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>>129 ルーツ
「おはゼウス!……もう夜だけど。
とってもサンドイッチおいしかったの。
マーマレードもくださるのね?紅茶に入れて飲んでみるのなんてどうかしら?
ああでも……その前に。」
瓶にスプーンを差し入れ、ひと口。
「とってもおいしい……!
これは重労働の始まりの予感だわ!」
いつまでこんな冗談を言い合えるのか。
それでもこの時間が愛しかった。
4日目となると少しずつみんなの行動パターンがわかってくる。
その中でもわかりやすい男が1人。かの大食漢である。
彼はだいたい同じ時間に調理場に来て、食べ物を漁って颯爽と去る。
そして今日もまたそろそろ来るだろう。
私はメモを残してその場を去る。
>>ダズリー
「人嫌いさんへ
貰ったオレンジでマーマレードを作りました。
別に友達だから、とかじゃなくて、
これはパンのお礼です。
これ、パンのにつけて食べてみてください。
お口に合うことを祈ってます。
喋るのが苦手なルーツより」
>>オビゼビオ
「言ってしまったものは仕方無いわ。
【指示があるまで、誰を護衛していたかは言わなくていい】
決定時間を延長させます。」
リーンはサラの決定を静かに聞いていた。
まわりでは白熱したやりとりが行われていたが、どうにもリーンには居心地が悪かった。
……こんな時に興味を持てないなんて、新聞屋として失格かな…。
オブゼビオさんが今日、その刻を止められる。
>>164 サラ
「サラお姉さん、今日もありがとう。決定聞いたよ。委任のことも。
サラお姉さん、………ピリピリしている。勝手に言ってしまったオブゼビオさんが良くなかったのかもしれないけれど、命を終わらせてしまう人に対してその言い方は、もう少し考えるべきだと思う。」
「おや、すみません。加護を無駄にする訳にはいきませんので。
もちろん何処に肩入れしていたかは申し上げるつもりはありませんよ。」
──時は少し戻って。朝。
>>51 オブゼビオ
「委細、か?……そう言えば言ってなかったか。」
確かに、どこにどうあったのか、詳しい説明はしていなかったなと思い返す。そして、ひとつ頷くと、彼に向き直る。
「時計を分解して、パーツの一つ一つを確認していくんだ。傷つけたり、失くしたりしないよう、丁寧にな。
……で、アーネストは地板に。グレゴリオは香箱の裏に、その線があった。
時計ってのは精密な機械だ。小さな傷や少しの磁気で簡単に狂っちまう。命の時計なら、特にな。
それなのに、そんな線があったらおかしいと思うだろ?ましてや、紋章のようなものを描いてたならさ。
まぁ、時計の"一部"を持ち帰って分解してるから、それがどんな模様かまでは分からねぇ。すまねぇな。」
こんなもんでいいか?と付け加えれば、説明を終えた。
>>+23 ブレイク
……………ああ。で?恨めばいいわけ?ぶっちゃけあんたらの事はよく分かんないし、何処を恨めばいいのかさっぱり。せいぜい魔女のババアが疎ましく思ってるくらいだろ?
アンタはアンタの葛藤があるのかは知らないけど、俺はただ一つ、俺たちのマザークロックを奪った連中が許せないだけだし。………俺の技術を当たり前みたいに使おうとしてるのが気に食わない。ルクレースの体に入ったのはトッティだよな。あいつ許せねえ………生きて帰ったら容赦なく殺す。
………なんで、いたずらに人の魂を結び付けたりしてる訳?楽しいの?
気がつけば、今日も決定が出ているようだった。向こうに比べてこちら側に響く声の数は少ない。自然と向こうに意識が行くのも仕方ないことだろう。
「てっきり、共鳴者かと思っていたのだけど。騎士か…」
>>175サラさん
「全く気にしていませんよ。
私にもやるべき事があるように、貴女も貴女のやるべき事がある。
茶事ですよ。」
『【2→3日目】
ヘンリエッタさんを護衛
【3→4日目】
ヘンリエッタさんを護衛』
「昨日はルクレースさんとかなり迷いました。
しかし、私の話でも分かるようにヘンリエッタさんを本物の賢者として於けば、ルクレースさんーブレイクさんという糸を握るよりは痛手は防げます。」
[パタンと本を閉じてため息をつく。]
「有益な情報がなくて申し訳ありません。
私が【騎士の真似事】をしている可能性もあるのでそれはお忘れなきよう。」
>>178 ダズリー
[地上に目を向けると、昨日私の中に入っていた――すなわち、最初のトッティである人物が、自身の時計を加工しているのがわかる。
その様子を見て、ルクレースは少し胸が痛んだ。]
(――トッティさんは、アーネストさんが時計を壊されると知って悲しんでいた。
私にはわからないけれど……トッティさんにとっても、アーネストさんは特別な人だったのかな)
[昨日は自分の身体をもてあそばれていたこともあり、怒りと悲しみで感情が支配されていた。
しかし、今は少し冷静に、彼女を見ることができる。
彼女も彼女なりの苦悩があるのかもしれない。そう考えたら、昨日の行動も少しだけ、ほんの少しだけ許せる気がした。]
>>+27 グレゴリオ
『……っふ、ははははははは!』
/☼あいつは大きな声を出して、笑い始めた。それはもう、笑いすぎて涙が出るほどに。
ひとしきり笑えば溢れる涙を拭ってグレゴリオに向き直る。口の端と端を上げて口角は弧を描いた。☼/
『幼子か獣か!お前はまだ自身を人と名乗るんだな!……なら。』
/☼傭兵仕込みの素早いアッパーはグレゴリオの顎を掴む。身動きを封じれば、その右目に徒手を突っ込ませた。
かなりの速さだ。避ける事は、いや実体を伴う事がないこの身は彼の目を抉り出せただろうか?☼/
『ーーー君は人か獣か、試してみようじゃないか。』
/☼悪魔は、この身がどうなろうと構わないといった素振りで、新しい玩具を得た子供の如く言ってみせるのだった。
ブレイクは悪魔を止める間もなく、ただ悲痛な雄叫びをあげるのみだった。
悪魔の傀儡に、止める手段はない。☼/
[ふと、自身にかけられていたアーネストの上着をにぎりしめる。
結局、姿が見えなかったので服を返すことも、手当のお礼もできていない。]
(……お話が、したい)
[手当のお礼の後に何を話そうかなんて、考えてもいなかったけれど。
上着を持って、彼女はアーネストを探し始めた。]
>>アーネスト
アーネストさん……いらっしゃいませんか?
[か細い声を出しながら、彼女は歩き出した。]
一人、物思いにふける。
私を見ているかどうかは別として、いつだって人の姿が音が溢れていた。ここまで静かな、人の気配を感じられないのは何時ぶりだろう。
朝目覚めれば、その日の命の繋ぎ方を考え。
夜眠る前には、怯えながらも次の朝日を願う。
ここには、それすら無い。死んでいるから当然なのだが。
時間があるというのは、何よりも恵まれている証拠かもしれないが、持て余した時間は自らを蝕む毒ともなり得るらしい。過去の情景が蘇り、瞼の裏に映る。
>>78 アイリーン
「おう!どーいたしまして。」
アイリーンが前を向けば、手を止める。彼女の今の胸の内は知ることができない。けれど、少しでも気持ちが伝わっていたらいいと、そう思う。
そうして、うんと伸びをすれば盛大に息を吐き出した。
「……んじゃ、まぁ、俺はコイツに意見も吹き込み終わったし、ひと休みしてくるわ。
キシシ、久しぶりにバカ真面目に考えたんで頭が痛てーんだ。ちょっと向こうで休んでくるな。」
蓄音機を見ながらそう言うと、自身の頭を指さしながら苦笑する。
彼女が何か止めることがなければ、手を振ってその場を後にしたことだ。
>>95 アイリーン
聞いた割に頭に何も入ってこない。申し訳なく思う。
今はただ彼女の声を聞きたかったのかもしれない。
ゼウス「ありがとうじゃ、とても参考になった。」
幸い?彼女の思考は私のそれと似通っていた。
リンクして考えを整理することができる。
理解者「レーヴさんが嘘をついているようには私も見えない。
彼が本物なら、それは、とてもいい事なのだけれど。」
何となく歯切れが悪くなってしまう。だって伝えたいことは違うことなのだから。
私は彼女に伝えたいことがある。
理解者「夜、塔の上に来てくれる?」
それだけ言うと私は背を向けて、その場を去る。
そして果たすべきことを全て果たさなければその時は来ない。
「考え中につきお待ち遊ばせ
チックタックと時計の音を聞きながらね。
【待てそうに無い人もそうでない人も、私に投票を委任しておいて】」
>>151 アベル
………………あー、うるっさ。
(バナナを齧っている時に、周りをちょろちょろしてるやつがいると思ったら。敢えて見ないようにしていたのにコレだ。あの日、王宮で姿を変えたコイツのことは忘れもしない。目を合わせないように手に持ったバナナに集中する。)
…………わざわざ人が食ってる物に寄らなくていいだろ。俺は俺の空腹を満たすので忙しんだよ。
対価は要らないから…………、ほら。これでどっか行け。
(ぽい、とバナナを一本ちぎって竜もどきに投げた。胃の底から怒りがフツフツと沸いてくる。これ以上関わるとろくなことにならなそうだ。)
>>+28 ダズリー
そう、か。……早くにここに来た俺はともかく、もう片方はまだ《マザークロック》を騒ぎに乗じて横取りする気でいるようだが。……いや、あんたがそう言うなら深入りはしないぜ。
/☼わかっていてそう言ったのだろうと察してはいるが、確認するように口ごもれば僅かに口の端を上げた。
殺す。その言葉に悪魔は抱腹絶倒の大笑いをしている。人の殺意とは可愛らしいものだな!とご満悦なあいつを放置し、俺は言葉を続けた。☼/
……人と人を結びつける力。それはオマケみたいなモンだよ。尤も、俺はまだ持ってねえけどな。
少なくとも俺は、その力ではなくーーー魂を渡した先の願いの為にここに来ている。
/☼かつて、悪魔を召喚せしめてまで叶えた悲願。それこそが俺が蝙蝠人間になった理由なのだから。☼/
>>+31 ブレイク
ふと、現実へ意識を戻せばブレイクがそれは楽しそうに、苦しげに笑っていた。
「お兄さんよりはまだね」
どれ程自分が魔女に染め上げられているのか分からない。とうの昔にグレゴリオという人物は消え失せてしまっている可能性だってある。しかし、今の私は、私が人間であるといえる。善良であるかどうかは加味しないが。
人ならざるものの動きを警戒していなかった訳では無い。しかし、彼の動きはとても避けられるものでは無かった。何の訓練も受けていない一般人には無理な話だろう。
「…言ったはずだ、私は人間だと」
この身体は痛みを感じるのだろうか。出来れば、感じたくは無いが。
「お待たせしたわね
本決定をお知らせするわ。
視る対象は変わらず
時を砕くのは。……。
【セレナ】
【セレナは何者であるかを名乗らなくて良い】
騎士には護衛の指示をします
【オブゼビオは私の護衛を
潜んでいる騎士は、ヘンリエッタの護衛をするように】
……セレナは、命の時計の最後を託したい相手がいるのなら、申し出て構わないわ」
>>176 サラ
「ううん。誰かの命の行方を握っているサラお姉さんが一番大変なのは、わかっているつもり、だから、私もごめんね。
………落ち着いてくれてよかった。」
サラの体の痛々しさは相変わらずだった。
……だいぶ、凡人にはこなしきれないリハビリをしているようだから、案外心配しすぎな気もしないでもないが。
恐がらせてしまったか、その問いには答えに詰まって、小さく首を横に振るった。
こわくないわけでは、ない。
だって、誰かの命を砕くこの行為は、紛れもなく魔女の眷属としていることは同じだから…。
それでも自分が見たことないような、彼女のしょんぼりした姿を見たならば、リーンは少しだけ笑って昨日は迷った彼女の手を取り優しく撫でた。
>>+26 グレゴリオ
「ははは、君達『時計の国の住人』にとっては『その位』の情報かも知れないが、私としては知りうる事が難しいものさ。
何せ君たちの命、人生そのものだろう。聞くことも、この手に触れることもまず無い代物だ。」
「故に…」と。目を細め声のトーンを下げ彼の耳へ届けよう。
「私は時計が欲しくてね。勿論、カケラで構わないのだが。手に入れる伝はないかね?
勿論使わないのなら…君のものでも構わないのだが。
悪い話ではないと思うが?」
こんな時の商談は笑みを浮かべることにしている。
そっと彼の肩へ手を回し、見えるようにバケツへ銀貨を更に1枚入れてやる。
「【委細承知しました。】」
「私は聞いておいて良いと思いますよ。
抑止力については同調しますが、私のように騎士として出たという後々に効く抑止力もあります。
終盤に差し掛かって、騎士を名乗る輩が現れて信じられるのか、というのにも疑問が残ります。」
「反論というのは特にはないネ。能力を聞かないというのモ、オブゼビオの時からそのつもりだったのでしょウ。それなら、ワタシは従いますヨ」
>>+35 グレゴリオ
/☼人間だと言い張る言葉に、顔の筋肉が引き上がる。悪夢の心からの悦楽に、意思に反する行いに、俺の体は耐えられるだろうか。
あいつはそんな事をお構いなしに、中指と親指を瞼と目の筋肉を掻き分けるように突っ込む。
グチュリ、ツプ、グチャ。
筋肉の裂ける音が、溢れ出す血が指を伝って床に零れる。
目の根元に俺の太く固い指が到達すれば、恍惚の表情のまま嘆息を付く。
つつ、と丸い眼球の形を指でなぞれば筋肉が、血管が千切れる。肉の感触を一頻り楽しんだ後に、手のひらと指で眼球を固定し、形を崩さぬように、名残惜しそうにゆっくりと引き抜いていく。
ズルリと繋がっていた神経が引き抜かれていく様を、指や胸に生暖かい血が滴るのを厭わずに眺める。
筋肉や血管をちぎっていた事もあり、比較的簡単にグレゴリオの右目はブレイクの手中に収まった。
目を引き抜いてしまえば本体は要らないと、顎へ固定していた手はあっさりと離す。☼/
『……ね、どうだった?目を引き抜かれる感触は。これでもまだ、自分は”人”だと言える?』
/☼赤い舌でべろりと、まるで飴玉でも舐めるように目玉を舐めながら悪魔は問うた。☼/
「セレナお姉さんを…?」
初めて彼女の名前を口にする。
名前は知っていたが、彼女から聞いたわけではなかった為、まだ呼んだことはなかった。
彼女が選ばれたことはもちろん、その決断をしたのがサラだということにも、リーンは驚きを隠せないでいた。
「騎士かどうかを聞くのは一長一短だから、どうとも言えない。元々サラお姉さんの方針が抑止力に頼りたい考えだと思っていたから、そこはお任せするよ。」
「このあとのために……みんなに告げておくわ。
【私は絶対にこの国に反旗を翻す陣営ではないわ。】
それは、今日の考察を聞き返してくれればわかるはずよ。
反陣営だとしたら、今日の考察内容をつらつら話すことは絶対にできないわ。
あとは……
いいえ、もう、いいわ」
>>+36 ドアン
ああ、これだから商人というのは厄介だと内心で思う。他国の人間からしてみれば、この国の秘宝が欲しいぐらいの感覚なのかもしれないが。
「私の時計はお断りするよ。あれは、私の心臓。いくら下層階級だからといっても、この身体がこれっぽちの価値だとは思いたくない」
バケツを揺らせば、中で三枚の硬貨が跳ねる。
「だが、私も昔は商売人でして。頂いた分の情報は払いましょう。
時計が欲しい、でしたっけ。なら、簡単な話だ。
この国には、私のような身分の人間が少なくない。元は労働階級の者が落ちぶれた者もいれば、生まれた時からそうであり、読み書きもままならない者まで。
住居と食事を保証してやれば、喜んで股を開く人間などいくらでもいるよ、あそこは。まさか、不能って訳じゃないでしょう?仮にそうだとしても買う人数が一人増えるだけだ」
>>セレナ
「時を響かせ合った結果、思考を纏めたわ。ごめんなさい。
セレナは
【手応えがあった騎士であるなら名乗り出ても構わない】
騎士では無い、と言う必要はありません」
「……なるべく読まれないように、私は占いを考えるだけ。希望した方がひとり入っているのね。ならばよく考えないと。
明日からは、明日があるなら。
3人、または4人希望を出すわ。
そして、【私は自分でセレナに投票をしています】。
占う相手も決めました。」
>>+35 ブレイク
……は?マジで?………あーうっざ。ほんとうざい。俺たちに干渉しないところでやってろよ邪魔だな…。
(魔女のババアが懸念する立場なのだからマザークロックを狙っているのは当然だったか。そこを気にしていなかった自分に呆れため息を吐く)
……あっそ。全部どうでもいい。俺たちは勝つ。……と、思う。
>>+37 ブレイク
っ………
(目の前で始まったのは圧倒的破壊だった。大きい力の前では意思も知恵も無力になってしまうことが多い。彼の一方的な暴力に、大きく見開いて嫌悪と恐怖の眼差しを向ける。
自分が施設にいた時もそうだった。1人の男が、自分の思い通りに元気いっぱい遊ばない子供を、裏で何度も何度もぶってきた。逆らえば逆らうほど、立場が悪くなるだけだった。
自分のからだを自分で抱き締め、震えをなんとか抑えようとする。それでもやっぱり、目の前のあれが心底怖かったのだ。何よりも)
>>+37 ブレイク
思った程の痛みは無い。完全に痛覚が無くなっているわけでも無さそうだが。それよりも違和感、未知の感覚が、嫌悪感を煽る。バランスの崩れた視界を誤魔化そうと、右目を瞑る。
右目の奥がちりちりと焼けるように痛む。頬を濡らすのは涙なんて綺麗なものじゃないのだろう。きっと、今自分の姿を見れば、酷い格好をしているに違いない。
プライドなんて、いつもの様に捨てていればこんな目には合わなかったのに。そうしなかったのは、吹っ切れたからか、それとも──
「ああ…感想だったか。最悪だな。
まだ人であるかって?愚問だな。
この場で私は何一つ変わっていないさ。落ちていくのはお前だけだよ、ブレイク・マーキュリー」
これはただの虚勢だ。だが、それでも少しは諦めない自分がどうなるのかを試してみたかったのかもしれない。
>>111 ルーツ
彼女の心はどこにあるのだろうか。
話しながら、おもう。
なんだか今日のルーちゃんは、いつもと違った。
余所余所しい…?ううん、こんな状況なんだから当たり前。答えの出ない問答が次から次へと出ては消える。
「塔の上、うん。わかったよ。ふふ、塔の上に登るなんて、初めてだよ。」
そう言って、場の空気を和らげようと少し笑って見せるも、彼女の表情はどうだったのだろうか。
立ち去っていく彼女の背中を見送れば。
リーンの手に残ったのは、甘くてほんのり苦いマーマレードジャム。
[サラがセレナと共に消えていくのを見えて、考えをメモに書き、重石を載せて置き去る。]
>>2サラさん
「
U)賢者の結果を見て考える事
軸となるのは、ルクレースさんが本物か否かという事でしょうね。
先程、ルクレースさんとブレイクさんが本物同士である事はほぼほぼない>>52とメモに書いたのですが、
@ブレイクさんが呪いの賢者を視た
Aルクレースさんがブレイクさんを視た
のであれば、成立する事は蓄音機の中で拝聴しました。
なのでここに関しては考察を巡らせているダズリーさんは私の中で信用のおける位置にいます。
私もここの事でずっと頭を抱えていますから。
U-@)
ルクレースさんとブレイクさんが本物の賢者
ヘンリエッタさんに視られたリリアーヌさんとダズリーさんは、盤面上、魔女の主犯格である可能性が上がりますね。ここから犠牲になる事があれば、疑わざるを得ません。
U-A)ルクレースさんとヘンリエッタさんが本物の賢者
ブレイクさんは悪魔側の陣営。
トッティさんはルクレースさんを乗っ取った可能性があります。占われて結果を出されるよりは、ルクレースさんに憑依した方がその場を凌げます。
トッティさんが襲われたと言うのであれば、今日のヘンリエッタさんの結果を合わせると、何故そこなのだろう、という疑問は解消できません。
トッティさんが溶けたというのであれば、それはそれです。
U-B)ブレイクさんとヘンリエッタさんが本物の賢者
ブレイクさんは呪の主犯格を視てしまった。
それを隠蔽するようにルクレースさんが賢者を騙る。
騙ったのが憑の主犯格ならば、U-A)に思考は合流する。』
「以上からヘンリエッタさんを守れば損はないと判断しました。結果が奮わず落胆させたのは申し訳ありません。賭け事はしない性質なので。」
>>+39 ダズリー
……それは、俺達も同じ意見だ。尤も、こちらの陣営目線がという意味だが。
/☼そうだなと頷ければ、どれ程楽な事か。だが、袂を分けたのは自分なのだからと敢えて冷たい言葉を選んだ。☼/
……どうであれ、あんたの幸せを願おう。ダズリーの実直さは、嫌いじゃないぜ。これは、本当だ。
/☼今時見かける事が少ない真っ直ぐな青年に別れを告げ、その場を離れる。その後、あんな事になるとはこの時の俺は思いもしなかった。☼/
━━━━━━━━━━━━━━━
/☼恐怖で引き攣る目線を感じて、そちらを向く。青ざめた赤髪の美女は”私”を見ている。
誰だって強大な力は怖い。眷属に乗っ取られた平凡な青年よ。君の反応は極々当然の行いだ。君のその実直さを大事にし給えよ。
言葉に出す事はしなかったが、血に塗れた顔面のまま、端正に微笑んでみせた。
ひらり、とらしくもなく彼に手を振ってみせただろう。☼/
「今日は...喋りすぎました。」
[ふらふらと歩くとそこには噴水。
全てはここから始まったと言っても過言では無い。]
✑──────────
[観測者でいるはずなのに、どうしてマザー・クロックはこんな使命を与えたのだろう。
歴史に介入する事は許されない。それは観測者の掟。
恩恵に目がくらみ、親和させ過ぎた、一族への仕返しなのか。
これで私は家に帰れなくなった。]
──────────✑
「只の、物書きだ。」
>>216 アベル
「マスクといえば2人いますが、どちらのことかは想像がつきましタ。勿体ない方デスねぇ。
因みに、2,3枚売っていただけないでしょうカ?足の1本や2本は差し上げますのデ 」
あの医者なら、小言を言いながらも話を聞くだろう。…どうせ脚は生やせるのだからと、ちょっとした交渉をする。高価と言うには命でも捧げないといけないのだろうか。
「持ち物や見た目は、ただの人間でも偽装できますからねェ。―――という調子でただのドラゴンと言うのはおかしくありませんカ?お願いですかラその姿のままでいてくださイ。ドラゴンが住めるようには出来ていませンからね、この街は」
衝撃の事実をさらっと告げられて、正直に言えば引いた。この辺りではとかそういう問題ではなく、普通に暮らしてドラゴンに出くわすことなどあってたまるか。
>>エルス先生
「もしよろしければ絆創膏を1枚くださいな。
昨日の晩だけど少しだけ、指を切ってしまったの。」
傷はもう痛くないが、何となくそうしたくなったのでエルスの所に話しかけに行った。
「どなたかとお話しされたいと聞いています。
お邪魔はしないから指の切り傷を診てくださいな」
>>+41 ドアン
特別な。その強調された言葉にグレゴリオは納得する。
ただの命の時計では飽き足らず、魔女の加護を受けた時計、或いはマザークロックの加護でもいいのかもしれないが。そのどちらかを望んでいるということだろうか。
「あいにく、人身売買に手を出したことはなくてね。ましてや自分の価値など計り知れない。
たとえ壊れたガラクタでも、あれは私の心臓。それにどれ程の価値を見い出してくれるのかを私は知りたい」
まだ、誰かに必要とされるのか、その時にどれ程の価値があるのかを知りたくなった。
開けてはならないパンドラの箱なのかもしれない。箱の底にも希望なんてないのかもしれない。
「私にいくら払える?」
誰かに存在を認めてもらいたいと、ずっと願っていた。
*/
霧が晴れて雲も退き、覗く隙間からまた黒い景色。
夜闇がこの国の空を縫うようにして覗くのが、シルヴィにとっては少しの楽しみでもある。
人工的に黒く染まった空に比べれば、なんと澄んで鮮やかなことだろう。
冷たい夜風に身体を煽られながら、彼女は誰も寄り付かない時計台の屋根で短い髪をたなびかせていた。
一つ。
この国の景色を、塗り替えたようで。
それが持つべき感情かはさておき−−少々嬉しいと感じている。
/*
>>224 サラ
「……そう。貴女は、そうよね。
私は…………
貴女にだけは、信じていて欲しかった!
他の誰が私を疑ったって構わない、
周りにいる全員が、私を指差して偽物だって罵ったって構わない、
貴女にだけは!信じていて、ほしかった、のに
…………ねぇ……どうして…………
どうして……どうしてよぉ…………!
ぁぁ……ぁ…ぁぁぁ…!!」
そうしてセレナはその場に頽れる。
そこにはいつもの強気なセレナはいなかった。
一番信じてほしかった人に信じてもらえなかった悲しみを抑えることができずに、ただただ目の前のサラに甘えて泣き叫ぶ、凡庸な少女でしかなかった。
>>リーン
こつん、こつんと靴の音を響かせ、リーンは人のいない螺旋階段を上がっていく。
友人との約束は、とても嬉しいもの。きっといつもの私なら、城下町を駆け回るように、この階段も駆け上がっていっただろう。
ゆっくりと、一歩一歩上がっていけば、やがて扉の前へと辿り着く。
大きく息を一つ吐き、リーンはその扉を開けた。
夜風が頬を撫でる。
その風は昼間よりほんの少し冷たかったが、刺すようなそれではなく。逆に気持ちのいいものだった。
「ルーちゃん、こんばんは。」
夜空を眺める、目的の人物を見つければ駆け寄って。
リーンも同じように、いつもよりも近く晴れた、その夜空を見上げた。
>>+39 ダズリー
>>+43 ブレイク
[アーネストを探すため、きょろきょろと辺りを見渡していると。
また、昨夜のように人を痛めつけるブレイクの姿が視界に入る。
震える身体には、昨日の恐怖が埋められていて。ブレイクを止めに走ることは、今日はできない。
――ただ、自分と同じように震えている、自分の身体をした、ダズリーが目に入って。
ブレイクの視線が、彼に向いたことにも気づいて。
気づけば彼女は、動いていた。]
、離れましょう。
[彼女はそっと、ダズリーの手を取る。
そうして、ブレイクから離れるように速足で駆け出した。
彼は、ついてきてくれるだろうか。]
〜城の塔へと登る前〜
>>227 オブゼビオ
「オブゼビオさん!」
辺りをきょろきょろとしているオブゼビオを見つけて駆け寄る。
今日、彼の命が砕けてしまうかもしれないと知り、リーンは未だ果たせていなかった約束を思い出していた。
鞄の中から取り出したのは、今朝書き上げたばかりの新聞。
両手に持てばどうぞと言って彼に渡す。
「よかった、居てくれて……」
その言葉は紛れもなく本心だ。
代わりにセレナの刻が止まることには目を瞑りながら。
[奇妙な所から時計が砕けるのならば、私に憑依されている可能性が高い。
それも忘れぬように。もしそうなったら明日砕かれるのは私だが、私ではない。良くはない·····が。他人に乗っ取られるよりはマシだ]
>>226 ジュラム
え? ああ……うん、ここにいる間はそのつもりでいるよ。
だから安心してくれ。人間が棲む街では、あの姿は色々と不便だからね。
[いつか別の誰かにもしたような言葉を返しながら、アベルは彼の交渉に唇をあげる]
ははっ、いいよ。別に減るものじゃないし。……いや、だからって削ぎ落とされるのは困るけど。抜けてもまた生えてくるからね。
すごいね……足の一本や二本って。でも、いいや。
僕、肉は好きだけど、人間はあまり好まないんだ。食べるところがあまりないだろう?
そうだな。じゃあ、全てが終わるまでにキミの時が止まっていなければ、何枚か譲ってあげるよ。
>>232セレナ
「信じたくない、訳が無いじゃない!!!!」
サラは。もしかしたら産まれて初めて、こんな叫び方をしたかもしれない。
貴族としての優雅さも。自分としての、強さの誇りを見せないような。
今のセレナと同じ。只の、少女の叫び声だ。
サラは、躊躇していた脚を進めて。セレナの頭を、抱き締めた。
「貴女が!私の在り方を、美しいと、魅力的だと言ってくれたから!私は、例え貴女の時を止めても、そうであろうと思ったのに!
そんなこと、そんなこと言わないで……!
信じたくなかったら!信じていなかったら!
私の命の宝石を。私の時の一部を、貴女に渡したりなんか、するはず無いのに!」
これはきっと、別れるのが悲しい涙だ。
自分が決めて。自分が処するのに。悲しい涙を流すだなんて、矛盾している。間違いだ。流すべきでも、哀しむべきでも。嘆くべきでもない。
それは、これまでの時間への冒涜だと、分かっているのに。
涙が、止まってくれない
>>233 エルス先生
「あんまり痛いわけではないの。
でも、何だか痛いことを今我慢したくないの。
竜のアベルがね、涙が出ないのは心を守れていない、なんて言うのよ?
……まだ涙は出そうにないんだけど。
指をこんなに切ったのは初めて。
でも、こんなの大したことないって先生に言って欲しくて。」
縫うまでもないだろうが、押せばまだ血が出てくるだろう指先をエルスに診てもらう。
サラがあれほどの怪我をしたのにまだ立ち上がろうとしているのに、指先の切り傷すら気にしている自分は情けない、と大人に示して欲しい気分だった。
>>+40 グレゴリオ
/☼溢れ出る生理的な涙。苦悶が刻まれる皮膚は深く皺となって現れる。
悲鳴は噛み殺されたが、鈍る痛覚にしてはよい反応だと気分は高揚していた。
はず、だが。この男の反応に辟易としてくる。弄んでいた目玉は手のひらで握り潰す。
肉の断層と手の隙間から溢れる透明の液体を眺めた後に残骸を床に投げ捨てた。玩具はなぜこうも壊れやすいのか。☼/
『……諦めない自分、眷属でありながら人として足掻く勇気。”私”からすれば見飽きた三文芝居だ。まだ、昨日の茶番劇の方が見応えがあったな。
はっきり言っておこう。
”何を主人公ぶっている?”
今、お前達眷属の中の主役はそこな”赤髪の少女”だ。お前は私の駒と同じく舞台装置にすらなり得ぬジャンク。
どんなに足掻いたところで、犯した罪が消える事はない。挽回復帰が出来なかったからこそ、お前の立場がこうなのだ。
愚鈍な頭でも理解しているだろう?』
/☼悪魔はにいい、と笑えばグレゴリオの身なりを指差す。自身を振り返れば、見目しか繕えない哀れな男が思い浮かぶかもしれない。☼/
『…………飽きたな。
明日の歯車に期待するとしよう。後は”私”の操り人形と戯れよ。尤も、正気を持って話せるとは思えんが。』
/☼パチン、と子気味よく指を鳴らせばブレイクはその場で崩れ落ちるように倒れた。☼/
>>リリアーヌ
………………表は、無理そう。時計職人じゃないから。
裏は、金みたいだから。まだ多少は加工できるかな。気休めみたいなもんだけど。
(しばらく観察した後、リリアーヌにそう告げて、加工を開始する。穴は少し歪んでいたが、溶接の道具で調整する。アクアマリンが、ぴったり嵌るサイズに。全て奪われたらしいこの裏面に、せめて少女が最後に貰ったものを嵌められるように。黙々と、調整を繰り返した。暫く、金属の加工される高い音が辺りに響いただろう。)
キィィィ……ン
キィィィン
しばらくの間、セレナはサラに抱き締められるまま、泣き叫ぶことだろう。
それは、信じてもらえなかった悲しみと、自分の時がここで止まってしまう恐怖とが混ざった、人らしい涙だったに違いない。
落ち着き始めた頃、セレナはサラの胸から頭を上げる。
「…………ぅ…………こんな、早くに……
返すことになるなんてね……。
大事な物でしょう。無闇に人に託してはダメよ」
胸に下げた袋から、サラから預かったタンザナイトを取り出し、サラへと差し出した。
>>240 ルーツ
夜空を見上げれば、朧げに月が浮かんでおり、淀んだ空はそれでも幾分か晴れていた。
こんなに空が近いのならばと、手を伸ばしてみるも、掴めるものなんてなにもなく、ただ空を切るのみで。
ルーツと同じ緑のリボンを頭に付けたその子と一緒にルーツが自分の名前を呼ぶ。
「ううん、絵本の中では、見たことあるけれど、実際に見たことはないよ。でも今なら、見えるかなぁ……」
夜空に煌く星を探しながら、そう答えた。
>>241 オブゼビオ
「……オブゼビオさんが、私を……?」
言いながら、小さく首を傾げながらも、彼の隣、噴水の縁へとゆっくりと座る。
「お邪魔します…」
>>247セレナ
二人をして、泣き叫んで。
その時間は。そこには、只の少女達しかいなかった。その目は、赤く腫れぼったくなっているだろう
「…………私、だって
こんな形で返して貰うことになるなんて、考えたくも無かったわ
………………大事な物だからこそ、貴女に持っていて欲しかったのに。無闇にするわけ、ないでしょう」
セレナへと預けていた、サラの時の一部を受けとる。
カチリ、と。自分の命の時計へと嵌めた。
「……セレナ」
サラは、一言名前を呼ぶと。
セレナを抱き寄せて。その額へと、ほんの軽く、キスをした。夜闇の中で、タンザナイトが輝く
時間は。一瞬だったか。それとも、とても長かったか。
>>245ヘンリエッタ
ふむ。
[ヘンリエッタの右手の人差し指の先に、何か鋭利なものに引っかかったような傷跡が見えた。昨日の晩に出来た傷と言うこともあり、既に殆どかさぶたになっていたが]
何かの破片が見えるな。痛むかもしれないが……
[そこまで言って、「耐えろ」と言いかけて、彼女の言葉の続きを聞いた。
色々な言葉が頭を駆け巡り、言葉に困る。昨日ダズリーに口下手だと言われた記憶が鮮明に蘇った]
……そうか。
………………ああ、いや。
痛いことは、痛いと言えば良い。其方の方が、医者としては分かりやすい。
……いや、違うか。違うな。泣こうが泣かまいが……辛いなら、辛いと言え。今は、それで、良い。
[応急処置用のセットからピンセットを取り出す。まだ柔らかめのかさぶたを少しだけ剥がして破片を取り除き、消毒液をつけた。多少ちくりとしたかもしれない]
[慎重に絆創膏を巻く。本当に細い指だ、と感じた]
……出来た。
[言葉に詰まる。手袋をした手のひらでヘンリエッタの頭にぽん、と手を置き、静かに離した]
>>234 アベル
…………しつこいってよく言われない?
(不機嫌な声を出して、席を立つ。腹ごしらえさえしてしまえばもう、ここに用はなかった。トッティの時計について考えていた時でもあっただろう。)
大切な人…………いるよ。かけがえのないもの、それは、時計なんじゃないの。俺たちの場合、誰でも。それ以外なら………いや、アンタには言わない。ろくなことになりそうにない。
そんな時はきっと来ないけど。俺は…………きっと、人を本当の意味で信じることは……っ、話しすぎた。
(どうしてこんな、つられるように話してしまったんだろう、と後悔する。ガタン、と音を立てて椅子を直し、少し早足でアベルから離れた。)
>>248 アイリーン
見えないの、星が。
手を伸ばした先にあるのは漆黒の帳。
独白が始まる。
理解者「昔ね、友達と喧嘩したの、ほんとに小さい頃。
下らないことって笑うかもしれないけど、その子が昨日の夜、流れ星を見たって言ったの。
その頃にはもう空は薄汚れていて一等星の光だって穢れた層は穿てなかった。
そんな中、言うんだ。流れ星を見たって。
私ね、私。それが信じられなくて、嘘つきって笑っちゃったの。そこからは見える見えないで大喧嘩。その日は、もう知らないって言い合って別れたの。
数日空いて頭も冷えた。話を合わせる大事さだって必要だって。謝りに行こうとしてその子の家に向かったから出てきたのは黒い服を着た友達のお母さんだった。
その子は写真を撮りに行ったんだって、星の。
それで、高い岩場から落ちた。
信じることも謝ることも出来なかった私は喋ることが怖くなった。
だから私は人を信じることにした、そしてあの日吐いた言葉を反省するため自分の口を塞いだ。
つまらない昔話してごめんね。」
星は煌めかず、一筋の涙が煌めく。
虚空にのばした手はそのまま彼女に向き、身体を預ける形になる。
理解者「でも、でもね。今でもやっぱり星は見えないの。
それが信じられない現実が変わらなくて、それをあなたに重ねてしまう。
私、リンちゃんのことを信じきれないの。
ごめん、本当にごめん。」
信じたい気持ちが溢れ、それを理性が引き止める。
止めろ、と心の中の誰かが叫んだ。
これは彼女に背負わせる負担ではないと。
その声を無視して私は人形を外した。
理解者は冷たい鉄の床に落ちる。
泣きながら、顔を填めながら私はリンちゃん、アイリーン・クロッカーを抱きしめる。
「でも、私はあなたを信じたい。本当に心から。
だから、どうにか、
私にあなたを信じさせて。」
破片が入ったままだったのか。
じくじくといつまでも痛むと思ったら。
それを取られたとき小さく悲鳴が漏れたようだった。
>>254 エルス先生
「…………痛かったの」
じんわり涙が滲んできた。
指を切った、お風呂に入れない、お気に入りのお洋服が洗濯できない、母親と話せない、ジャンが動かない、本当は全部イヤなのだが、みんな同じかそれ以上に苦しいはず。きっと先生もそう。
「先生。いい子にできなくてごめんなさい。
ほんとはもう少し我慢してることもあるの。
でも、ヘンリエッタががんばってることだけ……わかっててもらってもいいかしら?」
>>259セレナ
サラにとって。親愛の、額へのキスをした後に。
「セレナ。私、貴女の事をわすれな」
言い切る前に。抱き締められて。
もしかしたら、避ける事だって出来ただろうけど。
サラは、セレナからの口づけを受けた。
「ふっ、ん」
身体が抱き締められて、痛い。痛くて、熱い。
離された唇から、唾液が繋がる
「……私も。セレナの事が大好きよ
でも。駄目よ。こんなことは」
そっと。ただただ優しく。
ほとんど力は無くとも、身体を、押し退けようとしただろう
「……ねぇセレナ。砕けた、貴女の時計は。
私が持っていても、良いかしら」
離して貰えずとも、言っただろう
手を離す。
消毒液は染みたが、朝にはきっと大丈夫になっているだろう。
「エルス先生、ありがとう。
明日もまたごきげんよう、とお話できますように。
……あとひとつだけわがままにお付き合いくださいな。
おやすみなさいとお顔を見て言いたいの。
マスクを取ってくださいますか。」
>>253 オブゼビオ
「えっあ、だって……!」
柄にもなく緊張していたのを指摘され、ぱっと顔が熱るのを感じる。
眉を下げて苦く笑う、それでも幾らか柔らかくなった気がする彼の表情を見る頃には、その緊張は解れていただろう。
「…………私に、ですか…………?」
何か、大事な決断をするときのような、ゆっくりと息を吐き出す彼を目を細めて見つめていれば、続く言葉にリーンの声が一瞬固まる。
本を、託す。
それは、彼が先祖代々途切れることなく受け継いできた、観測者としての。それこそ、命の時計と等しく彼らの命であるようなもの。
それを、他人である私に託すと、彼は確かにそう言っていて。
何かを決意した音がして、リーンのスカーレットの瞳が揺れる。
「そんな、そんなこと……………」
受け取るのが嫌だとか、決してそんな次元ではなく。かなしい覚悟に、リーンは言葉を詰まらせた。
>>251 リリアーヌ
イイ音だろ…………この音聞くと、落ち着く。
(金属を加工する時特有の音を褒められ、少し笑みが漏れる。それはマスクの中のことだから、リリアーヌにはわかることは無いだろうが。
それ以外は、黙々と作業を続けた。夜もかなり更けた頃、簡単な修理と、穴の一つにアクアマリンを嵌める作業は終わった。城の明かりに向けて手を伸ばし、光を反射するアクアマリンと、金色の時計の残骸を見た。片目をつぶったり、目を細めたり。)
…………終わった。はい。じゃ、またリリアーヌが持ってて。せっかく加護を受けた時計職人がいるからな……、うん。聞いてみるのはいいと思う。
(傍で見ていたリリアーヌのゴーグルを外す。小さな手に、トッティの時計を乗せた。)
「……無い!!!!」
広場の中央で無いと叫ぶ。
「まったくもって材料が足りん!」
ここ数日、あれやこれやと作ったり直したりしていたら、工房から持ち出した資材が底をつき始めていた。
「誰も見ていなかったとはいえ、カッコつけて工房を出た手前何となくのこのこ取りに帰る気にはなれんぞ。
しかしなあ…今朝拾ったエルス医師のメモやらルーツ嬢と約束したあれも作りたい…。」
テルミットは眠らない。
「……ここ、王城だな。色々すごい機巧やらなにやらがあるのでは…?お抱えの職人どもの工房とかがあるのでは…?……くく、運が向いてきた。なに、有事だ、罪には問われまい!!すわ急げ!時計の針は待ってはくれんぞ!」
テルミットは眠らない。その時が来るまでは。
なだらかな撫で肩、均衡の取れた手足。同じひとの姿でありながら、彼女はまるで神様が拵えた人形のような、端正な見目をしていました。
豊かな木々、咲き誇る花の中で。初めて彼女と出会った時、王子は一目見てその少女に心を奪われました。
少女は隣国の人間たちをよくは思っていません。しかし、だからと言って争いたいわけではありませんでした。
彼女は、迷い込んできた王子から妖精の森での記憶を奪ったあと、国へと帰してやります。
──しかし、彼女の思惑とは裏腹に、彼は本国へ帰ってから数日と経たずに、再び妖精の国へと足を踏み入れたのでした。
この場所で、なにかかけがえのないものを見つけたような気がするのだと。少女の姿を再びその目に映した王子は、その“なにか”が彼女であると確信します。
愚かなことに二度もこの地に無防備に踏み込んだ王子に、最初は呆れと戸惑いを抱いていましたが、次第に少女も異国の王子に興味を持ち始めました。
>>267 ダズリー
耳でその作業を楽しんでいれば、それは思いのほかあっという間に終わってしまいました。
水色の淡い光が、作業机に落ちてきらりと輝きます。
「わあ……、きっと、トッティ喜んでるね!」
なんて。時をとめた人がどうなるのかはわかりません。しかし、だからこそそんな幸せな想像ができるのでした。リリアーヌの脳裏に、ぴょんぴょん飛び跳ねる赤毛の少女が浮かびます。
「うん! 聞いてみる。完全には直らなくても……すこしでも元に戻ったらいいな。
ダズリーさん、ありがとうございました」
リリアーヌはぺこりと頭を下げて、その場をあとにしました。
>>+48 ブレイク
目の前で電池が切れたように動かなくなる。悪魔の力とは厄介なものだ、と小さくため息をつく。
「人の身体をなんだと思っているんだか…」
見るも無残な姿になった目玉を眺めながらぼやく。相変わらず、空洞の奥は焼けるように痛む。
不幸にも医学の心得は無い。生きているなら感染症やら何やらに怯えるところだが、幸いにも死んでいる。そもそも、生きていればこれ程冷静ではいられなかっただろう。
血を拭い、適当な布を巻き付けておく。視界は多少ぼやける上に狭まったが時期に慣れる、と思いたい。
それにしても、一体何を願って悪魔に心臓を売り渡したのだろうか。
+49 グレゴリオ
「イイ目だ。私を見て、何かあるのではと駆け引きしているモノの目だ。
ふふふ、唯のコレクターで何か不都合でも?
君たちはこの、時計と魔女の籠を受けたものだ。このような事は層々おこりえん。
人を買うだけでは…どうしても情が映るだろう。しかし同大?これらに情が移ろうと背景を知らねば価値はつかない。
だからこそ今なのだよ。その全てに価値がある。
あの少女たちを愛でることも含めてな。
そう、やはり結局のところ、不気味なドアンには変わりがなさそうだったのだ。
>>260>>261 ルーツ
変わらず夜空を見上げながら、ルーツの昔話をリーンは静かに聞いていた。
星は、相変わらずその姿を見せたりはしない。
言葉と、運命の歯車が少しだけズレてしまったが故に起きてしまった、かなしい、彼女の真実の話。彼女が自身で言葉を伝えることをやめた、ルーツの心の奥底の、根幹に関わる話。
信じたい、信じきれない、そう言って涙を流す彼女に、リーンはただただ抱きしめられるた。
泣いているのは向こうなのに、何故だか自分の頬にも、涙が後を伝っていた。
視界の端で、彼女の分身が転がったのが見える。
『あなたのことを信じたい。』まっすぐ過ぎるその言葉は、初めて聞いた、ルーツ自身の言葉。
私は、この言葉に、応えたい。
応えたくて、抱きしめたくて、………それなのに、気持ちとは裏腹に言葉は詰まり、
嗚咽を漏らしながら、ごめんねと力なく呟いた。
布の上から右目に触れれば、確かに無い事が分かる。痛みや違和感は時間とともにマシになった気もする。慣れたのかもしれない。
しかし、それなりの出血があったせいか、身体が重くぼんやりする。
ブレイクは移動させようかとも思ったが、そこまでする気力が無くてやめた。最低限の優しさで毛布ぐらいはかけておいたが。明日の朝、身体が痛もうが知ったことか。
毛布に包まり、壁にもたれかかるように座る。指先が凍えるように冷たいが、これも時期に慣れるのだろう。
残る左目を閉じれば、あの子の独り言が聞こえる。私はそのまま眠りについた。
急に視界が遮られた。
思ったよりこのマスクの中からはちゃんと見えるらしい。
エルスが笑っているのがハッキリ見えた。
薬と消毒液の匂いに混じって、コーヒーの香りがほんのりした。
きっと今の自分はアンバランスな見た目だろう。
「がおー!!」
怪獣のようなポーズを取ってみる。
次第に、マスクの中で涙が流れるのを感じた。
手を力なく下ろして、その場にうつむきながら
>>269 エルス先生
「ほんとは……いっぱいイヤなことがあるの。でも我慢してるの。
それからお母さまに会いたい、ジャンにまた追いかけまわされたいの。
またできるよね?
おじさまやルクレースの時計は直るよね?」
言ってもしょうがないことを言ってしまった。
エルスだってわからないだろうに。
最後の方はしゃくり上げてちゃんとした言葉にならなかったかもしれない。
「がんばったら、何とかできるよね?」
ひとしきり泣いたら落ち着いた。
ああそうか、心を守るとはこういうこと。
でも誰かに受け止めてもらえると思えないと泣けないなぁ、と思った。
誰かがヘンリエッタになら、と泣いてくれるようになれたらいいなぁ、とも思った。
先生は誰の前でなら泣けるのかしら。
マスクを外したら赤い目と鼻をした12歳の顔が見えただろう。
でも、エルスの顔はとても優しかった。
「先生ありがとう。おやすみなさい。
私また頑張るね。
マスクはお返しします。
でもやっぱりマスクを外したお顔も素敵よ?」
エルスには父親にするように、おやすみのキスを頬にして部屋を出て行った。
1つ目、「何故昨日時計職人ではないと嘘をついたか」。いや職業としては嘘ではないが……コレは詭弁だな。続けよう。
答えは【オレに因縁というものがついている】からだ。
因縁の相手が眷属や悪魔であれば良いが、もし違えばオレが砕かれるだけで2人分の損失だ。
話す時は選ばねばならないと思っていた。
2つ目、「では何故今このタイミングでそれを話したのか」。
これに関しては……ああ、【今朝方、酷い夢を見た】からだ。
普段であれば夢など気にもしないものだがな。内容が内容だった。
[サラに首元が見えるように多少顔を上げる]
サラ嬢、オレの首に何か付いているのが分かるか?
……何も無いように見えるだろうが、オレには蛍光色に光る鎖が巻き付いているのが分かる。
そしてコレがもう1人の人間と繋がっていること、その人間の名前を、オレは何故か直感している。
夢の中で、オレ達はこの鎖を引きちぎられた。顔の見えない誰かによって。
互いに首が締まり、鎖と同時に時計が砕け、そして視界が暗転し目が覚めた。
そうして起き上がると枕元に見知らぬ靴が一足、落ちていた。
夢に影響されるなど馬鹿らしいと思うか。しかしオレは、今日、伝えなければいけないと感じた。それもなるべく人に聞かれぬような時間にだ。
それでも誰が聞いているか定かではない。因縁の相手はサラ嬢が聞いておきたいのであれば告げよう。
アーネストは発言から察するに憑狼が最も有り得る。勿論他の狼の可能性もあるがな。
グレゴリオだが、恐らくアーネストを本物の時計職人だと思ったのではないかと考えている。であれば眷属の所在を知っている狂信者では無い。アーネストを占っていない、かつ本物ごと巻き込んで砕かれる狙いの辻占だ。
昨日までは夢見たがりの可能性も見ていたが、今朝のオレがこの有様だ。
[昨日、ルクレースが靴を投げられたと発言する前からグレゴリオはそのことを知っていた。思い出し溜息をつく]
最後にレーヴだが、オレはコレを智狼>呪狼だと考えている。昨日にも言ったが、決め打ち狙いで博打を打ったと。
レーヴが夢見たがりであれば、今日は靴を投げずにグレゴリオを本物の夢見たがりだと思わせれば良い。わざわざ靴を投げ、まだ夢見たがりの時が止まっていないことを知らせてしまうのは違和感がある。
以上のことを踏まえて、潜伏の場に残っているこの国の背信者は、呪狼、狂信者、夢見たがりであると考えている。ヘンリエッタが狂人ならば賢者はブレイクで、悪魔がまだいる可能性はある。もしかするとグレゴリオが辻占では無く悪魔かもしれん。
[セレナとの会話で多少考えは改めたが、未だにルクレースが本物である説が有力だと思っていた。それを前提に話している。
一通り話し終え息をついた]
なるべく他人に聞かれんように努めた筈だが。もし明朝になってオレともう1人が砕かれていたら、サラ嬢はこのことを皆に伝えてくれ。
砕かれていなかった時の判断は任せる。サラ嬢の短針と相談して決めてくれ。
夜遅くまで悪かったな。
[もしサラに何かしら引き留める様子がなければ、エルスは部屋を出て自宅へと戻っていっただろう]
仲の悪い両国の住人が交流をすることはありません。
もしもそのことが王に知れたら、王子はただでは済まされないでしょう。
だから王子たちはこっそりと、二人だけの時間を過ごすようになりました。
二人しか知らない秘密の語らいは、王子にとっても少女にとっても、特別でかけがえのないものになりました。
王子は自分が棲む国の話を語って聞かせます。人間の国では戦争が絶えないこと。みな強欲で、自分のことばかり考えていること。
けれど、悪いことばかりではないことも少女に教えました。
城から見上げる夜空は美しく、星々が手が届きそうなほど近くで煌めいていること。人間が生み出した音楽や絵は、とても素晴らしいこと。
少女もまた、妖精の国の話を王子に語ります。
森は豊かであたたかく、様々な種族が支え合って成り立っていること。
住人たちは仲が良く、自然豊かなこの国でみな手と手を取り合って幸せに暮らしていたこと。
>>272 アイリーン
かけ違ったボタンが漸く出会う。
2人は寒空の元抱き合った。
伝わる温度はアイリーンのもの、伝える温度はルーツのもの。
溢れる涙の上にのさばる本音、2人は謝罪だけを重ねる。
言葉が枯れていく、この季節だけが覚えている。
不信は絶対に埋まらない溝になる、と。
あの時、冬の桜は散っていた。
そのズレは視界にまで及んだ。彼女の表面張力が夜を保つことを拒む。
意味は無い、意味は無いけど、意味は無いとしても。
抱き合った先、もう1度、私はリーンの頬に手を伸ばす。
彼女の瞳から零れるそれは、確かに"星"だった。
「リンちゃん、私の星はここにあったよ。」
涙をなぞり、ぐしゃぐしゃの顔で笑う。
落ちたチクタクを抱え、私は背中越しに「さよなら」を告げた。
赤いカーディガンは彼女を暖める残る私の忘れ物。
いつしか王子に心を開いていた彼女は、自身が時を司る魔女であることも教えてくれました。
神様から《マザー・クロック》という神秘の時計を託され、彼女はこの世界が正しく時を刻み続けるように、それを守っているのだと。
そうして二人は互いの時を重ねて、やがて愛し合うようになります。
王子は、生まれた初めて得た愛に心から幸福を感じていました。彼女さえそばにいてくれれば、二人の間に芽生えた愛が認められれば。
歪みあっていた両国の架け橋になれるのではないかとさえ、思ったのです。
そうして王子は、ある寒い日の夜。
彼女が誕生した日に、永遠の愛を誓おうと真実の愛のキスを贈るのでした。
>>288サラ
恐らくだが、夢見たがりは時計職人を騙る気でいたのではないかと考えている。それがアーネストとグレゴリオの回避により、出るタイミングを失った。3人目の時計職人ともなれば、本物と見られ残されやすい。それを恐れて出られなくなった。
その内にレーヴが出てきた。
これ以降は完全な想像になるが、「引っ込みが付かなくなった」のではないかと思う。状況に困惑し、取り敢えず黙った。
故に……夢見たがりは、臆病な性格の可能性があるのでは。というのは今考えたことだが。
[適当に該当しそうな人物を挙げるならばアイリーンやルーツがあるだろうか。多少考え、サラに話した]
──今宵の全ての出来事が終わったあとのこと。
空を黒い煙が覆う。柔く吹いた風は、その黒を押し退けることはなく、ただレーヴのピアスを揺らすだけだった。
広場を見下ろせる屋根の上。まだ、まばらにそこにいる人々を見ながら空を見た。
ふと、時計台に人影が見えたような気がしたが(>>231)、気の所為だっただろうか。
「あんなとこにいるのは、魔女様くらい、か。」
視線を時計台から外し、ふと、昨日の出来事を思い出す。
あの魔女が現れた時。いや、現れなかったとしたら。魔女への少女の問いが、もし自分に向けられていたら。
自分は少女に、どのように答えていたのだろうか。
お星様になってお空の上にいる。
花畑がある綺麗な場所で少女が幸せに生きることを願ってくれている。
今でもきっと傍にいて、少女を見守ってくれている。………とでも言っていただろうか。
どれも在り来りで、耳障りの良い幻想だ。幼い頃に一番嫌っていたその言葉を、今度は自分が口にしていたかもしれないと思うと、嫌でもあの時の大人達のようになってしまったのだと実感する。
好きだった母は目覚めず、燃やされたその身体は小さな壺に入れられて墓の下に埋められた。冷たくて暗い、墓の下。レーヴの目の前で砕けた時計と共に、ずっとそこから出られることはない。
『仮にお嬢さんは、大切な人が亡くなり、その行き先がわかったら、さあどうする?』
あの場で聞いた魔女の言葉が再生される。憂いを帯びたような眼でこちらを見て、そう少女に問うていた。
「………口では綺麗事を言ってても、所詮、俺もワガママなガキってことだな。」
そんなもの、追いかけたいに決まってる。その先に、大切な人が待っているのなら、待ってくれているのなら、もう一度会えるのなら。
何がなんでも追いかけて、手を伸ばして、今度こそ──
「…………………………っ、」
ズキリと胸が痛む。ぐらりと視界が揺れる。
呼吸が苦しくなる。息が乱れる。汗が滲む。
チカチカと、蓋をしていたはずの記憶が、映像が、甦る。
白い部屋で、手を繋いで、扉を開けて、声が聞こえて、叫んで、走って、駆けて、駆けて、駆けて、手を、伸ばして。
兄の声、砕ける時計の音、間に合わない手、
折れた歯車、切れたゼンマイ、割れた文字盤、折れた針、最期に見た母の顔。
ズキリ、ズキリ、ズキリ、ズキリ、
胸が痛い、頭が痛い、目が痛い、喉が痛い、
全てを、あの日見た全てを、消す、消す、消す、消し去る。
ノイズが走る。プツリと、電源が切れたように突如映像が黒く塗りつぶされた。
荒い呼吸を繰り返す。内に、正常の呼吸に戻ってくる。汗が頬を伝い、落ちる。カタカタと小さく震える手は、力強く握ることで震えを止めた。
「…………ハハ、ハ。疲れてんだな。」
ふらりと立ち上がる。瞬間、強く風が吹いく。よろめいた足が屋根を踏み外し、ふわりと落下する。まるでスローモーションのように、時がゆっくりと進むように、落ちていく。
落ちゆく視界は空を捉え、風に吹かれた黒い煙が形を変える。一瞬空いた隙間から、キラリと光る何かが見えた。
「ぁ…………」
視界の端に映った樋。咄嗟にそれに手をかければ、重量が急に戻ってくる。時が戻ってくる。
ブラン、と揺れた身体は宙に浮いたまま。何とか身体が地面へ打ち付けられるのを回避した。
「あっぶねぇ……………」
そう零せば、そのまま下屋に飛び移り、地面へと着地する。
どうやら今日は屋根を駆けるのは避けた方が良さそうだ。未だにバクバクとうるさい心臓を抱えながらローラースニーカーを転がして、レーヴは夜の闇へと消えていった。*
……今日はもう、私たちも眠りましょう。
ブレイクさんも……もう、大丈夫みたいだから。
[そうしてルクレースはその場に座り込んだ。
結局アーネストには会えなかったな、と。
寂しく思いながら伏せ、目を閉じた。]
[1]
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