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>>240 クロエ
イグニスは、彼女の手のひらに乗った小さな宝石を指でつまんだ。繊細な砂糖菓子を持つように、慎重に。
きらりとそれは、クロエの色で光る。
────これを持つことが、自分に許されるのだろうか。
反逆者として処刑された、クロエ・ド=ベルティエの欠片を持つことが、騎士であるイグニスに。
迷いは一瞬で、イグニスは欠片をぎゅっと手のひらの中に握りこんだ。
「こんなもんなくったってな、俺がお前を忘れるわけねえだろ」
「──だが。今後俺様が騎士として活躍するのを近くで見られないのはさぞかし悔しいだろう? 仕方ねえから、お前の代わりにコイツに見せてやるよ。俺様の活躍をなァ」
>>262ブレイ
「ははははははは!!!!!!
殴られてぇのかてめぇ上等だブレイ。
……いや、アラタ・ヌバタマ、か?
いいやややこしい。今はてめぇは俺にとっちゃぁまだブレイだ。俺の後輩で、大遅刻かました大馬鹿野郎の鬼軍曹だ。
ビィビってねぇ!!搦め手にやられただけだ!!!
貸しは勝って返すさ。俺からの敗北がお前らへの餞別にしてやらぁ。狂狼の騎士の本気を見せてやる。ちびんなよ単細胞」
槍を、構える。
>>265グラジナ
グラジナに、何の問題もないと槍を周囲に大きく振る。
一切の劣化、問題なく空をゆく槍の軌跡。
「言い訳の心配でもしてんのかぁ?
問題ねぇよ。俺に心配なんざ十年はええと思え」
「⦅…そうだな。君にとってのファルス王子は…⦆)」
言葉を呑む。上手く言葉が出てこない。
使い慣れた母国の言葉の筈なのに。
慌てたように少し早口で言葉を紡ぐ。
「⦅あ、ああ、私は黒狼騎士団に残るつもりだ。元々の目的だからな。国を出てから四年もかかってしまった。流石にそろそろ何とかしないと父上にも上様にも何と言われるかわからんからな。いやあ、しかし⦆」
口が滑るように言葉が継いで出た。
「⦅君と離れるのは本当に胸が痛む…⦆」
吐いた言葉を呑み込むことは叶わない。
いつもの調子でいれば気取られることも無かったかもしれないが、はっとした表情で、カリンの顔を見てしまう。
>>263 ファルス
「お呼びですか、我が君」
視線を感じ、顔をあげれば丁度王子が剣を抜くところだった。此度の研修で余程血が騒いでいたのだろう。
「────はっ。お相手努めさせていただきます」
俺もまた、剣を抜く。何故だろう、此方と手合わせするのが、酷くひさしぶりに思えた。
>>269 エスカデ
「……結構だ。すまないが、その場で待っていてもらえるか。団長にはそのように伝えよう。」
==
目線を合わせにかがめたエスカデを真っ向から見据え、はっきりと答えると、踵を返しファルスを探しに砦へと戻った。
==
>>ファルス
「ファルス様。貿易商を名乗る者がファルス様への御目通りを希望しています。如何様に対応しましょうか。荷物にはアレハンドロ海運……とありましたが。」
>>244グラジナ
「そっか。それが聞けて良かった。……一生懸命、グラジナの新しい名前…考えてみたんだ。……」
少し恥ずかしそうにグラジナの目を見て、名前を告げる。
「クワルツ・ルートヴィヒ・ケーレブ」
『自分に入っている血を恨むはずがない』と言う時、両親を思い浮かべたのだろうか。嘘のない真っ直ぐとした視線が届いた。
自分自身を混血種だと受け入れ、人を救いたいと黒狼騎士団へ入団した、クリスタルを賜った戦士。
エルモント・グラジナはここで死を迎える。けれど、第二の生を受け歩き続けていく。ならば、彼のそのままを名に表したかった。
「……どうかな」
>>258 ガルセウヌ
「ふん、俺だったら一人でやれた。」
ガルセウヌを乗っ取るほどの悪魔ということは、相当のものだったのだろう。
想像に容易いが、俺は腕を組みながら鼻を鳴らしてそう言った。
意趣返しのような言葉には、少しだけ言葉を詰まらせる。
王子の元にすぐに駆けつけることができなかったのは俺にとっても不本意だったからだ。
しかし、ガルセウヌの手前で認めるのも気にくわない。情報がこなかった理由も大体想像がついたが、俺は腹いせにガルセウヌを詰った。
「ミレーユと城下町で暴れた賊の取り調べをしてたんだよ。むしろ、ここまで大事になっているのに何故城に早く連絡を寄越さなかったんだ。アンタもそばにいたんだろ。」
>>271 アラタ
べっっっっつに!!!!
[わかってない!わかってない!そこは拾わなくていいのに!!でも素直にならないあたしも大概乙女じゃない]
約束、って、リベンジのこと!?……超早速じゃん。
でも、いーよ!!アラタとして戦うのは初めてだし……今日なら、ギリッギリブレイにリベンジしたって言えるし
短剣使う?
[足に付けていたブレイの短剣を外して見せた]
みんなのいる所から離れて行くエイダンが目に留まる。
話したいことはいっぱいある。
「私たちは最高のバディなのだわ!」
「あなたがいてくれてよかった」
「ただただ、ありがとう」
……しかし、試験中あれこれとお互い語った夢を思い出すと言葉が出てこない。
エイダンは、魔王を倒す勇者に憧れるように騎士の道を選んだのだから。
心躍る冒険譚の勇者は魔王と知らず仲良くなったり、魔王にも家族がいると知らされることなど、絶対にない。
絶対的に憧れた夢と自分の立ち位置を見失ったのだ。
自分だって、悪辣なダークエルフや巨大なスプリガン。船に襲いかかるサーペント。いつかエイダンと討伐に行こうと話したのは楽しくてたまらなかった。
「……エイダン。私にがっかりしたかしら」
>>273 センゾウ
あ、また茶化す気なの?とじとっとした目を向けながら咳払いするセンゾウをじいっと見る。
これ以上、彼の細かな感情を逃さぬ様に。
「⦅…………ありがとう。否定されても、仕方ないって思ってたけど……どうしてかな、センゾウから言われなかったのは……酷く安心する。
……いいんだ。あの御方が決めた事を全うするのが私の全てなんだから。
……悲しいけど、きっとこれは時の流れが癒してくれる。⦆」
そう割り切るしかない、そうであらねばと自分に言い聞かせ、どこか気まずそうなセンゾウに笑ってみせる。彼を心配させる事だけはあってはならない。
「⦅…だよね!センゾウったら四年も主君の命を放っておいてたの?もう!ちゃんとこれからは……………え?⦆」
口角を無理に吊り上げて、虚勢を張った表情はすぐに崩れる。彼の言葉が、続く軽口が聞こえなかったから。
「⦅…………センゾウ、あのさ。今から、一つだけ頼みがあるんだ。私の今からする話に……否定をするなら、どうしたんだ?って笑って流してほしい。もし……もしも、受け入れてくれるなら…………。⦆」
>>279ローラン
「ははは!!お前らしい自信だが、ありゃ一人だときついぞぉ。
なんせ団長が死ぬだの、後輩達が死ぬだのわけわからん幻覚を見せてきやがるからな。ありゃ、止めれる仲間がいてこそ対峙する相手だ」
だが、もしかしたらローランならと期待する気持ちもある。
「こんな大事、少なくとも大々的に城に報告なんて出来るかよ。
俺が側にいるからこそ、報告は必要ないと判断した。」
ミレーユに、ローランを砦に近づけない様に任務を頼んだ、事は話さない方が良いだろうなぁと硬く誓う。
「それはそうと、随分と後輩と仲良くなったもんだなぁローラン?」
ニヤニヤと笑い、横のソラとローランを見やるでしょう
>>272ガルセウヌ
「そう。それは良かった」
初日に彼に発した少量の殺気ではなく、全開の殺気。笑顔も消え去る。
ビリビリと肌に感じる事が出来るだろう。
寸分の動きを見逃さないように、目の瞳孔を開く。
「じゃあコイントスしますね」
+裏+
>>アルベルト
よし、表……先攻は俺だ。
「よし!騎士団長ファルス=サリーナ、参る!」
剣をアルベルトへ向け、目をかっと見開く。人を相手にするときには、しっかり相手を見ねばならない。
力を入れて踏み込み、飛び掛るように上段の構えから斜めに斬りかかった。
大振りになるため賭けのような攻撃だが、今はがむしゃらな力押しで勝ちたかった。
「どうだ!!」
1(6)+2
>> ガルセウヌ
>> グラジナ
「おっと、お二人さん。省いてくれるな、混ぜてもらうぜ!!」
「ガルセウヌ!昨日みたいにあっけなく倒れるぐらいならあとひとり誰か呼んだらどうだ??」
>>266 ガルセウヌ
「げ」
イグニスは思わず顔を顰めた。それから、取り繕うように表情を改める。
「無論、覚えております。自分で立てた誓いですから」
一度目を瞑ると、イグニスは真っ直ぐにガルセウヌを見た。同じガーネットを賜った、先輩を。
「──私の故郷のことを覚えておいでですか? 恥ずかしながら、我が故郷は未だ古くからの差別が残る地です。強いものが弱いものを蹂躙する、そんなことが当たり前の場所です。」
かつてイグニスは、弱者だった。
そしてその立場は、ただ己に流れる血のために、簡単にひっくり返った。
騎士団に入ったのは、己を守るためだ。また弱者にならないよう。そして、強者として、誰かを蹂躙してしまわないよう。
「全ての人に、と言いましたが。私はただ、それが許せなかっただけです。そんな常識を、変える力が欲しかった」
>>270 イグニス
“こんなものがなくとも忘れるわけがない”という言葉に、クロエは自然と目を細めた。
今でも思う。
ウィアやグラジナ、ブレイ、カリンと、この黒狼騎士団の騎士として認められたかった。
そしてファルス騎士団長のもとで、ソラや目の前の彼と一緒に国に尽くしたかった。
「……そうね。わたしが直に見られないのは残念だけれど、あなたがドジを踏んでいるところをしっかりそのアメジストに見ていてもらうわ。」
そうして軽口を叩いたあと、彼の姿をしばらくその目に焼き付けた。
いつかもしかしたら、彼とまみえることがあるかもしれない。けれど、“クロエ”として彼の目に映るのは、これが最後だ。
「…………ありがとう、イグニス。」
何百年後。ハーフエルフとしての生を全うする日が来ても、きっと目の前のガーネットの騎士を忘れることはないだろう。
「少し、話をそらしてしまいましたね。全ての人間に、異種族が入っているか。お答えしましょう」
そんなイグニスの小さな世界は、今回の一件で少しだけ広がった。守りたい人が、少しずつ増えていく。
「──勿論です」
そしてイグニスは丁寧な言葉とは裏腹に、ガルセウヌに向けて不遜な笑みを浮かべた。
「エーイダンっ!」
なんて声をかけようか悩んだらとんでもなく軽くなった。
言いながらしまったと思い言葉に詰まる。
「あの…………隣に、座ってもいい?」
話したいことを遠回しにかすめるように、かすめるように……エイダンの気持ちに寄り添おうとする。
「追い出されてからもちゃんとお話しができなかったから。
色んなことがありすぎて……そんなに処理しきれないのだわ。」
>>282 ノア
「……ふふ。そうかもしれないな。私たちの考え方や振る舞いは真逆かもしれないが、案外、いいバディなのかもしれない。
あぁ、もう負けない。ノアにも……そして、サリーナやファルス様を狙う者たちにも。ターコイズの騎士として、恥じぬ騎士となってみせる。」
==
ノアというバディがいてくれたことが、私にとってどれくらい大きかったのか、今になってわかった。ノアに言ったことは本心だ。私たちは本当に……いいバディなんだと、心から思えた。
ノアも、同じように思ってくれているだろうか。彼もまたトパーズの騎士。バディの名に恥じぬよう、さらに技を磨いて……
そうか。これが、"馬鹿真面目"というものか。
可笑しくなって、笑い声が出た。"馬鹿真面目"ではなくなる日は、まだ来そうにない。
==
>>245 >>246 >>248 >>249 エイダン
「うん。…でも、今日はいいかな。食べてる時間がもったいなくて。」
黒狼騎士団、同期の最期の時間が流れる。少しでもこの時間を共有していたかった。
ファルス王子を見ていたエイダンは、自分を見て、肩をすくめて笑っていた。
エイダンの胸中を聞く。自分より幾ばくか幼い彼にとって、今回の出来事は常識のひっくり返るような事件だったに違いない。幼少期に叔父さんの事があるなら、なおさら。
それでも、大人たちから刷り込まれた“当たり前”の殻を破り、前に進んだ。知らないままではなく知ろうとする姿勢。その1歩を踏み出す勇気は、エイダンの強さに繋がるのだろう。
「ああ。最高の相棒だよ。……見たかったな、勇士。」
相方を褒められ、自分の事のように照れ笑いを返し、同調する。彼の本当の姿は、これから先たくさん見れるかも知れない。……それは、先に団長へと話す事だろう。
「…ありがとな、エイダン。日記のこと黙っていてくれて。」
自分のことがわかる、唯一の道標。エイダンがもしあの日団長へ密告していれば、こうはなっていなかっただろう。改めて礼をした。
>>287グラジナ
見たこともない。
いいや、悪魔との戦闘時、一瞬目にした時の様な殺気。
これがグラジナの本気なのだと、肌が喜ぶ。心が沸き立つ。棋士としての本気を見せるに足る相手だと確信する。
(>>290ブレイの言葉に反応し)
「ノアァァ!!!俺とお前でタッグだ!!!!こいやぁ!!!」
近くにいた後輩を無理矢理巻き込む。
さぁーーー闘いだ。
「やりあおうかぁぁぁ!!!!」
最後の闘いになるならば。最大の誇りを餞別とするならば。当然。手加減等論外。であるならば、ガルセウヌの全てを込めた一撃を。餞とならん、受けた側すら誉れとならん一別を。
【全力の一撃】
愚直な迄に、ガルセウヌの最大の武と、誇りを込めた技なのだから。それ以外に。今送るべき技等ありえない。
狙うはグラジナ。
ガルセウヌの全てを込めた投擲は、空を抉る。牙と為す。狂狼の牙。
万感の別れを込めて、最大の全力を。
さぁ、我が究極の一を受けてみよ、雷の獣。黒き誇りを胸に抱いた、我が同胞よ。死に行き去り行き産まれ行く、貴様に送らん。
5(6)+2
>>289 ファルス
王子が真っ直ぐと走ってくる。
その攻撃もまた、ストレートな剣だ。避けるのは容易い、だが。
蒼の瞳が、喜びに光っている。
俺は剣を構えると、ぐっと強く踏み込んだ。王子がそうであるなら、俺もまた正面から向かい打とう。
────高い音を鳴らして、剣がぶつかり合う。
2(6)+2
>>296 ブレイ
う、うるっさいなー!!!もう花粉症にはならないよ!!鬼アレルギーは知らないけどさ!!!
ふんだ、同等の騎士なんだから、今更男も女もカンケーないっての。
……じゃあ、鬼にいっぱつぶちかますんだからね!!
[コイントスの結果は……あたし!あのときといっしょだ。今度こそ負けない!!ブレイを目がけて弓を構える。
でも今回は……矢は二本持つ。連続で使うんだ!
集中して見つめる先は、ブレイの肩。前回はあの大太刀を警戒して足を狙ったら失敗したから。今度は肩を狙う。たとえ一本目を防いでも、二本目の矢に気を取られたとき、隙が生まれるはず!!そしたら今度こそ短剣で接近戦!!]
とりゃーーー!!!
6(6)+1
>>294 ヒルダ
[ふぅ……とため息をつきながら、砦の外へ出る。砦の陰となっている部分まだ歩き、そこに腰をおろす。そういえば、ウィアの件があってから、初めてヒルダと密会したのもここだったっけ。
そう物思いに耽っていると、誰かに名前を呼ばれて振り返った。]
あははっ、なんだよヒルダ、その言い方?また頭でもうったか?
[今まで彼女と一緒にいた中で、聞いた事のない声掛けをされ、つい笑いが漏れる。
彼女のことだ。きっと、なんと声を掛けようか迷った挙句、変な言い方になってしまったのだろう。それくらい、理解するのは難しくなかった。]
おう。座れよ。ちょうど話したいと思ってたんだ。
[そっと左にズレてスペースを空けた。]
……そーだな。色んなことがあったな。
俺も、未だにこれで良かったのかどうかわかってない。異種族のことも。国のことも。騎士団のことも。自分の気持ちも。
……俺、考えること苦手だからさ。ヒルダは知ってるだろ?
進行だって、ぜーんぶあんたが考えてくれた。感謝してる。
[そう言うと、すっと目を伏せ視線を逸らす。]
あと、先に追放されちまったことも……悪かった。
ヒルダが一番辛い時、傍にいてやれなくてごめんな。
[グッと拳を握りしめながら、ヒルダに向かって頭をさげた。]*
>>286 ガルセウヌ
「ま、そうだな。少なくとも、大々的に城に報告していたら、あの異種族たちもただでは済まなかっただろうさ。スパイの件に関してもな。」
ひょっとしたら、セルナリアとの関係が悪化していたかもしれない。
今の結果に落ち着いたのは、ファルス王子の取り計らいがあってこそだろう。
もちろん俺がミレーユに一杯食わされていることは知る由もない。
すると、不意にガルセウヌがにやにやと人を食ったような表情をした。
隣を見やると、先ほどからちょこまかとついてくる後輩が、にこにことガルセウヌに笑いかけている。
「……別に。勝手にこいつがついてきてるだけだ。迷惑で仕方ないから今からガーネットの会に放り投げていいか」
俺は少々居心地が悪そうな顔をして、そんな憎まれ口を叩いてやった。
>>291イグニス
「覚えている。
……そうか。未だにそう言う領地もある、か」
やや顔色を暗くしながらも、イグニスの言葉の続きを聞く。
続く言葉は、恨み言か、復讐への言葉か。そんな事を思った自身を、ガルセウヌは殴りたくなっただろう。
続く後輩の言葉は、誇りと騎士として、人々を守る、そんな尊厳に満ちいたのだから。
ーー勿論です。
異種族も含めて、守るのだと。そんな、英雄譚で吟われる様な、正しき騎士の姿に。
「っくっははははははは!!
おうイグニス!!この遠征が終わったら飲みに行くぞ!
ソラ・カルセドニと、ローランも一緒だ!!
断るなよ?俺に気に入られたのが厄だと思え!」
あぁ、俺の後輩達は全く。この遠征で何度目かの事を思う。全く。全く。
ーーー全く。
>>307 ファルス
紙一重の差だ。
じんとした痛みが、手に残っていた。
「……畏れ多いことでございます。しかし、──私も団長とこうして剣をまみえることが、楽しくて仕方がありません」
勝利の高揚感で、いらぬ事まで口にしてしまった。
俺は剣を収めると、王子に向かって一礼した。
>>303 センゾウ
様子がおかしい彼に首を傾げる。
あからさまに横に逸れる目にやっぱり、駄目だっただろうか。と反省し、俯いて後ろに軽く身を引こうとすれば頭に乗っかる優しい感触に驚いて顔を上げれば、そこには当然、センゾウがいて。思わず赤らむ顔のまま、わなわなと唇を震わせた。
「⦅……た、頼み事をしてからだってば!…………こほん。⦆」
咳払いをして、気持ちを落ち着かせると一歩近寄って話し始める。
私にとっても、彼にとっても大事な話だから茶化して話すのは何か違うと思ったからだ。
「⦅これからどうなるか、っていうのは故郷に帰らないとわからないけど。……絶対、サリーナには……センゾウの側にはいてあげられない。……でも、待ってあげる事は出来る。…………あの、さ、センゾウがよければだけど……帰りを、ずうっと待っててもいい?⦆」
待つ事。それは聞かなくても出来るのに、どうして聞いてしまったんだろうか。
……彼が兄によく似た。いや、そんな事は今は関係ない。……彼の事を待ちたいと思う気持ちは、心からのものなのだから。
翠玉の瞳は瞬きもせず、ただひたすらに目の前に立つセンゾウの姿を映した。
>>290ブレイ
「さぁ、いこうか」
それぞれに攻撃を仕掛けられる。
ブレイはノアに。
そしてグラジナはガルセウヌに。
鎧の下の顔は笑っているだろうか。
鎧の隙間から見える目は強い者と闘うソレだった。
彼が渾身の一撃を放たんとする。
しっかりと気を保っていないと、その空気に引き摺り込まれそうだ。
───ボッッ
突然空気が震える音がする。
彼の腕から槍が消える。
槍の投擲。
かの魔槍を連想させるような、当たれば即死のような全力。
「くっ....」
ギリギリの所で地面に伏せる。
持っていた小太刀を関節の間に投げ入れようとするだけで精一杯だった。
2(6) +1
>>306 エイダン
「あなたがいなくなってからあっという間に不安定になったのだわ。ダメね。
作戦なんて小賢しいことしないでもっと色んな人の話をちゃんと聞くべきだったのだわ……
いい経験になったかしら。」
隣を許され並んで座れば、エイダンのやわらかな日差しのような金髪。それと似た色の宝石がまだ戻っていないことに気がつく。
「……何て団長に答えるの?」
「私は…………」
言いさして、勝手な自分の話が出てきてしまう。
「兄に"お前は読みかじりの知識に頼り過ぎる"そう言われたのだわ。
まさしく異種族のことは……そうね、それこそ冒険譚でしか触れようとしてこなかった。サリーナに表立っていないのは当たり前なのだから。
本は楽しいの。でもそれだけじゃやっぱり、足りないのだわ。全部を見ることはできないけれど、見てわかるというのは本当に……大切なのね。
急に考えを変えるのは難しくて、エイダンとの夢みたいな冒険も諦めたくなくて……でも、必ずしも異種族との関係は冒険ではないのだわ。
>>310 ファルス
「御意。ではそのように」
==
一度畏ると、彼を待たせていた場所へと戻る。
==
>>エスカデ
「団長の許可が降りた。こちらへ。」
==
エスカデを見つけると、ファルスの元へ案内するだろう。
==
それぞれが各々の思いの丈を団長へと述べる。
1人、2人と話し合え、折り合いをつけて自分も向かった。
>>ファルス団長
「…………その」
どう話せば良いのだろう。決意した事が言葉に出ない。緊張からなのか、後ろめたさからなのかは定かではない。これから、自分を裏切る。
「…折り入ってお話があります。アルバート・エル・ルシエ。ルビーの名を返上したく思います。確かに自分は、この騎士団に憧れ、貴方の手足となるべく訓練に励み、ここまでやって来ました。」
「しかし、それは自分ではない。もう1人の自分…自分の知り得ないアルバートの意思なのです。自分は、この1週間の間、貴方に、この国に疑問を抱きました。この気持ちを持ちながら、ルビーを携えることは、出来ません。」
「無礼、且つ身勝手な行動をお許しください」
ルビーが光る長剣を腰から外す。偽物の宝石と言えど、今のアルバートにとっては自分の分身そのものである。本物のルビーの宝石は、ここに来るべきだった自分が受け取るべき物だ。
長剣を差し出し、頭を下げて返事を待った。
>>308 アラタ
[狙い通り、一本目の矢はアラタの肩に当たる。その衝撃で、アラタの帽子が飛んだ。
その中から現れたのは……2本のツノ。えっ、あっ、鬼ってそういうこと!?一瞬動揺したけれど、勢いのまま2本目の矢を放つ]
今度こそ!!
[アラタは矢を全力で薙ぎ払う。それでいい、狙い通り。あたしはその頃にはタッ、と駆けて、飛び込み前転の要領でアラタの太刀の下から背後に回り込み──騎士団の短剣を突きつけた]
はあ、はあ、はあ、はあ。
はー……息が切れた。今までで一番頑張った。
……あたしの勝ちね!アラタ!
>>309ローラン
憎まれ口を叩くローランへ、愉快気に返す。
「いらねぇいらねぇ!
って言ったらソラに悪いがな。そいつがついていきてぇ奴は、そいつ自身がもう決めてるみてぇだぞ」
と、ニコニコしているソラの眼を見ながら答える。
「お前と同じ宝石の後輩は中々の奴だよ。
俺のも負けてねぇがな!なんなら先輩後輩タッグで模擬戦でもするか?
おーい!!イグニス!!!」
と、大声でイグニスを呼ぶだろう
いたずらにこちらを脅かすものは異種族であっても人であっても関係ないのだわ。
私は……サリーナを守りたいと思った。
未来のサリーナそのものであるファルス様に全てを委ねようと。
それと、異種族を忌まないということは……矛盾しないのだわ。きっと。
エイダン。あなたの守りたいものが正しく私たちの未来のためにありますように。
あなたがバディでよかったって、10年後もきっと思うためにこれからも助けて欲しい。」
右手を軽く握り、拳を作ってエイダンに向ける。/*
>>278アルバート
彼は、そこまで聞いて新しい名をくれた。
とても綺麗で、まるで君は君だよ。と言っているような、優しい名前だ。
「ああ...とてもいい名前だね。さすが俺のバディであり、友だ。」
会った中で1番いい笑顔だっただろう。澄んだ瞳で彼を見る。少し目が潤んでいるかもしれない。
すると、急にアルバートに真剣な眼差しを向ける。そして、こう言い放った。
「アルバート、俺は死んだ。だから旅に出ようと思う。」
「俺と一緒に来ないか?」
すっと、右手を差し出す。
―――いつぞやの話。
砦の中に、荷物を置きっ放しにしていた事に気付いて急いでまとめる。
中には、これはこの人に渡そうと決めた物もあってそれは別の包みにまとめた。
荷物を持ちながら通り過ぎるは食堂の前。
数日間とはいえ、ここの厨房にはお世話になったと顔を覗かせばそこにはバディであるヨルダが座っている。恐る恐る近付いて見てみれば、紅茶を啜っていた。
皆の輪に入らず、敢えて一人になる彼に彼らしいと心の中で苦笑すれば自然と声を掛ける。
>>ヨルダ
「……こんにちは、ヨルダ。同席に預かってもいい?」
どこから持ってきたのだろうか。
並ぶティーカップ等の食器類に、乾き物のお菓子が並ぶテーブルを指さす。
>>297 アルバート
あ!!俺が言ったってことはグラジナには内緒な!!あいつにバレたらなんか面倒くさそうだからさ…!
[わざとらしくシー!と言いながら、口元に人差し指を当て、笑った。
相棒の勇姿を見たかったと言いながら笑う彼の決めた未来を、エイダンは知らない。
けれど、それがどんなものであったとしても、応援する事は間違いないだろう。きっと、アルバートなら大丈夫だと、そう言って。]
あー、日記な。いいよ、別にお礼なんて。
初日から面倒事に巻き込まれるのは嫌だっただけだしなぁ。
[騎士団員としての初仕事の初日。初めてアルバートに声をかけた時のことを思い出す。
あの時は、ただ本当に面倒事に巻き込まれたくなかったから黙っていた。そのあと、とんでもないことに巻き込まれたのは言うまでもないのだが……]
ま、終わったことだし気にすんなよ!
あ!でもこの国にいる間、その日記を開く時は注意しとけよ?またどこで見られてるかわかんねぇんだからな!
[キョロキョロと周りを確かめれば、あの日と同じように、小声でそう忠告をした。]*
>>317 アルバート
アルバートの除隊願いを、表情を変えることなく聞いていた。
「……そうか。最後まで共に戦った一人だからな。君が居なくなるのは、正直なところ残念だ。
君は、たとえ記憶が無くとも、優秀な騎士たりえただろう。
しかし、その決意を尊重しよう。アルバート・エル・ルシエ。今日まで、よく務めた」
苦笑して、長剣を受け取る。そのまま立ち去ろうと足を踏み出したが、思うところあり、もう一度アルバートに向き直った。
「……俺が、騎士としてアルバートにさずけた宝石はここにある。ウィア・ディーガが入れ替えたからな。つまり、君が最後まで剣に嵌めていたこのルビーは、偽物であった。
しかし、記憶を無くした君が初めて手に取ったのは、このルビーだ。そして、この砕かれなかったルビーは、君が戦った証となろう」
長剣からルビーを外し、アルバートに渡す。
「このルビーは騎士団のルビーではない。記憶も拠り所もなくなるお前の……証のひとつとして持っていけ」
>>314グラジナ
【全力の一撃】を……避けられる。
当たればグラジナの胴体は消しとんでいただろう。
異形の姿とならなかったのは、最後は只の騎士としての闘いを望んだからか。
ーーーまだだ。まだガルセウヌの腰には、騎士団の誇りを象徴する、ガーネット輝く短剣がある。
グラジナが、崩れた姿勢から小太刀を投げつけてくる。
左腕の間接部分に突き刺さる。狂狼は止まらない。
そのまま、グラジナへと。まずは脚で蹴り飛ばし、更に体勢を崩させる。巨漢の蹴りは、いかな異種族とは言え耐え難いものだろう。
そのまま、短剣をグラジナへと大上段に斬りつけるーー!!
>>313 カリン
カリンの言葉で躰に感覚が戻ってきた。
彼女の柔らかい髪の毛の感触と少し高い体温が手のひらから伝わってくる。
「⦅す、すまない…!⦆」
ぱっと手を離すが、先程のような感覚はない。
カリンがぐいと近くに寄る。
…待っている。待っていてくれる。
いつもの悪戯な笑顔はなく、そこには頬を朱に染めたひとりの少女がいる。
本当に感情豊かな娘だ。ころころと変わるその表情をいつも傍で見ていたい。…もっと近くで見つめていたい。
「⦅…待たせるのは性分ではないんだが。⦆」
そう言うとセンゾウも一歩踏み出した。
二人の距離は空間同士が繋がったかのように隣り合わせになっただろう。
再び、今度は間違いなく、自身の意志を持って、カリンの頭に手を置いた。
「⦅ヒノクニに帰ることができるようになったら、真っ先にカリンを迎えに行くと約束しよう。父上や上様のことなど知るものか。⦆」
ユーディトに案内され、別れ際に彼女にニッと笑ってウィンクする。
居住まいを正して、王子に挨拶に向かう。
>>310 ファルス
「殿下。毎度ご贔屓に。
大切な騎士様を育成する事業にアレハンドロ海運を使って頂いて光栄です。
注文のあった武器その他消耗品に食料。
内訳はここに書付てあるから改めていただきたい。
…………遠征の半ばに届けよ、とのお達しだったんだが……
早めに終わりですかい?今回は。
前金で頂戴してるんでウチとしては問題がないものの早めに使っていただきたいものもありますから。そこは良い感じにお願いしとくぜ。
何か別途注文があれば後日届けさせるが……
不足があれば物資だけじゃなく輸送も請け負うんで船でできることなら是非に。
アレハンドロは大陸の窓口、すべては御意のまま!ってな」
>>325 アルベルト
カーマインからも騎士たちからも距離を取る。
アルベルトにのみ聞こえるよう、囁くように言う。
「……アルベルト、お前にだけ話そう」
「此度のことで、我が国民がどれほど危うい立場にあるか、実感した。此処が、城でなくて良かったと、心から思う」
ウィアも、クロエも、グラジナも、ブレイも、カリンも。
たとえ故郷は違っても、黒狼騎士団に所属した者は等しく我が国民である。
「俺は……一つ、禁則を破ろうと思う。
……団長たる俺が、禁則を破ったことが割れれば、大変な騒動になるだろう。当然、露顕せぬよう、最大限の注意を払うことになる。お前の知恵と協力を得たいのだ」
>> ミズリ
放たれた2本目の矢には反応ができず、反動の果てにミズは消えていた。
背後から聞こえるミズリの声と突き立てられた短剣は敗北をを俺に告げる。
「.......、」
鬼の心に感情が氾濫する。
喜怒哀楽、喜びが1番大きいか。
そしてこの敗北は鬼に何かを許すトリガーになった。
振り返り、刀を落としミズリを抱き上げた。
「強くなったんだな、ミズリ。」
「本当に、何から何まで。俺はお前に感謝しきれない。」
>>292 クロエ
「…………、ドジなんて、踏むわけねえだろ」
イグニスはクロエの表情を惚けるように見て、それを誤魔化すように目線を外した。
…………これが、本当の最後だ。
急にそんなことを自覚して、イグニスはきゅっとアメジストを握りしめた。
「クロ。……クロエ」
名前をつけそびれた感情と一緒に、彼女の名前を呼ぶ。
「──。楽しかったぜ、お前との試合。お前ほどやりがいのあるやつは、なかなかいねぇからな!」
いつか。いつか、彼女に勝ちたかった。
騎士として、アメジストの騎士に勝ちたかった。──けれど、そんな日は二度と来ない。
>>328ガルセウヌ
避けるのに全神経を使ったせいか、投擲に力が入らない。結果、左腕の関節部分にささるが浅い。
身体の硬直が長く、反撃の体勢になれない。
その間ガルセウヌは迫ってくる。
内臓まで響くような蹴りを喰らう。一瞬息が止まりそうになる。
そのまま振り下ろされる短剣。
猶予は無かった。
────ガキィィン
響く金属音。
右腕だけ異形化し、爪で受けきった。
そのままガルセウヌを弾き飛ばすと、口を開いた。
「まじでセンパイ強すぎません?ごぼっ...タイマンなら余裕で負けですわ。自信あったんだけどな」
負けを認めるがどこか楽しそうに笑みを零すグラジナだった。
>>333 ファルス
俺は、思わず目をみはる。
この方は、ずっと、正しく王子とあろうとしてきたのを、知っていたから。
それほどまでに今回の騒動は、王子の中で大きかったのだろう。
「──はい、我が君。私の全ては、貴方様のものです。お好きに使っていただいて構いません」
>>335
「……なあ。お前、これからどうすんの」
イグニスは世間話でもするような口調で聞いた。本来は、聞くべきではないのだろう。
ガーネットの騎士は、名も知らない他国の女を気にかけたりしないだろう。それでも、たとえ何もすることが出来なくとも、知っていたかった。
クロエは死ぬ。けれども、イグニスが焦がれたアメジストの女は、生きていくのだから。
>>331アルバート
彼の応えはすぐ返ってきた。
ほくそ笑む。
「それでこそ俺の相棒だ」
初めてあった時とは違い、アルバートの胸の鎧をコツンと叩いた。
「改めて、俺は─────」
アルバートに対して、本名を名乗ったのか、それともくれた名前を名乗ったのか。
どちらにしても、彼は彼であり、自分は自分なのだ。
いろんな国を巡ろう、いろんな物をみよう、色んなことを感じよう。
彼と一緒なら、どこまでもいける気がする。
「でも、その前にある程度戦えるようにならないとねえ?訓練から始めようか?」
にやりと笑って、冗談を言う。
アルバートの顔が強ばりそうだ。
[ヒルダが全てを語ったあと、エイダンは彼女の瞳を見つめ、自分の想いを口にする。]
……ヒルダ、俺の守りたいものは、今も昔もこの国だ。
騎士として国を護るおじさんの背中を見て育ってきたんだから、その心は変わらない。
俺の決意は……今はまだ言えないけど、きっと大丈夫だ。
俺の未来にはヒルダがいるし、あんたがそう思ってくれてるのなら、ヒルダの未来には俺がいる。
……必ずな。
[そして、右手を軽く握れば、]
だから、これからもよろしく頼むぜ、ヒルダ!
[笑顔で、彼女の拳とぶつけた。
気持ちの良い風が頬を撫でる。ヒルダとの新しい未来が見えた気がした。]*
>>334 アラタ
うわわわわわなになになに!?
[勝った〜!!と、勝利の余韻にひたる暇もなく、突然アラタに抱き上げられる。そりゃアラタはあたしより大きいけど……こんなふうに抱き上げられるなんて思ってもみなかった]
ヤダヤダちょっと恥ずかしーじゃん!!!
なに!?なんなの!?
で、でも。
強くなったのは、アンタのおかげだよ、アラタ。
アンタに勝ちたい一心で、グラジナとも手合わせしたし、あのときの手合わせを反芻して、毎日作戦を立ててたんだから。
……鳥取ったのも、この日のための訓練の一環だから。
[抱き上げられたまま口をとがらせてみた。恥ずかしーから、顔なんて見れない!!]
>>329 センゾウ
別に謝る必要はないのに……。と少し拗ねながらも顔が熱くなるのを感じる。
一歩踏み出すセンゾウを見上げるように眺めた。ヒノクニ人にしては大きい彼を見て、センゾウって意外と大きかったんだなあ。と意識をするようになる。今のカリンには途中、僅かに脈打った心臓に気づく事はないだろう。
ぽん、と優しく置かれた手のひらが温かい。
にっと微笑むと、目を細めた。
「⦅…………その時は一緒に怒られてあげる。一人より二人。そうでしょ?⦆」
段々熱くなる顔に限度を覚えたのか、ぴょこっとしゃがむと足元に置かれていた荷物を探る。
「⦅……後これ、あげる。これはいらなかったら捨てればいいから、撫でなくていいよ!⦆」
予防線を貼ると、手に押し付けるように渡すは教本だった。カリンがいなくなった後にセンゾウが読んでいたものと分かるだろう。
>>336グラジナ
短剣がグラジナへ振り下ろされる刹那
ーーー異形の手が剣を受け、そのまま巨体を弾き飛ばす。剣は手を離れないが、姿勢を崩す。
追撃は、無い。グラジナ自身は、敗けを認めた言葉を放つ。しかし
ノアの方を見る。そこには、ブレイの前で大の字(>>339)になるノアがいただろう。
もしこのままグラジナとブレイの二人がかりでかかられれば、さしもの狂狼もひとたまりもない。
最大の獲物である『フェンリル』もまた、手元に無いのだから。それはつまり。
「……何ほざいてやがる。俺達の敗けだ敗け。
全く。騎士の強さを餞別してやるつもりが、勝利を餞にしちまうとはな。
先輩として情けねぇが……これで、心残りはねぇか。俺も、お前らもな」
そう言い、静かにグラジナへ近づくと、手を差し伸べた
>>326エイダン
「ああ、内緒な。…なんか、自分ら内緒話ばっかりだな」
いたずらに笑う。この1週間、何も考えずこんな風に笑えなかった。楽しい、という感情を久しぶりに感じた気がする。
日記について再び心配してくれるエイダンは、出会った時となんら変わりは無い。少しこんな関係を断つことに寂しさを覚えたが、決意は揺るがなかった。
「大丈夫。日記帳なんで持ち歩くと、変人だと思われたくないしな。ありがとう」
「そしたら、団長のとこ行ってくる。またね。」
エイダンに手を振り、団長へと向かう。
歩む道が違えど、エイダンとはこれからもこんな風に話せるだろう。そんな根拠のない確信を持ちながら、黒狼騎士団の除名を伝えるだろう。
>>ファルス団長
[ヒルダと別れ、ファルスの元へと向かう。
決意は固まった。それを告げる為、砦の中に駆け戻る。]
ファルス団長!!!
[腹から出したその声は、砦内に響き渡ったことだろう。さながら、どこかの先輩騎士のように。
声を出した後に彼の姿を見つけ、得意の駆け足で近づけば、ビシッと気をつけの姿勢を取って。]
お話があ……ります!!
えーっと……少しいいで……しょうか!!!
[未だに慣れない敬語で言葉を詰まらせながら、それでもなんとかファルスに向かってそう尋ねた。]*
>>339 ノア
「ハハッ!何を終わったみたいなこと抜かしてやがる!てめえは転がってろッ!」
内心はリベンジの成功を喜んでいたが、"戦いは終わってない。"
倒れたノアを飛び越えて2人の元へ駆けつける。
「相変わらず手のかかる奴だな、グラジナ。待ったか?」
そこにいるのは体勢を崩した2人。
「.......それでも、いい仕事だったぜ。」
宙にいる間に右手は鬼化する。
紅く膨れ上がった腕はクロガネの如く。
「お待たせしたな先輩さんよおッ!!そんでもって。」
"鬼神槌"
「ぶっ飛べェッ!!!!
」
よろけるガルセウヌには回避も防御も出来ない。
メキメキッと音を立て鎧は砕け散る。
地面に巨躯ごと叩きつけると地面は大きく凹んでいた。
>>348ガルセウヌ
「あはは。まぁブレイが本気でやればそういう事になるよね」
ノアの方を一瞥する。
悔しそうに大の字になっていた。
ガルセウヌから右手を差し出される。篭手の上からでも分かる手の瘤。この手で国を守ってきたのだと、実感する。
「...何言ってるんですか。心残りなんてありますよ。
タイマンで勝つまでは訪ねていきますからね。俺が勝つまで絶対に死なないで下さいよ?あと、傷治ってもないのに無茶しないでくださいね」
ぎゅっと力強く手を握る。
この人は国の為に王子の為に死んでいく。そんな気がしてならない。
ならばせめて、それ以外で心躍る楽しみを、渡しておかなければ。と思った。
>>335 イグニス
アメジストを持つ彼の手が、きゅっと握り締められた。
そうして紡がれる名前。紡がれる言葉を、クロエは静かに聞いていた。
「……わたしも楽しかったわ。最後の試合で勝てなかったのは悔しいけれど、本当にやりがいがあった。」
何の後ろめたさもなく、葛藤もなく。
清々しい気持ちで剣を振るうことができたことに、心の内で感謝する。
「……正直、自分でもこれからどうするのか分からないの。でも、ファルスさまはわたしのことを隣国との鍵だと言ってくれた。
サリーナにいられなくても、きっとこの国のために出来ることはある。ひとまずは暮らしていける場所を探して、もっと勉強をしたいわ。
国のこと、魔法のこと……」
そして、いつか。
その願いを口にするのは、今はやめることにした。
クロエは夜風で揺れる髪を耳にかけながら、今後のことについてぽつぽつと語った。
─────戦いが終わって、旅する事を決めた後。
グラジナはクロエを探していた。
彼女はどうするのだろう。それが気になっていた。
砦内を探索する。
>>351 ファルス
「巻き込む、など」
俺は笑みを引いた。
「──私は自らの意思で貴方様について行くのです。どうか、我が忠義を受け取ってくださるなら、そのようなことは仰らないでください」
じっと、王子の顔を見る。
「────!」
続く言葉に、観念したように目を伏せた。
「王家に連なる者は、使えぬものの方が少ないでしょう。ええ、ファルス様」
>>327ファルス
「勿体無き評価。自分は何も出来ませんでした。何度記憶があればと思った事でしょう。短い間でしたが、この国の肝となる黒狼騎士団の一員となれたこと、誇りに思います。サリーナに栄光あれ。」
団長の足音が遠くなる。除隊が受け入れられ、騎士ではなく農民に。自分はこれから目を覚ました家へと帰ることになる。そこから先は手探りになるだろう。騎士団に残った方が、生活の安定は約束されたも同然。それを良しとしなかったのは、騎士道に反することだからだ。
ファルスの足音が止まり、こちらに戻ってくる。何かと思えば自分の分身と思っていた宝石が手元に戻ってきた。
「!、………ッ」
言葉が出てこない。目頭が熱くなり、喉が詰まる。ああ、自分が憧れていたところは、こういう王子の姿なのだろう。涙が出そうになりながらも、足音が聞こえなくなるまで再び頭を下げ、見送った。
結界が解けてから、各々別に行動していた。
想う人に、話をしたり、武術で挑んだり、いちゃい(ピピー)したり。
しかし、自然とまたこの4人が集まる。
クロエに会ったら何しよう?
皆で話していた事を実行する時だ。
ブレイとカリンの手を引いてグラジナはクロエの元に走り出す。2人を先にぽいっとクロエの方に投げ、3人を包み込むように抱き締めた。
>>361 ファルス
「いえ、私こそ、過ぎたことを申しました」
魔法。堕落の証として、禁じられたもの。
だからこそ、自身の血に流れる魔力が嫌いだった。
けれど、それこそをこの方が必要とするのであれば。
「御意に、我が君。よい練習場を抑えておきましょう」
>>350カリン
「こんな環境では作法も礼式もまともに行えません。そもそも、もともとは効率よく戴く為のもの。
正しく味わえばそれで充分でしょう。
…お砂糖とミルクは如何しますか?」
薬缶が白い湯気を吐き出した。ティーポットとカップ2つにお湯を注ぎ、茶器が温まり次第捨てる。茶葉をふた匙入れて、再びお湯を注ぐ。
後は蒸らすだけだ。
「そうですね…魔法の発動条件、中断させる条件、具体的な魔法を止める手立てでしょうか。
魔法道具を壊せばよい、等ですとわかりやすくて大変助かりますね。」
“魔法などに頼るなんて軟弱者の証”
お兄様の言葉が蘇る。サリーナの騎士たる者、軟弱者に時間を費やしている暇はない。
そうでしょう?お兄様。
>>346 カリン
カリンの言葉に、くくと笑う。
「⦅…それは心強いな。⦆」
果たしてそれは、うちの里まで同行して父上の前に二人並ぶということなのであろうかと黙考した。
ひと騒動の予感がする。
首を捻っていると、カリンが見慣れた教本を差し出してきた。
「⦅やあ、これは有難い。⦆」
「礼がまだだったな。ありがとうカリン。本当に助かった。ああ、…十全に扱えるようになるさ。」
走り去るカリンの背を見送る。
彼女はいつ気付くだろうか。教本の代わりに荷物の中に忍ばせた小箱。そこにはセンゾウの彫った、花と鈴をあしらった根付けが入っているだろう。
別れの挨拶は、「また」。
再び相見えるその時には、この感情の整理がついているだろうか。何年後になるかはわからない。大丈夫、時間はある。鍛錬に励み、強くなる。少なくとも鬼に勝てずに追い返される訳にはいかないのだ。
>>343グラジナ
「ああ。よろしく。俺のバディ。」
改めて聞く自己紹介に、アルバートは笑顔を返す。いろんな土地に足を運んで、いろんなものを吸収しよう。明日からの旅立ちに胸を弾ませるも、ニヤリと意地悪な笑みがアルバートの表情筋をフリーズさせる。
「き、騎士団に入れるくらいだから…実力はある……はず…」
語尾が小さくなる。勘弁してくれと言わんばかりのしかめっ面。稽古をつけられながらの道中を想像し、参ったなと苦笑いする。
それでも、となりに相方がいることがこの上なく嬉しい。
またアップルパイも食べられるのでは、と少しだけ食についても期待してしまった。
「……じゃあまた後で。荷物まとめてくるよ。」
今生の別れになるかもしれぬ仲間に会いに行くだろう。気を遣わせまいと、背中をトンと押して見送った。
>>ファルス
[ファルスがみなと話を終えた頃、ウィアはそっと彼に近づく]
「ファルスさま。手紙を読んでいただき、ありがとうございます。
……私の、独りよがりの思い出がたりをお聞かせしてしまい、ごめんなさい。でも、嬉しかった。
たとえ、あなたさまが、私を覚えていなくても」
[目を伏せる。もう、私はウィアではなくなる]
「ファルスさま。私は、ウィア・ディーガは。明日からのジゼル・フェアリーフォードは。黒狼騎士にはなれずとも、かの地よりあなたさまのことを」
[……それが、ウィアが言えることの限界だった]
>>ソラ>>ローラン
「よぉし!
サファイアとガーネットの先輩後輩が揃った事だし、いっちょやりあおうじゃねえか!」
イグニスを雑に地面に放り投げ、有無を言わさぬ勢いで槍を抜く。
ローラン辺りは嫌な顔をするだろうが、ガルセウヌ相手なら拒否は無駄な事だと悟るかもしれない。
「うわっ、…………ふざけ……ふざけないでください!」
イグニスは乱暴に投げ出されると、不満げにガルセウヌを睨む。
「……チッ」
「あ? ……あー、なんか野暮ったい髪型の奴がいるなぁ、と思ってたけど、そいつがお前の先輩かよ、ソラ」
>>366 ヨルダ
「あはは、そう言ってもらえると助かる 。
お砂糖とミルクはお願いしたいな。」
手際がいいなあと嘆息をつきながら、続く言葉にスッと真顔になる。聞かれた内容にではない、彼への返答に対してだ。
「……私は、魔法使いにしては魔法に疎いかもしれない。型遅れとも言える返事だけど……武力では魔法に対抗出来ないよ、絶対に。
……魔法の消し方はね、一番は術者を殺す事。でも……その前に武で攻撃した相手が殺される。間違いなくね。
魔法道具は……例を出すなら、陣が彫られているものは、それを消してしまうか傷付けるのが手っ取り早いけど。今の魔法道具は改良されてるだろうから、そう簡単に弱点は見えないだろうね。」
淡々と事実を述べる。
嘘をついた方がこの場は流せたかもしれない。だが、唯一のバディにこれ以上の嘘をつくなんて事は出来なかった。
「……私の返事で、がっかりしたらごめん。でも、これが現状なの。
……サリーナ王国の魔法に頼る事が、人の心を弱くするっていうのはさ、ちょっと分かる気がするよ。」
俺は、伯父であるアンドレー・フォスターに憧れて、この黒狼騎士団への入団を希望し…ました。強くてカッコよくて優しくて。身体だって俺よりずっと大きくて。……今はもう、退団している、んですけど、それでもずっと俺の憧れでした。
[ゆっくりと、自分の想いを吐き出していく。]
……俺は、異種族を悪だと、思っています。
伯父を、退団においやった異種族を、俺は許すことが出来ません。このゲームだって、最初は、団長の決断を心の底から許せないと思ってました。
[ウィアからの手紙を受け取ったことも、恩情をかけたことも。全て許すことができなかった。団長の甘すぎる采配に失望していた。
──あの時は。]
……でも、今は違う。
砦の外のことは、ガルセウヌ先輩に聞いたと思います。俺は、そこで考え方が変わった、んです。
今回、異種族であるあいつらに下された沙汰を、俺はどう飲み込めばいいのかわからなかった。
きっと、掴みかかってでも、あんたに……団長に意義を申し立てるべきだった。前の俺なら、きっとそうしてた。
[その心臓に短剣を突き立てる為に。甘っちょろい沙汰を下した王子の失態を、この手で止めるために。]
でも、そうしなかったは──
[下唇を噛み締める。掌を握りしめる。
自分の決めた想いを、告げる時がきた。
未来を決める時がきた。]
…ファルス団長。
俺にも、みんなみたいに尋ねてくれませんか。
……そして、聞いてください。
俺の決断を。
[まっすぐに、ファルスの瞳を見据えたまま。]*
面倒なことに巻き込まれたと顔を顰める。
俺は小さく溜息をつくと、ソラ・カルセドニ以上に生意気そうな赤髪の騎士の軽口を聞き流して、剣を抜いた。
「あとで飯でも奢れよ、狂犬。」
−−当然、狙い澄ますのはガルセウヌだ。
剣を片手に構えながら地を蹴る。
御託はいらない。俺はそのまま狂狼の騎士の間合いに詰めた。
2(6)
>>374 エイダン
「はは、そうか。ならばよろしい」
軽い調子で返したが、その後に続く言葉に、表情を引き締める。
「……今年の新人騎士はみな活きがいい。純粋で、真っ直ぐで、恐れを知らんな。なに、半分は褒めている。
エイダン・フォスター、そのようなことを城では決して言うんじゃないぞ。五月蝿い貴族騎士に牢にぶち込まれるかもしれんし、俺もそれを止めることはしないだろう
しかしな。
俺は、率直に物申すお前を頼もしく思う」
それから、試すような視線で、エイダンの真っ直ぐな瞳を見据えた。
「エイダン・フォスター。君が忠誠を誓うのは、【この国】か、【この俺】か」
>>355 クロエ
「ふっ、……へーえ、いいんじゃねえの」
イグニスは笑みを浮かべる。
「……いつか」
たっぷりと悩んだ後、イグニスは未来の話をする。
「いつか、俺の名前が国中に轟くようになったら、てめえに会いに行ってやるよ」
「だから、それまで精々色々身につけとけ」
ローランがガルセウヌに斬りかかると同時、ローランの影から突剣を構えてガルセウヌへと詰め寄ります。
先鋒を務める人の後ろから二の太刀を浴びせるのは、急造コンビでも為しやすい連携でした。
「──っ!」
問題は、その力量に差があり過ぎた事でしょうか。
ガルセウヌに肉薄するローランの動きに一歩届かず、連携と呼べる程の形が出来上がりませんでした。
ならばとローランの邪魔にならないよう、ガルセウヌの隣にいるイグニスにその突剣を突き出します。
ローラン程ではないにしろ、その剣閃は鋭く正確です。
イグニスの胸に迫る刃を彼はどう躱すでしょうか。
4(6)
>>380ローラン
「お前らが勝ったらな白狼。
勝っても負けても、遠征が終わったら飲み会だ!」
流れる様にガルセウヌを狙うローラン。
滑らかな速度で間合いを詰めるローランへ、真っ直ぐに槍を突き立てる。
まともに当たらずとも体勢を崩す事くらいは出来るだろう。
もし完全にかわされたのなら、そのまま懐へ侵入されただろう。
と、しようと思考した瞬間。
その刹那、後ろから、上手いとは言えない連携で影から現れ、無理矢理イグニスを狙ったソラが目の端に止まる(>>383)
咄嗟に体を動かし、イグニスの胸を狙う剣の方向に槍を突き立て、剣の軌道上に槍を被せただろう。
庇う
1(6)+2
ポットの蓋を開け、ティースプーンで中を一混ぜする。
十分蒸れただろう。茶こしをかけて、2つのカップに紅茶を注ぐ。最後の一滴まで、丁寧に。
>>373カリン
「お砂糖とミルク、両方ですね。よかったです。ボクもミルクを入れる方が好みなので、濃い目に出していたものですから。」
片方にはお砂糖を、両方のカップにはミルクを入れてカリンの前へ差し出した。
静まった食堂では、茶器を置くかすかな音でさえも響いた。
「絶対に…絶対にですか。
ふふ、本当にその情報は古いですよ。絶対に武力は魔法に勝てないのならば…エルフたちのあんな顔、ボクらは見れなかったでしょうからね。」
淹れたてのミルクティーを一口啜った。
「ですがその言い方ならば…“カリンちゃんが魔法使いであったとき”、魔法の力を消滅させることはできないと、そういうことですね。
残念です、魔法を使えないのならば、お友達は続けられましたのに。」
「……それでは、カリンちゃん。最後に聞きますね。アナタは魔法使いですか?」
「──余計なことすん……しないでくださいよ!」
自分を庇うように立ちふさがるガルセウヌにイグニスは吠えた。
イグニスは素早く剣を抜くとローランに向かって走り出した。無論、手を抜く理由はない。
体をひねりながら、涼しい顔の先輩騎士に向かって攻撃を繰り出した。
1(6)
シトリンの騎士、エイダン・フォスター
【この命、この剣、貴方の為に捧げます。】
貴方の行く道の盾となり、剣となり、貴方の道を切り開くことを、ここに──
[左腰から黒狼騎士団の短剣を抜き取り、両手で持って胸の前に掲げた。
そして、もう一度、
ファルスの瞳をしっかりと捉えれば、]
この剣と、揺るぎない誇りに誓って。
[声高々に、宣誓した。]
[それは、真剣な表情だった。しかし、その顔も5秒程持たせるのが限界だったようで。
剣を下ろし、ゆっくりと表情を綻ばせると、]
……へへへ、なんて。慣れないことはするもんじゃないっすね。
[そう言って、無邪気に笑った。]*
>>386 ヨルダ
出されたお茶を啜れば、きちんと淹れた紅茶の芳醇な香りが胸を落ち着けさせた。
「…………エルフ、か。……何をした、とか無粋な言葉聞かないけど……魔法も、武力も、過信は良くないって思うな。……なんて、ヨルダには言わなくても分かるか。
今更だけどさ、首席おめでとう。」
上手いこと言葉に出来なくて、それでも身を案じている事が伝わるように柔らかい口調で言った。
本当に、狡い子だ。どう答えても拗れる内容頭を数度振ると、紅茶を飲み干して立ち上がる。
「……そうだよ。私は陰陽師。……だったっていうのが、正しいかな。
これからも、使う事はないよ。自分の意思では、絶対に。」
仲間の死地や……それこそ、ファルス様の命がなければ。絶対に。
「じゃあね、ヨルダ。紅茶美味しかった。
……次会う時は他人だけど、よかったらまた、お茶を淹れてよ。」
次会う時なんてないだろうけど、それでもまたを願わずにいられない。
他人なら、また一から始めればいい。彼がどうであれ、私にとっては―――唯一無二の、いざって時は頼れるバディなのだから。
>> クロエ
「よ、クロエ。少しやつれたか?」
「本当にお疲れ様、3人で見てたよ。まるで軍師様だったな。」
紫の髪を綺麗に靡かせる女性はいつか見た時よ痩せて見えた。そりゃそうだ、1人で戦ってたんだ。
「お前、このあとどうするんだ?」
/*
『ソフィー姫。私──俺は、貴女だけの騎士となることを誓います。』
──ある夜。
彼女の前で跪き、この日のために選んだ指環を差し出した。
王女は驚いたような顔をしてから、静かにその頬を朱に染めた。そして、それはそれは幸福そうに指環を受け取ったのだ。
いずれサリーナの王となるファルス王子に忠誠を誓い、同時に目の前の王女を守り抜くと決めた。
そう、誓ったのだ。
*/
「…っし!」
カリンと別れ、心が決まった。
>>ファルス
「翡翠の騎士 楠 仙蔵にございます。
拙者甚だ未熟なれど、国と民とに誠を尽くし、王下の剣となることを宣言致します。
【ファルス殿下に忠誠を誓い、より良きサリーナ王国の未来を描く為に共に歩まんことを。】」
ファルスの前に跪き、翡翠の短剣を捧ぐ。
(⦅生きて帰る。忍びの本懐だろう。⦆)
誓いと、約束を胸に。
>>ブレイ
「……ってえな」
イグニスは自分でしておきながら、ぶつかった男を睨みつける。
「あ。てめえ、クロに初日に切られた鬼野郎だな」
「…………」
現れた影に礼をし、瞼を閉じてその言を聞いた。
影が消えてからもしばらくそうしていた。
直接何か言われることはなかった。
罵られることすらも。
そういう人柄だから、使われていたのだ。
楽だったから。
けれど、頭を上げるには時間がかかった。
どれくらいそうして突っ立っていたのだろう。
>>345 ミズリ
「その成長に少しでも貢献出来たなら嬉しいぞ。」
そしてその先の成長もずっと見たいと感じた。
「んでもって、お前の勝ちってか?ふーん。」
抱き上げた身体を地面に下ろし、頭に手を置いた。
「こんなチビに負けんのは納得いかんな、まあ負けは負けだがな。でも実際これされてる間は俺が"優位"だろ。」
いつかぶりに頭を撫でる。
「なあ、ミズリ。」
気づけば俺はそれを口にしていた。
「俺についてきてくれないか。そうすれば、俺はお前を守れるし、お前だってもっと成長できる、俺だってお前の飯が食いたいし.......。」
彼女はやっと王子に忠誠を誓って、晴れて黒狼騎士団になったのだ。
わかってる、わかってるが。
「俺は、お前と一緒にいたいんだ。」
いっときの間バディだった相手が、濁りなく輝く宝石を受け取る様子を眺める。
と言っても、こちらがサボってばかりだったが。
いつもの緩い笑顔にはなれた。
>>ファルス
「さて。王子サマ?
煮るなり焼くなり好きにしてくれて構わないんだけど、あんまりいたぶられると魔法使って逃げちゃいそうだからさ」
「一瞬でケリがつくやり方がいいなー……なんて」
[そして、ゆっくりと鞘に短剣を戻した時。
ファルスが何かを手渡した。
それは、砕かれたと思っていた黒狼騎士団の誇り。エイダンにいつも強さを与えてくれていた、シトリンの宝石だった。
掌に転がるそれを見て、エイダンは目を見開き、叫ぶ。]
えっ、えっ、ええええええ?!
な、なんでこれがここに?!俺、あの、砕かれて、あのっっ!!!
[まさかの出来事に頭の処理が追いつかず、ただただ驚くばかりだった。]
俺の、石……シトリン………
[それでも、戻ってきたその輝きは本物で。]
…良かった………本当に……よかったっ…!!
[そっと宝石を両手で包み込む。
安堵に潤んだ瞳から涙がひとつ、こぼれ落ちた。]*
/*
魔法軍を率いてセルナリアがサリーナに攻めいった。
自身の強さを誇る黒狼騎士団も、全力の魔法軍にかかればひとたまりもない。
個の強さを重んじたローラン・アルグミュラーもまた、魔法を前に苦戦した。
それでも、信じていた。ファルス率いる黒狼騎士団が負けるはずはないと。
信じていた。まだローランがただの農民だった頃、憧れたあの背中を。
捕虜として敵国に連れられた先で、カーマイン王の前に立たされた時も、どこかでわずかな希望に縋っていた。
この国が──ファルス王子が、屈するわけがないと信じていた。
*/
>> ファルス
「……機密保持ィ?」
騎士団の団長から予想外の単語が出てくる。
片眉を上げてよく飲み込めない顔をするだろう。
「……そうだな。まあ、取引だ何だ……最初に必ず機密保持については取り決める。
ただ、商人の決まりきったテンプレみてェなモンだから、不足あれば特例を継ぎ足す、だな。
まあ、人が決めるもんだ。合意さえ取れてりゃ何とでもなるよ」
>>399 アラタ
……………………は。
[されるがままにされ、言われるがまま、言われたことを聞いていたけど。けど。けど。それって何?なになになに?]
……あたしに、騎士を捨てて、裏切り者で国外追放のアンタについてけって言うの?
……それは……
バディだから?
>>391カリン
「勿論です。どちらともにも絶対はございませんから。
あぁ、ありがとうございます。しかし、魔物も入れる入団試験、一体どうなっているのでしょうね。この試験で首席と言うのもなんだか居心地の悪いものです。お母様とお兄様は喜んでくれるでしょうが……
そうです、そういえばボク、紅茶は家族と友人以外振る舞わないのですよ。
あぁ、申し訳ありません。話が随分とずれましたね。」
今度こそ邪魔は入らない。カリンは頭を振って、紅茶を飲み干す。その目には決意が見えた気がした。
「そう、でしたか。カリンちゃんは陰陽師…魔法使い。
魔法を使わずとも、魔法を使える者を野放しにはしておけませんね。
ボクはボクが正しい道を歩むため、このまま見過ごすことはできないでしょう。」
「従って………、
さようなら、カリンちゃん。残念ながら、二度とお茶は淹れられません。」
ヨルダも立ち上がるとスカートを摘み、柔らかな笑顔で微笑んだ。
最後は、お兄様のお墨付きの正しい笑顔で。
>>404 ファルス
「まさか?
主人を選ぶ己の目は正しかったと確信しましたとも」
「国を捨てる、か…………」
肩をすくめて、含み笑いで唇を歪める。
「タイミングよく、たった今国に捨てられたところでしてね」
/*
なるほど、ファルス王子は最期まで凛々しかった。
最期までカーマイン王が差し伸べた手を拒み、サリーナの王子として──騎士として、敵国の王を睨んでいた。
王子が殺されたあの瞬間を忘れることはないだろう。
あの時、ローラン・アルグミュラーにとって大事な何かががらがらと音を立てて砕けた。
*/
アルバート!
[思わず、その背に声をかける。
彼は立ち止まっただろうか。いいや、立ち止まっていなくても、エイダンは大きな声でこう叫ぶ。]
頑張れよ!!
[ニッと、歯を見せて笑えば、団長の元へ行くアルバートを見送った。
そして、次は自分の番だ、と気合を入れ直す。決意を団長に告に行く前に、少しだけ風に当たりたかった。
決意を揺るがさないように、最後に自分自身を納得させられるように。もう一度だけ、自分を見つめ直す為に。
そっと、その場を離れ、砦の外へと繰り出した。
ヒルダがその後をついてきたのは、また別のお話。]*
/*
─────憧れていた背中は呆気なく崩れ落ちた。
次に、アルベルト・グランが死んだ。
アーロンの降伏を耳にした。
ヴァイルが死んだ。
レイヴが帰順した。
レベッカが地に伏した。
ローラン・アルグミュラーは立ち尽くしていた。
ファルス王子の亡骸の前で、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
ああ──あの真っ直ぐな目をしたサファイアの後輩騎士は、今頃無事だろうか。
いつも余計な世話ばかり焼く、あのガーネットの宝石を持つ狂狼は。
呆然とするローラン・アルグミュラーをあの紅い瞳が捉えた時。
初めて恐怖が湧いた。
彼にとっての“理想”が目の前で潰えた時、途端に震えが止まらなくなった。
*/
>>416 アラタ
ふうん、尊敬ですか。
[バディだからって言ったら断ろうと思ってた。口先だけの都合のいい甘い言葉でも吐こうものなら蹴っ飛ばそうと思ってた。
困っちゃうなあ、こんなの。不器用なやつ。でもあたしも大概素直じゃないからな]
わかったよ。
あたしはヒーローになりたかったの。きっとそれは、騎士団じゃなくても、出来ると思うよ。
でも、あたしがアンタについてくんじゃないよ。
あたしがアンタを引っ張ってってあげる。
去り間際、まだ廃棄されていなかった蓄音機を撫でる。この子には世話になったものだ。
ノイズ混じりに聞こえるは、ヨルダの声で。
「……!」
本当に、彼らしくて心から憎めないその一言に、小さな笑みが零れた。
彼は、何だかんだで私に甘い。
「……さようなら、私のお友達のヨルダ。
……はじめまして、ヨルダ・ノア・リューンベリ殿。」
誰に言うわけでもなく、蓄音機から足を遠ざけた。
>>420 ブレイ
「は?」
イグニスは突然猿真似を始めたブレイを見つめると、大笑いをした。
「あっははは、ははは! いやぁ、どうもね、くっく、俺は生憎サリーナ語しか話せねえが、猿語も話せるたァ、鬼ってやつは随分博識なんだな?」
ブレイに向かってひらひらと手を振る。
「……あー、絆ね、遅刻野郎がほざくもんだな。別に俺は事実を言ったまでだぜ? てめえがいうなら、絆があるから切ったんだろ? 何熱くなってんだよ」
片方の眉を上げて、さも怪訝そうに相手を見つめる。
>>418 ファルス
「えらくまあ物好きというか、あー……
研究者とかの方が向いてそうだよなあ。好奇心がモノを言うような職の方がさ。
…………良いだろう」
提案を飲んでその先はどうなるのか、と尋ねる前に動いたのは、他に失くすものがないからだ。
それ以外に?さあね。
結んだ髪の束を掴み、反対の指先で耳の後ろを払うようにして後頭部を撫でる。
風はかまいたちのように鋭い刃となり、縛った髪を落とした。
>>418 ファルス
「俺は生まれたとき未熟児で、体が弱かった。
死神が連れていけないように女の名を付けられたし、小さいうちは女の格好をさせられてた。
これはその名残……だったものだ」
そして、それを両の手で捧げ持ち、跪く。
「ファルス王子。
……ファルス・サリーナ。……様。
ここに、貴方への忠誠を誓う」
>>ファルス
[アラタと約束してあげたあと、ファルス王子のところに走る]
あっ!!ファルスだんちょー!!
言わなくちゃいけないことが、ありまして……。
[……どきどきする。でも、今日は風紀当番もいないから。それに、きっと、今しか言えない]
……あの。あたし、団則違反をしてしまいました。
ちょっと。えっと。一緒に居たい人が、できちゃって。
……あたしからじゃないんですけど……ほっとけないって言うか。
あたし、ヒーローになりたかったんです。だから、黒狼騎士になって、色んな人を助けたかった。
きっと、ファルスだんちょーとなら、できたと思います。
でも。ごめんなさい。
【この剣を、お返しします】
短い間ですが、ありがとうございました!!
ソラ・カルセドニ 享年?歳
セルナリアがサリーナに攻め入った際、魔法取締役としてかの国の魔法を看破、対策をいち早く周知しサリーナが善戦出来るよう尽力した。
しかし、魔法に対処できる人員の絶対数が足りず、戦局は徐々に劣勢となり最後には城壁を突破されてしまい、敗北、捕虜となる。
同輩であり友人であった仲間の為、そしてファルスの描く理想の国を目指して歩んだ道は絶たれ、一度は死を選ぼうとする。
しかし、亡きファルスの意思を守る為、そして仲間に事の顛末を伝える為に生き残る事を決断。
帰順後はセルナリアで同じ境遇のサリーナ人に、ファルスの意思…魔法と異種族への偏見を失くす事に尽力した。
帰順から更に数年後、アッカード地方にある墓の前で紺碧の髪のハーフエルフと共に、アッカード家の長子に墓参りをしている様子が見られたそうだ。
余談ではあるが、同じサファイアの騎士で帰順したローランとは密会、ひいては反乱の恐れありとして接触禁止となる。これはロート王が即位後撤廃された。
ロート王即位後の彼(彼女?)の記録は不明。
––––––大陸歴1177年
【ノル地方リューンベリ領 報告書】
10月1日 クリストフェル=ベリ
サリーナ王国西部にセルナリア王国が侵攻したと伝達。具体的な位置は不明。
リューンベリ領も国境が近いため警戒態勢へと移行する。中央へ応援の要請を検討。
10月2日 メルタ・セイデリア
西部に情報を送れと伝達したが返信はなし。被害の規模が大きかったのか。
流れてくる噂によると戦火は拡大しているということ。応援の要請とともに義勇兵の募集を開始。
・
・
10月◯日 クリストフェル=ベリ
我が領でセルナリアの兵の侵攻が確認された。メルタ、パトリクの死亡を確認。
・
・
10月×日 ヨハンネス・アレクサンデション
中央から黒狼騎士団が応援に来てくれると伝達あり!領主の弟君がいらっしゃるようだ。過去、エルフ討伐で活躍されたお方とのこと。これで戦場は俄然サリーナの有利になるだろう!
義勇兵の集まりが悪い。傭兵も検討する。
・
・
▼月△日 イクセル・エリクソン
最近傭兵の募集に華奢な者が多い。あれで戦えるのか。志望も後衛ばかり。足りないのは前線だというのに。弓のうまくない者から前衛へと回す。
市街地に火が回り損害大。戦場の縮小を目指す。
・
・
×月◇日 クリストフェル=ベリ
最前線のヨルダ隊が隊長のヨルダ・ノア・リューンベリ含め全兵士行方不明。
・
・
◯月▪日 クリストフェル=ベリ
ヨルダ隊全兵士、本日以降死亡と見做す。
士気の低下が見られる為、新たに決死隊を組む。最終作戦へと移行。
我らがサリーナの誇りを胸に!
■────今より四年後、1177年10月某日■
その日、セルナリア城門外にて、ファルス=サリーナの処刑が公開で行われた。民衆も多く集まり、その日は城の周辺は騒然としていた。
亡国サリーナの王子ファルスは、魔法による枷で拘束され、魔法の刃により断頭される。
セルナリア王カーマインの意図により、その処刑には黒狼騎士団の捕虜たちは全員立ち合わされることとなる。
セルナリアに残る記録書に拠れば、ファルス=サリーナは死の瞬間までカーマイン王を睨み続けていたということである。
騎士団員たちはファルス王子の処刑の瞬間、「殺せ」と喚く者、怨嗟の目で睨み上げる者、呆然として瞳に光が宿らぬ者、目を閉じて黙りこくる者、様々であったそうだ。
時は来た。
蓮凛丸を王子の側にいた騎士に渡すと大きくよろめいて、だから言ったのに……。と呆れながらも、ファルス王子に一礼をする。
二度と会う事はない、私の義と身を捧げた御方。
王子の手配だろうか。港に止まった船に乗れば、砦がよく見えた。
翡翠のような深緑の姿を探しても、私の瞳には彼はいない。
良い別れが出来たので悔いはないが、最後に一目と思った自分の甘さに頭を抱えた。
ふう、とひと息吐いて気を取り直すと、ブレイ、グラジナ、ウィア、クロエ……そして、ファルス様のお姿を見つめる。
その背はしゃんと伸び、多くの家臣に囲まれていた。その姿を見るのが最後なのだと思うと胸が締め付けられて、足元に転がる荷物に手を伸ばせば……そこには、小さな箱があった。
「……何これ?間違えて持って帰って……え。」
箱の中には、花と鈴をあしらった根付で。こんな綺麗な物を渡す人は一人しか知らない。
勢いよく甲板から下を覗き見れば陸は遥か遠く。
「⦅…………教本の御礼?いつの間に。流石、忍びの者……。⦆」
へら、と表情を緩めるように笑えば、帯紐に根付を結び付ける。漆の光沢できらりと光る根付は腰元で揺れた。
失う物と、得る物が大きかったこの国の土を踏む事はない。
それでも、胸に秘めた誓いと約束は消える事など決してないのだった。
■記されることの無い記録の裏の真実■
───ファルス=サリーナも、過去のサリーナ王族と同じく、強い潜在能力を持っていた。
そして、その従兄弟である公爵アルベルト=グランも。
かつての間者、スクルド・リラの教えを受け、三年の極秘特訓の末、その能力を発現させられるまでに技を磨く。
ファルス=サリーナは、相手の魔法を打ち消す能力を持っていた。
アルベルト=グランは、歴史書にある記憶操作術を。
魔法が禁じられたサリーナで。国民の憧憬の的である王子が。その側近が。魔法を習得しているなどほかの誰も思わなかった。
ただし、この能力は限定的にしか使えない。サリーナ王国の滅亡を防ぐ力はなかった。
王子ファルスは囚われる。アルベルト=グランも別房に。
しかし、それを。そしてその処刑日を。密かに国外に知らせる者がいた。
処刑当日、ファルスは初めて城の外で魔法を使用する。
処刑台の上で、魔法の枷を外す。当然、それは騒ぎになる。
アルベルト=グランが魔法を発動する。その記憶操作術は、群衆に紛れたジゼル・フェアリーフォードの水の魔法に乗って、その場の人々に降り注ぐ。
───式神を宿した形代が飛んでくる。
カリン・ユズリハのものである。
形代はファルスの形を作り、断頭台に横たわる。
人々が、形代を本物と認識し、悲鳴や怒号が飛び交う中、王子ファルスは、ぼろをまとい民衆の中に紛れ込んだ。
ファルスは逃れた。
妹を捨て、騎士の仲間を捨てた。
そう心の中で自らを責め苛む。
しかし、ファルスにはずっと大きな目的があった。
……無辜の民を救うこと。
ファルスは、王族でなく。一人の民草として、人々に向き合い、助けていこうと決意した。
それが、サリーナの民の幸福に繋がると信じたから。
── エイダン・フォスターの未来 ──
[ファルスから手渡されたシトリンの宝石をそっと短剣に嵌め込んだ。
輝きを放つその黄金色は、漸くあるべき場所に戻ってきた。思わず、顔が綻んでしまう。
この砦での遠征で、色々な事が起こった。いや、起こりすぎた。
その中で、エイダンの価値観は変わってきていた。それが良い方向なのか、悪い方向なのかはわからない。
けれど、確かに見る世界が変わっていた。
心の突っかかりが取れ、スッキリとした気持ちになっていた。
だからこそ、これで良かったのだろう。
問題はまだまだ山積みだ。異種族を恨む気持ちが完全に消えたわけではない。
しかし、王子に捧げると誓ったこの剣と命をもってして、ゆっくりとでも、確実に、解決していかなければならないのだろう。
そしていつの日か。互いに、姿形や能力など関係なく、尊重し合い、話せる日が来る事を願って。]*
* * * *
──4年後。
命を捧げた王子は処刑され、仲間は圧倒的な力の前に散っていった。
捕虜となったエイダンは、その処刑を目の当たりにしていた。
黙ったまま、ただ一点を睨みつけ、かの王子の顛末を見守った。
心にやどした小さな復讐の炎。
セルナリア国の門番を勤めるゴーレムを壊し、謀反をしかけるその日まで。
その炎が姿をみせることはなかった。
* * * *
夜明けが目前まで迫って来ていた。
太陽が昇った時、クロエ・ド=ベルティエは死ぬ。そして、夜明けと共にルーチェ・シュヴェルトとして生きる。
「ウィア──いいえ、ジゼル。行きましょう。」
そうして、彼女は新たな人生を歩き出した。
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