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仕立て屋 エルナ に 6人が投票した。
旅人 ニコラス に 1人が投票した。
仕立て屋 エルナ は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、司祭 ジムゾン が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、旅人 ニコラス、羊飼い カタリーネ、負傷兵 シモン、少女 リーザ、青年 ヨアヒム の 5 名。
エルナの、馬鹿・・・・・・。
[その刹那。
投擲したクルークは明後日の方向へと外れ、惨劇を防ぐ事はできなかった。
カタリーネはその場に崩れ落ち、顔を覆う。]
何のために、これまで一緒に居たんだい。
私は、あんたと腐れ縁で居られりゃあそれで満足だったのにさ。
[叶わぬと、心のどこかで察していた願いを。
友の亡骸を前に、魂が抜けてしまったようになった。]
[血飛沫が舞う。
二つの体が折り重なる。
見出した希望が、崩れて行く。
彼の、彼女の体が崩れて行くのを見て、
絶望に両目を見開きながらも。
指一本、動かすことは出来なくて。
ただ。
倒れた二人の体から、
紅色がじんわりと広がっていくのに気付いた時。]
あ、あ――…あぁぁああああ!
[慟哭が喉の奥から迸った。]
[数度瞬き、目を閉じて、開いて]
……司祭が幽霊になるって。
なんだか反則な気もしますね。
[折り重なって死んだ自分達を見つめて]
エルナさん。
[彼女はいるのかと言葉を紡ぐ]
……今、どんな気持ちですか?
[そんな言葉をかけてしばらく様子を見つめていた*]
ジム、ゾン……
[もうかつてのようには呼べない――呼ばせてはくれない気がして
言葉をつまらせる]
さあ、どうでしょうね
当てられる?
[死体を目の前に、口端をつり上げる 彼とは離れた位置で
浮かぶ言葉は詫びと後悔
“なぜ殺してしまったの”と心の中で、自分に問いかける**]
[リーザは一部始終を見ました。
運命という名の神様はつくづく残酷ではありませんか。
お世辞にも幸あるとは言いにくいリーザのような子に、さらにかような試練を与えるなんて。
リーザはこの現実を受け止められるでしょうか。
それとも、また……?]**
どうして変わらないの
[それとも 我慢してるの? 私が出来の悪い妹だから?
顔をうつむけて隠す のぞき込んでも涙は見えない
大切な人がいなくなっても涙すら流せない 獣]
望んでるわけないじゃない だまされてるんだよ ジム兄は
まだ気づかないの? 私になにされたか、わかってないんでしょう
[いら立ち そんなふうにされるから、お礼を言われるのはいやだったんだ
より一層悪い気持ちにさせられる この人にそんなことを言わせる自分なんて
嫌いになりそうで
私が変わったんだから、ジム兄も変わってよ
そんなわがままが許されるだろうか**]
[犠牲を出しても、生きたくて。
村の日常を取り戻したくて。
動揺に震えながらも、せめて泣かないのが自分の責任だと思った]
……。
[表情を凍らせたまま、静かに祈る。
せめて安らかな眠りを、と。
死した後ならば、人と獣の別なく悲しめる。
司祭の最期の言葉はクララには聞こえず、水晶の十字架が何かさえ分からなかったが、祈りには違いないと思ったから。
まさに父、兄のように敬愛されたジムゾン。
衝撃的な選択と新たに溢れる血に耐えるには
そう信じるほかなく。
いくつかの疑問が胸に燻っていても、終わりは終わり、のはずだった]
あぁ……綺麗に、してあげないと。
[普段なら小柄な体に商気溢れるカタリーネの嘆きには胸が痛んだが、エルナを悼むのも彼女を慰めるのも、自分ではだめだと思った。
――時に慰めは、かえって痛みになる]
シモンさん……もう、部屋もご遺体も
清めて良いですよね――
雨が上がるまで、大して出来ることもないけれど…。
[声は震えるが、努めて冷静を装い、表情もなく「これから」を思い描く。
彼の経歴は深く聞いたことがなかったが、一番このクラクラする臭いにも色にも慣れているように見えて、ひとまずそんな風に話しかけた]
[あぁ、朝切ったのかな、と気づいた時
ここでは死にたくないと思った。
疑いかけることなく気にかけてくれるヨアヒムに抱く感謝ともどかしさは、あの日の思いにも似て]
(帰りたい……)
[今も家で歌っているだろうオスのカナリア。
この子が生を全うするまでには、心の整理をしようと――たぶん、ずっと思っていた**]
[崩れ落ちていく音が聞こえる]
[リーザが求めるままにエルナを探して辿り着いた、己がずっと避けていた、今もなお血臭が漂う場所。
そこで何が起こったか、つぶさに理解することはできなかった。
間に合わぬ>>2:270、届かぬ声>>5、転がるクルーク>>2、死を受け入れて倒れ行く二人>>2:262>>2:266、その周りに止めどなく広がる血の海、旅人の慟哭>>1、震えながらも二人へ祈る司書>>7。
それら全てを、慟哭も悲鳴も忘れてこの眼に収めた。
いつも己の眼前に姿を見せなかったものをやっと見つけて、理解しようと。
これが死か。
なんと凄惨で悍ましいものだろう。
嫌悪、恐怖――いや、何かが掛け違う感覚が、あるが]
[自分の表情はきっと、いつものように陰気臭く、また現状の痛ましさに歪んでいる。けれど顔の知る人間を失っても、悲しみに手や声が震えることはない。
それを未だ現実を受け止めきれていないと見るか、それとも、精神に何か逸したものを拾うかは見る人次第。
もし何事もなく朝が訪れたなら、いずれ時が忘れ去らせてくれるだろう違和感。
かつてクララに残したかもしれない、もの]**
[これで終わったんだ……という思いと。
目の前で二人もの人が亡くなったことと。
様々な感情が綯い交ぜになり、
整理がつかぬままに、
湯気に隠れて僅かに瞳を濡らすのだった。]
[――取り敢えずの食事であれば、これで十分だった。
去る前にもう一度、折り重なった二人を見下ろすと
瞳を閉じ、細く長く、息を吐く]
[そうして再び、物置へと歩みを進めた
鬱々とした眼差しを、取り繕うこともなく]*
[目についたなるべく大きな桶に、水>>24を溜めて部屋へ運ぶ。
残量に目をやる。本来なら大勢の人間を収容するはずだった宿屋だ。こうした作業に用いてもまだ水に余裕はありそうだ。とはいえ、近く汲みに行く必要はあるだろうが]
……
[廊下から部屋へと戻った時、人の気配>>22はない。
クララもシモンも、直に戻るだろう。少しでも進めておくべきか。
水と共に、無いよりいいだろうと見つけた数枚のタオルがある。
それを握って、遺体に身を寄せた]
ジムゾンさん、エルナさん、……
[少し前まで話していた人たち。今は物言わぬ骸たち。
悲しみの代わりにぽかりと空いたままの胸に、彼らの姿を映して得た感情を落とし込みながら、膝をついて]
……あ、…… ……?
[手を止めた。何か、違和感を覚える。
なんだろう、あってはならないものがある気がした。
ぱちり、ぱちりと瞬いて、彼らをじっと見る。見つめる。
噎せ返りそうな血臭すらも、意識の外に追いやられる何か]
[記憶が蘇る。鮮血溢れた司祭の首、仕立て屋の喉。
肩口に食らいつく黒の髪の、人の姿をした獣>>2:266。
そうして、そのまま折り重なって倒れて――]
……じゃあ、これ……
[司祭の腕にある傷>>22は、いつ付いた?
人を食らう獣は、エルナは今、ジムゾンと共に眠っているのだ。
もう彼に傷が増える道理などない。ない筈だ。
傷なんて、こんな、まるで噛み傷のようなものができるなんて有り得ない]
[――もし、人狼が一人ではないとしたら。
その可能性に思い至ったのは、恐らく誰かがこの場に訪れてから。
それまでは一人、何を考えているのか分からない、色のない顔で、骸を見つめている。
人が来たなら、僅かに体を震わせて、言葉を迷いながらも一言告げるだろう。
“人狼は、まだいるかもしれない”、ただそれだけを]
[がらら、がたん、と響く音に身を震わせ、騒音の原因へ目を向ける。
ひっくり返った掃除道具と、咄嗟に謝るクララ>>30を見て、何が起こったかは理解した、けれど。
それを拾いに行くこともなく、今も自分は骸の傍にいる。
先に異変を悟った彼女の問いかける声に、眼差しだけがゆらりと揺れて、ようやく口にできた言葉。絶句するクララ>>31を気遣うだけの余裕もない。
告げられるのは、先程気付いた一つの事実]
……こんな傷、無かった筈なんだ。
首と、肩……その二箇所、で。
でも、二人が倒れる際についた、とも思えなくて、だから。
[先程の見解に至るのだ、と伝えるように。
その頃シモンも戻るようなら、同じように自分の考えを告げるだろう]
[叶うなら彼らに否定してほしいと思う。
気にしすぎだと言ってくれたらいい。
だが、二人も同じか、似た結論を導くようなら、骸たちに視線を落としたまま]
……言わないと。
まだ、終わってないみたいだって。
……人狼を、探さないといけないんだ、って……
[覇気のない声はやがて小さく、消え入るように。
死に行くカナリアの囀りと似た不穏を、漏らす他なかった]
[掃除も後に回すことになるだろう。
談話室にいるであろう彼らに伝えなければならないのだから]
[転がる道具を傍らに、ジムゾンとエルナの元に跪く。牙を剥いたエルナを思い出した。
なぜ、ああもひけらかすような振る舞いを――ややもすれば、見顕されたがっているようですらあったのか。
……まだ、仲間が残っていたからなら]
エルナさん……わたしが問い質した時も
少しも隠そうとしなかったんです……人狼、って。
どうしてって、ずっと考えてて…。
[また目前の人間が牙を剥きはしないか気が気でなかったが、ヨアヒムにしろシモンにしろ、先に戻っていたなら服なり布なりで隠す事も出来たように思う。
自分なりに意見を補強して、俯いた。>>32
一度は終わったと思っていただけに、絶望は深い]
どうしよう……夜が、来ちゃう…。
[決して良い手を打てた訳ではなかったが、
不安な一夜を分けあった同士で疑い殺し合わずに済んだのを慰めに思っていた。
ほんの少しの間に、前提が覆る。
この場にいる者を窺い見て、頷くしかなかった。
先に待つのが不穏だと、消えゆく声で分かっていても]
[………………ふう。
内心で、深い、深いため息をついた。
自身の憂鬱さを吐息にして、"わたし"の運命をもてあそぶ者たちに吹き付けてやるように。
……"リーザ"が目にしたのは、厳密に言うと一部始終>>6じゃない。
"パレス"は"リーザ"を甘やかす癖がある。
"リーザ"にお話しを聞かせるようにして、誇張や創作さえやりかねない。さすがに複数の観察者がいる場面でそうしたことはできないけれど。
見えたのは、エルナの金色が黒へと変じ>>2:265、その黒き腕が繰り出す爪が神父の首に十字を――そう、彼があがめる神の十字だ――刻み、わずかな間もなく白金がエルナの喉を貫く。
二人の体が力なく重なり、互いの体を赤く赤く染め上げていく>>2:266…………そんな光景だった]
[『おねえちゃん!!!!』
"リーザ"は変わり果てた姿のエルナを何の躊躇もなくそう呼び、すでに事切れたその体に駆け寄った。
もともと"狼さん"を恐れる道理は"リーザ"にはない。そしてその"狼さん"は大切なおねえちゃんなのだ。
出会ってほんの3日間だったけれど、エルナは"リーザ"にとってそれだけ大事な存在になっていた。
"リーザ"は自分の体が血に濡れるのもいっさい構うことなく、休息に冷たくなっていくエルナの体、その胸の上にすがりついて泣いた。
止めるものはいなかった。
止める余裕など、誰にもなかっただけかもしれない。
"リーザ"は近くに放り出していたあのクッションを、倒れたエルナの顔と床の間に挟み込むようにした。
せめてわずかでも安らかに、という彼女にできる精いっぱいの弔いだろう。
エルナを送るのには、エルナがくれたものを返すことで。
……あのクッション、部屋の始末をしたであろうあの傭兵、シモンによって、すでに片づけられているだろうか]
["わたし"は泣きじゃくる"リーザ"に向けて静かに、あくまでも静かに、霊(たましい)の座を譲るよう促した。
"リーザ"は、"わたし"を含めた霊の存在を知らない。知ることのないように、"わたし"が決めた。
はじめは"わたし"こそが"リーザ"と名付けられた唯一の霊だったのだ。その霊を自ら分かち、"わたし"を産み育てた両親にとってあるべきかたちへと決めたことで、今の"リーザ"が生まれた。
その弊害は大きく、"わたし"は転生前より神から授かった大きな力のほとんどを失うことになった。そして力は暴走し、"リーザ"のほかにも次々とこの体のうちで霊が分かたれていった。
はじめは"わたし"がそれらを統制しようとしたが、かえって力は暴走するばかりだった。
"わたし"の存在は望まれていない。両親にも、そして自分自身にさえ。
"わたし"はあきらめて眠り、"リーザ"たちにこの体を明け渡すことにした。この村にもやがて来る、人狼騒動のそのときまで。
だが眠りは深く、結局"わたし"は今の今まで眠り続けることになる]
今、"わたし"こそがリーザだ。つまり、あるべきかたちに戻ったのだ。
だが、力はない。見た目通りの幼い娘。
真実の言葉を語るだけで、あらゆる人外からその仮初めの姿をはがし取り、現世に存在することを禁じることさえ可能であったはずの力は、もう。
だか、それでも武器になるのは言葉だけだ。
"わたし"はそれで戦おう。
レムスのように自らの存在を誇示するつもりはない。
できるかぎり元の"リーザ"のまま振る舞う。それが基本方針だ。
"レムス"のやつがすでにずいぶんとまわりを気味悪がさせてしまった。これ以上違うものが出てきては、"リーザ"のほうが人外扱いされてしまう。
それに"わたし"の存在など、今この場に集まる者にとってはどうでもいいことだ。堂々と存在をひけらかして、よけいなことを語りたくはない。
必要なのは人狼をどう見つけ、滅ぼすか。それだけだ。
そのために必要だと言われたら、そのときは語ろう。
まあ"わたし"の存在に感づかれるか、"わたし"が人狼だとみなされてしまったときになるが。
"リーザ"が眠っていったあとも、"わたし"はエルナの胸にすがりついたままでいた。
"わたし"も悲しかった。これは本心だ。
だが、一方で、何かが"わたし"に告げていた。
これで終わりではない、と。
そう、なにかがおかしい。でなければ"わたし"が出るきっかけにはならないはず。
そもそも何度も何度も転生をしてきた中で、人狼が自ら正体を現し、しかもそのまま命を絶つなど、前代未聞のこと。
警戒心が強く立つ。
そうだ。狼さんをさがす遊びはまだ終わっていないのだ。
だからこそ"わたし"の出番がある。
『人外はすべて殲滅せよ』
あの"影"の気配を感じる。"リーザ"にとっては父親の幻影、"わたし"には、すべての人の子の偉大なる"父"の影。
――言われなくたって、やってやるのよ。
"リーザ"の悲しみは、"わたし"の怒りに。
ただ、その怒りは幾重にも重なった"わたし"の生の一つに過ぎないのだけれど。
やがて、シモンに促されるままに、"わたし"はこの場を離れた。あくまで幼い娘、リーザとして。
そして談話室へ……]**
はぁ、はぁ、はぁ、うう・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!
[暫くは、何を言われても返す事ができなかった。
カタリーネが、どうしてここまで強気を保つ事ができていたのか。
それは絶対の信念と自信があったからに他ならない。
それもエルナの真実によって、根こそぎ奪われてしまった。]
[人狼がまだいるかも知れない。
驚きを感じると同時に、どこかでそれを察している自分がいた。
それでも、今更それに脅威を覚える気にはなれやしなかった。]
これ以上、何が居るってのさ。
私にどうしろってんだい。
ねえ、教えておくれよ。
[カタリーネはぽろぽろと涙を流す。
持ってきたエルナの服を片手でぎゅっと握りしめる。]
騙されていたとしても。
殺されても、偽物だったとしても。
私と過ごした日々だけは本物です。
今まで見えませんでしたけど…貴方ってこんな感じだったんですねぇ。
[頭を撫で続けて興味深そうに彼女を見つめる]
やっぱり、生きているうちに見ておきたかったですねぇ。
あの時にどんな表情をしてたとかやっぱり気になります。
……死ぬ、というのは救いだと誰かに聞きました。
それが他でない貴方で…私としては嬉しかったのですが。
[まっすぐに見つめる目には確かにエルナの姿が映り込んでいた
それを彼女はわかるかどうか]
……貴方が守りたかったのは彼ですか?
[その場に彼女はいたか
いなくても呟いてぼんやりと移り変わるのを見つめていた*]
[再び戻って来てみれば、扉が開いていた>>26>>30。
二人は先に中へ入っているのだろう。
傍の部屋に置いた分を回収し、足下の見えない状態で
ゲルトの部屋へと入りこんで]
[――見事に、掃除道具>>31>>34を蹴っ飛ばした。
会話に挟まる、からんという軽い音]
……すまん。続けてくれ。
[そう伝え、横目で辺りを見回し、汚れの少ない箇所へ
シーツをとすとす積んでいく――その間、他の作業音は無い。
振り返ってみれば、ヨアヒムとクララは何故だか二人して
死者の前で手を止めたまま]
[流石に不思議で、どうしたんだと尋ねたならば
そこで漸く、推測と対応>>29>>33>>34について
二人から聞くことができただろう]
[驚きで、瞳が一瞬丸くなる]
[――そうか。他の人狼騒動を知らなければ、
狼が一匹である可能性も、濃く見られるものなのか、と]
取り敢えず、談話室へ戻ろう。
……話して、考えないといけないだろう
[ヨアヒムの意見>>33へと同意を示し、荷物も皆置いて
ここを後にしようと、動揺抜けきらぬ二人を促す。
二人の意見を把握するべく、短い移動の合間には
“誰かが出入りする所を見たか”なんて話も振った]
“俺は一度戻ったが、静かなもんだった”
“ただ、ゲルトの時は気付けなかったから、
さっきも既に中へ居たのかもしれない”
[こちらの情報を問われたならば、そう返したことだろう]
[――止めてしまってもよかったのではないか。
占い師ですら、平和が来たと錯覚してしまったなら
逃げ場が無くとも、生き延びられたのではないか]
[そんな夢想を過ぎらせた為に
口調こそ淡々としているが、発する声は常より低く、重く]
[少し前に部屋に戻ってきたシモン>>45に促されるようにして、談話室に向かう為に手をついて立ち上がる。
その時、自身の手にべとりと触れるものがあった。立ち上がる際に床に触れて、指先から血に浸してしまい、ついたもの。
持っていたタオルで軽く拭いながら、出入りについては首を横に振り]
僕は、桶を持って戻って……その時には、誰も。
クララは僕の後に、来ました。
[一度は戻ったが何もなかったらしいとの話には頷いて、それから何気なく、二度往復した理由を問いかける。一度にシーツを運べなかったから、と知るなら、納得して頷くだろう]
[普段よりも重い声、などと、それを聞き分けられるだけの聡さは無いのだ]
それ、は、
本当のことなんですか……?
[誰にでもなく、問いかける。
自分は、確かに、見た。
エルナの魂が、人狼であったことを。
であれば、その報せは
彼女以外にも人狼が紛れているということに他ならない。]
[クララの袖口の血。
あれは、結局何だったのだろうか。
カタリナは、ずぶ濡れになって、
何をしていたのか。
エルナが人狼だと告白した時、
何故彼女はあんなにも怒ったのか。
それは、仲間だからこそ、
正直に言われたくなかったのではないのか。
ぐるぐる。ぐるぐる。
紅茶で落ち着くどころではなく、
再び疑念の渦へと飲み込まれていくのだった。]
―談話室―
私は、ずっとここを離れなかったよ。
もちろん、そこの2人もね。
[ニコラスとリーザを指さしつつ、ぽつりぽつりと答えつつも、どこか上の空のままだった。
片手がだらしなく椅子の横へと垂れている。]
悪いけど、もうそっとしておいてほしい。
投票して、人狼を処刑する。
……それしかないと、思います。
だって、終わらせないと、ゲルトさんもジムゾンさんも……エルナさんですら、無駄死に……でしょう。
[ それにわたし、死にたくないんです。
震える声さえ遠く感じながら、席を立つ。
夜を前に衝撃と疑心暗鬼に揺れる人々の中で、一番に投票箱に近づいたのは、一見大人しそうな司書だった。まだ投票していないとはいえ、煽るような行動。
書き記す名前は――カタリーネだった**]
― 談話室 ―
[報せに対する反応を、言葉もなく見つめている。
いつも気丈なカタリーネ>>42は泣いていた。
ニコラス>>50は手を震わせ、共に報せを伝えたクララ>>43は考え込む。
リーザはどうだろう、そろりと視線を送って窺う。
だが、見た所で判断の材料には到底乏しい。
人狼か人間か分かる、便利な眼なんて持ってはいない。
ならば、別の手立てで探さなければならないのだろう。
乾いた口は話すのに少し厄介だから、紅茶で湿らせてから]
……談話室に、戻ったのは。
ニコラスさんと、カタリーネさん、それからリーザ……
あの、この場から離れた人はいましたか。
[そう尋ねて、真っ先に答えたのはカタリーネ>>53だったか。
ニコラスとリーザへも視線を――疑念に満ちたというよりは、整理をするような、作業じみた眼で見つめながら、彼らの返事も待った]
結局、それをするのかい。
どうして急にこうなっちまったんだろう。
道が塞がれちまうまでは、あいつもただの仕立て屋だったのにさ。
人のままで、居られなかったろうか。
[動き出したクララを尻目に
半分独り言のようにカタリーネは呟く。]
せめて、最初から狼の形をしてくれていりゃあ
クララさん……。
もう、誰が人狼かとか、目処がついたんですか?
[先ほど、ようやく他にも居るとわかったところなのに?
強い言葉もそうだが。
どうして、そんなにもすぐに腹が括れるのだろう。
己との差異を感じてか、
幾分訝しんだ視線を彼女に向けるのだった。]
― 談話室 ―
[ニコラスもカタリーネも、状況を受け入れられるだろうかと
思わず考えてしまう程の姿だった>>42>>50。
ともすれば、リーザの方が落ち着いていたかもしれない]
[ヨアヒムの問いに、カタリーネは三人一緒だったと返し
>>53、ニコラスがそれを肯定する。
――確かめるように、疑いを撒くように、次いで問う]
――ここに来たタイミングも、全員同じか?
[それであれば、絞れて“しまう”なと、淡々とした思考。
やるべきことを整理していく。
個別に来たならば、その全員が疑い先となり得るが
もしカタリーネ達が、一緒に談話室まで来たというなら
残るは男を含む3人。嘘をついたか、隠したか、だ]
[――意見を聞かれたならば、そこまで一息に話したろう]
……
[人狼を処刑するのだと告げて、投票箱に近付くクララ。
動揺もなく、状況の整理を行うシモン。
傍から見るなら、自分も含むのだろうけど。
たった二人。そう気付いた時、感情の曖昧な眼が瞬きと共にいびつに揺れる。
事実如何に関係なく、認めたくないものもある、と]
……厨房に。
それは部屋から移動して、すぐってこと、ですよね……
[ニコラスが談話室を離れた時間があった、と告げた。
自分たちが作業の為にあの部屋を離れた時間に、彼らが共に居たと言えなければ、選択肢はまた元に戻るのだ。
安堵、落胆、そのどちらでもない何かを小さな溜め息で逃す]
[最初に異変に気付いたこと、新たな傷を見つけたこと。
その二点において疑いをかけられてもおかしくはない。
黙ればいいのに報せるだろうかという反論は、その印象を狙った、とも言えば覆る範囲か。
――それらの疑念、あるいは保身に繋がる思考は、意識からすっぽりと抜け落ちたまま、意見を問われた場合は、先程抱いた考えをぽつりと漏らす]
……エルナさんは、人狼であることを隠さなかった、と聞きました。
その理由が、残る仲間を守るためであった、とするなら……
[人のままであったなら、そう独りごちたカタリーネ>>60。
いなくなったエルナを探し、骸にも縋っていたリーザ>>37。
その二人へ向ける眼差しは、静かに]**
[進んでいく時間、止まった心臓
退場した死者とまだ舞台に立ち続けている生者]
……ゲルトさんは何処にいるんでしょうねぇ。
ニコラスさんは…私を恨むでしょうか。
(……エルナさんを最初に視てしまっていたら。
私は彼女を殺すことなんて出来なかったでしょうねぇ。)
[ただぼんやりと思考を重ねながら
慣れない色鮮やかな世界に戸惑っていた**]
[なでてくれる手>>+7
謝罪の言葉などほしくないのにと思ってもふり払うことはない
ただ やっぱりこの人は変わらないんだなと ため息をつきかけて
次に続く言葉につい顔を上げてしまった>>+8]
あ……
[私が見えるの? 確認するようにジムゾンの瞳をじっと見つめる
アメジスト――“狼が来た”と笑うリーザに向けた目>>2:72
見えた時、リーザに向かう感情を想像して、少し怖かった
冷たくて硬い鉱物のようで、そうたとえた
今は、安心する
目つきの悪さのせいか、彼が怒っているように思えたから
叱ってくれているようで
伏せたまつげが、エルナの 灰色の瞳に混じる青を濃く映す
涙など出ないのに、ぬれたように]
……あたしの顔は見たってそんなにおもしろくないよ
[無表情か、口端だけ上げて笑うか ほとんどその二択だ
彼がどの“時”を言っているのかはわからないけれど
“救い”という言葉を聞いたと同時に彼の答えを遮るように]
救いなんていらなかったんだよ あたしは
ただ仲間を守りたいだけだった
[そのためにした選択が間違っていたのかもしれないと 今は思わず]
あんたは……かわいそうにね その犠牲になったんだ
救いなんてありもしないでしょ
[灰の目にかげる青を一層濃くさせて 自嘲の笑み 唇をつり上げた
ニコラスに目を向けたのは、その後>>+6]
……なんだろ 知ってる気がする、あの表情
寂しそう
そんな感じで窓からこっちを見てた女の子に会ったことがあるんだよね
名前も知らない子だったけどさ この村にいたんだよ
[懐かしむように、静かに、“彼女”を思い出しながら
顔をほころばせ、つぶやいた]
― ニコラス ―
[旅人のことをしばし考える
彼も“見える人”だとわかっていたなら 獣のエルナは
ジムゾンに抱いていたものと同じ、恐怖を感じていただろう
もし自分が人であっても同じこと
きっと怖いと思っていただろう
男か女かも どこから来て
なにをしに来たのかもわからない
名前すらも知らなかったのだから
平和を守りたい それは人であっても同じこと
大切な人達 大切な人の好きな村
それを守るために排除すべき者を思い浮かべるとしたら
真っ先に、彼の名前を挙げただろうから]
私とエルナはただの商売上の間柄じゃなくてね。
似たもの同士だったんだから、すぐに仲良くなったんだ。
[目を瞑りながら、寂しそうにそう語る。
ほんの一時前までは当たり前だった、その時間を夢想する。]
私が羊飼いになったのも、エルナが1つの理由になっていたんだよ。
だから分からなかったんだ。
どうして・・・・・・
[そこで息を詰まらせる。
だが、カタリーネの脳裏に過ぎった言葉は、その場にいた多くが想像した言葉ともまた違ったものだったであろう。]
悪いけど、暫く独りにさせておくれ。
[やがて立ち上がると、そのままふらふらっと蹌踉めくようににして、部屋から出て行ってしまうのだった。]
ずっと、我慢してたの?
[我慢には慣れていると言っていた彼だけれど>>1:*26
それは決して食わずにいられるというわけではない
獣なのだから 食べたいと思うのが当たり前なのだ
それを抑える力のある人だっただろうに
なにかがその抑止力を乱したのだと、そこまで思い至っても
その“なにか”までには まだ、たどり着けなかった
噛み後が増えてることが知られたら……どう転ぶかわからない
そんな思いでただ、不安だけを募らせて
眠ることなどできやしない その後続くクララとヨアヒムとの会話を聞きながら
自分の名前が出る度に、言いたいことが募っていくばかり**]
[都で流行っている娯楽小説では、時に語り手が信用できないものであるという。混乱の中で、自分でさえ信頼しきれるだろうか。
――最後には、自分が信じたいものを信じるしかない。責任を持つという意味でも。
談話室から三人は出なかった、という。>>53>>57
それが真ならば、疑わしいのはゲルトの部屋で作業しようとしていた自分たちだけれど。
憔悴しきったカタリーネ、何もない宙を見つめるほど衝撃を受けていたニコラス、エルナにすがって泣いていた少女の目を絶対のアリバイとは思えなかった。
本人を前に言い澱むが、誰かに問われれば
こう前置いてから話し出そう]
……絶対の自信は、ありません。
言い出しておいて卑怯だけれど。
それでも…このまま、また誰かや自分が死ぬのを待つよりは……勝算があると。
[ニコラス>>62にぽつりと答えて、用紙を折り畳む。まだ投票はしない――人々の動向を窺うかのように]
人狼というのは夜ほどでなくとも
恐ろしい生き物だと思うんです。
エルナさんがそうだったみたいに……一対一になったら、きっと敵わない。だから、残りは一匹……最悪でも二匹。
[自分には鋭い論戦は無理だから、考えたことをゆっくり話していく。
人の数が勝っているうちに動かなければと思ったから、誤る恐怖、殺されうる恐怖を抑えて]
ヨアヒムさんやシモンさんが、ジムゾンさんを……き、傷付けたなら。
誰か来る前に隠しておけば、少なくとも一晩は稼げたんじゃないかなって…。
[辿り着いた結論は、ヨアヒム>>48が言及したものに近い。隠し守られているなら犯人が絞られる状況を避けるのではと。
騒動経験の有無が生んだ認識の差から、シモンが淡々と昏い口調の裏で考えていたことは察せられていなかった。>>45>>46
しかし、カタリーネ>>72の指摘が尤もに思えて、話が中途半端に途切れる。迷いがあるのは、確かで。
なかなか談話室の会話に追い付けず頭をパンクさせていると、彼女が席を立った。>>73]
遊びじゃ……ないのね。
[わたしは、自分の長い沈黙をようやく破る。
ティーカップをゆっくりとテーブルに戻し、クララに向けて言った]
狼さんがだれか決めて、その人をしょけいするのね。
しょけいされたら、ほんとうに…………しぬ………ん、だよね?
[恐怖にかられて燃え上がっただろうクララの殺意は、しかしまだどこかに迷いと怯えを残している。
わたしは、だが、そんな彼女の目に問うた]
そうなんだよね!?
[覚悟は、できているか、と]
[大切な人を失っても 生きている時には流さなかった涙
死んだらなにか変わるかもと思いはしたがそうではなかった
生き死にに関係なく、エルナは獣なのだということだろう
人狼という、人でも獣でもある妙な自分
狼である自分のことを好きになれたのはあの人のおかげ
人である自分を嫌いにならなかったのは この人のおかげ
侘びの言葉は口にできなくても、感謝の言葉なら伝えられるだろう
そう思った]
……ありがと
[早口に言って、彼の言葉にうなずいた>>+21
聞こえなかった部分にはきづかないままで
自分がよければそれでよかったのだから
誰も負い目に感じることなど ないのに
守りたかったはずの人がいなくなってしまうのはさびしいことだ]
[エルナがゲルトの部屋に行くのを止めていたら。此処で死んでくれと言えていたら。
何か変わったのでは。
ジムゾンは死ななかったのでは。
きっと、狼の死を共有できず
新たな犠牲者が出たのだろうけれど、
正解のない後悔にずっと苛まれていた。
頭が働かないのに、時間ばかりが過ぎてゆく]
……昨日、カタリーネさんと話してた時。
彼女、言ってたんです。
魔日って知ってる?って――。
[冗談めかした言葉。>>1:129
飄々とした羊飼いの瞳に何処か本気の色があったのは、何かしら隠しているからではと思った。彼女の内心も、外出も知らなかったけれど。>>2:218]
この中では割と楽観していたカタリーネさんが、何か知っていて予感してるみたいだった。
エルナさんは正体を明かしたあと、ジムゾンさんを連れてニコラスさんの元――ゲルトさんの部屋に行こうとした。
[そこにいたのは、ニコラス、シモン、カタリーネ。最期に仲間の元に行きたいと思ったのでは、と]
……わたし、彼女を疑って、ます。
なんで………おねえちゃんが…………
狼さん、みいつけた………だけじゃ………だめなの………?
[眠っているはずの"リーザ"の霊の慟哭が、"わたし"の霊を震わせ、共鳴させる。
体を震えて、瞳が大粒の涙を落とす]
おねえちゃんは、狼さんが、いやだったの……?
ニンゲンを、本当に…………
"コロシテシマウカラ……?"
[だが、"リーザ"が見たエルナの、人狼の瞳は、美しい金色だった。それはエルナの本来の髪の色のように。
人の血と肉に餓え、殺戮に狂う人外の瞳ではなかった。
エルナは、なぜ、あんなことを……?]
だったら……わたしは人狼を見つけるの。
見つけて……しょけいして……おかしな遊びをおしまいにするの。
[そう言いきって、わたしはエルナの血に染まった袖で乱暴に涙を拭うと、忌まわしき箱――人狼騒動には決まって使われる投票箱――を睨みつけた]
誰が人狼か、ということで考えれば。
こんな時に何処に出かけていたのか、
ずぶ濡れだったカタリーネさんは
怪しくはあります。
それに、エルナさんが自白した時にも、
怒っていたように見えたし……。
[そんな訳はない、と怒りを露わにした可能性も、
当然ありはする。
その可能性を踏まえつつも、
一つ一つ疑いの理由を口にする己に気付けば、
自然と苦い表情が浮かんだ。]
そう考えると。
[残る面々へと視線を向ける。
心を決めたらしき、クララ。
我知らず頼りにしていたシモン。
そして――…新たなる友、ヨアヒム。
昨日芽生えたばかりの友情を疑うのは、
ちくりと心が痛んだ。
信じる。ではなく、信じたい。
思考が願望によって染められていく。
たとえ、今の彼が何を考えているかわからなくても。
妙に物静かな様子に、心のどこかが騒いだとしても。]
疑わしいのは、貴女ではないんですか。
クララさん。
[思考の迷路を抜け出た先。
だが、その選択肢が正しいかどうかなど、
男にはわかるはずもない。]
朝から気になって、言えなかったのだけど。
[躊躇いながらも、視線は一箇所に定められる。
時間が経って、幾分くすんだ紅色に。]
貴女の袖口についているの……。
それ、血ではないのですか?
[明確な疑いを口に出せば、
あぁ、もう引き返せない……と
心の内に後悔が満ちるのだった。]
―― 談話室 ――
―― ゲルトの部屋から戻ったすぐ後 ――
[ニコラスが用意したティーカップ>>18には、手を付けなかった。
本当はすぐにでも飲み干したいくらいに、乾いた口と頭は、その中身を欲していたけれど。
紅茶はいい。一杯飲めば、わたしの思考を澄み渡らせてくれる。
クララ>>8、気弱そうな青年>>12――ヨアヒムだったか。どこかで見たような顔だが――、シモン>>16の三人は、部屋にとどまったようだ。あの部屋を片付けるために。
……本当なら、その現場に立ち会いたい。
彼らの言動を監視していたかった。
三人のうちの誰かが犯人ならば、犯行現場に留まる行為には大きな意味がある。人狼が尻尾をちらつかせるであろう貴重な機会だ。
だが、今のわたしがそうした行動を取るのは不自然すぎる。
シモンに促されるまま>>17に、談話室へと戻るしかなかった。
談話室でソファに座り込み、言葉もなく、泣きはらした目で虚ろに視線を彷徨わせる。
――もちろん、この場にいるニコラスとカタリーネ、二人の様子をうかがうためだ]
[談話室に戻ってから、ニコラスは幽霊のような足取りで厨房へと消えていった>>18。厨房はどんづまりでどこへもいけないことは、昨日までに"リーザ"が歩き回って>>1:133確認している。
今、ニコラスの表情は手にしたティーカップから立ち上る湯気に隠れてよく見えずらい>>19。
きっと今も血の気を失い、幽鬼のごとき表情をしているのではないだろうか。
そんな彼が人狼だなどということがあるだろうか……。
リーネはエルナの服を握りしめたまま、ずっと泣きじゃくっている>>42。あの気丈な振る舞いを見せていた彼女が、今はその色あせた頭巾と同じように、すっかり色を失ってしまっている。
エルナとリーネの間には、"リーザ"のように一日二日でできたものとは違う、ただの商売仲間でもない、もっと深い絆を感じさせる。
それはいったい……人狼であったエルナとの友情……。
やがて、それはわずかな時間であったかもしれないが。
クララ>>43、シモン>>45、ヨアヒム>>56。
三人が談話室へと戻ってくる。
三人の土産話>>43にあからさまに怯えを見せるニコラス>>50……演技とは思えない。
見た目通りの線の細い男に思える。]
[ヨアヒムの問い>>56に、リーネがわたしとニコラスを含めた三人のアリバイを証言する。>>53
ニコラスはそれに同意する>>57。もちろんわたしもだ。
だが、リーネの発言は、この場の三人を守るためのものとは思えなかった。悲しみの果てにすべてを投げ捨ててしまったかのようにも見える。
……なにか、嫌な予感がする。
だがそれを案じる隙はなかった。
クララが動いたのだ。
投票箱に、リーネの名前を投じたのだった>>55。
『投票しかない。人狼を処刑するしかない』
打ちひしがれるニコラス>>59
誰にともなくつぶやくリーネ>>60
わたしはこの二人が演技をしているとは思えない。それに二人は三人が言ったような新しい噛み傷を残せないではないか……]
[………いや。
もし彼らのいうジムゾンへの噛み傷。
これが、ただの嘘(ブラフ)だったとしたら?
わたしたち三人の中から狼をあぶりだすために、示し合わせた虚偽の証言だったとしたら?
ああ、これだから人狼騒動はやっかいなのだ。
敵は人狼だけではない。むしろニンゲン同士の疑心暗鬼こそが、最大の敵となる……。
わたしは過去いくどとない転生の中で、この恐るべき敵に何度も敗北を喫することになった。
人外どもより恐ろしい敵。
人の世でなによりも恐ろしいもの。
それはほかならぬ人自身。
誰が最初にそう言ったのか]
ヨアヒムの推測>>68はとりあえずの共感を得やすいものだろう。
だが、エルナの瞳の奥に見せていた光が、それだけの単純な理由だとは認めさせない。
シモンはその出自にふさわしい冷静な言動(>>63〜)を見せる。
人間ならば心強いが、そうでなければもっとも手ごわいタイプの相手だ。
『元々、人を喰い慣れて無かったのかもな。>>71』
……ずいぶんと人狼の側に寄った言葉ではないか?
出かかった疑念を喉元で止めた。
ダメだ。今はまだこの男に警戒されたくない。
それにこれまでの"リーザ"から出てくる言葉ではない。
リーネが三人のアリバイを補強してくれる>>72。
だが、そのままこの場を離れてしまった。
エルナとの深い絆をにおわせて>>73
いますぐ彼女を追いたい衝動に駆られるが、ぐっと抑える。
そしてわたしは、自分の長い沈黙をようやく破る>>78]
『お姉ちゃん、オオカミさんはいつやってくるの?』
『私、オオカミさんといっぱい遊ぶの!』
『将来はね、オオカミさんのお嫁さんになるんだ』
[それはリーザの台詞?
いいや、それは幼い頃のカタリーネ自身の言葉。]
[ニコラス>>87に内心の同意を示しつつ、クララへの疑い>>89をかけるや否やという瞬間に、わたしは]
リーネおねえちゃんを探してくる!!
[と言い捨てて、談話室を飛び出した。
もちろん彼女の行く当てなど検討もつかない。
レムスの持つ土地勘と嗅覚が頼りだ。
彼女は人間だ。直感がそう告げる。狼が好きだと言った彼女。それは自分が人狼であるという意味とはまるで別のものではなかったか。わからない。だが、彼女は何かを知っているのではないか。
だとしたら。
彼女の絶望を知らなければならない。
この判断こそが魔の誘いかもしれぬという考えを、今は振り払った]**
[雨の中カタリーネはどこへ向かう?
頬を濡らすのは雨粒か、それとも涙か。
カタリーネにも親が居て、そして兄弟が居た。
しかし、それは理想の家族からはかけ離れていた。
末っ子として産まれたカタリーネは親から真っ当な愛を受けて育つ事はなかった。
特段酷い事をされた訳ではない。
代わりにそれは、徹底的な無視として現れた。
森の動物たちだけが、赤ずきんの友達だった。]
[特に仲が良かったのは、オオカミだった。
勘違いをしてはいけない、人狼でなく、それは人の敵でも味方でもない、ごく普通のオオカミ。
老狼には自然を生き抜く知恵を、
成狼にはそれまで知らなかった親の愛情を、
仔狼には仲間を信じる大切さを教わった。
そんな彼女が"人狼"の言葉を知ったのはいつだったか。
彼女には理解できなかった。
何故、美しい狼の姿を捨ててまで、人の姿をとるのかと。]
―談話室―
[話し合いの場面をただただ見つめる]
……何もできないというのは…嫌ですね。
[間違えてたとしても合っていたとしても
伝えることができない
ニコラスのそばで目を細めて様子を見つめていた*]
[ある時、一晩森で明かした朝に帰ると、そこに生きた家族は居なかった。
その場で何があったのか。
彼女はすぐに理解できた。
不思議と怖くは無かった。
自分は解放されたのだと、ほっとする気持ちすらもあった。]
私を呼んでいるのかい?
ごめんよ。
お土産、あげられないかも知れないや。
[遙か彼方より聞こえた遠吠えに、ピュアーっと不思議な音色の口笛で返した。]
[幸せは長くは続かなかった。
度重なる人狼騒動。
その渦中にあってカタリーネはオオカミを引き連れた不気味な少女として懐疑の目に晒され続けたのだった。
オオカミずきん、それが彼女に付けられた通り名だった。
1匹、また1匹と。
あらぬ誤解で仲間を失った。
だから怒りを押し殺して決心した。
人狼が自分の前に現れたのなら、人の代わりの餌を探してやろう。
それすらも叶わぬのなら、この手で全てを終わらせてやる。
その日カタリーネは羊飼いになった。]
[この村へ移り住んだのはそれから間もない頃。
村人達からは、ただの羊飼いとしか思われなかった。
時々ジムゾンのいる教会へ行き、ゲルトに仕事を押し付けられ、そんな生活。
いずれ記憶は過去の物となり、すっかり普通の羊飼いとなっていた。]
それなのに・・・・・・!
[強く唇を噛む。]
[シーツのお弔いを見つめながら
クララとヨアヒムが真実に近づきつつあるのを聞きながら、
たまらない思いでいた
気づいてしまったなら、クララがどうするか
それを考えたら途端に怖くなった
仲間がいると悟られてはいけない
エルナには我慢できなかった飢えも、彼なら
ここから出るまで我慢できていたかもしれないのに]
[噛まれた“腕”の意味を考えて
宿の受付でカタリーネと一緒にもめたあの日
支えようと伸ばした手を、彼は取ってくれなかった>>0:34
守られることなど望んではいなかったのかもしれない
シモンが――ロートが本当にしたかったこと
聞いても直接答えが返ってくることはなかったけれど
彼の望む教え子にはなれなかったのかもしれないと
そう思った
残念なことだ 気づかないまま、別れを告げてしまったことが
後悔の念をぶら下げながら、その場を後にする
今の自分にできることはなにか 考えながらクララの行方を追った
彼女がどうするか過る不安を晴らす方法はないかと考えながら
跡をついて行った]
[瞳の色を無くしたカタリーネは、小屋に立てかけてあった刃物を手に取った。
そのままゆらっと羊達のいるほうへと向かう。
出発の時間か。
そう思ったのだろうか、羊達は立ち上がり、カタリーネのほうへと寄ってくる。
そして。]
ザシュッ
[いきなり鉈を振り上げると、目の前まで来ていた羊を斬り殺した。]
ザシュッ
[屠殺ではなく、力任せに乱雑に。
羊を叩き斬っていく。]
ザシュッ
[羊達の叫び声が、村中に響き渡った。]
…………
[自身の意見を肯定するかの台詞>>71を、瞬きだけで受け止めた。
そうして疑念を抱いた二人へ視線を送るが、ふと、思い出したようにシモンへと向き直る]
“喰い慣れて無かったのかも”……
[先程聞いた言葉をなぞるように繰り返して、僅かに首を傾ぐ]
シモンさん、人狼について……何か知っていますか?
[過程を省略して真っ先に口に出したのは問いだ。
彼がその問いの理由を尋ねたか、あるいは説明不足と思って自ら付け足したのが先か、どちらにせよ続けて]
人狼が、人を襲う、食べる……
その理由が食欲なのか、それ以外なのかは知りません。
でも、……慣れてない、とは思わなかったので。
[エルナを見る限り、人狼が彼女の姿を真似て成り代わった、とは思わなかった。決して親しくはなかったが、昔の記憶にある彼女の延長線にあったと、この日が訪れるまで決して気付きはしなかったが、元から人狼であったのだと考えた。
で、あれば。今までも――自分たちの知らない間に、人を食らって生きていたのだろう、と、思い込んだ。
真実などこの手に無く目にも見えず、重ねるのは仮定と推論のみ。真実は永久に眠る黒髪の彼女が秘めたまま。そう、これは全て想像の中]
喰い慣れた、あるいは、喰い慣れていない。
人狼はもっと狡猾だ、とか……
そういうことを、知っているように思えたので。
シモンさん……経験が、あるんですか?
[ぽつりぽつり、内心を言葉にして並べて、冒頭の問いを形を変えて再び告げる。
それは決して“人狼”か、とまっすぐな疑念になるようなものではない。だが、経験があるならば、何故明かさなかったのか、とは問うだろう。
無論、それ以前に、エルナの振る舞いから想像を膨らませただけと否定されたなら、それはそれで受け止めざるを得ないのだが。
眼差しは物静かに、男をじっと見ている]
―― 村の西のはずれ ――
廃坑まで探すとなると面倒だぞ…。
[レムスはひとりごちた。全力で駆けており、足が地面を蹴るたびに雨水と泥のしぶきが跳ね上がり、足元をしたたか濡らす。
エルナの服は血と雨水と泥でぐしゃぐしゃだ。
赤い傘は置いて来た。傘をさして雨空の下を散歩している場合ではない]
どこだどこだどこだ!!
さがせさがせさがせさがせ!!
目を凝らせ、耳を澄ませ、鼻を利かせろ!
[人が歩きそうなところをしらみつぶしに探す。
そんななか、思わず"リーザ"の家の前を通りかかってしまった]
つっ!!
[頭痛。
"リーザ"が無理に忘れようとしていた意識。
母の存在。
この人狼騒動で、母は、一人で、逃げ出せたのか。
動悸が止まらない。
雨に打たれているというのに、レムスは冷や汗をかくのを感じる。
だが、その足は家の中へ。
…………もぬけの殻だった]
(誰かが、逃がしてくれた……? でも、誰が……)
[思案しかけたそのとき、羊の群れが断末魔の声を上げているのが、レムスの耳に届いた]
[誰かが出て行っても疑心暗鬼になっても
ただ、ただぼんやりと見つめるだけ]
なんで、素直に生きてほしいと言わなかったんでしょうね、私。
[ニコラスを見つめてぽつりと呟いて]
(私は守るものでもないし。
彼を見守る権利もないのかもしれませんが。
彼が襲われてしまうなら…庇いそうになるんでしょうね。
……なににもならないというのに。)
[死んだ者は何もできない
死は救いなのだから死んだ者に祈りなどいらない
そう思いたくはないのだけれど
何もできない自分を考えて俯く**]
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