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【星】星渡し セツ に 1人が投票した。
【流】流離い 夜長 に 6人が投票した。
【兎】兎面 ヤガミ に 1人が投票した。
【流】流離い 夜長 は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、【弥】村娘 ヤヨイ が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、【星】星渡し セツ、【伏】伏目 レイ、【天】天邪鬼 ソウビ、【金】金物屋 キキョウ、【菖】花売り アヤメ、【兎】兎面 ヤガミ の 6 名。
寝所での寝泊まりもだいぶ慣れた、そんな朝。
ふと見渡して、違和感に気がつく。
「レイちゃんは、いる……ヤヨイちゃんは…?」
小さな子どもの寝姿が、一つしかないことに。
思い出すは昨晩のこと。
ヤガミと甘酒を呑みながら、話していたときのこと。
今にも眠ってしまいそうなヤヨイに、確かに。彼に頼み、子を背に乗せ寝所まで送ってもらった記憶がある。
(もう、起きているってこと…?)
考えられる最悪の答えを必死に飲み込みながら、ヤヨイを探しに外に出た。
布団の中で目を覚ます。
隣で寝ていたアヤメは珍しく既に起きている。
私じゃ・・・ない・・・
寝言を見渡す。セツとキキョウはまだすやすやと寝ている。
肝心のあの子がいない。
「ヤヨイちゃん・・・!!」
急いで寝床をでると、表に向かって駆けていった。
「はあっ、はあっ・・・」
境内をぐるっと見て回る。
肩で息をする。苦しい。
ぐわっと身体を反らせて空を見上げる。
「はあ・・・はあ・・・・・・・・・。もう、もう」
嫌だ。
ヤヨイちゃんは、拐われた。
その事実がじわじわとレイの心を侵食していく。
烏丸、ミゲツ、空樹、そしてヤヨイ。
大事な人がもう何人も拐われている。
居なくなることに、少し、慣れてしまった。
だけど、痛いのは変わらない。
残ってる人から閉じ込める人を決める。
この中から?
心臓が耳元でなってるかのように煩く、
顔に火照りを感じる。
手汗も出てきた。
セツもソウビもアヤメも、レイに取っては
とても大好きな人達なのだから。
.。oO今日も夢を見る。
その後、暗い面持ちで宿屋で働く。簡単に抜けられるような所ではなかったのもある。無断で逃げ出して捕まれば折檻、それに帰るような場所も今の俺にはない。
夜風にあたりながらはあ、と溜息に近い一服をする。休む時間は決まっているから、誰もいない部屋で一服するのが何よりも落ち着いた。
『…おや、双弥。お前も煙草を嗜むようになったのか。』
聞き慣れた声、後ろを向けば人あたりの良さそうな笑顔…旦那様が立っていた。
軽く会釈をすれば肩をぽんぽんと叩かれ、雑談をし始める。
俺の心の内がざらつくような感じがして、早くどこかに行ってくれないかと密かにそわりとし始める。
ふと、旦那様がそういえば……と切り出した話に目をやった。彼はそっと俺の耳に顔を近づけ、ひそりと言うのだ。
『……私の妻は可愛かっただろう?』
勢いよく飛び起きる。
……また、悪夢かと気付くのは近くに寝ているヤガミの姿があったから。
どうしてこう…悪夢続きなのかと自分に悪態を思いながら、昨日と同じ身支度を済ませる。
遠くで何やら騒々しい声がする。
……まさか、今日も誰かいなくなったのかと表に出れば、アヤメの姿。彼女はヤヨイの名を叫びながら歩いていた。
>>アヤメ
「おはよう、アヤメ。…ヤヨイがいないのか?俺も探すのを手伝おう。」
確認だけ取れば、敷地内を探して回る。
だが…どこにもいない。
全て探し回った時くらいに、肩で息をしているレイの姿が見えた。
>>2 レイ
「…………レイ。」
彼女も既に気づいている事だろう。そして、また誰かを選ばなければなるぬ事にも。
屈んで、目を合わせる。
「……汗が酷いな。体を冷やすと風邪を引く。」
瞳に沈んだ色が見える。それでも、冷たい風が彼女を冷やさぬ様にと懐から取り出した手拭いで額から拭いていく。
はたと、目を覚まします。
見ていたはずの夢は、もう何も思い出せませんでした。
ふと窓を見れば日はすっかり昇っていて、しかし、何やら周りが騒がしくて。
急いで身支度を整えると、寝床から抜け出して外へと向かいます。
その道中、人伝に聞いた話では、
「あの小ちゃい子が、おらん……?」
レイと仲の良かった小さいあの子。
いつもの場所へと向かう途中、セツも少女の姿を探しましたが、その姿を捉えることはできませんでした。
>>7 レイ
汗を拭き終えると、頭をぽんと撫でた。
「おはよう、レイ。
…遊び相手が欲しい時は、言うといい。レイが望むなら、また肩車やなんだってしよう。」
歳の近いアヤメがいなくて寂しかろうと、遠回しに声を掛ける。
空樹がいない今、疑問を晴らせるニンゲンがいない。それでも…彼女を放ってはおけないのだ。
>>10 レイ
「…俺を優しいと思うならレイもまた、優しいという事だろう。」
優しさを知らない者に優しさは分からないだろうと、素直な言葉を掛ける。
彼女の瞳には柔らかな翳りが見える。……本当に、強くなったなと思いながらも、幼子に重大な決断の一端を担わせなければならぬ事を大人として情けなく思う。
「……俺はもう少し探してこよう。レイはアヤメ達と待っていてくれ。」
僅かな可能性を捨ててはいけないと駆け出す。
神社は広い。もしかしたら、があるかもしれないともう一度一周するのであった。
「ヤヨイがいねえ……かあ。
ちくしょう、好き勝手やられちまってやがらあ。
あのクソインチキ店主を蔵に送って終わればいいって思ってたんだけどなあ。
まだいやがるってえことか、狼さまよう。」
狼さま…………
〔目を覚ましたヤガミは、辺りの状況を確認してからポツリと呟いた。まだいる狼さまは、自分の願いを聞き届けてくれたということだろうか。〕
どうか、ヤヨイちゃんが寂しい想いをしていませんように。
ミヅキくん、空樹おにーさん、よろしくお願いします。
〔またヤガミは、願った。〕
神社やその周辺、さらには奥の祠まで、思いつくところは全て探し回るも、ヤヨイの姿は見つからず。
探し疲れたアヤメは力なく、石段の上に座り込んだ。
〔ヤガミは今日も掲示板に向かう。生き残ったからには、自分の役目を果たさなければ。〕
――――――――――
今日教えて欲しいこと
@ソウビさん、アヤメさん、セツさん、キキョウさんの正体について、予想。
あり得るなと思うものが順位付けされているとわかりやすくて有難いです。
(例)ヤガミはあり得ると思う順番で言うと、まとめる人、恋してる人、狐さまに取り憑かれてる人
A今日閉じ込めたい人
――――――――――
何が正しいのか、ほんとにわからなくなるな……
〔ヤヨイの無事を心配する気持ちがありつつも、こうして自分が朝を迎えて、「嗚呼、またか」と胸がぎゅっと締め付けられたのは事実だった。
それを思うと、この重責を背負わせずに済んだことに安堵する気持ちは確かにあった。〕
>>13 レイ
「おう、レイじゃねえか。
今日もお互い、連れ去られずに済んでよかったなあ。
ま、アタシは連れ去られそうになっても蹴り飛ばしてやれるんだがなあ。
……元気か?ってえ言ってもよ、周りから人が少なくなってきやがったから不安にもなっちまうと思うがなあ」
──────────────────
またやった。齢十八になり、大人ぶってはいるものの、人との接し方は子どものまま。人の気持ちを先回りして考えることが苦手だった。目の前にあることしか見えず、人を傷つけることが多かった。
今日も、幼い子どもの心を傷つけた。アタシはレイが無事で嬉しかっただけなのに、レイは自分のことだけじゃなくて、ヤヨイのことを本気で思っていたんだ。アタシだってヤヨイが連れ去られたのは悲しい。どうして伝わらないんだろう
──────────────────
「……しょうがねえ。人が悲しい顔をしたらちゃんと謝れってえのが親父の数少ねえ教えだからよう」
そうして、キキョウは筆を取った。
『レイへ
さっきはすまねえ。さっきレイが悲しそうな顔をしてた。アタシはあんたを傷つけちまったようだ。
ヤヨイが連れ去られたのは、アタシも悔しいんだ。でも、あのときはレイが連れ去られずに済んだことが嬉しかったんだ。
傷つけるつもりはなかったんだ。
すまねえ。
キキョウ』
──────────────────
ぺた、と掲示板に貼り付けておいた。
読んでくれるかはわからなかったが、話すのが下手なアタシがちゃんと口で伝えられるかどうか自信はなかった。
こんな形ですまねえな、と1人つぶやき、心を落ち着けるため散歩へと出かけた
──────────────────
石段の上で暫く座り込んでいると、後ろの方向から、見知った子の声が聞こえたような気がして振り返る。
「レイちゃん…?」
ふと、ヤヨイが見つからないことに焦り、レイの様子を見ていなかったことに気づく。
人一倍、他人のことを考え傷ついてしまう子なのだ。
仲良くしていたヤヨイがいなくなり、一番ショックを受けているのは彼女だろう。
立ち上がれば、小さな背中がちらりと見える。
アヤメはレイの後を追った。
「・・・・・・・・・」
キキョウさんは、言葉通り思っているなんて
思ってない。
だけど、拐われてる人を多くみて
仕舞いにはヤヨイちゃんが拐われて。
「人に、キキョウさんにあんな事するなんて」
怒鳴られる事は嫌な事なのに
自分がするなんて。
私も、あの人達と、一緒・・・。
>>23 レイ
レイの後を追いかけると、神楽殿の扉の前にぽつりと。小さな体を更に小さくさせて、座っている彼女を見つける。
「レーイちゃん。」
声を掛け、その隣にそっと座った。
いろんなことを抱え込んでしまう、この小さな子に、掛ける言葉を探す。
(あたしが、この子に…)
「昨日ね、ヤヨイちゃん。狼様を捕まえようと、朝まで起きようとしてね、かわいい子だね。」
こんな時、あの人ならどう言うんだろう。
「さみしいね。」
そう呟き、横からレイをぎゅうと、優しく抱きしめる。
少しでも、この子の悲しみに寄り添えるように。
私の名前を呼び、隣に座る。
ふわりと香る匂いで、アヤメだとすぐ分かった。
この香りを嗅いでいると心が落ち着く。
前日、ヤヨイが頑張っていた事を知る。
「ヤヨイちゃんは、強いんだ。
私なんかよりずっと・・・」
抱きしめられた後、実は・・・と言って口を開く。
キキョウに対して取ってしまった態度の事を
アヤメに告げた。
>>25 セツ
「おう、セツ……いやあ、別になんかあったわけじゃあねえんだけどよ。
いやあったなあ。
あった。
レイにひどいこと言っちまったんだ。きっと、アタシのことひどいやつだって思ってる。
すまねえが、レイのこと頼まあ。あの子はこの状況でも他のやつを心配してやれる優しい子だからよ……あの子が笑ってくれるように、相手してやってくれよ。」
>>26 レイ
レイの口から、先ほどキキョウとの間に起きたことを聞き、なるほどすれ違ったときの彼女の様子を思い出し合点がいく。
「話してくれてありがとう。」
そう言ってにこりと微笑む。
「レイちゃんは、優しいね。」
「優しいから、ヤヨイちゃんのことを悲しむことができるし、キキョウに取ってしまったこともちゃんと、いけないなって思って、」
「それを隠すことなく、ちゃんとお話し出来る。」
レイちゃんはとっても優しくて、とっても素敵ないい子だね。
そう言って、赤くなっていただろう、彼女の目元を優しく拭った。
地平線に夕日が沈み、空が深紫になっても探し続けた。
額に伝う汗を拭えば、本殿で大きく息を吐く。
……分かってはいた、とっくの昔に。
それでも、簡単に諦められるほど、割り切れるほど人間が出来ていない。もっと冷静な考えが出来ていれば、そういうものだと受け入れられたのかもしれない。
時間が大分掛かってしまった。ヤガミもそろそろ起きているだろうかと掲示板を見れば、キキョウの手紙>>21が先に目に入る。
書かれている内容からして、何が起こったのか何となく分かる。遠目に神楽殿を見ればアヤメがレイを抱き締めていた。
…………姐さん同士の喧嘩も、彼女らの中で解決していた気がする。女の友情に男が割り込むのは野暮だろうと掲示板の側で立っている事にした。
>>30 レイ
前に進もうとしているレイににこりと微笑む。
「そうだね。」
一緒に行こうか。と言いながら、握れるようにレイに手を差し出すだろう。
>>32 レイ
レイと手を繋ぎ、キキョウを探し歩いて掲示板のところまで来る。
すると、ヤヨイがレイに宛てた手紙が貼り出されているのを見つけるだろう。
彼女にも見えやすいように、それを取り外しレイへと渡す。
「これ、ヤヨイから、レイちゃんへのお手紙だよ。」
そうして暫くしていれば、散歩から帰ってくるであろうキキョウと会うことも出来るだろう。
>>27 キキョウ
彼女の言葉を最後まで聞けば、
「あら、それならキキョウさんかて優しい人やないの。」
と、柔く微笑みました。
「キキョウさんがどんな事をレイちゃんに言うてしもたんかは、私にはわからへんけど……
そうやってひどい事言うてしもたって反省して、レイちゃんの事を心配してあげれてるんやから。
レイちゃんは小ちゃいけど、色んなこと考えられる偉い子や。
だから、キキョウさんがちゃんと面と向かって謝れば、あの子は許してくれると思うよ。」
セツは彼女が掲示板にレイへの手紙を残した事を知りません。けれど、直接会って自分の想いを伝える事が大切なのだとセツは知っています。だから、そう言うと笑顔を見せて。
「ほら、行っといで。きっとレイちゃんも、キキョウさんのこと探してるわ。」
とん、と背中を押したのでした。
>>34 セツ
「アタシは優しくなんてできてねえなあ。
いつも言葉が上手く伝わんなかったりよ、言い回しに刺を感じられちまったりするからよ……
だから、直接話すより手紙のほうがいいと思って、手紙書いてきたんだがよう。
あー……まあ……いってくらあ。
あんがとなあ、セツよう。」
>>キキョウ
アヤメに背中を押されて、キキョウに駆けていく。
キキョウの背面から左足に抱きつく。
「・・・キキョウさん、ごめんなさい。
私、酷いこと言いました」
>>36 レイ
「おおっ、レイ……びっくりするじゃあねえかよ。
そんなことはねえぞ、あれはアタシが悪いんだ。あんたの気持ちを考えずにひどいこと言っちまったんだ、もっと責めたっていいんだぜ。
ほんとに……すまねえ」
>>38 レイ
「……わかんねえ、よ。
アタシにそんな力はねえんだ。
でも、誰かはそうなんだよなあ。それも、わかっちゃあいるんだ。
誰がそうなのか……考えなくちゃなんねえ。
アタシはこうやって知ってるやつを悪者みてえに蔵に送るのは辛えんだ。
レイも……辛えよなあ。」
>>40 >>41
レイ アヤメ
「許して……くれんのかあ?ありがとなあ……!」
「アヤメも、見守ってくれてありがとなあ。見えてたんだぜ。隠れてたのかもしれねえけどなあ」
>>41 レイ
「そっか。うん、よかったね。」
そう言って、レイの背に合うようにしゃがみ込み、その頭をよしよしと優しく撫でる。
きっと、仲直りできてホッとしているだろう、と思いながら覗いたレイの表情は、予想に反して複雑そうな顔をしていて。
(ああそっか、今夜ももう、決めなきゃいけないんだ…)
この子はまた、この中の誰かを疑わなければならないのだ。
「レイちゃんの考えて出した答えなら、あたしはなんでもいいからね。」
そう言ってもう一度レイをぎゅっと抱きしめ、自分にもやるべきことがあると、2人の元から離れた。
みんな、なかなか選ぶの難しそうだな……
〔様子を見守っていたヤガミは、そう呟いた。自分自身、今日どうすべきなのか、明確には決まっていない。〕
>>all
掲示板に書いていた相談したいことについてなんだけど、@が難しそうであればAだけでも教えてもらえたら大丈夫です。
ただその時には、理由を一緒に教えてくれると嬉しい。
言いづらいことであれば、僕にこそっと教えていただければ大丈夫ですよ。
すっかり夜も更け、祭りの提灯が寂しげにあたりを照らしていた。
相次ぐ神隠しのような騒動に、随分と、祭りの参加者も減っているようだ。
目当ての人物を探しに神社のまわりを歩いていると、掲示板の側にソウビとセツの姿を見つけ、咄嗟に木陰に隠れる。
ちくりと痛み始めた胸が、じりじりと自身を蝕んで行き、そっと唇を噛んだ。
木陰に隠れていると、ヤガミの姿を見つける。
本当は、ソウビと話しをしてから、と思っていたものの、ヤガミに迷惑をかける訳にはいかないと、こっそり彼の側に行き折りたたんだ紙を手渡した。
>>48
「…ん?」
人の気配がした気がして、そちらに向けるが誰もいない。
気の所為だろうか?と首を傾げてセツの方へ目線を戻した。
✎____________
@
・ソウビ
ソウビは狼様なのかなと数日前から考えていたけれど、恋仲でもあるというのはずっと思っていて……。恋仲について改めて考えてみると、どちらか誘っている側の存在に気付いて、そこに着目すると、恋仲に誘うならソウビから、っていうのがしっくりきたの。それで今日になって、順位が少し変わったわ。
壱.恋仲 弐.恋仲で且つ狼様 参.狼様 肆.恋仲で且つお狐様 伍.憑いていない、もしくはお狐様
・セツさん
セツさんも恋仲なのかなって、前々から薄ら思っていて。セツさんのことは信じているけれど…。彼女が恋に浮かされ、恋仲となっているならば、全てを捨てて恋に生きるもの。恋仲でない限りは、何も憑いていないと信じてる…。
壱.恋仲で且つ狼様 弐.恋仲 参.恋仲で且つお狐様 肆.何も憑いていない
・キキョウ
キキョウは確か、恋仲はなるようになれみたいに思っていたところから、そういうのに無頓着なのって、神憑きっぽくはないのかなぁってふと思ったの。どちらかといえば、人を拐う狼様の方が、恋仲とかそういう類いを敵視しそうな気がして、あるならお狐様かなって。順位は付けたけど、お狐様と何も憑いていないはあまり変わらないかも。
壱.お狐様 弐.何も憑いていない 参.狼様
A今夜蔵にと思う人
@の理由から、セツさんか、ソウビ。
恋仲でなかった場合も考えるとソウビに寄ってはいるけれど、ふたりは恋仲だと思っているから、どちらでもあんまり変わらないのかな…。
____________✐
*紙はところどころ文字が滲んでいる。
>>47 ヤガミ
「今日はよ、ソウビを蔵に送るべきだと思ってんだ。
理由なんだがよ、正直お狐さまがどうかも、狼さまがどうかもわかんねえ。
ただよ、この中に恋結ばれた人がいて、この混乱に乗じようとしてるとしたらよ……そりゃ、女子の誰かとソウビだと思っちまうんだ。
だから……今日は、ソウビがいいと思うんだ。」
──────────────────
ヤガミに告げる。
なるべくなら、聞こえないで欲しい。
キキョウの普段からは考えられない、小さな声だった
──────────────────
こっそりでいい。そんなヤガミの言葉に甘え、彼が一人のタイミングを見計らい、密かに紙を渡す。
おのこであるなら、強くなくては。そう思っていたが、ここにいるニンゲンへの情は振り払えなかった。
まとめのヤガミはともかく、当人は知られたくない事もあるだろう。
✐┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈✎
@名を書かれている順で考えていく。
恋をしている者は勘だ。ただ、俺自身がその手の話に疎くてよく分からん。恐らくの話ですまないが、密かに逢瀬をしているなら誰の組み合わせでも有り得るのではないか?
個人的にはレイと誰かの組み合わせがあるなら、ちと頭が痛いが。これは個人の意見だから流してくれ。
✐┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈✎
✐┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈✎
アヤメ
1.狼、恋2.狐、人の順でありそうだ。
理由は占いに挙がった途端に空樹がいなくなるのはやはりと思う。あの場で夜長がバレてしまってる以上、悠長に待っていられる間は早々ないだろ。
連れ去る人選を見ていても、能力者から選んで今日は占われていたヤヨイ。こう書くと恨み言くさくなるが、俺が狼様に見えるようにと向けられた悪意を感じる。そんな事を出来るのはアヤメだけではなかろうか。今日の中なら俺が唯一話しておらず空樹に占われていたヤヨイを狙うのが事を進めやすいとか考えていそう、だとは。
狐と人は同じくらいで見ている。占えていないから狐様の方が有り得そうに見えてしまうな。ここがそうなら強かろうという意味も含めた。
恋はおなご同士か、ヤガミやレイ。ヤガミやレイの場合は頭痛が酷くなりそうだな。正直勝ち目が薄いから考えたくはない。
おなご同士なら俺は知らん。アヤメなら誰とでも有り得るのではなかろうか。
✐┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈✎
✐┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈✎
セツ
1.人、恋、狐2.狼
3人を相対的に見て人に見えるというのが大きい。
狼様であれば空樹をわざわざ生かしておくのは悠長が過ぎる。あって狐様だろうか。立ち位置としても可もなく不可もなくといった感じだな。
だが、相対的に見ているだけだからな。狐様も十分に有り得るとは思うが。空樹がいない今となっては、発言がそれらしいとしか言えないな。
恋も有り得る立ち位置ではある。皆を気遣う姉であるが故に、慕う者も多そうだ。ヤガミとレイに関してはアヤメと同じく。
✐┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈✎
✐┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈✎
キキョウ
1.狐、恋2.狼、人
ここも相対的に見て狐に見える。ただ、俺も考え直したが夜長が中々いない分、もう片割れは頑張りそうなものだと思うので、ここは狼様の順を下げた。
狼様であるなら、占われたくない狼様が噛んだと見せかける知能犯だと思うが…それは中々に都合良く噛み合いすぎている気がしている。
恋に関してはナナクサと仲が良かった分、ないと思いたいが密かに話されていたら分からんからな。ヤガミやレイは同じく。
A今日閉じ込めたい人
【キキョウ】
狐様がどこにいるか知らんが昨日、夜長を閉じ込めた分は余裕がある。狐様らしき者から閉じ込めて、アヤメを閉じ込めても時間があるのではなかろうか。
ただ、こうすると更にまた一人攫われかねんが背に腹はかえられまい。俺としては、キキョウが狼様でない事を祈るばかりだ。
✐┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈✎
>>52 セツ
「そうか、それは…セツも疲れただろう。糖でも取るか?」
懐から菓子を探していたが、彼女が眺めた方を見れば、ヤガミの紙があり顔を顰める。
本当に、夜長で終わってくれていれば、こんな事にならなかったんだがなと少しばかりの悪態を心の中でついた。
「……全くだ。俺は…まだいい。
幼いレイや優しいアヤメやキキョウ、まとめのヤガミ。…そしてセツ、あんたが苦しむのが何よりも辛い。」
ぽつりと本音を零した。
自分の痛みは我慢出来る。昔から、殴られ蹴られしたって無の心で耐えてきた。
だが、親しい人が苦しむのを見るのは嫌だ。
✎____________
今日の希望は、お狐様より狼様や恋仲を意識して希望しています。
これ以上、誰かが拐われるのはもう。
レイちゃんが拐われるのだけは、絶対に耐えられない。ヤガミさんが拐われて、これ以上レイちゃんが辛い思いをするのはもっと、耐えられないんです。
もう一つ。私情でごめんなさいと予め謝っておきます。
あたしが恋仲にと願うのはソウビです。
でも、これはあたしの片思いです。セツさんとソウビの2人を見ていると、どうしても、胸がちくりと痛んで仕方なくて、…。こんな選び方でごめんなさい。
____________✐
*希望の書いてある紙と折り重なっていたようで、こちらも同じくところどころ文字が滲んでいる。
>>67 ヤガミ
「心得た。……異論は、ない。」
俺の希望通りだからという言葉は伏せ、躊躇いがちに異論はないと告げた。
「今日も大変だったろう。これを食べてくれ。」
薄青の和紙に包まれた砂糖菓子を渡した。ここに来る前に渡されたものだ。
ヤガミとはこんなものがなくとも話せる仲ではあるが、考え事を沢山した彼にと渡す。これは動物の形をしているので、兎面の彼に相応しいだろうという考えもあってだ。
あわわわわ、今日ビックリするホド寝てたネ
ゴハン作れなくてゴメンでしたネ
ケッテイ、ワタシも聞いたヨ
ヤガミサン、毎日お疲れサマネ
えと、キキョウサン、向こう行ったら、ツユリにヨロシクネ
>>70 リェン
「おう、なんか話すの久しぶりだなお手伝いさんよう。
ツユリってえのが心配だと思うけどよう、心配いらねえと思うぜ。じき、何もなかったような元気な顔して会いに来てくれるってえもんよ」
決定が出て、彼女は何も反対もせず
『いってくらあ』
そう言って蔵に歩いていく。
キキョウを捕まえようとした手は
虚空を握る。
分かっていたことでも、無理なもは無理なのだ。
悲しい、痛い、辛い。
「やだよ・・・」
そう呟くことしか出来なかった。
>>73 ヤガミ
「…俺にはこれくらいしか出来ないからな。
ヤガミに食べられれば菓子も喜ぶ。存分に食ってくれ。」
自分の身の潔白が証明が出来ていれば。ヤガミをもっと支えられたのだろうかと思う事がある。空樹がいない今となっては、どうしようもない事なので表には出さない。
砂糖菓子は仲良くなれるようにと願いを込められて伊勢屋の皆から渡された。悪い物ではないから、ヤガミの元気が少しでも出れば良いと、そう思うのであった。
>>67 ヤガミ
ヤガミさんの決定に、今日もありがとうと感謝する。
予想はしていたものの、明日もこの騒動が終わらないのではという不安から、表情は少し固い。
>>68 キキョウ
キキョウがいなくなるなんて、寂しくなるな、とポツリと呟く。
女子会でのことや軽口を言い合ったこと、どれもアヤメにとっては初めての体験で、大切な思い出だ。
「セイヤさんとも仲良くね。」
なんて耳もとで呟き、下手くそに笑ってみせた。
──────────────────
蔵へと歩みを進めるキキョウが、
ふと振り返って言う。
──────────────────
「あとよ
この騒動に、明日はねえんだ。
すまねえなあ。」
ヤガミが歌詞を食べている所を暖かい気持ちで見守る。>>79
ふと、キキョウから信じられない言葉が飛び出てくるが、即座に狐様の悪足掻きか?だなんて疑いが心に占めた。
……どうして俺は、素直に人を信じる心を落としてしまったのだろう。
そう深く後悔し、キキョウからは目を逸らしたままだ。
ソウビさんは、僕からしたらアヤメさんのことも大切に思っているように見えましたよ?
ソウビさんとセツさんが結ばれているかは僕にはわかりませんが……
想いを告げずに片想いと決めて諦めるのは、なんだか勿体ないように感じたんです。
>>84>>85 ヤガミ
ヤガミの耳打ちに、アヤメはぱっと顔を赤らめる。
「で、でも、ソウビはレイちゃんや…みんなにも優しいから……」
本当は、伝えたい、そんな気持ちもあったものの。
ふたりが一緒に居る姿を見て、思わず握り締めてしまった言葉。
どうしよう、なんて思っていると、不意に蔵へと歩みを進めていたヤヨイが含みのある言葉を言い、頭が混乱し始める。
(ヤヨイが狼様ってこと…?でもそれなら…ソウビは狼様じゃない…もう疑わなくてもいいの……?明日が来るって……)
>>86 アヤメ
「ほんとはよ、気付いてたんだ、アタシはどっかでさ。
夜な夜な自分が何してたのか。
朧げにでも、自分のことはわかるってえもんよ。
言い出さなかったのは、アタシが弱虫だったからさあ。
夜毎に人を拐うなんざ、ただの化けもんでしかねえよ。
アタシはさ、自分がそんなもんだって、思いたくなかった。
自分にそんな部分があるって、信じたくなかった。
そういう、弱いやつだったんだ。
謝る資格もねえからよ、
アタシはこれが終わったら、あんたらにこの身体任すからよ。
今日のところは、休ませてくれっか?
寝不足でしょうがねえんだ。
」
>>91 キキョウ
キキョウからの、予想外の告白に動揺するも、意を決して彼女に近づく。
「そっか、そうだったんだ…。キキョウも苦しかったんだね。」
狼様に、言いたいことはきっとあったはず。
それでも、彼女を見ればそんなことは全部消えていってしまう。
キキョウをぎゅっと抱きしめて、おやすみなさい、と呟いた。
>>94 ヤガミ
「まだ……休ませてくんねえんだなあ。
アタシ、夜は勝手に動いちまうからよ。どっか縛りつけておいてくんねえかなあ。
もう……悪いことできねえようにさ。
頼むよ。
アタシはアタシが怖えんだ」
おやおや、ケッテイ変わったミタイネ
遅くマデみんなお疲れサマネ
キキョウサン、その話ホントなら……ワタシ、アナタでこぴんスルネ
>>97 アヤメ
「アタシにそんな……そんな優しい言葉は相応しくねえよ。
拳の一つや二つどころかよ、タコ殴りも覚悟してんだ。
そんな……
優しく、してくれるんじゃねえよう……」
「…………もう、夜更けだな。レイは寝る時間だろう。」
ぽつ、ぽつと続けて言葉を話し出す。
「だが、あんたらに聞いてほしい事があってな。
俺は……セツと結ばれている。」
そ、と背に隠していた繋がれた手を出す。もう、隠す必要はないのだ。
「だから、俺は閉じ込められて当然のニンゲンだ。……怒るのは構わないが、泣くのはやめてくれ。」
>>103 レイ
「レイ……アタシは嬉しいんだがよ。
アタシはあんたに、何しちまうかわからねえ。拐っちまうかもしんねえんだ。
もう……いっそ、関わらねえほうがいいんだ。
あんたは本当に優しい子だからよ……
だからよう……」
>>110 レイ
「レイ…………あんたは……
どこまで、アタシに優しくして……
なんで……そんなに、あったかいんだよう……」
「……俺の役目は守り人だ。図体が大きいからな、敵役だと思っていた。
だが……セツと出会って、どうしても彼女を守りたいと強く願ってしまった。彼女が拐われるのが何よりも恐ろしかったんだ。
一度なら俺が守り通せる。だがその後は?俺が居なくなったら誰が彼女を守れるのか。……もし、俺達が狼様と狐様に勝っても、拐われた人が帰ってくる保証はない。
それなら、彼女の手を取って一緒に拐われたかった。」
ここまで話すと、大きく息を吐いた。こんなに話したのは久々だ。
「……すまない。あんたらには関係のない話だったな。
……………でも、それでも俺は守り人として、あんたらの幸せを願わずに居られない。
……もう、誰かが拐われるのを黙って見てるのも、懲り懲りだ。……気持ちの形が違うだけで、あんたらの事も……大事に思っていた。狼様と狐様を見つけ出せればいいと、必死に考えていた。俺の言葉を信じなくてもいい。だが、この事だけは……忘れないでくれ。
……後は、好きにしろ、抵抗はしない。」
だらん、と繋いでいない手の力を抜いてみせる。
レイに優しく言葉をかけたい。
キキョウに、いいんだよ、って言いたい。
ソウビに好きだよって伝えたかった。
あの日、諦めればよかった。
2人におめでとうって言いたいのに、言えなかった思いが苦しくてつらい。
ヤガミさんにこんな時でもありがとうって。
さっきの言葉、それだけで救われたって、思っているけれど、
流石にこんなところでの不意打ちは…無理だよ…
アヤメは、後のことは全て任せます、レイちゃんのこともお願いします、とヤガミに伝え、その場からよろよろと去っていった。
繋いだ手を差し出して。
隣に立つ彼の言葉を聞いていました。
ただ、その刹那、あの子の泣く姿を見て、
視線を逸らします。
あの日のことを思い出して。
彼女の気持ちを、思い出して。
謝る資格もないのだと、そう思って。
震える唇を噛み締めました。
>>117 ヤガミ
ヤガミの視線に、
「あたしにはなんにもない、神様すらも憑いていない、何にもないんです。」
と、笑えているのかもわからない顔でそう伝えた。
ごめん、レイちゃん。
僕は、閉じ込めちゃった、何も神様にも憑かれていなかった人のためにも、そして力を貸してくれたミヅキくんや空樹にーさんのためにも、
1番平和な解決を選択する。
僕の方針は変えない。
ソウビさんに、蔵に行ってもらおう。
>>121 レイ
レイの笑顔を見て、心が痛む。きっと、俺の正体を知ってさぞかし驚き、悲しんだかもしれな。
それでも、彼女は笑ってみせるのだ。
「…………そうだな。あの時の約束を、今でも果たさればと思っている。……だが。」
そうはいかないだろうと言葉を続けれずにいれば、アヤメの元へと向かいたそうにしているのが見える。
行ってきていいと手を振れば、彼女は駆け出していくやもしれない。
アヤメの背を追う事はしない。
親しくしてくれていた彼女の事だ。さぞ裏切られたと思う事だろう。
「…………。」
ただ、それでもその背を目で追ってしまう。
全て、丸くいく形に収まればとどうしても考えてしまうのは守り人の名残だろうか。
>>アヤメ
アヤメさん!!!
夜の道は危ないから……待って!!
〔ヤガミはアヤメを追いかける。自分の声が届けと思いながら。〕
>>131 レイ
「……ありがとう。俺も、もし子がいなら、レイのような愛らしい子であれば良いと思っていた。」
寂しそうに、ポツリと零す。夜の静けさはよく声が聞こえるのだから。
「…ああ、任せたぞ。」
彼女の背が小さくなるまで見送った。
>>131 レイ
レイに後ろから抱きつかれ、もともと足元が覚束なくなっていたアヤメはその場にゆっくり崩れ落ちる。
「あたし、あたし……」
「本当はずっと、ずっと知っていたの…毎日、疑惑がどんどん増えていって…どんどん確信に変わっていって…でも、おかしいの…同じくらい…毎日好きになっていって……」
「ごめんね、ごめんねレイちゃん。
無責任で。最後までいられなくて。ごめんね、ごめんね。」
>>133アヤメ
彼女が初めて見せた弱さ。
泣き崩れる彼女を真正面から抱きしめる。
アヤメがソウビに対して好意を寄せたいた事は
分かっていた。
初日、3人で回った屋台の時から、頬を赤くするアヤメを見ていた。
それが実はセツさんと結ばれていたとなると
ショックの大きさは計り知れない。
「ソウビさんは、皆に優しい人。
不器用で目付き悪いけど、本当にいい人だよね」
「謝らないで、アヤメさん。辛い時は頼っていいって
言ってくれたじゃない。頼って、私を。ヤガミさんを」
涙を羽織の裾で拭う。頬に軽く口付けをした。
空樹さんが持っていたお酒の香りが、口の中でしたような気がした。
「あとね」
抱き締めたまま、話を切り出す。
「明日には、私は・・・いないの。キキョウさんに拐われていかれちゃうから」
「ずっと、傍にいられなくてごめんね。大好きなアヤメちゃんの・・・傍に・・・ぐすっ」
明日、アヤメにもヤガミにも会えなくなる。
その事実に留めていたものが、決壊した。
涙が、止まらない。
それでも、アヤメちゃんが拐われるよりは心が幾分か楽だった。
抱き締めるのをやめて、アヤメの顔を見る。
お互い泣いてひどい顔になっているのだろう。
「大好きなアヤメさん。・・・また・・・ね。」
そういうと撫でられていたヤガミに後を託し、石段を登る。
祭り初日にはこんな石段あってないようなものだったのに、今では長く先が見えないように感じる。
登り終わり、鳥居の近くのキキョウの元へいく。
「キキョウさん、お待たせしました。
・・・寝ましょうか」
>>135 >>136 レイ >>134 ヤガミ
ヤガミの手の温もりに、レイの言葉に、アヤメは赤く腫らした目に更に涙を溜める。
「ごめんね、ごめんなさい…あたし、わかっていたのに…こんな、取り乱して……でもせめて、気持ちだけ、気持ちだけでも、伝えたかった………でも、あんな、も……それすら…言えなくなっちゃ……っ」
嗚咽混じりに言葉を吐き出す。
レイちゃん、レイちゃんと名前を呼ぶと、彼女は悲しそうに、明日は自分が拐われてしまう、傍にいられなくてごめんね、と言う。
「そんな…レイちゃんまでいなくなっちゃったら…あたし…何にもないのに…あたしが…レイちゃんを置いていったから…」
2人で抱きしめあって、どちらの涙かもわからないくらいに雫が溢れ落ちていく。
どれくらい泣いただろうか。
レイはアヤメを自分から引き離し、またねと言葉を残して彼女の元を去っていく。
その姿を追いたいのに、追いかけなくちゃいけないのに。
足が縺れて立ち上がることすら出来ない。
(どうしてあたしはこう、いつだってだめなんだろう…。)
ごめんなさい、と呟いた声は静かに闇夜に消えていった。
>>140 ヤガミ
レイの姿が霞んで見えない。
真っ暗な視界のなかで、ヤガミが自分の手をやさしく、優しく包み込んでくれる。
冷たい夜風が、レイに口付けされた頬をツンと刺す。
少しずつ、少しずつ、冷えていく頭に、握られた手は解かず。アヤメはぽつりぽつりと呟いた。
あの時、一瞬。2人の繋いだ手に。何もかもがどうでもよくなってしまった自分がいたこと。
だから、レイちゃんが自分の元からいなくなってしまうのも、当然の報いだと思っていること。
ヤガミさんだって、みんな、みんな一生懸命考えてくれてれている中。狼様よりお狐様より、2人のことがずっと離れなくて、そればっかりになってしまったこと。
……自分には、花を…自分を売ることしか脳がないのに、祭りに浮かれて高望みしてしまったこと。
「あたし、本当に、何にもなくて…。でも、でも…楽しかったなぁ…」
>>141 アヤメ
〔自分の言葉が、彼女には届いているようで届いていない。何もないと彼女は言い続ける。けれど、楽しかった、というその言葉には少なからず安心した。
けれど彼女はこのままだと、自身に何もないと思い込んだまま。それは嫌だった。どうしたら彼女が自分を認められるんだろう。――どうしたら彼女に笑顔を、取り戻すことができるんだろう。
手を握ることは許されたと、そう感じたヤガミは少し、握る手に力を入れてみる。〕
……少しでもお祭りが、楽しめたのならよかったです。
でもそれは絶対、アヤメさんが魅力的だったからですよ。だから皆が、アヤメさんと一緒に楽しみたいって思って、アヤメさんの周りにはいつも人がいたんですよ。
アヤメさん。貴女がそう思えるまで、何度だって言います。
貴女は沢山のものを持っています。素敵な人です。
ずっと側で言い続けるから……どうか、自分をそんなに卑下しないで。
>>142 ヤガミ
アヤメの言葉に、ぎゅう、と少し、握られていた手に力が籠ったのがわかる。
彼の言葉に、アヤメはここで初めて顔を上げ、彼の顔を見た。
ここ数日、誰かに頼ることも出来ずに。
重圧に耐えていた彼は、初めて見た時よりも幾分痩せているようで。
(ああ、そっか。)
きっと本当は、誰より辛くて逃げ出したくて、でもそれも出来なくて、すんでのところで奮い立たせていた彼を。ここで、何にもないって、それでも拒んでしまったら…
今度は、彼が………
彼の目をそっと見つめ、
「……ありました。ヤガミさんの言葉が。」
なんにもなくなんか、なかったですね。そう言って泣き腫らした目で下手くそに笑った。
そうしてきっと、もう幾分か落ち着いたころ。
>>142 ヤガミ
「でも、ずっと側で、なんて、そんなこと、好きな子にしか言っちゃダメですよ。」
「こんなに優しいヤガミさんだもの、きっと、ヤガミさんの大切にしている人もいるんでしょう?」
「それにあたし、惚れっぽさには自信があるんです。」
なんて、今度は悪戯に笑ってみせることでしょう。
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