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[1]
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**の歌姫 レディ に 1人が投票した。
フード姿の人物 に 6人が投票した。
フード姿の人物 は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか。
暗雲が去り、まぶしい光が降り注ぐ。――全ての人狼を退治したのだ!
全ての遺言状が公開されました。
みんな、みんな集まってる。あんたは行かなかったんだね。
[別に訝しむ訳じゃない。そう自然に聞くのだった。
でなきゃ、自分もここには来てはいない。]
あの猫への恩返しなんだってさ。
[そして一拍置けば。]
分かんねぇな。
[目の前の人物がぺるを知らないのかと思ったのか。
ああ、そうかと勝手に納得する。]
なぁに。
この墓地にいた猫。1年前に居なくなっちまった猫に世話になった人が、そいつの墓の周りに沢山集まっていた。
ただ、それだけだい。
孝行したき時にぺるはなし、ですか。
[嘲笑するかのようにそう言うのだった。
目の前の人物は知らないだろうけれども、先程までと態度が全く違いますね。
]
猫が、猫の墓なんて建てるかい?
きっとそんなの望んでここにいた訳じゃないさ、あいつさ。
墓参りは生きている奴しかできないんだから、生きている奴が折り合い付けるためにやってんのさ。
[確かに最初は話しかけていたはずなのだけれど、途中からは半ば独り言。
だってそうだろう?]
いつかは、墓に入ってるそいつの事も。忘れなきゃいけないんだって。
だから、あそこでみんなとは集まっていられない気がして。猫への恩返しだなんて、盛り上がっているふりができなくて、こっちへ来たのさ。
つまんない事言って悪いね。気にしないでくれよ。
[そう言えば、ぼんやりと遠くを眺めた。
昔から分からなかったんだ。罰当たりとも言われて。
彼岸花を折った時にはあんな事が起こった。
軽口を叩いていれば、もう一度何かを起こせる気がして。]
世話になった猫への恩返しだなんて、柄じゃない。
心にもないあたしが一緒に盛り上がっちゃ、いけない。
[その場でそっと手を組む。
祈りじゃありませんよ?*]
[どうしたらいいんだろうか、ぺるに恩返ししようにもここにはいないぺるにどうしようもできない]
ねえ…私たちがぺるの代わりになれないかなあ…。
[逆転の発想、どうやってもぺるに恩返しができないのなら、
ぺるが我々に永遠の別れからくる悲しみを癒してくれたように、今度は我々がここへ来る人たちを癒すことができないかと]
………………。
[微かにフードの下で眉が動く。
何が触発されたのか、恐らくは「忘れなきゃならない」という言葉だろうか。
フードから見えている口には、笑みを浮かべたまま、]
だからこそでは?
忘れたく無いからこそ、建てたのでしょう。
遺族に猫が寄り添う、などと。
その本人、いえ、その本猫がどういう考えであれ、あまり無い出来事、それに意味を見い出したのでしょう。
'僕'は、その猫ではないので分かりませんけど、案外と騒がしいのも、その猫は嫌っていないのかもしれませんし。
[ぺるの墓参りへ、ぺるがどう感じるかなど、本猫でなければそれも分からぬ話だ。だから、勝手にさせておけばいい、決めるのはぺるでしょう、とばかりにか。]
……貴女、もしかして素直じゃないタイプですか?
[ひょいと投げかける言葉のボール。]
ま、貴女も好きにすればいいんじゃないですか。
'僕'も、騒がしいのを避けてこちらへ来た訳ですし。
横で何か喋ってるとでも思いますよ。
[気にしないでくれ、に対してかそう付け加え、背と頭を後ろに凭れ掛けさせ、また上を見ようとしたか*]
[ぺるが定期的に駅の改札口に現れたのも偶々だったのだろうか、小高い丘の上で息を引き取ったこともただの偶然だったのか、すでにぺるがこの世にいないこともあるけれど、確かめる手段などない。
だが、ぺるの存在によって、別離によって生み出される悲しみを癒された人間を知っている、自分の知らないところで救われた人間がいたのだろう。これは紛れまない事実なのだろう]
[そっとフードの人物の言葉に耳を傾ければ、はたりと動きが止まる。]
素直じゃなかった・・・・・・のかも知れないな。
[その一言だけ。]
ぺるチャンの代わり……というと?
[ハマチに問い返す。]
ぺるチャンみたいに寄り添うということ?
ン〜……恩返し、それも有り、かしラ。
[「私はちょっと難しいけれド」と付け加える。]
ぺるチャン……。
ウ〜ン。
[悩ましそうに、ぺるの墓を見つめる。]
忘れたいのに、忘れられなかったんだよ。
けれども、本当は忘れたくなかったから忘れなかったのかもな。
[ぽつりぽつりと語る美夜子。
言葉の端には、どこか寂しさが漂ったでしょう。]
そんな事を言われたのは久方振りだね。
おかしいね、昔はよく言われたのにさ。
これじゃあまるで。
["あたし"のほうが、昔のあたしに似ているみたいだ。
との一言を飲み込もうとした。
けれども、気付かされた手前。かつて出会ったこの場所で、ぺるに言われた気がしたから。
なら、少しは素直になっても罰は当たらないだろう?]
なら、ついでさ。
ただの独り言を横で聞き流しておくれよ。
[そして一息つけば、意を決したように言うのだった。]
もう、会えなくなった誰かの。そっくりさんが目の前に現れたら。見た目も性格もみーんな同じの偽物が現れたら。その事に、猫一匹しか気が付いていなかったら。
そいつは、本人なのかな他人なのかな。
[古傷が痛むのはいつもの事。少し休めばすぐ元に戻るのさ。
相手は何か返したか、戸惑ったか。
どちらにせよ、独り言が終われば返事は背に聞き流し、風のように立ち去っただろう。**]
[猫は友猫の案内を受けて、シートの片隅へとやってきました。
そこに並べられた食べ物の数々。
ひと用に作られたものでしたが、猫にも食べられるものがいくつかあるようです]
にゃあん
[嬉しそうに一声鳴いて、ほぐされた唐揚げの中身、肉の部分へ口を寄せて食べ始めました。
中もしっかりと火の通った好い加減のお肉です。
他にもツナやサーモンなどのお魚のお肉もありました。
しかし猫はツナに口をつけませんでした。
以前食べた時、かいぬしが慌てて取り上げたものの匂いがしたからです。
あの後、病院に連れて行かれたりと嫌な思いをしたため、その匂いがするものは避けるようになっていました]
みゃあう
[おいしそうな匂いがするのにな、そんなことを思いながら一声鳴き、次はサーモンに口を付けるのでした。
はぐはぐ、と今は食べることに一生懸命な様子です**]
忘れられないものですよ。
大事なもの、愛しているものほど……、ふ、くくっ、ええ、愛しているものほど、忘れようと思っても忘れられるものではありません。
…………空いた穴も埋まらないものです。
[上を見上げ、自嘲を含んだ笑みを浮かべる。]
それが本人の中で重ければ重いほど、大きければ大きいほど、認めたくはないものですからねえ。
案外と、傷つかないように素直でなくなったのでは。
[これは放言だ。
会話というよりかは、触発された言葉へ言葉を投げ合う。
そんなベンチ隣り合うもの同士、の話し合い。
一般的に言えば、素直ではないというのは、心理的な防衛反応のひとつ、とも見做せは出来るだろうが、ここでそんな話をぶちあげても仕方ない。]
…………。
──素直じゃないね。
『これからもっと素直じゃなくなります。
こうやって話すのも、もう終わり。
これから変わらないとならないから。』
[そうやって思い出したのは、何時かの記憶。
遠い遠い、きょうだいの為に、もっと頑張ろうと決めた分岐点の記憶だった。]
[ふと、過去の記憶に呑まれかけた時、更に美夜子から、ついで、の話が意識に滑り込んできた。
微かに、フード下の眉を寄せ、少しだけ頭をあげる。]
他人ですよ。
そっくりさんとしても、それは別個体でしょう。
ならば、それは別人でしかありえません。
……双生児だって、幾つかの別環境を与えれば、別人となるのですから、クローンの様な存在だって別人です。
[彼にとっては自明の話。
ただ、彼はその後にこう付け加える。]
…………ですが、そうですね。
[その後で黙り込んだのは、もし、'もしも'、自分の前にそのような家族が現れた場合が過ぎったからか。
勿論、それは彼にとっては別人だが、それでも、大事な写し身ではあるだろうか。]
……どちらにしても、周りだって、そっくりさんでも大事な相手には違いない……のかもしれません。
それに、割り切れないものでしょう。
'僕'が言えるのは、それくらいですよ。
[美夜子からの返答(ひとりごと)は、あったろうか?
無くとも風のように立ち去る彼女の後ろで、彼は少し頭をあげた侭、その後ろ姿を眺めていたろう。*]
[言葉は返さなかった。それでも、ちゃんと聞こえていましたとも。]
ふふ、それなら。
同一個体のあたしは、本物かい?
[姿が見えなくなってから。
おかしそうに笑うのです。]
―うめちゃんside―
《ここだよ!》
[ともだちをステキなところへ連れて行ったワタシは胸を張った。
リリーだって嬉しかろう。何せこんなにおいしそうなものが並んでいるのだから。
よういしたのはワタシではないけれど。
リリーがおにくに口をつけている間にサーモンが挟まれたパンを口にする。
おそなえされていたものと同じ形、同じ匂いのものだ]
みー……
[これはとても美味しい!
ぺるがこれを食べたらワタシのように喜んだだろう。食べられたら……だけれど]
[もうひとつのパンにはワタシも口をつけなかった。
一時期、今のかいぬしは、それのなかみと近しい匂いのするものの「あまり」をワタシにもわけてくれたのだけど、
もうもらえなくなってだいぶ長い。なんでだろう。
なんて思っているうちにパンからかいぬしに視線をうつして尻尾をゆらりとさせた。
かのじょが近づいてきたからだ。*]
素直ねぇ。それができりゃあ苦労しないっての。
でも、本当はちゃんと自分でも分かってんだ。
[今度は歩いて元来た道を帰っていく。
心細い道無き道は、いつしかちゃんとした順路へと変わっていた。]
そうさ、元のあたしに還ったのさ。
あの時間、確かに。
現れたのは、子供の頃のあたしだったんだから。
[頭の中の雲が晴れたように感じた。
そうさ、本当の自分を思い出したんだから。]
[長い長い醒めない悪夢。
それはあの時ではなく、もっとずっと前から始まっていたのかも知れない。]
マイナス思考なあたし。敗北感にばかり囚われてたあたし。うらみつらみばかりのあたし。
木の上から男子を馬鹿にしていたあの頃にゃ無かったはずだろう?
[ぺるの態度が違っていたのは、本当は喜んでくれていたんじゃないのか。そう思えてならないんだ。
いいえ、本当は懐におやつを隠し持っていたのがバレただけかも?
それは本猫のみ知る事でしょう。]
[暫くあって、ぺるのお墓の前へと戻って来た。
もとい、ぬっと顔を出した。]
いやーちっとも思い付かなかったわ−。
[なーんて冗談めかしててへへと笑う。]
でも、思うんだ。ぺるはもういないから、恩返しできないでしょう。
だから、あたしはそれを他の誰かに返そうと思うんだ。
きっと、ぺるだってそうだったのかもなってさ。
[たまには、格好良い事だって言えるのです。]
ぺるの恩のある猫ちゃんって何色だったんだろうね?
あたし、三毛猫がいい!
[なんだか楽しい気分になってまいりました。]
[いくらかのお肉といくらかのお魚。
それらを平らげ、猫はくわ、と欠伸をするように大きく口を開いて閉じます。
満足したのでしょう、その場で軽く毛繕いをしたり、顔を洗ったりしています]
みゃあ
[『おいしかったわ。案内してくれてありがとう、うめ』]
[かいぬしの方へ視線を移している友猫に声をかけて、猫は歩き始めます。
その場にいる人達に対し、お礼を言うように一度頭と身体を擦り付けてから、猫は丘を下りていくのでした]
[お腹を満足させた猫の足取りは軽く、けれど走らずにしなやかな動きで丘を下っていきます。
おさんぽを再開して直ぐ、先程立ち寄ったベンチが見える位置までやってきました。
そこには未だフードを被った人が座っているのが見えます]
にゃあん
[猫は一声鳴いて、フードのひとへと近付いて行きました。
あちらから猫の姿は見えていたでしょうか。
ベンチの傍までやってくると、遠慮もなくベンチの上、フードのひとが座っている横へと飛び上がります。
そうして、ちょこなん、とベンチの上に座るのでした*]
[軽い舌打ち]
…………何も持ってませんよ。
[人が去ったと思えば次にやってきたのは猫だった。
頭だけを猫に向けて、面倒くさそうな態度、にも見えるだろう。
しかし、意に介さずにベンチにひょい、と飛び乗って来る様子に、無視をしようと決め込むか。
それが出来るかどうか、はさておき。*]
[ひとの言葉は分かりませんが、面倒くさそうな様子だというのは猫にも分かりました。
お腹は満足していましたから、食べ物を強請るということはしません。
その代わり、フードのひとの隣で猫はごろんと転がりました。
自分の背中を相手の腿辺りにくっつけるような形。
少しだけ高い体温が相手に伝わることでしょう]
《ごろごろ》
[甘える声を零しながら、猫は短い尻尾をぱたんと動かします。
その姿は撫でるのを催促しているように見えたかもしれません**]
(このネコチャン、ツナは嫌いなのかしラ……?)
[ツナマヨのマヨは、あまり体によくないよというのを知らないレディは、そんな事をひっそり思ったとか。
猫達にとって、人間はご飯を勝手に用意してくれる生き物。
なーんて事に、いまいち理解が及んでないレディは、猫って難しいのネ、なんて思っているのだった。]
お帰りなさい、美夜子♪
ま、恩返しの連鎖ネ♪
[恩は、恩を受けた相手に返すのではなく、他の人へと返す。
また、ぽんと両手を叩いて、素敵な考え>>36と態度で示した。]
もし、ぺるチャンが恩を受けてたなラ……
丸尾の猫なんてどう〜?
[所謂、ジャパ○ーズボブテイルという猫種を口にする。*]
──路端のベンチ──
[膝はがら空きだったので、そちらに来るかと思いきや、その直前で猫は転がる。
微かに眉を顰めた。]
………………。
[猫とは別方向を向いて、溜息。
そうして、ふと思い出したよう、顔をまた向ける。]
……さっき、名前を呼ばれていた猫ですか。
[ぱたん、と尻尾を動かし、催促する様子。
微かに不機嫌と苛立ち、の様なものが湧き上がるも、少しだけ高い体温がそれを少しばかり相殺している。]
[猫からフード下が見えるとすれば、冷たい眼差しに見えるもの。
明度はあるが彩度の低い、茶色みある黒紫。
伸ばした指が、尻尾に触れる。
それから、前脚に。
そこで、暫し、指が止まる。]
………………。
[その指が、数本に増え纏まって前脚に置かれ、動かなくなる。
リリーに力は加わらないが、指自体には力が籠るよう、暫し張り詰め、弛緩する。]
……は、やれ、やれ……。
[その後は、特に眼差しが冷たいことも無いが、同時に強い興味がある訳でもなくなるか。
指が、手が、灰の毛並みの腹を撫でる。
尤も、その前に猫が動いていれば手は空を切っているだろうが。]
…………、
[ほんの小さく頭を振った後は、特に頭部の動きは無くなるだろう。*]
恩返しの連鎖ねえ、うん!まさしくそれだ!
[おっ、美夜子さんが戻ってきた、りりしく見えるだろう]
ぺるが恩義を感じている猫ねえ…。
さしずめ、新巻鮭を一緒に食べた野良猫とか…。
[違う、そうじゃない]
―シオンside―
[ピクニック会場のうめちゃんは、何やら自分の家のようにくつろいでいる。
そんな気がした。なんでか。
だがまあ、嫌でここにいる者はいないのだろう。
駅長さんなどしみじみとした表情をしているようだが。
そんな面子の中でひときわテンションの高い感じの女の人が声をかけてくる]
お、おおお?
お呼ばれしてもいいんですか?
[まるですごい人を前にしたかのように恐縮してしまうのは、相手の(精神的な)距離の近さに戸惑ってしまったからだ。
一瞬だけでも丘のふもとで出会ったフードの男と比べてしまった向きもあり]
…………。
[ランチョンマットのすみっこでうめちゃんがこっちを見ている。
まるで無言で誘っているかのよう……な?]
じゃ、じゃあ……
えっと、貴女……も、ぺるの墓参りに来たんです?
[おずおずと靴を脱いでマットの上に足を踏み入れる。
その一方でうめちゃん及びリリーの周りに並べられている食べ物を目にすれば、
怪訝そうに一瞬目は細められる]
[やがて。
さりげない手つきでうめちゃんの近くに置かれていたツナマヨサンドを取り上げた。
というのも、シオンの中じゃツナマヨは、猫にとって健康に良くない食品という印象だからだ。
引き取りたての頃はそうとは知らずに、
休日の部活のお弁当に持ってくためにつくったおにぎりの具の余りのツナマヨを、
うめちゃんにあげたこともあったが……]
(許せうめちゃん。これは私がしっかり食べるから、な)
ワーォ、楽しみ〜♪
[早くも、ぱちぱちと小さく拍手をする。
ハマチ>>43の言う、最高の本がもう出来たと言わんばかりだ。]
ね、なラ。
ぺるチャンのお話、もっと沢山集めてみるのはどウ?
きっと、今日会えた人以外でも、沢山の人がぺるチャンと出逢った筈だワ。
[この墓地や駅までやってくるのが難しいなら、手紙やメールでお話を集めてもいいかもと、レディはハマチに提案する。
そうすれば、色んな人が、他の人の思い出にもっと触れられるだろう。]
[因みに、レディからの一筆を渡す時にはレディも笑顔で渡した。
本になるなら、もう少し丁寧な物も別に書いたりしたろう。]
[メールやお手紙でぺるの思い出話を集めればどう、というレディの提案にさらにときめきを得ることだろう
これならぺるへの思いが詰まった素敵な本ができるに違いないと思った**]
[視線をお墓へ向けている間に、茶猫からツナサンドを取り上げているのは気づかなかった。
よくないですよ、と言われれば、素直に聞くレディではあるのだが。]
自己紹介が遅れたわネ。
私はレディ。
元歌姫の旅人ヨ。
[他、各々も自己紹介したか、していなければ勝手にレディが名前を紹介していったろう。]
さ、どうぞどうぞ。
[取皿や軽食や白磁のカップを差し出したり、これまで、ここでしていた話をシオンにも簡単に説明するだろう。*]
[頭上から零れてくる溜息と声。
猫がそれを気にした様子がないのは、猫だからなのでしょう。
撫でろと言わんばかりの体勢の猫に、フードのひとの手が触れました。
撫でるというよりは、触れるだけの様子。
尻尾から前脚へと触れるものが移動しましたが、それも一度止まります。
その感覚に猫は頭を少しだけ持ち上げて、フードのひとの顔を見上げました。
フードから垣間見える瞳が冷たいように見えます]
…………
[じっとフードのひとを見詰める猫の瞳孔がほんの少し細まります。
緊張の現れです]
[しかし猫はその場から逃げることはありませんでした。
フードのひとの瞳の冷たさが消えたこと、前脚で止まっていた相手の手が猫を撫で始めたことが理由でした]
《ごろごろ》
[甘えるように喉を鳴らし、自分を撫でる手の感覚に身を委ねます。
フードのひとを見上げていた顔は再びベンチの上へ]
にゃあん
[しばらくはそのまま満足行くまで撫でられていましたが、不意に起き上がると今度はフードのひとの膝の上へ移動しようとしました。
ひとの都合はお構いなしなところは、やはり猫と言ったところでしょう**]
──路端のベンチ──
…………
[毛並みを撫でれば指先が埋(うず)もれるように。
その撫で方は、ある程度は撫でていると言えるものだ。
が、それも「にゃあんと」緊張感の欠片ない声が聞こえれば、本当に微かな舌打ちが起こるだろう。]
…………………………。
そこは、猫じゃなくて兎の定位置ですよ。
[膝の上にひょいと乗れば、顔が顰められたが、払いのけようとはしなかった。
諦めたのか、どうでもいいのか、頭を後ろに預けて、空を見上げる。
木々繁り、陽が遮られほんの少し薄暗い。
その合間からこぼれる光への忌々しさは、先程よりも薄まっている。
それは単に気が紛れているだけだが、その変化には自覚的ではなく、意識上にはのぼってきていない。]
[普段、兎を撫でるように、自然この猫に手が動いた。
小さく笑う。
耐えられない程の、普段の、誰が亡くなっても変わらない日常を突き付けられたようだ。]
……忘れられるわけ、ないじゃないですか。
忘れられるわけ、なんてありえない。
[ぽつり、ぽつと、こぼれおちる言葉。**]
[出会って間もないシオンのことをも「仲間」と呼んだ彼女は、
元歌姫の旅人であるレディだという。
それなら年に数度は墓参りに来ている己が知らなくても無理はないか]
あー、よろしく、私はシオン。
花屋の娘だ。
で、……あっちの茶色い猫がうめちゃん。
[確実に顔は知ってる駅長さんも含め辺りをぐるりと見回した。
その間取り上げたツナマヨサンドは手に持ったままだったが、
猫に与えることの健康への悪さを指摘はしなかった。
そうしたい思いよりも……哀愁が少しばかり勝っていた]
[よければ取り皿をもう一枚ほしい、と頼み、
受け入れられたなら皿の上に手持ちの猫用おやつをだしてうめちゃんの方へ。
なんならリリーにも分けようと思ったが、灰色猫の方はいつの間にか姿を消していた。
その後シオン自身は何食わぬ顔でツナマヨサンドを口にしていたが]
もぐ…
……本の作り方はわからないけどさ、ぺるとの思い出なら文章にするくらいはできるね。
それこそ手紙みたいにして。
[“ぺるへのお礼”の内容を知ればしみじみと笑って指を1本立てた]
うめちゃんのことも書ければいいんだけどなあ……
私は猫じゃないから、お墓参りにうめちゃんを連れて行ったらなんだかぺるのおかげで元気になったみたいだ……
ということしかわからないんで。
[そう、ぺると出会った数日後、
シオンは未だ塞ぎ込むうめちゃんを猫用キャリーバッグに入れて、この墓地に赴いた。
ただ、再会を願って。それから……
ちらりとうめちゃんの方を見れば、
ツナマヨサンドを取り上げられたことにも動じず、つみれを一口かじっていた。**]
[チャー改めうめちゃん。
良い名前じゃないかと目を輝かせて。]
なーにを話したんだろうね、猫と猫とで。
[それは分からないけれども。きっと、きっと。]
[いつかは忘れなきゃいけない。その気持ちは変わっていないさ。
けれども、知らないやつに教えてあげるのも、良いじゃないか。あたしはそういうの好きだ。]
へへっ、完成したら教えておくれよ。
現役時代、自伝を出版した事があるんだ。
だからその時には任せておくんな。
[ベンチに座るフードのひとの隣から、軽い跳躍で飛び乗るようにして相手の膝の上へ。
何か言われたようでしたが、膝の上は猫の定位置でもあるため、言葉が分かっていたとしても避けることはなかったでしょう。
フードのひとの膝の上で、猫は前脚を何度か動かします。
揉むような仕草は何かを確かめるようにも見えるかもしれません。
数回繰り返した後、猫はフードのひとの膝に座り込みました]
なぁん
[丸めた背中や頭を撫でる手の動きに、気持ち良さそうな声を上げます。
瞼を閉じ、口角の上がった表情は笑っているようにも見えるでしょう]
[頭上から声が零れ落ちると、猫の耳がぴくぴくと動きます。
音は拾えど、意味として理解出来ない言葉]
[言葉が分かればもっとひとに寄り添えるのだろうか]
[そう考える時もありますが、分からない以上はどうにもなりません。
だから猫はひとに寄り添います。
温かい体温が傍にあれば、安心することを知っていますから*]
ほーほー、美夜子さんにそんな特技が…、じゃあ、完成した時はきっと知らせるね…。
[本を駅にも置いてもいいかもしれない、待ち時間に読むのもいいだろう]
[楽しい時間はあっという間に過ぎていく、カバンの中から、じりりり…、と時を知らせる音が聞こえてくるだろうか]
ああ、もうこんな時間だ、もうそろそろ駅に戻らないといけなくなっちゃった…。
[もうすぐ列車が駅に到着する、出迎えなければならない。
荷物をまとめて]
じゃあ、私は行くね…。
また一緒にピクニックしようね…。
[と言って、足早に立ち去るだろう]
[やがて喧噪を背にこっそりと再び立ち去るでしょう。
やっぱりすっぱりとはいかなくて。賑やかだと離れたくなってしまう。それでいて、静かだと寂しくなるのですから、まるで猫みたい。
けれども、曖昧で出鱈目で一筋縄じゃいかないのが生きてるって事じゃあないですか。]
あたしはやっぱりミックス味が好きなんだ。
[再び、あの小さなお墓の前に来ていた。
もう、あの小さなお墓は。本物だと思い込んでいた美夜子のお墓は、必要ないでしょう?
だって誰も死んじゃいないのだから。
ほんの気まぐれ、ただ1人のおばさんがイメチェンをしてみたに過ぎないのですから。]
いいのさ。あたしは素直じゃないからね。
あ、でも彼岸花が咲いている場所はこれからも探すよ。だって、綺麗じゃないのさ。"あたし"は、彼岸花が大好きだ。
[振り向いてはいけない。そう言われ続けていたその声。]
あたしはとうに振り返ってしまったのさ。だから、忘れ物を見つけられたんだ。
桜を折っちゃいけない、夜に足を濡らしちゃいけない、土用に土仕事しちゃいけない、三隣亡に家を建てちゃいけない、一体誰が決めた?
[そう言えば、小さな墓を転がすのでした。]
けれど。
[最後に一度だけ振り返って。]
あたしがあなたでもあった事に感謝はするよ。でも、恩返しはなしさ。
[小さな声は、大きな風にかき消された。
いつの間にか、あまりもの遅さにしびれを切らせた娘が迎えに来ていた。
頂上からあたしを呼ぶ娘を追って、ゆっくりと石段を登っていく。]
[そして、幾度となく季節が過ぎ、墓地の近くの小さな終着駅に
とある小説と絵本が置かれることになった
小説の名は『墓守猫は知っていた。』駅長が墓守猫ぺるについて、実際に聞いた話をもとに書き上げたもので、ぺるに出会った人の視線に立ってぺるとの出会いを書いたもの
そして、もう片方は『はかもりねこ』シリーズ、
墓守猫シアン、(モデルはもちろんぺる)、事実をもとに若干脚色を加えたぺるの視点に立ったもので、猫駅長、異星からやってきた猫、未来からやってきた猫、並行世界からやってきた猫などいろんな猫と出会いと別れを描くストーリーである]
──路端のベンチ──
[膝を揉むような動きを止めることはせず。
たしたしするような猫脚の弾力を感じるだけか。
動きをコントロールする事もせず、動くに任せる。]
「なぁん」
[撫でる最中に、そんな鳴き声。
やや肌寒ければ丁度良い温度に、膝の上はなるだろう。]
[手を止め、取り出すのは平たい板状の端末。
保存していた手紙が電子情報として表示される。
現物は、ここでは無く、別の場所に保存されている。]
[亡くなった家族が遺していた手紙だ。]
[彼の名と故人の名。
綴られているのは、いや、綴ったのは何時なのだろう。
最期は、何かを書いたり、持ったりすら困難で……最期は、出来ずにだっていたのに。]
[端末に力が籠る。
それは、遺言の様なもの。
声が出せなくなった後に、伝わるようにと]
……幸せでしたとも。
'僕'は、幸せだった。
自由を奪い、生きて欲しいと、そうした……
これを書いた、あなたはどうだったんです。
[病院にずっといる事になった、彼の家族の幸せは。
……優しい時間を過ごしたと言えど、どうだったのだろう。]
[ここは墓地に隣接するとある駅
いわゆるローカル線の終着駅。
こざっぱりとした駅はかざりっけもなく、
ただひたすら寂しい駅
場所が場所なだけに、ここの乗客はほとんどが近くの墓地に向かう客なのだろう
一日わずかな本数の列車から降りてくる客は、一様に暗い顔、それが駅に暗い雰囲気に拍車をかけている
しかし、この本を手に取った客にほのかにその明るさを取り戻すことがあるのなら、
この本を書いた甲斐があったのだろう]
[彼が思うよりも、その家族は強く。
自分の運命を受け入れて、日々を生きていたこと。
些細なものに幸せを見つけ世界に在る素敵を数えていたこと。]
[傍に居れずとも、彼を愛していたし大好きだったことも。
支えになりたいと思われていたことも、知ってはいたけれど。]
[その強さを、悔いの無い生を、彼は思いきれなかった。
家族の後悔、心残りは、遺していく人々のこと。
幸せに生きて。
それが家族の──ココの、それだけが彼への心残りという名の望み。]
[ハマチさんの日誌より その3
ようやくこの日が来たんだよ。
キミとみんなで紡いだ記憶がこうやって、形になったんだよ。
いつだったか、お墓を立てた時、『これは『私たち』からのキミにできる『最後の』恩返しだよ。』と書いたけれども、
そんなことはないんだよ。
キミから受けた恩返しを今度はほかのだれかに返すことにしたんだ。なんていえばいいかな。
『恩返しは続くよ、どこまでも…』
恩返しは受け継ぐものなんだよ、だからこれからもそんな私たちを見守ってね。
私たちの愛しいぺるへ
ハマチさんこと浜チェルシ より]
[端末の電子情報の表示を消す。
それはホログラムとして表示はされていたが、ここには猫しか居ない為、その事を彼が気にすることは無い。]
…………。
[気付けば、陽は傾きつつあり、木々の茂みで遮られていた陽の光が、斜めから彼へと差し込み照らしていたか。]
[彼は、端末を仕舞い、猫、リリーへと再び手を置く。]
ほんとになぁ。
何話してたんだろうね。
きっといい話だったんだろうけど。
[相槌を打ちながらもう一度うめちゃんのほうを見た。
友達が立ち去っても相変わらずマイペースだ。今度はほぐされた肉を甘噛みしている。
視線があえばわずかに首を傾げるような仕草をうめちゃんからされた。
あわてて笑って手を左右に振った]
[うめちゃんを引き取ってしばらくの間は本当に懐いてくれなかったものだ。
勝手に今や空き家と化したばーちゃんの家まで行ってしまったこともあった。
それがなりを潜めた時、シオンは確かに、うめちゃんも同じ感じでぺるに救われたのだろうと思ったけれど、]
私はちゃんとうめちゃんの家族になれてんのかなぁ……、
[呟く言葉は静かに風に溶ける。
こんなことしばらくは考えたこともなかったのに。
そうして結局呟くだけで終わってしまう。
信じてはいるし。うめちゃんはりこうだけど自分の気持ちに嘘はつけないって。
閑話休題]
[さっきフードの男の人にも言ったように、
うめちゃんは死んでしまった馴染みの駄菓子屋のばーちゃんの形見だ。
言い換えればばーちゃんが大事に大事に飼っていた猫だ。
そんなうめちゃんがばーちゃん亡き後野良になったり保健所に送られたりすると考えるのはおそろしくて、
とにかく名乗り出た。飼いたいのだと。
もちろん、ばーちゃんに負けないくらいに大事にするつもりで。
信じている。思いはきっと届いているって]
[ぺるとのお話が本となるなら、その辺りもちゃんと話すことになるだろう。
フードの男に気になる、と言われたから、
「大事な人が大事にしていた猫は大事にしたくなるもんだろう?」と応えてさらっと流そうとした時とは違って。
そういえば昔の日記、まだ捨てずに取っておいていたはずだ。
あれも引っ張り出してきて、記憶を辿ろう。*]
──少し先の時間、列車にて──
[座るのは、窓側の席。
頬杖をつき、外を見遣る。]
知ってる顔に思えたのですがね──…‥
この姿の'僕'は、夢の世界を巡っているようなもの。
この世界も、僕(わたくし)にとっては夢の様なものかもしれませんね。
[知った顔、と言えども実際に出逢い話した訳では無い。
とある世界のとある場所で、一方的にモニターしていたうちの一人、でしか無い。
……そんな呟きが、駅長に聞こえたかどうかは分からない。]
──少し先の時間、列車にて──
[端末を取り出し、表面に触れる。
電子の蝶々がふわりと浮かび、解けるようにして周囲を舞う。
ちらり、ちら、と電子の光、燐光が散って消える様は、一瞬のことで見間違いにも見えるだろう。]
[目を瞑る]
[粉々に砕けた虹のイメージが、瞼の裏に浮かぶが。
けれども、まだ、虹はそこに残っている。
そのイメージを握り締めるようにし、目を開いた。]
[背を撫でていた感触が不意に消えました。
猫は首だけを動かしてフードのひとを見上げます。
どうやら何かを操作しているよう。
何をしているのかは分かりませんでしたが、猫はまた首の向きを戻しました。
零れる声に耳が反応します]
みゃあ
[再び背に乗る手の感触。
次いで、聞こえた声に猫はフードのひとを見上げて一声鳴きました。
”帰る”と言う単語はこれまでも聞いていて、理解もしているものです。
くわ、と大きな欠伸をした後、自分の乗る手を押し上げるようにしながら丸めた身体を伸ばしました]
にゃあん
[伸ばした身体を更に伸び上げ、フードのひとの肩に前脚を伸ばします。
立ち上がるような体勢になれたなら、フードのひとの頬に頭を擦り付けようとしました]
[一連の行動が終われば、猫はベンチの上へと降り立ちます。
フードのひとが立ち去るのならば、ベンチに座ってその姿を見送るのでした**]
さすらいの民俗学者 マサユキ が見物しにやってきました。
──ある列車にて──
>>89
そこ空いているかのう?
[乗り込んだ列車はガラガラなのに、あえて聞いてみようとする、懐かしい気がして]
…………?
はあ。空いてますが。
[急に声をかけられた。
今日は、空いているのに横を望まれる日だ。
生返事だが、横に座ることへ返事をした。*]
[頬に、柔らかな感触を受けた。
微かに、目を細める。]
お前は人懐こいが、そうそう悪人にも懐くものじゃないですよ。
食べられちゃいますから♪
[声の調子だけは、明るく。
けれども、その底に潜むものは、違った。
彼の眼差しが、理解を促すものだろう。
伏せがちにされ、そうして目を閉じ、やがて頬の柔らかさは去ったか。]
[ここに墓守猫がいるそうだと噂を聞いてやってきたわけだが、1年前に死んでいたらしいと聞いて残念がって、ついでだから、ここでしばらく滞在しようと思ったのです。はい。]
[しかし不思議なこともあるもんじゃな、確かバスに乗ってやってきたはずなんじゃが、ついたのは列車が到着する駅で、
しかもここまで連れてきたバスの運転手とここの駅長らしき人が瓜二つなのじゃ、世界には3人くらいそっくりさんがいるらしいが、こういう形であえるとは…。]
──少し先の時間、列車にて──
…………。
………嗚呼、もしかして。
[すぐには思い浮かばなかった。
いや、流石に気に留める程では無かった、と言うべきか。
病院で会った訳では無かったし、覚えている重要度は低かった。]
…………。
(かといって、あそこで会った方としても、どうしましょうかね)
[所謂、O博士の方へとじっと顔を向けて。]
[フードのひとに頬ずりした時に返って来た声のトーンは明るいものでしたが、眼差しは別のものを示しているよう。
猫も何かしら感じるものはありましたが、一目散に逃げる、なんてことはありませんでした]
みゃあう
[さようなら、と告げて立ち去らんとするフードのひと。
最後に撫でてくれた手はこれまで通り優しいものでした。
撫でられて、猫は心地良さそうに目を細めます]
[立ち去る背中を見送って、猫はベンチから軽く跳躍して地面へと降り立ちます。
今回は随分とひとと触れ合えるおさんぽでした。
ひとと触れ合うことが好きな猫にとっては、充実した一日。
かいぬしの下へ帰ろうとして、ふと、足を止めて丘の方へと瞳を向けました]
にゃあん
[公園墓地や駅を一望できる丘の上。
墓守猫はきっと今も見守っていることでしょう。
これまでそうしてきたように、これからも**]
[いやあ、それでは失敬、といいながらフード姿の男の横に座るだろう]
いやあね…、どこかで出会った人に雰囲気が似ておってのう。
[せいぜい、すれ違った程度でしかないのかもしれないの
とそもそも、とある星で出会った『彼』とはまた別人という可能性があるわけで]
[駅長のハマチさんが、
ぺるのことを本にしたい、と言い出して、
それはとっても素敵な事だと思ったのだった]
ぺるとの思い出が本になったら、
ここにぺるが居たこと、
みんな忘れないと思います……
[そうなったら、ぺるの恩返しになるだろうか。
フィアはぺるとの思い出を、
持ち合わせの猫の便せんに書いて、
ハマチさんに託すことにしたのだった]
そう……ですか。
ま、この姿は本来の'僕'の姿ではありませんからね。
案外と、別人かもしれなければ本人かもしれませんよ。
[この姿は、やや幼い……幼年期に近しい姿だ。
何故こんな姿なのかは割愛するが、彼が列車に乗って来た時には、既にこの姿だった。
少し不思議なこともあるものである。]
貴方も墓参りでしたか?
[茶猫さん――うめちゃん、の飼い主は、
本当は鯖猫リリーちゃんと
一緒に来た女の子、シオンさんだった事が判明したり、
本の話で盛り上がっていたり、
けれど、賑やかな時は過ぎてしまって。
そうして、皆が帰っていく頃になって]
レディさん、
ハンカチ、洗濯して返したいんですけど、
……いつか、また逢えますか?
それから、……
笑顔を思い出させてくれて、ありがとうございました。
[感謝の気持ちで、ぺこり、とフィアはレディに頭を下げる。
話を聞いてもらう事も、癒される事だけれど、
悲しみを忘れるかのように賑やかに楽しむ事も、
フィアにとって癒やされる事だったから]
─ ぺるのお墓の前>>108 ─
ふふっ、気にしないで。
貰っちゃっていいのヨ♪
[返さなくても大丈夫、とは伝えたが、どうするかは最終的にフィアが決めることだろう。]
勿論、また逢えるワ♪
そうだ、これを渡しておくわネ。
[レディは、フィアに連絡先をさらさらと書いて渡す。]
私、これでもSNSをしてたり、旅の写真をupしてるノ。
良かったら、繋がりましょウ♪
それに、逢えそうな時は、連絡しあって逢いましょう♪
[旅暮らしだから、頻繁には会えないかもしれないが、近くに来た時には、会う約束だって連絡先があれば出来るだろう。]
うん、いい笑顔よ、フィア。
[どういたしまして。
その意味で、いい笑顔と口にする。]
女の子は、笑顔が一番。
キープスマイリングよ♪
[にっこりと微笑み、嬉しそうに感謝を受け取る。
それは、レディからの返礼でもあった。*]
今日はここにいる墓守猫に会いに来たのじゃが、1年くらい間違えてしまったようで、残念ながら会えずじまいじゃったが…。
まあ、こんなところでお前さんと出会ったのは良しとしよう。
これも墓守猫が結んだ縁じゃ…。
[懐から古びた本を見せるだろう]
今日はこの本に載っている猫のモデルになった猫がここにいるらしいと聞いてのう…。
[それは『はかもり ねこ と いせかいからきた ねこ』
ここまで連れてきたバスの運転手からもらった絵本である]
この本によると、『恩返しは受け継ぐものなんだよ…』と書いてあってね、それに感銘を受けてやってきたわけなんじゃよ。
[そんなわけで、久しぶりに出会った男にこの絵本を手に入れた経緯などを話したろうか、彼らの旅はまだまだ続くことだろう**]
ぺる──のことですか。
残念ながら、丁度1年前に亡くなっていましたが……
…………
[結んだ縁、と言われると黙り込む。
どう反応したものか、反応が見つからなかったからだ。]
その本は……
[勿論、彼も知る由は無い。
墓守猫の本の話は、ついさっき駅長達が話していたばかりで、その話を彼は聞いてはいなかったが。]
『恩返しは受け継ぐもの』ですか。
それはまた、道徳的な話に聞こえますね。
……しかし、こんなところまで来ようとしたのも、随分な行動力で。
[しかし、バスの運賃を踏み倒そうとしてしたところをバスの運転手のハマチさんにばれてしまい、宇宙病院へ連れ戻されることになってしまうわけだが、それはまた別の話**]
[同じ時をいっしょに過ごすうちに、いくらか誰とでもタメ口で話せるようになってきた。
お腹いっぱいになったらなったでまた微睡み始めたうめちゃんは寝かせたままにして、
いろんな話をしたし、聞いた。
子供のころからお世話になっていた駄菓子屋のばーちゃんの話もした。
暑い夏にラムネ代をまけてもらったこととか、
編み物が上手だった彼女に編み物の先生になってもらったこととか。
いつか、ベンチに座ってぺるに話をしたように]
……今日は本当にありがとう。
ほらうめちゃんも挨拶してー
[帰り際、抱き上げたうめちゃんの片手を持ってみんなに手を降らせる。
腕の中でうめちゃんはひと鳴きしていた]
あ、そうだ。
[と、ふいにうめちゃんを降ろし、持っていた手帳のいくつかの頁を破り、ペンでさらさらと連絡先を書いて渡してまわった。
電話番号だけが書いてあるシンプルなもの]
うち、花屋やってるんだ。まあちっさいけどさ。
ご入用の時はよろしくね、……なーんて。
[ぶっちゃけ花屋を継ぐかどうかなんてまだ決めてない。
だけど、ぺるが結んでくれた縁は忘れないし、
ほんとにご入用がある時のために店の手伝いも頑張ってみてもいいかもしれない……とふと、思った]
じゃ、…………あれー?
[帰りがけに気付く。
さっき降ろしたうめちゃん、ふたたびぺるの墓の前に座り込んでいた。
その手がふと虚空を掴むように動いた。
……少なくともシオンにはそうであるようにしか見えなかった]
うめちゃん、さっきは……
「にゃん」
[猫の言葉はわからない。
だが、どこか満足げに足に身体を擦り付けてくる。
その、ささやかなサインを拾い上げてにっこり笑う]
よーしじゃあ帰るよ〜
[そうして1日が終わる。
今日は、猫の墓守が眠る地を訪れた日。**]
はい、是非。また逢いましょう
[別れるときは、笑顔で。
ハンカチは、貰ってしまうことにして。
また出逢えた時に、改めて、
別のハンカチを贈ることにしたのだった。
帰ってから、レディさんとSNSで繋がって、
旅先の素敵な写真を見せてもらったりするのだけれど、
その中には、フィアには少し不思議な
写真もあったかもしれない。]
[夢のような、少し不思議な一日はこうしてすぎていって。
ぺるはこの一年後の日でさえ、
フィアに大切な時を贈ってくれたのだった。
数年後、フィアの手元には2冊の本があって、
嬉しくなったり、少し悲しくなったりしながら、
大切に大切に、読み返すのだ。
ぺるはいつまでも、きっと、フィアのかけがえのない友達で
ありつづけるのだろう]**
村の設定が変更されました。
[匿名希望で何時しか駅長の墓守猫のお話募集メールアドレスに送られるのは、そう遠い事では無い。
彼は目を閉じる。
束の間の、そう、ほんの束の間の──]
『優しい思い出をありがとう』
[何時か、かけた言葉。
変わる必要のあった過去、切り捨てる必要のあったもの。
それを、思い出していた。]
─ 後年の話 ─
[レディの荷物には、本が増えていた。
『墓守猫は知っていた。』そして『はかもりねこ』。
小説の方を、ぺらりと捲りながら、レディはあの時の思い出に思いを馳せる。]
ハマチは文才豊かネ。
[フィアとは、今も交流が続いていた。
ほんの少し不思議な光景はSNSに載っていたかもしれないけれど、大抵は旅先の写真だろう恐らく多分きっと。
あの賑やかな1日は、レディの中の楽しくそして少し切ない思い出のひとつだった。]
[ところで。
『はかもりねこ』シリーズには、ちょっと不思議な話が、乗っていたかもしれない。
荒唐無稽なレディの過去話は、『創作』としてハマチに語るには、うってつけ。
少々強引に、ぺるとの出逢いと思い出を話す際に「こういうお話も入れるのはどう?」なんて『創作』を語ったのも、レディには良い思い出だった。**]
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