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[厨房に向かってドスドスと歩き、バンッと力任せに扉を開く。]
氷くれ!!!
[食事当番ならもう既にこの時間から作り始めていてもおかしくないだろうと高を括って来たものの、返ってくる声はなく。ただ、虚しく自分の声が厨房に響くだけだった。]
………ちっ……誰もいねぇし……
[ガシガシと頭を掻きながら、厨房の中へと入っていく。ここへは今朝、食事の後片付けをする為だけに入っただけで、どこに何があるのかを把握してるわけではない。適当に物色しようにも、勝手に触って良いものなのだろうかと怖気付く。]
……わっかんねぇ……まぁ、いいか。
そのうち誰か帰ってくるだろ。
[近くの壁にもたれかかり、厨房の中で誰かが戻ってくるのを待った。
当番表の名前をいちいち覚えてはいなかったから、とりあえず最初に厨房に入ってきたやつに声をかけようと、そう思って。]*
【間に合わなかったガルセウヌ】
森を抜け、砦の最上部すら見えるかと言う所で、とうとうガルセウヌは王子の姿を、ほんの僅かながら視認しただろう
傍には新米騎士の姿もあったかもしれない。
ーーーもしそれが、報告にあった潜入者であったなら?ーーー
嫌な予感がガルセウヌを襲う。ならばと空気を吸い、慣れた、しかし研修にて最大の轟音を響かせる
「ほ う こ く ー!!!!!
新人騎士内に、他種族が複数潜入しているとのことぉ!!繰り返す!!騎士団内に、他種族の侵入者ありぃ!!!
王子ぃぃ!!直ちに帰還及び、身の安全の確保をぉぉ!!」
音は空気の砲となり森を震わせ、砦内部にすら伝わっただろう。最後の言葉までは、王子に届いただろうか。
言い切った刹那。
ガルセウヌは、馬ごと遥か後方に吹き飛ばされていた。
それが不可視の壁に寄るものと知るのはもう少し後の話だ。そう。
砦付近が今、未知と神秘による魔の力にて、断絶の壁により包まれた事を知るのは。
クロエの驚異的な反射行動により、イグニスの一撃は防がれてしまいます。
そこからは両者の技術が、意地が、本能が…剣戟として表れていました。
大太刀を振り回すには不利な接近戦の間合いでの打ち合いは、初めはクロエが不利だと考えていました。
しかし武器を最小限の力で効率的に回すクロエと迫り来る重い一撃を受け、いなしながらも連撃を加える事で立ち回るイグニス。
消耗戦になれば不利なのはイグニスのようでした。
最後にはクロエの薙ぎ払いがイグニスを捉え、決着の号令となりました。
気が付けば、両者に惜しみない拍手を送っていました。それだけ、素晴らしい手合わせだったと確信出来る程に。
>>245
[ガルセウヌの報告の声を聞く。時が来てしまった。この夢のような時の終わりが。
声の方に向けて左手を伸ばす。掌に不可視魔術で展開していた魔法陣を発動させる。
ガルセウヌはその瞬間、砦の敷地から飛ばされるだろう]
「木にぶつかってしまったらごめんなさい。でも、先輩なら、受身は取れますよね」
[そのまま、手首をくるりと回せば、曇りガラスのような結界が、砦周辺を覆う。皆が帰還した後、あらかじめ展開していた不可視の壁。見えるようになったその表面は時折揺らぎ、水が張っているように見えることだろう。向こう側はもう見えない。
ずっとずっと、準備していた。まとめ役の仕事だと言って、此処に下見に来て、その際に結界のために術を刻み込んだ石を各所に設置した。
昨日も念の為確認したが、誰に動かされた跡も無かった。
同期の目は見なかった。クロエの目も。ただ、振り返って、ファルス王子に相対した]
「……面接試験の試験官、お替えになった方がよろしいかと」
[揺れる瞳を見られないよう、目を伏せて言った]
>>247
耳を疑う報告にハッと、意識を引き戻される。そして、突如吹っ飛ばされるガルセウヌに一瞬気を取られた。不覚だ。
瞬く間に砦を得体の知れない何かが囲む。外の様子はわからない。
剣を抜き、こちらを向くウィアに向けた。
「……忠告痛み入る。担当者には伝言しておこう」
じり、と間合いを詰める。場合によっては、彼女を斬らねばならないかもしれない。
「どういうつもりだ。これは、魔法だな?
新人騎士たちしか居らぬこの時を狙い、俺を害しに来たのか?君は賊か」
この状況、狙いはおそらく俺だろう。
これほどの魔法を数秒にして使用するとは、只者ではないことは、魔法の事情に疎い俺でも分かる。
>>245のガルセウヌの咆哮のような報告が耳に入る。
そちらをみれば、次の瞬間砦の外側に吹き飛ばされているではないか。
さらに曇りガラスのような水晶のような、半球が砦を覆う。
「なんだ、これは」
>>248
「賊。この状況ではそう取られても仕方ないでしょう。
それでも、本日出てきた山賊たちなどと同等にされては、心外です。
私は、《私たち》は、ファルスさまを害するつもりはありません。
《私たち》は、ただ、黒狼騎士団でありたいのです」
[そう語ってから、変身魔法を解除する。装備の解除と共に、ブーツがするりと脱げた足は、人間のそれではなく。少しだけ地面から浮いた足の先から、太腿まで。頭の上にゆるく上げられた両腕から指先まで。ウィアの身体は、ほのかに青く透明である。
軽く頭を振れば、彼女の髪の先からは水滴が落ちるだろう]
「私は、ウンディーネ。この国で忌避される他種族です」
>>235 エクス
薄気味悪い笑みを絶やさず二言ワンセットでこちらをからかっているような、試すような言葉が癪に触る。
魔法だろうが魔術だろうが知らないがこの国では悪に変わりない。
ーー殺すか?
表情を削ぎ周囲を凍てつかせるような殺気を隠す気もなく垂れ流し、カチッと腰に刺した剣に手をーーー掛けた瞬間、悪寒が背筋を駆け巡りドッと脂汗が吹き出た。
…ダメだ。
こいつに剣を向けたら何かを失うと確信を持った本能が警鐘を鳴らす。
目を閉じ早まる鼓動を落ち着かせるよう深呼吸すると、柄から手を離して何事もなかったかのように口を開いた。
「…キャンキャン吠えるな。
団長の温情で砦にいる許可が出たんだ。
大人しくしてろ」
クロエとイグニスの手合わせもクロエの勝利で決着が着いたこの場にもう用はない。
それだけ言うとくるりとエクスに背を向けて足早に去った。
「主役は遅れて登場……」
と言いつつ、気配を消したつもりで砦に駆け込む。
「参っちゃうよ、気づいたらみんな居ないんだもんな……点呼係も作ろうぜ?
ひとりでたどり着けたの褒めてほしいな……なんかめっちゃキレたカリュドーンに追っかけられたし」
その瞬間。
入れ違うようにして弾き飛ばされるものが視界に入った。
とっさに身を翻して避ける。
「うわっデカ……何?」
あの鎧は─────えっ?
「私は、《私たち》は、黒狼騎士団になる権利が与えられません。ただ、生まれがあなたがたと少し異なるだけで。
でも、《私たち》は、黒狼騎士団になりたかった。サリーナのために。ファルスさまのために」
[本来の姿になってから、意を決して彼の瞳を見つめた。昨日の夜の、朝食のときの、少年のように、あるいは優しく笑うファルスの瞳は、もう見られないのだろうか]
「《私たち》は、試験において一切不正はしておりません。黒狼騎士団に合格したのは、実力です。腕力です。知力です。その志です。
ほかの同期と変わるところはありません。ただ、生まれが異なるだけなのです」
「同期には東国の出身者も居ましたね。彼らと何が違いましょうか。サリーナを、あなたを、思う気持ちも、守りたい気持ちも、同じ、もしくは、上かもしれません」
>>250ウィア
「四大精霊、水の妖精ウンディーネ...。
書物でしか読んだことないが、実在するとは。
目的は理解した。が、精霊としていささかやり方がお粗末ではないか」
きっ、と睨み付ける。
自然と語気が強くなる。
>>255 ウィア
彼女が両手を挙げると、僅かな光と共に、その真の姿が現れた。
時折目を奪われるような、あの水を思わせる髪は、本当の水に。四肢は向こう側が透けるほど透明な……俺たちとは異なる種族ということは、誰の目にも明らかだった。
その後の彼女の口上を、剣を構えたまま静かに聞いた。
「……つまり。この中には、君以外にも、他種族が混じっているということだな。君たちは、目的を同じくする同士結託していると。
俺を害するつもりはないと言うが、要するに脅迫しているのか?交渉のつもりか?黒狼騎士団に入れろと」
先刻の、エクスに対する処断を早速後悔した。
「他種族の子供に温情をかけたことで、チャンスがあると勘違いしたか?随分と舐められたものだ。
俺にも騎士団長としての誇りはある。規則を守らない者は除隊を命ずる。ウィア」
/*
大号砲とものすごい衝突音。
それだけで何が起こったのかを知るのは十分だった。
クロエたちの試合を見終えたあと、何となく手持ち無沙汰にしていた意識がすぐに戻ってくる。
左腕を軽くさすると、立ち上がりファルスを探して駆けて行く。
*/
「何これ……?まさか、魔法?」
/*
他のみんなは無事か?側にいたグラジナに声をかける。
*/
>>249 グラジナ
「グラジナ!それは何なの!?
触っていいものではないかもしれないのだわ!
……ガルセウヌ殿は、生きておいで、よね……??」
>>259ヒルダ
結界のようなモノに触れてみる。
────バチバチバチッ
「────っ」
触れた手に衝撃が走る。結界から手が弾かれた。
触れた場所は煙は出たものの、依然としてその姿は保っている。
「こりゃ出れそうにない」
>>258
[除隊を命ずる──その言葉は、覚悟していたより重く、ウィアの心の底に沈んだ。それでも。私は続けねばならない。同志のために。未来のために]
「ふふ。それは覚悟の上です。私は、本日限りで除隊になっても構いません。
それでも、他のものはどうしますか。同期を全員辞めさせますか。それならそれで構いません。一緒に受かった同期ですもの。騎士団を去る時も一緒です。
ですが。
紛れ込んだ他種族を発見出来ず、全員まとめて除隊させた。この事実を、隠蔽できますか。あれほどご立派な出立式を行って、道中も住民には目撃されているでしょう。
どう言って誤魔化しますか。素行不良ですか。不慮の事故ですか。
あまり現実的でないように思います」
>>245 ガルセウヌ
獣の咆哮と間違えそうなガルセウヌの声が轟いた。
驚いた勢いでそちらを振り向くとガルセウヌが何かに吹き飛ばされる姿。
そして同期の中で主席入隊したウィアの変身。
砦を覆うようにそそり立った半透明で巨大な壁。
「…人外か。
団長、お下がりください。
力不足かもしれませんがあなたをお守りする壁くらいにはなれます」
この国の王子であり、何よりずっと憧れていた黒狼騎士団の団長をこんな所で危険に晒すわけにはいかないと緊張も忘れファルスの半歩前に立ち剣を抜く。
敵意はないと言うが正体を偽り紛れ込んでいる時点で信用ならなかった。
ソラが子どもを指差した。
あのあざとい言動を鵜呑みにしたっていうの?
……流石にそこまで戯けてはいなかったようだけど。
>>188ソラ
「魔法で入ってきたのなら、脚の腱を切った程度では逃亡できそうだと思いますね。
また、子どもだからこそ気持ち次第で態勢も変わって参ります。友好の意を見せている内に一太刀で処、 」
あぁいけない、こんなこと口に出しては。性質試験に引っかかるとお兄様に口すっぱく言われたのに。
「いえ、王子が決めたのなら判断は任せましょう。
騎士団長を務めるファルス王子ならば、魔の者との交戦経験もおありでしょう。隣国セルナリアは多くを匿っていると聞きます。魔の者の対処法もボクたちより慣れていらっしゃる。その判断はきっと正しいでしょう。」
返事を返すとソラは突然走り出した。その先では2人が何やら不穏な空気を撒き散らしている。仲裁?いや、戦闘だ。
ふぅん、好きだねみんな。また約束取り付けているなぁ。ボクもやった方がいいの…
「あ、ボク訓練当番。」
誰かに詳細教えてもらおっと。
「ねえ、ファルスさま。親愛なる同期のみなさん。
【ゲームをしましょう】
同期の中にいる《私たち》を、全員見つけられたら、あなたがたの勝ちです。私たちは、大人しく除隊されましょう。
でも。残った人数の半数以上が他種族でも気が付かぬようなら、《私たち》は上手く隠れられるという証明です。私たちが黒狼騎士団に所属することを認めてください」
「……それに、これは、ファルスさまにとっても悪いお話じゃないですよ。
同期の皆さんのことは、調べさせてもらいました。まとめ役として……把握する必要がありますからね?」
「この中に、【スパイ】と【恋愛禁止の規則を破ろうとしている者】がいます。《私たち》と同じか、それ以上に、その人たちも厄介な敵ではないですか」
えっ、ちょっ、なに!!
ちょっと厨房でつまみ食……じゃなかった!食材の確認などしてるうちになんか、なんか、ウィアが、えっ!!!
ていうか、ブがつくあたしのバディはどこ行ったのよー!!こんなときに!!!
>>260 メロ
「マ、マジで言ってんのか? いや…私の勝手な印象だが、料理できそうな顔をしてやがる…と…まあいいか!美味い丸焼きを食わせてやr」
早速火起こしから始めようと、メロが現れた方向に歩を進めようとした時。ガルセウヌの怒号の後、吹っ飛んでいく鎧姿がはっきりと見えた。
「…は、また魔法か? なんなんだよ!」
剣を抜くと、野営地に向かって走り出した。
>>261 グラジナ
「あっ……!危ないのだわ!!
そんな、得体の知れないものを触るなんて!」
/*
グラジナの手を取りその手のひらを自分の顔に向ける。
焦げた様子もなくひとまずは大丈夫そうだ。
*/
「……騎士が不用意にその生命線である手を粗末に扱ってはいけないのだわ。
この手はもうファルス様のものなのだから。
でも、大事なくて良かった」
/*
手を離すとゆるく笑顔を向け、また他の人たちの様子を見に走る。
*/
>>269ヒルダ
「ん、この通り大事ない。
それより。」
ウンディーネとファルス王子の会話の内容を聴いて自分の中に落とし込む。
(ファルス王子の言う通りだ。本当にいる確証もない。
しかし、精霊が嘘をつく理由もないのではないか)
ガルセウヌが吼えた。ウィアが動き、砦の外には障壁が現れる。
ウィアのブーツを脱いだ足は薄くその先が見える程度に透け、髪の毛は液体へと変わる。
「へぇ…あれがウンディーネ…」
綺麗だ––––
それどころではない、と冷静な頭は警鐘を鳴らす。しかし、感情は正直で。つい一瞬、彼女に魅入ってしまった。
>>270
「信じないと仰るなら、それでも結構です。ただ、スパイの存在を許せば、この国には不利になるでしょう。恋愛しようとするものを許すのなら、《私たち》を規則で排除しようとするあなたがたの「正義」は崩れます。
それでも良いなら。でも、貴方は、そういうお人ではないはずです。ファルスさま。
……貴方は、正しいひとです。貴方に憧れて、貴方をお慕いして、私は、騎士団を志願しました。この命を忠義を貴方に捧げるために」
[少し、乾いてきた喉をそっと撫でた。大丈夫、私は、最後まで出来る]
「スパイは、セルナリアの間者ですね。探知魔法で、隣国へテレパシーを飛ばしている者がいることを知りました。そんな者が紛れ込んでいる中、この結界を解くために隣国の協力を得たら、どうなるかわかりませんよ?おすすめはしません。
恋愛禁止の規則を破ろうとするものは、こんなものを拾いましたので」
[手のひらの少し上に、転移魔法で紙を一片呼び出す]
「うっかりさんですね。胸に秘めた思いを書いた、書きかけの手紙を落としてしまうなんて」
「…………」
自分が外していた間に、この空間ごとどこか違う世界に迷い込んだのだろうか。
透ける四肢、滴る雫。
水の中で、燃える瞳。
「本気……じゃないわけねえか」
「この場で叩ッ斬られるかもしんないのに、こんな強硬手段に出るんだもんな。
水だから斬られても平気、みたいなことか?」
「へへ……笑えねー…………」
「……この国には、この結界を解く魔法知識を持つ者は、公に協力を求められる範囲には居ないでしょう。
私を今ここで殺しても何の解決にもなりません。むしろ、結界は強固になるように設定してあります。
私の存在も、この結界を解く鍵のひとつです」
「……そうですね、選択権があるかのごとく、話しましたが……実際にはゲームをするのが最善の方法だと、お分かり頂けたでしょうか?
……では、ルールを説明しても?」
[少し寂しげに、小首を傾げてみせた]
ちがうって、眺めてる場合じゃない!
王子は–––、ノアが付いている。ボクの出る幕ではない。
ボクが得意なのは、
––––油断しているところへ不意打ち。
「殺るべきはウィア。
ゲームがどうとか言ってるけど、わかっているなら殺すべき。少なくとも彼女は、入団試験に受かるだけの能力は持っている。」
そっと気配を殺し、物陰から物陰へと移動を始める。
彼女の意識が王子に向いている内に、ここで取るのが吉のはず!
>>243 センゾウ
「⦅……逃げるが勝ちってやつ?ふふっ、ファルス様や騎士の皆に言ったら怒られそう。国の為に命を捨てられないのかって。⦆」
私を慰める為に言った言葉に心が暖かくなりながら、故郷の言葉だからか気が緩んで少しばかり不謹慎な茶化しをする。
きっと、彼にも思うところがあっての事だろう。何処か含みを持った言葉に優しく微笑む。
「⦅……ありがとう、センゾウ。貴方に話してよかった。⦆」
少しだけ心の重荷が取れ、もしこれから相談事があれば彼の所へ行こうと思いながら再び口を開こうとした、その時だった。
地響きの様な、腹の中から響くような音がする。
>>275 スクルド
「あら、よく分かったわね。スクルド。
私の身体は水ですから。いくら斬ったところで死にません。痛いですけど」
不可解かつ、信じたくない光景だった。
異形の姿、その姿でありながら警告までしてみせる余裕と『ゲーム』というふざけた言葉。
そして、本能的に気づいたのは
>>278 ラリマー
「よせ、白いの。こいつは切れない。物理攻撃は効かない、つまり私たちじゃ殺せないよ」
>>280 ウィア
「あー……聞こえた?耳もいいんだなあ。気を悪くしないでくれると助かる。
それから───────」
へへ、と頬をかく。
目線は気まずげにちらりと横へ流した。
「それから、まだ言いたいこともあるんだろ?
物陰から離れて、背後には気をつけた方がいいぜ。
王子以外もみんなびっくりして……あー、ピリピリ?してるみたいだから」
「キミのやってることはちょっとアレだけど、痛がってる姿は見たくないしな」
>>277
ウィアの言うことは、確かにその通りだ。
この国には、これほどの規模の大きな魔法に対抗出来る者は居ない。
規模の大きな魔法をさせないため、事前に芽を摘み取るという意味で……魔法取締官という役割があるのだ。
しかし。いざ大きな魔力の中に取り込まれると、人間の力の小ささを知る。
苦虫を噛み潰したような顔で、ウィアを睨んだ。
「…………不愉快だ。ウィア。君は、聡いが……このような馬鹿げた手段を取るとは思わなかった。
……しかし。俺の目に狂いが無ければ……いや、君を信じた時点で狂っていた訳だが。それでも。
君が本当のことを言っているという点は、その通りだと思う。
言ってみろ、君がしたいことを」
剣は構えたまま、ウィアを見る。
イグニスとの手合わせを終えて砦の中へと戻ると、なにやら辺りが騒然としていた。
そして、突如として砦を覆う水のような膜。
──渦中の人となっていたのは、クロエのバディであるウィア・ディーガだった。
イグニスとの試合で弾んでいた心は、不穏な空気に急速に冷やされていく。
クロエはアメジストの瞳に、バディであった人物を映していた。
そこに、クロエの知るウィア・ディーガの姿はなかった。あったのは──。
「──ウィア。……あなた。」
>>283 スクルド
「あら、優しいのね。もっと話しておけばよかった」
[一瞬だけ、いつもの調子に戻って、スクルドに微笑みを向ける。しかし、すぐに真剣な表情を作り、改めてファルス王子の目をみつめた]
「まず。内訳をお教えします。人数が把握出来ないと、ゲームになりませんから」
>>277 ウィル
もう無理だ、こいつは人間の殻を捨ててしまった。そう悟ると、友好的に見えるよう気丈に笑いながら声を掛ける。
「いいだろう!聞いてやるよ、まあ理解するのは他の奴らに任せるけどさ!
親父に聞いてんのさ、おまえ達みたいのは人に試練を仕掛けるんだって? それに勝ちさえすれば嘘はつかねぇってさ。」
ファルスと……ウィア…いえ、水の精霊ウンディーネのやり取りを呆然と聞き流します。
上手く追いつかない思考をまとめて、そのやり取りに耳を傾けます。
もしも、彼女が言うように自分達の中に異種族が紛れているなら…ファルスから見ても自分達は信用ならない容疑者候補となります。
守る為に剣を捧げたのに、その意思さえも信用に足る物なのかを証明する手段は何もありません。
自身の潔白を証明する為には、彼女の言うゲームに乗るしかないのでしょうか。
「そう...だな」
ウンディーネだけが表立って非難を受けている事がグラジナには耐え難い事だった。
(何がいけないんだ。人ではないといけないのか)
ぐるぐると、胸の中が何か黒いもので覆われていく。
[ウィアは語り続ける]
「【異種族】の仲間は、私の他に【3人】います。みな、テレパシー能力を使えるので、今日から作戦を立てているでしょう。私は、参加していません。表に立つ役をすることになっていたので、敢えて何も話しませんでした。」
「それから……私たちの仲間になってくれそうなひとがいることも把握しています。【魔法を使えるひと】が【1人】。居るでしょう?私たちの気持ち、あなたになら分かるんじゃないかしら」
「……そうよ。別にわたしたちは、望んでそう生まれたわけじゃない。」
「国を想う忠義ならばわたしたちだって──いいえ、彼らよりもずっと持ち合わせているわ。」
「どうして種族が違うからといって、迫害されなければならないの? 人間でなければならない理由はなんだっていうの?」
興が削がれた。手持ち無沙汰に持っていたナイフをくるくると回す。
あの緑髪もわざわざ忠告しちゃってさ。魔の者は憎むべき、倒すべき者ではなかったの?
中央は厳しいって聞いたけど、そうでもなかったんだね。
「おまけに、セルナリアからの間者かぁ。」
誇り高きって割にボロボロ入られてるんだねぇ。
だーれーもーこーなーいー
[勝手に触ってはいけないと思い、誰かが来るのを待っていたのだが、誰一人として姿を見せることはなかった。いつの間にか、エイダンは地面に腰を下ろして足を前に放り出していた。壁に背をつけ上を向く。いつも見ている位置より、天井が高い気がしてくる。]
んー……適当に漁るかぁ……
[待ちぼうけを食うのもなかなか飽きてきた頃合だった。そもそもそんなに気長な性格ではない。待つことなんて性に合わないのだ。
痺れを切らし立ち上がろうとした瞬間。砦内まで響く、何時ぞや小声で文句を言ったあの先輩騎士のでかい声(>>245)が聞こえてきた。緊急事態を告げる声。断片的に聞こえる言葉に、耳を疑った。]
他種族の侵入者……あり…?
[考えるより先に足が動いていた。何よりもまずは、王の命だ。事態の把握も急がねばならない。
厨房の扉を開け放てば、全速力で駆け出した。]
今のグラジナはきっと、今までに見せた事のない顔をしているだろう。歯を噛み締め、拳を握っている。
「本当に、なんでなんだろうな。
多様性の目を摘み取り、人以外は迫害し、それを善とする王国。
同期もそうだ...ウンディーネが異種族だからといって、あんなに楽しく会話していたのに人じゃないと知った瞬間、早急に武器を構えて掌返しか...!!」
「この結界から出る方法が一つだけあります。それはね、【騎士団の剣に嵌められた宝石が砕かれること】。
砕かれた後、明け方くらいになると、自然に外に出てますから。痛いことは何もないですから、安心してくださいね。
……ふふ、ひどい顔ですよ、みなさん」
「私たちは、【夜ごとに、あなたがたの宝石を砕いて一人ずつ外に追い出します】。
あなたがたは、【怪しいと思う人物の宝石を砕き、外に追い出します】。
簡単なルールでしょう。大丈夫。あらかじめ、あなたがたの宝石には細工してありますから。あなたがたに支給されるより前に、ね。通常より、簡単に壊れますよ。
……宝石を砕く。それは、騎士団の除隊と同義ですね。
宝石を砕くと決めた人物は、騎士団から除隊させると考えて、ちゃんと砕いてくださいね。その宝石には、夢がいっぱい詰まっているんですから。ちゃんと、夢を砕いてくださいね」
>>288 ヨルダ
「お前な、確か知力が秀でてるって書いてあったろ。私みたいな筋肉野郎に冷静になれって言われたいか? あれは水。頭がいいと水が切れるのかよ。」
生意気そうな口調を意外に思いながら、少し煽るような言葉を選んだ。
>>273 クロエ
彼女の表情が消えると、はたとまたイグニスも意識を取り戻す。
「…………」
しかし、そうはいってもクロエのように素直に褒めることはできなかった。それはきっと、慰めの言葉ではない。そう分かっていても。
イグニスは差し出されたクロエの手を睨むように見た。唇は、引き結んでへの字だ。
「────次は負けねえ」
態と不服そうな顔を作って右手をイグニスも差し出す。細くて──けれども、底知れないパワーを持つその手のひらをしっかりと握った。
/*
今まで静観していたが、>>294の言葉を聴いて、いても立っても居られなくなった。
*/
「お前らとやらの目的が認めて貰うことなら!そこまでしなくていいはずだ!
それを...仲間を除隊させろだと!?どういう気持ちで騎士団に入ったか...それはお前が痛いほど分かっているんじゃないのか」
歯を噛み締める。握っている拳から血が滴る。
────怒りだ。
>>294
「……うるさい。挑発するな」
思わず、低い声が出てしまう。
入団の時に選ぶ宝石。騎士団の誇りの象徴だ。騎士団の誇りを砕くという手段に、怒りを隠しきれなかった。
「……王城は腑抜けていたようだ。帰ったら、城の人事を一新することにしよう。
貴族になあなあに任せているから──」
その先を言うのはやめた。分かっていたなら、すれば良かっただけのことなのに。結局こういう輩に先手を取られてしまうのだ。
どうしようもない怒りや、自らへの悔しさを、目の前のウィアを睨みつける眼光に込めてしまう。
「……君の言い分を信じるなら、主君である俺の宝石は砕かない。最後まで見届けさせると。そういうことだな」
>>297 グラジナ
「私たちは、最初から除隊される覚悟で事に臨んでいます。『外しても、疑われても、自分は除隊されるわけじゃない』など、気楽な考えでゲームに臨むことを許すと思いますか?」
「勘違いしないでください。私たちとあなたがたの立場は同じです。まあ、サリーナ流の教育を施されてきたあなたがたには、まだピンと来ない話でしょうけど」
>>298 ファルス
[ファルス王子の怒りの声に、思わずビクリとする。ウィアを見る目は怒りに燃えていた。こんなに、このひとを怒らせている。そのことは純粋に哀しかった]
「……必要以上に煽るようなことを言ったのは謝罪します。しかし、手段を変えるつもりはありません」
音のした方に駆けていく。
そこにいたのは―――――――。
「……ウィア?」
半透明に透ける足、蕩けるように濡れた肢体が彼女が"人ならざる者"の証だった。
呆然と見つめながら、ファルスと言葉を交える彼女を見つめる。
「…………異種族って……嘘、サリーナは……」
そして、石を砕くという発言に目を見開いた。あの石はただの石じゃない。皆が必死に試験を受けて、ファルス様から賜った石なのに、それをそんな風に言うなんて許せない。
>>ウィア
「……貴方の、いや貴方達かな?言う事は分かる。皆の夢が詰まってるって分かりながら石を砕いて、仮に勝ってファルス様にお願いを聞いてもらって……貴方は、そんな居心地の悪い勝ち方で満足するの?
人の世界にそんな入り方をして、皆で楽しく暮らせるとでも思ってるの?」
つい、キツイ言葉で話しかけてしまう。
無理もない。敵意には敵意で返すのが戦う者としてのやり方なのだから。
見る間に、見知ったウィアの姿が変わる。
元に戻った、と言うべきなのか。
術の光が消えた時、そこに居たのは、今朝方声を交わしたウィアの姿ではなかった。
「⦅人外か…⦆」
独り言を零す。国にも猫又や狐人はいたはずだ。
センゾウ個人としては特に目立った感情を持っているわけではなかった。
しかし、これから仕える王の敵とあれば話は別だ。
別なのだが。
故郷の里とは別の里では身内から裏切り者が出た場合、即座に周りの者が処分する決まりになっていたそうだ。
センゾウには例えそれがたった一日二日でさえ『同じ釜の飯を食った仲間』に手をかけることは憚られた。
(⦅心が弱いな、私は。⦆)
カリンはああ言ってくれていたが、とセンゾウは思い返す。
ここに今自分がいる理由と共に。
クロエはウィアを見つめていた。
青く透き通ったその姿を──変わり果てても美しさは損なわぬその姿を、クロエは無機質な瞳に迎え続けた。
他種族であるウィアとその仲間を認めさせるために、ゲームと称してその宝石を砕き合わせるなどと。
思考と手段がやはりどこか人外めいていて、──しかし、そうでもしなければこの国が彼女らを受け入れることはないと理解していたのだろう。
だから、このような強行に出た。
性質トップの成績を持ちながら、ウィアの生まれが彼女から騎士である権利を奪う。
先ほどまで笑い合っていた同輩が手のひらを返す。敬愛する騎士団長から剣を向けられる。
──それでも、彼女は。
黒狼騎士であることを赦されるために、除隊される覚悟でファルス王子の前に立っているのか。
優しいっていうか、のらくらしてるだけだけどさ、俺は。
あーあ、後で処罰かなー。大目玉で済めばいいけど。
へらっと頬を緩めたまま壁際へ後ずさり、向かい合った二人を遠巻きに見やる。
「……石砕くってマジで?えげつないことするんだな」
ウィアの言葉に思わず背中の双剣を抜き、まじまじと眺めた、
それは騎士団としての誇り、つまり心を砕かれるのとほとんど同じだ。
利き手に持つほうの剣の柄には大きな橄欖石が嵌め込まれている。
細工されてあるようには見えないが、いつの間に?
優位に立たれてることをとことん見せつけられてる気分だ。
>>299ウィア
「だけど!
こんな事して、仮にお前らが負けたとしたら...この先どうなるんだ。現状維持がベストとは言わない。
他に...何かなかったのか」
/*
消え入るような事で、言葉を締めた。
自分は何に怒っているんだろう。
自分がこんな事に巻き込まれたから?
騎士の誇りである宝石を砕いて仲間を切らなきゃいけないから?
仲間だと思っていた人に裏切られたから?
自分の無知さに腹がたったから?
*/
あなたがたの中で私たちと戦える能力を持っている方々も把握していますから、教えてあげましょう。
【魔法取締役の能力を持つ方】。この方は、私たち異種族を見抜く力があります。この国で公式に認められた魔法。厄介ですね。でも、面白いです。【占い師】のように調べると聞き及んでいます。
【物に残された魔力を調べられる能力を持つ方】。これも、魔法取締能力の一環らしいですね。公式に認められた魔法です。砕いた宝石を調べれば、その持ち主が他種族か否か調べることが出来るでしょう。【霊能者】のようですね。
【首席合格の方】。知ってましたか?公表されてませんが、総合トップの方がこの中に一人います。とても気になりましたが、私も調べきれませんでした。この方なら、私たちの襲撃から味方を守ることが出来るでしょうね。
【お互いが潔白だと知っている二人】。調べていく過程で、入団試験中から随分親しくしていた二人がいると聞きました。バディもいるのに……あら、失言かしら。便宜上、【共鳴】と呼びましょうか。こういう方にまとめなどおまかせになると安心でしょうね」
彼女が行おうとしていることは到底許されることではない。
しかしだからといって、どうして彼女の切なる祈りを笑うことが出来ようか。
ウィアが本来の姿を明かした時点で、彼女とクロエの立場は一変してしまった。
けれど他の仲間たちのように、ウィア──ウンディーネを責め立てる気にはならなかった。
「【スパイ】……この方は、魔法を使用しています。魔法取締能力で素性が分かると不味い人ですからね。能力が使われることを察知したら、【襲撃されたように見せかけ、自らの石を砕く】でしょう。この人の心はセルナリアにあるのですから。
恋愛禁止の規則を破ろうとするもの、は、長いですね。【求愛者】とでも呼びましょうか。もし、彼、もしくは彼女の思いが相手に届けば、【恋人】になるかもしれません。どちらかの石が砕かれれば、もう一人もまた同じようにするのではないですか。これは想像ですけど。」
>>295グラシエラ
「本当に筋肉なんですねぇ。水が話すわけないじゃないですか。
だからアレは生物。吸血鬼だって杭を心臓に打ち込んだら殺せるんです。魔物でも生物なら殺せるでしょ。
弱点がわからないんだから、検証実験は数をこなしてなんぼでしょう。」
あ、つい砕けた口調で話してしまった。
まあいいか。後でどうとでもなるでしょ。フォローは入れとかないといけないけど。
「あぁ、申し訳ありませんグラシエラ様。
少々お言葉が過ぎたようです。それにしても、このタイミングでボクを諌めてくれるとは、グラシエラ様はお優しいんですね。」
グラシエラに微笑むと、ナイフを何処へともなく仕舞った。
「さあ、我らがウンディーネが舞台をあつらえてくれたわ。これからわたしたちがすべきことは分かるわよね? グラジナ、ブレイ。」
取り澄ました声でクロエは口を開く。
「わたしたちがいかに黒狼騎士として溶け込み、信用に足るかを騎士団長や仲間たちに証明して差し上げましょう。
当然わたしたちはサリーナに忠誠を誓う騎士なのですから、スパイや求愛者も探し出さなくてはね。」
「……ルールはこんな所でしょうか。今日は、私の石を砕いてください。それで、わかるでしょう。
もし、ゲームを進める上でわからない点があれば、私のベッドに隠してある本を見てください。そこに大抵の事は書いてあります。
各能力についてどう呼ぶかは、お任せします。便宜上いくつか、勝手に命名しましたけど」
[ふー……と、長いため息をつく]
「……唯一、騎士団として悔しいのは、スパイの存在を今まで告発しなかったことです。
私たちの目的を果たすため、ゲームを受けてもらうため、必要になる存在だと判断し、秘匿しました。その点については、申し訳もありません」
[話しているうちに何人かに声をかけられた。少し話そうか]
クロエの声が頭に響く。
「...ああ。そうだな。
何か案はあるか?クロエ。お前の事だ、何かしら考えているだろう」
ゲーム。ゲーム。
ウィアは、騎士団の誇りを砕くことをゲームの一部にするという。それは到底許せることではなかった。
しかし。
時折、切々と訴えかける彼女の瞳は、彼女にそうさせるまで気が付かなかった愚かな俺を映している。
「……君がしたこと、しようとすることを、俺は許せない。しかし、それに気が付かなかった……君を止められなかった俺の力不足が、一番許せない」
奥歯をぎり、と噛み締める。いっそ砕けてしまえばいいと言うくらい、噛み締める。
「……今なら引き返せるぞ。君の除隊だけで許してやる。考えを改める気は無いか、ウィア」
>>307 ヨルダ
「だから言ってんだろうが。殺すにも方法があんだよ、化け物には。ぽっと出のお前にはわからんかもしれないが、ああいうのは悔しいがただの刃じゃ殺せねぇんだ。」
隠しもせず舌打ちが漏れる。
「いけ好かないやつだな。クソみてぇな言葉使いたいなら最初っから最後までそうしやがれ。」
そう言い放つと、剣をしまったのを見届けた。これ以上話す必要も無いだろうと離れてはいくが、意識は向けているだろう。
「これ以上は、もういい。俺は部屋に戻る」
/*
言いたいこと、伝えたいこと、聞きたいこと。色々ある。が、彼女がこうも強行手段に出たのだ。今更どうこう出来る問題ではなくなっているのだ。
*/
(無力だな。)
改めてウィアの方を見つめる。
穏やかで優しくてお茶目な性格。透き通った水のような蒼色の眼。
────残念だ。
悲しげな顔で、ウィアを一瞥すると、部屋の中に姿を消した。
「そうね。騎士の中には公式に認められた魔法を使うことができる者がいる。……ただ隠れていただけでは、いずれ正体がバレて騎士たる誇りである宝石を砕かれてしまうわ。」
「幸いわたしたちは3人いる。そして、共感を得てくれる存在もいるとウンディーネは言っていたわ。
スパイと求愛者はどうしても地道に探さなければならないし、もう一人の協力者と意思の疎通が出来ないのは不便だけれど。
……役割分担をするべきだとは思う。例えば、魔法取締役の力を持つ者が現れた時に、わたしたちの中の誰かも同じ力を名乗れば、同輩たちもそう簡単に人を信じられなくなる。」
「つまり」
ウィアの言葉を思い出しながら言葉を紡ぐ。
「私達はそのゲームをしないと、行けないってことよねぇ」
ウィアの発言が信じられるかと言われると…微妙だが。
>>300 カリン
「ああ、カリン。ごめんね、約束してたのに。思ったよりも、時間がなかったな」
[その点だけは、心から残念だった。正体を明かす前に、純粋に手合わせしてみたかったのだけど]
「居心地が悪いなんて思わない。私は、あなたたちが《私たち》と同じ気持ちを味わえるようなルールを考えたの。ルールを考えたのは、私。
だって、そうじゃない。《私たち》は、魔法にたよらず努力して、こうして合格して、みなと切磋琢磨して、これからだって希望を持っていたのに。
ただ、他種族であるというだけで、ここまで積み上げてきた夢をこわされるの。それと同じことをあなたたちにしてもらいたいだけ。何が悪いの?同じでしょう?目に見えるか見えないかの違いだけだわ。
私たちは良くて、あなたたちはダメなの?それは、随分と自己中心的だわ。
あなたたちと同じ舞台に立てないのなら、あなたたちを舞台の下に引きずり落とすしかないじゃない。ね?同じ目線で、同じように苦しんでよ、カリン」
>>313アルバート
部屋に入る手前、アルバートを視認した。
「...どこいってたんだ?こっちは呆れるくらいやばい事になってるぞ」
────アルバートに事の顛末を伝えた。
[辿り着いた先に、いた。
皆の視線が集まる先。他種族である、ウンディーネ。その姿かたちは文献で読んだことがあるが、実物を見たのは初めてだ。
滴り落ちる水がきらきらと輝いて、綺麗だと思ってしまう。]
なんだよ、あいつ………
[零した言葉にハッとして、一瞬でも綺麗だと思ってしまった頭をブンブンと振り、とにかく事態の把握を試みる。どうやらファルスの周りは他の同僚達が固めているようだ。それならば、先ずはこの状況の整理からだ。
聞こえてくる会話の端々から、目の前の他種族がウィアだった事を知る。そいつは確か……]
(……料理を作ってくれてたりしたあいつか。)
[人物の把握と共に、聞こえてくる言葉のひとつひとつが、信じられないものばかりだった。]
[この中に他種族が入り込んでいることもそうだが、ゲームをする?宝石を砕く?何を言っているんだこいつは。]
宝石は騎士団員の誇りだぞ?
それをお前らの勝手な都合で砕くってのか?
[ギリッと奥歯を噛み締める。目はウィアを睨みつけたまま離さない。]
馬鹿も休み休み言えよ、他種族の分際で。
[最後の言葉は確実に、ウィアに届くような声で発せられた。
今にも怒りに任せ、掴みかかって切り殺しそうな手を力強く握って押しとどめる。
その手は爪が食い込み、血が垂れていた。]*
「宝石を……砕き合う……。」
ウンディーネから告げられた言葉は、耳を疑う物でした。
逆に言えば、そこまでの覚悟を持って、国内での立場を確立させようとしているのです。
…ふと…自分達と彼女達の立場は同じだと言われましたが、彼女達が勝ったとしても、彼女達“自身”の立場は…?
「国を変えた革命者か…本当にそうなれると思っているのかい…?」
彼女達自身の扱いは、彼女達が勝てば本当に好転するのでしょうか?
全ての決定権を持つファルスを認めさせればとは言いますが、ここまで怒気を孕んだファルスを認めさせる事など出来るのでしょうか?
「負ければ国に、王子に弓引いた世紀の大罪者か…?キミ達は本当にそれでいいの…か…?
……何か他にやりようはなかったの…?」
疑問が浮かんでは消え、呟いては虚空へと吸い込まれていきます。
正しい事とは、なんなのでしょう。
「魔法取締の騙りで適任なのはクロエじゃないか?
俺がやった所であまり効果は無さそうだし。クロエなら皆から一目置かれている存在である事には違いない。そう思うが。」
>>310 ファルス
「引き返す気はありません。半端な覚悟で臨んでいません。それならば、《私たち》は、最初からここにはいません」
[お優しいファルスさま。御父上なら、問答無用で全員屠られてもおかしくないのに。
そんなファルスさまだから……]
「ファルスさま。私、ファルスさまに御手紙を書いて参りました。長い長い手紙です。
ファルスさまにお話したいことはたくさんあります。でも。時間が無いですから。
破り捨てても構いません。燃やしてしまっても構いません。晒してもらっても構いません。
どうなさっても構いませんから、どうか受け取っていただけませんか」
やっと森を抜けて、砦にたどり着いた。
重々しい空気を見て、憤怒、悲哀、そんか感情が入り混じる面々の目線の先には見たこともない生命体の姿が。
神秘的なものなのだと思う。けれど出会ってはいけないモノではないのだろうか。
>>316グラジナ
「グラジナ!!!俺はあのまとめ役の子を探してたら迷って、それで───ッ!」
話を聞き、思わず手で口を抑える。あまりにも衝撃的すぎて、頭がついていかない。これを、直に受けたグラジナや皆はもっとひどく混乱してるだろう。
「俺も、一緒に居ていい?」
部屋に戻ろうとするグラジナに尋ねる。一人になりたいのかもしれないが、だとすればグラジナなら断ってくれるだろう。
>>322アルバート
アルバートの驚愕な表情。動揺。それらが見て取れる。
優しく声をかけた。
「...ああ。いいよ。
それに、迷ってたんなら腹、減ってるだろ。何か作ってやるよ」
───ウィア程じゃないけど。
そう言おうとして、やめた。家の中に入っていった。
―― とうに日が暮れてしまった。
兎と昨日の残りの豚、そして白鳥を串に挿し直火で丸焼きにしていく。
香草や塩コショウがあるだけマシだと思って貰おう。親兄弟からも男の料理だと揶揄されているが、下処理と焼き加減だけは完璧なはずだ。火から下ろし、おおよそ一人分に切り分けて大皿に盛った。
…まだ向こうではウィルが話しているようだ。そちらがどうにも気になってしまい、野菜の付け合せなんてチマチマしたものを考える余裕などなかった。バランスのいい飯は、明日の料理当番に任せるとしよう。
>>321 ウィア
引き返す気は無いらしい。それもそうだろう。
この聡い娘が、少し説得された程度で揺らぐわけがない。
そして。手紙を受け取って欲しいと言う。
「……王子を危機に陥れるような反逆者から、物を受け取ることは出来ない」
ウィアの瞳に明らかな失望の色が浮かんだ。
「……だが。君は。
昨日も誰より早く来て準備をした。日誌も適切だった。バディの信頼を得ていた。それはクロエから聞いている。
今朝の食事も美味かった。
これらに対する褒美として。受け取ってやってもいい。その先どうするかまでは約束できん」
剣をおろし、ウィアに一歩近づく。差し出された手紙をすっ、と受け取った。
>>323グラジナ
「あ、ああ…そういや何も食べてない……ありがとう、自分、料理は得意じゃないみたいでさ。助かるよ」
指摘され、空腹に気がつく。意識し出すと、急に食欲が湧いてきた。それでも、先程の話のインパクトが大きすぎて体が震えてしまう。聡いグラジナならば、気付いているかもしれない。
茶化す訳でもなく、同行を許してくれたパートナーに感謝しながら後を追った。
賜った宝石を砕くなんて。そんな、非道いことを
騎士の誇りを、自分たちが迫害されているからといっても、どうして。どうして。
考えても、今はわからない。
腹が減ってはなんとやら、まずは胃を満たすことを優先しよう。……そして、グラジナに自分のことを打ち明けようと決めた。
食堂に並べておけば、戻ってきた者から食べるだろう。大皿を持って食堂に入りどかりと座ると雑にかぶりついた。
手に滴る肉汁を舐めていると、誰かが戻ってきたのだろうか、気配と共に声が聞こえるだろう。
>>304 グラジナ
「……他に方法があればよかったけど。あなたは思いつくの?
他種族は悪だと、魔法は悪だと、その価値観に凝り固まったこの国で、夢を叶える方法が他にあるの?
あなたのような人に考えて欲しい。
他種族は誰なのか。何が本当なのか。何が嘘なのか。《私たち》は《あなたたち》と違うのか。
それを本気で考えてもらうための、強硬手段よ」
「そりゃあ、本音を言えば、私の同志たちは助けて欲しい。でも。きっと同志たちも覚悟はしてるでしょう。
それでも、大事なの。私に、《私たち》にとって。黒狼騎士団が」
>>326アルバート
「あんまり美味しいものは作れない───おや。」
食堂に戻るとグラシエラが料理を並べているではないか。
「グラシエラ、作ってくれていたのか。ありがとう」
「ウンディーネに倣って、便宜上あの力が使える人のことは占い師と霊能者と呼びましょうか。
わたしもそれなりに演じきることはできる思うのだけれど、逆にあなたやブレイの方が適任だと思うわ。特にブレイね。
自分で自分を一目置かれている存在だとは思わないけれど、それならいざという時の切り札として残っていた方が、貢献できると思うの。」
「嘘というのはいずれボロが出る。スパイをもし本物が見つけてしまった時──それが襲撃と見せかけられなかった場合、その時点でわたしたちが占い師や霊能者を騙っていたことが露見してしまう。
そうなると、あとはあなたとブレイでどうにかしなければならなくなるでしょう?……ああ、別にあなたたちを信用していないわけではないのよ。
そうなった時にわたしが残っていた方が、突発的な役回りを担いやすいと思ったの。……まあ、どういった戦術で攻めるかによるけれど、今の見解としてはこうかしら。」
>>307 ヨルダ
「あら、弱点が知りたい?教えてあげることは出来ないけど、弱点はあるわ。頑張って考えてね」
[普段よりも少し乱暴に話す、カリンのバディに対し、にっこりと笑った]
>>309 ノア
「さっきから、みんなそればっかりね。
私たちにとっては、現状が最悪なの。これ以上悪くなりようがないの。
今回みんなが試験を無事に通過したのは、奇跡のようなもの。実際、すぐに発覚してしまったし……もう二度とこんなチャンスは望めないでしょ。
大事なもののためになりふり構わない。そんな気持ちになったことはないの、ノアは」
>>311グラシエラ
「えぇ。わからないからこそ試してみるのでしょう?
切れないというなら小麦粉やゼラチンでもかけて見ましょうか。塊にしたら動けませんよね。
それとも古今東西有名な銀を試してみましょうか。方法を知っているなら焦らさず試してみるべきでしょう。
ボクらは誇り高き黒狼騎士団なのですから。」
あからさまに舌打ちをされた。
この口調は気に食わなかったのだろう。面倒な女だなぁ。
全員に好かれる必要はないけどさ。
「ふふ、それは申し訳ありません。先程は少々戸惑っておりまして。」
スカートを摘んで頭を下げる。背を向けているが新人と言えども武人。気がついてはいるだろう。
「概ね理解した。
俺はクロエに騙ってもらうとしたら占い師、若しくは狩人だと考えていた。
知力に自信はないから頭としてクロエには残っていて欲しいというのもある。
俺が騙るとすれば占い師だろうな。
騙らない場合、占われる可能性が高そうに感じる。カリュドーン狩といい、賊狩りといい真面目にやり過ぎた節はある。
どうだろうか?」
>>グラジナ
「早急にあちら側の能力者の宝石を砕いて切り札を順に潰していくのなら、あなたかブレイが占い師を名乗った方がいい。
正々堂々と信用を勝ち取るのなら、わたしが名乗り上げてもいいわ。
……話す頻度を考えると、わたしが適任という理屈も理解は出来るから。もしくはあなたね、エルモント・グラジナ。」
>>317 クロエ
「クロエ」
[静かに。簡潔に。問われた言葉に一瞬言葉を失う。
憧れた女の子。大切なバディ。それは嘘偽りない、本当の気持ち]
「……本気よ。ごめんなさい。あなたにも本当のことは言えなかった。
あなたと、なんの憂いもなく、接することが出来て本当に嬉しかったから。私、あの試験であなたの闘う姿を見て。あなたとすれ違った時の横顔を見て。どうしてもあなたと仲良くなりたかった。だから、バディだって分かった時、本当に嬉しかった。
今更、白々しく聞こえるかもしれないけど」
「今までありがとう、クロエ」
[たとえこの勝負に勝ったところで。首謀者であるウィアは罰せられることになるだろう。ガルセウヌにも顔はしっかり見られたはずだ]
>>クロエ
「結果を大事にするか、過程を大事にするか。だな。
結果なのであれば俺が騙ろう。
もし、過程を大事にするのであれば、クロエだろうな」
「あなたが占われそう、というのは分かるわ。その点でいうとわたしもそうね。わたしは真意が読めないとよく言われるから。
……そして、おそらくブレイはこのままだと宝石を砕かれやすい立場になると思う。」
「正直なところ、ここまでお膳立てしてもらったのだから騎士らしく戦いたいところではあるわ。けれど、そうなるとあなたたちの負担もかなり大きくなる。
わたしは二人の正直な意見が知りたい。」
えっ……と。
[自慢の知力が追いつかないよ。こんな馬鹿みたいな情報量、一気に消化出来るわけないって。なんていうか、その、心理的にも]
……ウィア、は。
[みんな、どうしてこんなことをするのか、とか。そういうことを聞いてるけど。そもそも、他種族の考えてることなんて根本から育ち方とか環境とか違うんだからわかんなくない?と思う
じゃあ、共感できることはなんだろう?]
>>ウィア
ウィアは!どうして、そこまでして騎士団になりたかったの!!
>>ウィア
「……なあ。透明女」
暫く黙り込んでいたイグニスは、ふと口を開く。
「なんで、自分たちを排除しようとする黒狼騎士団が大事なんだ?」
>>クロエ
「クロエは知力で、俺は武力で目立ちすぎてしまってる。
結局は【どう勝つか】なんだろうな。
きちんと認めさせたい。けど勝たないと意味がない。ごちゃごちゃだ。」
「ブレイにも意見を聞きたい所だが.......」
>>319 エイダン
「素直だね」
[思わず苦笑してしまった。皆、心の中では他種族は悪だと思っているだろうに。
彼のように表に出してもらった方が案外スッキリするものだ]
「そうだよ。こうでもしなきゃ、話も聞いてもらえないでしょ。エイダンみたいな人に、ゲームをして欲しかった。徹底的に疑ってよ、エイダン。憎むべき他種族は、案外近くにいるかもしれないよ。
そして、それは本当に、『憎むべき』人なのかな」
お堅い話、辛気臭い雰囲気はてんでダメだ。
最後に自分へ向けられた、屈託ない彼女の微笑みが浮かぶ。
肉の焼ける匂いにつられた……ことにして、食堂らしき場所へやってきた。
実際のところも、丸一日何も食べていないので腹は減っている。
「お邪魔しまーす…………」
出立してすぐに逸れたことを思い、声は小さくなる。
>>327 グラシエラ
「なあ、俺も頂いていい?」
==
黙って話を聞いていた。ウィアがどのような気持ちでその場に立っているかも……納得はした。ただ、許すことはできなかった。いわば、彼女とその仲間たちのエゴに巻き込まれようとしているのだ。ずっと目指してきた黒狼騎士団。それへの想いは、異種族だろうがそうでなかろうが同じはず。彼女が異種族を悪でないと思うことと同様に、決して、異種族以外が悪であるはずがないのだ。
==
>>ウィア
「考えは変わらないか。私は君や、その仲間たちと争うことを望まない。強硬策に出る前に、他に……方法はなかったのか。」
==
なかったのだろう。話していて途中で自分を殴り倒したくなる。そんなことは皆わかっているのだ。それしか、なかったのだ。
───それでも、口をついて言葉が出てしまった。それは、私自身の本心に他ならなかった。
==
>>325 ファルス
[ファルスさまは剣を下ろす。静かにこちらに一歩近づき、ウィアの瞳から目を離さないまま、すっとウィアの手から、手紙を抜き取った。
こんなときなのに、奥深くまで見透かされるようなまっすぐな目に、胸は無邪気に音を立てる]
「……ありがとうございます。悔いはありません。
……ファルスさまにとっては、もしかしたら侮辱のように感じられるかもしれませんが。
私たちは、ファルスさまには絶対に手をかけません。国を脅かすつもりもございません。それだけは幾度でもお伝えします」
続々と人が食堂に集まってくる。
皆、神妙な面持ちをして食事を取っている。
(今朝とは雰囲気が一変したな...)
目を閉じれば今朝の情景が思い出せる。
ウィアが鍋目覚ましをして、カリンは食事を作っていて、王子サマがきて。なんて他愛ない話をして盛り上がって。
「どうなるんだろうな。」
ポツリと呟いた。
==
異種族は悪である。そう教わった。そして、今までもそう思ってきた。今でもそう思っている。ただ、ウィアや、周りにいる仲間たちのいずれかが悪だということは───認めたくなかった。
認めなければならないことはわかっている。私は、ただ単に我儘を漏らしているに過ぎない。
==
返事を待たずに食卓につく。
焼かれた肉の中で気持ち小さめに見えるものを掴んだ。許されんってことはないだろう……多分。
腹が減ってはなんとやら、だ。
俺たちがこれからやるのは、戦ではないけど。
>>343 グラジナ
「……なあ。センゾウってやつ見かけなかったか?俺のバディなんだ」
「昨日は色々あって当番サボっちまってさあ」
「諸君に、俺の考えを伝えよう」
敢えて、王子然としてその場にいる者たちに声をかける。
「……俺は、このゲームを受ける。
受けるからには、相手の条件も飲むつもりだ。負けた場合、俺たち全員の目は節穴だ。彼女らに言い返す言葉もないだろう。
諸君らがすべきことは分かっているな。
【敵を見つけ出せ】。一人残らず。これは、黒狼騎士団の誇りをかけた勝負だ」
>>347 ファルス
「……御意。必ずや成し遂げます。」
==
絞り出すような声が出た。私の迷いが、ファルス様に伝わっていないことを祈る。頭の中は大混乱だった。しかし、私の思う理想の黒狼騎士団は、こう言うだろう。
────御意。必ずや成し遂げます。と。
==
>>346スクルド
「センゾウか?
カリンと会話してたのは見ていたが。あいついつも気配が途中で消えるから分かりづらいんだよね。
部屋の中には来てないから、まだ外だと思うぞ」
>>315 ウィア
「それは……私も、残念。クロエが認めた貴方となら、いい勝負が出来るって信じてたのに。」
心から残念そうに言うと、続くウィアの言葉に眉をひそめた。
「……もし、それでいいと本気で思っているのなら。私は、貴方を軽蔑するよ、ウィア。
貴方達の苦労なんて分からない。でも、一つだけ言えるのは……その心の在り方は間違ってる。
どうして自分が上に行こうとしなかったの?下ばかり見て……騎士として、それは正しくないって新米の私だって分かるよ。
……もし、最初から上を見てくれるのなら。」
もしも話に心の整理が付かなくて、唇を噛み締めて俯き、黙りこくった。
「みんな勝手に食え!肉以外が欲しいやつは勝手に作れ!ゲームだとか言ってるが結局は戦だろ? 戦の前は肉!」
そう大皿の目の前にどかりと座りながら宣った。
>>334 アルバート
「おう、ルビーの騎士か!色が似てっから気になってたんだ。おう、ありがとよ。これが料理だと言ってくれるだけで十分さ。食いな!」
闊達に笑いながら、山盛りにした皿を押し付ける。
「にしても、まっさかバケモンに褒められるとはなぁ。私の腕も上がったってことかい。そればかりは誇りにしとくかね…」
その後、ブツブツと独り言を言っていた。先輩騎士に聞かれたら1発食らうかもしれないが、ここには監視の目はなかった…恐らく。
がさごそ
もぞもぞ
「ふふ」
「にこにこ」
『楽しいことになっちゃった』
「楽しいことが始まるね」
「ここに来たの、正解だったよ!」
/*
みんな、思い思い何かをウィアにぶつけているらしい。
なるほど、今のこの状況こそがなぜ彼女が事を起こしたのか理由を察するに余りある。
今日の日誌は感情を交えず事実だけを残すことができるだろうか?
……ファルス王子は受けるらしい。これが王族として正しい答えなのかは疑問ではある。だから日誌担当の怠慢で"なかったこと"にすべきかもしれないし、されるかもしれない。
事実を記録するのみに留め、必要かどうかはまた後で改めて考えねば。私はファルス王子の手足なのだから。
ああでも、ただひとつ。
*/
「次善策とはいえ、宝石に何かを仕込むなんて最初から受け入れられないと決めてかかっているようなものなのだわ。
対話が望めないと諦めてしまっているのは、そちらではなくて?」
誰に言うともなく、ぽつりと漏らした。
>>333 メロ
「気にすんなって。まあ片付けは頼むか!油だらけで面倒だけどな!」
バンバンと背中を叩いて笑った。
そして、斜め前に静かに腰掛けた男に目を向ける。
>>346 スクルド
「おいお前、そんなちっさい肉で何分戦えるんだ?食え食え!!」
手づかみで兎肉をドサドサと乗せた。
「それで、皆ここから出られなくなっちゃったね」
「閉じ込められちゃったね」
「それなら、僕も!」
「出られないね!」
『まだまだ遊べるね!』
「決めたわ──わたしたちは黒狼騎士。騎士らしく、正々堂々勝負しましょう。明日は滅多なことがなければ、わたしが占い師を名乗る。」
「当面の狙いはスパイ。総合トップをいつでも名乗れるように、あなたたちは毎日自分の日誌に守るべき人物を記して。いい?」
>>320 ソラ
「初めから、普通に生きる権利すら認められない者が夢を叶えることの大変さ、あなたにわかる?」
「他にやり方はなかったの?ね、もう聞き飽きてきたな。次に言う人は代案でも出してくれない?
私がどんな思いでこの結論に達したと思ってる?」
[みんな同じ問の繰り返し。それなら答えをちょうだいよ。きっとその答えはすぐに否定出来るような理想論でしょう]
>>358 アルバート
「おう、お前も後で手合わせしろよ!ああ、気にすんな。今朝ウィルにも似たようなこと言われたんだよ。…あいつとも戦うって約束したのになぁ」
最後はどこか寂しげにしていた。
ぐにゃり
>>ファルス
「おじさんのおうさま!」
「いいおうさま!」
『遊んでくれるんだね!』
「僕も遊んでくるね!」
「行ってくるね!」
>>356 グラシエラ
「やったね。ありがとさん」
許可も出たので、遠慮がちだった手を次の肉へ伸ばす。
皿にもたんまりと盛られた。
>>350 グラジナ
「そうか。うーん……出会い頭に拳骨でも食らわないように気をつけようかな」
>>336 ヨルダ
「エルフの弱点か。そうだね。同じ森に住んでたし、知らないってわけじゃないけど。
……騎士団に入ったら教えてあげてもいいよ。この状態でタダで情報を得ようとするなんて、本気で考えてるわけじゃないだろうけど。
ヨルダって、自分で考えるの、めんどくさいタイプだった?ふふ」
ぐにゃり
>>ヨルダ >>グラシエラ
「人外なるもの」
「魔のもの」
「切れないもの?」
「殺し方があるもの?」
「試してみたいもの?」
『試してみる?』
「ふふ」
「ふっふふ」
==
ウィアに目が行きがちのこの状況だが、彼女には仲間がいる。そして、その者たちは種族を偽ってこの場にいるということになる。……誰だ。誰が……そのような
───信じられるのは、自分だけということか。
いつかと同じ、か。大丈夫。慣れている。元よりこの世で他人を信じるなど。
==
一拍起き、なるべく冷静を装って口を開く。
「…………【俺、昨日より前の記憶が無くなっている】んだ。生活に困るような事はないんだけど、自分の生い立ちが一切わからない。部屋にあった日記を頼りにやって来たんだよね。本当は、思い出すまで黙っておくつもりだったけど……」
怖かった。宝石を砕かれる事がとても怖い。並ならぬ努力をした、記憶を失う前の自分に申し訳ないとも思う。
そして何より、何かの拍子で記憶が無いことを隠したことを責められ、濡れ衣を着せられる事だけは避けたかった。
「信じ難い話だろうけど…うん、聞いてくれてありがと」
信じて欲しいなんて言葉は相応しくない。これからきっと、ウィルのような人を探し始めるだろう。自分は何も知らない。だからこそ、それを踏まえた上で値踏みして欲しいと思った。
ウィルが出た強行手段は許される事ではない。苦渋の策なのかも知れない。どれほどの葛藤があっただろうか。けれど、騎士の誇りである宝石を、無残に砕くことを良しとする人物は、やはり悪なのだ。
そんな悪と同類と思われるような、出生を隠す行為はしたくなかった。
>>337 ミズリ
「……言わなきゃダメ?」
[少し困った顔をして聞いた。でも、ここまでしているんだから。問われたら言うべきでしょう]
「私、昔ファルスさまとお会いしているの。それが最初のきっかけ。それ以上のことは、ファルスさまへのお手紙に書いたんだけど……そうね。その時に、ファルスさまに、この身も心も捧げようって、思ったのよ」
>>338 イグニス
「黒狼騎士団は、他の兵士たちとは違うわ。誇りある精鋭部隊。特に、ファルスさまが入団されてからは、非道な虐殺の件数も減った。
同胞が殺されることもあったけれど。それは、罪のない一般人を巻き込んだ事件などもあったし、全てにおいて一方的な被害者だと思っていない。
騎士団になれば、出来ることもあるわ。ファルスさまの手足になることが第一だけど、私たちが黒狼騎士団として生きることが、未来への希望に繋がると信じてる。私は」
>>369 アルバート
「そりゃあ、あー……こういう時なんて言えばいいんだろうな。とにかく大変なことってのはわかった。
頭打ったとかでもなさそうだ、そのうち戻るもんならいいけどな。」
どうやら疑われるようなことらしいが、その真偽を考えることを放棄して全身をジロジロと観察する。特に怪我もなさそうだと判断すると、さっぱりわからないという顔をした。
>>347 ファルス
ファルスの涼やかな声が届く。何時もならそのお声に喜びすら覚えるのに、ウィアの事を思うと、心が痛んだ。
もし、自分があちらの立場だと考えれば。だなんて、生易しい事は言ってられない。
何故なら私は―――末席とはいえ、黒狼騎士団の一員なのだから。
深呼吸をして心を落ち着かせると、ファルスに跪いて凛とした声で返事をする。
「……委細承知仕る。騎士団長の望みのままに。
黒狼騎士団の名にかけて、必ずや犯人を捉えてみせます。」
格式めいた挨拶をすると、そのまま一礼をして立ち去る。
本当は、今晩はファルス様の武勇伝をお聞きしようと心に決めていた。……だが、今はそのような空気ではない。
明日、約束を違えた事の謝罪と、この騒動を沈静化したら拝聴出来るように頼む事にした。
>>341 ユーディト
[またこの質問。少し笑えてきてしまう。みんなどうしたの?私になんて答えて欲しいの?]
「……強いて言うなら。ファルスさまに知って欲しかった。考えて欲しかった。見て欲しかった。
それには、この機会しか無いでしょう。だからかしらね」
ぐにゃり
>>ウィア
「変なの」
「黒狼を憎まず」
「黒狼へ憧れ」
『サリーナの牙とならんとすもの』
「そこに恩讐は見えず」
「はてに忠義さえ見える」
『変なの』
「潰せそうなのに」
「簡単そうなのに」
『簡単だったのに』
「そうしなかった」
「滅ぼさなかった」
「でも楽しい」
「こっちの方がもっと楽しい」
『楽しみだね!』
「水霊さんありがとう!」
「楽しみをありがとう!」
>>344 クロエ
[クロエの口から出た言葉は、本当に予想もしなかった言葉で。ウィアはしばし呆気に取られた]
「……クロエこそ、本気で言っているの」
[それから、泣き笑いのような顔で、彼女へ、目を細めて続ける]
「そうだね。覚悟の意味を間違えたかな。
私は、やっぱり黒狼騎士団になりたいよ、クロエ。もう一度、あなたと一緒に」
[クロエとバディになれてよかった、と心から思う]
寝ようとした。
寝れるわけがなかった。
「……っくそ!」
ベッドから置き、髪をかきあげた。
「……そもそも、やるべき事がもう一つあったな」
緩めたシャツをもう一度着直し、簡単に装備も整えて、もう一度ウィアのいる場所に戻ることにした。
>>375 エクス
「変、かな。あなたにも分かるんじゃない?ファルスさまがいなかったら、きっと今頃大変だったわよ、あなたも」
[急に目の前に現れた子どもに、淡々と答える。
仲間、とは思わないけど。完全に異質なものとも言えないだろう]
>>377
「…………」
[続く言葉には、口元に人差し指を立て、「しーっ」と返しておいた。そんなつもりは毛頭ないのだ。私たちは、黒狼騎士団なんだから]
>>373 ウィア
「…………そうだな。今のは、忘れてくれ。私の中の心の綻びとも言うべきものだ。君の憧れた黒狼騎士団の一員として、恥ずべき言動だ。君にとっては、2つの意味で許すことのできないものだろう。
せめて私は胸を張って君と相対しよう。君は異種族だ。私たちとは相容れない道を歩む者だ。そして、私は……私たちは、真に黒狼騎士団員の資格を得た騎士である。その誇りを以って、君たちと闘おう。君たちが至ったこの結論に敬意を表する。そして、それを私は許さない。ファルス様の命のもと、君たちを探し出す。黒狼騎士団の一人としてな。」
>>359 ウィア
「初めから………今まで、か。ほんの少しだけど、分からない訳じゃないよ。…人から石を投げられた経験なら、あるから。」
孤児…いえ、悪童だった頃の記憶を思い出して少しだけ悲しげに微笑みます。
そして、彼女のどうしたら良いか、の問。
「……キミたちが真っ当に生きていく為の手段は、分からない。でも………っ…。」
思いつくことはありますが、どれも並べてしまえばただの理想論に違いなく。論破される事は重々承知していたので、その問に答える事は出来ませんでした。
しかし、それで終わってしまったら、悪事に手を染めてしまったら、大切な人達を守る事も出来ないのです。
だから、考えてしまうのです。
本当にそれで良かったの?と。
>>351 カリン
[今までの問いかけには、それなりにすいすいと答えを返してきたが、カリンの言葉にウィアは眉をひそめる]
「上に行こうとしなかった、どうしてそんなことが言えるの?
何も知らないでそんなことを言っているのなら、私は、あなたを軽蔑するよ、カリン
上に行こうとして行ける人は、言うことが違うなあ」
[ああ、なんて卑屈。でも、そう言うしかないじゃない]
「教えてあげるよ。わかりやすく舞台の上下にたとえたけど。実際、私たちの前にあるのは、崖じゃないの。崖は頑張れば登れるでしょ。頑張れば越えられることは、頑張って来たよ。
私たちの前にはね、何も無いの。地面すらない虚空なの。道はそこで途切れているの。こういえばわかりやすいかな?」
>>339 ウィア
はっ、なにそれ、褒めてんの?
[素直だと言う言葉を、鼻で笑って返す。他種族に褒められたって何にも嬉しくなんかない。むしろ、侮辱されたような気分だった。]
黙れ。べらべら御託ばっか並べやがって。
他種族は悪だ。憎むべき敵に決まってるだろ。
そんな事、こんな馬鹿げたゲームなんかしなくても、ハッキリしてる事じゃねぇか。
[怒りを抑える右手から、ボタボタと血が流れていく。けれど、その痛みすら今は何も感じない。ただただ、怒りという感情がエイダンの身体と心を支配しているだけだった。]
お前らみたいな卑怯な奴に……っ
[奥歯をギリッと噛み締め、それ以上の言葉を飲み込んだ。今は私情を出すべきではないだろうと、頭の隅に隠れていた冷静な自分が囁きかけくる。確かに、これ以上熱くなったところで意味はないだろう。ここで彼女にとやかく言ったとしても、王子であり団長であるファルスの決定が全てだ。
ウィアを睨みつけていた目線を外して、これ以上会話をする事はないと拒否の姿勢を示す。
じんじんと痛むのは、冷静になった事で戻ってきた右手の痛みか、それとも──]**
「…………………ご馳走様、今日は寝るね。グラジナ、一緒に居てくれてありがと。また明日な」
自分のした事で空気が微妙なものへと変わってしまった。意を決して話したつもりが、グラシエラからはさらっと受け入れられたようで、意外だった。
明日の朝、起きてからが大変だろう。睡眠は十分取っておきたかった。
>>355 ヒルダ
[誰にともなく呟かれたような言葉は、確かに耳に届いた]
「それは一理あるわね。でも楽観する訳にはいかなかったわ。事前準備を入念にしてこそ、あなたたちと対等にゲームが出来る。
結界の発動とともに、宝石に仕込んだ魔法も発動したのよ。
だって。石の砕きやすさで結果が決まるなんておかしいでしょう。大切なのは石じゃないでしょう。それに込められた気持ちでしょう?」
>>369 アルバート
「そうなんだ。大変だね。じゃあ、どうして騎士団を目指したのかも忘れてしまったのかな?
それは、可哀想だね」
[アルバートはウィアのコメントなど望んでいないだろうが。するりと言葉が出てきた。少し淡々とし過ぎたようにも思うけど]
「みんなに信じて貰えるといいね、アルバート」
「似たような問いかけが多かったけど。ね。
頑張ってね、私の同志たち。
頑張ってね、騎士団のみんな。
探すべきなのは私たちだけじゃないよ。」
>>359 ウィアつづき
それに、彼女達が認められるような代案を言えた所で、後の祭りなのはもう揺るぎようがありませんでした。
賽は投げられてしまったのですから。
それならば、自分に出来る事は彼女を敵とみなして。真っ向からぶつかり合う事なのでしょう。
「キミたち…いや、ウィアの夢は、異種族の立場を確立する事かい?
…………そうなら、大した自己犠牲だね。もしも異種族を解放した英雄となれても、キミはその場にいないんだ。
自分がいない未来が夢?
……逃げているだけじゃないのかい?」
嘲笑を交えながらウィアに語り掛けます。…心苦しい態度は隠せているでしょうか。
>>ウィア
近くの椅子に座って、ウィアと新人騎士たちの応酬を聞いていた。
一通り済んだようで、伸びをする彼女の仕草は。その姿こそ違えど昨日の明け方に見たのと同じだった。
「済んだか、ウィア」
声をかけ、近寄る。驚いて振り返るその透き通る肌は、揺らぐ瞳は。俺の内の何かを呼び起こそうとしているような、そんな気がしてしまう。
何か、大切なことを忘れているような気がする。
「……騎士団の剣を出せ。君の宝石は、俺が砕く」
>>383 ウィア
呪いにも等しいウィアの言葉は、透き通った朝の水面のような清々しい彼女の面影を消していく。
これが本性?いいや、彼女は国に古くから続く由縁。それを変えようと必死なのだ。
その努力を私は認めなければならない。彼女の苦しみは彼女にしか分からない。心に数値や秤は存在しない。誰にだって赴くままの心を享受する権利はある。
だが、私にだって負けられない理由がある。
黒狼騎士団として、カリンという個の存在として、敬愛と傾慕を抱くあの御方の為に、私は必ずや勝利を捧げねばならないのだから。
「…………そう、わかりやすい例えをありがとう。
……ああいえばこう言う。結局のところ、私達は交わる事のない存在だね。
私と貴方の間には、対話ではなし得ない何かがある事を今、しっかり理解したよ。
私は貴方のいうゲームに必ずや勝ってみせる。……それが私の正義であり、正解だってもう決めたの。
…………次に会う時は本当のさよならを言う時だろうね。その時まで、お達者で。」
踵を返して背を向ける。
どちらが勝っても、私達は元通りの黒狼騎士団の同期にはなれっこない事を、しんしんと軋むように嫌悪なムードが物語っていた。
>>391 ソラ
「ふふ、違うよ。それは、そうなったらいいなとは思うけど。
少なくとも私は。自分と、同期の仲間が大事だよ」
[両手を広げて見せる。本当は自分はどうなっても、と思いかけていたけど。先ほどクロエと話したことで、本来の目的を思い出したのだ]
「私は、やっぱり騎士団になりたい。無理だって言われたって。死ぬのであれば、騎士団として死にたい。だから、そうね。そういうこと」
「私は退場するけれど。私の仲間はみんな素敵だよ。どうか、みんなが幸せになれますように、そう願ってる。そのみんな、には、今のところ、顔も知らない他の人が入る余裕はないかなぁ」
>>392 ファルス
[みなとの対話が一段落して、つい、伸びをしてしまったところを、またファルスさまに見られてしまった。
ああ、一番油断し切ってるところばかりを。
今はそれどころではないのだが、ファルスさまが目の前にいたら、ファルスさまのことしか考えられない。こんなに近くで顔が見られるだけで、奇跡のようなものだ]
「……まあ。ファルスさまが手ずから砕いてくださるのですか。それは……光栄です」
[……他の人に命じればよかったのに。きっとみんな、私の宝石なんて気兼ねせずに壊すだろう]
「でも、良いのですか。私の宝石に、罠でも仕掛けてあったらどうなさるおつもりで?危ないですよ、ファルスさま」
[ウィアのアクアマリンはら目の前で砕かれる。ああ、私のアクアマリン。
一番水に近い宝石を、と思って選んだ。
他種族として生まれたことを憎んでいるわけではない。ウンディーネに生まれなければ、ファルスさまには会えなかったから。
さよなら、私のアクアマリン。仮にもしも、奇跡が起きたとして、この私にもまた支給されるとしても。
合格して、初めていただいたのは、今砕かれたあの石しかない。
さようなら、私のアクアマリン。
何度も心の中で別れを告げる。覚悟していたことなのに。右の瞳から、涙がつうっと一筋流れ落ちた]
宝石を砕き終わったあと、ウィアの顔を見ると、静かに涙を流していた。
「馬鹿者……性質のトップが、簡単に泣くな」
今となってはなんの意味もない肩書きであるが。
それから、踵を返し、今度こそ眠りに行くことにした。
>>394 ウィア
「……そう。」
(嘘偽りない顔しちゃってさ…。)
「……死ぬなら仲間と同じ立場で、か。」
(それも、異種族の仲間じゃなく、"皆"を指してるんだね。)
「………仲間として過ごしたこの数日間は、忘れないよ。…バイバイ、ウィア。」
(…ああ、もう…決心が鈍る…。)
それ以上は語る事なく、ウィアに背を向けて歩き出すでしょう。
もう、振り向く余裕はありません。一刻も早くこの中に居る"敵"を探し出さなければいけないのですから。
ただ、それでも、胸の中に去来した想いに内心悪態をついてしまいます。
(…敵って、なんだよ…。…誰も憎くなんか、ないよ…。)
倒すだけが、敵ではないと学んだ、悲しい夜でした。
[ファルスさまの後ろ姿を見送る
……もう一度。認められたい。
ぎゅう、と胸の前で手を組み合わせる]
「もう一度。どうか。
女神リーネさま。どうか。《私たち》にチャンスを。」
[月明かりに祈り、ウィアは、静かに結界の端へ向かった。もう、この砦に私の居場所はないだろうから]
■遠征日誌■
記録者:ソラ・カルセドニ
朝食はウィア・ディーガとクロエ・ド=ベルティエが腕によりをかけた、オムレツやトーストをはじめとする手製の料理。大変美味だった。
食事を各自終えた頃、人質を取った山賊が襲来。団員がこれを撃破。人質も無事に救助された。尚、エルモント・グラジナとミズリ・ミズハによって無力化された山賊4名は、捕縛し本国へ引き渡す事となった。
その後、人質が魔の者であるという容疑が上がり、これを軟禁状態とした。尚、日誌担当のヒルダによって、本件と前述した山賊引き渡しの件についての詳細は本国に連絡済。
この日の手合わせは、クロエ・ド=ベルティエとイグニス・アッカード。終始激しい応酬が行われ、最後は疲れの見えたイグニスをクロエが捉える形で勝利を収めた。今年の新人騎士のレベルの高さが伺える、素晴らしい手合わせだった。
夜、黒狼騎士団を騙る他種族によって、砦が魔法による結界で覆われる。尚、首謀者であるウィア・ディーガは団長の手により除隊処理となった。
砦からの脱出は、犯人グループが提示した条件を満たす事でしか出来ない為、現在外界とのやり取りは絶望的である。
【ガルセウヌ、結界外部にて】
弾き飛ばされたガルセウヌは、そのまま激しく木に激突する。
奇襲的な魔法の力に当てられた為対応が遅れたのか、急所こそ避けたものの、強かに体を打ち付けた。肋骨の一本か二本は折れたかもしれない。
「クッソがぁぁぁ!!!」
だが、その様な痛みなにするものぞ。即座に起き上がり、痛む体以上に燃える眼球を滾らせ王子の元へと向かう。曇り、そして透明な壁になったそれ越しに、王子がウィアに剣を向けている姿が見えるだろう。
しかし、ガルセウヌに許されるのは、見ることと、会話を聴くことのみであった。
押し進もうとする体は、結界により阻まれ、少しも進むことは出来ない。
ならば、と槍を抜く。
先日、魔猪に放ったように。体の血肉を解放し、最大の一撃を構える。
そして放たれる【全力の一撃】
自信と実力に裏付けられた武の投擲は、凄まじい勢いで壁に向かい。
その勢いのままガルセウヌの頬を掠め、兜の一部を破壊しガルセウヌの後方へと帰っていった。
いともあっさりと、ガルセウヌの武の全力は、魔法の力に跳ね返されたのだ。
「チィッッ!王子ぃ!聴こえますか!!王子!!!」
普段は鎧によって隠れている赤髪を振り乱し、灼熱色をした赤瞳を燃やしながら、壁を殴る。手甲が砕け、手が血にまみれる程何度も。
しかし、王子達には声が届かないようだ。
代わりに、自身達の目的を語るウィアの声が、反響するように聴こえる。恐らく、これも魔法の力によるものだろう。
「クソッこりゃぁ……。」
自身には、何も出来ない。その事実に打ちのめされる。
この規模の魔法に対処出来るものは、魔法取締役ですらいないだろう。
セルナリアへ応援を頼むとしても、栄誉ある騎士団への侵入を許し、あまつさえそれに王子が巻き込まれたとなると、あっさりと救援を頼むと言うわけにもいかない。ガルセウヌには判断しきれぬ程の、重大すぎる外交問題となる。
つまりは、ガルセウヌには、後輩達がこのゲームに勝利することを願うしか、出来ないと言うことを認識する。
「っっっ気張れよお前らぁ!!!!
騎士団の誇りを守り抜いてみせろぉ!!!!」
ガルセウヌは、聞こえないと知りながらも、吼えた
出来る限り、客観的に書いた日誌を閉じて、明日の当番が見つからなくて嘆いてしまわないよう、棚の見やすい位置に戻します。
そして、男性部屋を後にして、また城壁へとやって来ました。気持ちの整理がつかない時はここに度々来てしまいそうです。
思考を切り替えなければいけない事は分かっていましたが、未だに踏ん切りがつかない自分に若干の嫌悪感を抱きつつ、夜空を見上げてウィアとの対話を反芻します。
思い出すのは孤児だった頃の記憶。教会に拾われるまで身を寄せ合う仲間すら持てず、生きる為に盗む事も厭いませんでした。
盗んだ事がバレた時は半殺しにされて森に棄てられた事もありました。その時は名も知らない騎士に保護されたそうです。
黒狼騎士団になった理由をファルスへの憧憬以外で挙げるなら、あの時助けてくれた騎士やその後ここまでを支えてくれた教会のシスター、そしてその仲間達みんなに報いる為、でした。
彼らへの想いの為にも、ここで負ける訳にはいきません。
ウィア達に譲れない物があるように、自分にも譲れない物がある事を再認識しました。
ある程度思考がまとまると、そのまま静かに目を閉じます。明日への気力を養う事でしょう。
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