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>>アウローラ
「アウローラさんも良かったら、ご一緒しませんか?」
彼女が持ってきくれたミルクを淹れたての紅茶にたっぷりと注ぐと、カップの中で乳白色の美しい層が出来上がった。
僕はそれを砂糖と一緒に軽くかき混ぜて、ゆっくりと口につける。
どこか気取った感じの味わいが、まろやかに変わった。
「……うん。美味しい」
>>118 ギルバート
「あははっ、確かに見えるかもしれませんね。これで屋敷にかぼちゃが飾ってあったら完璧だったのになあ。」
ハロウィンパーティーと聞いて、思わずくすくすと笑う。
「ギルバートさんは、催しものは好きですか?……仕事柄、参加する機会は多そうですが。」
アウローラに撫でられながら辺りを見回す。どうやら私たちが身の上話をしたのを切欠に皆何かと語り始めているようだ。しかし、あの主人は本当に小瓶を渡す気があるのだろうか?私は話せること自体が稀有なためつい一席ぶってしまったのだが。
すくなくともこの流れが続くのなら、すぐさま乱暴狼藉をはたらくものは出てこないだろう。そこだけは主人に感謝しておかねばなるまい。格闘技を齧ったことはあるが、この姿でできるかどうかは怪しいと言わざるを得ない。
そして撫でられるのが嫌いとは珍しい子供もいるものだ。子供の方が撫で方に遠慮がなく、無作法なものであるのに。
[ベガの方を不思議そうな目で見つめている]
誰も話さないなら、僕が次は話してもいいかな。
[1歩踏み出し、館の主の前に出る。自分の話が面白いと思われるかは分からないが、このまま何もしないで帰るなんて出来ない。]
>>121ヒューズ
ふふ、と笑みが零れる。
「本当に素敵な夢だったんですね。
貴方が人間になったら一体どんな方なんでしょう。素敵なおじ様かしら。それとも可憐な少女かしら」
この毛並みの美しい小さな身体にはたくさんの希望が詰まっている。そのことを漠然と羨ましく感じた。
>>122アイザック
「あら、お誘いありがとうございます。
では私も頂いてしまいましょうか」
彼の使っていたポットを手に取り、お茶の用意を始めた。
何から話そうか。
僕の名前は、リオ。…今はこんな姿だけれど、元はちゃんとした人間だったんだ。
とある国の第二王子でね。そりゃ、正妻の息子だから王位継承権は高いけれど、たった一人邪魔な人間がいたんだ。それが実の兄って訳。
でも、僕は兄よりも優秀だったんだ。僕が王になればいいのに、なんて声もちらほら聞こえるぐらいにはさ。
それもそうさ、僕の実の兄、第一王子ロイは部屋にこもってばかりだったから。
それからなんだっけな。
ああ、そうそう、僕には許嫁がいたんだけどね。ちょっと気が強くて聡明な女性だよ。彼女が甘えた声で言うんだ「私は王の妻になりたいわ」なんてさ。
僕も、兄が王になるよりも僕がなった方が国民のためになると思ったんだ。だから、僕は兄に相談しに行ったよ、「僕に王位を譲ってはくれませんか」ってね。
そうしたら、なんて言ったと思う?「お前に、王は向いてない」だってよ!ははっ、笑わせるよね。
……だから、僕は王位を譲ってもらうことは諦めた。奪うことにしたのさ。
知識も、武術も、人望も。王に必要なものは全て持っていたからね。
計画を練りに練って、兄の殺害計画を立てた。味方も沢山つけてね。
ああ、もちろん彼らには地位を約束したよ。人間を動かすには感情よりも確実だからさ。
…計画は成功した。僕は問題になることなく、兄を殺害出来たんだ。
だけど、一つ予想外のことがあったんだ。兄が自室でおこなっていたことだよ。あいつ、黒魔術なんて研究していたんだ。…バカバカしいよね、少なくとも一国の王となる人間がやることじゃない。
けど、効果は現れた。その結果がこれだよ。僕は兄殺しこそバレなかったけれど、化け物さ。自室から一歩も外に出ることを許されなかった。
僕を慕う人も、許嫁も、皆、僕を見捨てやがった。
僕に残ったのは、兄だけ。ああ、とは言っても僕がそう思っていただけで、本当は僕の先生。彼は賢くて、いつだって僕の味方だった。兄の殺害を提案してくれたのも彼だった。
その人が教えてくれたんだ。ここに来れば、願いが叶う、呪いが解けるかも、ってさ。
冗談だと思ったけれど、あの人が真剣な顔で言うからさ、来てみたんだ。
まさか、他にこんなに人がいるとは思わなかったけどね。
僕はその小瓶を手に入れて、呪いを解いて王にならなくちゃならないんだ。
…これで僕の話は終わり。ちょっと熱くなっちゃった。僕に小瓶を譲って貰えると嬉しいです。
/*
隣でココアを飲んでいたアデリーナが話すようである。
静かに、聞いていよう。
ぱっと見は、望みなんて願えば全部誰かが叶えてくれそうな……そんな見た目でさえある彼女が、この噂にかこつけてやってくるほど叶えたいものとは。少しばかりエーリカの身でも気になるのだった。
*/
親はしらない。気づいた時には裏の世界にいて、しばらくしたら気づいたわ、『あたしは生きたまま売り物になれる』って。
それに気づいたのは、同じように拾われた、同じくらいの年の子が、みーんな居なくなったとき。
あたしを拾ったやつらは人身売買をやっていて、見目が悪くて頭も悪い、しかも不器用な子供はバラバラにして売られてた。
それよりちょっとまともな子は、オークションにかけられてた。
…そして、こういう見目のいい女は、囲われて大事にされながら媚を売る。
>>133ヒューズ
「あら、そうなんです?
こんなお洋服を着てみたいとか、どんなスポーツをするかとか、考えるのも楽しそうじゃありませんか」
「ヒューズさんに言うのはあれですが、私は猫になるのも悪くないと思うんですけどね。自由気ままで……確かに種別までは考えませんが」
淹れた紅茶をこくりと一口飲み下す。
「希望なんて無くても生きていくんですもの」
カップから唇を離し、揺れる水面を見つめた。
最後の1人になって、子どもから娘になった日。あたしは綺麗で絨毯が引かれててソファーがあって、暖かい部屋を貰ったわ。
訪れるオジサンたちはみんな優しかった。
あたしを買った人はみんな気づいてたでしょうね。この子はやつらの所有物、傷物にしたら殺される、ってこと。
[スカートをたくしあげると、脚の付け根から太腿にかけて、紫のツタが絡まるように描かれている。付け根には小さく、紫の薔薇が咲いていた]
ま、これは結構気に入ってるけど。
夢を見ていた。
桃色の髪をした少女に首筋撫でられる夢、温かいミルク、眩しい陽だまり。
あぁ、あの幸せだった頃をもう一度ーーーーーーー
「う〜〜にゃあぁ〜〜〜」
ゴロゴロと喉を鳴らし、思い切り背を伸ばす。
随分と沢山のヒトが増えた。
その中で、1つ気になる影を見つける。
>>126 アウローラ
「もちろんですとも。さきほどはミルクと砂糖、ありがとうございました。私、甘いものが好きなんです。」
アウローラさんがカップに紅茶を注ぐ姿を眺めながら、僕はにこりと笑った。
彼女とは屋敷に入る時に言葉を交わしたきりで、こうしてゆっくりと話すのは初めてだった。
「アウローラさんはーーーーおや、白猫くん。」
>>ヒューズ
アウローラの傍らには、あの白い毛並みの美しい猫がいた。
「こんにちは。ミンスパイはもうありませんが……クッキーはいかがですか?」
笑顔でそう声をかけて、まだ荷物の中にあった包みを取り出し、彼の前に広げる。
[恥ずかしげもなく晒した脚に目を向けて、スカートから手を離せばヒラリと元に戻る。そのまま地面を見つめて]
あるとき常連のオジサンに聞かれたの、『欲しいものはあるかい?』って。
ちょうど眠くて、つい考えていたことを答えたわ…お父さんとお母さんが欲しかった。弟か妹か、お姉ちゃんかお兄ちゃんが欲しかった。ふわふわの大きな犬を、子供の頃から飼いたかった。
暫く黙り込んだオジサンは、パパと呼びなさいって言った。そのあとから、しょっちゅう来ては楽しくお話をして帰って行ったわ。
そして、あたしの誕生日…いいえ、"オジサンたちに誕生日を聞かれたときに答えてた日"にプレゼントとして貰ったのが、ここの噂。
裏社会?あたしを育ててくれたわ。
人身売買?必要なことよ。
あたしは正義のために生きてるわけじゃない。
ただ、お父さんとお母さんがほしかった。暖かい家族がほしかった。コンクリートの上で次は自分かと怯えるんじゃなくて、暖炉の前で遊びたかったの。
>>112 ベガ
「うおっ!? そりゃあ、すまんかった!」
予想以上に跳ねっ返りな少女に苦笑いを返した。
「なるほどなあ。嬢ちゃ、いや、アンタ頭いいな!
だが……」
そうして、今度はわざと強い力で彼女の腕を掴んだ。
「力が弱いのは本当のことだ。
アンタは、弱い。だから大人は子供を保護する」
腕を離す。こういうことは、やはり得意ではない。
「俺もかつてはそうされてきた。だから、まあ、危ないところに子供がいたら気にかけちまうし、心配もする。それを疎ましく感じるのも子供の特権ってやつかね」
「……でも、異国の人に俺の常識で声をかけたのは悪かったよ。アンタが望むなら、なるべく……。……ううん、いやでもやっぱり体が小さい人間ってのはこう……見てて危険がないか不安になるんだよな。まあでも、アンタの行動に文句をつけないさ。気にはかけるけどな! それは性なんだ。わりぃな!」
あたしの願いは、
『暖かい裕福な家族に生まれ直すこと。』
自分のこと、嫌いじゃない。
この見た目だから生きてこれたの。
でも、この見た目で、もっと幸せに生きられるのなら…なんでもしたいなって、思うわ。
これで春を売る女の話は終わり。
いかがだったかしら?
[まっすぐ瞳を見つめて微笑むと、
すぐエーリカの元へ戻っていく]
静かに皆が語る話を聞いていたが、自分の生まれ持った性のせいだろうか、一箇所に留まっているのが飽きてきた。
退屈なのを紛らわせようと、手持ちのミンスパイを一つ取り出して齧る。
貰い物のクッキーは何故か食べるのが惜しくて、手をつけなかった。
乾き物だし、後で食べればいいかと思っていると、どこからか美味しそうな匂いがする。
話を聞き逃すのは惜しかったので、机に持ってきたボイスレコーダーを置くと、手帳を一枚ちぎり、持ち出し厳禁!と書いて近くに置き、匂いの元を辿って小走りで駆け出した。
匂いの元を辿ると、水の流れる音、何かを刻む音、そして何かを煮込むぐつぐつという沸騰音が聞こえる。
開いている扉から覗き込むと、そこは清潔かつ広々としたキッチンのような場所だった。
誰か背を向け、慌ただしく料理をしているようなので側に駆け寄り、声を掛けてみる。
>>120 ライ
「こんばんは!
貴方もレヴィンさんの友人さん、というかここに願いがあって来た人よね?
料理、よかったら手伝いましょうか?」
料理をしながらでも話は出来るもの、という言葉を言いながら、相手の返事を待つ。
大量の食材を切っているようだが、一体何を作っているのだろうか、と思った。
>>141アイザック
「いえいえ、余計なお世話でなかったようで何よりです!」
アイザックがヒューズに話し掛けるのを見て微笑む。
優しげな眼差しの青年ーー彼の願いは見た目とは裏腹に自らの血筋を消してほしいという激しいものではあったが。毛並みの美しい猫と並ぶと絵になる光景だと感じた。
「私も、何かお話した方が良いのでしょうね。きっと。そのために此処に来たんでしょうから」
困ったように頬を掻いた。
/*
アデリーナがぽつぽつと話し終わるのを待ち、戻ってきたところを同じ机で迎える。
そうか、とエーリカは一つ嘆息した。
彼女とエーリカは、似ているのかもしれない。
後ろ暗い背景さえなけれど、境遇と、願いは、近しいものがあった。
*/
「おかえり、アデリーナ。
先に話されちゃったから、なんだか出番がなくなった気分です。
まぁ、話さないのも私が不利益だし、アデリーナも、喋ってくれたから」
「自分で願ったことのあることって、多分このぐらいじゃないでしょうか。つい最近も、家族が欲しいな、って思ったぐらいで。
勿論、願ったって叶わないものであることは承知です。だからこそ、願ったんですから。
初めから……父も母も、それなら例えば兄弟姉妹もいて、それから私が今度は成人して、母になって、子供がいて、孫もできた後に、この命を全うしたいなって思いました。
それは、父と母はいなかった段階で、もう叶いはしませんよね。
ですけれど……声が聞こえてきたんです。
そこまでは覚えているんですよ。
あとは……なぜか、この屋敷にいて、こんな服装を着ていて……そして、皆さんが続々といらっしゃったんです」
「ただ、察しが悪いわけではないんです。
皆、何かの願いを叶えたくてここにきていることと。
『私の願いがほんの一瞬でも叶っていた』んですから。
この屋敷には、その力があるんでしょう?
声は、やけによく覚えてました。
家族が欲しいのかい? ここにくるといいよ。幸せな家族たちが今日もなんでもない日を祝っているさ、
と語りかけられたんです。
それからのことは……あまり。ですけど」
「しかし確かに……幸せ、そうな、家族でした。
多分私がよく覚えていないながらに見たのは、幸せそうな家族たちでしたわ。
主人がいて、女の人がたくさんいて。
私のような給仕の女性も、確かもう一人、いらしたような。
息子さんも、お嬢さんも。
皆のことを……家族、と呼んで慕っておりましたね。ご主人」
/*
胡乱な目で経緯を語るエーリカのことが、周りの人間にどう映ったかは分からない。
それでも、エーリカ本人にも信じがたい事実を、ただ率直に、正直に語るだけ。
それが一番−−面白いのではと、思ったのだ。
*/
「ねぇご主人。
私にあの夢を見せたのは、ご主人ですか?
それともその瓶ですか?
或いは……それ以外のなにか、なのでしょうか。
家族が欲しいと願う私に給仕役をやらせるのはアテが違うと思われますが……それでも、『あなたには家族がいて、その瓶には力がある』のでしょう?」
/*
話し合えるとなるほど納得、確かに面白い話だ。
どんな願いでも叶えるという噂とその真実。それだけでも非常に面白い。
対価として、取引に支払うものとして面白い話を要求されるのもまた滑稽かつ、純粋に等価交換だ。
*/
/*
だから、私がそこの主人に言ってのける言葉と、願いはこうなるのだ。
*/
「羨ましいです。
『くださいよ。その家族』」
/*
それほど、大事なのなら。
*/
>>156 ベガ
「ははっ、手厳しいな」
おっと、これは、さらに機嫌を損ねてしまったらしい。
俺は、眉を下げて、頭をガシガシと書いた。ただ、まあ。許可は貰えたから良しとするか。
「ああ。そうしないように気をつけるぜ! なら……っええ! アンタ坊……じゃねえ、そりゃ重ねて悪かったな!」
綺麗な顔してるもんだから──と言いかけて口を噤む。十歳ばかり下の弟にも幼い頃そう言って、酷く機嫌を損ねたことがあったからだ。
去っていく少年を、俺は見送った。
話しながらも小耳に入れてはいたほかの人間達の身の上話に目を伏せる。
宛もない噂を頼りにここまで来た人間達だ。力になってやりたいとは思うが、俺も他人を気にかけてばっかり居られないのも間違いじゃなかった。
何よりも大事な一番がいる。
それにしたって、ああ。小瓶が叶えられる願いはたったひとつなのだろうか。
>>160 ライ
彼がメモを見て独り言を言っているようだが、人名なのでもしかして、人の名前が覚えづらい人なのかな?とさして気にしなかった。
「出遅れちゃった感じですか……?
でも、手伝える事が残っていてよかった
お料理、お上手なんですね
名乗り遅れました、私はノエル
ライさんですね、よろしくお願いします!」
元気に挨拶をすると、人数分の銀食器を小さな籠の中に入れ、食器類を人数分並べた後、側にあったワゴン車を持ってくる。
「作ってもらいましたし、私は運びますね!
にしても、ライさんは話をしに行かなくていいんですか?」
隣に立ち、スープくらいならよそえるだろうと深めのスープ皿にお玉でよそいながら話しかける。
>>163アイザック
「啓示……に近いものでしょうか。そんなに神々しいものじゃないとは思うんですが」
アイザックの冗談めいた提案に思わず吹き出す。ーー多分、それが正しい反応であるから。
「……実の所、願いが無い訳ではないんです。それが自分自身のものなのか、わからなくて。
理解はしてる筈なのに飲み込めないというか……いえ、ここからはレヴィンさんに直接話しましょうか」
カップをテーブルに置き、数歩進む。
「少しだけ、私のタネ明かしです」
次の人の話が終われば、彼女は話し出すだろう。
>>159 ヒューズ
「あははっ、気にしていないから大丈夫ですよ。それも生き抜くために必要な知恵の一つでしょうから。……鳴き真似、お見事です。」
そのまま彼に一枚クッキーを差し出そうとした時、一人の少女が寄ってきた。
ヒューズに向かって猫の鳴き声にも似た何かを発している
>>リコッタ
「……こん、にちは?」
>>166 ギルバート
「……修道会によっては、現在の生活に合わないからといった理由や、一般の方との垣根を取り払うためだとかで、修道服を規定しない場所も増えたみたいですしね。」
ホラー映画でしかこういった服装を見たことがない人もいるのではなかろうか。
「意外だな。……いえ、常日頃脚光を浴びるお仕事に就かれていると、静かなひと時を大事にしたくなるのかもしれませんね。
院では常に禁欲的な信仰生活を送るよう教えられていますので、私としてはパーティーは憧れです。
>>レヴィン
「初めまして。私はアウローラといいます。
まずは私を此処へと導いて下さったこと、感謝致します。……貴方にはその自覚が無いかもしれませんが」
つらつらと話し出す。彼女が先ほどまで称えていた笑みは消え、今は温度も感じさせない無表情になっていた。冷たいという印象さえ残さないほどの、無。
「私にはこれまで皆さんが話してきたような不幸だとか、ロマンティックな身の上話はありません。ただーー」
「貴方の元で心を知ってみたく思います」
ふ、と息を吸う。
「物心ついた頃から私には人の心がわかりませんでした。そしてそれがおかしいということを理解していました。
それでもただ生きることは出来ました。他の人と同じように顔色を見て笑い泣くことが出来ました」
「心があることが人間である条件なのだと思います。私は常に人の真似をしていました。誰かに愛されたなら同じように愛し返す動作をしました。そこに苦痛を感じたことはありませんでした」
「けれど、気付けば此処に来ていました。貴方を見て、その小瓶を見て、私の心臓が弾けるように揺さ振られました。
これまでそんなことは無かったんです」
「そして私の心臓は今、貴方に何らかの感情を示そうとしています。理由は分かりませんし、頭では何も理解できていません。
私の中で起こるこの感覚が私自身のものなのか、従うべきなのか、私にも分からないのです」
「頭では必要無いと思っている『心』を、私の心臓が欲しがっているみたいで。
貴方と共にあればそれが叶うと、この臓が言うのです」
「ーー私はそれに従ってみることにしました」
「『私に人の心を下さい』。それが私の願いです…………恐らくは」
アウローラはゆっくりとレヴィンに歩み寄り、深く、深く頭を下げた。
>>170 ノエル
「ノエル、な。
いや、出遅れたっていうか俺は大した話ができねーからな。
胃袋掴みにいくことにした」
ノエルの特徴と名前を新たにメモに追加すると顔を上げてにっと笑った。
「手際がいいな。さんきゅ。
んじゃ戻るか
と、その前にノエル、口開けてみ。
美味いだろ?」
言うや否やその口にフォークを突っ込んだ。
メインのビーフシチューとは別で作っていたチェリーパイだ。
「こっちは人数分ねーから向こうではレヴィンにしか出さねーつもり。
手伝ってくれたお礼だから他の奴には言うなよ?
気に入ったなら冷蔵庫に入れとくから食っていいぞー」
それだけ言うとノエルに味見させた残りのピースを手で頬張りながらワゴンを押してレヴィンの元へ向かった。
>>177 ライ
「そうなんですか?
まあ、確かにあの話やあの話に比べたら……難しいですよね」
そう言いながら思い浮かべるのはアイザックやリオの話である。
他の者もそうだが、暗い過去があるといった意味では猛者揃いだ。
あはは…と苦笑いしていると、口を開けろと言われたので素直に開ける。
何か入れられて驚くが、甘酸っぱさと甘さに目を見開き、そのままもぐもぐと咀嚼し始める。
ライが言うにはチェリーパイらしい、率直に言ってすごく美味しく、思わず口元が緩む。
手伝ってくれたお礼と言いながらワゴンを押す彼の背を暫く見ていたが、すぐにはっとなり追い掛ける。
「……はっ!あの!チェリーパイ美味しかったです!ありがとうございます
ナイショですね、わかりました!
待ってください〜!」
慌てながら、前菜とスープが乗ったワゴンを押す。
後で冷蔵庫を覗こうと決意しながら。
/*
ヒトかどうかも分からないおじさん。
どうも上の空みたいだし、なんだか坊主頭の、付き人?のためだとか言っていたのも聞こえたけど。
––––本当に願いが叶うんだったら、何だっていい。
そして今度こそ、その人物の前に進み出た。
*/
>>レヴィン
僕の名前はベガ・スチュアート。歳は13で、トレブル……聖歌隊の、ボーイソプラノをやってる。
嫌でないなら後で歌ってあげる。
僕は街いちばんのトレブルだから、美しいものを愛する心があるならきっと退屈はさせないよ。
僕の願いは、死ぬまで成長しないこと。
初等部の頃から今までも、ずっと成長抑制剤を飲んでる。
それでももうすぐ声変わりが来てしまう。
そうしたら歌えなくなるんだ。
僕らが歌うのは、聖歌や賛美歌だけど、うちの街は腐っててね。
協会に通いつめるマダムたちのおひねりで僕は生活してる。
街いちばん、ってのはそういう意味もある。
けど、歌を歌い続けたいのは暮らしていくためじゃない。
もちろんチヤホヤされてたいからでもない。
僕が死ぬまでちゃんと、妹を生かしておくためだ。
僕にはライラって名前の双子の妹がいる。
今は心臓だけになって、僕の中にいるんだ。
生まれたときから僕は病気をしがちだった。
だから女の子みたいな名前が付けられたんだ。死神が連れて行けないようにってね。
ライラは僕と違って健康で、走り回ることも大好きだった。
毎日僕のベッドまでやってきて、歌を歌っていろんな話を聞かせてくれてた。
歌で教会へやってくる人を幸せにするんだって、僕の病気も治るくらいすごい歌うたいになるんだって。
僕と同じ顔で、僕よりきらきらの笑顔で笑ってた。
僕は初等部に上がるまでには死んでるはずだった。だけど生きてるのは、ライラの心臓を埋め込まれたからだ。
父親も母親も、周りの大人はみんな、僕のためにライラがそう望んだんだって言ってたけど。
それが嘘なのを僕は知ってる。
さて、ある程度話も聞けたかな。
まだ話す人はいるかい?12時になったら結論を出そうか。
…他に、楽しげな思惑も聞こえてくるからね。
さあ、もっと私を楽しませてくれよ。親愛なる『友人』達。
手術が終わってから、僕は歌うことが大好きになったし上手くもなった。考えられないくらいに。
ピアニストの心臓を移植された人がピアノを弾きたくなるって話があるように、
僕の中でライラが生きているからだ。僕には分かるんだ。
……両親やうちの屋敷に住んでいた大人たちは、「たまたま」起きた火事でみんな燃えて死んだよ。
それからは今の街に越して協会で暮らしてる。
僕はたった一人の家族と一緒に生きるために、僕は願いを叶えなくちゃいけないんだ。
おじさん、そんなに「家族」が大好きなら。
僕の気持ち分かるだろ。
だから、それは僕にください。
う〜ん……身の上話なんかしても、面白いのかな。
何もしないわけにもいかないんだけどさ。
次空いたら、ちゃんと説明して、小瓶貰えるようお願いしようかな……
ある日あの子はゴミの山に埋もれたまま動かなくなった。
私は……あの子の肉を食べた。
まだ温かさの残るあの子はとても甘かったにゃー。
「アタシは、望んでこの姿になった訳じゃにゃいけど、ヒューズの願い叶うといいにゃね。同じ毛並みを持つ者として応援するにゃ。」
>>レヴィン
あ〜、えっと、こんばんは。僕はミトです。
よろしくお願いします。
あの、僕も、願いの叶う小瓶が欲しくてここまできました!
みんなみたいなすごい過去とかないんですけど……
僕、好きな人がいたんです。
いたっていうのは、その……フラれちゃったんですけど。
あはは、仲良くしてたわけでもないのに、気持ちだけ先走っちゃったからしょうがないんです。
でも……彼女は、僕の生きがいだったんです。
得意なこともなくて、別に嫌われもせず好かれもせず、いてもいなくても、誰も気に留めない。
そんな僕に、彼女は輝きを与えてくれたんです。
いつも真っ直ぐに僕を見て接してくれた。
いてもいなくても同じじゃないって思えた。
彼女がいるなら頑張ろうと思えた。
僕の人生は、彼女によって潤いに満ち、虹色に光を放ち始めたんです。
彼女と一緒なら、僕はこれから一人の人間としてやっていけると、そう信じることができたんです。
でも彼女は僕とは付き合えないと言った。
彼女が僕の隣にいてくれないなら、僕には生きている意味なんてない。
僕が欲しいものは……【彼女の心】です。
それは僕にとっては人生そのものだ。
彼女がもう一度僕を見て、そして僕のことを愛してくれるように……小瓶に願うんです。
お願いします。
小瓶を、僕に譲ってください。
[リオはレヴィンに近付く]
どうか、どうかご主人。
僕の願いを叶えてくれませんか。
命を懸けてもいい。僕は王にならなきゃならないんだ。
……身の上話。
それをこうして主人と交わすことに何か意味があるのか。他人といえど、不幸な話を聞けば同情はする。聞き耳を立てていたことに後悔を覚えた。けれどもこの男はどうだろうか。いや。…………それでもここに来たのは、叶えたい願いがあったからだ。そしてそれを、自分一人の力では叶えられないからだ。
>>レヴィン
「……俺の話にも、付き合ってくれるよな?」
「願いから先に言おう。俺の願いは一つ。『過去に戻りたい』。なかなかオーソドックスで、平凡な願いだろ?」
──小瓶をこの話で決めようとしてると信じている訳では無い。
「生憎と興味を引くような話でもないが、嘘をつくのは性分じゃない。
一人の女に関して事件が起きて、一人の男が死んだ。俺はただ、俺を殺してでもその事実を変えたいだけ。
彼女も、彼も、俺にとっては大事な──アンタでいう、家族みたいなものだから」
ネコとネコが、話してる…
[会話の内容はよく分からなかったかもしれない。ただふわふわな毛並みが気になって、通りすがりに2匹の背を撫ぜた]
>>ミト
「やあ、はじめまして。君の話が聞こえてしまったんだけど。
『彼女』って、どういうひとなの?」
不躾と知りながら、笑顔を作って話しかける。
もしかしたら隠しきれない威圧感があるかもしれない。
>>199 ミト
へえ、と思う。
これでペラペラと『彼女』について自慢げに話すような輩だったら、心から軽蔑していたけれど、彼はその類ではなかったらしい。それにしても……ギルバートから見れば、『彼女』がどこの誰で、どういう顔で、はっきりとした思い出があること。それだけで充分羨むべきことだった。
「そう。確かに、たいせつなひとを形容するのは、とても難しいよね。
君の場合、『彼女』と接点もあったようだし……あと一息って感じに思えるから、こちらからしたら、不思議な力に頼らなくても、もう少し頑張ったら結ばれるんじゃないかなあと思ってしまうけど」
似てる…けど、あたしはあたしのオリジナルな家族がほしい、かな。
[紅茶のポットと、ほどよく暖めた2人ぶんのカップを用意して元の椅子に座る。
エリーカは戻ってくるだろうか?
どちらにしても、1人分の紅茶だけを注いだだろう]
人々が話し合うのを聴きながら、アウローラは紅茶を淹れる時に使ったポットやカップを片付ける。自分の分他人の分はあまり気にせず、空いているものがあれば大方片付けたことだろう。
もうタネ明かしは済んだ。誰とも話さないのであれば表情を取り繕う必要も無い。別に取り繕うことが苦とは感じないが。
流しに食器を置き、洗っていく。
「……ああ、そういえば。もうそろそろ結果発表の時間かしら」
ぽつりと呟いた。
…君達の話は聞かせてもらったよ。ああ、取引に応じない人もいるみたいだけどね。
だが、私を満足させる者はいなかったかな。
とはいえ、ここまでさせておいて《願いの小瓶》を渡さないのも不公平だろう。
…まあ、君達が満足する品では無いとは思うがね。
小瓶が王子と名乗っていた者に渡され、思わず舌打ちする。
しかし、どうも様子がおかしい。
>>リオ
「……空?」
小瓶そのものにチカラがあるとか、そういうことではないのだろうか?
洗い物を終えて戻ってくる。ざわついた皆の様子に結果が出たのだと悟った。
「……?」
皆、困惑した表情を浮かべていた。小瓶を手に持つリオですら。
料理を運んでいる時、ライさんはちょっと用が、と立ち止まってしまったので私は先に皆がいる場所へと戻った。
「失礼します
ライさんが作ってくださった料理、お持ちしましたよー……って、それ!小瓶!!」
そういえば、0時に渡すと約束していたっけ、と自分の腕時計を見ると0時になっていた。
「…………えっ、空?
どういう事?魔法の小瓶は嘘、だったんですか……?」
瓶をひっくり返すリオの手を見て、台車から無気力にふらふらと離れ、足がもつれそうになりながらもやり場のない足を動かしている。
「…………ま、噂なんてそんなもん……ってことか?」
──身の上話で願いが叶うなら、この世は不幸な人間で溢れかえっているだろう。
嘆息して、それからかすかに笑った。
>>ノエル
「……少し、横になりましょうか」
大体の状況は把握した。他の人たちが怒るのも、ノエルがこんな風になるのも理解出来た。
一番近くにあったソファにノエルを案内する。
「お水、飲めますか? もし良ければ取ってきます」
>>228ノエル
「平気……そうですね、なんだか、ピンと来なくて。
レヴィンさんの話を聞いても『そうなんだ』とは思うんですが。あ、でも貴女たちがショックなのは分かりますよ」
ふんわりと、困ったように笑ってみせた。
私は嘘はついていないさ。真実を言っている訳でもないがね。
その小瓶は《空の願いの小瓶》。中身さえ満たせば、しっかりと君達の願いは叶えてもらえるだろうね。
「……」
心臓が、暴れている。
脳味噌では感じられない何かを、この臓は訴えている。
初めてのことで何も分からない。これは、私は、怒っているのだろうか。それとも悲しんでいるのだろうか。
理解が、出来ない。
「……お水、お水」
答えを出すことが困難だと判断し、一旦考えることをやめた。
コップに水を汲み、ノエルの所へと戻る。
もう少し、私を楽しませてくれないか。
…その、小瓶が満ちるまでね。
ああ、逃げようたって無駄さ。君達は、この敷地内からは出れるはずがないのだから。私が、許可しない限りはね。
「……ふう」
そうは言っても、落胆を感じているのは間違いなかった。信憑性があると思っていたわけではないが、ここまで人が多ければそりゃあ、期待だってする。
いつだったか、館の主人は言っていたのを聞いた。
『どれだけ相手の弱みを握り、優位に立てるか』それが友人というものだと。
そして俺たちは、彼いわく、友人である。そういうことだ。
辺りは落胆している人で溢れていたから、相当に期待をかけて挑んでいたのかもしれない。けれど、俺は、まだ願い自体を諦める気は毛頭なかった。この方法が、ダメだったというだけのこと。
……だから、もうこの館には興味が無い。立ち去ろうと思って、しかし、俺は足を止めた。
>>233 レヴィン
「…………満たせるのか?」
面白い話、楽しませる話
それはどれも同情を誘うようなもので、退屈だった。
はて、そういう趣旨の取引だっただろうか?
だったら自分が話せるような内容は何1つない。身の上話をしたところで、たいして面白くないのだ。
自分がそうだったように、他人の願いも生い立ちも興味を持たれないだろう。
そろそろ、口を開こうかと思ったものの遅すぎたようで
タイムリミットは過ぎていた。残念。渾身の面白い話を聞かせるチャンスはなくなった。
今、あのパワーの源を持つ男は大ブーイングを食らっているところだ。あっはは、いい気味。
でも次の言葉は聞き逃さなかった、逃げられない。出られない。パワーだけ貰って退散する予定が崩れ去る。
>>242ノエル
さっきまで此処に居なかった、という言葉にきょとんとする。その意味はすぐに理解され、表情も柔和なものに変わった。
「あら、そうだったんですね。それは失礼しました。皆さん聞いていることを前提に話してしまって」
「それが無いんです。何を見ても誰が死んでも。理解し模倣することは可能ですが……」
ううん、と小さく唸る。
「笑顔、褒めてくれてありがとうございます。けれど恐らく私は人としては欠陥品なんです」
こう言うと慰めか何かの言葉が返ってくることは想像がつき、また口を開く。
「あ、別段困ってはいませんよ!」
「聞くところ、まだチャンスはあるそうですね。レヴィンさんを楽しませることが出来れば……彼は何がお気に召すでしょう?」
よく知った人間ならまだしも、つい先ほど出会ったばかりの人間を楽しませるというのは難しい。
>>247も、要するにヒントは何も無く自分で考えろということで。
これは他の人たちと協力した方が合理的だろうと思った。
[何考えているんだ、あいつら。いくら小瓶を満たしたって僕はこの小瓶を渡すつもりは無い。
ああ、満たせば譲って貰えるとでも思っているのか。…そんなことするわけないだろう。]
……僕も、楽しませる方法を考えてみるか。
─疲れた。退屈。人様の願いや過去には興味がわかないわね─
そう思いながらも黙って話を聞いていたが、集中力を切らしてウトウトしているうちに例の小瓶が誰かに手渡されたらしい。目を擦り、よくよくその手元をみる。
「あらあら、空っぽ?それとも何か仕掛けがあるのかしら?」
それは正真正銘願いの小瓶だとこの屋敷の主は言う。どうやら満足のいく話は聞けなかったらしい。
─確かに、どれも楽しいとは程遠い内容でしたわね─
クスクスと口元に手を当てながら笑う。
>>247 レヴィン
「ふうん、なるほどなあ。ま、その方が考えやすいよな! 得意分野ってえのは人それぞれちがうわけだし。
……小瓶が満ちるまで付き合ってもらうってことは、実質期限はなし、っていうか、少なくとも今日はここに泊めてくれるってことだよな。誰かしらが小瓶を満たすまで、俺たちはここに缶詰ってこった」
>>249 ギルバート
見ていた相手に微笑まれて、俺も相好を崩した。相対する男は随分と女好きするような、綺麗な笑みをしていた。
「おう! 俺はシュウジ。初めてだが、アンタの話は聞いてたぜ。
おお、アンタ良い奴だな! 平等に競えるもんか……。女子供に果ては動物までいるんだから、なかなか難しいが──でも考えたら見つかるかね。あ、トランプ・ゲームとか。……ううん、勝敗もつくし暇つぶしにはなるが、主人を楽しませるってのとは、少し違うか」
>>248 アウローラ
「いえ、料理を運んでて席を外してた私が悪いので……でも、もう状況は把握しました
そう、なんですね……もしかしたら生まれつきの病気かもしれませんし、色んな病院に行くのもよいかと、もう言ってたら流してください
……貴方が、気にしていないのであればよかった」
慰めは相応しくない気がしたので避けたが、なんと言えばいいか分からなくて、つい曖昧な話し方になってしまう。
感情がない、なんて専門外だ。
「そうですね、そう思ったら何だか、元気が出てきました
ありがとう、アウローラさん?あってます、よね?
私はノエル、よろしくお願いします」
ボイスレコーダーを聞いた時に他の人から呼ばれていた彼女の名を確認し、アウローラに微笑み、自己紹介をした。
>>アウローラ
「うーん、こんな立派な屋敷に住んでるなら、大抵の物は持ってるでしょうし、彼が唸るような事って中々ないのでは……同じように立派な家系、例えば貴族とかの出なら分かるのかもしれません」
腕を組み、うーん?と悩みながら彼女の問いに答えてみせた。
ここは、誰かと話し合うのも一手だと、そう思ったからだ。
僕に出来そうなこと…。
[王になるために様々な知識と技能を蓄えてきた。出来ることならたくさんある。しかし、満足させられるかというと。]
>>258レヴィン
「え?じゃあしません。提案しといてアレですけど、丁重にお断りしますね」
幽霊が幽霊に対し“今の君達相手に満たすつもりはない”と断言している言葉を聞いた。では、きっと自分がこの男のために占いやら何やらしても、あの瓶は貰えない。
「じゃ、これにてドロン、屋敷のどこかに居ると思うので〜何かあれば探してねッ」
語尾に星マークが付いていそうな程明るい口調。
背を向けて皆のいる場所から離れる。行き先はもちろん、荷物を置いたままにしてある医務室だ。
“今の君たち”というくらいなのだ、タイミングが違えば、パワーが溜まる機会があるという事なのだろう。
ではそれを待てばいい。その時は必ず訪れるのだから。
これも不明瞭かつ明確な、シックスセンス的な何かを理由にした行動理念。
何時間でも待てばいいだけだ、暇になったら屋敷の探査をして時間を潰せばいいのだ。
>>255ノエル
「病気、ですか」
ふむ、と考え込む。確か精神障害などは定義として『本人や周囲の人間がその事象によって日常生活に支障をきたしているか』というものがあったように思う。
従ってそういった類のものではないのではないか、と結論づけた。
「その可能性は考えたこと無かったです、ありがとうございます。帰ったら調べてみますね」
こう言えば良いのだろう。
「はい、アウローラで合ってますよ。よろしくお願いします、ノエルさん!
貴族の出……確かアイザックさんの曽祖父様がそのようでしたが」
>>レヴィン
ワゴンを押して広間へ戻ると既に願いの小瓶は渡されていた。
「あー出遅れたどころか間に合わなかったな…まああんま問題なさそうだけど」
レヴィンはすぐにわかった。
この中で明らかに1番年上で貴族然とした雰囲気を纏う男。
レヴィンや他の人間の反応や言葉から願いの小瓶の中身が空だったことを察しククッと笑い真っ直ぐレヴィンの元に向かった。
「なるほど?レヴィンが1番頓知がきいてたんじゃねーか?
ま、楽しませる云々はともかくせっかくだから食ってくれ。
貴族が食べるような豪華な食事は知らねーから俺の1番好きで得意な料理にしたぞ。
料理人ってわけじゃねーからあんま期待はしないでくれよ?」
この様子じゃ自分の"記憶を取り戻したい"って話もお眼鏡には叶わなかっただろう。
あまり引きずることはなく彼の前にビーフシチューとバケット、デザートのチェリーパイを給仕した。
>>All
「あービーフシチュー作ってみたんだけど食いたい奴は好きに食っていいぞ。
バケットはスタンダードなのとガーリック風味の2種類だ」
さてさて、どうしよう。
いつになればその時はやって来るのか。それがわかれば動きやすいのだが、こればかりはどうしようもない。
時間の指定まで占えるほど、精度は高くないのだ
「うん、ここにとどまる必要があるのか否か」
もともと隠れるために入ってきた場所だ。ここにとどまる理由など無い。そしてこれほど造りの良い屋敷なのだ。客間の方がもっと豪勢ではなかろうか?
思い立つや否や、広げっぱなしであったタロットカード類を元のようにカバンに戻して客間を探すことにした。
>>263 アウローラ
何だか、無理をさせてしまっている気がして、穏やかに微笑みながら頷き、その話に言葉で触れる事はしなかった。
「合っていてよかった、改めてよろしくお願いします、アウローラさん
ああ……レヴィンさんの親友の血筋の方、ですもんね、今はお姿が見えませんが
その、彼は何だか、親友の人を嫌っていたようですが……聞いてしまって、大丈夫なんでしょうか……なんて、言ってられませんよね
レヴィンさん、小瓶を満たさないと、ここから出さないって言ってますし」
アイザックさんを探して辺りを見渡していると、側でライさんが料理を並べていて、その間にレヴィンさんお目が合った気がして、思わず目を逸らす。
彼とは、何故だか目を合わせてはいけないと本能でそう思ったからだ。
>>266ライ
「お、いいねぇシチュー。じゃあ、ガーリックトーストを2切れを頂戴するよっあんがと、じゃねっ」
いい匂いにつられて、またこの場所に戻ってきてしまった。とりあえず簡単に食べられるものを貰っていく事にしよう。
>>269レヴィン
「え、好きな場所だったらどこでも?だったら、んー、『貴方が一番愛した家族』のお部屋を教えてもらえます?」
屋敷の主人の部屋を使う勇気はなかった。一番ベッドがふかふかして寝心地が良さそうだが、いわくつきならたまったものでは無い。なので、その主人が愛していたであろう人の部屋ならば、特別な待遇があったはずだ。
そこで夜を過ごそうと考えた。
>>270ノエル
「ああ、そうですね。アイザックさんの気分を害するかもしれないんですね。ですが……」
レヴィン>>269をちらりと見る。
「彼はよく『家族』という単語を口にします。それでいてとても大切にしているのではないかと思います。
彼はアイザックさんの曽祖父様のことも『家族』と呼んでいました。もしかすると、アイザックさんに聞くことで何か掴めるものがあるかもしれません」
「……………あー!私、ビーフシチュー好きです!ありがたくいただきますね!」
アウローラさんの前でお腹が鳴ってしまった、恥ずかしい。
思わず大声で誤魔化したが、内容が内容で誤魔化しきれてないし、他の人にもお腹の音が聞かれたかもしれない。
ぎこちない動きでビーフシチューをお皿によそい、バケットを両方一枚ずつとり、アウローラさんの元へと戻った。
ビーフシチューは一口スプーンですくい、口に入れると程よい塩味と隠し味に赤ワインを使っているのだろうか?フルーティな酸味が広がる。
バケットもサクサクとした食感がよく、パリッとしているバケットをビーフシチューにつけると程よく柔らかくなり、食べやすい。
温かいビーフシチューは胃にしみ渡る味で、幸せを感じながら食べ進めた。
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