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>>122 ケーキ
[彼に突き飛ばされた…拒絶されたシューは、やり方を間違えただろうかと、悲しい感情が身体を駆け巡る感覚に目眩を起こしそうになる。
しかし、続く彼の言葉にハッとして、顔を上げる。
黒くモヤが掛かっていた彼の色は、今は全てが取り払われていた。
彼から見える色は、まるで光に反射して多彩な色を内に秘めて輝く宝石のようだった。
思い付くのはブラックオパール。黒を基調とした宝石は、遊色効果により光を当てれば多彩な色を持つ。彼の本音が、彼の本質がそこにはあった。]
「──ずっと見て、聞いてきたからっスよ!
ずっとずっと…きっかけは自分独りだけだと思っていた世界に、もう一人孤独に振舞っている人が居たからっス!
自分は、道を見つけられたっスけど、あなたはあの時のまま時が止まって…苦しそうで…!
"他人"なんかじゃないっス…!!4年も一緒にいるっスよ!
自分にとってあなたは、大切な"仲間"で、"家族"っスよ!!!…そんな事、言わないで…っ!!」
>>122 続き
[途中から涙声交じりに、瞳からは涙を一筋、二筋と零す。
彼の『廃棄』と言う言葉に、やはり自分達は何かしらの方法で複製されたクローンだったのだという仮定が当たらずも遠からずだった事を悟る。だが、そんな事は関係ない。]
「意味がないといけないっスか…!?例え、自分達の命が廃棄されるようなちっぽけな物だったとしても、自分たちの"心"はそんなに安くないっス!
そう簡単に踏みにじらせないっス!これは、自分だけの…複製された自分が持っていない記憶と、"心"っス…!
その"心"ががなり立てるっス…!悔いなく、生きろって!
大好きなあなたを、救えって!!
…意味なんか、無いっスよ…。ただ、自分は、あなたと一緒に…」
[最後は消え入るような声だった。
もう自分達の未来は明るくはないのかも知れない。
限られた物なのかもしれない。
でも、その中でどう生きて、どう感じて、どう伝えるか。シューは、ケーキの手を握り、問う。]
「…あなたは、どうしたいの?」
>>131 しょくいん
「なるほど。妥当な線だろうね。君には手間をかけるが、僕は僕に成り代わる──いや、元に戻してもらう。加減を間違って殺さないでくれよ」
肩を竦めた。
僕として生きているクローンには哀れだと思う。けれども、何も知らずに逝けばいい。知らないということは、無いことと同じなのだ。
もし彼があの人を見つけていたら、僕はあの人に会わずに死ぬわけにはいかない。きっと、クローンの方も話を聞けば同じ結論に達するだろう。
ここにいた記憶と共に死ぬ事は出来ない。僕にとって大事なことは、あの人に関する記憶だけなのだから。
「────?」
胸を抑える。少しだけ、痛んだ気がした。
>>129 >>130 スフレ
[目をつぶって、されるがままになった時間は、どのくらいだっただろう。怯えた気持ちもあったけれど、たぶん、拒否することも出来た。昔の私なら歯を立てたかもしれない。でも、これはスフレだと思ったら。ぜんぶ大好きだった。
スフレが唇を離す。そろりと涙に濡れたままの目を開ければ、彼の顔はまだ近くにあった。スフレは顎にかけていた手を離す。身体を離す。スフレはひとつずつ離れていく]
[離れて欲しくないのに。初めてのことにまだ戸惑う身体と、混乱する気持ちが、彼に手を伸ばすことを選択できない]
どうして、こんな……。
[傷つけるため?でも、それにしては、いつものように、さっきのように、楽しそうな色が見えなかった。でも、私にはまだスフレの気持ちはわからない。瞳を見ればわかるなんて言うけれど、スフレの瞳は気持ちなんていつだって教えてくれない。彼は最後にやさしく頭に手をのせて、「続きは、ここから出たら」と言った]
続きって、なによ……出たらっ、て
そんなの……
[今までで一番かなしい嘘だと思った。唇を噛んで、スフレに背を向けて、みんなのいる所に走った]
ムースとパーティーの計画を練っていながらも周りの声は耳に入ってくる。
大勢の声を聞くためには必要な能力だったから。
「まったく。空気を読まないのはどっちかしら?しょくいんさん。
わたしは感謝しているのよ?たとえそれが家畜に対する世話だったとしても、最後の瞬間まで、今まで自分に食事と寝床を与えてくれた人に対する気持ちを忘れないわ。その先にあるのが死であったとしてもね。
今回の件は事故だったと言ったわね。それでわたしたちに選択肢を与えてくれているんでしょう?
やっぱりあなたも優しいのね。本来のわたしたちは何も知らずに出荷される予定だったのだとすれば、しなくてもいい手間を引き受けてくれるあなたはきっとそうなんだわ。
少なくともわたしはそれを善ととる。
わたしからそう見えているだけだとしても、それがわたしの主観だから仕方がないじゃない。
あなたは善。もちろんここにいるみんなも、【極上の甘味】とかいう括りのケーキとスフレも善だわ。」
「わたしは言ったわね。『踏み外した道に戻ることは難しい』って。でも踏み外した先に道がないとは限らないでしょう?それがあなたの歩むべき道ならそちらこそが正道、王道。
いいじゃない、『あの時こうしていたら』とか『あの失敗さえなければ』って思っても。
そんなのはパラレルワールドの自分がきっと上手くやってくれているわ。
わたしは『おかしのいえ』に来た時点で、今わたしの元の道を歩いてくれているわたしの並行存在になったんだわ。
あっちのわたしは幸せに暮らしているんでしょう?だったらわたしも幸せだわ。それにわたしの暮らしをわたしが奪うわけにはいかないでしょう?
わたしが今死ぬのはこれがわたしの道だったというだけの話よ。
この二年は楽しかったわ。
思い残すことがあったとすれば、折角クローンがいるのだから、もう少し数を増やしてパーティーやチームスポーツをしてみたかったわね。
残念残念。ちょっとくらいサービスはつかないの?」
[スフレから逃げて、しょくいんさんの部屋に来た。もう何人かは既に起きていて……ほっとするとともに、目的のひとをさがす。今の自分に必要なのは、今まで「冷たい」と、薄情だと思っていた、「博愛主義」「人類愛」、そういったものを知っている人だった]
>>パイ
>>ティラミス
……パイ、ティラミス、起きてるかしら。
……おや、響いた?とほんのり思いながらゼリーに答える。
>>132 ゼリー
「そうだなあ……帰ってきたしょくいんさんが随分穏やかじゃないこと言ってるけどね?
戻らないにしても、向こうの僕は多分うまくやってるだろうから大丈夫だろう。
戻るにしても、こっちの僕はここに来てまだ1年だ。いや、今日生まれたのか。まあハードルは低いよね。
まあ正直なところどっちでもいいんだよねえ?
帰ったら向こうの僕の人生は何の前触れもなく終わるけどそこに心は痛まないし。だって僕だし。
みんなのことを忘れても平気だよ。
あったことがなくなるわけじゃないしね?ちょっと思い出せなくなるだけ。
キミがアップルパイを見て何か思ってくれるなら、それだけで十分だ」
>>キャンディ
皆を救うという目的、存在意義を失った、ただ愛を振りまく壊れた機械は虚無を抱えて壁によりかかっていた。
淀む空気に絶望の波動を感じながらも何も出来ない牧師は自分を呪う。
許してくれる"誰か"を探して目は泳ぐ。
そこに通りかかるのは綺麗な髪を靡かせるサファイアのような瞳の女性。
彼女の視線も落ち着かないでいた。
誰かを探しているのだろか。
「やあ、愛すべきキャンディ、いつもの祈りは済ませたか?」
>>149 キャンディ
「また、愛について、か。みんなよっぽど愛について知りたいみたいだな。」
戸惑い、許しを求めるような表情は俺にそっくりだ。
許して欲しいのはお互い様か。
「答えから言うならYESだ。追い詰めたから愛が届かない?下らない。
俺は俺の心臓飲み込んだやつだって愛してるんだ。
石投げたぐらいじゃ神様もキレねえから、変な後ろめたさは自分の首締めるだけだぞ。」
それに。
「お前は最後まで戦い抜いたんだ。俺はちゃんと見てたぞ。」
「俺はどんな結末を迎えようとみんなを愛す、そう決めた。それでも不安なら敢えて改めて言うぞ。」
誰にでも囁く愛は欺瞞に、廉価に、見えるかもしれない。
しかし、博愛はここに存在している。
誰かが悲しみ、求むなら俺の愛は惜しみなく注がれる。
「キャンディ、愛してるぞ。」
>>154 ティラミス
[へんなひとだと思ってた。デリカシーもないし、神父のくせに口も悪いし。
でも。器も心も自分なんかよりずっとずっと大きくて。
でも。私を見る目の奥になにか同じ揺らぎみたいなものも感じて。私はティラミスに、本当の意味で、初めて笑いかけた]
……博愛主義って、あったかいのね。
愛を求めてる人もそうでしょうけど、愛に疲れた人にもすごく必要なものね。
みんなに均等な愛は、ただ、愛がそこにあるだけで……自分が許されてる気がする。
あなたは、本当に、神の御使いだわ、ティラミス。
無償の愛、そんなメモがあったけど。
ほんとに、その一部だけなら、享受する側の気持ちなら、ちょっぴりだけ、今はわかるの。
くわしいことは、話せないけど。
いま、あなたに出会えてよかったと思う。
ありがとう。私もあなたを愛してるわ。
[スフレへの『大好き』とはちがう、「愛してる」を、尊敬する神父様に告げた]
>>133 シュー
《はらりと落ちる涙が見える。
自分の視界からの見て、彼女の顔は能面のようだ。だが、その声からそれは違うと分かる。
シューの言葉を聞いて、ずっと考えていた事に答えが出た。
"彼女は俺とは違う"。
それならば、やる事は────。》
…………どうしたい、か。
ははっ、お前らしい聞き方だな。どうしたいじゃなくて、こうしろ!って言ってもいいんだぜ?
《ケーキの性格をよく分かった聞き方だ。
いつぞやにティラミスに言われた言葉が蘇る。
「罰が当たるぞ」
……そんな事、俺が1番よく分かっているさ。
そっとシューの目尻に手を添え、指で涙を拭ってから微笑む。》
「ええ、僕はこのままクローンに僕を任せます。しょくいんさんにもそう伝えるつもりです。」
7年も技術の移り変わりから離れていた僕より、いまでもきっと僕の子を世話しているクローンのほうが良いだろう。そのほうが、僕の子も幸せなはずだから。
僕はしょくいんさんに自分の意思を伝えてから、再び自室へと戻ってきた。
扉を開けて、ゆっくりと足を踏み入れる。三年間過ごした部屋は、相変わらず生活感がない。
僕はテーブルへとまっすぐに歩み寄って、引き出しからレシピノートを取り出した。
もしも今日世界が終わるなら、僕は親父が作ったスフレチーズケーキがもう一度だけ食べたかった。
僕は椅子に腰をおろして、一枚ずつレシピが書き込まれたノートのページをめくっていった。
[しょくいんさんの部屋で、元に戻ったみんなを見て考えていた。
この部屋にいる私はホンモノ。それは間違いない。でも。私のいない3年間、アンリと過ごしていたのは、別の私。小さなアンリは……4歳の頃に別れた「私」じゃなくて、7歳までの3年間を一緒に過ごした私の方を、本物だと思うんじゃないのかしら]
でも……
[怖くないのかしら。誰かに自分の居場所を譲り渡すことは。私は、ずっと怖かった。極上の甘味に体を取られることが。
と、しょくいんさんへ躊躇い無く返答をする声が聞こえた]
>>160 ゼリー
ねえ、ゼリー。聞こえたのだけど。
こわくないの?元々いた場所に、知らない自分が居るのよ?これからぜんぶ、あなたがやったことも、その、会ったこともない人が、自分の顔をして、上書きしていくの。こわくない?
[一番年上の同居人。彼の答えを聞いてみたかった]
「ダメね!ダメだわ!
わたしが一瞬たりともこの雰囲気に耐えられると思っているのかしら!?ええ、珍しく大きな声を出すわ!声を大にして言うわ!全然ダメであると!
これから長い人生を送る中で事ある毎に拗ねたり落ち込んだり自棄になったりしていたら埒が明かないじゃないの。
前を見なさい、先を見なさい、目の前の壁がなんだっていうのかしら、そんなものは超腕力とか超跳力とか超視力とかなんかそういうのでなんとかすればいいのよ。
それでもダメなら一点集中よ。蟻の穴ひとつでダムが決壊する物理世界なんだから。針一本くらい刺し通せるでしょう。知っているわ、わたしは誰よりもあなたたちを見ているもの。伊達にいつもここに座っている訳じゃないわ。
まったく、お通夜じゃないんだから……ん?あら?しまった、ほとんどお通夜だわ、これ。」
>>166 キャンディ
「何かと思えば。
特に違和感はないよね。多分この体も元々の僕から作ったものだろうし。そりゃ馴染むさ。
どうだろう?そもそも僕が僕を…ああ、僕ジンタっていうんだけどね?ジンタだと思ってる限りはホンモノでいいや。
今の僕としてはそれがホンモノかどうかなんて大した問題じゃないよ。僕がホンモノと思うもの、それが僕にとってのホンモノかな。」
今ひとつ厚かましくなりきれないこの子には掴みづらい感覚かもなあと思いつつ、考えるまでもないホンモノ論を披露する。
「テツガクなら"我思う、故に我あり"だよねえ?
そこいくと外の僕もホンモノな訳だけど!
あはっ!1年もがんばってた外の僕には気の毒だなあ!
でも僕の知らない1年の思い出は独占させてあげるからそれが僕からのお餞別だね」
紙に回答を書いておくかと、ペンをとる。
──クローンと交換しますか?
『はい』
──ここで出会った人のことを忘れたいですか?
『……』
はいと書くべきだと思った。
けれど、なぜだか手が止まる。
『どちらでもいい』
横に書いて、静かに息をついた。
この施設に居られるのも、あとすこしになる。
自室に帰ろうとしたとき、隣の扉が空いているのが見えた。──スフレの部屋だ。
……キャンディが閉め忘れたのだろうか。
一応人がいないか確認してから閉めようと、部屋を覗く。
>>170 パイ
[苦笑する。名前なんて、一番大事な個人情報。さらっとルールさえ破ってしまって、このひとは。こんな所じゃなかったら、きっと出会ってなかったんじゃないかしら]
……そう。
うまく感想が出てこないのだけれど、なんだかホッとするわ。
あなたみたいなひとがいるから、うーん、迷惑するひともいるんでしょうけど、踏み出せるひともいるわよね。
あ、私のことじゃないわよ!一般論よ。
……そうね。自分だけの思い出は、たしかに、自分ひとりだけのものだわ。誰かと触れ合った身体も。
[パイと話して落ち着くのはくやしいのだけれど。どこかでこのひとにも適わないとわかっていて。だから、こうして話を聞く機会があって、よかったなと思う]
……あなた今日はちょっとやさしいんじゃない?
あ!そういえば、一応気づいたでしょ。あなたがいなくなったこと。指名するのはやめちゃったけど。
ほめてくれてもいいのよ?
>>179(続き)
[自分の部屋に戻って、机の引き出しにしまっていたリボンを取り出した。昔集めていたものを持ってきて、ずっとしまったままにしてあったのだ。それから、マカロンにもらったアレンジノートを開いた。丁寧に書かれた彼女の字を見て、涙が出た。もっとはやく、いっぱい話したらよかった。
涙は拭いて、ノートを見ながら、髪をいじりはじめる。うまくまとめられなくて、何度も失敗したけれど、いつも結んでいるゴムと、リボンで、なんとかそれらしくなったと思う。
選んだ髪型は、彼女がいちばん私らしいと書いてくれていた、ふわふわハーフアップ。
大人っぽさをずっと求めていたけれど、今は、今の自分がいちばん素敵に見えるものがよかった。
リボンは、スフレの目とおなじエメラルドのようなグリーンのものを選んだ]
うん。大丈夫。私は、今まででいちばん、可愛い。
[それから、スフレに散々ラクガキをした、あのさくら色のリップを取り出した。髪の毛を1本抜いて、表面を切るように均した。それから、すっ、と唇に走らせる]
>>173 ケーキ
「…表情なんて…見えないじゃないっスかぁ…!」
[それとも、無表情でも不細工な顔だと思われるくらい泣いていたのだろうか。
こんな時でもケーキらしい態度に、余計に涙がこみ上げる。
そして、頬を伝った涙を舐め取られ、シューは瞬時に顔を紅潮させる。
でも、涙も止まらなくて、もう何がなんだか分からない。]
「うあああぁーーん!ケーキが舐めたあぁーーー!」
[もはや言動すらも怒っているのか嬉しいのかも分からず、シューはひとしきり泣き喚いた。
…十数分経ってようやく落ち着いてから、ケーキの続く言葉に応える。]
「やりたい事…自分がやりたい事を言ったらケーキは許してくれるっス…?」
[もはやシューの性格なのだろう。やりたい事1つ挙げようと思っても、やっぱり確認を取ってしまう。彼と自分の事だという事を案に告げつつ。
許されるなら…一緒に…。]
>>189 ケーキ
[息を整えて、彼に自分の願いを伝える。それでも、緊張で声は震えた。]
「…自分は、ケーキと一緒に…生きたいっス。
今、ここにいる…自分と、ケーキで…一緒に、外で、生きたいっス…!」
[自分の言葉を、途切れ途切れになりながらも、しっかりと告げた。
4年と言う空白の期間を、外の世界の自分達がどのように過ごしたかなんて分からない。
さらに、しょくいんさんの手によって『おかしのいえ』での思い出は全てなくなってしまう。
一緒に生きる願い自体が、控えめに言って現実的ではない事はシューにも分かっていた。
ただ、それでも、想いが残るなら。
互いに想い合っているなら、記憶が無くても、またやり直す事は出来るのではないか。
そんな一縷の望みに賭けた、願いだった。]
>>クレープ
「クレープさん、いらっしゃるっスか?
…その、今がデリケートな状況と言うのは重々承知で聞くっスけど、クレープさんはしょくいんさんの選択肢…どうするっス?
そして、『イエス』なら…、外に出たなら…何をするっス?」
[各々が『おかしのいえ』で最後の決断をしていく中、シューはクレープを訪ねていた。
あの時、彼が語った『レディ』…。
『おかしのいえ』から出たならば、彼はどうするのだろう。彼に宛てられたメモの答えを、クレープ自身は答えていなかったな、と思い聞いてみる。]
>>175 キャンディ
「女の子は厚かましくて困るよねえ?
そこらの男捕まえて壁打ちして勝手に納得して。
フォーク落としたとか髪型が決まったとか、何でもないことで自分が踏みとどまらなければいけないとか応援されてるとか思えちゃうんだからさ。
それぐらい厚かましくなれるなら、うん。キミはいくつだったっけ…まあとにかく僕よりは年下だ。
どうするべきか気にしすぎるとさあ?早く大人になっちゃうよ?
……ああ、そういえば。
僕が僕じゃないとわかって、うん。そうだね、えらいえらい。
まあ、それはもう忘れていい。わーるいお兄さんから僕が余計に恨みを買いそうだ。ひゃっこわいこわい」
キャンディの鼻の頭にびた!と人差し指を押し当てて「シー」すると、
「さ。いってらっしゃいませ」
と、キャンディを送り出した。
>>スフレ
[スフレの姿を見つけた。髪を少しだけ触って、1歩ずつ彼に近づく。できるだけ胸を張る。負けないんだから!]
ごきげんよう。どうかしら、私……えっと、頑張ったんだけど。大変だったのよ、この髪にするの。
[近づくたびに、今日のキスを思い出してどきどきした。でも、もう逃げない]
……私、決めたわ。
私ね、帰らない。ここで終わりにする。
それと。やっぱり、私、あなたが大好きよ。
あなたがうそつきでも。3年前のあなたと違う身体でも。
あなたのこと、何も忘れたくない。
[問1.クローンと交換しますか?その答えは、いいえ]
>>126 チョコレートさん
「………ありがとうございます…」
差し出されたハンカチを受け取り、そっと涙の跡を拭い去る。
顔を上げれば、微笑みを携えた彼がいて。
無理に作ったそれで無いことが、どれ程マカロンの心を救ったか分からない。
とても優しくて、眩しくて、暖かかい。この笑顔が、好きだと思った。
「……このあとのお話、ですか?」
全てが終わったあとのこと。想像していなかったわけじゃない。けれど、具体的にどうするべきなのかは何もわからなかった。
肝心な"しょくいんさん"は消えたままだし、施設の外に出ようにも鍵が掛かって開かないだろう。助けが来るまで待つと言っても、外との連絡手段は何も無い。
「いいえ、私はなにも……
チョコレートさんはお聞きになられたのですか?」
しかし、彼は知っているような口ぶりだ。誰かに聞いたのだろうか。…いったい、誰に?
いつかのように首をこてんと傾けながら、彼の返事を待った。*
……日記、読ませてもらったから!あなたが、私のことを見てたのは知ってるんだからね。
わかってるわよ!好きとかじゃないんでしょ!……観察日記みたいな意味でも構わないもの。特筆することの無いあなたの日常に、入り込めたなら勝った気分よ。
それに、あなたは嘘ばっかりでできてるんじゃないもの。私は、いつもあなたに騙されるけど。あのレシピノートも、『ウィンター』への気持ちも、『ホンモノ』でしょ。読んだらわかるわ。あなたの中には、ちゃんと本当がある。
どうしたら、あなたの本当がわかるか考えたの。でも、あなたは嘘がうまいんだから、やっぱり騙されちゃうと思う。私、全部まちがえたもの。
なら、私は、何回騙されたって。あなたを信じたらいいのよ。簡単なことだわ!
……あ、でも、やっぱり騙されたら怒るわよ?私はティラミスじゃないんだからね。
>>195 ケーキ
「……ふふ」
[笑みが零れる。そんなの、今のシューには愚問だった。
むしろ、ケーキが自分のクローンに対してどう考えているかがシューにとっては問題だった。]
「自分は"ここにいるケーキ"に『生きてほしい』って言われたっスよ?
…なら、自分の複製の一人や二人、笑ってさよならしてもらうっスよ。
…だから、自分も"ここにいるケーキ"と『一緒に生きたい』っス…ダメ…っスか?」
[良心が痛まない訳ではない。シューにとってはこんな我儘も初めてだった。
でも、それでも、好きな人から受け取った想いと、自分の心の両方に目を背ける事は出来なかったから。
真っ直ぐに、ケーキの方向を見据えた。]
>>196 スフレ
「そうだね、君と話すのは、これが最初で最後だね。……ああ、君にとっては違うのかな? まあ細かい話はいいだろう」
同じ記憶を持っていても、何一つ変わらなくとも。違う個体である、という事実を知ってしまったらもうそれは別人なのだと思う。少なくとも、そう思わなければ選べない。
「──そうか」
『君』はそっちを選んだんだな。
「へえ、それは楽しみだな。分かった、その時はスフレも一緒に買うとしよう」
この施設での記憶は、全て消去される。だから、僕は彼と自分のあいだで交わされた約束を果たす日は無いのだろう。
「そろそろ僕は行くよ。邪魔して悪かった。……それじゃあ、また」
踵を返す。縁があったら、また来世。
>>キャンディ
チョコレートと別れて、ずっと大切にしていたレシピノートとの決別も済んだ頃、再び部屋に来訪者が現れた。……今日はよく人が来る日だな。
振り返るとキャンディが立っていた。いつも二つに結んでいる髪をハーフアップにして、後ろから緑色のリボンを覗かせている。
「へえ、よく似合ってるじゃないか。とっても可愛いよ、キミをおかしのいえに閉じ込めておくのはもったいないくらい。」
僕はふっと目を細めて、この施設で毎日女の子に──彼女にそうしていたように、素直にその髪型を褒めた。
実際、とてもよく似合っていると思ったから。
それから彼女の話を黙って聞いていた。彼女が考えていること、これからのこと。
最後まで聞いて、しばらくの間唇を閉ざす。
>>パイ
[歩いていると、パイの声が聞こえる。
ふらふらと、自由に住人達に餞別の言葉を送っているようだ。]
「こんにちはっス、パイさん!
…なんだか、物腰が柔らかくなったっスね?
『おかしのいえ』から出られる〜ってちょっとテンション上がってるからっスかね?」
[たははと笑いつつ、彼と世間話を試みる。
クッキーの死体を共に見た時は、見え隠れする執着の色に怪訝な顔をしたが、今はすごく自然だった。]
>>199 シュー
《静寂が空間を占める。
俯いて考え込むような素振りを見せた後に、シューに背を向けて紙を2枚。サラサラと書き記す。
それを書き終えると顔を上げ、優しく微笑んだ。》
…………分かった。俺の負けだ、シュー。
一緒に生きてやるよ。それがお前の願いなら。
《そう言って、しょくいんさんの元へ行く。》
>>しょくいんさん
……おい、ボウズ。これが俺の答えだ。
もう1枚はあんたの感謝状だ。
0時になったら読めよ。それまでに俺はここから出ていく。
俺の目の前で読まれんのはウゼーからやめろ。
《1枚目
問1.クローンと交換しますか?
はい
問2.問1をはいと答えた方のみ
ここで出会った人間のことを忘れたいですか?
いいえ》
セピア調の記憶フィルムがカラカラと回る。
近所が騒がしい。今日はお祭りでもあったのだろうか。
1人薄暗い厨房で笑う。
僕は真っ赤なラズべりーを生地に練りこむ。
扉をノックする音が聞こえてくる。
1人歌う。薄紅色のクリームをホイップしながら。
誰かが僕に話しかけている。
1人回る。クルクル回る。ソフトに仕上げたクッリー生地をオーブンへ。
『レディ。僕は貴方を忘れない。
これからもいっしょに。』
歓喜の声を上げていた。
>>197 マカロン
彼女の表情に、きっと何も知らないのだと気づく。これから、彼女の心に罅を入れなければいけない。けれど、その役目があの竜のような男でなくて良かったと思った。ルビーの瞳は、再び潤んでしまうだろうか。
「ああ、……何から説明するべきかな。まず、しょくいんさんが帰ってきたんだ」
この施設のこと、クローンのこと、それから、僕達に与えられた選択肢。一つ一つをできるだけ柔らかく、けれど事実が伝わるように話した。
「……だから僕達は選ばないといけない。全てを忘れて日常に戻るか、ここで記憶と共に死ぬか」
そう長い時間は、残されていないだろう。じっと、彼女の顔を見つめた。
>>キャンディ
「俺の中には本当がある、か。……はは、言うね。」
その言葉を、もっと早く聞いていたら結末は変わっていたのだろうか。
あるいはもっと違う出会い方をしていれば。ここがおかしのいえではなかったら。僕が極上の甘味じゃなかったら。
でも、あとの祭りだ。
僕はキャンディが手に持つ紙をひょいと取り上げて、そこに記入された内容に目を落とした。
そして、呆れたようにじとりと半分に目を細くすると、視線をキャンディにあげて、その額を軽く指で弾いた。
「バーカ。そんなことされたって全然嬉しくないんだよ。……俺のことを忘れたくないって、そもそもここでおまえが死んだって、どうせあっちのクローンは何も覚えてないだろ。」
「それともなに? おまえの好きってその程度だったわけ?」
僕は腕をこまねいて拗ねたように言う。
「少女漫画のヒロインぶってるくせにさ。だったら最後までヒロイン突き通して、“記憶を操作されてもいつか必ず思い出して貴方の元へ行くわ”とか言ってみせろよ。」
「僕がキミを最後まで生かしたのは、キミを殺すためじゃない。」
「悪い男に騙されて、乙女心をぐちゃぐちゃに踏み躙られて、傷付きながら、苦しみながら、それでもこれからずっと生きていかなくちゃならないさまを見たいんだ。」
「だって言うのに、キミが死んだらここまでした意味がないだろう?」
>>201 スフレ
>>215
[スフレは、以前のように……ケイハクに私を褒めた。ちょっぴり物足りなくて、少し口をとがらせた]
……そう。いいのよ。べつに、これくらいであなたが私を好きになるはずないもの。わかってるわよ。
[私の気持ちを語っている間、スフレは静かに聞いていた。それから、急に持っていた紙を取り上げられる。どきんとするけど、もう言ったことだから。胸を張って立っていると、彼は呆れたような顔で、私の額をぱちんと指で弾いた]
いたっ、なっ、なにするのよっ
赤くなっちゃうでしょっ!
[片手で額を押さえて、スフレをにらむ。涙目になってるけど、これは痛かったからだもの]
……勘違いしないでよね。
あなたの嘘はわからないって言ったけど、わかってるんだからね。
あなただって、ここに残るんでしょ。
うそつきの「今度」なんて、一番信用できないことくらい、さすがの私もわかってるわよ。
……どうせ向こうに戻ったって、「あなた」には会えない。
……私だって、ニセモノみたいなものだわ。
私が元々居た世界にいる、新しい、私の知らない私は、私にとってはニセモノだけど、私の小さな弟にとっては、そっちが本当の私。
でもね。
向こうの私も、きっといつか、向こうのあなたに恋をするわ。
ぜったいよ。運命だもの。私、ぜったいあなたに好きになってもらう。そして、幸せになってもらう。
……うらやましくなんてないわ。
あなたとここで出会ってから、今日までの思い出は、私だけのもの。向こうの私は知らないもの。新しく、最初から思い出を作ってくれたらいい。
ここであなたを好きになった気持ちは、私だけのもの。
だから……私は、今日、あの変な……えっと、キス?キスなの?あれ……をしたあなただけでいい。
……これから外に行くって言うなら、ついていくだけ。私は「あなた」がいいの。
あなたのためじゃないわ。私は、私の好きを大事にしたいの。
……甘えたっていいでしょ。最後くらい。
甘えさせてよ。
[ぎゅっ、とスフレの腰に手を回して抱きついた]
>>208 チョコレートさん
「………しょくいんさん……が?」
それならば、この施設で起こった出来事を伝えなければならないだろう。それに、あの粘土のことや、極上の甘味とは何なのか、尽きない疑問を投げ掛けねばと。そうすれば、全ては解決するはずだ。元の暮らしとは言えないだろうけれど、治療だって再開できる、そう考えていた。
────それなのに。
チョコレートは、ひとつひとつ丁寧に、ゆっくりと、何があったのかを話してくれている。きっと彼女の為に言葉を選んでくれているからだろう。
…けれど、優しい口調だとしても、伝えられている真実は残酷で。彼女の顔から徐々に笑顔が失われていく。
──僕達は選ばないといけない。
最後の言葉が耳に届いた瞬間、涙が堰を切ったように流れ出した。
「………そんな……そんなことって……」
残酷な選択肢。
生きるか死ぬか。そんな単純な話ではなかった。
「……私は、こうして……チョコレートさんとお話したこともっ………皆さんと過ごした日々も……私の犯した罪すらも、忘れてしまうというのですか……っ」
嗚咽混じりの言葉を、全て目の前の彼にぶつけてしまう。そんな事をしたって、何の意味も成さないことは分かっている。ただ彼が苦しくなるだけだと分かっている。けれど、あまりの出来事に感情の抑えが効かなくなっていた。
「…………私は………わたくし……はっ……」
それでも、選ばなくてはいけない。
時間はもう、残されていないのだから。
「わたくしは……忘れたく、ありませんっ……
けれど、パパとママの元に……帰りたい……」
涙が止まることはない。
彼から借りたハンカチは、涙でぐっしょりと濡れていた。*
>>217 キャンディ
「運命だなんて言葉を軽々しく使うなよ。
じゃあ、俺がここにくるのも運命だったっていうのか?……キミと恋をするための布石だったって?
僕に才能がなかったのも、兄貴が死んだのも、味覚がなくなったのも、誰かに食べられるためにここにぶち込まれていたのも、全部運命なのかよ。」
キャンディの話を受けて、僕は眉間に皺を寄せていつもより低い声で吐き出した。
「……だったら、好きにすれば良いよ。僕はいじめがいのないやつには興味ないんだ。
いちいち生きるだとか死ぬだとか、言いに来なくていい。」
半分は本音で、半分は嘘だった。
僕はキャンディをふたたび押し返して拒むと、彼女に背を向けた。
>>221 クレープ
「クレープさんもここを出るっスね…。うん、『レディ』が気になるなら当然の判断っスよね。
これは失礼したっス!」
[きっと彼の中の行動基盤の中心は『レディ』で、彼を救えるのはどのような形であれやはり『レディ』なのだ。
それはクローンでもそうでなくとも変わらないのだろう。
そして続く彼の言葉に少し首を傾げる。
一段階上がった声のトーンは、あの時と似た声音。]
「…何か嫌な夢でも見たっスか?そんな時は楽しい事を思い浮かべるっスよ〜。
パティシエって言ってたっスけど、得意料理とか何かあるんスか?」
[何か彼の気でも紛れないか、彼との思い出話の記憶を探りながら聞いてみる。]
>>222 スフレ
[精一杯の叫びは、虚しく散ったらしい。スフレは、また見たことの無い顔で、聞いたことの無い不機嫌そうな顔で、私の「運命」を否定する。流石にショックだった。こんなに届かないものなのかしら、私の本気]
スフレ………
[涙で視界が歪んだ時、スフレに押されて、引き剥がされる。彼が私に背を向ける]
……やだっ!!
[私は、やっぱりスフレに後ろから抱きついて、しがみついた]
やっぱりやだ……スフレとじゃなきゃやだ。
わかってるわよ。私はあなたから見たら子どもで。泣き虫で。なんにも知らなくて。おもちゃなんでしょ。
わかってるわよ……わかってる……。
……スフレは……私にはもったいないの、わかってる……でも、がんばっ……がんばって……私……
>>150 しょくいんさん
「しょくいんさん、こんばんはっス。
…回答をしにきたっス。
1つ目の問には【はい】
2つ目の問には【いいえ】
でお願いするっス。
…お手数お掛けするっスが、よろしくお願いするっス。
あと、…今までお世話になりました、っス」
[彼が自分達の事を売り物としてしか見ていない事は、吐き気を催すものだった。
しかし、知恵ある者として、身の回りの世話をしてくれた事には感謝しなければならないだろう。
これから放逐する家畜に「育ててくれてありがとう」なんて言われる飼育員の気持ちとはどのようなものなのか分からないが。
シューは礼儀として、しょくいんさんに頭を下げた。]
>>220 マカロン
彼女の顔が陰っていく。
「──そうだね」
瞳からはいくつもの雫が溢れ、ハンカチのしみを広げていく。気丈で気高い彼女は、けれどたった十九歳の少女だ。
「忘れることが、僕達にできる贖罪なんだよ、マカロン。」
僕は一つ嘘をつく。
……あの人以外の全てがどうでもよかったはずなのに、彼女に生きてほしいと思ってしまった。僕の記憶から彼女が消えても、偽物ではなく、本物の彼女に。
「きっといつか、君はこのことを思い出すだろう。その時まで、君は全てを忘れて幸せに生きるんだ」
僕はためらった後に、彼女の肩に手を伸ばした。彼女の肩を抑えて、顔をぐっと近づける。甘い香りがした。濡れた赤い瞳に僕が映っている。
「──君ならできるだろう?」
>>219 パイ
「あー、えーと、そうっスね!たはは」
[身体が戻った事も喜ばしい事ではあるが、もっと別の理由でうきうきしていたシューは、パイの発言に乗っかる事で言及を避けた。]
「自分も、出る事にするっス!山っスか…自分登ったら遭難しちゃうっスからエスコート役がいるっスね…?
でもまだ出る事に関しては色々と不安は残ってるんスよね…。
…自分達は記憶を操作されて放り出されるっスけど、取り戻す事はやっぱり期待しない方が良いと思うっス…??」
[彼の朗らかな声は、本当に自由で自然とシューからも緊張感や不安が取り除かれる。
その事に内心感謝しながら、シューは話していた。]
「ここから出たら…そうっスねー、目の治療に専念するっスかね?
完全回復とはいかないかも知れないっスけど、見たい…えーと思い出の景色があるんス!
パイさんみたいに感動をいっぱいに感じ取る為の準備っスね!
…ナニ…?ナニ…ってあの…?い、いやいやいやいや状況的にやっちゃダメっスよ!何を言ってるっスかパイさん!!!!!」
[出たらどうしたいか。そして…彼のもう一つの質問に対して微妙に知識として知っていたシューは赤面しつつ、回答を遮った。]
>>223 シュークリーム
彼女に投げかけられた言葉に、僕の中の記憶が映像としてフラッシュバックする。
「ラズベリーのムース…。ショートケーキ。クッキー。
真っ赤な…あぁぁぁぁ…。」
壊れたように言葉を吐き出す。それでも、投げかけられた言葉に返そうとする。
「僕が、僕がトクイナモノは…。僕は完璧だ僕は何でも作れました。どんなものでも作った…」
苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。助けてくれないかレディ。僕にはやっぱり君がいないとダメなんだ。君がいないと、もう完璧になれないんだ。
視界がぼやける。目の前にいたのはレディ・シュークリームのはずが、いまはレディと重なりあって見えてしまう。『楽しいことを思い出すっス』そう話す彼女の表情がそう見せているのだろうか。
あぁ…そうだ、レディと笑いあって作ったのは
「あぁ、そうでしたね『レディ』。そんな何でもじゃなかったですね。手の込んだ何かじゃなく、思い思いに作るクレープが好きでしたよね。」
僕は目の前の彼女に重ねるように言葉を落とす。
>>ドーナツ >>ムース
[共同スペースから聞こえてくる楽し気な声音に釣られるように、シューはドアを開く。]
「一体何の騒ぎっスかー?」
[スペースに一歩足を踏み入れると、かさりと足元に何かがある事に気づき、拾い上げる。
長方形の紙は上端に丸い穴が繰りぬかれており、なんとなく短冊ではないかと予想する。]
「七夕の準備でもしてるっスか?
邪魔にならないなら、少し居ても良いっスかね??…何か自分が手伝える事があるのなら手伝うっスけど………」
[手探りでは出来る事も限られているが、誰かを楽しませる為に何かをするという行為自体は嫌いではない。
何か力になれればと思って、部屋の中で作業しているだろう人物に声を掛けた。]
>>225 キャンディ
「…………やめろよ、そういうの。」
うしろからまた抱き着かれて、僕は足を止めてそれに煩わしそうに声をあげた。
「別に止めてないだろ。好きにすればいいって言ってるじゃないか。死にたければ死になよ、僕との美しい思い出を胸に抱えてさ。
それで、あー……なんだっけ? あっちのクローンの僕たちが、運命的な出会いを果たして恋に落ちることを願っていればいいんじゃないかな。」
はっと右の頬にだけ笑みを浮かべて、肩を竦める。
「僕は、」
「……僕はさ、もう十分なんだよ。ケーキと一緒にやりたいこともできたし、キミがずたずたに傷ついた顔も見れたし、自分のことも思い出せたしさ。
だから、そんなに僕が好きなら向こうの僕にしてって言ってるのに。たかが三年間の記憶だろ。僕を愛してくれるなら、あっちの僕のことを救ってくれよ。」
>>228 シュークリーム
「ああ、まーた間違えちゃった。
つい見えてる前提で話しちゃうよねえ?
キミに今の顔を見せてあげられないのがザンネンだね。過去イチだよ?うん。盛ってないない。いや、これまでそんなにキミの顔マジマジ見たことないけどね?」
急に顔を赤らめるのを見て、不思議そうに首を傾げる。
「んー?ナニ想像してるのさあ。
意外と、いや、そうでもないか。キミ素質あると思うからね。僕的には。
そうだなあ……僕、ここから出てもとりあえず山には登るけど、出る前にも登りたいよね?
例えばココとか。
前から、いやー名山だなあって思ってたよ」
ひと呼吸起き、
「制覇!!…ってね?」
>>パイ
館内を歩きまわり、あのカレを探す。
残り時間は少ない。誰がどのような選択をとるか、僕にはあまり興味のないことだが、彼がどうするのか興味がわいた。
「また誰かに手を出していそうな気がしますね。」
そう零し、さらに施設内を歩く。
しばらくして見つけた彼に声をかけてみる。
「こんばんは。」
そう声をかけ、彼に近づく。
>>230 シュークリーム
「あら、シュー。昨日まで一緒だった気がするけど何となく久しぶりな気もするわね。不思議。
流石シューね、あなたがいてくれて本当によかったわ。わたしたちは今パーティーの準備をしているの。明日にはみんなバラバラになってしまうでしょう?それぞれの道を歩き出す前にぱーっと盛り上がればなんかこう、いい感じになるでしょう?
準備は順調よ、ムースが今ドレスを繕ってくれいているし、わたしは飾り付けの量産体制に突入しているわ。
シューにも重大な役目をお願いしようと思っていたのよ。
あなたには『歌』を歌って貰いたいの。出来るかしら?」
>>229 クレープ
「…クレープさん?」
[彼の声音が、色が混じり合っていた。
赤、紫、緑、青、黒…綯い交ぜにされて渦巻いている色はしかし、互いの色を食い合う訳でもなく、ただそこに混沌をもたらしていた。
彼の言動がおかしい事に気づいて、1歩前に進む。]
「クレープさんっ?大丈夫っスか──」
[その後、彼の色が凪いだ。
ただ、その色にシューは今度こそ閉口する。
親愛を告げる、愛しい者に向ける声音。
つい先ほどケーキからも感じた色。あの時は心地よかったが、今は…。
彼の混沌の扉を開けてしまった事に、内心冷や汗の止まらないシューは、慎重に言葉を選ぶ。
彼の『レディ』は完璧な彼をどうしたか…。]
「…あなたの大好きなクレープに、『あなた』は見つけられた?」
>>232 パイ
「そ、そんなにっスか…ちょっと気を付ける事にするっス…」
[両手を頬に当ててぐにぐにと整える。
そこまで頬が緩み切っていたとは…。]
「だ、だってそのあのっ…え、自分の勘違いっスか?
え?素質って…素質って…???何のっ??
…へ…出る前に山っ…?」
[彼のあちらこちらへと飛び回る話題に追いつくので精一杯だったシューは傍から見ればとても無防備だっただろう。
唐突に自分の胸を鷲掴みにされる感覚に、シューは「ひゃっ…!?」と声を上げる事しかできなかった。]
「………パイさん!!!!」
[慌てて一歩距離を取り、両腕で胸を両手で守るように隠す。
流石にこの行動をされたのは予想外過ぎて、シューは彼に怒りの声を上げた。]
>>231 スフレ
[スフレはやっぱり冷たい声を出す。私の全部が拒否されていると思って、涙を止められなかった。違うもん。本当は怖いもん。死にたくないもん。でも、あなたがいない方がいやだもん。
でも、こんなこと言っても、もう届かないことはわかっていた。だから、叫び出したいのをがまんして、唇を噛んだ]
……そう。
あなたは、もう満たされてるの?救われたの?
じゃあ、なんで私にそういうの?
うそつきのくせに、なんで今それを言うの?
私が向こうのあなたを救えると思っているの?
なら、あなたは私に価値があるって思ってくれてるってことでいい?
[どうすればいいんだろうって考えているうちに、だんだん腹が立ってきた。ほんとに自分勝手!めんどくさい!]
スフレのばか!
ぜんぜん満足なんてしてないくせに。
ぼろぼろのノートを大事に持ってたのは、いつかまた作りたかったからでしょ。もう作れないのに、十分なわけないでしょ。
ばかね。女の子の3年間は、他に例を見ないくらい大事なんだから。なんにも知らないんだから───!
>>234 ドーナツ
「あ、ドーナツさんとムースちゃんが準備してたんスね!
…自分もドーナツさんとお話しするの久しぶりな気がするっスよ!」
[本当に久しぶりな訳だが、ドーナツに詳しく説明をしてもきっと『面倒な話は私にはパスよ!』と言われそうな気がしたので、そっと乗っておくことにした。]
「ふむふむ、それはいいアイデアっスね…!自分で良ければ手伝うっスよ!
飾りつけと、ドレスと…後は料理とかっス?自分、しょくいんさんに頼んでみるっスね!」
[手が離せない彼女の代わりに、自分が話しに行けば効率は良いだろう。シューは共同スペースを後にしようと立ち上がった所でドーナツの続く言葉を聞いて、振り返った。]
「…歌っスか?…聖歌で良ければ少し心得はあるっスよ!任せて下さいっス!」
[少しだけ、あの時の苦い思い出を思い出して声音に元気がなくなりそうになるが、悟られないように無理やり明るく振舞った。]
……さっき泣いたのは無しよっ!!
スフレは私にもったいない、なんて撤回なんだから!
私があなたを必要なように、あなたも私が必要なんでしょ。
いじっぱり。
何を言われても離れていかないのは私だけなんだから、大人しく私にしなさいよ!!
[ごしごしと手の甲で涙を拭いて、腰に手を当てて言った。困ったおとなだわ。ううん、大人だと思っていたからダメだったのね。私がしっかりしなくっちゃ]
>>227 チョコレートさん
頭の中がぐちゃぐちゃで、思考が上手く働かない。いつものように、淑やかに振る舞うことも、気丈に振る舞うことも、今の彼女にはできそうなかった。
彼の吐いた、一つの嘘。
忘れることが贖罪になる、そう言っていた。そんな優しい嘘にだって、気が付くことが出来ないまま。
「私には、そんなこと……っ」
できるわけがない。ここでの記憶をなくして、のうのうと生きていけるわけが無いと。
駄々を捏ねる子どものように、首を振って否定した。それ以上、何も聞きたくなくて。チョコレートから目を逸らす。
…それでも、彼は言葉を紡ぐ事をやめはしなかった。
いつか思い出すその日まで、全てを忘れて幸せに生きろと、そう言って。
肩をぐっと掴まれる。思わず顔を上げてしまい、彼と視線がぶつかった。
「………………っ、」
互いの息がかかる程の距離。
彼の瞳にはマカロンが映り込んでいる。
「わた………くし…は………」
わかっている。彼女の願いは、答えはひとつだ。
…そろそろ、決意を固めなくてはいけないのだろう。
「…………いいえ、いいえ。
私なら、大丈夫…。えぇ……きっと…」
言葉にしようとすればする程、声が震える。
それでも、伝えなければならないから。言葉にしなくてはいけないから。
>>スフレ、キャンディ
「楽しそうですね」
「最後からですかね」
「そうだ。せっかくですし、『スフレ』にも同じことを問いましょうか」
しょくいんさんはスフレに
『愛とは何ですか?
A.全てを超える可能性
B.独りよがりな欲望』
と可愛らしい丸い字で書かれているメモを渡した。
>>248 クレープ
[彼の言葉にうんうんと頷きながら、話を続ける。
…確か『レディ』は彼と喧嘩をしながら…]
「そう…あなたはああ言えばそっちに、こう言えばこっちにと極端だったわね…。
…何時までも、私に甘えてたらダメなのよ?
私が居ないと、何もできないような腑抜けなのかしら、あなたは?」
[彼の中で『レディ』が大きな割合を占めているのはシューにも分かっていた。
それでも、今彼の近くに『レディ』はいない。
彼の中でどうにか折り合いが付ければ…。
一歩間違えれば彼の神経を逆なでしてしまう恐怖感を背に張り付けながら、シューは語りかけ続けた。]
「あ?」
「…………」
声がする方を振り向けば、そこにはしょくいんさんがいた。
差し出されたのはシュークリームの身体を奪った時に拾ったメモだ。
「はは、僕に聞くのかよ。……そんなの僕が知るかよ。……でも、そうだな。愛は全てを超える可能性なんて嘘だと思う。」
「分かり合えることなんてないんだ。現にこうやって僕たちは、自分の思いを押し付けて。結局愛なんて、独りよがりなものなんだ。」
>>シュークリーム
虚ろな目の僕は既に彼女を正しくは捉えられていない。
目の前の『レディ』が僕に語りかけてくる。
でもその話し方は少しだけ違くて、その違和感に僕は気が付く。
「”僕は外に出て、貴方に会いに行きますよ”レディ。貴方がいないなんてあり得ませんから。」
幻の先を見るような視線を送り、僕は言葉を投げかけていた。
「だから、ありがとう。レディ・シュークリーム。”やることが決まりましたよ.”」
意識を戻し、僕は彼女へお礼を告げふらふらと廊下を歩き始めた。
《時は来た。日付が変わる、0時。
律儀なボウズの事だ。2枚目の紙を開いている事だろう。
そこに書いてあるのは。》
2枚目
※1枚目の紙に書いた事は撤回する。
こちらを適応してくれ。
ケーキ
問1.クローンと交換しますか?
いいえ
しょくいんさんに紙を渡して眠りにつく。
…今度こそ、二度と覚めない眠りになるはずだ。
外の俺はどんな暮らしをしているのだろう。
本当に、生きているのだろうか。
どちらにせよ……もう、失われた命は帰ってこない。
死ぬことは怖かった。けど。
もう一度ぐらいなら耐えられる。
後の事は、もう1人の自分に任せよう、と。
共同スペースはがらんどうで、人の気配は随分と少なくなってしまった。僕は人生をもう1人の僕に預けることにして、そして僕自身の幕引きを考えていた。
>>ケーキ
[時間のない中、話し切れなかった人もいたが、出来る限りやり取りをしたシューは、ケーキの元へと戻った。
ある程度記憶が消去された場合の対策を考えたが、やはり確実なのはきっかけづくりだと考えたシューは、ケーキへと話しかける。]
「お待たせっス!自分色々考えたっスけど、互いの事をもっと話す事で記憶を思い出すきっかけを作るのが重要だと思うんスよね!
そこで、また会った時のきっかけと、自分の今一番の興味事を総合して…ええと、ケーキの本名を…その、教えて欲しいっス…」
[名案だ!と話していたが、本名を聞く事に気恥ずかしさを感じて、徐々に言葉は尻すぼみになる。]
「じ、自分はその…島原 芽衣って言うっス。…ケーキはなんて名前っス…?」
「…私、毎日がとても楽しかったんですの。
朝の挨拶も、朝食が何かを当てるクイズも。……ふふ、そういえば、このクイズは正答率ほぼ100%でしたわね。」
懐かしさに目を細める。
日課だったはずなのに、もう随分と昔のような気がしている。
「……あの辛かった日々も、貴方は優しい声を掛けてくださいました。私は、貴方に何も出来なかったのに……」
伏し目がちにそう言って、
「それでも、……不謹慎かもしれませんが、最後まで、貴方が貴方のままでいてくれて、本当に良かったと思っています。」
顔を上げて彼を見た。
「本当に、ありがとうございました。
…私、チョコレートさんのことを……いいえ、きっとこれすらも……」
この施設での記憶は完全に消去されてしまう。だから、こんな宣言なんてしても無駄なのだろうと思うけれど。
それでも伝えたい言葉があった。
「……それでも、それでも。忘れませんわ。
記憶が消えてしまっても。きっと、思い出してみせますわ。」
彼の手を先程よりも強い力で包み込む。
強い強い想いを込めて。強い強い願いを込めて。
「…それに、私、借りたものはきちんと返さないと嘉永に叱られてしまいますの。」
涙でぐっしょりと濡れてしまったハンカチを取り出せば彼の前でヒラヒラとさせて、笑ってみせた。これがあれば、何があっても思い出せると信じて。──そのハンカチすらも、この施設の記憶と共に消えるとは思わずに。
「チョコレートさん。私、貴方に出会えて幸せでした。
本当にありがとうございます。大好きですわ。」
ふふ、と、最後は華やかに笑って、そっと彼の手を離す。
彼女の挨拶はこれで終わった。別れの時はもうすぐだろう。*
一人静かに扉を後にする。
しょくいんさんは、クローンと今の僕を入れ替えると言っていた。
ここに来る前の記憶、【僕の名前もレディの名前も分からない】
その僕が成り代わるのだ。
目元を緩ませ、口角をあげる。
【さぁレディに会いに行こう】そして、今度こそ離れないと心に刻んだ。
>>273 ケーキ
「…えっ外国人!?
日本語すごく上手っスね…って…かわ……。
──ケーキ、なんだかいつもと調子が違うっスよ!
恋人同士になったからってそんな急に優しい事言われたら気味悪いっス!
…でも誉め言葉として受け取っておくっス…ありがとう…っス」
[流石に名前を今呼ぶのは恥ずかしすぎて出来なかったシューは、ケーキからのとても優しげな声音に心地よさを感じつつ、また一つ、彼と再会した時の楽しみが増えた事を喜んでいた。
懸念があるとすれば…自分は彼に釣り合っているのだろうかと言う事だが…。
続く彼の言葉に、過去の記憶を手繰る。]
「何が好きか…っスか?…そうっスね、視力を失う前は絵を描いたりする事が多かったっス。
デッサンとかも自信あったんスから!
目を快復させられたならケーキを書きたいっスね〜…。
…あははっ!ケーキが本を読んでる所、確かに想像できないっス!…でも、絵になると思うっスよ?見てみたいっス!」
>>282 ゼリー
《気ィ狂ってんな。こいつも。
最初から最後まで救いを求めないその姿が自分と重なって────。》
…………あんた、そんなジョーク言えたんだな。
……や、おかしのいえの住人らしくて、それに準じる姿があんたらしい。……ちょっと待ってろよ。
《しょくいんさんの部屋から刃渡り30cmほどのナイフを持ってくる。
両手で柄を握ると、ゼリーを押し倒して上に乗っかった。
そして、心臓を目掛け、一突き。思いっきり、床に突き立てるように刺したナイフはゼリーの胸に吸い込まれるように刺さり、頬に熱い血潮が飛び散る。
断面からはダラダラと溢れ出す血を暫く眺めていたが、それからナイフを引き抜いた。
どこかの小説で見たが、抜いた方が血が溢れて多量出血で死ぬらしい。
その言葉の通り、穴が開いた体から止めどなく血が溢れて、そして──────。》
《ゼリーは、ピクリとも動かなくなった。》
>>241 キャンディ
「そうだよ。いつかまた、お菓子を作りたかった。
あの店でコック帽をかぶって、大好きなスフレを作りたかった。だって僕はこの三年間、それだけを心の支えに生きていたんだから。」
「……でも、それももう一人の僕が既に叶えているのなら、僕に悔いはないよ。これは嘘じゃない。嘘つきは、本当に大切な場面では嘘をつかないんだ。その方が真実味が増すからね。」
軽く肩をすくめてみせて、僕は静かに声を張り上げるキャンディに頷いた。
その先を誰かに言うつもりはなかったけれど、少しのあいだ言葉を選んでから口を開く。
「信じられないと思うけれどさ。この姿は、本当の僕の姿じゃないんだ。
これは僕の出来のいい兄貴の身体。……まあ、その兄貴の身体も三日前に死んだけど」
「それを昨日思い出して、どうしてこんなに大事なことを忘れていたんだろうって、自分でも驚いたよ。」
「──僕はこの事実を抱えて死ぬ。
僕のクローンが何もかも忘れたまま兄貴として幸せに生きていけるなら、その方が“僕”にとっては幸せだからね。」
「でも、一つくらい僕が生きていたっていう爪痕も残しておきたいだろう?
だから、キミには生きていて欲しいんだ。僕が大好きだったキミを。僕がめちゃくちゃに傷付けたキミを。
……何も知らずに幸せに生きて、そしていつかふとした時に“僕”のことを思い出して、もうこの世にはいない僕のために涙を流して欲しい。」
「これが僕の最後の意地悪だよ。それでもキミが聞いてくれないっていうなら、好きにすればいいさ。どうせ死んだら関係ない。」
>>283 シュー
そーだよ。イギリス出身、日本には中学の時に来た。だから、一応どっちも話せる。
……なんだよ、付き合いたての恋人ってこんなもんじゃねーのか?……なんて、俺がそうしたいだけだ。
なあ、名前で呼んでくんねーの?せっかく教えたのに。
《む、と不満げな顔をした後に、シューの頬を軽く抓る。とは言っても、抓るとは名ばかりで痛くはないが。》
絵、か。そこら辺には疎いんだが……お前が描く絵は見てえな。どんなものでもきっと……綺麗だろうから。
うっせ!俺だってわかってらあ。でも、好きなモンは好きなんだよ。
……いつになるかはわかんねーけどさ、図書館とか行こうぜ。飽きるほど見せてやるよ。
《照れくさそうに、徐々に声が小さくなる。からかわれるのは慣れてるが、そんな事を言われたのは初めてで、何となく照れてしまう。》
じっと何も考えずに立ち尽くす。少しすると、立派なナイフを手に帰ってくるケーキを視界に入れて薄く微笑んだ。
ぼうっと、硬い床の上で彼の顔を見上げた。なるほど、あのとき彼女もこんな光景を見ていたのかもしれない。もっとも、僕はこんなに上手に身体を押さえつけることは出来ていなかったけど。
━━━━━痛みが走る。
どうやら、いつのまにかナイフは振り下ろされていたらしい。そもそも痛覚なんて久しぶりだ。 もういちど痛みが強くなって、赤く濡れたナイフの先が見えた。
「ありがとうございます」
そう発しようとした声は、もしかしたら僕の頭の中だけで響いていたかもしれない。そういえば、ケーキさんのお願いを聞く前に死んでしまうな。そうと 気づいたその時には 僕の目の前は黒く塗りつぶされていて
僕は壊してもらえた。放置されて誰にも触られることのない機械ほど悲しいものは無い。僕は、ちゃんと殺してもらえた。
さようなら。
>>285 スフレ
[これでダメならもういいと思った。勝手に、スフレも私の博愛主義に入れようと思ってた。そうしたら、スフレの口から吐露されたのは。意外にも素直な……騙されてるのかもしれないけれど……本心らしい言葉だった]
すてき。あなたはコック帽がとても似合うでしょうね。
見たいわ、私。
大事な場面では、ね……そういうことに、しておいてあげてもいいわ。
[なんだか心は凪いできて、淡々と返事を返した。すると、思いがけない……不思議なことを彼は言う]
……お兄さん、の?
あなた、ここに来る前から、そういう力があったの。
そう……。
[少しの沈黙]
……じゃあ、今日のあなたは、初めて本当の「スフレ」になったのかしら。
お誕生日おめでとう、スフレ。
なによ……言ったでしょ。私、不倫以外は受け入れるって。
>>ゼリー
《まだ流れ出す血を呆然と見る。
床に血溜まりが広がって、靴を濡らし、床を汚す。
握ったナイフを床に放り投げると、ゆっくりと立ち上がった。
俺の視界には彼の顔は見えない。
だが、ナイフを引き抜く時に僅かに聞こえた声音は優しくかったような気がする。
これが彼の心からの望みであるのなら、よかった。
そして、この体の俺も……人を殺したのだ。
人に見られると色々と厄介なので、そのまま自室に戻って服を着替える。
血に濡れた服はクローゼットの奥に押し込んで隠した。》
>>287 ケーキ
「はえー…ケーキハイスペック…っス。
……そんなに甘々でいいんスかね?ケーキがしたいって言うなら…」
[そう言いながら、隣にちょこんと座りそっと彼の手を握る。]
「…えぅ…?は、恥ずかしいっスのに…。
………セシル…これでいいっス?」
「セシル…が満足できる絵を描けたらいいっスけど…そんなに言われるとちょっとプレッシャーっスね…たはは。
良いと思うっスよ?そんなセシル…もギャップ萌え?って奴で好きっス!
…図書館っスか、そしたら尚更目を治さないといけないっスねー…!
ふふ、楽しみがまた一つ増えたっス!」
[まだ彼の名前を呼ぶのに鳴れていないシューは、呼ぶ度に一拍置いてしまう事に内心苦笑いしつつ、彼を握る手に一層力を込める。この時間が一生続いたら良いのに。
…いや、また外で絶対に会って、その時にまた話そう。そんな決意が、いっそう固まった。]
>>286 スフレ
……あなたって、本当にがんこ。
わがまま。うそつき。
[それでも。私は、ちゃんと聞いていた。さっき、愛についての質問で、しょくいんさんに『僕たち』と言っていたのを。いま、『大好きだったキミ』と言ったのを。もうそれだけで、十分だった。それが欲しくて、それがあれば死ねると思った。でも。
涙がまたポロポロ出てくる。止まらない]
ずるいんだから。
こんな時だけ、好きっていって。
でも、信じるもの、私。あなたは私が好き。それだけでいい。
いいわよ。最後まであなたの思い通りになってあげるわ。
[覚悟を決めたつもりだったのにな。スフレの机につかつかと歩み寄って、その場にあった筆記用具で、しょくいんさんに提出する紙を訂正する]
[問1.クローンと交換しますか?
はい
問2.問1をはいと答えた方のみ
ここで出会った人間のことを忘れたいですか?
いいえ
そして、それを彼に突きつける]
……はい!これで出すわ。安心して?もう変えないから。
……私、ずっと「あなた」を覚えてる。
だから、「あなた」は私だけを愛してよ。生まれたばっかりの本当のスフレ。……お兄さんの身体でどういう恋愛経験があるかは知らないけど、あなたには私だけよ。
……あなたにだけ、教えてあげる。
私の名前は、フローレンス・フレーズ。
好きな人の名前くらい、覚えててよ?
長い名前だけどね!
[涙を流しながら、笑いかけた]
あなたの名前も教えてよ。いいでしょ。そのくらい!おみやげよ。
「僕は……、僕だって何もしてないよ。それに、本当のところね、変わらない君に安心感を得ていたんだ、ずっと」
気休めが、表面ばかりのやさしさが、それでも少し彼女の心を救ったのだろうか。僕はゆっくりと瞬きをする。
握られた手に力が篭る。
「そうか、なら……、その日を楽しみに待っているよ」
彼女の涙の分だけ重たくなったハンカチが、僕の前で蝶のように揺れた。
この施設での記憶を消去させるなら、果たしてこのハンカチはどうなるのだろうか? ──けれども、たまにはそんな奇跡を夢見るのも悪くない。
そうして、再び唇に笑みを乗せて、彼女を見た。
「ありがとう、僕も、君と出会えてよかった」
続いた言葉に再び瞬きをして──少しだけ、苦くて、鼻の奥がつんとした。
手が離れていく。
彼女の姿が見えなくなってから、僕も彼女に別れの言葉を告げる。
「…………さようなら、マカロン」
名前も知らない、僕の大切な友人。
>>292 シュー
…………そりゃ、どーも。
《シューに褒められると、どうも恥ずかしい。
照れくさそうに頭を掻くと、1つ咳払いをした。》
……よく出来ました。そっちの方がいい。恋人らしくてさ。
《嬉しくて顔がにやけるのを抑えて、平然と話してみせた。》
はは、わりい。……でも、楽しみなんだ。お前の絵が。……好きな奴の作るモンならなんだって。
なんじゃそりゃ。
あー……目、な。もし目がそのままで会っちまったらさ、図書館で本借りて、家で読んでやるよ。……お前の目の代わりになるのは、いつだって俺の役目だったしな。それくらいヨユーだ。
……応。俺も……楽しみだ。
《楽しみだ。その返事はゆっくりと答える。
……動揺を悟られてないといいが。
それを誤魔化すように手を取って、立ち上がる。》
……ほら、もう時間だ。もう行こうぜ。
閉じ込められたら困んだろ。
>>298 ケーキ
「セシル…」
[彼が紡ぐ言葉の一つ一つが胸に染み渡る。
こんなに褒められて、幸せで良いのだろうか。]
「読んでくれるっス…?そしたら、セシルの好きなお話を沢山聞きたいっスね!
あ、どうしようちょっと目が治らなくても良いかも知れないなんて思っちゃったっス。たはは」
「あ…もうそんな時間なんスね…。名残惜しいっスね〜…全然話足りないっスよう…。
でも閉じ込められたら困るのは確かにっス。セシル、ありがとうっス!」
[彼に引っ張られるようにシューも立ち上がり、セシルに寄り添う。
少しだけ、…もしかしたら長い間のお別れになるかも知れないが、この想いと決意を持って必ず会いに行こう。
…自分達ならそれが出来ると信じて。]
シューへ。
お前がこれを聞いてる時にはお前は真実を知ったんだろうな。
わりーな、ボウズから紙を渡された時から決めてた。お前は何一つ悪くねーよ。
負けた後に、お前に言った事は一緒に生きてやる以外は全部本物だ。……だからこそ、俺は生きてられねえって思った。
バッドエンドの筋書きを書いて、スプとお前らを操り人形みたく動かしてさ……心から楽しいって思ったんだ。俺はとっくに歪んじまってる。きっと、このまま外に出てもシューを幸せには出来ねえ。
我儘でもエゴでも構わねえ。俺は、俺の光で救いであるシューに幸せになってもらいたい。
……初めてだ、こんな事はよ。今までは他人も自分も不幸になれって思ってた。
…………でも、さ。お前が俺との幸せを望んでくれて最後の最後まで揺れてたんだ。周りに罵詈雑言を吐かれてでも、情けなくても、ダサくても生きてやるかってさ。結局、俺はそれを選べなかったけど。
……………もし、もしもシューが外に出ても俺の分身を探してくれんなら。
名前は言ったから……舞台作家の卵を探してくれ。多分、俺が俺なら夢をしぶとく諦めてねーはずだからさ。
…………愛してる。永遠に。もし、来世があるなら……………なんて、らしくねーか。
絶対に、幸せになれよ。俺はいつだってお前を見てるぜ。
>>キャンディ
「まあ、兄貴の名前は違うけれどさ。
……なに、泣いてるの? キャンディ。本当にキミは泣き虫だね。」
敢えて聞いたその名を口にすることはなかった。
だって、今呼んでしまったらきっと、僕がその名で呼んであげるありがたみが減っちゃうし。
「はは、それはどうかな。……じゃあ、そろそろ行きなよ。うっかりキミまで廃棄処分になったら、せっかく新しく見つけた遊びが台無しになっちゃうだろ。」
彼女の頬を伝う涙をそっと指先で拭ってから、猫をあやすように顎をくすぐる。
これで、彼女との物語も幕を閉じる。
>>300 ケーキ
[──こつ、こつと廊下を歩く音。
『おかしのいえ』での出来事は終わりを告げて、次は、彼を…セシルを探す事がシューの目標だった。
残り少ない時間を、噛み締めるようにシューは話す事をやめなかった。
少しだけ、彼の声音が陰っていた事にも気づいてはいた。
彼も、別れを惜しんでくれていたのだろうか。それなら、直前まで話して想いをもっと深めようと、シューは口を止める事をやめなかった。
1分でも、1秒でも、彼との時間を大切にしたかったから。
それでも、時間は残酷に2人の別れを告げる。
大丈夫、大丈夫…しばらく会えないだけ。
胸の中で警鐘が鳴っている事には目を背けていた。
大丈夫…この手は離れない。
そして、セシルの声が聞こえる。
…………え?
刹那、背中を押され、体制を崩す。何がなんだか分からないままに、シューはスマホから流れるセシルの声に耳を傾けてしまった。
その時に、すぐにでも振り返ってセシルの方に走っていたなら、と言うのは後の祭りだった。]
>>304 テオ
お兄さんの名前なんて聞いてないわよ。
……ふうん。まあ、いいわよ。キャンディも可愛くて気に入ってたの。
……仕方ないでしょ。あなたが泣かせるんだもの!あなたのせいなんだから!
[拭いても拭いてもこぼれる涙を、テオの指が拭う。それから、やさしく顎をくすぐられた。いやだわ、猫みたい。でも、やさしいのがとても嬉しかった。いじめられるのが好きって言ったけど、やっぱりやさしいのも大好き]
……うん。行く。行くけど。
[少しまよったけど、ちょん、と背伸びをすると、両手をのばして、彼の頭の後ろに回した。
それから、彼の唇めがけて、キスをする。
……勢いがついてたから、ちょっぴり痛かったかもしれない]
うばわれてばっかりなんて悔しいもの……私だっておかえしよ。
……じゃあね、テオ。
きっと、私、泣いちゃうと思うわ。あなたの思い通りに。
でも、いいの。
私、あなたにいじわるされるの、好きだから。
あなたは、私のたくさんの初めて。
大好きよ、テオ。
あなただけを、愛してるわ。
[最後は、できるかぎりとびきりの笑顔を作った]
>>301 ケーキ
「───」
[伝えられた『真実』にシューは、ぽつ、ぽつ、と返事をする。]
「…しょくいんさんに言われてから……あの時から、もう決めちゃってたんスね…。
ずるいっスよ…一番欲しかった言葉が嘘だなんて…気づけるわけないじゃないっスか…。
そんな…歪んだセシルだって自分は………自分は…ただ、一緒にいれたら、それだけで、それ以上なんて、いらなかったのに…。
セシルが居ない世界で、幸せになれる自信なんて…ないっスよう…セシル………。
……セシルの分身……でもそれは…それは………自分が好きになった、くるってて、いじわるで、やさしくて、ぶきような、…セシル……………」
唇が触れて、僕はふっと目尻に笑みを浮かべた。
それは無意識のことだったから、自分では気付かなかったと思う。
そうして、この場を去っていく彼女の背中を見送る。廊下に出て、その後ろ姿が見えなくなるまで、僕はキャンディを見つめていた。
……無垢な彼女がどうか僕のために、苦しみつづけてくれればいい。
キャンディの姿が見えなくなってしばらくして、僕はようやく自分の頬を冷たいものが伝っていることに気がついた。
どうして今それがこぼれるのか分からなくて、ぽたぽたと流れる水滴が、彼女にまた爪痕を残せたことが、嬉しかったからなのだと思うことにした。
──オートロック式の薄い扉が、音もなく二人を隔てる。
[そうして時は来た。
「ようやく終わりました」
「おや、交換の際に不要な物をお持ちですね」
「それも処分しておきますので、安心してください」
無機質に告げる声。全ての『処分』を終えてやってきたしょくいんさんの声。
それはつまり、シューの愛した男(ひと)の死も意味していて。]
「……セシル………」
[零す涙も枯れてしまい、抜け殻のように膝を組んで座るシューは『記憶処理』を待つだけだった。
どうしたらいいのだろう。
彼を探す"生き甲斐"は完全に途絶えてしまう。
でも、彼は「幸せになってほしい」と言った。
シューにとっての幸せは彼と共にある事で…。]
[キスをしたあとの彼の目は優しかった。怒るかなって思ったのに。そういうところが、やっぱり大好き。
別れのあいさつをしたあとは、振り返らなかった。もう一度胸に飛び込んでしまいそうだったから。
ずっと苦しかったはずなのに、胸はもうひゅうひゅうと鳴らない。慣れちゃったのかな。テオの荒療治だわ。
少し迷って、扉から出る前にキャンディ状の薬をバラバラと捨てた。薄い透明な緑色の粒が、ビー玉のように転がる]
ひどいひとに捕まっちゃった。
ううん、これからもずっとしばられるわ。
でも、それでいいの。
そうである限り、一緒だものね。
私は、ぜんぶ受け入れる。
うそも、ほんとも、やさしさも、いじわるも、ぜんぶあなただから。
大人にしてくれて、ありがとう。
スフレ、大好きよ。テオを、愛してる。
[ふう、とひとつ深呼吸して、私は扉を抜けて、外に出た]
覚めるはずのない悪夢から戻ってきた。
けれど実際には、私はクローンらしい。
「…………ひどい話ね」
そこら中で立ちのぼる感情の渦に巻かれながら、ここに来てから一番と言っていいほど穏やかな気持ちでいた。
そばに転がったペンを拾う。
────────────
問1.クローンと交換しますか?
はい
問2.問1をはいと答えた方のみ
ここで出会った人間のことを忘れたいですか?
はい
────────────
さて、外はどうなっているのだろう。
彼は退院したかしら。
"私"は服役中だったりするのかしら。
……目指すところが同じなら関係ないわよね?
5年間の空白なんて、すぐに埋められるもの。
ねえ、******。
そうと決めたら急がなくちゃ。
あの日、施設の外に彼ごと心を置いてきた。
広くないその部屋を振り向きたくなるのは、人間だった5年間の記憶が埋め込まれているからに過ぎない。
私はこれから"私"になるのだから。
これは、ここで触れた気がした全ての感傷たちへの別れ。
「さようなら」
私は、誰に向けるでもない簡単な挨拶とともに、共有スペースの椅子から立ち上がった。
[…シューは最後の最後に、力強く顔を上げて、彼に言葉を送った。]
「…セシルは、ずるいっス。
言いたい事だけ言って突き放すなんて、さいてーっス。
そんなさいてーのセシルっスから、きっとクローンはもっともーっとさいてーな男っス…。
だから、どうせセシルに良い人なんていないっス。一生いないっスよ。断言するっス!
……自分が居ないとすーぐに周りと衝突する人っスからね!」
[ひとしきりの悪態をついて、一息。]
「…セシルの『幸せになってほしい』を叶えてあげられるかは、分からないっスけど…。
このまま腐ってたら自分じゃないっスからね!お気楽に振舞ってやるっスよ!
そして、いじわるで、やさしくて、ぶきような向こうのセシルが寂しがってたら、いけないっスから…探してあげるっスよ。
…だから、また…あの世でも、来世でも、会えたなら…その時は、絶対、絶対に手を離しちゃダメっスよ…?」
[彼が見てくれているというなら、きっとこの声も届いただろう。
彼から「…応、がんばれよ」と言う声が聞こえた気がして、シューは安心して目を閉じる。]
「また、会える日まで…さようなら。」
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