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スティーブ。
変な物を持って無いか確認してくれ。
俺は中を調べて来る。
[スティーブに指示する。
壁に身を隠すようにし、扉奥を覗き込めば、中は部屋というよりは倉庫のようなものか。
そう広くは無く、男はマグライトで照らす。
幾つかの紙束と電子鍵の掛かったロッカーが見えたか*]
ー VS カブトムシ ー
[朱い空間の『境』のなかで、ユウヅキは滅茶苦茶な『昆虫採集』を続けている。 ユウヅキ自身を「タルタロスの方から来たもの」と知っているカブトムシ達はユウヅキを狙う。
朱い目はそれを振り払う、防ぐ、突き刺さってもその場で潰す]
[……そんな生きるか死ぬかの究極昆虫採集をしていると、ある瞬間を境に、ピタ!!!っとカブトムシたちの動きが止まり攻撃が停止する]
………あ?なんだ?
[目の前を飛ぶ1匹に手を伸ばしてみる。動かない。
そのまま掴んだ……動く様子はない]
エイミーか?やったのか?
[しばらくユウヅキはカブトムシ達の様子を観察している]
[もしそのまま動き出す様子がないようなら…彼はそのまま腕から流れる血を自身の能力で凝固させ止血するだろう]
[1匹虫かごに入れて連れて帰れないかな、とか思ったけどやっぱ止めたのは内緒だ*]
[ヴェスが銃を弾き、それは床を滑る。
トリガーが同じなあたり、複数人に同時に暗示にかけたのか。
先程は武器を奪えばすぐに意識を飛ばしたが、銃を飛ばされたとき、人によって暗示の影響に個人差があるのか、それとも、暗示を強めにかけていたのか、まだ動く素振りをみせた。]
もう、動かねぇよ。大丈夫だ。
ところで、こいつの銃、使うかー?
[そう言えば、掴まれたままの腕を外しながら、
ヴェスへと問いかける。使わないのであれば、
拾いその場で分解してしまうだろう。]
はいよ。
げ、指の跡すっげ…
[腕にくっきり残った指の跡を見れば、ぶらぶらと手を振り、すぐに、ヴェスの指示に従う。そして、すぐに電子鍵も兼ねた社員証が見つかるか。]
ヴェス、これ。
[そう言って、扉奥へと向かったヴェスへと声をかけ、
それを投げ渡す。男の視界にもロッカーが見えれば]
……んー…出来過ぎじゃねぇ?
[タイミングよく現れた助けを求める男と、
それが持っていた電子鍵。そのロッカーのものかは分からないが。]
……部屋まるごと、トんで来た。
なんてこと、ねぇよな。
[ヴェスにそんなことを聞いてみた。*]
普通は、やられねーぞ、そんなもん。
こいつの異能、確認してなかったな……
こいつがトんで来たなら、何らかの危険が迫り逃げて来た可能性はある、が──
もしトラップなら、そこのロッカーごとドカンってとこか?
[スティーブの意見は何だったか?
社員証や服装が『エリュシオン』のものなら、今から向かう目的地からトんで来たことにはなるし、別の所ならフロント企業なりという可能性も出てくるが*]
── 電脳世界 ──
[ヤドカリや機械人形と同じように、カブトムシ型偽バグ・シングの"中"はなめらかな正体不明の金属と、鉄クズとでできていた。不吉に青く輝く照明の中、娘は奥へ進む。
ほどなく、道を塞ぐ青い壁が現れた。娘が軽く手で払うと壁は消滅する。]
んん、序の口。
[機械に"侵入"した娘の見る世界は、電気信号と化した娘のエネルギーが読み取った情報を、娘の脳が具現化したものだ。カブトムシに施されたセキュリティ・システムが壁となって現れている。
何枚かの壁を突破すると、金属壁の一部がぱかりと口を開け、中から掃除機のお化けのような機械が現れた。機械は鎌首のような吸い口をもたげ、ギュイイイと吸引音をたてながら娘にせまってくる。]
えい。
[突き出した手のひらから赤い光線状のエネルギーを放つと、難なく機械は崩れさった。]
一匹、二匹……もひとつ、ていっ!
[進めば進むほど、機械の数も強さも増していく。娘はそれを次々と払う。]
[侵入して少しした頃。ビー、ビー、と耳障りなブザーの後合成音でアナウンスが流れた。]
『指令変更 子機C隊
目標変更 中層D-327地点 捕虜ヲ殺害セヨ』
[天井をぐるりと見回すが、音の出どころはわからない。一度首を振り、足を速めた。]
[娘は奥へ、奥へと進む。
何枚もの壁に機械達を片付けながらたどり着いた分厚い壁の向こうに、巨大なカブトムシがいるのを発見した。あれが、コアのAIだ。
虫は角を振りかざし威嚇しているが、娘は構わず分厚い壁を破り、ゆっくりと虫に近寄っていく。]
やっと会えたわね。
いい子だから、大人しく――
って、いやぁぁ?!
[虫は角を突き出し娘めがけて突進する。それを横に飛んでよけ、転がりながら赤い光線を射出する。
が、虫の鎧はそれを跳ね返す。金属壁に光線が吸い込まれていった。]
さっすがコア。
[虫は角を振りつつのしのしと間合いを詰めてきた。娘は距離を保ちつつゆっくりと下がる。下がりながら掌に力を向けると赤い光がどんどん集まっていき、大きな光の球となった。]
それじゃ、これなら、どうかしら?!
[先の何倍も太い光線を射出した。反動で軽く後ろに仰け反る。
だが、それも虫は跳ね返し、光線は再び金属壁に吸い込まれた。]
ちょ、硬すぎない?!
[下がる、下がる。後ろは壁だ。]
あ、 ちょ、
[目の前には虫の角。振りかぶられたそれは娘の体を吹き飛ばした。]
いっ、―――っつぅ……!
[地面に身体が打ち付けられる。上半身を起こすと目の前に角が迫っていた。とっさに角をつかみ、ぶら下がる形で身体を角の下に滑らせる。]
ハァイ。
[目の前に、虫の顔。ぱ、と角から手を離し、虫の顔めがけて衝撃波を放った。虫の体が少し浮く。畳みかける様に追撃を放ち、後ろ脚だけでたつ虫を蹴り飛ばした。]
[ひっくり返ってもぞもぞ脚を動かす虫に駆け寄り、腹部に掌を当てる。どんどん赤い光が膨らんでいく。]
頼むから、これで、死んで!
[溜めに溜めた光を放つ
虫の腹部ははじけ飛んだ。しばしの間びくりびくりと脚が動いていたが、やがて縮こまり、止まった。]*
―― 下層 B-407 空き家 ――
はぁ、はぁ、はぁ……!
[接続を切り、肩で息をする。
元ユウヅキの端末を取り出し、通信を始める。]
本体っぽいの、止めたわ。
そっちは――止まった?
[彼がでれば、そんな風に話しかける。]*
[弾は抜いておいてくれ、と言われれば、
その通りにし、あとはバラっとヴェスから習った方法で、一瞬で分解する。
お前の腕だと目立つと言われた腕は、しばらくは消えないだろうなぁと独りごちる。]
普通じゃねぇからなぁ。今は。
[男はそう言い、息を吐く。]
社員証みたか?
まぁ、俺はよく分かんねぇけど、
製薬会社らしいぞ。
まさか、お前が使ってるとこのじゃねぇだろうな?
[そう言いつつ、辺りを探し、先程のマグライトを拾い上げる。]
ま、トラップかどうかは、確認してみようぜ。
開けなきゃいいんだろ。
ヴェス、一応離れとけ。
[そう言って、左手でそのガラスをマグライトのガラス部分へと触れ、ロッカーを目線の高さで捉える。]
ほいっと、いっちょあがり。
[マグライトのガラス部分とロッカーの一部が入れ替わり、
ロッカーは覗き穴のようになっている。
罅が入っているので見づらいかもしれないが。
光ごと入れ替わってしまったが、まぁ、それならそれで、ロッカーの中も照らされるだろう。
ちなみに、目線の高さは男の目線であるので、
ヴェスには少し低いかもしれない。*]
―― 下層 B-407 空き家 ――
本当に!よかったぁ……!
[バトラーズハイとでも言うのだろうか。
ノリノリのユウヅキの声に、にへらと笑った。]
B-607ね。
わかった。私はB-407にいるわ。
合流した方がいいかしら?
ヴェスに連携取れって怒られちゃった。
私はこれから乗っ取りができないか試してみるわ。
それからチップの解析ね。
[やることが山の様にある。]*
[覗き穴が作られれば、小さく口笛を吹く]
ほんっと、器用だわ。
でも助かる。
ありがとな、スティーブ。
[うんうんと頷き、注意深くやや屈み覗き込む。
中には爆弾は仕掛けられていないようだ。
それを確認すると、社員証の電子鍵でロッカーを開いた]
[中にあったのは、製薬会社研究員の日誌や資料。
それに、アタッシュケース。
スティーブに頼んで開けて貰うと、中には金属製の輝きをしたアンプルらしきものが1ダースと銃が入っていた*]
ーー カブトムシ襲来地点 ーー
ああ、こいつらが動かなくなったと気づかれるのも時間の問題だろう。そしたらそちらに追っ手が来るかもしれんからな
1度合流しよう、だがエヴァンスさんがどこにいるか分からないから…急いだ方が良さそうだ
[ユウヅキは『境』を解除しながら、周囲を見やる。地面に落ちた無数のカブトムシとカブトムシの死骸。随分大人しくなったものだ]
そういや、一部のカブトムシがどこかに逃げようとしていたような気がするんだが何かそっちで指令とかでてなかったか?
[ユウヅキは電話を繋いだまま、カブトムシのいちぶを踏みつけて遊んでいる。ロボット昆虫に人権などないので法律的に無問題である]
まぁそこでまってろ!すぐに助けに行ってやる!*
―― 下層 B-407 空き家 ――
そうよね。
原因辿られたら私の能力もバレてもおかしくないわ。
そうそう、変更出てたわ!
中層D-327で、捕虜を殺せって。
これって、もしかして。
[スピーカーの向こうから、カチャカチャと金属がぶつかる音がする。]
ユウヅキ?
カブトムシ、無事に置いといてね。
乗っ取れたらそれ使うんだからね?
それじゃ、動かずに待ってる。
空き家にいるわ。
[と話して通信を切った。]*
ーーカブトムシ 襲来地点ーー
……!
[捕虜を殺せ>>86、今奴らは自分達に視線が集中しているはずだ。敵対組織の相手の捕虜なんか気にしている場合ではない…つまり、そこにいるのは、エヴァンス氏の可能性が高いということだ]
ノエル、恐らくエヴァンスさんは中層D-327に囚われている
……捕虜の殺害を目的にカブトムシの1部が操作されていたらしい
[そばにいるであろう、ノエルにエヴァンス氏の情報を与える。そして告げる]
直接送ってやる、だから……すぐに助けに行ってくれ
……僕が行ったら巻き込んで怪我をさせる可能性がある
……ノエル、行けるか?*
―― 電脳世界 ――
[青臭くても一応糖分はとれた。
ユウヅキを待つ間に再びカブトムシに侵入する。
目は開いているから彼がくればわかるはずだ。
コア・ルームまで向かうと先ほどのカブトムシは姿を消し、代わりに黒い蛇が横たわっていた。蛇に手を触れ力を注ぐと、それは小さな銀色のカブトムシに姿を変えた。]
よし、おっけ。
発信機とかはついてないかしら?
[まっすぐコア・ルームにきたせいで、他は何も確認していなかった。]
……うわ。
[はたして、発信機はあった。急ぎ、機能を破壊した。]
すぐ移動しないと……
[ユウヅキが来てくれるならば問題ないだろう。]
[接続を切る前に、一つ試したい事があった。
重要な機関からは遠い金属壁のそばに立つと、見知らぬ金属に向け、光線を放つ。
吸い込まれていった。
鉄くずに光線を放つと、ばちばちと弾けて霧散した。]
……異能エネルギーと親和性でもあるのかしら。
[もしもこの仮説が正しいとすると、自己修復する機械のからくりは異能エネルギーなのかもしれない。
もしも、ヴェスの首にあるウイルスがバグ・シングに使われている金属からできているものだったとしたら。
思考がつながってしまった原因はそこにあるのかもしれない。]*
そりゃぁ…
何かあったら、困るだろ。
[口から出せる言葉を選ぶ。
…さっきより、話せる言葉が減っているような気がする。
恐らく、先程のトリガーの言葉はもう言えないだろう。]
……
[もしかして、見られているのかもしれない。
となると、この部屋がもし、トんできた、
のだとしたら。
……見張るため、か?
いや、そんだけの為に部屋ひとつとばすか?]
んじゃ、関係ねぇのか。
つーことは、やっぱ。
わざと一般人を、使ってるわけか。
……たちわりぃな。
[先程もだが、どうにも殺気がないと、
男は油断しやすい。
バレてんだよなぁ。じーさんに。多分。
それはヴェスにも同様だろうが。]
どういたしまして。
……このやろ…
[最後の一言は、ヴェスがやや屈んでいるのを見たから。
別に身長を気にしているわけではないが、やはり複雑である。]
[そして、ヴェスがロッカーから出してきたものを確認する。アタッシュケースは、鍵の部分と左手の空間で交換し、鍵ごと取り外した。
出てきたのは、]
……なんだこれ。
何に打ち込む気だよ。
ヴェス、銃の方、確認頼む。
俺は、こっちを調べる。
[銃はヴェスの方が専門だ。
そうして、男は日誌と資料を調べる。]
そう言えば、文字の読み書きも、
お前から教わったんだよなー
俺と、あいつ。
[そう言いながら、日誌と資料をめくる。]
覚えてっか、お前。
あいつ、お前に名前つけてくれっつってたの。
[最後の名前は『ノーマ』。『エリー』とか『リーナ』とか、まぁ、そんな名前ばっかで、もう少しちゃんと考えろと怒られたりもしていたが。]
お前がいつまでもつけねぇから、
いつまでも「あいつ」呼びなんだっつーの。
いい加減つけろよー
[それが、本当に最後の、妹の名前だから*]
―― スラム街→下層 ――
さて――さっさと片付けようか。
[端末の向こうの通信相手に晴れやかに現状を語るユウヅキに、>>21
重ねるようにそう呟いてからいくばくかの時が流れる。
電源を切って沈黙させたノエルの端末とは対照的に、
ユウヅキの端末にはいくらか通信が入る。
通信相手の音声が聞こえることはさすがになかっただろうか。移動中だし。
とりあえず相手は協力者っぽかったので不安はひとかけらもなかった―――が]
カブトムシだと……?
[もたらされた情報には眉をひそめざるを得ない。>>27
ノエルは別に虫の類が大嫌いというわけではない。
一匹だけならむしろかわいいものだとすら思う。だがそうではなさそうだから]
[不思議なことに、乱発、と呼べるレベルで異能を行使しているにもかかわらず、
ユウヅキにバテる様子は見られない。
まるで枷が外れたように。
まるで戒めから解き放たれたように。
まるで鎖を壊してしまったかのように。
もちろん、カブトムシロボの大軍を丹念に潰すのは忘れない。
“運よく”網から逃れられたカブトムシロボには、
ただちにこっちの戦力たる手榴弾を投げ込む《配達する》べし、だ]
[……どうにもユウヅキばかりが狙われているような気がするのは、
やはり〈UROBOROS OVERDIVE〉の機械生命体だから彼を敵と認識しているということか。
かといってノエルへの被害がゼロというわけではないことが焦燥感を募らせるが]
エイミーも協力してる、……ってことは。
こいつら生け捕りにしたら何かに使えそうだな。
[戦闘の最中来た通信にユウヅキが応対する最中、
彼女の名前を呼んでいたのを思い出す。>>48
そうして、グローブをはめた両手をクロスさせるように振れば、
五指の先から射出された切断機能のない細い鋼線は交差して――網目状になる。
それを何度か繰り返して目の前に虫取り網を張った]
[で、網に引っ掛かったカブトムシロボをむんずと引っ掴んで捕まえるのを試みたのだが、
それはさほど苦戦することなく成功した。
ある時を境にカブトムシロボの動きが止まったから。>>64
ナイスなタイミングだ。
しかしこれどこに入れておこう。虫かごなんてものは無論持っていない。
結局左手でしっかり持ったままユウヅキが通信を入れるのを見守るノエル。
程なくして伝えられた情報に緊迫感を露にする。>>88
養い親の居場所が分かって安堵したのも束の間、
その命がいよいよ危険にさらされようとしていると知り、]
……行ける。ってか行くしかないだろ。
[もはや迷ってる暇は1ミリもなかった]
あ、でもその前にこれ――、
壊すなよ? 何かに使えるかもしれないんだから。
[と左手に持ってたカブトムシロボを渡そうとし、]
あとあたしにもエイミーの連絡先を教えてほしいんだが……。
[と訊ねた結果、エイミーとユウヅキの端末がトレードされていることを知りつつ。
端末の電源を再び入れ、改めて現在ユウヅキが持ってる端末のアドレスを登録したところで、
準備完了という運びになっただろうか**]
[男は何事か考え込んでいたが、その間にも、アンプルを視界にいれると遠隔移動能力を行使した。
両眼は先程のような染まり方>>9をしてゆき、撓むのではなく、すっとアンプルは掻き消えるように消えた。
口端に自嘲するような笑みがこぼれる]
スティーブ、そっちは何か分かったか?
[そこで、はっとしたような表情を浮かべた]
俺達を連れていく為……か?
スティーブ!
この部屋から、早く出ろ!
というか、トば……
[切羽詰まったように口にする。
それは、この部屋>>91を、この部屋にある物を餌にして部屋ごと転移させるのではないかという推測。
男自身の異能は、一方方向にトばす異能である為に自分基準で考えてしまい、見えた光景の双方へ転移を行うことについては、考えが抜けていた*]
[目を閉じ、開く。
朱い目が、ノエルの真っ直ぐ見つめる。]
〈空間制御能力〉〈対象・ノエル〉
[彼女の肩を掴み、周囲の空間を歪めていく。ノエルの背後の空間が水面のように波打ち始めて]
〈目的・長距離転移〉〈座標・中層D-327〉
[少し、苦しげに顔が歪む。しかし、合わせた視線は穏やかなもので]
〈……行ってこい、ノエル〉
[サラリ、とその額に右手を添えて、後ろに押す]
〈一緒に、事務所に帰るために〉
[トン、と波の向こうにノエルを押し出した]
[波の向こうは目的地、ノエルの瞬きが終わればきっとそこは、エヴァンス氏の囚われている場所だろう*]
[心配以外に何か気になることがあるのか?
そう聞かれれば、]
……心配はしてっから言ってんだよ。
むくれるなよ。
[むっとするヴェスにそう言って、
製薬会社については、『センセ』に調べてもらうと言う。
名前を言う前に、遮られば、その意味に気づき、口を噤む。
そうして、男の一言にいい笑顔を向けやがるヴェスに、
このやろう…とまた一言。]
……さて…いででで…!
[ノエルを送り出し、ユウヅキは頭を抱える。痛い。
また副作用か、ちくしょうと唸った]
…エイミーを、助けに行くぞ…!!!
[頭を片手で支え、エイミーのいるところへと走り出した!]
ーー下層 B-407 空き家ーー
……エイミー!ノエルがエヴァンス氏救助に向かった!
僕らは小拠点を潰して回ればいいんだな!!!
あとこれ見ろ!!!ノエルが一番綺麗なカブトムシをくれた!!!
[空き家に飛び込んできたユウヅキは、顔色が少し悪いはずなのにテンションMAXだったという*]
は?お前、んなあっさり…!
何やられたんだよ!?
[あっさりと、首元に撃たれたと言うヴェスの言葉を聞き声をあげるも、
すぐに、黙って資料をめくる。
口から出せるか分からない言葉より、
資料から何か見つけた方がいい。]
……何書いてあっか、わかんねぇ…
[資料もヴェスに見てもらった方がいいかもしれない。
資料を閉じて、先に日誌の方を見ることにした。]
お前だから、教わったんだっつーの。
……
[飯場のじーさん、の言葉は言えなくなっていた。]
そりゃぁ、覚えやすいし。
あいつのが、覚え早かったな。
良く怒られたわ。
[日誌をめくる。最初の方の内容は至って普通だ。
パラパラと捲り、中間あたりを開く。]
[日誌を捲りながら、そう言う。]
……お前から、あいつは欲しかったんだよ。
[『お兄ちゃんがつける名前、飽きた!』なんて、
んなバレバレなのに隠してんじゃねぇよ。]
気付いてねぇよなぁ。
お前。
とにかく、つけろよ。
そしたら、教えてやる。
[そう言って、また日誌を捲る。]
―― 下層 B-407 空き家 ――
[ユウヅキの顔色を心配しかけたが、あまりの勢いに心配は流されてしまった。]
一緒じゃなかったの?
[ノエルと二人そろって転移してくるものと思っていたが、現れたのはユウヅキ一人だった。>>112 確かにノエルは丈夫な体をしているので、娘よりよほど単体行動には向いているだろうけれど。
綺麗なカブトムシを受け取り]
わ、助かる。
すぐに呼び寄せるほど元気なかったの。
じゃあ、早速行きましょうか。
これに発信機が仕込まれてたの。
私の場所、バレてると思うから。
[早速空き家を出る。向かう先は近場の民家だろうか]*
……おかしいだろ。
[日誌は、最初は人間の"自己治癒力"を高めるの研究のことだった。
中間あたりでは、異能の"自己再生力"。ノエルのような能力を薬剤として転用できないか。
要は、異能を閉じ込めた薬をぶち込んで、治療する。そう言った研究。
後半は、一言で言えば、不老不死。その研究だが。
その研究対象がバグ・シングに変わっている。
いかにも『エリュシオン』が利用しそうな内容じゃないか、と思う。
だが、おかしいと言ったのはそのことではない。]
俺は、お前らの兄妹じゃない。
…………違うよ、スティーブ。
弟だって扱っても、俺は違うよ……。
[そう呟く言葉は、どこか茫洋とした眼差しをして口にしていただろう*]
俺だけトばしたら、怒るっつってるだろ!
[日誌と資料をヴェスに投げつける。
そうして、ため息をつく。]
このまま行く。
どうせ、行くとこ同じだろ。
ヴェス、お前は帰れ。
[男は、そう言った*]
── 独白またはエイミーとの思考>>118 ──
異能とのキマイラ技術ってとこか?
何度も仮説と実証を繰り返し、自己修復の度合いや異能を帯びさせた効果を確認した?
抗争の方は、それで説明がつくな。
待て。
俺の細胞はウイルスによって機械化していたな。
なら、異能者達の細胞から機械化したものを、偽物のバグ野郎達に組み込み、異能の性質を帯びさせた?
バグ・シングの再現?
[過ぎったのは/限りなく断片化された記憶の群/鏖殺/機械の姿態/熱砂/透き通った透明な機械の眼]
(あ…… ……… )
[込み上げ、白む。
目眩に似た、名前をつけられない激昂]
[その瞬間、男の目的は完全に定まったと言えるだろう]
バグ野郎の再現だろうが、バグ野郎の再現失敗によるものでも、不老不死だっても、何でもいい。
潰すぜ。
[両眼は、意識せず赤く染まっていたか*]
チッ、どうせもう転移しちまってるよ。
俺は行く。
バグ・シングの再現を奴らが考えてるなら、止めないと。
[軽い溜息]
…………それでいいだろ、スティーブ?
[一緒に行くぞと言外で口にする。
床に落ちた日誌と資料を拾い上げる為、男は床へとかがみ込んだ*]
[投げた日誌と資料は、ヴェスの足元へと落ちる。]
……
[やられた…もう少し早く気づけばよかった。
首に打ち込まれた。要は、ヴェスはサンプルだ。
じーさんの狙いはこれだった。
"コア"が欲しいんじゃない。
ウィルスを打ち込まれた、ヴェスが欲しかったのだ。]
よくねぇよ。
……お前…
俺だけトばして、後、どうするつもりだったんだ?
一人で乗り込んで、一人で潰して、
そして、それで死ぬのも、良いってか?
次、やろうとしたら、許さねぇからな。
[俺も飛ばされたのは、もう用済みだからだ。
そして、俺がヴェスの弱点になると知っているからだ。
が、強みにもなる、はずだ。]
……俺は死なねぇよ。
[床へかがみ込むヴェスに、そう言った。*]
トばせば、どことも知れない場所に飛び込む真似にはならなかったろーが。
利はあっちにあるんだぜ?
それに、お前。
部屋から外に出したなら迎えに来てくれると……思ったし?
[本当にそう思っていたか、最後の言葉はやや怪しいとスティーブは感じれるだろう]
ーー 下層 B-400区域 ーー
[周りの様子を確認しながら、ユウヅキは先に進もうとする]
[しかしすぐに動き出そうとしない友人に>>135、不思議に思い視線を合わせる。エイミーはユウヅキの目の前で顔を歪めるほどに悲しんでいた]
……どうしたんだ、エイミー
一体なにが………ノエルが、危ない、だと?
[突然出てきた彼女の名前、歩きながらユウヅキは話を聞いている>>124>>118]
…機械に、異能を…? 不老不死、自己修復……
……バグ・シングの……再現…!?
[ユウヅキもまた…ノエルの顔が頭をよぎる。彼女が完全に捕まってしまえば、何をされるか分からない]
……急がねば…!
[ギッ…!と『朱い目』が目の前を睨み駆け出していく。エイミーの手首を無理やり掴んでツカツカと早足で歩き出していた]
[その時、エイミーはユウヅキの傷ついた手首から、血が出るところを見ただろうか。固まっていた筈の血がどろりと溶けだし、まるで蒸発するかのように空間に溶けて消えていく]
[そして自分たちの景色が…異様なほど速く波打ち過ぎ去っていくところを見たろうか。ユウヅキはカツカツカツと早足でエイミーの手を引いていてその顔は見えないが…苦しむ様子は見られない
そして、気がつけば……]
ーーーB-607地点(転送装置拠点・入口) ーーー
この辺りに…入口があるはずだ、探すぞ
[一分も歩いていないはずなのに、目的地の一つに到着していた。ユウヅキは自分達が能力を使って移動したということにも気づかず、ノエルに教えられていた通りに>>14 >>2:7、周辺の壁に触れいりぐちを探し始めた]
一つでも多くの小拠点を潰して回るぞ
このままあいつらが進んで後から挟み撃ちなんてゴメンだからな
[しばらくすれば、ユウヅキたちは入口を見つけ…盛大に『お邪魔』しにいったことだろう*]
[……ちなみに、ヴェスとエイミーの思考が繋がっている、ということに関してはユウヅキはげんなりという顔だった]
あれと思考が繋がっているって…四六時中怒られてそうだな…人と思考が繋がっている、というのはあまりいい気分じゃないがお前よく平気だな……
[ユウヅキはヴェスが内心でユウヅキのことをどう思っているかなど知らないしどんな葛藤があるのかもよく分かっていない。
だが、人の思考が繋がっている苦労というのは知っていた。ユウヅキは、この事件…いや〈連続異能暴走事件〉よりずっと前に、『他者の知識』と交信していた事があった。その『知識』の手により彼は〈空間制御能力〉に目覚めたのだが、それはまた別の話]
[よく分からない理論や話を送り付けられて、ぶっちゃけろくでもなかったな…とユウヅキは思い出すのであった*]
[見上げたヴェスと目が合う。
ストン、と床に腰を下ろし、]
さっさと、読んで、
さっさと行くぞ。
…ばーか。
ほんと、世話やける弟だよ、お前は。
[そう言って、胡座をかき、頬杖をつけば、
腕を伸ばし、ぐしゃぐしゃと、その頭をかき回した。]
[ヴェスは狙い通り、ここにきた。
男がいなければ、トラップに引っかかることもなかっただろう。
じーさんがどこにいるかは分からないが、
いずれ、ここ<本拠地>へ来るだろう。
いや、もしかしたら、もう既にいるかもしれない。
……ヴェスを手に入れるだけなら、
別にこんな回りくどいことしなくても、良いだろうに、
見て楽しんでいるとしか思えない。]
[出会った時から、ずっと。
男は見て楽しむための玩具だったわけだ。
今だってそうだ、一気に言葉を消さないのは、
わざとだろう。
まだ何か用意をしてる可能性はある。
これで、俺が終わるとも思っていないだろう。
……それでも、どこかに感謝の気持ちは残っている。
それが、腹立たしい。]
[が、ヴェスは『センセ』のおかげで、
思い通りには、向こうの思い通りにはいってないはずだ。
それだけは、誤算だろう。
しかし]
……わっかんねぇな。
トラップにしちゃ、
どでかいもん、残しすぎじゃねぇ?
これだけならともかく。
[ヴェスの能力は知られている。
分かっているなら、尚更。
打ち込むのに使われた銃やアンブルまで置いておく意味は
分からない。*]
暗いわね。
[カブトムシの親機を取り出し、青い照明を灯す。ノエルが集めた子機が娘の周囲に散開し、ホバリングをはじめた。
しばらく進むと扉があった。耳を澄ますと扉の向こうから女の声が聞こえる。]
『シルバーウロボン8号の信号が消えたの!
場所はB-407よ。
ちんたらしてないでさっさと動きなさーい!』
それって、この子の事かしら。
[ユウヅキと顔を見合わせ、飛び込もうとするが――その前に彼は行ってしまっただろうか?]*
〈貴様が エイミーを 泣かせたのか〉
[暗い室内空間が、真っ赤に染まった。 壁中に街を飲む津波のように、ユウヅキの『境』が何重にも幾重にも張り巡らされる]
〈答えろ、女〉
[バヂヂヂヂヂ!!!と激しい火花とともに、転送装置や周囲の機械に異常が発生する。それは無理やり外界から引き剥がされた証拠であり]
〈これより、尋問を開始する〉
〈貴様の能力、エイミーに何をしたか〉
〈じっくり、真実を聞き出してやろうか〉
[女を見下ろす『ナイトライン尋問官』は、無表情で女の右足のつま先、もっとも弱いところを踏み抜き、骨を砕いた]
[口から血が溢れる。苦しい、痛い]
[どうでもいい、尋問せよ 『正義のために』]
[能力の副作用がありながらも、ユウヅキは無表情に女に『尋問』を繰り返す。絶対にありえない真相を確かめるために*]
[それは……夢のような話だ]
スティーブ、これはアンプルの臨床データだ。
これまでの結果が纏められている。
薬剤会社の資料というよりは、兵器資料と言った方がいいくらいだぜ。
異能者にアンプルを撃ち込めば、細胞が機械に置き換わるように増殖する。
完全な除去は難しいものの、切除で機械部分を人体から分離、治癒能力者に治療を施してもらうなりすれば、死亡することはない。
[このアンプル、いやウイルスの情報伝達が『エリュシオン』系列の病院から>>3:194、ということは、マッチポンプで治療費を稼いでいることにもなるだろうか。
いやそもそも、広範囲から医療関係者を集めているのであれば>>3114>>3:117、大半は善意で指示された治療を行っているだけという可能性が高いか?]
必ずしも銃で撃つ必要は無いだろうから、『エリュシオン』の定期検診の時(>>3:114)にでも、いや、その時でなくとも再診で呼び出して、標的相手に投与することも出来るだろうな。
機械化した物を、偽バグ野郎に組み込んだ結果も一部掲載されている。
[スティーブにも、資料内容などの話>>118>>124をする]
[……確かにドーム内は快適だ。
無能者にとってはそうでもなく、そして異能の力が弱い者にとっても、そうでない場合が多々あるが。
それでも、砂漠と荒野に満ちた世界を、軽々しく取り戻せると今も思うほど、男は幼くない。
もっとも、バグ・シングの再現なり不老不死を考えている奴らは、考えてドーム内支配のことくらいだろうが]
この資料も念の為に送っておくかね。
[やや迷うように口にした後]
スティーブ、日誌の方も話してくれよ。
[スティーブが得た情報>>119も聞き出そうとしたろう。
話すなら耳傾け、話さないなら訝しげな表情を浮かべる]
……じゃあ、行くぞ。
[一通りことが済めば、部屋の扉へと向かう。
もし、エイミーが居なかった場合、エイミーとの考察が無い代わりに、この資料によってアンプルの真実には辿りつくことになっただろうか。
そして、スティーブが居ない場合は、激昂を抑えられる人物が不在とはなった筈だ。
その意味では、強み>>130とはなっているだろう*]
―― 下層B-607 地下 ――
[部屋へ飛び込んだ>>149直後、視界が赤く染まった。>>154
機械人形を抑えていた時よりも赤い。
赤くて、赤くて、血のようだ。
驚き周囲を見回すと、周りの機械達が悲鳴をあげていた。
そして、女も。
のたうち回る女の足をユウヅキが踏みつけている。>>155
その瞳は怒りに染まり、見目だけでわかる苦痛を無視するほどに我を忘れて女を痛めつけている。娘の知るユウヅキは、今まで一度たりとも人にむやみに苦痛を与えた事はなかったというのに。]
や……やだ、
[誰のせいで?自分のせいだ。
全ては自分の心が弱いせいだと、激しく自責する。]
ユウヅキ、 やだっ
[ユウヅキと女の間に入り、女の体を抱きかかえる。ユウヅキの『尋問』が娘に加えられれば悲鳴をあげるだろうが、それでも女を離しはしない。]
違うの。この人のせいじゃないの。
私が弱いから。
ユウヅキにこんなことしてほしくない。
私は、みんなに『にぃー』って笑っていて欲しいのに。
[笑わないあの人の笑顔を、ただ、見たかった。]*
…お前が打ち込まれたのが、
そいつ、ってわけな。
どんだけの会社が裏で繋がってんだ?
いや、気付いてねぇだけか。
[さっきの奴も、一般人だ。
そして、ふと思い出す。]
……もしかして、あの銃。
…ヴェス。
[先程、分解した銃。弾だけは抜いてある。
それを、ヴェスへ投げ渡し。
調べてみてくれと。
必ずしも銃で撃つ必要はない。
スラムの人間には定期検診など縁がないはない話ではあるが、そうなると、どれだけの人間が今、サンプルとなっているのか。]
ー 下層B-607 地下ー
[ノエルを苦しめた エヴァンス氏を殺そうとした
エイミーを泣かせた]
[罰を与えるには十分、人を苦しめたものには罰を与えるのが当然]
[朱い目は、吐き出した血液を刃に変える。無数の刃を突き刺さんとするために。どこがいい、どこが最も苦しむ?どこを…]
[そう、考えて、『尋問』しようとして、思わぬ行動に動きが止まる]
[ユウヅキはエイミーが女を庇う姿>>165に、怪訝そうな顔をした]
〈エイミー、そこをどけ〉
〈そいつには尋問が必要だ〉
[何故、傷つけられた筈のエイミーが、と]
[ギシギシと、異能によって起こる副作用が脳を苛んだ]
[無表情に、ユウヅキはエイミーと女を見下ろしている]
[となると、ヴェスにこだわる理由が分からなくなる。
じーさんのことだ。何かはあるのだろうが。]
……かもな。
[逃さない自信はあるのだろう
男達の関係を知っているならば、尚のこと。]
……っ
お前、それ、さっき、俺が言ってただろ。
[何か言おうとし、閉じる、そうして、
先程のトリガーを口にするヴェスにそう言う。]
[ユウヅキ>>139に対する苛立ち。
それは勿論、振り回されること、尻拭いをさせられる結果になることもあるが、要約すると同族嫌悪だ。
罪人と自らを縛ることも、自らを省みない行為も評価の低さなりも、全て腹ただしい。
自分には見えていないものであるが、ユウヅキの中に投影し見つける。
だからこそ、人々から見て、ユウヅキの快活で馬鹿さ加減の振る舞いとされている中に見つけ出し、『ドンパチ探偵としてのみ』では扱わない。
もっと、自らを省みろと、言い続けるのもそうだろう]
[ユウヅキと、男の間に確かな違いがあるからこそ、重なる部分に苛立つ]
[だが、思い出した。もう1つ。
同じキーワードで銃を発泡した人間がいる。
懐からあの小袋を取り出して、そっから弾を出す。
スラムで襲われた時に、分解したあの銃だ。]
…スラムで…拾った。
[普段、武器を手にしない男が、銃の弾を所持している。
男が武器を分解するのは珍しいことではない。
もしかしたら、特に違和感に思わないかもしれないが。]
[男のそれは。
絶え間ない、自己否定、希死念慮、罪悪感、自責、無力感。
大きな枠では、サバイバーズ・ギルトと呼ばれるもの。
バグ・シングに向かい合う度、恐怖と不安、他者が目の前で死ぬのではないかという予期不安が、どうしてもちらつき、トばすという回避行動をとることが多い。
かといって、バグ・シングに関わらず生きていくことも、男には考えられないものだろう。
それが継続したストレスを受け続けることとなっても]
[喜びを受けるのに値しない人間だ。
楽になってしまうと、気持ち悪くなる。
優しさも治療も労りも、受けると気持ちが悪い。
積極的に死にたい訳ではないが、それでも、
生きるのが、苦しい]
[エイミーが泣き出したのは、簡単な話。
向け続ける気持ちを止め、気にかけなくしてくれたこと。
それに男が安堵し、微かに喜んだからだ]
(…………チッ、センセは何も悪くねーのに、何で、後悔やら自責やら……。
あいつに頼りたくはねーけど、会ったらで頼むか)
[小さく溜息。
それは、エイミーが泣き出したのは何故なのか、伝わっていないも同然だった。
いや、伝わっても、受け取るのを否定し続けるだろうが*]
── 端末:ユウヅキへ ──
『悪い、ユウヅキ。
センセが落ち込んでる。
陽動中に、もし会うことあれば、慰めといてくれるか?
通信かメッセージでもいい』
[ユウヅキへ、端末メッセージを送る**]
あ、あぁ。前半、中間、後半で大きく分けて、3つだな。
"自己治癒力"の向上。異能による"自己再生力"の薬剤への利用。
と……"不老不死"。
で、研究対象が、"バグ野郎"
お前が言ってんのが、そいつの再現なら。
こっちは、……
[言葉を切る。それだけで、伝わるだろう。
「バグ・シング自体になろうとしている。」
言えないってことは、じーさんの目的はこっちか。]
あぁ。さっさと終わらせっぞ。
[もう帰れとは言わない。言えないからではない。
また、トばそうとしたら、どうかは分からないが。
それに、もう、ここまでじーさんに遊ばれてるなら、
最後まで遊ばれてやるしかない。
最終的に、全部、ぶっ潰すせばいい*]
………
…エイミー、ヴェスと何かあったのか?
……何かあいつがお前に…傷つけるようなことを?
[よもやヴェスのほうから『悪い』なんて謝罪から始まるメッセージが届くとは思わない、なにかヴェスがやらかしたのは早々に察することが出来た*]
機械化した方を何故?
スラム……異能者に撃ち込むならまだしも、無能者に撃ち込んでどうなる?
異能の取得は出来ない……
[眉間に皺を寄せて考え込む]
系列の病院や診療所に来ている人間に、アンプルを投与しまくるってのも、おかしな話だしな…… 何か見落としてるのか?
[ぶつぶつと自問の呟きが続く]
これは全部送る。
[入手した日誌・資料・アタッシュケースごとの残りアンプルと銃、スティーブから受け取った銃弾を視界にいれる。
社員証は必要になる可能性を考慮し保持したまま]
嫌な予感しかしないな。
[すぅ、と静かに両眼が赤く染まる。
く、と目を細めると空間が撓み、一式が消える]
(チッ…………)
[こちらの方法がやはり慣れては、いる]
銃は専門外だっつーの。
[詳しいやつがいるんだから、そっちに任せたほうがいい。
ちなみに、フィールド・ストリッピングは、実のところ面白く。
どっちが早くできるかでヴェスと競争をしたりもしていたか。]
うぇ、こんなの、打ち込まれたくねぇな。
[蠢いていたな。その言葉への返事にそう答える。
スラムのどこで拾ったかという問いには、考えて。]
[そして、ヴェスの自問の呟き。
そうして、日誌の内容。
機械化した方を打ち込む理由。
あの時、狙われていたのは…]
……
[ヴェスへ、ウィルスを打ち込んだ理由。
ヴェスの細胞の機械化して、俺に打ち込むと、どうなる?
…ヴェスの異能の力はでかい。
俺のように触れていなくても、対象をトばせる。
それが、空間の交換ができるようになれば…]
……
[そういうことか。]
[ウィルスを打ち込まれた細胞は永久的に利用が可能。
利用価値が高いのはどちらか、といえば、
異能の力の強いヴェスの方だ。
となると、俺を"バグ野郎"にする。
さて、そうすれば、ヴェスはどうなる。
…今度はヴェスを玩具にする気か、あの野郎。
どんだけ人で遊ぶんだよ。]
ん…?
[ヴェスが転移を使う。そうも言ってられない状況とはいえ、やはり使う度気になってはしまうのだが。
ただ、少し、先程と今。B-611で小石に使おうとしていたとき。
何か違いを感じた。じっ、と目を見て]
あぁ。目の色か。
[気付くのに、そう時間もかからない。
そこら辺は、歩きながらにでも聞くとして、]
元に戻すほうが難しいんだよな。
[そう言いながら、マグライト見ながら、空中をざっと、薙ぎ、ヴェスの合図を受けて、扉の外へ、踏み出した*]
ドンパチから連絡来たら『さっさとやれ馬鹿』とでも返しといてくれるか?
[男は端末でユウヅキにメッセージを送った後、自分の端末をトントンと叩きスティーブに見せるようにする。
遠隔移動能力を使う為に、一度解体したものなどを纏め、送る為の前準備をする間、スティーブは端末を持つことになるだろう。
渡した画面には、白紙の"メッセージ記入欄"が開かれている]
(これで相手側にバレる可能性もあるが……
どこまでスティーブに食い込んでる?)
[厄介事に巻き込まれているのは伝わったが、その種類は確定は出来ない。
現状では、推論に推論を重ねるままだ。
その為、状況把握を進める為に、一歩行動をとることにした]
[建物は、部屋ごとの転移を元の位置に戻したようにも思えた。
それは犯罪組織の本拠地と目される『エリュシオン』総合病院やその隣接する建物地下に位置するものであったのかもしれない]
…………チッ
[無人、誘われていると思えても仕方ないもの。
無機質な音、冷たい色の硬質な床、上等な建物であることは分かる。
両側に続く扉もしくはガラス貼りから見える部屋光景は、何かの製造ラインらしきものも伺えたかもしれない。
そうして歩き続ければ、一際大きな扉が見えて来た*]
[男がスティーブの見解をもし聞けることがあったなら、こう考えたろう。
機械化した組織を部品とし、ひとつに撚り集め一体のバグ・マシンと成せば、一体で複数の異能を使用する、クソな不死バグ野郎を作り上げることも出来るのではないか、と。
そして。
異能、無能を問わずにアンプル投与し機械化させた組織に、先程のような銃弾を撃ち込めば、遠隔的にトリガーワード<UROBOROS OVERDRIVE>によって起動する暗示行動操作も出来るのではないか、とも。
アンプル投与を行えば、人体には回路のようなもの(>>1:38)が出来つつあるも同然ならば。
追加のプログラムめいた暗示や異能を、あのような銃弾によって追加すれば、どのような行動をも取らせることが出来るのではないか……
それこそ、人間を疑似バグ・シングなりにさせ、意のままに支配する『支配者の楽園』が作れるのではないか、と**]
―― 元・ばーさすカブトムシロボ群地点 ――
[ユウヅキはエイミーのところへ向かうという。>>108]
わかった、……気をつけて。
[ついでにユウヅキからエイミーに、
「こっち来たなら教えてくれてもよかったのに水臭いやつめ」と伝えてもらおうかと思ったが、
……やめた。どうしようもなく距離が離れているわけでじゃないのだ。直接伝えるに限る。
別行動をとることに不安がないわけじゃない。
だが、最善はこれなのだ。ぶっちゃけユウヅキには“救出”より、
“突撃”やら“壊滅”やらの役割の方が向いてるとも思うし。
そういえばノエル自身がユウヅキの能力によって移動するのはこれが初めてだ。
真似して深呼吸しながら、心の準備を整えておく]
[ずっとそばにいられる相手ではないのに、深入りしすぎてしまった。
思考が繋がっている現状、そうならざるをえないのだが。
思考を繋げてしまったのは、娘だ。]*
[コンテナが無造作に立ち並び、
打ちっぱなしのコンクリート床が光量を抑えた電灯に照らされているどこかの倉庫内部―――
―――の、床より数メートル上]
!? 落ちる……っ!
[こうなればさすがに驚かずにはいられない。
思わず大きな声まで出してしまった。敵に気付かれないといいのだが*]
[上層区域。
最中枢には、都市管理に携わる建物群も列を為し。
欲望、繁栄、能力第一主義、とも言えるその区域。
上層区域の中層寄りの立地。
『エリュシオン』総合病院>>3:113>>3:114。
そして、隣接する工事途中の建物。
種々の思惑絡む利権問題により、建設工事の再開中止を幾度となく繰り返し、その建物は、今はひっそりと工事再開を待つよう建っていた。
人は問う。
何故そのような建物の横にと?
『エリュシオン』の回答は、世間一般に合わせた無難なもの且つ、対外向けには誠意籠もるものだったか。]
[今現在。
アデルは上層辺りの旧地下道より、
監視ルームを制圧を目指している。
アデルン1号を心強いパートナーとした彼女は、肉弾戦を行っており、
上層自宅にて、優雅にシリアルを食すソノランの遠見と透視、転移能力による助けを一部受けていた。
だが、監視ルーム制圧にはまだまだ時間が掛かると思われる。
そんな潜入状況だろう。**]
……解析しなきゃいけないものが増えたみたい。
私は一度離れて解析に入るわ。
援護が必要なら虫でする。
[先程渡した虫の他にもう一匹、ホバリングしたままのカブトムシがユウヅキの体に止まる。]
これ、持ってて。
どこか攻撃したいところがあれば言って。
回復とかも必要だったら、
虫に声かけてくれたらわかるから。
[承諾を得られれば、入違ってしまった端末を取り換えるよう提案する。]*
……つっても、俺あんま、使ったことねぇぞ。
[そう言いながら、端末の画面を見れば、
微かに笑う。笑みの意味は、ヴェスには分かるだろう。
そして、言葉をつなげる。]
お前、名前登録までドンパチなのかよ。
[そう言って、端末を受け取り画面を見ながら
やっぱ、そう上手いこといかねぇか。
と、男は思う。が、
書けないからこそ伝えられることもある。
腐れ縁、なめんなよ。]
[ 『さっさとやれ馬鹿』 の後に、空白行を入れる。
そして、下の方で、
書けることを書く。
『まえ』『みず』『むし』『め』『もん』
文字の読み書きはヴェスから習った。
そして、書き取りをする時は、決まって男は『めし』と書く。
それを知っているのは、ヴェスと、もう一人だけだ。
『き つけろ』]
……おい、ヴェス。
これ、どうやって送んだ?
[果たしてこれだけで、伝わるだろうか。
ヴェスへと端末を渡す。*]
ーー B-607 地下ーー
……ヴェスに、なにかしてもあいつ頑固だからなあ…
[頷いたエイミーを見て、はぁとため息をつく。>>208
人の気持ちを繋いだ結果、頑固者の頑固の裏側を見てしまったのか、とぼんやり察した]
……エイミー、気にするな
誰かの善意が苦しいと感じた奴は…多分、誰かが傷つくのを怖がってるし自分に自信が持てないだけのやつだ
…そして、そういう奴は…1人になれば周りがどう傷つくのか分かってない、分からせるには少しはいい薬になる
僕を信じろ、エイミーは間違ってない
[それは多分、自分を罪人だと思うユウヅキだから出た言葉。自分自身に価値を見いだせないからこそ…出た言葉]
『誰かを大切に思うことが赦されない』なんてこと…ありえないさ
[…やることがあると言われれば、ユウヅキは頷く>>209
1人で離れられるだろうかと心配になったが、カブトムシが肩に止まったおかげで、エイミーからすぐに連絡が来るだろうと安心する]
分かった、気をつけてくれ
……では、僕はここの基地を盛大に壊すとするかな!
その次はF-173に向かい……芋づる式に全て潰す!!!
[地面に落ちていたユウヅキの血がまた刃となって浮き上がる。しかし今度の標的は女ではなく…転送装置や周辺の機械だ]
増援など、させん!!!
[そしてそのまま、怒涛の勢いで機械類を破壊し始めた!!!女やエイミーが巻き込まれないのが奇跡である*]
―― B-607 地下 ――
[多くを語りはしなかったのに、ユウヅキは色々と察してくれたらしい。>>212 誰かと思考を繋いだことがあるからだろうか?いや。]
ふふ、ありがと。
ユウヅキの事なら信じる。
あなた、人の気持ちがほんとによくわかる人だから。
[『にぃ』が『にぃー』になった。]
人には散々お説教するのにね?
[どうしてヴェス自身にだけは。とは、続けない。理由は知っているからだ。知っていてなお、彼に何ができるのかわからない。
深入りだと思うならば、考えるのをやめておけばいいものを。]
どうやったら、自分を赦せるようになるのかしらね。
[ぽつりと呟いたのは、ヴェスの事。ユウヅキの苦しみを娘は知らない。]
ありがとう。
ユウヅキもね?
[ユウヅキの手元の虫を指し]
ノエルに会ったら一匹渡しておいて。
よーし、壊すわよ!
[と、残った虫をけしかけようとしたのだが。]
……出る幕、なくない?
[とりあえず、女の保護をする事にした。
移動ついでに警察にでも引き渡そう。]*
── 本拠地・部屋 ──
前はユウヅキ・ナイトラインだったよ。
その次が馬鹿で、最近がドンパチ野郎。
また馬鹿に戻そうかと考えてるとこ。
[微かに笑う>>210のに、何らかの異能影響を受けている確信を深める。
そうして再返却される]
あ?
それくらい分かれよ。
[端末を受け取り、確認。
画面に視線を走らせれば、伝えた通りの記入は出来ており、その後に書き取り内容があった]
(飯? ……飯場で何かあったとか、か?)
[飯場の爺が人質に取られている方面で考え始める。
無能者と、男はそう考えていたし、スティーブが出逢って以降>>0:114、前々からの顔見知りではあったからだ]
―― 一方そのころ 中層D-327 ――
[男は――ノエルの養い親にあたる男は囚われながら悔やんでいた。
結局はむざむざと敵の手に落ちてしまったことを。
時は無情にも流れていく。何かを思考することくらいしかできない時間が。
床に這いつくばりこれまでの経緯を思い起こすのももう何度目になるか。
はじまりは――スラム街の飯場で出会った老人から“昔話”をされ、>>0:48
さらに依頼を持ちかけられたが蹴ったこと――なのだが、
ほんとうのはじまり――己とノエルと、今現在機械生命体の糸を引くもの達との因縁の――は、
おおよそ14、5年前まで遡る必要がある]
[男は当時からスラムの治安維持にあたる仕事についていた。
はじまりの時、男はある仕事にあたろうとしていた。
とある地下組織がダミーとして使っている企業に潜入しその証拠を掴め、というものである。
男とその仲間にとっては楽な仕事のはずだった。
しかし、侵入を感づかれてのドンパチの末、ビルは爆発させられてしまった。
男の仕事はビルの爆発跡から証拠を探す、というものになった。
だが、あらかじめ仕組んでおいたのだろう爆発は、
ありとあらゆる証拠を消し去ってしまった――かのように見えたのだが]
『おい、人がいるぞ! しかも……生きてる!』
[そこには生存者が一人だけいた。
まだ5、6歳くらいの女の子が。
幼子の記憶はあやふやで証拠を掴むにはまったく役に立たなかった。
おかあさんをさがしてたらいつのまにかあそこにいた――
おおむねそんなことを口にしていたくらいで。
捜査は振りだし、手元にあるのは謎の幼子のみ。
頭を抱えながらも紆余曲折あって幼子は男が預かることになった。
名前を訊かれて「ノエル」と応えていたその子を。
―――そう、つまり現在のノエル・エヴァンスを、である]
[そのわずかな不穏は、時を経て明確な形として現れる。
『エリュシオン』が、かつて追ってた地下組織を前身にしており。
男の知らない間に目的の完成に向けて邁進しており。
かつて――その自己再生能力を実験のためにほんのちょっとばかり利用していたノエルを、>>4:119
(細胞だか血液だかを採取したとかそんな感じらしい)
今度は目的達成の礎とするべく欲しがっていること――
それを、“昔話”の後に聞かされたのだ。
それでまあ端的に言って「ノエルを渡せ」と言われたところで、
はいそうですかと素直に頷くはずがない。
男は男なりに戦った。しかし現状は――このザマだ]
(んでも、さっきも何か……言いかけてたな)
[スティーブの言動>>18>>19を思い返す。
そこへ丁度、ユウヅキからの返信>>214が来たか。
目を通して先ず最初に思ったのは]
(文面気持ち悪……泣かせたのは悪かったけどな?)
[溜息。
この気持ち悪いは、変な物の紹介に対してであって、普段の意味ではない。
何となく、ユウヅキとエイミーが接触か通信でやりとり出来たとは察した]
『うるせえ
餓鬼に付き合えるか』
[餓鬼とは、ベリティのことだ。
が、エイミーのことだと誤解される可能性はあったかもしれない。
『さっさとやれ馬鹿』『まえ』『みず』『むし』『め』『もん』『き つけろ』を全削除して、ユウヅキへメッセージ返信*]
うるせぇ。
[それくらい分かれよ。
その言葉にはそう返して。
とりあえずは、異能の影響を受けていることと、
飯場のじーさんくらいは伝わっただろう。
が、]
……
[ヴェスにとっても顔なじみである、じーさんと、
繋げられるか…?]
[立場が逆であれば、ヴェスならもう少し上手く
伝えられるのだろうなと思うが。
つーか、こんだけの力持ってたら。
先程のウィルスや機械化した組織の弾丸。
それを作れば、
ヴェスがエイミーとの見解。
"支配者"にも、なれるんじゃ。]
はぁ、わけわかんねぇ…
[ポツリ、呟いた。*]
―― 視点戻って 中層D-327 ――
よし、見つかってはいないな。
虫モドキの姿も近くにない……、
ふむ、あたし達と相対していたカブトムシロボの一部を養父さんの方に回そうとしていた辺り、
戦力はそう多くないと見るべきなのか……?
[楽観的思考を言葉にしてしかし、首を横に振る。
用心をするに越したことはない]
[大規模な機械やキロではなくトン単位のものを収納するための倉庫は、ただ静かだった。
そして積み上がったコンテナで一種の迷路のようになっている。
が、天井とコンテナの間には隙間があった。不完全な迷路だ。
思う。これだけ広いところを探すのも時間を食うばかりだし、
敵の気配もないのでひとつ――叫んでみようと。
養い親も昔よく言っていたものだ。
「危ない目に遭って僕の姿を見失ってしまったなら、
とにかく思い切り叫べ」――と]
養父さん―― とうさーーーーん!
どこにいるんだ!? 聞こえたら返事をしてくれー!!
[ゆえにそうした。
己の声が反響していくのを聞きながら、
ゆっくり歩きつつ返事があるのを待つ**]
[1]
[2]
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