黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　あぁ…団体の勝ち抜き戦の、先鋒に選ばれた。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[次にある試合…いや、大会は団体勝ち抜きのための大会という珍しいものであり。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[各学校の威信をかけて戦うのである。選ばれたことに緊張もあれど、頑張らねばならぬな、と考えていた。]

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　えーと、一生添い遂げるじゃ短い、と？

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　大した事ではない、が。先輩の分まで頑張らねばならぬな。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[実力も、無いわけではないと考えているが。それでも勢いがあるから選ばれた面はあるだろう。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[だからそれを、遺憾無く発揮せねばならないのだと、考えていた。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　3週後に、市の体育館まで行って行なう。初戦敗退、とかはないようにせねばな。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[そう言って、一瞬好戦的な笑みを浮かべたであろう。負けるわけには、いかないから。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　では、それまでに出来ることはやりきっておかねば。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[そう、伝えたのだが。暫しの無言の時間に、内心で首を傾げて。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…そうか、三人でか。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[声色に感じた違和感に、スッと彼女の表情を伺うけれど。俯いていて、よく分からず。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　どうした…？

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[一つ、思うところは無いわけではないが。先ずは一度、尋ねてみようと。]

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　…――求婚を上回って返ってくるとは思いませんでした

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…取り敢えず、回るか？それとも。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[此処で暫し話をするか、と。このまま歩いたとしても、きっと彼女は楽しめないだろうから。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[困ったような顔をして、彼女の頭を一つ、撫でる。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…すまないな、我慢させてしまったか。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[何処かは、ずれているかもしれない。ただ大筋の方向性は、解っているつもりだったから。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　どうするのが最善なのか、最善だったのか。僕には分からない。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…このまま良心の呵責に耐え続けていれば良いのかもしれないと、思うこともあった。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…でも、君らにもきっと、それは失礼だよな。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[猫のように目を閉じる彼女に、囁くように。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[彼女が自分の表情を見るのであれば、苦しげであることは判るだろう。声色だけでも判るのかもしれない。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…なんだい？

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　それはよかった

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　えーと……求婚にしては締まりが今ひとつなので……[顔を向けさせる]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…今日、こうして2人で公園に来ることが出来て。僕も、嬉しかった。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　このようにして、国鉄にも乗って。同い年の女性と共に歩むような日が来るとは、僕自身思っていなかった。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　君に、教養を身につけることの必要性を教えられて。和歌を詠みあって。

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　小指を絡める以外の約束として―――唇を合わせます[許可は求めなかった]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　色んなことを、君という存在が教えてくれた。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　だから、今度の試合は。来てくれるのであれば嬉しいとは、思っている。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[そこまで言って、一度言葉を切って彼女を見て。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…でも、すまない。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…君に、君に合うだけの気持ちを返すことは、出来ないらしい。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[そう言って、視線を伏せる。嗚呼、どうして自分の方が。泣きそうになっているのだろうか。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[息を深く、吐く。そんな顔するな、と。言われたのだから。顔を上げて、彼女を見つめて。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[紡がれる言葉を、真摯に、受け止めようと。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…ありがとう。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[行こうか、と。手を取られたのをそのままに、立ち上がった。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…分かった。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[その願いは、叶えたいと思ったから。今は、先ず一つ目の願いを叶えねばな、と深呼吸をして。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　では、行こうか。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[改めて、そう声を掛けるのだ*]

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　[背中をつけたときって約束も忘れてて]　――ん　[重ねたとき、それだけに夢中で]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[夕方まで、一つ一つ。積もる話をしながら公園を巡って。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[帰りの電車で、寄り添われれば。そうなってはいけない筈であるのに、心拍数が上がる自分を自覚した。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[駅の改札を出ると、彼女は立ち止まって。伝えられた言葉に一瞬動きを止める。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　…では、僕からも一つお願いをしよう。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[そう言って、一歩、二歩と近づいたけれど。避けないではくれただろうか。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[それならば一瞬、抱きしめるような格好になったかもしれない。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[彼女は視認することは出来ないだろうが。一本簪を、彼女の髪に。二本軸になるような形で挿して。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　では、またな。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[これは、ただの自己満足だと。判っていたのだが。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[それだけを行えば、今度こそ振り向かずに家路につく。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[一本軸の簪には、風鈴草があしらわれている筈だ。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　……ありがとう、園子さん*

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　大丈夫だ、寒くはない。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　[ほぼ零の距離から、覗くその染まった緋色に。自らも頬に熱が軽く集まるのを感じて。]

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　[それだけを伝えて、ゆっくりと。着かなければ良いのになどと、片隅で思う部分があるのを自覚した。]

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　[待っていて、というから。家の門の前で待たせて貰うも。手巾を持って現れた彼女に少し驚いた。]

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　[家の人に見られたらどうするのだろうという思いと、気遣いを有り難く感じる想いが相反して。]

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　[結局、拭いて貰うことにはなっただろう。]

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　[我に返るまで、抱きとめて髪を梳いて]　一生かけても、真矢さんという女は試しきれないかもしれないかな

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　…――かないませんなぁ、これはかないそうにないです

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　…――じゃあ、うちが今なにを考えているか、当ててみてください。　賞品は――接吻で。

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　……はい、合ってます。[微笑んで口付けて]

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　おめでとうございます、正解の賞品です。[内容は別なのでもう１度。というより最初から２回したかった]

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　あ。急ぎましょう、さすがに口吸ってて遅れましたとか通用しないでしょうし。[繋いだまま学園へ*]

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　……あぁ、気をつけよう。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　[肩が冷えた位では、風邪を引かぬだろうが。その気遣いを、無駄ではなく有難いと感じる。]

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　…では、またな。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　[そう声を掛けて、彼女の家から帰路に着く。振り向くことは、しなかったが。]

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　……あぁ。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　[充分に離れた、その場所で。雨の中空を見上げて一つ、声を洩らした*]

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　『前略

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　無事、風邪などは引かずに済んだ、此方こそ先日は有難う。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　此方も試験はあったが、部活はそれとは関係がないから。両立の難しさは感じた。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　悪くはない点数と思えたのは歴史の点が上がったのもある。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　藤乃さんのお陰だ、ありがとう。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　夏祭りの次の次の週末に、試合があって。団体戦の勝ち抜きの、先鋒になる。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　君も、来てくれたら嬉しい。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　合宿はあるから、脱水には気をつけようと思う。君も体調に気を付けて。 敬具

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　追伸 あぁ、君と行きたいと思う。楽しみにしている。』

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　『前略

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　藤乃さんが教えてくれた勉強の仕方は、僕に合っているらしい。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　少しずつ、ではあるけれども。面白くもなって来た。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　ありがとう。自分自身悔いが残らないような試合を見せられればと思っている。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　後は、また一緒に図書館にも行きたいものだ。 敬具』

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　…待たせたか。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　[まず、そう言って一息ついたが。彼女の姿を瞳に収めると息を飲む。]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　君も、よく似合っている。いや…綺麗だなと思ってな。

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子/*そして此処で誤爆しましたごめんなさい(寝ぼけ)

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　君も、よく似合っている。いや…綺麗だなと思ってな。

黒帯 西野圭一は、本の虫 藤乃紫織　[今日も柔道部だった、と言いながら。此方も少し、頬に朱が挿した]

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　さて夏休みですねぇ、どこか行きましょうか――夜に

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　いいですねぇ、是非ご一緒しましょう

誑し屋 井村あずきは、新入生 矢神　そういう穴場ご存知なんですね、どんなことする場所でした？[意地悪]

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　わかれぢを　へだつる雲の　ためにこそ　扇のかぜを　やらまほしけれ

黒帯 西野圭一は、女学生 原田園子　[返して来た文には、それだけが書かれていた__________*]