ私に愛想を尽かしていなければ、話したい事があるのだけど……いいかな?」
とマチャの様子を伺う。
ぬいぐるみのすぐそばで、みくるは音もなく崩れ落ちる。そして、体中の力が胸もとに集まったかように、背を激しく波打たせた。血の気がすっかり引いた顔を俯かせ、その場に手をついて胃のなかのものを吐き出す。
しかし、みくるに吐くべきものなど一切なかった。みくるの喉からは、乾ききったようにえずく音と、胃液か空気くらいしか出てこない。
ぬいぐるみの──“ロサ”の瞳には、苦しげに喘ぐみくるの姿が映りこみ続けていた。
[みくるは、どこだろう──彼女がどうしてるのか心配で、あたりをうろうろする。両手で口を抑えているみくるを見つけて、声をかけようとした瞬間に、ひどく懐かしい声に呼び止められた]
マコト が見物しにやってきました。
>>47 マコト
えっ
あっ
マコ!?
[振り返ってみれば。こちらに来てから顔が見たくて仕方なかった家族が……弟が、立っていた。どうして?俺の作った幻だったハズじゃ……そう思ったが、目の前に弟がいることが全てでそれでいいじゃないかという気持ちが疑問を押しのけた]
マコ……!会いたかった!
[弟に駆け寄って泣きそうな笑みを向ける。しかし弟は──]
マコトは笑いもせず、無表情でマサトを見上げていた。
「マサトくん、ボク見てたよ。マサトくんの中から、マサトくんのことずっと。マサトくん……甲子園優勝したのが、『世界一幸せ』だったんだね」
それから、嘲るようにフッと顔を歪めて笑う。
「いつも家族大好きとか言ってた割に、ボクらのことは二の次だったんだよね。薄情な兄さんだな」
[弟の見た事のない顔に怯む]
ち、ちが……いや、違わない、けど。
でも、俺は……!ホントに、マコや、父さん母さんのこと大切だし……ずっと、会いたくて
今だって、マコに会えてすごく、嬉しいよ
[気持ちが伝わってほしいと願いながら、マコトに訴えかけた]
[マコトの歪んだ笑みは崩れることがない]
「へえ、そう。そういえば、『神様』に、甲子園優勝したときの、ボクらの顔を見たいとかお願いしてたっけ。じゃあ、教えてあげる」
「母さんは、もう洗濯も弁当作りも差し入れもしなくていいってほっとしてた。『やっとつらい仕事が終わった』って。母さんが身を削って兄さんの世話をしてたのわかってる?父さんは、これで『野球選手の息子』ができるって言ってたかな。マサトくんが、とかは関係ないんだよ、あの人は。自分のためにマサトくんを鍛えてたのさ。ボク?ボクは……」
「マサトくんなんか、さっさと負けてくれればよかったのにって思ってた。だから、ちっとも嬉しくなんてなかったよ」
ジーノ、ショーガネーヨ。ジーノが消えたのはジーノのせいじゃネーヨ。
俺は特に話題もネーヨ。話したいことは全部今日まで話してきたヨ。
だから俺はジーノの話をずーっと聞いててもヘーキよ。
ただ、もうジーノだけに話したり聞いたりできないみたいネ。
…でも何だか、こっちに来てから初めてノドが渇いてるヨ…
ナツキは空間中を見回しました。
自分の世界にはまだ帰れていないけれど––––、でも、みんな大切な人と再会しているようでした。
だから、先輩もきっと、きっとすぐに現れます。
"今日"は、はじめての先輩とのデートの日でした。家族に協力してもらって、はじめて外を女の子の格好で、男の子の格好をした先輩と歩く、特別な日。
「先輩、まだ、かな?」
ぽつり、と呟いて、ナツキは顔にかかった髪を払いました。期待に満ちた表情は、少し、不安で陰っていました。
待てども、先輩に名前を呼ばれることはありません。
ナツキは頑張りました。みんな大切な人に会えたということは、ほかの魂の欠片たちも、どうやら救われたようです。
––––では、どうして先輩は、ナツキの前に現れないのでしょう。
ほかの人、何もしてない人は救われたのに、ナツキだけ、どうして。
ぬいぐるみはもうそこにありませんでした。
みくるにだけみえるまぼろし。血の一滴も、もうどこにも残っていません。手にこびりついていた痕跡すらも。あるのは、歪な空間。先を見ても、その先も、ずっとずっと先も、全部同じ。全部全部全部全部。どこをみても、何もありません。
待って待って待ち続けて、それでもナツキは一人でした。
瞳は次第に焦燥そして絶望へと色を変えました。
「なん、で……?
だっ、て、ボク、頑張った、で、しょ、う?どう、して?」
あたりをもう一度、見回します。
みんな、誰かと笑いあっています。その空間には、幸せが満ちています。––––ナツキには、そう、見えました。
>>みくる
「……ねえ」
ナツキは、笑顔の彼女に静かに声をかけます。
思い出の話をしましょう。
幸福だったはずの人生を思い返すと、やはり一番に蘇るのはあの鼻孔を擽るにおいでした。
瞼をおろすと浮かんでくるのは腐乱した男女の死骸。はげしい天日に照り付けられて、皮膚のところどころが変色し、溶けだして、紫がかった肉が見えます。どこからやってきたのか、蛆が湧いて、たまらなく臭い。
でも、包丁で刺した時のあの鋭い叫び声と、それから、あの鮮やかな血のにおいに比べればマシだと思いました。
あの母親がぬいぐるみを使って姉をよそおってくることに比べればマシだと思いました。
ぬいぐるみを姉だと思って大事にしなければならないことに比べればマシだと思いました。
何も喋らなくなった──それこそ人形みたいになってしまった母親のかわりに、肌を這うあの地獄の夜を繰り返し味わうはめになることに比べれば、こんな腐臭くらい、なんでもありませんでした。
感情任せに二人の喉を刃先で突いて、腹を切り裂いて、腸を引きずりだしました。
馬乗りになって、捻じり込むように体重をかけて、チーズに突き立てた果物ナイフのように奥深くめり込む包丁を、何度も引き抜いては、突き刺しました。
あんな『ぬいぐるみ』がいたから──。
最後にみくるは、黒いドレスを着た人形に包丁を振り下ろしました。血が霧のような飛沫になって、壁に、床に、みくる自身に跳ね返ってきました。
違う。そうです。みくるは家族がいなくなって清々して、そんなことは自分がおかしいのではないかと思い、姉は父と母が出会った時のことを教えてくれた。でも、それは全部幻でした。一致団結したみくるは、姉が帰ってきてくれて、殺していません。家族で記憶していたのは全部刺した、みくるは大好きです。
「あああ、痛い、痛い痛い、いたい痛いいたいいたい」
ぐしゃぐしゃと頭を掻きむしり、みくるは頭痛を訴える。
その時、誰かの声が聞こえました。みくるはぴたりと、手の動きを止める。
>>ナツキ
「……し、あわ、せ……?」
>>53 マコト
[あまりの衝撃で胸が詰まる。息がうまく吸えない]
は、はは。そんなの、ウソ、だよな──だ、だって。
みんな、俺が甲子園出場を決めた時……すごく喜んでくれたじゃないか?
そりゃ……母さんには苦労かけたのは、わかってるけど、でも……
>>64 マサト
「嘘なんかじゃないよ。相変わらず、ボクの兄さんは自分の都合のいいように脳内処理するのが得意だなあ。ある意味羨ましいよ」
「ああ……甲子園出場が決まった時は、そりゃあ嬉しかったよ。マサトくんは優秀な選手だし、甲子園に出たらまず野球選手になれるだろ。家から野球選手が出ることは、名誉だものね」
「でも、それだけ」
「ねえ、分かってるって、ホントはわかってないくせに。母さんがマサトくんのいないところで、どんな顔してたか知らないでしょ。イライラしてお皿割ってストレス発散してたのも知らないでしょ。ボクに構ってる暇なんてないから、ボクが休日は1人で寂しくご飯食べてたのも知らないでしょ。ボクがどうして野球やめたのかも知らないでしょ」
「何も知らないくせに、知ってる顔するのやめてくれる?」
>>ナツキ
向いた先には涼しげな顔をした金髪の少年がいました。
みくるは悲痛に歪めていた表情をすっと消します。そして、頬にえくぼを寄せました。
「ナツキくん」
>>68 みくる
「何言ってるの?そこにいるじゃない。おねえさんが。あなたの、みくるさんの大事な人が。みくるさんみて笑ってる」
笑みは白く、ぱきりと罅の走る音がしました。
「……それなのに、そんなこというんだ」
ぱきぱきとナツキの表情がはがれていきます。取り繕ろうと、傷つけないようにしようとした、最後のやさしさが崩れていきます。
そうしてあらわれた本心は、みくるの目にどう映るのでしょうか。
真っ暗な瞳にゆらゆらと憎しみを募らせて、目の前のすべてが気に食わないのです。割れた氷は、もう元に戻りません。
「……先輩はいないよ。お前らのせいで」
>>69 ナツキ
「おまえらのせい?」
みくるは不思議そうに首を傾げた。
こんな風にしたのはあのシャイターンとかいう悪魔のせいなのに。そんな悪魔に魅せられて、騙されて、こんな結末にしたのはナツキのほうなのに。
──好きだという先輩を、みくるたちを裏切ったのはナツキじゃないか。
「……そんなの、しらないよ。せんぱいに会えなくなったのは自分のせいでしょ……。ぜんぶぜんぶ、悪魔の言うことなんて信じるバカなナツキくんのせい。……なにがみえてるのかしらないけど、ぜんぶナツキくんの自業自得なのに、みくるたちのせいにしないでよっ!!」
ナツキに負けないくらい、つよい憎悪と、恨みを、ひとみに焚たいて。精神は枯れはて、瞳は濁っていた。
そうだ、みくるは悪くない。悪いのは──。
自分の心をまもろうと、無意識にみくるは、大好きだった友人を責めた。
>>62 ジーノ
何でだろうネ?ハラは減ってないのに。
それより俺はジーノの話が聞きたいヨ。
もっともっと聞かせてヨ。
ジーノの歌はさ、よく寝られたよネ。
世界中が聞きたがるジーノの新作は俺が独り占めしたよネ。
キョーメイは二度とやりたくネーって思ったけど、これだけはヤクトクだヨ!
>>70 みくる
「……自業自得? 何言ってるんだよ。ボクはずっと、ずっと先輩に会おうと、努力したのに。お前のほうこそ、何もしなかったくせに――!!!!」
ナツキの目にはたくさんの幸せが見えていました。そのすべてが自分のもので、けれど自分のものではありません。ナツキの幸せだけどこにもありません。
どうして、こうなったのでしょうか。冷静に思考する余地などあるはずもなく、ナツキはその原因を目の前の少女に求めることにしたのでした。
ナツキは大切にしていたはずの殻を破り捨てて、みくるに怒鳴りました。騙された? そんなはずはない、そうやって震える手を押えます。
目を覚ました場所は禍々しい見たことのない空間。
響いたのは悪魔の声。
でも大丈夫。僕は勝ったから。勝ったのだから。
悪魔だって上手く言いくるめればいい。
宗教だって利用していただけだ。僕が異端の権化となろうが、宗教を作り変えればいい。
我が民は盲目だ。不老不死の皇帝を讃える、僕が、僕が支配者なんだから。
さあ、早く国に帰らないと。
出口はどこだ?出口を・・・
でも、その前に
喉が、渇いた。「なにか」飲まないと。
>>74 ジーノ
トモダチは宝、か。
ソーダネ。ここにいるのは全員俺と思って来たけど、ひとりになれる気配もしネーヨ?
このままなんだったら、ジーノはもうひとりの俺じゃネーヨ。29年キレイな国で女の子をたぶらかすだけで飽き足らず、世界も音楽でたぶらかした悪い悪いトモダチだネ。
ああもう、喉が乾く。
ジーノ、紛らわせてヨ。いっぱい声を、音を、俺に聞かせてヨ。
……なぁ?
>>72 ナツキ
「っ──!!」
“何もしなかったくせに”
胸をちりちりと焼かれる思いがする。
ナツキの言う通り、どうして今それをいうのだろう。みくるは何もしなかった。しようとしただけで、それでも、みんなは頑張ったことは、何に貢献することもなく、消えないと言ってくれた。そもそも悪魔の言うことを鵜呑みにするのが、信用もしてもらえなかった。
「ああ、あああ!! うるさい!! うるさいうるさいうるさい!!……ずっと友達だと思ってたのに。こんな狂ったところでも、みんながいればどうにかなると思ったのにっ……。みくるだけだった!! みくるだけがそう思ってたんだ!! どうにもならなかった!!……そうじゃなかった!!」
また、がりがりと自分の頭を強く掻きむしりだす。
>>ナツキ
「……みくるが追い出された日、どうせ、ほくそえんでたんでしょ。これで邪魔なやつがへったって。これで先輩のところにいける未来がちかづいたって。うれしかったでしょ。だって、いってたもんね。……かばおうとしてたのだって、演技だったんだよね……」
頭を抱えて俯いたまま、みくるは続ける。
その言葉は疲れ果て、地の底から湧いたようだった。震えたように、ちいさな声で、何度も何度も繰り返す。
「……でも、安心していいよ。みくるも、ナツキくんのこと、すきじゃない、から……。おとこのくせにおんなのこみたいな服きて、へんだと、おもってたし。ほんと、ばかみたい。ばかみたい。……ばかみたい。なにもかも、ぜんぶ。もう、どうでもいい。ずっとみくるたちをここにとじこめてればいい……」
最後は、もうナツキに向けているのかも、わからなくなっていた。
奏者 マリア が見物しにやってきました。
俯きがちだった顔がぐりんっと上がる。
その表情は目は吊り上がり、口は苦痛に歪まれ、幻の世界にいた彼女からは想像つかない恐ろしい形相だった。
その剣幕に思わず、一歩後ずさってしまう。
「ジーノはいつもそう、人情に溢れて優しい人の振りをしてるだけで、その実は笑顔で流して、自分勝手で軽薄な考えしかしてないもんね、本当は自分の事が一番大切なんでしょ?」
彼女───マリアはつかつかとにじり寄り、自分の顔を覗き込んでくる。
彼女とこんなに近づくのは初めてで、逃げ出したくても足が石のように固まって動けない。
マリアはそのまま話を続ける。
怨嗟の表情を浮かべながら、淡々と語る彼女を見て、ずきり、と心が痛んだ気がした。
不意に下の方からべちゃり、という音がし、何とか動く目をそちらに向けると、彼女の右腕が引きちぎれ、皮膚一枚で繋がっている腕と手だったものが、地面にぐちゃぐちゃに広がっていた。
引きちぎれた断面から絶え間なく赤黒い液体がぼたぼたとたれ流され、やがては血溜まりができ、その血溜まりがじわじわ広がってリッカルドの足を濡らす。
靴にじわじわ染み込んでいく生暖かい血の感触と、血特有のどろりとした鉄臭い匂いが鼻について、眉を寄せ顔を顰める。
リッカルドは、今まで見たことのない夥しい血と体の一部が引きちぎれているのに、まるで気にしていないかのようなマリアへの恐怖で、顔が引きつっていた。
やめろ、と口を動かしたいのに、声がまるでなくなったかのように出ない。
口だけはその形に動かす事が出来たが、そんな些細な事など気にせずに、マリアは喋り続けた。
「私、あの時は私の分まで頑張ってねって言ったけど、本当は寂しかったよ?ずっと、ずっとずっとずっとジーノに側にいてもらいたかった……ジーノも、それに気づいていたよね?気づいてて、私を見捨てたんでしょ?私、知ってるよ、知ってて……笑顔で見送ったの
だって……私、友達だもん
なのに、なのに、どうして、その人にも友達だって言うの?
ジーノ、酷い、酷いよ……」
じわ、とその美しいまなこから涙がぽた、ぽたりと垂れてくる。
その涙は頬を伝い、地面に落ちていく。
マリアはひっく、ひっくと嗚咽を漏らしながら泣くが、依然として自分の体は動けない。
暫くすると、泣きやみ、ごしごしと無事な方の腕で目を擦り、充血して真っ赤になった目をこちらに向け、また淡々と話しかけてくる。
「……でもね、もういいの
ジーノにこうして会えたんだもん
ねえ、ジーノ、ジーノは昔から信心深かったよね?
ここにも神様がいるんでしょ?私、ここに来る途中で見たよ!」
神様の話をし出すマリアは、今まで見た事がないくらい晴れやかな笑顔で語り出す。
先程まで泣いていたとは思えないくらい、晴れやかな彼女の笑顔に頭の中で警鐘が鳴り響いて、ここから動かなければ、と思うのに、体が言うことを聞かない。
「神様はね、私とジーノをずーっと一緒にしてくれるって言ってた!やったね!ジーノ!私達永遠に一緒だよ!
それにね、私、ここなら腕の後遺症がないの!
ジーノを庇って交通事故に巻き込まれた腕も……とっても自由に動かせるよ!
あはは!楽しいね!はは、あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
マリアは笑顔の表情のまま、ぐりん!と顔を上げ、ケタケタと笑い出す。
取れかけだった右腕は骨がめきめきごきごきと嫌な音をたてて、肉を突き破るかのように盛り上がり、体内に何かいるのではないか?と思わせる動きを見せながら、元通りに戻っていく。
ひとしきりそんな動きを見せながら戻った腕は、千切れた事などなかったかのように綺麗で、細く美しい。
が、床に広がる赤黒い血溜まりが、先程までの状況を夢ではないと物語っている。
そんな彼女を見て、漸く小さく、やめろと声に出せたが、背にはぞくぞくと悪寒が走り、頭はしなくて良いはずの呼吸をしていても、酸欠の時のように目眩がし、焦点が定まらず、目の前のマリアをマリアだと認識するので精一杯だった。
口の中の水分は緊張と恐怖のせいでごっそり奪われ、喉が掠れて声が上手く出ない。
顔を背けようとしても、首から上を掴まれているかのような、そんな圧力がかかり、本当は目を逸らしたくてたまらないこの現実から……彼女から目を離せない。
「………っはー……久しぶりにこんなに笑ったよ
こんな晴れやかな気持ちになれるだなんて、"神様"のお陰だね
……ジーノ、これからはずーっと、ずーっと一緒だよ?
繋いだ手を……二度と離したりしないから」
マリアは昔のように───夕焼けに染まった空き教室でヴァイオリンを聞かせてくれたあの時のように、穏やかに微笑み、リッカルドの右手をぎゅっと握手するように掴む。
そして、左手でリッカルドを引き寄せ、抱き締めるとマリアの体はまるで霧散するかのように崩れ落ち、そのままリッカルドの体内へ吸い込まれる。
彼女がいた場所には何も無く、いつの間にか足元に広がる血溜まりも消えていた。
二、三度瞬きをし、呆然とマリアがいた場所を見つめている。
>>77 みくる
「――――!」
ナツキはみくるの言葉に下唇を噛みました。そのまま、みくるの話を全て聞きます。
憎い。腹立たしい。恨めしい。苦しい。苦しめたい。――――悲しい。
たくさんの感情がナツキの心をぐるぐると取り巻きます。
更に強く強く、血がにじむほどに唇をかみしめます。耐えようとしてもどうしても、顔が歪んでしまいそうで。しばらくしてようやくナツキは口を開きます。
「…ようやくわかったんだ。本当に頭が弱いね。わざわざ警告してあげたのに、騙されちゃってさ。
そうだよ。ボクもみくるさんなんて―――」
そういった時、ナツキの左目から、ガラスの破片のよう涙がひとしずくこぼれました。
「お前なんて、だいきらい」
だからみくるさんに何を思われても、言われても、傷ついたりしない。
ナツキはそう言って、笑いました。その頬に小さな、小さな笑窪が浮かびます。
「……みくるさんも不幸になればいいのに」
>>95
……ジーノ。"アレ"、ジーノの見たいモノなのか?
それとも、俺に見せたいモノ?
(背中を屈めてジーノの顔を上目で覗き込む)
……見たいモノだけ、見ろよ。あるだろ。
>>98
……ジーノ。
マチャ、だヨ。
(優しく撫でる腕をそっと離すと、ジーノのマフラーを乱暴に掴んで顔を引き寄せる。
……耳に唇が触れそうなほど近づいてつぶやく。)
……おい。
マボロシの後にリアルを置いてんじゃネーヨ。
>>96 ナツキ
「……どうして、なくの」
喉が腫れ上がって、うまく呼吸ができない。
言葉も紡げなくなって、無理矢理開こうとすると今度は胸腔の辺りに圧迫感を覚えた。許せなくて、嫌いで嫌いでしょうがないのに、何故つられて泣きそうになるのかは分からない。みくるは、せりあがってくる涙を呑み込むかのように、喉をごくりと動かす。
そして無理やり、笑顔をつくってみせた。
「ふふ。なくほどみくるがきらいなんだね……。なら、よかったね。みくるはもう不幸せだから……これからはずっと一緒だよ。これからも、何度も何度も、おなじことをくりかえそうね。みくるが不幸せなんだから、ナツキくんもこれからずっと、幸せになんかならないでね」
>>みくる
あっ、みくるちゃん!どこ行ってたのー?探してたんだよっ!
ねっねっ、みくるちゃん!あたし、みくるちゃんとの約束守れたよっ!これでみんなでカミサマのところに行けるねっ!仲間外れなんて誰もいないよ!みんなで幸せ分け合ったからかな?あたし、すっごい幸せだよっ!
でもでもっ!もっともーっとあたしたちがひとつにならないとねっ!そうでしょ、そう思うでしょ?みくるちゃんっ!
あはっ、あははっ!
幸せだねっ、幸せだよねっ!みくるちゃんも嬉しいでしょ?幸せでしょ?だって、あたしが幸せなんだもん!
これでみんな同じぐらい幸せで不幸になれたんだもん!みんな、同じになれたんだもん!
>>65 マコト
[思わず後退りする。知らない。そんな家族は、知らない]
そ、んなこと、今まで一言も……。
……マコは、データ収集と分析をする方が得意だし、やりたいからって……
俺と一緒に、甲子園……戦うって……言ってたよな
–––なるほど、ジーノには幸せだった頃のマボロシが見えているらしい。トモダチを宝と言ったその口で、オンナの名前を呼び、オンナに置き換えられるのはトモダチとしてフユカイだネ。
(抱き寄せられて、「ジョーダンかヨ」と思うが、新たな感覚に支配される。)
–––こんな匂いを嗅いだことはあっただろうか。
–––祝杯でも、ご馳走でもない。
–––心の底から求めて止まないような、匂いを。
(間違いなくその匂いは、ジーノの首筋からした。
するするとマフラーを取ると、より強くなるその匂いと、喉が焼けるようないっそうの乾きを感じる。)
「ああ……ノドが乾くヨ。ジーノ。」
(吸い寄せられるように首筋に近付き、目を閉じて匂いを吸い込む。くらくらと唇を寄せると、乾きに衝動が弾けるように噛み付いた。)
>>104 マサト
「ふっ……ふはっ、ははははっあははは」
[マコトは糸が切れたように笑いだした]
「おっかしーの。ボクの兄さんは、本当に何も知らなかったんだね」
「そんなの、マサトくんに余計な精神的負担をかけるなって、父さんに言われてたからだよ。ボクも、母さんもね。知ってた?あの人結構DV気質あったから、ボクも母さんも殴られたりしてたよ」
「ボクが野球辞めた理由……そんなの信じてるんだ。さすがマサトくんだー。自分の都合のいいことだけ真実だと思ってる」
「ボクは……野球のことだけは、マサトくんに相談したじゃないか。辞めたいって。
マサトくんの弟ってだけで、勝手に野球の才能があると思われて、勝手に期待されて、勝手に幻滅されるのがうんざりだったんだよ
だからボクはマサトくんに『やめたい』って言ったのさ。父さんにバレたら殴られるのはわかってたけど」
「そしたらマサトくん、なんて言ったか覚えてる?」
[マサトが首を振るのを見て、マコトはフン、と鼻で笑った]
『マコトなら、もっともっと練習すれば、きっともっと上手くなるよ!がんばれ!応援してるから!』
キヌはただただ呆然と静観するしか出来なかった。
なんなが...この状況は...
『カオス』
この言葉が1番しっくり来ると感じた。
目の前で、ナルバディンがリッカルドに噛み付く光景を目の当たりにした。
「ちょっと!!何してるのナルバディンさん!?」
とっさの事でか、はたまた目の前の光景の刺激が強かったのか、キヌはナルバディンとリッカルドを離そうと、ナルバディンのてをぐい、と引っ張った。
「この言葉の意味がわかる?マサトくんは、ボクは練習不足だから下手なんだ、もっと頑張れって言ったんだよ」
「この言葉を聞いた時のボクの気持ちなんか、マサトくんには一生わかんないんだろうね。ボクがマサトくんに相談したのは、そんなことを言われたかったからじゃないんだよ」
[少しだけ、切なげな色を瞳に見せて笑った]
>>110 キヌサン
好ましく思っていたキヌの手が煩わしく感じた。
子どもがおもちゃを取り上げられるような。
食事を中断させられるような。
そんな、楽しみに理不尽に水を差されたようにナルバディンは感じていた。
名残惜しそうに首筋から口を外すと、昏い眼差しだけをキヌに向けて小さな声でつぶやく。
「……ジャマ、するなヨ。」
>>サヤカ
「……生贄になろうが、他の人がぐちゃぐちゃになろうが、なんだっていいんでしょ。あのね……みくるもひとつ、嘘ついてたんだ」
すこし眉をさげて微笑みます。
「サヤカちゃんのいうとおり、みくるはサヤカちゃんのこと友達って思ったことないよ。だれでもよかったよ。みくるにやさしくしてくれるひとなら、だれだってよかった。
サヤカちゃんはみくるのことわかってくれて、すごいね」
っ....!
今までに見た事ないナルバディンの眼差し。蛇に睨まれた蛙というのはまさにこの事を言うのだろう、と思考だけは回っていたが身体は強ばって動かなかった。
それでも...キヌは止めなければならないと感じた。そうでなければ、正しい事をしなければ自我が保てないと、どこかで気付いていた。
ナルバディンさん!正気に戻ってください!
私は...そんな貴方を見てられません...っ
>>みくる
だからね。
みくるちゃんが一番好きだから、あたしと同じ幸せをあげる。だいすき、だいすき、だいすきっ!みくるちゃんみくるちゃんみくるちゃんっ!あは、あははっ!一人だけで幸せになんてならないよ!みんな一緒だもんっ!
>>120 サヤカ
「……さわらないでっ!! みくるは、みくるは……そんなひとりよがりな幸せなんていらないっ!! みくるはこんなふうにみんなといっしょになりたかったんじゃないもん!!……みくるはっ、みくるは、ちゃんと生贄になって……っ。神様と約束をまもって……」
守って、どうするのだろう。もしも生まれかわることが可能だったとして、あの家族のもとにみくるは生まれたかったのだろうか。家族が嫌いだ。みくるを巻き込んだサヤカも嫌いだ。みくるを騙したナツキも大嫌いだ。みくるのくだらない話を本当だったらいいと笑ってくれた相手すらも、みくるにとってはもはや敵だ。
「一緒になんかならない、一緒になんかしにたくないっ、……もう、これ以上みくるに近づかないで!!」
みくるちゃん…。
大丈夫だよ、うん。
ずっとずっとだいすきだもん。あたしがだいすきだから、みんながバラバラになることなんてないよ。
あたしはみんなが幸せになるまでずっとずっと待ってる、幸せにしてあげるからねっ
ストーカー ライアン が見物しにやってきました。
〜♪〜♪
[鼻歌を歌いながら場違いに機嫌良く軽快に歩いていた
叫んだり狂ったりする人間を横目に目的の女を探す
華奢な体に栗色のストレートのロングヘアー
見間違うはずがないくらい見慣れた後ろ姿を見つける]
お、いたいた
コレット
[時が止まった気がした
聞き慣れた声
忘れるはずがない
忘れられるはずがない
愛しい愛しい彼の声
なのに何故だろう
彼の声なのに彼の声じゃないこれは]
………ライ…ア、ン……
[恐る恐る振り返る
そこには確かに最愛の人がいた
そして隣にはもう1人
自分と瓜二つの顔の女がニタニタと笑いながら立っていた]
…………え?
[脳が理解することを拒絶する]
…う、嘘よ
だって…だってライアンは私と…
[けれどもずっとずっと彼のことしか考えてなかった頭は理解してしまう
かつて私に向けられた愛しげな瞳も
甘く溶けるような声も
隣のそれだけに向けられていることに]
子どもの頃からずっと好きだったけど、一度は諦めたんだ
一時期避けられたり怯えられたりして嫌われたと思ってたからな
でも最近久しぶりに会って両想いだってわかったんだ
遠回りしたけど、やっと手に入れた
[柄じゃないとわかりつつ隣に立つ彼女に愛しげな微笑みを向ける]
[言われなくても知っていた
幼馴染の2人が好き合っていることなんて
だって2人を引き離したのは私だから
金で雇った適当な男複数人にレイプさせて写真や動画を撮らせ、しばらく脅して時には見えない所に暴力を振るわせながら遊ばせた
壊れた所でライアンに近付いたらもっと酷い目に合わせると脅して離れさせた
なのになんで今更ーーいや、そんなことはどうでもいい
…もう一度壊すか
ほんの数秒でそこまで考えたところでライアンが言葉を続ける]
>>111 マコト
[息が浅くなっていた。良かれと思って励ましたことが、マコトにこんな顔をさせることになるなんて思ったこともなかった。そんなつもりじゃなかった、と言ったところで意味の無いことは、これまでのマコトの言動から分かっていた]
──マコ、傷つけたなら、ごめん。でも、俺は……マコと、野球がやりたくて。だから、やめて欲しくなくて……いや、いやあの……でも、これは俺のわがまま、か
[自分が『正しい』と思っていたことが間違っていたと、他ならぬ家族に突きつけられて、目の前の世界が歪む。眩暈を覚えて、膝から崩れ落ちる]
──マコは、マコは……
[なんて言って欲しかったの、と聞きたかった。だけど、それを聞いても、またあの悲しい顔をさせるのかと思うと、どうしても声に出せなかった]
>>136 マコト
───っ!
[マコトの視線から逃れるように、数歩後ずさってから駆け出した。家族から逃げるなんて最低だ、と自分の心が叫んでいた。それでも、マサトの心はもういっぱいいっぱいで、いまは逃げることしかできなかった]
……み、くるは。ナツキは。サヤカは。
>>105 マチャ
"彼女"が拗ねているようなので、少しでも気が沈まれば、と思いながら背中を優しく叩いていると、ふいに何かを呟かれた気がした。
何を言ったのか聞き直そうとした時だった。
"マチャ"が首に噛み付いてきた。
別に嫌な訳ではない。
"彼女"には好意的な感情を抱いていたし、食いちぎられるような酷い痛みではなかったので、少し体を強ばらせながら、そのままにしていた。
ただ、このままだと固まっていると誤解されそうだったので、勇気を出し、"彼女"の頭を撫でてみると、サラサラの髪の毛が心地良かった。
暫くすると、聞き覚えのある女性の声と共に、"マチャ"が引き剥がされる。
驚いて横を見ると、キヌさんが怒りながら"マチャ"に話しかけている。(>>115)
ああ、キヌさんは"マチャ"を誤解しているな、と思い、立ち上がって"彼女"を庇うように立つ。
何が起きてるかさっぱりわからなくなっていた。頭の中はぐちゃぐちゃだ。私の方が正常じゃないかのような雰囲気が漂う。
じゃれ合いの域を超えてます!噛み付くなんて"正気"な人がする事ではありません!
それに彼女って...ナルバディンさんは...
そこまで言ってはっ、と気付く。いつもの優しい眼ではなく、淀み、底がない闇のような眼をしていた。
お願い...皆目を...醒ましてよ...
リッカルドの胸辺の布をぎゅっと、掴み、項垂れている。
>>みくる
[サヤカの元から逃げるように走り去るみくるを見つけた。そういえば、終わってから、まだ話せていない]
……みくる!!
ジーノのそばにいるといっそうノドが乾く。それでも潤してくれるのはジーノしかいない。ジーノにしか潤して欲しくない。
–––マボロシの首をリアルと挿げ替えてサ、オイシイとこ取りしてサ。
–––……ツゴーのイー奴にしてくれたモンだよネ。
–––オマエの見たかったモノ、マボロシのオンナだったのかヨ。
–––せめてバイオリンのマボロシでも見ろヨ。
「……なぁ、ジーノ。
今ならオマエの欲しいものを何でも見せてあげるヨ。
……オマエの宝物って、何?」
>>143 マチャ
"彼女"に声を掛けられたので、立ち止まって目を見て話す。
"マチャ"の声は一片たりとも聴き逃したくないからだ。
"彼女"からの問いにいつもの様に穏やかに答える。
「宝物、か、そうだな……それは、君だよ、"マチャ"
あの時は……愚かな私は手を離してしまったけど、そんな私を追ってきてくれた君が、愛おしくて、大切でたまらないんだ
……もう二度と、君の手を離さないと約束するよ
だから、私の側にいてくれないか?"マチャ"」
緊張と断られる事への恐怖でないはずの心臓の音がうるさい。
自分の僅かに震える手を隠すように、繋いでいた手にきゅっと力を込め、"彼女"の返答を待つ。
>>147 みくる
[こちらを振り返ったみくるにホッとして、笑顔で近寄る]
よかった!みくる……話したくて
なんか、その……悪魔におかしなこと言われたけど、みくるは大丈夫だったか?
つらいことなかったか?
–––––チカチカ、チカチカ、チカ、チ、カ
点滅はゆっくりといつもの周期へ戻ります。
目を閉じて数秒置いて、開いて。
「そういえば、喉が渇いたわ」
先ほどの会話なんてなかったかのように、一言漏らします。
>>149 みくる
みくる……どうしたんだ?
元気……ない?
[いつもより、少し遠慮気味にみくるに声をかける]
か、ぞくが、いないって、どうして?
生まれ変わって……会うんだって、言ってたじゃないか
そりゃ……これからどうなるかわかんねえけど、でも、心の中には、いるだろ、お姉さん、とかさ
好きなんだよね?お姉さん……
みくるの……みくるの好きな家族の話、聞かせてよ
「そう、喉が渇いたの』
「おかしいな、そんなはずはない」
『でも、渇いたわ』
「何を言っているんだ。ぼくらに食べものは必要ない」
「どうして?」
「神様が言ってた」
『そんなの。神様なんて信じられるの?』
「何を言っているんだ?」
『神様、神様って、ふふふ。アナタ何を言ってるのぉ?
神様を信じるなんて。神様がアナタをしあわせにしてくれるって本当に信じていたのぉ?
アナタに絶対惚れるアタシを創って、夢見るアタシを造って、絶対に叶う努力をするアタシを愛して。
それがアナタのしあわせなの?』
>>マサト
「だから、マサトくんとみくるはにてないよ。みくるは家族なんかすきじゃなかった。すきじゃなかったから、ころしちゃったの。この手で。マサトくんと握手した手で」
自分の手を見つめて急ににこにこし始めたかと思うと、次の瞬間泣きそうな顔で奥歯を食いしばる。
「……うそつき」
[私へ笑いかける瞳は深く淀んでいた
しばらくその瞳を眺めると、クスリと微笑む]
…ライアン、何か勘違いしてるわ
貴方の話している【幼馴染のコレットは私よ】
貴方が5歳の時引っ越して来た女の子も、毎年家族ぐるみで海へ行っていたのも、毎日一緒に登下校したり寄り道していたのも、全部私よ
隣の子はとても私に似ているけれど、違う子だわ
ね?お願い、目を覚まして
[手を繋ぐそれを剥がそうとライアンへ縋り付く]
>>153 みくる
[お姉ちゃんはぬいぐるみ──あまりにも突然の言葉に、マサトの思考は追いつかなかった。急に、どうして、そんなこと]
……お姉さんは、ぬいぐるみ、だったのか
そ、そう
[一人っ子で、寂しくて、小さい頃からぬいぐるみを姉に見立てていたとか、そういうことだろうと勝手に解釈する]
──ぬいぐるみでも。
ずっと一緒にいたんだろ?
なら、家族だよ。
[ゆっくりみくるに近づく]
……座って話さない?みくる
[ライアンがその言葉を言った瞬間、ズクリと下腹部に激痛が走る]
…ぅ、あ"っ…あ"あ"…っ
[立っていられず腹を抱えて蹲る
生理が重い時のような、いや、それよりも酷い、脈に合わせてズクリズクリとした痛みと共に"何か"が流れてくるような感覚がした
痛みと嫌な予感に脂汗が止まらないまま下を向くと、ドロリと太腿に血が伝っていく
全身の血が流れ出たのかと思うくらい血の気が引いた
痛みも忘れぼう然と股を凝視する
痛みが治まってきた頃、"何か"の存在が自分の中から消えた感覚があった
無意識に顔を上げた
そして同じ顔のそれを見る
カチッと目が合うと、それは気持ち悪い笑みを深めて優しく自分の下腹部を撫でた
ーーー奪われた
腹が出ているわけじゃない
けれども何故か確信があった
今この瞬間、全部、全部、目の前のそれに奪われた、と]
「そうさ、決まってるじゃないか。しあわせだからここに来た。神様との約束どおりに。
キミだってしあわせだったろう。
オレは見たよ。キミの記憶でキミはしあわせに溢れていた。」
『アナタが創ったアタシが、アナタの創った世界で、アナタの創った未来へ、アナタが決めた感情で。
ふふふ、それがしあわせ?
ーーそのしあわせってアタシは必要かしら?」
狼狽えた顔、不思議そうな顔、コロコロと変わる表情が止まったのは、薄く笑みを浮かべた顔でした。
その顔は確かに笑みを浮かべていましたが、どこかもの悲しいものでした。
「キミがいなければ、」
『アタシがいなくても、』
「しあわせは成り立たない」
『しあわせは成り立つでしょう』
───
「ねえ、ルーシー、ぼくたちどこかであったことない?」
そんな風に彼は言う。戦時中の軍人時代─わたしがスパイで敵国に潜り込んでいた時、こんな風にどきりとする一言を投げかけてくる。
「何度も言ってるけれど、あの会議で顔を合わせたのが初めてよ」
「やっぱり、他人の空似かなぁ…」
黒いパンをミルクに付けて頬張る。今頃、家族は白いパンを食べてるかな。みんなの為なら、なんだって。そう、なんだって。
「最初はね、えらい美人さんがこんなところにって思ったりもしたさ。でも、秀でてるものは使って当たり前か」
コンコン、と自分の頭を人差し指で叩き、彼は笑う。そう、わたしは家族のためなら、なんだって。使えるものは差し出す。
「…ねぇ、その“他人の空似さん”はどんな人なのよ」
ドキドキしながら彼に尋ねる。覚えていても、覚えていなくても、どうにも複雑な気持ちにはなるだろう。それでも、わたしは尋ねずにはいられなかった。
「なに、嫉妬?」
「うるさいわね」
軽口を叩く彼。ケラケラと笑いあえる時間は少しの癒し。こんな時に、と軽蔑した視線を貰うことがあっても、胸のバッチを見て目を逸らされることが多い。
『ふふふ、最期の最後まで。
これで一つになっただなんてねぇ。
もぅ、わかったでしょ。一つになった?それがしあわせ?
一つになれてないわ。それでもアナタはしあわせだった。
そうよ、アタシはいらないわ。
じゃあ、さようなら』
見る見るうちに姿が変わっていきます。
背が伸びて、髪は白く、肌は浅黒く。
そうして残った子ども面影は、
アースライト トルニー が見物しにやってきました。
>>157 マサト
「や゙め゙でっ!!」
両手で耳を塞いで、みくるは一歩後ずさった。
「家族じゃない! 座らないっ!! ずっとおかしいって思ってた……ものごころついたときからあのぬいぐるみはいた、あたりまえみたいに……みくるはちがうって、あのふたりはあれはぬいぐるみなのに、パパはみくるをぶつんだ。やだ、いや、嫌、みくるのお姉ちゃんは」
ぶつぶつと、目の前のマサトを無視するようにつぶやいたあと、やっと顔をあげる。
その顔は心の底から悲しそうに、憎ましげに、マサトを見つめた。
「“きっと大丈夫”なんてうそだった。マサトくんのうそつき。……マサトくんも、みくるにつらいおもいしてもらいたかったんでしょ。みくるにやさしくしたのだって、じぶんよりよわいひとをそばにおいて、じぶんがあんしんしたいだけだったんだ」
「みくるをばかにして、みくだしてるんだ。ほんとうにみくるをたいせつにしてくれてたわけじゃない。だから、あのひとみたいに、ぬいぐるみでもかぞくなんていうんだ」
「何を言ってるんだ?一つになったんだ、別れられるわけがない。
キミがなんと言おうと、さようならなんて、そんな。
一つになったんだよ。
ほら、オレらはライトになったんだ。
オレとキミで…
……オレ?」
男は気がつきました。気がついてしまいました。
一つになった、一つになったと思ってからは、ボクでした。
ライトはボクですから。一つになっていたのですから。オレではありませんでした。キミもいませんでした。
「なんで、オレ、いや違う。
一つになった、なってしあわせになったはずさ。
何か間違ってる、そうだ歪みだ、アレの所為さ。
そうだよ、そうだ、神様のところに行けば修復して貰える。
あぁ、ほら、神様のところへ行かなくちゃ。
また一つにならないと」
「そうだ、一つになればいいんだ。
一つになったらしあわせになったんだ。
ライトになれば、そう、ライトになれば。
ライトにならなきゃ。ライトのとき、ライトで思ったのは、そうだ、そうだ」
「ボク、喉が渇いたなぁ」
男は思い出します。ライトであったときのこと、ライトの口調。きちんと思い出して、きちんと真似をします。
「なんでだろう?食事も必要ないって言ってたのに!
そうだ!神様は能力を授けてたよね!それの所為かな?
うぅん、それなら何を飲めばいいのかなぁ。飲みもの…何かあったっけ…
そうだ!誰かに聞いてみようっと!」
キョロキョロと、子どもであれば可愛らしい仕草で辺りを見回します。
見目に合わぬ、子どもの口調、子どもの仕草でペラペラと話す男は、それはそれは歪んで見えることでしょう。
俺達の子どもだ
どっちに似るかな?
どっちに似ても、絶対可愛いか
やべぇ、俺今世界一幸せだ
[優しく、でも離さないように、彼女の腰を引き寄せる]
「……はは、は
あっはははははは!なんだよこれ!絶望だな!!なんでみんな狂ってんだよ!?」
「どいつものいつもしんどそうでかなわねえなぁ!!なんだ?これが俺たちに与えられた罰なのかよ!?おもしれえ……俺には何が待ってんのかなぁ!!」
その場であぐらをかいて、まわりの不幸せな末路を眺めながら次に自分に降り懸かる災難が如何に凄まじいものかを恐怖しながら待つ。恐怖に対する好奇心を持ちながら。
だが、何も来なかった。
何も無かったのだ。ほかのだれがくるわけでもなにをされふわけでもなく。何も無かった。
「………?おかしいなぁ。俺にゃあねえのかよ?」
それが8時間ほど前の話。
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新