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6人目、ヤヨイ がやってきました。
ヤヨイ は肩書きと名前を 村娘 ヤヨイ に変更しました。
「おっまつりー、おっまつりー、きょーおはたのしいおーまっつりー。」
弾むような声で節の揃わない歌を口ずさみながら一人の少女が石段を登っています。
手に持った二尺程の木の枝を振り振りご機嫌の様子です。
「さあ、此度の出店はどんな手法でぼくをたのしませてくれるのかなー?」
このくらいの歳の子はそうですね、おまつりのことより出店の方が気になっちゃいますよね。
「ためにためたぼくのおこづかいが火を噴くよ!」
目を輝かせて意気込む少女ですが、お足を火に喩えるのはあまり縁起が良いものではないと思いますよ。…まあ楽しそうなので黙っておきましょう。
そうしているうちに鳥居に辿り着いた少女は、元気いっぱい御言葉を告げるのでした。
7人目、金物屋 キキョウ がやってきました。
「ここか。……ったく、やるってなら目印でも何でも出しやがれってんだよ。忘れちまうとこじゃねえか」
──────────────────
道理で客が来ねえと思った。今日が"その日"だって、何で誰も言ってくれねえんだ。
……ま、忘れちまうほうも忘れちまうほうなんだが。そんで、今日が"その日"じゃなくても、大して客は来ねえ。
お狐さまだかなんだか知らねえが、いるんならうちの蔵に銭降らすとかしてくんねえかなぁ。
──────────────────
「いけねえ。ぼうっとしちまった。……さ、楽しむとしますかね」
村娘 ヤヨイ は肩書きと名前を 【弥】村娘 ヤヨイ に変更しました。
物書き ナナクサ は肩書きと名前を 【書】物書き ナナクサ に変更しました。
この地域に越してきて1年。漸く暮らしには慣れたと言っても、このような祭り事に参加するのは初めてで。少しだけ、ドキドキしてしまいます。
その緊張を紛らわすように手に持った巾着袋から小ぶりな瓶を取り出すと、ころんとひとつ、手のひらに星を落としました。
幼い頃からのおまじない。緊張を解すおまじない。
「ふふふ、夕焼けとおんなじ色が落ちはったわぁ。」
オレンジの星を、ほぅ、と口に放り込みました。瞳を閉じて、舌の上で転がせば、砂糖の甘さが口の中に拡がり、溶けていきます。
少しだけ、緊張がほぐれた気がしました。
8人目、【流】流離い 夜長 がやってきました。
小綺麗な身なりの、すらりとした男が一人。
どこからかやってきました。
「やあ、なんだか賑やかな 香りがするじゃあないですか。
しばらくはこの辺りに居つくとしましょう」
「……え、何です?御言葉?あちゃあ、そんな物があるとは……」
これは困った、と朱くそびえる鳥居を見上げます。
傾きはじめた陽の光が差して、いっそう眩しく。
男は目を細めます。そのとき。
「……───。」
ぽろり、零れ出るようにひとつ言葉を呟きました。
ぱちくりと瞬きをした後、大仰に頷きます。
「ほう、そうですかそうですか。
それならば、ここへ来たのは偶然ではないかもしれませんねえ」
満足気な足取りで、鳥居の端をくぐって行きました。
ほら、鳥居の近くに来たらちゃんと人もいるじゃねえか。出店はねえのか?毎年祭の類はあった気がするが、ちゃんとゆっくり回れるのはいつぶりだっけなぁ。
「よぅ、景気はどうだい。」
金物屋 キキョウ は肩書きと名前を 【金】金物屋 キキョウ に変更しました。
─────鳥居の端から、御言葉を告げて入ること。
人伝だが、小煩い女から聞いた言葉だ。
ここの主の機嫌を損ねるのは不本意なので、周囲に倣って所作を行う。
止められたらそれまでだろうと、道中に買った新品の下駄をカラコロと鳴らしながら入るのだった。
>>54 リェン
「おうよ、言われなくてもなぁ。久々のお祭りとなりゃ嫌でも楽しんじまうってもんよ。
あんた、おてつだいさんか?ご苦労さんだなぁ。」
9人目、【面】狐面 ミゲツ がやってきました。
大きくなってもずぅっと一緒!
そんな約束をしたこと 君はない?
狐の面を頭の横についてる彼はその約束を覚えている1人だった
その相手は誰かはまだ言わないでおくけれど
鳥居を通ると金木犀の香りがした
学校で嗅いだことあるその匂いは懐かしくもありなんだか切なくもある
鳥居の近くにいた女性に「こんにちは」と微笑んだ
10人目、【漂】漂い者 空樹 がやってきました。
カラコロカラコロ境内に
お脚を失礼しやさんせ
『ーーーーー』
ミコトバと言うもの口ずさみ
神域世界へお参りだ
祭りの者達知っておろう。村スマイナラ住まいなら知っておろう。空樹の事は知っておろう。されどもだあれも、いつからここにおるのかも。どうしてここにおるのかも。知りは知らんかもしらんやも。知ってるものもおるかもな
「あぁ、良い空気だな。愉快で楽しい祭り事。神様天女に狐様。皆皆踊って笑い合え」
>>54
糸目、札、カタコト、糸目、耳飾り、糸目。
すごいな、ここまで要素を凝り固めてくるとは。
急に声をかけられたことよりもあまりにキャラが立っていることに唖然としてしまう。
「ああ、ありがとう。にしても、お前さんも相俟ってはたしてなかなか雅な雰囲気だ。」
秋澄む神社に何となく郷愁を覚える。しかし、きっと彼処はこんなに紅葉は映えてはなかっただろう。
11人目、【菖】花売り アヤメ がやってきました。
今日は年に一度のお祭り。
そして、今年はさらに特別な……
この街に住うものなら誰もが知っている。
100年に1度、お狐さまが地上へと降りてくる、特別な年。
街のはずれでひっそりと暮らしているあたしにも、ここ数日の浮き足立つ雰囲気は感じていた。
「狐の嫁入り…。綺麗なんだろうなぁ…。」
同じこの街で生まれた女として、羨望してしまうのは仕方のないことだろう。
自分が、相応しくないことを知っているのなら尚更に。
普段は神社までなんて人目を気にし行くこともないが、木の葉を隠すなら森の中。
街外からも人がやってくるお祭りなら、自分の存在も上手く隠してくれるだろう。
「少しだけ、覗くだけよ。」
そう自分自身に言い聞かし、擦れた草履へと足をかければ、少しにおいのきつい花の香が玄関に広がってゆく。
どこか少しだけ浮き足立つその足音には気づかずにいた。
* * *
「やっぱり、大きな鳥居…」
漏れた言葉は、神社の入り口にそびえ立つ立派な鳥居に対しての素直な言葉。
どこか厳かな雰囲気を出すその鳥居をくぐるために、石段へ足をかける。
(そうだ、ミコトバ…。)
「 ___ 。」
緊張しながらも鳥居をくぐりあたりを見渡すも、あたしの存在に眉をしかめるものはまだいない。
代わりに、検討通り見たことのない人々もまたちらほらといることがわかった。
ふと、上品な金木犀の香りが鼻をくすぐる。
自分のそれのような下品な香りではなく、心地の良い加減のその香りに、急に自分の素性を意識してしまい、恥ずかしさといたたまれなさで、アヤメはその場に立ち竦んでしまった。
12人目、【盗】花盗人 烏丸 がやってきました。
そっと御言葉を口ずさみ、鳥居をくぐる。
きょろきょろと見渡してみれば、もうかなり人が来ているようだった。
あぁ、あの方が今年の狐の嫁入り様、なんとお美しい。
「今年の祭りは特別な、祭り。楽しみだ」
「折角の祭り眺望の祭典100年一度のお狐祀り
素面でいるのが失礼と言うものだよななぁ
さぁて取り出しますは秘蔵幻"狐の恋煩い"。
お狐様すら恋をする、真っ赤になっては舌舐める、流通してるの見たことない、ここだけの逸品酒だ
だれぞ一杯やらんかな?」
懐からこれぞと取り出したるは、とっくり音なる日本酒だ
狐の嫁入り。ここの主。
声を掛けられれば会釈をして鳥居の中へ。
辺りの人は増えてきて、様々な色が見える。
前を見ずに歩いていたのもあり、ドンッとぶつかる感触がした。
>>68 アヤメ
「………おい、邪魔だ」
花の髪飾りを付けた女を威圧的に眺める。
ふわりと鼻腔を擽る香りはなんだったか。
>>55 リェン
「やっぱりそうなんやねぇ。凄く綺麗な人やもん、お狐様のお嫁さんにぴったりやね。」
狐の嫁入り様がこちらに向けた微笑みには、そっと手を振り返しておきました。
「あの方が見守ってくれはるんやったら、きっとお祭りも上手くいくわ。それに、綺麗なお付の人もいはるみたいやし、ね。」
リェンに向かってにっこりと笑えば、手に持った小ぶりな瓶の蓋を開け差し出します。瓶の中には色とりどりの小さな星─ 金平糖 ─が詰め込まれていました。
「さすがに狐の嫁入りさんにあげるわけにはいかんやろうから、頑張ってはるあんさんに。
ころんとひとつ、どないです?」
もし受け取らないのであれば、そっと瓶の蓋を閉じ、
受け取ろうとするのなら、貴方の手に一粒、白い星が落ちることでしょう。
星渡し セツ は肩書きと名前を 【星】星渡し セツ に変更しました。
>>70 空樹
「お、酒の匂いがしやがるな。あんたも嗜むのかい?今日は祭だ、飲まなきゃ失礼ってもんだなぁ。どれ、アタシも一杯もらおうかねえ。」
話のわかる奴がいたもんだ。やっぱ祭には酒を入れなきゃあなあ。ったく、急いで出てきたもんだからロクに準備もできてねえ、だらしねえだらしねえ。
背中に来た衝撃と不機嫌そうな声にはっと我にかえ振り返る。
振り返り見上げた先には、不機嫌そうな男>>72が自分を真っ直ぐ見下ろし邪魔だと一言言い放った。
「え、あ、ああ、ごめんなさい。」
慌てて2、3歩退き相手の道を作る。
男の威圧的な態度に思わずふるりと身震いし、またその場に立ち及んでしまった。
>>77 アヤメ
「…………」
女をじ、と眺める。
こちらに怯えている以上に怯えを含んだ目で見るものだから、何だと声を掛けるその時だった。
黒い狐面の男が女に話し掛ける。
話があるのか。優男そうな身なりをしてるこいつなら、これ以上怯えさせる事もないか。
……少し非礼だったかもしれない己の事は、後で謝ればいい。
横目でその男とそいつに話し掛ける女を見た後に、花飾りを付けた女を見る。
……と言っても、ソウビの目は生まれつき鋭く、睨んでいるように見えかねないので、誤解を生んだかもしれないが。
すると今度はまた別の者>>73から、声をかけられ恐る恐ると見上げれば、狐の面を被り、不思議な雰囲気を身に纏ったその男が、話をしようと言い笑った。
祭りの雰囲気をそっくりそのまま身に纏ったような彼のいでだちに思わずほう、と見惚れてしまう。
「ええ、ええ、ありがとう。」
少し上目遣いに男を見、にこりと微笑み返してその裾を小さく握った。
「ご心配を、どうもありがとう。アヤメよ。
お祭りを見にここまで来たのだけれども、思わず狐の嫁入り様に見惚れてしまって…。」
視界の端にちらりと見えた、白い装飾を身に纏った女の人の、正確にはその存在を視界に捉えるより先に香った、品の良い金木犀の香りに、自身を比較し立ち止まってしまったのだが、決して嘘、というわけでもない。
「よかったら一緒に、狐の嫁入り様への挨拶に、付き合ってくださらないかしら。」
自分の内を話すには、自身を売ることが出来る相手かどうかを見極めねばならない。そうでもしないと、次に帰ってくる言葉は非難の一手のみだろう。それは、……いや。
「よっこいせ、と……よし。こんなものでしょう」
男は出店の脇にゴザを敷き、担いでいた荷袋から次々と物を取り出し並べてゆきます。
日曜品や保存のきく食料から、装飾品、側から見れば何に使うか分からない骨董のようなものまで。
並べ終えると小さな組み立て椅子に腰掛け、にこにこと立て札を出しました。
札には、【萬屋 春夏秋冬】とあります。
ささやかな祭りの雰囲気を肌で感じ、鳥居の先に行きたいと心が逸るが、この秘密を教授してくれた友人の言葉がブレーキをかける。
確か、"御言葉"とやらは。
「─────。」
誰に向けるでもなくそう呟く。
先程の糸目が笑ったような気がしたが、考えすぎだろうか。
超えた境目に色はついていなかった。
>>74 セツ
[衣装を取りに走る前、小さな星をたくさん詰め込んだ瓶を持った彼女に話しかけられた]
ふふふ、およめさまキレイ、モチロンデスネ?
ワタシも褒めてくれる?アナタいいヒトネ!
わ、キレイでカワイイお星サマネ!
え、食べラレル?コレ、とてもステキ!
ヒトツ貰ってイイノ?アリガト〜!
[一瞬、およめさまの分も……と、言いかけてやめた。話しかけられるのもヨシとしないのだから、お客からの差し入れも控えるべき……この人はそこもよく配慮してくれている。
自分用に差し出された金平糖をきゅっと握って、ヒラヒラと手を振った]
コレカラ、ひとっ走り!
コレ食べてガンバルデスネ
「さあて。必要なものは無かったとしても、欲しくなる何かがきっとある。
萬屋 春夏秋冬ですよお」
「お狐様のお膝元にて、今宵開店いたします」
フラフラと行く宛てもなく神社を眺める。
祭りだなんだと聞いてきたけれど、人の多さに辟易としそうだ。
せっかくだからと、宿屋の主人には硬貨と着物を。女将には菓子をいくつか貰ったが、量からして人と話すのが不得手な自分へ、誰かと話すきっかけをという名目で渡したのだろう。
懐から取り出した濃紺の和紙の包みを開けば、砂糖菓子がコロコロと出てくる。
菊の花、桜の花、紅葉と植物を模した菓子はこの辺りに漂う金木犀とは違うもので。
先程上手く人と話せなかった事を思い出し、むしゃくしゃしながらガリガリと口で砕いて食べる。
尖った犬歯がいとも容易く固い菓子を砕いていく。
菓子でも食えば、多少は気分も落ち着くだろうとしばしそうしていた。
ヤヨイは、「リェンさん」と目の前の人物の名前を繰り返すと「リェンさんもやさしいね!」と付け加えました。
結局、おねえさんなのかおにいさんなのかはわかりませんでしたが、ヤヨイは深く考えません。
だってリェンさんはリェンさんだもん、とはヤヨイの弁です。
「お作法ってむずかしいなあ…」
リェンと別れて境内を歩き出したヤヨイの目に止まったのは、ゴザいっぱいに並べられた品物と『萬屋 春夏秋冬』の札でした。
その瞳から光を放つかのような勢いで露店の前に滑り込みます。お作法はどうしたのですか?
>>92 夜長
「こんにちはおにいさん!おにいさんはなんのお店やさんなの?」
>>94 ヤヨイ
「はい、こんにちは元気なお嬢さん。
おにいさんだなんて嬉しいですねえ。
ここはね、『よろずや』ですよ。
何でも……は無いけれど、何かしらはある。
そういうお店です。例えば」
品物たちの上に指を泳がせて、いくつかを手に取ります。
「例えば、女の子にはこういうのがよく喜ばれますね。
珊瑚でできた簪や、耳飾り。耳たぶに穴を開けなくてもつけられるしろものです。
それからこちらは、外国から入ってきた珍しい一品ですよ」
両手で持てる大きさの、横に取っ手が付いた木箱。
蓋をパカリと開けると、真ん中で陶器のバレリーナがくるくる回っています。
単音で流れる音楽は耳馴染みのないものでしょう。
「これは、オルゴール、というんです」
>>89 夜長
「おうおう商売人、景気はどうだい?
アタシも村で金物屋をやってんだ、同業同士仲良くやろうぜ。
本当はアタシの自慢の売り物たちも持ってくりゃよかったんだけどさ、慌てて来たもんだから手ぶらってざまなんだ。
あんたんとこのお薦めの品はどれだい?」
>>98 セツ
包みの中身が半分ぐらい減った頃。
自分に掛けられたであろう声に顔を上げれば、巾着袋を持った女がこちらを眺めているのが見えた。
緋色が二つ。こちらを笑顔に見つめてるのに対して、無愛想な顔で相対する。
「…ここに来る前、奉公先から。……食うか?」
そういう役目を与えられて貰ったであろうものが、務めを果たせないのはと目の前の女に差し出す。
色とりどりの砂糖菓子は、植物であれば様々な形のものがあるだろう。
>>100 ソウビ
にこにこ笑顔とは真反対の彼の無愛想な表情。けれど、セツはそんな事は気にしません。怖がることもなく、呆れることもなく、いつもの調子で続けます。
「あ、ほんまに?ええの?
ふふ、なら、お言葉に甘えて。」
差し出された和紙の包みには、様々な形の菓子が入っていました。
どーれーにーしーよーおーかーなー、なんて言いながら、一つ、植物の形をしたものを手に取ります。
「あ、これ紅葉やね?アタシ、紅葉が一番好きなんよ、ありがとうね。」
手に取った砂糖菓子の造形を見、思わず笑みが零れます。
そして、そのままそれを口に放り込みました。ゆっくり噛み砕き、口に拡がる菓子の甘さを味わいながら。
「うん、美味しい!奉公先の人、こんな美味しいもん持たせてくれるなんて、ええ人なんやねぇ。」
楽しそうに、そう言いました。
>>102 セツ
セツが笑顔で砂糖菓子を選ぶ様子を黄金色の目で眺める。
初対面だから言いはしないが、彼女は女将に雰囲気が似ていた。あの人も、自分が笑わずともよく笑い、はんなりとした言葉遣いだからだろうか。
奉公先の宿屋の人達を褒められれば、表情は変わらずとも幾許か柔らかに話し出す。
「ああ、主と女将さんは家族でもない俺に良くしてくれる。優しい人達だ。
…ところで、あんた名前は?」
>>およめさま
あいあーい。足りないモノ、ナイ?
休憩、イラナイカナ?ジャナイ、デスカナ?
[小声で]
小さいオイナリサン、後でタベマショ
お狐サマと同じモノ、お狐サマ怒らない思うデスヨ
13人目、【兎】兎面 ヤガミ がやってきました。
またこの季節かー……。
〔神社が見えてきた。毎年行われるこの祭りには、物心ついた時から男は参加していた。
しかし今年は、例の100年に一度"と言われる年らしい。
独りごちながら、鳥居に到着。待ち構えている狐の嫁入りは、なるほど確かに100年に一度ということがあり、気合が入っているのか仮面越しにも迫力を感じた。〕
――……。
〔ミコトバを告げ、男――ヤガミはようやく、鳥居をくぐった。〕
>>95狐面の男と狐の嫁入り様のところへ挨拶に向かう。
繋がれた手がじんわりと熱を持つ。何度だってそれ以上のことをしていた自分にはイマサラ過ぎたその幼い行為が、アヤメを童心へと返らせた。
だいすきなひとのおよめさんになって、しあわせにくらすの。
そんなままごとのような願いが叶うはずなど、あり得ないのに。
そう。
目の前におとずれた狐の嫁入りの、それはそれは美しい姿に、彼女の淡い夢は何度目か、粉々になっていった。
「よろずや」と繰り返します。初めて聞いた言葉を繰り返すのは癖なのでしょう。
>>96 夜長
「そうなんだ!ステキなものがたくさんだね!
……ふ、お、ふおぉぉぉぉおおお!!!」
おお、びっくりしました…急に大きな声を出すもんだから…。
ヤヨイは夜長の見せてくれたオルゴールにひどく感銘を受けた様子でした。
その瞳は更に輝きを増していきます。
「すごいすごい!かわいい!すごい!
うわー、よろずやさん、これすごいかわいい!」
ヤヨイ、語彙語彙。
「…はー、いいなあ。でもこれはきっとおこづかいが消滅する気配がプンプンするよ……あれ?おにいさん、これはなあに?」
オルゴールをうっとりしながら見つめていたヤヨイでしたが、ふと、不思議な模様の描かれた木彫りの人形が目に留まります。これも品物なのでしょうか。
アヤメ嬢と共歩みまし時分の話。後だか先だか分からん噺。
鳥居を見まして脳髄に。タケミカズチ様ご降臨。
空樹の脳内ガンガンと。あっちやこっちの大暴れ。
はてはて。何かを忘れているような。はてはてなんにも無かったような?
誰かを千百望んだ様な。誰も待ってはおらぬよな。
タケミカズチ様お帰りませませ空樹は思い出すことなんにもなさらん。
アヤメ嬢様気にしつつ>>109
拙い手引きを楽しみつつ。狐のお嫁に出会いまし。美し花嫁おられまし。
雨も降ってもおらんのに、濡れた様なその唇。お顔も見れは知れんのに。胸打つお面のそのまた奥貌。
ーーー成る程。これは、神の相手をするに相応しい、異貌である。
言の葉紡ぐに一呼吸。この空樹ですら一呼吸。
胸の腑貯めて、空へと放つ。花嫁届くか付き人防ぐか。
「やぁ花嫁殿や>>106
今年の"花"もお美しい。
ワタシは空樹と申すもの。知ってはおるかな知らんかな?お話好きな放浪者よ。
そこの可愛いおなご(アヤメ)と共に、挨拶一つを参りに来たよ。どうか祀りを楽しめる様、お祈り一つもくれやせんかな?」
黒い狐がにこりと笑う。そなたは花嫁相応しい。神威を降ろすに相応しい。
そんな嫁殿お祈り貰や、このお祭りは愉快なものと決まるだろう
14人目、【守】花守人 千代 がやってきました。
>>104 ソウビ
「そうなんや。ほんまにええ奉公先やね。」
少しだけ柔らかに聞こえる音に、こちらも優しい声音で返します。
奉公先の主人や女将さんが優しいのは、きっと彼が大好きだからなのでしょう。そして、きっと、彼もまた──
そんな事を思いながら彼を見つめていますと、彼の続いての言葉にはたと気付かされました。
「あ、そういえばまだ名乗ってへんかったね?
アタシは、梅原 雪って言います。セツって呼んだってね。」
どうぞよろしゅう、と言いながら頭をぺこりと下げて挨拶を。そして、次は貴方の番と、彼のことをまた優しい瞳で見つめるのでした。
>>108
この祭りではお面屋は儲けてるらしい、様々な動物をモチーフにした面を被る人が多い。
可愛いと言うよりは美しい造形。自分の持てる言葉は正確に表現出来ない何かを測り損ねる。
「こんにちは、青年。素敵な仮面だね、よく似合ってる。君はここら辺の人かい?」
鳥居をくぐった彼にぐぐっと距離を詰める。ネタは持ち帰りたい。
.......うさぎ好きなのかな?
なんか今年、キャラ、濃すぎ……100年に一度だから?
〔ヤガミは眉根を寄せつつ、自分の見知った人物はいないかとチラチラ辺りを見渡す。
しかし、いない。一昨年までは幼馴染と一緒に参加していたものの、その幼馴染は去年から彼氏と一緒にお祭りに来るか、はたまた別のどこかにデートに行くかのどちらかになってしまった。
どうしようか、考えあぐねていると、見知らぬ誰かに話しかけられた。
いきなり距離を詰められて、少々たじろぐ。〕
>>117
こ、こんにちは。
そー、ですね。近所に住んでて。そういうお兄さんは、見かけない人ですけど。遠方から来たんですか?
>>115 セツ
「…セツ。ああ、よろしく。」
いい名だと思いながらも、己も付けてもらった名を名乗る。
「栗花落 双弥(つゆり そうび)。普段は街の宿屋で奉公してる。
…セツはどこから来たんだ?」
黒い布地に赤い花が映える着物。艶やかな黒髪は丁寧に束ねられている。
見目からは彼女が何をしている人なのか分からず、率直に聞いてみた。
>>107 空樹
「…………っくぅー、こりゃいい酒だなあ。狐の恋煩いとは、洒落た名前をつけたもんだ。恋煩いってのはこういう味がするもんかねえ。アタシにはよくわからんけども、この酒が美味いのは間違いねえや。
あんた、これはどこで手に入れたんだ?誰が作った酒か、気になっちまうくらい美味いや。」
おじーちゃんがあまりにも五月蝿かったから。
催促の電話が煩わしくって生返事した結果がこれだ。
「やっぱ、あんな口約束ばっくれちゃえばよかったなぁ……
おねぇが選ばれた時点であたしは用無しなんだから。」
村の外れにある境内にひとり、紅く染まった紅葉を玩ぶ。
こんな時間でもほのかに明るい。こんな田舎村、普段ならば日が落ちたら真っ暗なのに。
「まだ帰らなくていっか。」
おじーちゃんに見つかったら大目玉。でも今日ぐらいは許されるでしょ。
文句を云いつつもどこか浮き上がった心を、あたしはどこか自覚していた。
>>118
「おっと悪いね。驚かせてしまったかな?」
普段なかなか人と関わらないため許される範囲が掴めない。これ以上怪しまれないためにも最善手を模索し、ネタ帳を1枚破り、筆を走らせる。
「三草 七草(ミクサ ナナクサ)、っていうもので、小説とか書いてる。元々は湯治目的出来たんだけど、面白そうな催し物があるって聞いてね。詳しいことを知るわけがなく、教えてもらいたかったんだけど.......。」
どうかな?と首を傾げてみた。
>>120キキョウ
風流匂いのおなごが唸る。恋を知らんでも恋を知る。風味とのど越しのみで知る。
それこそ"狐の恋煩い"。
はて。元の名前は、狐へ恋煩いだったか。狐が恋煩いだったか。
「恋とはまっこと忘れ難き。その恋しい気持ちを忘れぬものが。或いは願って果たせぬ者が。恋とはこう言う者であったと忘れぬ様に、名付けた銘でありましょう
全く。恋とは美味しいもので。
ーーーさて?どうやって手に入れたんだったか。
知らずに手元にあったよな。それこそ恋のよに。いつのまにやら胸元に。ひっそり隠れておったよな。
更にぐびぐびいきたいのなら、ご用意しましょういくらでも。なんせ恋とは儚きしかし永遠のもの。さすればきっといくらでも沸いてきましょう。
具体的にはワタシの胸元にたんとありますからねえ」
>>122
七草さん、ですね。僕はヤガミです。
〔改めて自己紹介をされたことで、少し肩の力を抜く。思ったよりは変な人ではなさそうだ。〕
詳しいことって言っても……僕は民俗学者でもないので、昔から聞いたことのある話しかできませんけど。
毎年やってるただのお祭りですよ。
狐の嫁入りっていうお狐さまを崇めるのに必要な女性が選ばれて、歌ったり踊ったりするんです。
いつからなのかは知らないけど、それが伝統ですね。
〔ポリポリ、頭をかきながら自分の知っていることを告げる。
しかしこの後に続く言葉は信ぴょう性のないものなので、少し躊躇した。が、小説書いてる人ならこういう話も好きかもな、と思いながら告げる。〕
>>119 ソウビ
「ソウビくんかぁ、いい名前やね。」
思ったことをそのまま言葉にしました。
そして、続く彼の疑問には、少し伏し目がちに。
「…アタシは、前は西の方に住んどったんやけどね、ちょっと事情があって、去年ここに越してきたんよ。
だから、まだあんまりこの辺の事わからんくて……お祭りに来たのも今日が初めて。」
お祭りの準備や出店で賑わう周りにふと目を向けます。自分が今まで過ごしてきた環境とは似ても似つかない、この賑やかさに、寂しそうに目を細めて。
そうして、もう一度ソウビの方を見遣れば、
「あ、今度、ソウビくんの奉公先に遊びに行ってみよかな。街の方まではまだ行ったことなかったんよね、実は。」
先程と変わらぬ笑顔で話を続けます。
「宿屋の人って金平糖とかお好きかなぁ?お土産にするにはちょっとちゃっちいやろか…」
もう既に彼女の中では宿屋に行く事は確定している様子で。彼にはお土産についての相談を持ちかけておりました。
浮ついた心とは反対に重い腰は上がらない。
未だ境内に座り込んだまま、紅葉の茎をもってくるくると回す。
–––緑の葉っぱに陽が落ちて
紅刺すころオヤシロに
「そっか、」
あの唄はこれのことか。
物心ついた頃には覚えさせられた唄。あの頃は意味なんて知らずに歌ってた。
女児は特にしつこく覚えさせられた唄。お陰で今でも諳んじることができる。
このあとは––––
「ええい!忘れた忘れた!こんな古臭い慣習なんて!」
紅葉を捨てて腰を上げる。
わざわざここまで帰ってきたんだから楽しまなくっちゃ。
短いスカートの埃を払って、喧騒へと足を踏み出した。
>>123 空樹
「恋ってのは、美味いもんなんだなあ。こんな美味いなら、そのうちアタシもやってみたいもんだねえ。
ふぅん、よくわからねえが、まだあるってことだな?
まだまだ美味い酒を楽しみたいのは山々だが、せっかくの祭りをまるごと酔いどれて過ごすってのも勿体ねえ話さ。
ちっとばかし散歩がてら、ふらふら歩き回ってみようかなあ。そこらに恋とやら、落ちてやがるかもしれねえからな。」
>>128 セツ
「くんはいい。ソウビだけで構わない。」
セツとよく似た女将が君付けで呼ぶが、それを思い出してとは言わずおいた。……子供扱いされてるみたいで嫌だなんて、口が裂けても言えない。
「西か、遠いところからよく来たな。
………好きだと思うぞ、多分。
それと、ちゃっちくはない。少なくとも、俺は好きだ。」
彼女が宿屋に来る事は構わないのか、真剣に相談に乗る。
「カタコト男に渡しているのは見ていた。…セツは星渡しなんだな。」
金平糖売りの別名を言うと、巾着袋をじっと眺めた。
実のところ、甘い物に目がないソウビとしてはもっと褒めたいところだが、口下手なせいでなんと言えばいいか分からない。
捨てた紅葉が石畳に落ちる前に、びゅうと風が巻き上がった。
瞬きをするかするまいか。そんな一瞬の間に、ひとりの男が現れる。
>>124 空樹
「伝承だっけ、なんだっけ。
とにかく、こどもに対する脅しでしょ?そんなのあたしが信じてると思ってるの?」
おじーちゃんも隣のおっちゃんも。いつまで経ってもこの村の人間はこども扱いしてくるんだから。
もう寮とはいえ、一人で生活してるっていうのに。
「それとも……おにーさんが狼になるの?」
村にいたようないなかったような、面を被った怪しげな男。
こんなとこでぼんやりお祭りを過ごすくらいなら、いっそ拐われてもいいかもしれない。
狐の嫁入り様のお姿目に、一瞬しぃんと静寂したのち。
隣の男>>113が空樹と名乗り、狐の嫁入り様へと挨拶をする。アヤメ殿と名を呼ばれ、>>134はっと意識を戻せば、にこりと紅の乗った口角を上げる。
「狐の嫁入り様。お目にかかれて光栄にございます。あたしはアヤメと申します。
そのお美しいお姿、きっと、お狐様も喜んでおりましょう。」>>127
>>125 ヤガミ
「都市伝説とか突拍子もないような面白い話はいつでも言い伝えから産まれるんだ、青年。」
「ほう、狐の嫁入り、ねえ。いいネ…話を聞いた。」
今度の小説の方向性のカギになりそうな匂いを感じ足取りも軽くなる。
これで担当にも怒られるずに済みそうな?
「うさぎの青年!いい事を聞いたお礼に何か奢ろうじゃないか、何が食べたい!」
>>135千代
からかいへ、反抗するよに反発す。
子どもでは無い、を主張する。意識したよに主張する
「ははは。昨今の"子ども"はからかい甲斐が無い。
信じて無くとも、"有る"ものは有ったりだってするのだが。
信じなくとも良いが、おられた方が楽しいと。そうは思わんか少女殿」
声を弾ませ愉快に笑い、境の少女に言の葉掛ける。大人と子どもの境の少女。境界とはそれどこに引かれる?
「ほう?では、拐わせて貰おうか。空樹が愉快にお祭りを。過ごす為にて贄としよう。狐の嫁入りならぬ、狼の嫁引きかな?
さて。ではお手を拝借して、あの騒がしくも楽しげな喧騒場へと拐ってしんぜよう」
そう言い手を引き行こうとするだろう
>>132 ソウビ
「あ、ほんまに?そっかぁ。ならソウビって呼ばせてもらうわ。…なんや、男の子を呼び捨てにするって、ちょっと照れてまうね?」
男性の知人があまりいない彼女にとって、それは新鮮な呼び方でもありました。照れ笑いを浮かべながら、"くん"を外した名前で彼を呼びます。
「それってソウビが食べたいだけやないの?
……ふふふ、なんてね。」
冗談交じりにそう笑いながら。
けれど、きっと彼がそう言うなら、宿屋の人も喜んでくれる事でしょう。お土産は金平糖にしよう!と、セツは心に決めました。
それに、嫌がらず相談に答えてくれたということは、遊びに行く事を了承してくれたという事でしょう。少し未来の話に、今からワクワクしてしまいます。
「…なんや、見られてたんか。
うん、星渡し。まぁ、今は商売する気もないから、ただただ金平糖配り歩く人って感じなんやけどね。」
そう言うと、じぃと、彼の目がセツの持つ巾着袋に注がれているのに気が付きます。
熱い視線を受けた巾着袋に手を入れれば、色とりどりの星の入った瓶を取り出し、蓋をぽんっと開けて。
「そないな熱い視線をもろたら出さんわけにはいかんよね。
はい、お近付きの印と、さっきのお菓子のお礼に。ころんとひとつ、どないです?」
こてんと首を傾げながら、ソウビの前に瓶をそっと差し出します。
もし、受け取ってくれるのであれば、彼の手のひらに黄色の星が、ころんと落ちたことでしょう。
狐の嫁入り様にと、持ってきた赤い花をとりあえず鳥居近くにでも飾っておく。
これが、100年前なら『花盗人の持ってきた花など、縁起が悪い』とでも言われたのだろうか。
昔は、特別な祭りの年に特別な花のお披露目があったらしいが。家の倉を探してみても、丁度100年前、前回の特別な祭りの記録は見つからなかった。
「なのに、父さんは『花盗人としての責務を〜』とか言うんだもんなぁ……」
100年に一度の祭りを楽しみにしていたのに、余計な事を言わないで欲しい。
>>141 ヤガミ
「素直でよい。ちょうど僕も腹が減っててね。」
パタンとネタ帳を閉じて鼻腔をくすぐる匂いの先へ。
秋の祭りも粋なものだ。
思い出価格の焼きそばは、やはり財布に少し響くが食欲はより強く胃を掴む。
「ヤガミ少年、お世話になったね。しばらく身を置く関係また出会ったらよろしく頼むよ。」
お礼の焼きそばが湯気を立ててるうちに手渡して、小説家は再びふらふらと徘徊を始めた。
焼きそば、おいし。
〔ヤガミは邪魔にならないよう神社の端に移動してから、焼きそばを堪能し始める。
一歩離れて神社内にいる人々に目を向けると、やっぱり、今年は去年までよりも人が多いように感じた。〕
>>142 セツ
「…想像に任せる。」
冗談交じりに言う彼女に、気まずそうな固めの声で返す。実のところ、そういった気持ちが僅かにでもなかったのかと言われると…そうではないからだ。
「……ありがとう、いただきます。」
コロンと転がされた黄色の星をじいっと眺めて楽しんだ後、口に放り込む。
僅かな甘みが口に広がれば、それを味わうようにコロコロと口の中で転がした。
「美味い。こんなに見目が綺麗で美味いなら需要もあるだろうに、もう商売はしないのか?」
この近くに越してきたなら、買いに行こうと話を掛けてみる。
15人目、【九】九代目 松風 がやってきました。
>>153 ソウビ
ソウビが黄色の星を楽しそうに、美味しそうに口に含むのを見て、思わず笑顔が零れます。彼に対して"可愛い"だなんて言ってしまえば、きっと彼は怒るでしょうから、それは胸の内にしまっておいて。
そうして、続く彼の提案に、セツは言葉を詰まらせました。
「………うん。もう、せんのよ、商売は。」
彼女の顔から、ふ、と笑顔が消えてしまいます。紅い瞳は伏せられ、視線は地面に落とされました。
──けれど、それも一瞬。ぱっと顔をあげると、そこにはいつもの微笑みを携えたセツが居て。
「でも、金平糖は好きやから、この美味しさを皆に知って欲しくてね。こうして配り歩いてるんよ。」
くすくす笑えば、星の瓶に蓋をします。
「ソウビがウチの金平糖を気に入ってくれたんやったら良かったわぁ。
ふふふ、お土産でもちゃんと持ってくから今日はこれだけね。」
そう言って、巾着袋の中にそれを仕舞いこみました。
それ以上、自分の事を詮索されないように。
やんわりと、微笑みながら。
軽く笑われた。
こどもの戯言だと、流された?
>>139 空樹
「ウチのふっるい蔵にだって記録はないんだよ?信じられなくてとーぜんでしょ。」
続いた言葉は明らかに揶揄い。
そっちがその気なら。
いいよ、乗ってあげる。どうせ本気にはしてないんでしょ。
「おねえが狐であたしが狼。ちょうどいいじゃん。
ほら、拐ってよ。古めかしい伝承より、おにーさんのほうがまだ信じられるよ。」
村に帰って半日ちょっとだけど、暇すぎて死にそうだった。ちょうどいい。
心だけでなく身体まで浮かれてる。ただの村のお祭りより、何が起こってもきっと刺激的だ。
引かれた手に抵抗せず、空樹についていく。
目の前のオルゴールはすごく面白い
もう1人現れた上等な着物を羽織っている可愛らしい娘もうっとりとそのオルゴールをみていた
やっぱり女性はこういったものが好きなのだろうな
あの子もそうだろうか?
うさぎの青年と別れ、そしてまた別の面を伺う。
人が集まるは珍しいものが集まる店の前。
奏でる音色は秋映を彩り、店先の人を喜ばせている。
そこに数人の狐面が立っている。
先程の反省を活かして段階を踏む。
>>163
「やあやあ狐の青年。君もあのオルゴールを狙ってるのかい?」
16人目、【祭】祭男 セイヤ がやってきました。
誰が呼んだか呼ばざるか!
知らずのうちにもいらぁよ祭りの男!
祭りだ祭りだ! 祭りにゃ何が必要でぇい?!
花嫁祀らしゃ天下の一等! お祭り男の御登壇!
今生の一際の晴れ舞台、どうぞ俺に飾らせてやっちゃあいただけやせんか。
世紀に一度の怪奇とくりゃあ、今世紀一番の太鼓持ちがではりゃんせ!
さあさ皆様お待ちかね!
世紀の大太鼓! セイヤ様ぁのお通りよぉ!
>>160 セツ
彼女の瞳が地に向いたのをソウビは見逃さなかった。
だが、すぐ様微笑んだ面持ちと続く言葉に深入りしてはいけない気がして、言おうとした言葉を飲み込んだ。
「……………ああ、分かった。
でも、こんなに美味い金平糖が非売品なのは惜しいな。
……暫くは、ここにいるんだろ。遊びに来た後も、たまに貰いに来ていいか?
ただとは言わない。……何に見合うか分からないが、考えて何か持ってくる。」
甘い物に目がないソウビは、セツの瞳を見つめて聞く。商売でないのなら、譲り受けることぐらいは出来ないだろうかと、少しだけ食い下がる事にしたのだ。
あいたたた、なんでぇ? ミコトバだあ?
べーらんめえ! 祭りあるとこ男あり! この俺様の顔が手前さんにゃ分からねえってえのかい?!
……っははは! 戯けよ戯け! さあそこを退け!
ご心配なすってえ、天下のお祭り男ぉ、あ行くとこ来るとこ事前の仕込みもばっちりでぃ!
ミコトバ賜りゃ男が通る、あ男が通りゃ祭りも上がる!
心配なさんね、こちらにミコトバ捧ぎやしょうや!
鮮やかな景色
灯篭にはあかりがついてますます神社はどこか怪しさを醸し出していました
祭りには御言葉を告げたものたちが集まり、狐の嫁入りとそのおてつだいは「そろそろ時間だから」と鳥居をあとにしました
明日から狐の嫁入りはお狐さまへご祈祷や神楽をします
いつもはお祭りが始まる初日と最終日だけにするのですが、今回は100年に1度の年だからと前日から行うことになったそうです
さぁはじまります
>>170 ソウビ
「もちろん!全然かまへんよ!貰いに来たって!
そうしてくれるんやったら、アタシもめっちゃ嬉しいし!」
ソウビの提案にセツの表情がぱぁっと明るくなります。この小さな星を気に入ってくれたのなら、彼女にとってそれ程嬉しいことはありませんでしたから。
「そんな見合うもんとか、別に……」
そう言いかけて、ふと考え直します。
「いやでも、ソウビが考えて持ってきてくれるもんっていうのもちょっと気になるしなぁ……やっぱりお願いしよかな……」
目の前の彼が考えた、この星に見合う物が何なのか。それがとても気になって気になって。本来なら断るべきなのに、その判断ができず。
黒の手袋をつけた両手で自分の両の頬を包み込みながら、ただただ未来の楽しい事ばかりを考え、あわあわとしてしまいます。
「どないしよ、楽しみが一気に増えてしもたわぁ。
ふふふ、ソウビに声掛けてほんまに良かった!」
にこにこ笑顔で嬉しそうに、彼に向かってそう言いました。
>>178
娘は頬の布を隠した
それをみて少しだけ「しまった」と思った
なんて失礼なやつだと思われてしまったかもしれない
それに言い方も少し冷たく感じたのか謝られてしまった
誰かとこうして話すつもりもまったくなかったから困ったものだ
でもこんな小さい娘に謝らせてしまうのは気が引けたので娘の目をしっかりとみた
>>178 レイ
「どうして謝るの?君は優しい子だね、僕をそうやって気にしてオルゴールを見せてくれたんだろう?
僕はその気持ちだけですごく有難いよ
でももう僕のことは構わないで。大丈夫だよ。
僕よりもその隣にいる子とお話していた方がとっても楽しいと思うから。」
>>172
「いや狙ってはないよ。ああいうのは種類は違えど帰ったら溢れてるからね。」
「残念。つい物思いに耽るような顔をしてたから詮索してしまったよ。あの表情は羨望とも恋慕とも違うけど情緒的で───。おっと、これだとまた引かれてしまうね。」
少し肩を落とす。この愛おしき悪癖は誤傷と共に完治してくれるかな。
「そうそう、狐の青年。僕は物書き、名を七草という。少しお話に付き合って貰えないか?」
「なーんだ。」
小声で呟く。
あんな仰々しいこと言って、結局はお祭りかぁ。
逸る心が落ち着いたところで向かった先を覗く。この辺では見かけない風貌の露店。
「へぇ、けっこうおもしろいもの揃えているじゃん。」
簪や耳飾り、そしてバレリーナがくるくると回るオルゴール。
文句があったのも忘れ、その品々に目を奪われた。
ヤヨイは、新しいお友達がお面のお兄さんとお話をしているのをにこにこ眺めていました。
ええ、もうお友達と言ってもいいでしょう。同じものを見て楽しいと感じたのならばそれはもう心が繋がっているのですから。
でも、後でしっかり自己紹介くらいはしましょうね。お名前もまだ交換していませんし。
うんうんと頷くと、邪魔しちゃ悪いなと思い、また品物の方に向き直りました。
狐の嫁入り様へ挨拶を済ませ、名残惜しくも空樹という男と別れを告げる。
どうやらこの男、祭りにきた人々皆に声を掛けているようで、きっとあたしも、その中の1人に過ぎぬのだろう。
せめてとまた、気に留めてもらえるまじないに、彼女は切なげに微笑み、「ありがたとう、ではまた、空樹さん。」
そっとその場を離れて見せた。
しばらくは神社の端にて祭りの参加者を眺めていたが、どうやら自分を非難する者は今のところ姿が見えないもよう。
それならと、まだまだ祭りは前夜祭。せっかくなのだ、楽しんでみようとアヤメは人混みの中へと消えていった。
>>179 セツ
「……あまり、期待しないでくれ。だが、考えはする…はずだ。
…セツのくれた金平糖は綺麗で、上等な砂糖が美味かった。だから、遠慮はしなくていい。」
彼女の表情が明るくなるのを見て、自分も何だか心がむず痒い。変わらぬ表情がもどかしさを増幅しているのか、許されることならこの場を駆け回りたいくらいだ。
「…………オレも、楽しみだ。…ありがとう、セツ。」
声を掛けてくれてと細かく言わず、ボソッと小さな声でお礼をすると目を夜長がやっている露天商へと向ける。
「……あっちに露天がある。他には、屋台も出てるから見てみるといい。…祭りはこれから、だろ?」
僅かにそわそわしながら、目で店達を指し示す。何となく、一緒にと言うのは心がそわそわしてしまい口から出て来ず。
落ち着かない心を休めるかと足早にその場を立ち去った。
祭りはこれからなのだ。きっと、セツともまた会えるだろう。
…その時に、話せれば良いのだが。
「……さて、お客様がた。
夜も更けてまいりましたことですし、『萬屋 春夏秋冬』本日はここまででございます。
また明日、お越しをお待ちしておりますよ」
祭りの中で一際賑やかな一角に目を遣ると、どうやら露天商がいるようだった。
遠目から見ても様々な品物があり興味をそそる。
ああ、そういえば。
と足元を見ればそこには白く細い脚には不釣り合いのぼろぼろの草履。
あまり外には出ないものだから、ついつい新調せずにいたのが裏目に出たか。
そもそもが、簡単に買えるほどのお金があるかもわからぬものなのだが。
どちらにしても、お祭りの雰囲気に先ほど出会った良い男。アヤメの好奇心を優先させるには今日は十分な日なのだ。
(別に、覗くだけよ。)
露天商へと近づけば、人混みはなるほど自分と歳の近い娘たちが、ぐるっと囲って楽しんでいるようだった。
女は、苦手だ。
やれ男と寝所を共にすることしか能がない。
はよう出て行き。
そう言われることも、彼女の人生の中では少なくない出来事だ。
歳幅の近い同性の友人はもちろん、口を聞いたことだって片手でひー、ふー、…あったかしらと首をひねるほどである。
そういった記憶が彼女の歩みをそれ以上は認めてくれるはずもなく。
露天商の賑わいを眺めながら、人が空くのを待つこととした。
>>188 ソウビ
ソウビの口から紡がれるお褒めの言葉に、柄にもなく、えへえへ、なんて言いながら喜んで。
まるで自分が褒められたかのように、少しばかり、頬が熱くなったような気がしました。嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちがごちゃ混ぜになって、なんだか少しむず痒いです。
「ほんまやね、あっちもこっちも楽しそうなもんがいっぱいやわ。」
彼の目線を追っていけば、露店や屋台で賑わう様子が見て取れました。様々な着物に身を包み、楽しそうにお喋りをする彼等を見て、ソウビの言う通り、お祭りはまだこれからなのだと感じます。
「あ、よかったら、ソウビも一緒に……」
なんて振り返ってみれば、彼の姿はそこになく。
少し遠目に彼の朱色が見えました。しかし、それも束の間。行き交う人々の中に、彼の姿は消えてしまいます。
「………残念。なんか、用事でもあったんやろか。
お祭り、一緒に回りたかったなぁ…」
ぽつり、零した独り言は、喧騒の中に消えていきます。
けれど、またいつか会えるでしょう。
だって、お祭りはまだまだこれからなんですから。
ヤヨイは、なにか慌てた様子の夜長を見て小首を傾げました。そりゃあそうなりますよ。
>>189 夜長
「あれ、ぼくまたなにか間違った?えへへ、よく間違えます。」
そう言って肩を竦めてみせるヤヨイでしたが、本当に反省してるんですか?
「あ、もうお店おしまいの時間か。すっかり遅くなっちゃった。でも大丈夫!おまつりの夜は神社にお泊まりできるんだっておかあさんが言ってたんだぁ。
それじゃあまたね明日ね、よろずやのおにいさん!」
元気に挨拶をして、ふらふらと社務所の方へ歩いていきます。
「リェンさんいるかなあ」
あのなんでも卒なくこなしそうな世話役の人なら、上手くヤヨイを寝床に案内してくれるでしょう。
おやすみなさい、ヤヨイ。
゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚゚*.。.*゚
ころころ、ころん。
口の中に放り込んだ星を舌で転がしながら、セツは屋台を楽しんでおりました。
1人なのが少しばかり寂しかったのですが、それでも近所に住むおばあさんやおじいさんとお喋りが出来て、それはそれは楽しい時間を過ごせたのです。
辺りもすっかり暗くなり、灯篭に火が入れられてから幾分か経った頃。露天商の店仕舞いの声に(>>190)はたと、足を止めました。
「あら、残念。また明日やね。」
店仕舞いと言いながらも、まだ少しばかり訪ねてくるお客の相手をする店主を見て、その場を後にします。明日もあそこで店を開いているのなら、覗いてみようと心に決めて。
そう言えば、寝床が用意されていたのだっけと、思い出しました。帰るにはもう遅い時間でした。だから、今晩はそこで休ませて貰おうと考え、神社の方に尋ねました。教えて貰えたのなら、ありがとうとお礼を言って、その場所へ。
カランコロン、カランコロン
今日あったことを振り返りながら。
明日に、思いを馳せながら。
゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚゚*.。.*゚
17人目、【異】異国人形 サレナ がやってきました。
夜も深けた。
朝とも夜ともつかないこの時間に花守人 千代の蔵の中(>>162)で何かが動く音がした。と言ってもその音は誰の耳にも入らないのだが。
「カタカタカタ··········」
稲荷祭り。
ミコトバを持つ人間の参加者は揃った。
そう、人間の参加者は。
「それ」は小さい子供が両手で持てるサイズの異国人形で、いつからかは不明だが、蔵の中に眠っていた。
気づくと「それ」は風貌はそのままに身長150cm程の人間のサイズに変わっていた。
カタカタと言う音は一切聞こえなくなった。
(私はいったい?)
蔵の書物の上に座らせられていた人形は、まず自我を自覚した。無意識に周りを見渡しふとバランスを崩して倒れ込んだ。
そこではじめて「周りを見渡す」という行動を取ったのだと意識した。
次に手足を見て人間のように立ちたい、と思った。
案外簡単にその思いは行動として現れた。
次に歩いてみたいと彼女は思った。
次にお喋りをしてみたいと彼女は思った。
次に最近この家の人々の話題にあがるお祭りとはどんなものか知ってみたいと彼女は思った。
そしてその祭りにはミコトバが必要だと誰かが言った言葉を思い出した。
そうして空が明るくなった頃に彼女はふらふらと鳥居を目指して歩いていた。鳥居がどこにあるのか、どんなものなのか、昔誰かに連れられて見たことが、もしくは聞いたことがあった。彼女自身もう何年も蔵から出ておらず、いつの事だったか思い出せない。記憶も曖昧だが、赤い赤い綺麗な鳥居をなんとなく覚えていた。
何年、何十年、何百年、彼女が蔵に連れられてどのくらい経ったのだろう。
(ミコトバ·····)
(祭りと関係あるのかしら)
(ミコトバとは何?)
「ーーー」
彼女は到着した鳥居の前で何かを呟いた。
それが一体何を意味するのか、彼女には分からなかった。
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