情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
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[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
◆その他
◇既知申請(縁故)はプロローグ中にメモで行って下さい。
◇退席宣言や次回ログインの時間など、メモで開示しておくと親切です。
◇他PLへの連絡事項などもメモで開示しておくと親切です。(ここで名前出しました、とかこういう設定でっち上げました、など)
◇全体の時間軸は厳密には定めません。1PC視点では、レスの順がだいたい時間軸そのままと考えて下さい。多少の矛盾には目をつむって構いません。
◇時間を指定する場合、「○時」とするよりも「午後」「夕方」などぼかした表現を推奨します。
◇白ログでの異なる場所での並行RPは禁止です。(いわゆる同時多角、並行処理の禁止)
こんなとこかなあ。
のんびりゆったり過ごせる村にできればいいなあとか思ってます。
全体の物語はないです。
掌編集ができたら良いなみたいな感じで。
なんかあれば6/10 8:00以前でも、匿名メモでの質問OKとしますので、お気軽にどうぞ。
村の設定が変更されました。
鳴きぼし ほうき星 がやってきたよ。
村の設定が変更されました。
ミ★一応設定した固有名詞索引★ミ
ソコラ … 舞台となる廃棄される予定のコロニー。
タヨーナ … ソコラの中でも大きな街。まだ人は多いほう。
ドッグ … ソコラの中心部の通称。無重力に近い。
ここから宇宙船が出る。
ド・コカーノ… ソコラがある宇宙。
M … 貨幣単位名。1Mでうまい棒が買える。
一応コロニーの形はスタンフォード・トーラス型をイメージしていますが、めっちゃ回転してるドーナツってイメージすれば大体あってるのでそんな感じで良いです。
見物人さん受け入れ設定にしています。
(某方が11日はNGだっていってたので)
見物人さんは進行中、強制的に墓下に送られます。
新天地に一足お先に行っていて下さい。
遅刻見物人の場合、縁故が結べないのですが(縁故設定はプロロのみです)そこはなんとか。
村の設定が変更されました。
>>#3囁きログなんてものはなかった。全部コピペってやつが悪いんだ。すみません。
ところで質問が別途あったので回答します。
Q.時間の単位は?
A.24時間です。○時とか普通に使ってだいじょぶです。
Q.飴制限はないの?
特に設けませんが、飴スポンジにならないよう意識はして下さい。
Q.必ず移住しなくちゃいけないの?
A.この村のコンセプトが、ある日常の終焉と、新たな日常の始まり(&SFテイスト)である事をご承知の上、よろしくお願いします。つまり、移住先が見つからなくて宇宙放浪するとかもありです。
ただし、エピが新天地でのRPであるという事はお忘れなく願います。コロニーからは退去してね。
旧式アンドロイドHK-V ソラリア がやってきたよ。
探索者 ミスティ がやってきたよ。
村の設定が変更されました。
探索者 ミスティ はきゅうようをおもいだしたみたい。(またきてね!)
声有る人魚 ニンフェーア がやってきたよ。
探索者 ミスティ がやってきたよ。
>>探索者 ミスティ
承知しました。22時までお待ち下さい。
>>ALL
22時まで現設定ですが、22時〜 @2種類でしたら設定可能です。
村の設定が変更されました。
探索者 ミスティ はきゅうようをおもいだしたみたい。(またきてね!)
犬の亡霊 ライカ がやってきたよ。
流浪の民 シゥル がやってきたよ。
プラント管理人 セイバリー がやってきたよ。
札付け リスリー がやってきたよ。
村の設定が変更されました。
代行者 エリザベート がやってきたよ。
村の設定が変更されました。
代行者 エリザベート はきゅうようをおもいだしたみたい。(またきてね!)
ビームが出せる ムービー・モモ がやってきたよ。
ころころ設定変わって申し訳ないです。
scrapBoxでは修正しましたが、
06/09 0800:ソロール・自己紹介・PL発言・縁故の設定解禁
06/10 0800:通常のRP解禁
とさせて下さい。
考えてみたら、プロロRP時間24時間しかないじゃんと気づいてしまった。しかも24時間で縁故結ぶの大変だろ的な…。
ただ、当初の予定(6/10 8:00解禁)で参加希望して下さった方ともスタートラインを揃えるためにも、ソロール以外のRPは6/10 8:00解禁としますので、よろしくお願いします。
探索者 LandL がやってきたよ。
>>探索者 LandL
承知しました。6/9 0000まで少々お待ち下さい。
あと中身透けまっせ!
>>ALL
@2枠までチップ変更可能です。
00:30には村建て寝ますので、@2枠変更あれば00:25くらいまで受け付けます。
寝たあとの更新、朝〜夕の変更についてはだいぶ間隔空きますので、希望チップあればお早めにどうぞ(また夜にはやりますけども)
村の設定が変更されました。
探索者 LandL はきゅうようをおもいだしたみたい。(またきてね!)
>>探索者 LandL
お待たせしました。悪夢(ame)を宝石箱に変更しました。
6/9 01:00まで宝石箱は固定します。
そしてIDが名前欄に入ってるやつですね!失礼しました!
宇宙冒険者希望 カルックス がやってきたよ。
旧式アンドロイドHK-V ソラリア はきゅうようをおもいだしたみたい。(またきてね!)
旧式アンドロイドHK-V ソラリア がやってきたよ。
月下35°24′S,44°0′Wより分岐せる アルマ がやってきたよ。
"FlyMetotheMoon" ディア がやってきたよ。
村建て人、寝ます!
日中チップ入れ替えはだいぶお時間頂くと思います。3時間くらいはかかりそう。
今のチップは【メトロポリス】【繋魂】【宝石箱】です。
寝る前に!
【2IDで入村してる場合、使用PCの自己紹介に「このPCは、別のPCと2IDである」とわかるよう、明記をお願いします。】
同時多角不可なのですが、これがないと意図せず同時多角が発生してしまいかねないためです。
(知らずに別のPCが話しかけるなど)
自己紹介のその他欄に、例えば「ほうき星と2IDです」「ジョンと2IDです」と明記をお願いします。
やじうまがやってきたよ!(黄玉 パズィ)
黄玉 パズィ は 新天地ナビ リブラ に、くらすちぇーんじ!
もう一点、2ID使用についてルールを付加させていただきます。
2ID使用してソロールしている場合、他のPLのPCはその場に入ることはしないで下さい。
どういうことかというと、
(1)ほうき星とジョンが会話している場面に、リブラが入ってはいけません。
(2)ほうき星がソロールしている場面に、リブラが入るのは問題ありません。
(3)ほうき星とリブラが会話している場面に、ジョンが入ってはいけません。
(4)ほうき星とリブラが会話している場面に、ジョン以外のPCが入るのは問題ありません。
(リブラは非村建て確定だからって例に巻き込んでごめんね)
1は、ほうき星&ジョンのPLが、禁止事項の同時多角に触れてしまう可能性があるからです。
2は、ジョンが動いていないので問題ありません。
3は、ほうき星&ジョンのPLが、禁止事項の同時多角に触れてしまっています。
4は、2と同様、ジョンが動いていないので問題ありません。
つまりは禁止事項の同時多角をしないでね、その種になることもやめてねってことです。
"FlyMetotheMoon" ディア は "FlyMe_to_theMoon" ディア に、くらすちぇーんじ!
また、ジョンとほうき星が同時に、別の場面でソロールをしていた場合、いずれのPCにも話しかけてはいけません。
さらに、ジョン<->リブラで会話している場合、ほうき星はソロールをしてはいけません。
なんだかルールがめっちゃ多くなってスミマセン。
この辺のルールも、同時多角の禁止も、根本は「誰かと話してるときは、相手に集中してください」ってことなんです……。そこから発展して、「その根本が守れるよう、周りも協力して下さいね」っていう……。
雨濡れ ダマリ がやってきたよ。
【タヨーナのどこか/昼】
皆さんこんにちは、イイトコ・イコーコーポレーションです。
「移住にむけての準備で、どこか通る人々もせわしなく感じるそんな場所と時間帯。
その街のどこかで、ふわふわと遠隔ユニットが漂っている」
移住に向けてお忙しいところとは思いますが、皆様移住先はお決まりでしょうか?
弊社では様々な惑星、コロニーのご紹介、また移住先でのサポートを行っております。
「その言葉の後、ユニットが映像を投影し始める。
どこかの星か、
コロニーか、その映像が流れると、足を止める人やとおりすぎるひと、反応はそれぞれである」
『自然豊かな「クーキ・オイシー」』
『機械の街「レックス・α』
『魔法が盛んな「タージ・ファンタ」』
『獣人の方の人口比率74%「ウラヤ・ランドス」』
などなど、ご希望にあった新天地の紹介、また生活をサポート致します。
お問合わせは、宇宙ナンバー1105-150まで──**
―親水公園・昼―
[人工池の周囲に遊歩道の敷かれた公園で。学者らしき出で立ちの男女が、池へ乗り出すようにして熱心に何かを話していた]
[彼らの視線の先にいるのは、魚の足を持つ少女である。少女は語られる言葉を、どこまで理解しているかわからない顔で聞いていた]
[学者達が言うには、彼らは別のコロニーに住んでおり、コロニーごとの文化の差異の研究をしているらしい。近いうちに消えゆくだろうソコラの文化を、可能な限り持ち帰りたい。その中には人工人魚も含まれている。つまり、共に来て欲しい。と]
……いっしょ、に。おでかけ?
わたし、歩くの、とくいじゃなくって……
[人魚は首を傾げる。学者が、専用の移動水槽を用意するから大丈夫だと言う]
だいじょうぶ?
なら、おさんぽも、楽しいかしら。
かんがえるね。ありがとう。
[とりあえずの同意を得たからか、また来ると言い残して二人は去った。人魚は彼らの背が見えなくなるまで手を振った]
――La――
La・La・La――♪
[やがて彼女は歌う。曲も歌詞も定まらない、気ままな旋律を紡ぎ出す。『人魚』の名に恥じぬよう、美しい容姿と声を決定づけられ――それだけを望まれ生まれた生命は、そんなことは知らずに歌う]
[真昼の公園に、水の音と歌声だけが染み入った**]
―スタンフォード・ドーナツ タヨーナ店・昼―
[流線型の小型輸送機が常にどこかを飛んでいるソコラ。オンラインショッピングが日常になっているこのコロニーでも、実店舗はなんだかんだで多く存在している。
《スタンフォード・ドーナツ》も、あえて実店舗限定で物を売っていた店の一つだ。揚げたてのもっちりとしたドーナツが9Mで買えるということで、人口の少ないコロニーでは珍しく人が群がる場所だった。
しかし今は、入口にシャッターが下ろされ、店先のディスプレイには「長らくのご愛顧ありがとうございました」の文字が写っている。白地に浮かぶ色気のない黒のサンセリフ体を、小人族の若者が青いホバーボードを抱えて見上げていた]
このコロニーも本当におしまいか……。
[無感動につぶやいた若者は、抱えていたホバーボードに飛び乗ると、帽子からはみ出た長い髪をなびかせて、古びたビルの隙間にすいっと消えてしまった**]
カたコとカたン フェルム がやってきたよ。
【フェルムのお店「ラクリマ」その商品製作室】
[その空間を説明するとこうだ。まず光は天窓から一条、それ以外は机に座る彼の手元にある照明だけで、有体に言って暗い。机の上にはレンチ各種、スパナ各種、サスペンション各種、ナットもボルトももちろんある。だがサイボーグや人型ロボットや、その他乗り物を相手にするにはやや頼りない大きさだ。(もちろん、頼まれれば彼はやってくれるだろう、そういう性格だ。)
机と椅子の他には製図立て、作業台、仮眠用のハンモック、それに鳥かご。フェイクファー、フェイクレザー、フェイクフェザー、フェイクフラワー。そして彼の試作品たち。そのうちの『一羽』は定刻になると飛び立って部屋をひらりと旋回、彼に時間を告げる。軽金属の骨組みと、スケルトン材料の羽でできたそれは、今もひらりと彼の前を通り過ぎ、小さき優雅さをもって元の位置に止まった。]
「…。ごはん。」
[正午である。フェルムは作業の手を止めて立ち上がり、ぽてぽてと子供のような足取りで部屋を出て行った。その扉を、ニセモノの動物たちがそれぞれ同じ表情で見つめているのだった。]**
電気羊 メリー=ドリー がやってきたよ。
―タヨーナ市街地の噴水前・昼どき―
[飛沫を上げ水のアーチを描く石造りの噴水――そのふちに、一人の少女が片膝を立て座している。その目はきららか、声はかろやか。尖った八重歯を覗かせ、人に囲まれて舞台役者さながらに朗々と声を響かせていた。
どうやら、よその星やコロニーについて誰かに尋ねられ、思い出話を披露している所のようだ。]
“クーキ・オイシー”? ああ、ああ、よぅく知っているさ!
緑がたくさん、お日さま燦々! そりゃあ良い所でね、おれもあの大変な追跡劇の最中でさえ無けりゃあ、もっと長居したもんだが、……
[話は次第に胡乱な方向へ転がり出す。]
[話の内容がいやに派手なスペースシップ・チェイスに及んだ所で、他の場所の話を――と誰かが促した。鷹揚に頷きを返し、懐かしむようにどこか遠くへ視線を送る。]
……なに、今度は“タージ・ファンタ”の話がいいって? おお、おお、懐かしきかの地の昔語りをご所望か!
ありゃあまっこと愉快な所だった、何しろ、あすこじゃあ身一つで人が空を飛ぶのさ。おれも生半可の魔法を使うがね、あの魔法使いどもには叶いやしないぜ。
いやあ、悪の魔法使いに目をつけられて、命を狙われるはめにさえならなきゃあ、もっと長居したもんだが、……
[またしても話が胡散臭い方向へ転がり出す。群衆は怪訝そうにしながらも、その話を聞いている。
麗らかに照る陽射しの下、しばらくの間物語めいた昔語りが続いていた。**]
―タヨーナ市街地の噴水前・昼どき―
[噴水の前で言葉を捏ねくり回す女から少し離れた場所に、精緻なホログラムで中空に描き出された肉体無きAIが、直立した姿勢で主人の紡ぐ物語の終わりをじっと待っている。
無機質なその見目とはうらはらに、人めいた抑揚のある声――ホログラムと同様に、空中を漂う無数のナノマシンが作り出している――で独りごちた。]
……ご主人の悪癖にも困ったものだ。
ああやって、すぐに話を大げさにする……。
[彼はどう演算しても己の顔を『想像』できず、映像を作り出す事が出来なかったが故に、無貌である。
けれどもしも彼に顔があったならば――この時の彼はきっと自己メンテナンス中に、自分を構成するソースコードにバグを見つけた時のような、渋い渋い顔をしていた事だろう。**]
探索者 ミスティ がやってきたよ。
―某エレベーター・早朝―
[旧式のエレベーターはのんびりとした速度で数字を刻んでいた。世間的にはこの移動手段自体も古いものとしての認識が強いかもしれない。
行き先はタヨーナの仕事場に出れる通路。要するに通勤中。同乗者はいない。扉と向き合うように壁にもたれ腕を組みうつむいていた。]
(乾ききらないな。)
[眠りが浅くなるといつもどおりの夢を見る。すっーと通った鼻筋を横切るような火傷跡。それが引かれる瞬間、遅れた消火活動、火災事故の起きたあの日の夢を。
寝起きは最高に悪かった。この移動中も目を閉じていたかった。
それほどに眠気が覚めなかったせいでもあるが、うたたねが目的ではない。
本当に見たかった夢を見たいのだ。
生き生きと育つ植物とそれを喜ぶ自分。
――それは実現しなかった。
まぶたの裏に暗闇が戻り、腰にエレベーターの無機質な壁の感触だけが残った。]
(いつまでもそうやっているから。)
……私は私でいられる。
[扉が開き、光が差し込む。もうすぐ仕事の時間だ。**]
【どこかの通信室】
お問合わせは、宇宙ナンバー1105-150まで──
[──プツ。ソコラを投影していたその画面が閉じられる]
んーーー。
[ひとつ大きく伸びをした。]
[彼女が伸びをしたその場所は、勤める会社の1室。彼女の他にも通信で応対をしている。何かの一覧を表示して答えるもの、何か手違いが合ったのか慌てた声をあげる者、どこかのコロニーの映像を見ている者。]
[彼らの仕事は多岐に渡る、既存の星やコロニーの調査、先程リブラが行っていたようなPRから、問い合わせの対応まで。取り敢えず人手は足りない]
えーっと…次はどこだっけ…。『アノ・ヘーン』か…でもその前にちょっと休憩…[ピピー。ピピー]
…──ですよねー。
[席を立とうとした彼女を止めたのは、一本の通信コール]
──はい、イイトコ・イコー。──支部です。
[そして業務時間は過ぎていく**]
村の設定が変更されました。
>>探索者 ミスティ
大変お待たせして申し訳ありません。
繋<つなたま>→ねこっぷ、魂宝石箱→ようちえんせんきかりんかに変更しました。
23:30までねこっぷ、ようちえんせんきかりんかはこのままです。
―タヨーナ、空と大地の境界壁付近/明け方―
R1T-TYR4M、こちらはR1T-K2RYV。どうぞ。……
R1T-TYR4M。こちらはR1T-K2RYV……どうぞ。……
[大地と空の鏡の境界には、素っ気ない金属壁がむき出しになっている。その壁に沿ってゆったりと上下に泳ぎながら、彼女はコールサインを繰り返していた。
胸元の小さな通信端末はチカチカと点滅しているのに、了解の声は届かない。それもそのはず、彼女も、そしてその通信端末すら、この世のものではないのだから。
そんなことに気づいているのかいないのか、彼女は空を蹴り上げて宙へと座る。そんな仕草も、ふっくらと膨らまされた頬も、彼女が半透明でさえなければ、まるでただの無重力レクリエーションに見えたかもしれない。だが彼女は間違いなく半透明で、彼女の蹴り上げたつま先はなんの風も起こさない。]
「おぅい、返事はあったかい?」
[彼女の下で、朝まだ明けぬ頃から外壁補修に集まった工事人たちが声をあげた。
彼女はぺったりと耳を伏せて、尻尾も力なく垂らしてかぶりを振る。
見つめていた通信端末の点滅から視線を外し、男たちのもとへとゆっくりと降下を始めた。揃えられたつま先は大地に触れず、男たちと視線の高さを合わせて彼女は宙に佇む。]
だめですね。
不要な通信をしてはならない。…と、いうことかもしれませんが、お返事頂けませんでした。
「そりゃあ残念だったな。――ところで、」
[腕時計を確認した男は、そう口火を切った。
外壁の補修箇所の確認。頼まれていたことを思い出して、彼女は名残惜しそうに通信端末から指を離した。その指でスッと外壁を指さして、]
D8X-851-78-58パネルですが、あのままでは腐食がひどくなると思われます。
空気循環口の位置を、調整した方が良いと推測します。
それからD7C-368-17-7わん、わうわ……わふ。…クゥ……
[説明の途中、ゆっくりとあたりは明るくなり――人語を話せなくなった彼女は、ばつが悪そうに尻尾を丸める。
またかよ、と男たちは呆れたように彼女を見上げた。]
[彼らと亡霊を、朝の光が包み始めている。
かつて喉につけられていた、翻訳機のスイッチが切られる時間だ――そんなものもまた、亡霊なのだ。
彼女が生きていた時の設定をただただ、繰り返すだけの。]
[彼女が生きていた時、ここはただ無音の世界だった。コロニーなんて存在せず、窓の向こう、星々が遠くに光るだけの暗闇だった。
彼女は死んだのち、このコロニーの風景に紛れた。
それでも、こんな風景が今の彼女の日常だ。
少し役に立って、立たなくて、ただ佇んでいる。
亡霊でありながら人々に混じって、彼女は存在している。**]
[コロニー内の人工陽光が、星間時刻にあわせて暗く眠っている。雑然とした夜が深くなり、ネオン街のホログラムが一段ときらびやかに写るころ。]
『―…歌は、ディア・コスモス・ハート。…』
[打鍵音まじりの旧いアコースティック・サウンドに打ち消され、街のせわしい電子音が、手懐けられたように打ち消される。
甘く艶のある声音が、やわらかに空気に放たれていく。]
…
"月まで羽ばたかせて"
もう誰も知らない星の 誰も知らない恋人
そこが誰かの 夢だったころ
叶うはずのない 願い事のおまじないが
迷子になってこんな所まで来た
誰も知らない星の 誰も知らない恋人
ねえ
"月まで羽ばたかせて"
小さな 小さなあなたに会いに行く 宙をこえて
―――…
…
[薄く光るホログラムの歌姫。
空気に乗った魔法が、歌に呼応するようネオンを瞬かせる。
…滅多にメジャー・ネットワークに映らなかった彼女が、頻繁にホロステージに表れるようになったのは最近のことだ。
なんでもコロニー廃棄と移住の流れに、懐古趣味のレトロなナンバーが、テーマ・ソングのように流行し始めたのだという。
透けた青白いドレスが揺らめく]
"月まで羽ばたかせて" …
**
探索者 ミスティ はきゅうようをおもいだしたみたい。(またきてね!)
まじっくさいえんすがーる ビクトリア がやってきたよ。
―タヨーナにあるとあるタワーのワンフロア―
[そこはタヨーナの中でも”天然食材を食べるやつら”が住むところ、なんて揶揄されるタワーの一室。
塵や埃もでず、一定の温度に管理された部屋には大きな机と椅子が据えられ、その周囲には資料やソコラが廃棄になるというニュースなんかを映したパネルが所狭しと浮かんでいる。]
……きっとよくもったほうよね。
耐用年数をどの位とそうていしてつくったのかまでは知らないけれど。
[ニュースにふと目を向けて呟いて、そういえばソコラが出来たのは宇宙歴何年だったかしら?なんて検索窓に僅かに視線が向いたけれど、すぐに興味はそこから去って、手元へと戻った。]
[その体躯に対してだけを見ればやけに広々とした机の上に、ところせましと何かのパーツや基盤、何かのメモ、魔術を帯びて輝く鉱石、分解するだけして放り出したらしき機器の数々えとせとらえとせとら。
自分の周囲だけ押しのけてスペースを作った手元には拡大鏡とその下に小さな回路が備えられていた。]
ソコラからさる前にかんせいできるかしら
吾輩は猫である Mr.X がやってきたよ。
―タヨーナにあるとあるタワーのワンフロア―
[ひょいと机へ飛び乗って。パーツを踏んで痛い思いをするなんて格好の悪いことをするはずもなく、するりと机の上の物をすり抜ける。]
まずは自己紹介をするべきである。
自分は誰々ですと名乗りあうことで安心感が生まれる。そう幽霊の正体見たり枯れ蛛B暗がりに潜むものには妖怪の名前をつけろ。そんな感じだ。
さて、というわけで自己紹介だ。吾輩は猫である。名前はまだない。そうないのである。
これは困ったことに自己紹介をしろといったのは吾輩の口であるからして何か名乗るべきだと思うのだが古来より名前のない者は名無しの権兵衛などと名乗るのが作法だと物の本で読んだことがある。とはいえ、権兵衛さんなんて呼ばれることは吾輩好かぬので、ここはまた別の作法にのっとり、Mr.Xとでも呼んでくれたまえ。
どこで生まれたかとんと検討がつかぬわけではなく大体ソコラのココラの薄暗い場所で人間とかいう少し手も足も背丈も吾輩と比べて長めの生き物にニャーニャーと鳴いてみせた事は記憶している。
あぁところでそのパーツではなく、こちらのドッカ・二・アール星から採取された鉱石を媒体に使う方が電導および魔導効率が格段に違うと思うのだが聞いているのかねそこのむすm、
[机に置かれた鉱石を前足で示して見せながら解説を行っていた所に少女の手が伸びて慌てて猫は飛びのいた。]
……わかっているのなら良いのだが返事位したらどうなのだ。吾輩これで何度目の自己紹介になるかわからないのだがね。
[少女に向かってはぁと息がこぼれる。猫だって溜息位つくのだ。**]
村の設定が変更されました。
作りすぎた。ソラリアはそう反省しながら街を歩いていた。
旧式である彼女は未来演算や、不確定項目の演算が苦手だ。
いずれ来るであろうコロニーの廃棄、および新天地での生活等、完全にそれらに該当するものであり。
演算が追い付かずにオーバーヒートを起こしそうだった彼女は、通常の行動で冷却を図ろうとした。
その結果が、山盛りのマフィンである。
マスターに処理を打診した所、己の知るものに『お裾分け』したらどうだろうと回答をもらった。
日ごろお世話になっている者たちに渡しながら、作りすぎた原因を話せば、何か良い助言がもらえるだろうか。
己の欠陥に頭を悩ませていたアンドロイドは、道端に転がっているものに気付いた。
それは、一般成人男性だった。
-未明、珪素屋敷の交錯回路反応槽-
ソコラの外れに係留されたその宇宙船の名前を正しく読める者はおらず、コロニー街の訳知り顔が"珪素屋敷"と呼びならわす船の中では、24時間に一度の生き滅びの儀式が行われている。
世界35°24′S,44°0′Wより分岐し、継体された月の種族は常に時を試みる。彼らの一個体の生は24時間足らずで完結し、次の世代へ自己を更新する。 反応槽の中に沈む月下35°24′S,44°0′Wより分岐せるアルマは、今まさに反応槽内で生まれ変わらんとしていた。
生体活動の終焉とともに、スイッチされた賦活機構が肉体を組み替える。先代の自我を形成していた有機金属ネットワークは遊離し、ブラウン運動に従ってランダムに組み変わった。しかるべき結晶成熟を経て、魂のレチクルから転写され、結晶化し固定されたソリッドメモリが目覚めたばかりの嗣子に接続した。柔軟化した酸化ケイ素ネットワークが自己の礎をつくり、過去の判断と思い出の蓄積として種族記憶との高速問答が急速に自我を発達させる。56億7千万回の問答の末、当代は自己の解放を判断し、反応槽の中で目を開いた。
分岐から54915回目の覚醒は、風景の経時劣化を除けばさして特記するような変化はなかったが、それでも当代は種族の平均値よりも長い期間を反応槽の中で過ごし、焦点レンズを何度も操作した。
それが当代の最初の獲得であったからだった。
当代は己の最初の獲得を繰り返し味わった。
月下35°24′S,44°0′Wより分岐せるアルマのD683世代、これよりの24時間を担う個体は、汎人類の語彙を借りるならば、おそらくロマンチストの気質を備えて生まれ落ちた。
[almaD683 solid memory wrote.]**
[左腕に装着した、ハンドヘルドタブレットの小さなパネルに目を落とす。
F2-d4-09。現在の位置情報(アドレス)が表示されている。幸いにして、この辺りの現在位置管理システムは健常のようだった。
示された位置情報の右側に、《》で囲まれた単語が、緑色で表示されている。それを確認すると、彼は顔を上げ、目の前の中型タワーを眺めた。本来ドアがあったはずのエントランス口は、几帳面に切り抜かれたかのように、ぽっかりと開いたままだ。]
ここは、中に入るまでもなし、っと。
助かる助かる。
[拍子を刻むように、タブレットのパネルを何度かタップする。指先が小さく弾む度、表示されていた単語は切り変わる。単語が表示された時、指先の動きは止まった。黒色で記された単語は、《空っぽ》を意味していた。]
[一連の操作を終えると、彼は隣のタワー前まで歩いた。先ほどとは違い、透明なドアが、エントランスへの侵入を阻む仕事をしていた。中には管理人と思しき姿が伺えた。あるいは、最後の住民なのかもしれない。タブレットの表示に目を移せば、F2-d4-10:《居住者有り》。ここでは操作の必要はない。再び目を離し、次の建物へ――。]
[ひどくゆっくりとした散歩のように、タワーやビルや、かつてはもっと親しみやすい固有名詞で呼ばれていたはずの、何らかの跡地を、彼は眺め歩いた。眺める度に、タブレットの表示を確かめ、時々操作をした。やがて、彼が辿って来た歩道に、交差する道が増え、建築物の規則性も失われ始めた。丁度、そんな時だった。]
[タブレットが、控えめな音を発した。
彼は、画面を確認する前に、反射的に頭を掻いた。]
[周囲には、数棟の小規模な建物群。
タブレットのパネルは、「現在位置不明:《居住者有りの可能性-中》」と表示した。
もう一度彼は頭を掻いた。今度はため息も混ざった。]
[居住者データベースと、実状との誤差は、明らかに過去より増えている。その上、現在位置不明(アドレスエラー)を吐く区画すら少なくない。圧倒的に多い原因は、些細なものだった。微細な通信エラーの積み重ねによる不具合、かつての移住者による登録更新ミス、そして、]
こないだまで無事だったのになあ。
[近頃取り沙汰されている、老朽化。コロニーを廃棄せざるを得なくなるほどの。]
そろそろ管理局も、細かいトコはどうでもよくなってそうなもんだけど。
[位置情報欄へ、既定のコードを打ち込む。《》の中身については、これから確認しなければならない。彼は再びゆっくりとした足取りで、建物めぐりを再開する。どうにも身が入っている様子には見えない。しかし、彼に尋ねれば当然だと答えただろう。このような末端の現地調査は、最早意味の薄い仕事になりつつあったからだ。]
(最期の退去確認には、別の手段があるんだろうし。)
[コロニーの終わりが近いとされる今、近々にでも管理局が直接的に、残居住者の把握に動き出すのは明白だった。それでも。]
(金が出る間は、なあ。)
[することはしなければならない。]
[位置情報に紐づけられた、居住者の有無を示す情報タグ。定期的に担当の区画に赴き、データベースの情報タグと、実際の状態が一致するかを確認する。不一致ならばタグを修正。作業ののち、管理局へ送信する。]
[《》で示される、システム上の札(タグ)を付けながら、街をめぐる。それが、彼ら"札付け"の仕事である。]**
―とあるボロアパートの一室・昼下がり―
そっか……うん、うん。
[スラム街の近くにあり、家賃が安いことで知られるボロアパート。そこにひとりで住む小人族の若者、ムービーは、ワンルームの自室でホログラムの姉と映像通話をしていた。
ムービーの右人差し指にはめられたスマートリングが、宙に浮かぶナノマシンを統制し、目鼻立ちがムービーに似た女性の姿を青白く映し出す。このスマートリングは廉価版であるため、色彩情報の再現力は最新型の物より劣っていた。ただ、ちょっとしたレトロ趣味のあるムービーは特に不満を抱いていない。
耳と首元にきんきらのアクセサリーを飾りつけたホログラムの姉は、ソコラを離れて「ウラヤ・ランドス」というコロニーに移住する計画をムービーに語っていた。彼女は前から移住先を探していたが、今回「イイトコ・イコーコーポレーション」という会社の紹介でようやく新たな住まいを決めたらしい。
ムービーはこれからどうするのと、姉は話のついでのように尋ねた。]
私は……もうちょっとここにいたい。まだ廃棄が決まったわけじゃないし……。
[ほぼほぼ決まったようなもんじゃな〜いと、ホログラムの姉が笑う。通信状況が悪いのか、一瞬ザザっと映像が乱れた。
小人族は人間よりやや短命であるためか、個人主義が基本とされており、家族との絆はそこまで重視されない。(寿命と文化の関係については、定説に疑問を述べる学者もいる。)ムーと姉の関係も、姉妹というより対等な友達同士のようなものだった。
ムービーが髪をかきあげながら、軽く目を伏せる。]
まだ、バイト行かなきゃいけないし。
[そう? お仕事もいいけど、将来のことも考えたほうがいいよ〜と、姉が釘を刺した。それから二言三言話して通話は終了する。ムービーがふう、と小さなため息をついた。
ホログラムのウィンドウが、宙に浮かびっぱなしのままになっている。ムービーはリングをはめた指で空を切り始めた。しばらくすると、どこか懐かしい打鍵音の響きがワンルームに流れ出す。ジャジーな旋律が心地いいのか、ムービーはすっと目を細めた。
"月まで羽ばたかせて" …
うっとりするような歌姫の声に耳を傾けながら、小人族の若者は床の上に―珍しく散らかっている―ごろんと横になった。**]
―からくり屋「ラクリマ」店内―
[目の荒い安物のホログラムによって表示された、イイトコ・イコーコーポレーションから定期的に届く通知をスワイプ、またスワイプしながらもくもくとブロック飯を咀嚼していた。
ぼそぼそして奥歯やら上顎やら喉やらに張り付いて食べにくいのは確かだが、うまく飲料と組み合わせればそれなりに素直に腹に収まる。慣れてしまえば不快感は感じなくなっていった。]
クーキ・オイシー…きれいなところだなぁ。タージ・ファンタも…ウラヤ・ランドスも…一度行ってみたいけど…。
レックス・αかぁ…すごく勉強になりそう。からくり屋、できなくても、他の仕事、見つけやすい、かも。
[移住サポート業者は、フェルムが出した希望に合致した移住先が見つかるたびに「notice!」とアラート付きの連絡をよこしていて、その数は合計すれば1000件近くに上っている。希望がアバウトすぎるのだ。さらにそのどれに対しても、フェルムはアクションを起こしていなかった。]
[まだコロニーの廃棄は先とはいえ、店の商品を全て移住先に移すとなると時間がかかる。早めの行動に越したことはないのだが、フェルムは店を続けるかどうか自体を迷っていた。三年前に店主だった祖父が亡くなり、移住すればなじみの客もいなくなるだろうからだ。]
[工房と比べれば昼と夜というほど明るさの違う店舗の中には、彼の祖父のからくりと自分が作ったからくりが並べてある。棚の上の方には祖父の、下の方には自分の。
玄関口に飾ってある、看板代わりで非売品の「オオタカ」のからくりは、もちろん祖父の作品だ。]
[最後のブロック飯を呑み込み、フェルムは祖父のからくりを一つ手に取った。両手に収まる子猫のからくりだ。かりかりとねじを巻いて、手を放す。決まった動きとはいえ、机の上をころがる愛嬌たっぷりの仕草には頬を緩めてしまう。]
「…お前と、あの鷹だけ連れて行けば、十分じゃないか。ねぇ」
[みゃーと鳴く子猫の背をそっとなでてやり、自嘲気味につぶやいた。]
[店舗では祖父のからくりが時間を告げる。鳩時計だ。アナログ時計はホログラムで再現すれば済む今、物珍しさに冷やかしで見に来る客も多い。もう大方売れてしまって数がなく、注文もあるのだが、フェルムはまだこれを作ることはできない。]
[赤茶色に着色された甘い飲料をのみ干し、またぽてぽてと工房に戻っていった。**]
急なお願いで恐縮なのですが、(たぶん人数的に全員入ってると思いますが)2IDでさらに村入りを考えておられる方は、本日24時までに入村をお願いします。
24時以降に
・見物人さんのゲスト化オプションをオン(見物人さんは村開始直後に墓下へと叩き落とされます)
・更新時間(8時)担ったら自動開始
の設定を行いますので、よろしくお願いします。
―タヨーナ、公園広場/夜―
[噴水の水がはねる音、そして計画的に植えられた木々がサーキュレーターの微風に揺れる音だけが、この公園の環境音だった。
頭上の鏡も、その隙間から見える宇宙にも、数え切れない星々が輝いていた。その輝きは、綺麗に渦巻き模様を作る石畳を照らす外灯よりもずっとずっとかすかなものだった。
だから、半透明の女性は外灯のてっぺんに腰掛けて――実際は腰掛ける必要もないのだけれど――宇宙をぼんやりと見上げている。]
……R1T-TYR4M。こちらはR1T-K2RYV……どうぞ。
[胸元の通信機をチカリと瞬かせて、彼女は小さく呟く。
応答はなくて、だから彼女は唇をつぐんだ。
ゆらりとつま先を揺らして、視線を落とす。]
[コロニーがまもなく廃棄されるらしい。そんな噂はいつの間にか事実になってしまっていたらしい。
どうすれば良いのか、彼女は思案する。]
『大丈夫、お前は勇敢な子だ。行っておいで』
[わずかな記憶の中で、その声と誇らしい気持ちだけは、今も鮮明に残っている。
帰っておいでと、あの人は言わなかった。
いつかあの人はここにやってくるから、帰っておいでと言わなかったのだ。
その証拠に、ここにはいつかコロニーができた。
いつか見ていた人と似ている人々や、知らない人々がコロニーに住んでいる。
だから、いつかあの人だってやってくる。そうして、よくやったと褒めてくれるに決まっている。宇宙船から降りたときに、彼がいつもそうしてくれたように。
もしかしたら、あの人のお気に入りだったあの子より、もう少し力強く撫でてくれるかもしれない。]
……早く、来て欲しいです。
[このコロニーから、また人が減ったと聞いた。]
誰もいなくなっちゃいますよ。
[了解を返さない通信機に、ぽつりぽつりと言葉をこぼす。]
[領域を拓かんと彼女を旅立たせ、そして見事にこの星域にたどり着いた彼女を誇った国――ルチアナのことなど、もう覚えていない。
だから、その国がとっくの昔に――この領域に「安全に」たどり着けるだけの技術を得る前に――滅び、星すら消失したことなど、知るはずがない。
彼女の旅も、予定された死も、全くもって無意味に終わっていることを、知るはずはない。]
――離れたくないなあ。
(コロニーが廃棄されたら、あの人はどこに来るんだろう?)
[通信機は、何も答えを返さない。**]
―居住区・昼―
[寂れた居住区の一軒家。水路沿いに佇むその小さな家の近くで、この人魚は漂っていた]
[目の前の陸地に居るのは、その家に住まう一人の老婆だ。ふとしたことから知り合ったその老婆は、何かとこの飼い主のない人魚の世話を焼いてくれている。一人で食べるのは寂しいと、合成食材の食事を分けてくれることも多い]
[彼女は遠方に水棲族の親類がいると言い、その親類のお下がりと思わしき衣類やアクセサリーを、この人魚に譲ってもくれた。今纏っている緑のドレスもそうであり、デザインは古めかしくはあるも、大切にされていたのだろうことはよくわかる]
[人魚はその好意に報いる術は持たなかったが、一人暮らしの彼女の話し相手となったし、得意の歌を聞かせもした。老婆は拙い言葉にも楽しそうに返事をし、歌を聞けば、合わせて手拍子を打っていた。今日も、そんな時間を過ごしたところだ]
[旋律が途切れた頃合いに、老婆はそろそろ買い物に行くと立ち上がる]
おでかけ?
いってらっしゃい。おばあちゃん。
[老婆が去り、周囲に誰もいなくなる。人魚は少し岸から離れて、ほんのりと濁った水の上に、仰向けに浮かんだ。昼間の光に目を細める]
[さらさらと流れる穏やかな水音。長い髪はそれに合わせゆらゆらと広がる。その様を睡蓮の花――ニンフェーア――に例え、この名を与えたのは誰だったか、もう覚えていない]
―、――♪
[人魚は歌う。水に塞がれた耳の奥、声帯を震わせる音が、奇妙に反響している]
>>35 ニンフェーア
[買い物帰りである。人々が立ち去って行くこのタヨーナで、頼りになるお店は数えるほどしかない。ダクトを潜り路地を分け入り、遠い店からショートカットをしていた所だった。
管理された風に乗って聞こえた声に、ふと耳を澄ます。これはきっと、機材ではない。誰かが歌っている。]
[ふらふらと声を追ってきて―ー水音に気付いて、びたりと足を止めた。(入浴してる女性を覗くわけにはいかないじゃないか!)しかしながら、頭をかすめた人魚の噂。そろりと除くと、確かにそこは水路だ。人魚はどこだろうか。]
あ、あのぅ…
[普段の自分からすれば驚くべきことだが、声をかけた。]
>>36
[さして大きくはなく、癖もなく、ただよく通る声で奏でるメロディ。それが息継ぎに途切れたと、少し離れた場所からの小さな声に気づいたのは、ほぼ同時だった]
?
[ぱちゃり、水を散らして身を起こす。頬に張り付く髪を払って、声の主らしき青年に、視線をやった]
はい!
なあに?
[人を恐れぬ人魚は、微笑んですいと泳ぎ寄る]
>>37 ニンフェ
[やっぱり、何かのスピーカーの音なのかもしれない。声をかけた直後に自分にそう言い聞かせていたところへ、あっけらかんとした声が返ってきたものだから、]
うわぁっ!!!!!
[盛大にしりもちをついた。ブロック飯やらからくりのパーツやらがころころころがっていく。それらをあわててかき集めてから、どきんどきん言っている胸を押さえて、人魚の顔を確認した。わあ、かわいい。噂には聞いてたけど、きれいだ。
きあいをいれるために、ぺしぺしと自分のほっぺたをたたいた。]
……あの…僕…
えっと…歌…人魚さんの…あの…
[要領を得ない様子で単語ばかりを並べている。自分から出かけることは少ないし、お店の客は常連さんばかり。知らない人としゃべるなんて久しぶりで、顔を真っ赤にしている。]
>>38 フェルム
[にこにこと近寄ってはみたものの、その相手が盛大に尻餅をついたので、こちらも流石に驚いて一瞬顎まで水に潜った。頭上に大量の疑問符を浮かべたような顔で様子を見ている]
だいじょうぶ?うん、お歌、わたしだよ?
……うしろ、まだ、落ちてる。
[気を取り直して顔を上げ、ほっぺを叩いたり真っ赤になったりしているのを、瞬きしながら見つめる。やがて首を傾げ、まだ転がっているブロック飯のひとつを指さした]
>>39 ニンフェ
[もし逃げられてしまったのではものすごく落ち込んでいるところだった。男として。いや、別にナンパをしようというわけではないのだ。]
あ、ありがとう。だいじょうぶ。
[落ちたブロック飯を拾って、ふーふーと息で汚れをとばす。3秒ルール…とひとりごちるが、3秒はしっかり経っている。]
えっと…はじめまして。僕、フェルム。
おもちゃ、作ってるんだ。簡単なやつだけど…
[言いながら、鳥の形をした笛のようなものを取り出した。フェルムがそれをそっと吹くと、笛に乗った鳥のからくりがくちばしと羽をぱたぱたと忙しく動かして、1小節のメロディーを繰り返し奏でる。しかしフェルムはそれを自嘲気味に見下ろした。]
…もっと、心のこもった音楽にできるはずなんだ。でもうまくいかなくて。
きれいな歌が聞こえてきたから…なにかつかめないかなと思って。
ご、ごめんね。会っていきなり。
>>40 フェルム
[だいじょうぶと返されれば、よかったと言いたげに笑った。また肩あたりまでを水上に出して、漂いながら見上げる]
はじめまして、フェルム。わたしはニンフェーア。ニー、でもいいよ。
……おもちゃ?
[おうむ返しに呟いたが、取り出された笛を見て口を閉じた。好奇心に充ち満ちた瞳が、鳥のからくりに釘付けになっている。青年が息を吹き込めば、それは動き出して……]
かわいい!
その子もお歌、すきなの?もういっかい聞かせて!
[後半の自嘲の言葉を、聞いていたのかは怪しい。人魚は胸の前で両手を組み合わせ、さえずりをもう一度とねだった]
>>41 ニンフェ
[相手の気取らなさにつられるように、肩の力が抜けた感じがする。ほっと息をついた。]
ニンフェーア。えーと…水連、かな?
君にぴったりの名前だ。よろしくね、ニー。
[笛をかばんにしまおうとして、もう一度とねだられ、前髪の下の眉をひそめてしまった。]
え?だ、だって、君は自分で、きれいな歌が歌える。
こんな、子供だまし…そんな、気を使わなくたって…
[言いながら、視線に押されるように、もう一度吹いて見せた。鳥は同じように、パタパタとさえずりを繰り返す。2度、3度。もういいかな、と口を離して、ニンフェーアの様子をうかがう。]
>>42 フェルム
そうなの?ありがとう。
[自分の名前の意味は、名付け人の顔と共にすっかり忘却の彼方である。でも褒められたのだとはわかったので、ならばお礼を言うべきだと思った]
[そして、再び奏でられる音を聞く。パタパタと動く作り物の羽をじっと見る視線は――彼はその鳥を「子供だまし」と表現したけれど、それこそ、子供のようであった]
とりさん、かわいい。ふしぎな歌声ね。
すてきだったわ、ありがとう!
[満足げにそう言えば、ぱちぱちと拍手をした]
>>43 ニンフェ
本当のことだから。えっと、こちらこそ。
[大昔の神話をもとにした童話をよく祖父に語り聞かせられたことが思い出されて、少し微笑む。ニンフェーアという単語も、確かそのどこかから学んだはずだ。]
[歌を歌う人魚にもらう拍手は、するりと胸に入って、なんだかとても嬉しいのだけどとても恥ずかしくて、水路の風に冷やされていた顔がまた真っ赤になっていた。]
こんなの…全然…全然違うんだ!『本物』は、もっと…
[言ってから、口を結んで、その場に置いていた荷物をかき集めた。]
も、もっと他の、聞かせてあげるから!
お、おじいちゃんのとか…
あの、また、今度…
[一人で場違いな舞台に立たされているような恥ずかしさに襲われながら、内気な男はじりじり後ずさった]
>>44 フェルム
[名前の意味とか、そんなものはよくわからなくても、目の前の相手が笑ってくれた。それが嬉しかったので、鏡のように自分も笑った]
[けれどまた、わからないことに直面する。何故彼が赤くなるのか、そして吐き出された言葉の意味]
??
ちがう……の?ほんもの?
……本物って、なあに?
[人魚には、相手の気持ちを推し量る力がだいぶ欠けている。だから、己の言葉を相手がどう思うかも、考えてもいない。相手がどんな思いで言葉を紡いでいるのかも]
! ほかにもあるの!
うん、うん、聞いてみたい。
また会いましょ、フェルム。たのしみにしてるね。
[だから、また次を純粋に楽しみにしているだけだった]
>>45 ニンフェ
僕のは…僕のは、にせものの、にせものなんだ。
本物の、にせものが、僕には、できないんだ…
[相手が話をなかなか理解しないことに、逆に安心して言葉をぶつけている。なんて卑怯で甘えたなんだろう!きゅうと唇を結んだ。
でも、自分が彼女よりも『大人』であるなら、ちょっと踏みとどまってやることがある。]
あの、あ、あり、ありg…ッ
ありがとう、ニー!聞いて、くれて!
[後は脱兎のごとくだった。閑静な路地にばたばたと慌ただしい足音が響く。無事自分の店に戻れば、慣れない運動にぜーぜー息を切らしてその場に倒れ込んだことだろう。**]
>>46 フェルム
……んー……?
そう、なの。むずかしい。ね?
[あまり回らない頭を頑張って回して、何とか出てきた言葉がそれだけだった。うーんうーん、口元に手を当てて考えていたけれど]
[「ありがとう」「聞いてくれて」。聞こえた声に思考が浮上する。そのとき見えたのは、既に走り去る途中の相手の背中だったけれど]
――うん!こちらこそー!
ばいばーい、またね!
[さっきの相手をまねるような返事を投げて。その背が見えなくなり、足音が聞こえなくなるまで大きく両手を振って。やがて水路が静まり返ると、さらさらと流れる水の奥へ、とぷん、潜って姿を消した**]
"FlyMe_to_theMoon" ディア は "Fly_Me_to_theMoon" ディア に、くらすちぇーんじ!
[タヨーナのチャイナタウン裏にある大衆酒場「ジゴバ」は、酒場というよりオープン・テラスのくせに見通しの悪い、寂れたレストランだった。
なにせ開きっぱなしの壊れたオートマティックドアからは、明らかに並べすぎのスチールテーブルがはみ出していたし、そのくせ客は今やまばらもまばらだ。
奥のカウンターに座ってメジャー・ネットのニュースを眺めるモノ好き以外、てんでばらばらに好きなように、代り映えのしない合成食材を飲み食いしている。
けれど彼女はここが好きだった。
タヨーナはあんまり人が多すぎて、そのくせ誰も古い風景に気を留めないものだから、歌手が一人私服で堂々と頬杖をついて、好物のフェイクフィッシュ・パイをつついていようが誰も気にしないのだ]
―――
『やあ、ディア、今日は歌わないのかい?』
[常連らしい小太りの男が、テラスの空いた所を示してニヤリと笑う。パイを慌てて飲み込んで、噛みつくように笑い返した]
Hi!まだそんなに酔ってないよ、歌わせたかったら一杯おごってよね!
[笑い声が飛び交う。
人は随分少なくなったが、それでもここの空気は変わらないらしい。]
…付き合い悪いって?
最近ココにゴハン食べにくるので精一杯なんだもん!
ニーにもおばあちゃんにも会えてないs あっおばあちゃん元気?まだ出前行ってる?あの人すーぐ苦手な合成食ニーにあげちゃってさあ!
[去りゆく男の背中に愚痴をこぼしつつ、思い出したように店の奥の店主を振り返って問いかける。さあ?と肩だけすくめ返されて、溜め息]
…移住、かあ。
別に…どこにもな…
… …アタシはここがいいのに。…そうじゃなきゃ…
[パイと一緒に傾けていた、グラスをコトリと置く。]
…"月、まで"。
[ぽつり。ささやくように。歌うように。]
【ハナサカ植物研究所タヨーナ支部・事務室/昼】
[机の上には散らばったパンフレット。つけっぱなしのテレビ(といっても、画面が壊れて以来、旧式のラジオほども役に立っていない)からは移住を勧める声、あらゆる惑星の宣伝。]
自然豊か……自然豊かかぁ。
[タブレット端末(会社貸与品である)で移住先候補の映像を見ながら、何個目かのマフィンをほおばる。先ほど彼のアンドロイド(会社貸与品である)が作りすぎた代物だ。一体どんな材料がどんな工程を経て、天然食材並の料理になっているのか彼は知らないのだが、とにかくおいしい]
[先ほどから彼の頭を悩ませているのは、シンプルな問題であった。「移住先をどこにするか」という話である。てっきり会社から指示があるだろうとのんびり構えていたのだが、送られてきたのは異動の辞令ではなく、パンフレットであった。なんでも、「数年ぼっちで作業してもらって悪かったから好きなとこ選んでいいよ(意訳)」ということらしい]
自然豊かだったら研究の意味がなくなる……?
あぁでも、サンプルは取り放題かなぁ。
でもでも、どんな環境でも育つ植物のデータを取りまくったのに、それが無に帰る……?
とはいえ過酷なとこには住みたくないし……。
[アンドロイドはマフィンを配り歩きにいかせた(何しろすごい量だった)ので、部屋には今彼一人である。にもかかわらずぶつぶつと形容するには大きい声で独り言をつぶやきながら、彼は途方に暮れるのだった]
……あぁ、でも、どこに行くにしても、片づけは進めないと。
[一旦考えるのをやめることにして、実験室に繋がる扉を見やる。後処理係として残されてから、必要な書類は全部電子化して本社に送ってあった。自分の荷物も、最低限のものを用意すればよさそうだ(なにせだいたいが貸与品なのだ)。
問題は、ここ数年で溜めこんだ植物の種・球根であった。]
宇宙検疫法、とは、と……。
[タブレット内を検索する。確か会社からマニュアルがでていたはずだ]
研修受けたの、だいぶ前だ。できるかなぁ……。
[コロニーによって持ち込んでよい品種や持ち込み方の規則は異なる。どっちにしろ移住先を決めないと何も始まらないことにまだ気づいていない]
―タヨーナ、センターシティ/夜―
[センターシティといえども、宵の口を過ぎればだいぶ人通りも減ってしまった。通り過ぎるエアカーや、時折レストランや飲み屋に出入りする人が通るくらいで、例え生身を持っていても人と肩をぶつけるような羽目にはならないだろう。
昼間は声高に叫んでいたイイトコ・イコーコーポレーションだって、今は字幕をつけて音量を絞っているくらいだ。]
[その光学広告の前、貸店舗の張り紙が煤けたドアのステップに、半透明の彼女は腰掛けている。
広告からもれる光が彼女の頬を彩ることもなく、光は背後のドアに透けていく。]
…
"月まで羽ばたかせて"
小さな 小さなあなたに会いに行く 宙をこえて…
[鼻歌程度に口ずさむ、ビルの狭間、どこを見るでもなく。けれどメロディには魔法が宿って、大気がうっすらと揺らいで流れる]
こんな所まで、来た
誰も知らないあなた 迷子の わたし、たち
[囁いて、言葉が歌になり、歌が揺らめいて小さな風をつくる。
コロニーの空は狭い]
―タヨーナ、センターシティ/夜―
[ハンドヘルドタブレットの電源は落とされていた。仕事専用のタブレットというわけでもないのだが、こうでもしなければ、位置情報が目の端にちらついてしまうのだ。機器ごとオンオフを切り替えれば、彼は段違いに気を軽くして、往来を遊歩することができた。人の出入りだって気にすることはないのだ……!]
>>52 ライカ
[しかし、見かけたのが、知った顔となれば話は別だった。それも、どうにも半端に思えるところに腰を掛けているとなれば。……これまでも何度か、彼女がそんな風にしていたことがあったかもしれないが、どうにも札(タグ)選びに迷った記憶が勝っている。そんな相手だった。]
[様子を窺うように、少し離れて足を止める。僅かばかり考えてから、声をかけた。]
――こんばんは。なんだか珍しいタイミングで会ったね?
んん……。
[膝を抱えたまま、悩む声を上げる。尻尾は思考の速度を測るメトロノームのように、時折ぱたん、と揺れた。――もちろん、その尻尾が風を作ることなどないのだが。]
>>54 リスリー
[しばしの思案の後、いかにも生者がそうするように、彼女は膝に手を当てた。そのタイミングでの、聞き覚えのある声にぴくりと耳がそちらに向く。一拍遅れてあなたに目を向けて、鼻を鳴らした。
確かにあなただと理解して、わかりやすいほどの笑みを浮かべる。]
――こんばんは。
ほんとうに珍しいですね。お仕事帰りですか?
それとも、あなたもあの広告を見に?
[今は夜時間だ。だから彼女は人の言葉を流暢に話せる。立ち上がろうとした仕草を続ければふわりと宙に漂って、あなたに向き直る。]
―某日常用品店・昼前―
[老いも若きも手軽に寄れる24時間対応の日常用品の店内。
早々にいつもの昼用に気に入っているタイプのブロック飯のコーナーへ向かえば1つ、手に取った。そしてそれに添えるのであろうインスタントのおかずを2パックも手元に加えた。
手に取ったパッケージには鶏らしきキャラクターと揚げ物が描かれている。
これらのインスタント合成食物シリーズはパッケージを開けた瞬間加熱されまるで揚げたてようなものをいただける仕組みがウリだ。
オレンジ色のてかてかした丸い塊が詰まっているだけで見た目としてはつまらないものだが、たんぱく質を取る目的なら喉に張り付きさえしなければ十分だ。
特に感慨もなく購入処理を終わらせれば合成食材店を後にした。 ]
>>48 >>49 >>53 ディア
[「ジゴバ」にはリーズナブルでおいしい食事がいくつもある。パスタの類もその一つで、フェルムは魚介の入ったいつものそれを、いつもの隅っこの席で食べようとしていたところだった。ディアが目に入り、つい「あっ」と大きめの声をあげてしまう。ラジオDJまでやっている有名な歌手が、さもそんなことは関係ないとばかりにパイをつまんでいたのだから当たり前だ。]
…あ、え、えっと…お食事、ですか。
[自分のいつもの席と、ディアの座っている場所をちらちらと見比べるようにしながらそう声をかけた。]
>>50>>51
―ハナサカ植物研究所タヨーナ支部・事務室・昼―
[支部に入ればいつものように曲がり、いつものように歩き、いつものように部屋を訪ねた。そして空いてようが閉まってようが遠慮なく部屋に入る。 ]
セイバリー。肉だ。入るぞ。
[机散らばったパンフレット、つけっぱなしのテレビを見ればため息を飲み込んだように渋い顔をした。移住を勧める声は特に今はうるさく聞こえる。あなたのほおばっているものを見れば]
それは……。ソラリアの作ったお菓子か。
[と独り言か向けた言葉か、半分ずつの言葉が出る。マフィンという言葉が出てこないくらいにはこちらも料理への執着が薄い。食べるべきものを最低限食べていれば後はなんでもいいらしい。
それはともかくタブレットを持つあなたの様子を見れば少々疑問が沸く。何をしていたのか。]
なんだ探し物か?
"月まで、羽ばたかせて"
[最後のフレーズを強く口ずさんだ時、歌が舞い上がってビル風を起こした。
魔女の血を引く声の力は、電波に乗った時よりよほど強い。辺りに転がるゴミや紙くずをあおって、歌は空にのぼっていく]
あ。
…ごめん、ちょっと気持ち入りすぎちゃった。
[アハ、と通りすがりの風に煽られた人に謝って、それからもう一度空を見る]
あーぁ、いっそ船でも買おうかな。
ノアの箱舟?エクソダス?乗せられるだけ乗せて、でもってニーと一緒に、宇宙の海で船を惑わすセイレーンに…
…沈めちゃダメだな。
[アハハ。そうやって他愛もない冗談を行きずりの客たちとかわして、ひと時が過ぎていく。**]
カたコとカたン フェルムは、"Fly_Me_to_theMoon" ディア話しかけるのが遅くなり申し訳ないです!すぐ切っていただいても大丈夫なので〜!
>>57 フェルム
なあに?
―――あっ!ラクリマのー!
[談笑していた所に、声をかけられて振り向いた。見知った人の姿に ぱ、と顔が明るくなる]
久しぶり、どう?お店の方は相変わらず?
最近行けなくてヤキモキしてた所でねー、エールちゃんとあんまり遊べてないから、部品は大してすり減ってないだろうけど…
[昔に彼の店で買った、古い小鳥の名前を寂しげに呼ぶ。ここの魚介おいしいよね、パスタならチリ・ソースがけもオススメ、などと喋りながら当然のように席に近寄った。]
>>54 >>55 リスリー、ライカ
―タヨーナ、センターシティ/夜―
[ゆっくりとしたスピードで夜の街を進むホバーボードがある。乗っているのは一見7歳児くらいの子供に見えるが、実際はとうにハタチの小人族だ。工具の入ったバッグを腰に巻いた彼女は、ちょうど清掃ロボットメンテナンスバイトを終えたところだった。仕事の後は、なんとなくホバーボードのスピードを出す気力もなくなってしまうものである。
珍しく人がいるな、と二人に目を向けたのがきっかけだった。よく見ればひとりは光もすり抜ける半透明。ムービーが親しくしていた亡霊だ。]
……ライカ!
[つい声が弾んだ。ライカとは時々他愛もない会話を交わす仲だった。が、声を発してから、もしかしてお邪魔をしたのかしらと遠慮がちな顔になる。初対面の相手、リスリーを見てのことだった]
あ、すみません。こんばんは。……ライカのお知り合い、かな?
>>58
[廊下を進む足音に気がつくタイプではない。あなたがドアを開けて声をかけてはじめて、タブレットから鷹揚に顔を上げる]
あー、ダマリくん。てことはお肉だ。ありがとう、そろそろ甘味にアクセントが欲しかったところなんだ。
そう、ソラリアくんがね、焼き過ぎたって。計算機能がついてるはずなんだけど、どっかがビジー状態なのかなぁ。
[ダマリくんも食べる?と言いながら、今更のようにコーヒーがあったなと立ち上がった。壁に埋め込みのドリンクサーバーは、彼がコーヒーしか飲まないため今やコーヒーメーカーとしての機能しか果たしていない。2人分のコーヒーを用意する]
探し物というか考え事というか。ほら、もう移住しなきゃいけないだろ?そしたら宇宙検疫法に触れないように種をパッケージングしないといけないし、持ってかないものは誰かにあげるか処分しないといけないんだよね。
物によってはコロニーが爆発したあと宇宙を漂ってどこかの星で繁茂しかねない代物だから……慎重にやらないといけないんだけど……。
[とタブレットとあなたの顔を交互に見ながら困った顔をして話すのだった]
>>60 ディア
[明るい社交的な雰囲気の人の話を聞いているのは、まったく嫌いじゃない。好きなくらいだ。ただ、自分の会話のヘタさが浮き彫りになってしまうのだけども。]
いつも、ありがとうございます。[ぺこり。]
ディアさん、忙しそうですから。歌、いつも流れてて…
エールも、かまってやると嬉しそうですもんね。
[こく、こくと頷きながら間を見てパスタをほおばる。]
おいし。…ああ、チリ・ソース…おいしいらしいですけど…僕辛いのがちょっと。
移住した先でも、たまにはこんな食事が食べられれば、いいんですけど。
[もぐもぐ。]
>>55 ライカ
[あなたに笑みが浮かんだのを確認すれば、一歩を近付く。会話をするに自然な距離にしようとしてのことだ。]
そんなところかな。位置情報から解放されたから、帰宅がてら自由な散歩を少しね。
広告は――、
[言葉を受けて、宙に漂うあなたを照らす光の元へ、首を向ける。光学広告に踊る文字列は、近頃、よく見かける例の会社のものだ。]
今気付いた。イイトコ・イコーの移民プランか。
……やっぱりそろそろ、ちゃんと考えといた方がいいんだろうなあ、こういうの。
[独り言のようにいくつか呟きを漏らして、あなたへと視線を戻す。]
俺も、ってことは。そっちこそ広告を?
座り込んで見る程の宣伝文句があったとか?
[出会った時のあなたの様子を思い描いて続けた言葉であったが、少々意地悪く響いたかもしれない。リスリー自身も言い終えてから気付いたのか、誤魔化すように、少々首をすくめてみせた。]
>>63フェルム
こちらこそ。
あの子が居るから歌ってられるようなものだしね。
ホント、ちょっと前までは気ままに歌ってられて楽だったんだけど…移住推進メディアに歌を使わせてくれって言われたころから、ひっきりなしでしょ。毎日。聞き飽きてない?
[いつも流れてて、の言葉に指をクルクルと頭の上で回して、笑う。
けれど、続く言葉に顔が曇った]
移住。…するの?いつ?
…だったら、エールはキミに返した方がいいのかな。
>>61 モモ (>>64 ライカ)
[首を竦めた丁度その時、弾むような声がした。声の方を見れば、近付くホバーボードとその主の子供……いや。この時間帯に出歩くなら、そのような種族だろう。多様な種族の住まうタヨーナ育ちのリスリーであっても、自種族に合わせて考えてしまう癖はあるものだった。]
ええと、こんばんは。
んー、そうだね、知り合いって言ったら知り合い……かな?
[言葉は曖昧に濁る。リスリー自身、どういう関係性か掴み切れていないところではあった。馴染みの顔だということには間違いがないのだが。ぼんやりとした同意を求めるような視線がライカへと流れた。]
>>66 ディア
僕何度も言ってますけど。
とても、お似合いですよ、エールとディアさん。
[祖父の鳥は、リアルなデザインのものも、金属のパーツでできたものも、両方とても気品がある、とフェルムは思っている。エールとディアが一緒にいるのを見ると、フェルムは幸せ半分、完全に修理してやれない悲しさ半分、複雑な気持ちを抱えるのは確かだった。]
…えっ。ディアさんは移住、しないんですか?
僕も…全然、決まってないんデスけど…いつかはしないとだから…
[エールを返すと聞いて、がばっとそちらを向いた。]
どうしてそんな!エールはディアさんと一緒が一番ですよ。…確かに、修理は難しくなっちゃうかもですけど…
[店をたたもうかとも思っているしとはさすがに言えなかった。]
>>64 ライカ >>67 リスリー
[ホバーボードを止めて、二人のそばに歩み寄る。身長の差から自然と見上げるような形になるが、慣れたものだ。あまり長居はしないと思われたので、ボードはその場に置きっぱにした。
リスリーの言葉は曖昧なものだったが、その言葉と視線の流れでムービーもなんとなく察したらしい。あまり深い追求はせず頷いて、ライカの問いかけに「うん、仕事帰り」と答えていた]
はじめまして、だね。私はムービー。ムービー・モモ。好きに呼んでいい。
[自己紹介するのが礼儀だろうと思い、リスリーに名を述べた。ふと、二人の顔のさらにその上に、例の光学広告があったことに気づく]
イイトコ・イコーの広告、こんなところにまで……。
そうだ、ライカ。聞きたいことがあったの。
……このコロニーがなくなったら、ライカはどうする?
[ちょうど二人がそのような会話をしていたとはつゆ知らず、ムービーは犬亜人の亡霊に尋ねた]
[それは小人の女性が声をかける前だ。]
>>65>>67 リスリー
「今気づいた。」
お疲れ様です。――位置情報だけじゃなくて、ホロからも解放されたかったみたいですね。
[そんな軽口を叩いたけれど。
つぶやきを犬の耳がとらえて、浮かべていた笑みが少し、落ちる。
あなたに何かを問おうとして、けれどあなたが疑問符をこぼしたから、その問いは今はまだ、飲み込まれた。]
たくさん広告が並んでいるから――
[答えかけたところで、聞き覚えのある声。>>64
見上げた視線はあなたとかち合って、あれ、と彼女は首を傾げた。鼻から呼吸を伴わない、鼻声を上げる。]
お友達だと思っていましたが、少し違う……でしょうか。
[構ってくれる人はお友達だ、と思っていたけれど。
彼の何を知っているのかと問われれば、あまり知らないような気がする。]
>>62 セイバリー
[のんびりした受け答えが返ってくることは常日頃からだが。全て許容できているわけではない。もう少し食事への受動的な態度は直してほしいものだが。
あなたに差し出した肉のパッケージを押し付けるように差し出せば、いくばか眉間を押さえるであろう。]
ああ、肉だ。
そろそろ君は自分から味のアクセントを付けにいくことを学んでくれないか。
作りすぎか、いわゆる彼女は心配性であるから君があまりに物を食べてないのを見かねたんじゃないか?
[適当な推測の元で嫌味を投げつけながら勝手に事務所の余った椅子に座りこむ。そうしてあなたが用意してくれたコーヒーを受け取りいただく。
ここまでの行動は研究所に来たときのテンプレートのようになっていた。]
>>68 フェルム
ありがとう。
子供の頃ママが買ってきてくれてからずっと、エールは私の友達だから。
ふふ、キミだってそうでしょ。
ステキなあの子達に囲まれてる時がいちばん生き生きしてる。
[古い店の棚を思い出しながら言う。AIがなくても、あの店にある「玩具」は皆、触れれば職人の手の中で生きているのだとわかる。]
考え中でねー。どこに行くっていっても…
…今はね、声は出なくなっても、歌えば一緒に動いてくれるけど。いつかまた歌える時まで、キミの所にいた方がいいかもって。
どこかで元気にしてくれてる方が…
いずれ置物になったあの子を見るのは、ちょっとね。
[曖昧に笑って、席から立ちあがった]
>>71続き
コーヒー、どうも。
……移住か。
[あなたに肉を渡すこともできたし昼休みを割いてでも来てみたのは正解だった。
人が減れば現場の仕事も減る。増えたのは移住関連の手続きだ。面倒な午後の業務時間もここで潰してしまおうか。少々ならば問題なかろう、そんな打算をしていた。
だが移住関係の話は耳が痛い。自分も行き先を決めていないからだ。
山のような広告やパンフレット全てに目を通す時間も、腰をすえて考える時間がないくらいには忙しい。そういうよくある理由もあるのだが、何よりも気が重い。
この場所から離れることはダマリにとって抵抗があった。
ブロック飯をコーヒーで流し込めば目の前の会話に戻る。]
一覧はないのか?仕分けぐらいなら手伝える。
前もそういう雑務はしていた。
>>68 フェルム
また、あの子と一緒にお店に行くから!
[ポン、とフェルムの肩を叩いて、店主にクレジットを渡して去った。
ついでにパスタの料金まで一緒に支払っていったとそちらが気付くのは、たぶん退店するころだ。**]
>>72 ディア
[ペットは主人に似てくるものだという。おもちゃもそうだろうか。そんな想像をして、はにかみ笑いを浮かべた。]
…でも、僕は、その…未熟者で…。
[少し、うつむいて。かちゃりと、フォークが皿とぶつかった。]
あ…ぅ…そう…ですよね。でも…あの…
[ディアさんのこと、お客さんのからくりのこと、うちに残っているからくりのこと。全部いっぺんに口から出そうとして、喉でみんなつんのめった。]
あの…まだ、時間ありますから。僕に預けちゃったら、いつまた渡せるかわからないですから。
[やっと、それだけ口にして、立ち上がるディアを見ている。]
村の設定が変更されました。
>>74 ディア
はい。…お待ちしてます。
[叩かれた肩がなんとなくあったかい。
おいしいスープが絡んだパスタの残りをもくもくと食べながら、あれやこれやと修理する方法を練っていた。
支払いをしっかり自分の分まで済まされていたと知れば、その場でぴゃっと飛び上がっていた。**]
>>75 ライカ
[思っていたよりもきっぱりとした答えに、ムービーは目をぱちくりさせた。ムービーはライカの過去についてほとんど知らない。どういう訓練を受けたのか、どうしてここに来なければならなかったのか、あるいはどうして死んだのか――。]
私は……さすがにコロニーの廃棄が決まったら出ていくかな。家と、空気と、食べ物がないと生きられないから。
ライカは、この場所にずっと、ずーっといるのかな………。やっぱり、『待ってる人』のために?
・入村締め切りました。
・ゲスト化オンしました。見物人さんは明日の8時になったら新天地へたたき込まれます。
明日8時に1dが自動開始となります。
よろしくお願いします!
進行中、不明点あれば匿名メモなどでお気軽にご連絡下さい。
>>69 モモ >>70ライカ
[ライカが答えを言いかけていたことも、今の話題の向こうへ流れていってしまっていた。]
[お友達だと思っていましたが。そんな答えに、眉が寄った笑みを浮かべる。]
そうだな、少し違う気がする。好意的にしてくれるのは嬉しいけど。
……でも、赤の他人って言うには、会い過ぎてる気がするな。
知り合い……顔なじみ。うん、顔なじみかな。
[そんな結論を出したところで、小人、ムービーの自己紹介を受けた。関係性が曖昧なら、それこそ先に名乗るべきだったか。そんな考えを抱いて、リスリーはバツが悪そうに頭を掻く。]
ああ、ごめん。どうも。俺はリスリーって言うんだ。よろしくムービー。
[自己紹介を返した後、始まった会話に、なんとなしに耳を傾けていた。移住についての話。リスリー自身は移住に対し、ぼんやりとしたビジョンしか抱いていない。それ故に、二人の話に興味がわきもした。しかし、]
>>78 モモ
[過去はあまり話していないだろう。何しろ覚えていないことが多すぎる。なんのために、すら覚えていない。]
そうですよね。
……わたしだって、空気がないと死んでしまう気もしますもの。
[亡霊は死んでいることに気づいている。だが、やはり空気がなければ死んでしまう気がした。彼女の生前、夜しか人の言葉を喋れなかったのと同じように、生前空気がなければ生きられなかったように。
食事がいらないのは、それが彼女の死の原因だからかもしれないが、そんなことを考える脳は存在しない。]
――いたいと思います。"あの人"がここに来るまで。
帰っておいでとは、言われませんでしたから。
でも、死んでしまったらお仕事を達成したとは言えないとも、思っていて。……
だから、わからないのです。
[胸にぶら下げた通信機に、半透明の指でそっと触れる。お化け端末はもちろん電波を受信することもなく、沈黙したままだ。]
>>71 >>73
[もとよりあなたも承知の上だろうが、嫌味に気づくたちではない。インスタント揚げ鶏の蓋を開けて、立ち上る湯気をぱたぱたと扇いでいる]
必要な分の栄養は取れてるはずなんだけどなぁ。そのためにデザインされた植物だし。まぁそのまま食べるもんじゃないから、それやると怒られるけども。
[いつものごとくのやりとりは、コーヒー一口で締めくくられる。そう、何はともあれ移住の話だ。少し嫌そうなあなたの口ぶりに少し首を傾げながらも、広げたままろくに目を通していないパンフレットをつまみあげる]
一覧、多分あったと思うんだ。この辺に。
一応会社の支部がある場所に限られるし、それぞれの支部でやってること微妙に違うから、そういうのどこかに書いてあった気がする。
……ひっくり返してればそのうちでてくるかなぁ。
ダマリくん、もう行くところ決めた?
わたしは全然なんだよなぁ。環境とか仕事場の規模とか研究内容とか、考えること多すぎて。、
上が決めてくれるとばっかり思ってたんだけどねー。
>>79 リスリー
[話を進めすぎてしまったので時を少しだけ遡らせてほしい。リスリーとムービーで自己紹介を交わした直後くらいのことである。]
よろしくリスリー。……ライカの前だからついタメになっちゃったけど、ほんとは年上だよね。もうコロニーも人が少ないから、こうして新しい『顔なじみ』が出来たことは嬉しい。
[そう言ってムービーは少し微笑んだ。その後に、ライカと踏み込んだ話を始めただろうか。]
>>84 リスリー
[良いことを思いついたのだ!]
ありがとうございます!
――わたしは人を待っているのです。
ご存じでしたら、教えてもらえませんか?
このあと、どこかで見かけたら……教えてもらえませんか?
[そうだ。彼とは別の場所で何度か会っている。つまり、このコロニーのあちこちを歩いているということで、人がいるかどうかを調べているわけで、それなら"あの人"のことだって知っているかも知れない!
期待にうっすらと半透明の頬を赤らめて、あなたに尋ねる。]
その人は……名前は、覚えていません。
でも、特徴ならわかります!
目が二つあって、鼻がひとつあって、口もひとつです。
髪はちょっと薄くって……あっ、指は五本あります!
>>82
[散らばったパンフレットを肩をひそめる。のん気(そうに見える)に湯気を扇ぐあなたに視線を戻せば。]
のんびり全部ひっくり返していたら廃棄が始まってしまうぞ……。
電子データならなんとかしてやれたが、紙でこうなってしまっている以上どうしようもない。手動で探すしかあるまいな……。今少しやってやるが、残りはソラリスにも手伝ってもらえ。
[そう言い終わるか否か机の上のパンフレットを中央にまとめ始める。一部をトントンと揃え中身を確認しながら質問に応えた。]
私は決めていない。廃棄の時期はまだ決定したわけではないだろう。
まだ時間はある。さ。
今の仕事ならどこでもつぶしは利くだろう。いざとなったらダーツででも決めるさ。
まあ……
[続きを飲み込みそうになる。だがあなたに言うのであれば負い目は少なく気も使われない、そう思えたから続けた。]
……植物が育てられる場所がいいか。その選択が私にとっていいかは分からないがね。仕事を変えて距離を取ったが、結局は。諦めきれないらしい。
君は変わらず研究なんだな。
>>80 ライカ
[ライカは空気がなくても平気だと勝手に思っていた。が、本人が無理だと感じているのならそうなのだろう。ムービーはライカ以外の亡霊を知らないのだから、彼女の言うことが全てだ。
ライカの語る"あの人"のこと、仕事のことも、ムービーは静かに聞いていた。
機械いじりを仕事にしているからか、霊体になった通信機にどうしても目が行ってしまう。触れることが出来なければ、修理することも出来ない。修理できたとしても、通信相手は恐らく――。
それでもひたむきに過去を見つめる犬亜人の純粋さが、ムービーにはまぶしかった。]
みんな、ずっとここに住めたらいいのに……。ライカはその人を待って、私は……今まで通りの暮らしをして……。
[そこで、リスリーが冗談に包んだ遠慮の言葉を口にしたのだろうか]
>>81 リスリー
[お邪魔だなんて、と言おうとしたところでライカがリスリーを呼び止めた。何を言うんだろう、と聞いていたら]
>>86 ライカ
……ライカ。その、その特徴に当てはまる人は、まだソコラ中にいるんじゃないかな。
リスリーさんだって、目が二つで、鼻がひとつで、口も一つだよ。髪はふさふさだけど……。
[ほら、とムービーはリスリーの顔を手で示した。身長が低いので、腕を伸ばしても全く届かなかったけど。]
>>87
[同じように肩をすくめてみせた。電子データの方が助かったのに、という気持ちはこちらも一緒だ。むしろ紙の方が珍しくなった今となっては、いまいち会社の意図が読めない。並べて比較検討できるようにという心遣いなのかもしれないが、生憎と散らかるだけである。]
うちの会社、なんだか知らないけど紙が好きなんだよね。さすがに研究データとかは電子化してるけど……あ。そうだ、スキャナーがあった。会社の備品だけど、いいよねもう。使っても。
でもあれ、一世代前のやつだから、結構時間かかるんだよなぁ。手動でやった方が早いかもね。ありがとう、ソラリアくんに頼むよ。
[目についたパンフレットを見ながら、揚げ鶏に手を出している。マフィンとコーヒーと揚げ鶏の組み合わせが良いとはとても思えないが、気にすることはない]
ダマリくん、優秀だからどこでもなんとかなりそうだね。電気技術がメインのところを探すといいんじゃない。
あ、ダーツ。ダーツで探すのいいな。データアーカイブで見たことあるよそういう動画。星系間ダーツの旅。
>>90 リスリー
[その時、リスリーの視線につられて、実はムービーもライカの方を見ていた。見た目が同い年くらいなので同い年くらいのつもりで話していたけど、ライカは実際おいくつなんだろう?というのはまだ怖くて聞けていない。これから先もずっと聞けないのかもしれない。]
[そして、あなたが少し言いよどんでから言った言葉に、へぇ、と感嘆したような声を上げた。常日頃、ぼんやりとした表情から動かない彼の顔も、植物の話となると輝くのである]
あぁ、そういえば植物、好きだったよね。実験場につめてた頃、そんな話をした気もする。
いいね。いいと思う。なんなら好きな種持っていくといいよ。わたしが勝手に開発したやつなら、好気呼吸生命体が生きられる場所ならだいたいどんなとこでも育つし。なんなら大気組成がヒトの生きられないような場所でも育つようなのも作ったし。まぁこれはわたしが死んじゃうから没になったけど……。
[とそこまでずらずらと並べ立ててから、いつものとぼけた表情であなたの問いに答える]
そりゃまあ。わたし、研究しかできることないしね。
なるべく自分の研究が活きるところに住みたいなーっていうのが一番かな。
>>88 モモ
[彼女の願望に、頷く。この地に悠久にとどまって、人々の交差していく姿を眺めているのは、彼女や彼と言葉を交わしているのは、そして"あの人"を待ち続けるのは、どんなに楽しいことかわからない。
だが、それが願望なのも、薄々気づいてしまっている。]
>>89>>91モモ、リスリー
ありがとうございます!
[勢い込んで胸元の通信機を握りしめて、彼女は少し身を乗り出した。――が。ムービーの指摘>>89、そして頭痛を抑えるような彼の仕草。
乾かぬ眼をぱちぱちと瞬かせた。]
……。……本当ですね。
種族……は、リスリーと同じだと思います。
背は……ええと……そんなに高くなくて。いつもズボンを履いていたから、男性かなと思います。髪も薄かったし。女性は大抵、髪の毛ふさふさですよね。あとは……
[頬を両手で押さえて記憶を掘り起こす間中、視線はふらふらとさまよっている。]
……鉛筆のにおいが、していました。
あと……袖を、このマークのカフスで留めてました!
[たどり着いた、一番の、けれどささやかな特徴。刻み込まれた国を示す紋章が見えるように、通信機をそっと持ち上げて見せる。]
>>95 ライカ (>>リスリー)
[ライカが語る"あの人"の特徴を、腕組みしながら聞いていた]
性別も、そんなはっきりしてなかったんだね……。勝手に男性だと思ってた。というか、好きな人なのかと……。
[改めて、ライカについてはわからないことだらけだということを再認識する。ライカが通信機を持ち上げてみせると、つま先立ちをして紋章を覗きこんだ]
……? 初めて見るマークだけど……。
[リスリーなら何か知っているだろうか、と、今度はリスリーの様子をうかがう。]
>>95 ライカ
[ライカが懸命に記憶を探り、情報を足してくれる。その最中、リスリーは知らず動いていた指を、今度は意識的に動かして、おもむろにハンドヘルドタブレットを起動していた。位置情報をなるべく意識しないようにしながら、手早くピンチアウト。メモ領域を呼び出す。指を滑らせ、聞き取った内容を留めていく。]
ヒト、男で、中背くらいか?
においは……あんまり活かせる自信がないな……、
[念の為、メモには残した。]
……お、それは一番役に立ちそうな。ちょっと記録するよ。
[最も特定に近づくであろう情報。声に喜色が混ざった。持ち上げられた通信機を、タブレットに映像記録として残す。]
>>97
[そうして、ムービーに様子を窺われていることに気付けば、先にかぶりを振ってみせる。]
や、俺も見た事がないけどさ。もしかしたら、知ってるやつはいるかもしれないしな。訊けそうな時は訊いてみるさ。
ついでに、ライカが人を探してるってことも広めとこうか?
[最後の問いは、ライカへ向けられていた。]
>>92
その主義は理解できないな。データのほうが整頓に割くコストも低い、検索もしやすいだろうに。
スキャナーか。もう少し新しかったら手でやってる間に動かしておくのもよかったかもしれないが。
君もぼちぼちやれよ、君の事なのだから。
[こちらの揚げ鶏は一ついただいて放置されたままだ。湯気が徐々に弱くなっている。
手元のパンフレットの束を一旦まとめたら少しばかり机を離れる。
二口分ぐらい残ったコーヒーを飲みほした。]
私が優秀かは知るところではないが。優秀だからと言われて過剰労働させられる場所は避けなければならないな。
星系間ダーツの旅ね。私は見たことはないが同僚が話していたのを聞いたことがある。第一星人がどうだの、やらせじゃないかだの。なんだかんだで話してるうちは楽しそうではあったがね。
なんにせよ楽しいノリで決められたらいいさ。
>>94
[だろうな。君はそういうやつだ。安心したかのようにふ、と息を零す。だが先ほどまでよりあなたの顔は見なかった。]
ああ、好きなんだろうさ。今でもな。その頃にも話しただろうな。もう昔のようだが。
種を外部の人間が持っていていいものか?こんなに放置された場所で今更か。
はは、その種死ぬまで身体に埋め込んでおけば墓場で咲くかもしれないぞ。
そうだな……私に必要だと思えたら貰っていくさ。
そうか。いいな君は。信条があって。
[そっけなく返しそれからはまた机の整頓に戻った。
パンフレットの整頓が一段落着いたら仕事に戻るためにこの部屋から去るはずだ。
ダマリの分の揚げ鶏は冷えはじめていても、部屋に残ったままだろう。**]
>>97 モモ
大好きですよ! ムービーも、家族は好きでしょう?
[同意が返ってくると信じて疑わない笑顔をあなたに向ける。それはとても確実性の高い情報を思い出せたことへの歓喜も含まれていただろう。]
>>98 リスリー
よかった! ありがとうございます、お願いします!
[タブレットに写りやすいよう、通信機をそちらへ近づけただろう。
尻尾を盛んに振って、今にも飛び跳ねそうなほどだ。
向けられた問いには、こくこくと何度も頷いた。]
嬉しい。すごく嬉しい。
ありがとうございます、リスリー、ムービー。
わたしに何かできることがあれば、何でも言って下さい。
何をしたってお礼に届かないくらい、嬉しい!
[歓喜の万歳から、あなたに飛びつかんばかりだ。避けられても、避けられなくても、あなたに触れることなどできるわけもないのだが。
――もしあなたがその紋章について調べたなら、あるいは詳しいものに聞いたのなら、宇宙開拓史の黎明期に遥かな星域まで宇宙船――当時はロケットと呼ばれていたが――を片道切符で飛ばした、とうの昔に滅びた国と知れるだろう。
そして、そんな国の住人が、すでに生きているはずがないことも。]
>>101 ライカ
[映像記録として残す……つもりであったが。記録を確認する。果たしてその姿は残されるものだろうか。半透明とは言えど鮮明に肉眼に映っているとはいえ、彼女も、彼女の掲げるものも、実体のないものだ。機械はそれを捉えられたのだろうか。捉えられずとも、手描きでなんとか特徴は残すのだけれど。]
[彼女の喜びように、頬を掻いた。飛びつくような勢いで、自分をすり抜けたかもしれないあなたへ、眉を寄せながら、仕方なさそうな笑みを浮かべて。]
水差して悪いけどさ、
協力する、ってだけで、見つかるってわけじゃないんだぞ。
だから、お礼のことはまだいいよ。な?
[今度はあなたをなだめるように、ひらりと手を振った。]
[――生憎、この男は、文献との接触もほとんど持たない。なので、自力で事実を知れる可能性は薄かった。この住民流出期に、宇宙史に詳しい者が残っているかも怪しい。残っていたとして……今は、そんな事実は知れない。知れないがために、]
会えたらいいな、そいつと。
[こんな言葉も言えてしまう。]
>>98 リスリー
[てきぱきと手を動かすリスリーの姿が、ムービーにはなんだか別世界の人物であるように感じられた。リスリーにかぶりをふられると、ムービーは「そっか」と小さく返す]
私の知り合いに、その方面に強い人はいないから……。ここはリスリーに頼りたいところだね。
調べれば、手がかりくらいはつかめるのかも。
[とは言うものの、ムービーの声色はあまり明るくない。ムービーは――ライカには悪いと思いつつ――亡霊が待ち人に会えることを、ほとんど信じていなかった。かといって、リスリーの調査に水を指すようなこともしなかったが]
>>99 >>100
なにせ歴史が長いからね、うちの会社。その分なんか、慣習とか?あるんじゃないかなー。現場としてはちょっと困るよね。
わたしはーなやむのにーいそがしいんだよー
[あなたの小言は不思議な抑揚で受け流してしまった。]
移住先の法律にもよるけどね!生態系を狂わせるから、外部からの持ち込みは結構大変なんだ。ま、どこにでもある植物ならそんなに心配いらないよ。持っていけない分はどうせ処分しちゃうから、貰ってくれた方が草たちも喜ぶよ。や、草に聞いたことないから分からないけど。
墓の下なら余裕だね。なんなら、宇宙葬にされても芽吹くような種にしたら面白そうだ。
[信条?と首をかしげたが、特に返事をすることはなかった。信条と言えるほど強い気持ちだと思ったことはない。好きなことをやっているだけだ。]
[そうしてしばらく整理整頓を手伝い――本来自分の仕事だが、どうみても手伝っているようにしか見えなかった――出て行くあなたを手をひらひらさせて見送る。残された揚げ鶏は、遠慮なくひとつ口に放り込む。それからマフィンを手に取って、ふと気が付いた]
……あ、そっか。種、配り歩けばいいのか。**
>>102>>103 リスリー、モモ
[「真・恐怖の心霊写真! カメラが霊界の姿をとらえた! 呪いの通話が今夜あなたを襲う!!」なんてホロ番組で流されてもおかしくない、本物の心霊写真があなたのタブレットに記録されただろう。恐怖を呼び起こすものかどうかは別として。]
[すり抜けてしまったことに照れて身を戻した。それでも尻尾はちぎれんばかりに揺れている。照れ笑いをムービーにも向けてから、]
でもあの人がいたらきっと、見つかります。
わたし一人じゃないのですもの! わたし一人で探すより、基地からの通信を待つより……ずっと、可能性がありますもの。
[なだめる手に従って、はち切れんばかりの喜びを押さえ込もうと頬をぎゅっと両手で押さえる。]
――はい!
それに、……協力して頂けることが、嬉しいのです。
リスリーにも、ムービーにも会えて。
会えると良いねって、手がかりがつかめるかもって、そう言ってもらえることが。
すごく優しい人で、それが嬉しいのですもの!
>>101 ライカ (>>102 リスリー)
家族……。そっか、その人はライカの家族だったんだね。
[自分の家族に対する感情は、言わないままに受け流した。別に家族が嫌いなわけでもないが、ライカの言う「好き」とは温度差があってしかたがない。
ライカがこれまでに見たことがないほど嬉しそうなので――この場で一緒に喜ぶのは違うだろうと思いつつ――、ムービーは「良かったね」と声をかけて力のない笑みを浮かべた。]
そうそう、ライカ。お礼はまだ早いよ。
……報酬はちゃんと成果を上げてからにしないと。
[リスリーの言葉に言い加えるようにして、ライカをなだめる。しかしその後の言葉には何もコメントせず、ただ曖昧な表情を浮べていた。]
それじゃあ、話にオチも付いたみたいだし、私はこのへんで失礼しようかな……。
[ムービーが置きっぱなしにしていた青いホバーボードをチラリと見る]
>>106 モモ
[「良かったね」、そんな言葉に大きく頷く。自分の喜びが大きすぎて、あなたの様子が沈みかけていることに気づけなかった。
だから、彼女はとても大きく頷くのだ。喜色満面の表情で。]
はい!
――あ、ムービー。
ごめんなさい。あんまり嬉しくって。でも、またお話したいです。
ムービーの行く先も、知りたいですもの。
こうやって過ごせる日が少しでも長いのも、嬉しいですもの。
[それはさっきあなたが願望のように呟いた言葉を受けてのものだ。
ホバーボードへの視線を追うようにこちらもボードを見たけれど、言葉のうちに視線はあなたへと向いている。]
>>105 ライカ (>>106 モモ)
[こんなにはっきり映っていれば、まさにホロ記録なんですよということで収まってしまうだろう。見せて回っても全く問題なさそうだ。ほ、と息をつき、タブレットの電源を落とす。]
それは、一人よりかはマシだろうけどさ……、
[通信。僅かに引っ掛かりを覚えたものの、それもするりと抜けていく。なにせ、受信する通信機が非実体なのだ。]
まあ、うん。やれるだけ、な。
[どうせ仕事もどんどん暇になることだし。喉まで出かかったそんなぼやきを封じながら、ライカをなだめる手を揺らしていた。]
……こそばゆいな、なんか。
[はち切れそうな量の嬉しい、を持て余して、視線が泳ぐ。視線が泳いだ先で、ムービーが帰宅をほのめかす。]
ああ、俺もそろそろ帰り道に戻ろうかな。
明日からほんの少し――["記録"の増えたタブレットをこん、とつつく]、忙しくなりそうだし。
>>105 >>107 ライカ
[ライカとリスリーを見上げ続けるのもそろそろ辛くなって、ふいっと視線を地面に落とした。友達が喜びの声を一つ一つあげる度に、「これはいいことなんだ」と自分に言い聞かせるも、胸を剣で貫かれるような痛みはどうも打ち消せない。ライカの顔に笑みが浮かぶほど、こちらの顔から表情が消えていくようだ。
ムービーは、ライカの内に宿る、愚かさとも呼ばれそうな純真さが好きだった。しかし、その純真さを守るために、自分は何かとんでもない裏切りを働いているのではないか。そんな考えが頭をよぎる。
そろそろ帰るというムービーの話に、ライカはまた話したいと言ってくれた。一緒に過ごせる日が少しでも長いと嬉しいと言ってくれた。自分は、彼女のまっすぐな感情に、何を返せる――?]
ライカ、あの。
[ムービーはかけらほどの愛想笑いも浮べずライカに向き合った。でも、口がぱくぱくと動くだけで言葉が出てこない。]
あのさ、その人って、たぶん。
[一瞬だけ顔を歪めた後、ムービーはとっさにライカの手を取ろうとした。しかし、その行為は空を切るだけだったろう。小人族の若者はきまり悪そうに視線をそらす。]
……なんでもない。
>>108 リスリー
それに――もし、見つからなかったら。
次のことを、考えられますもの。
わたしはかしこいので!
[わからないと言っていた口で、そう胸を張る。
喜び方も、そんな誇らしげな様子も、まるきり犬のそれに似ていただろうか。
あなたが視線を彷徨わせた様子に、ようやく自分の感情の爆発に気づいて、ぱちぱちと(音などするわけもないが)頬を叩いた。ばつが悪そうに、それでもまだ嬉しさが多分に残った笑顔で、小さく舌を出す。]
――はい。お二人とも、お気をつけてくださいね。
わたしはもう少し……あの広告を見ています。
[もしかしたら、どこかであの人が迷子になっているかも知れないから。
映像のどこかにでも、姿を探すのだと。広告を指さした。]
>>108 リスリー
[ムービーは先程の一幕がまるでなかったかのようにリスリーへの挨拶をした。]
リスリーも、帰りは気をつけてね。カルックス坊やっていう、厄介なやつがまだソコラに残ってるから。
調査、応援してる。私の分まで頑張ってほしいな。
あと……ライカをよろしく。
[そう言って二人に背を向けたら、青いホバーボードにぴょんと飛び乗ろうと]
>>109 モモ
[広告を指さした手を下ろし、呼びかけにあなたを見下ろした。視線の高さを揃えるには地面が近すぎて、少し腰をかがめて。(以前、生首になるほど地面に沈んだこともあっただろうが、他の人に怒られたのでいつからかやらなくなった。)]
はい。 ――?
[あなたの口が開いて、閉じて。また開いて閉じる。
空を見上げる。まだ朝の光は差し込んでいないし、そもそもあなたは時間で言葉を失うことはないのだから、またあなたに視線を戻した。]
たぶん…… …?
[表情が歪んだことを訝しく思って、首を傾げる。そして、あなたの手が彼女の手をすり抜けて――困ったように眉を下げた。]
――、また。
お話しできるときに、聞かせてくれたら嬉しいです。
[こんな時、いつも実態のない自分の身が情けなく思う。
手を握ってくれたなら、握り返せたなら。それはどれだけ嬉しいことだろう? だから、やはりすり抜けるとわかっていて、あなたの手をとろうとしただろう。せめて、応えたくて。
それが叶うとも叶わなくとも、すぐに手を戻して、あなたを見送るだろう。]
>>110 ライカ
[いかにもな所作で誇らしさの塊となったあなたに、小さく吹き出してしまう。後続の笑いを押しとどめる僅かな間があって。]
――それなら安心だ。
[それから、広告を見る、というあなたへ一つ、深く頷いた。声をかけたばかりの頃の疑問の答えを得たことに、遅れて気付いた。「ああ」と、納得の声が漏れた。]
……なるほどな。あんまり根詰めすぎるなよ。
[霊に、そんな心配は不要なのかもしれないが。]
>>111 モモ
カルックス……? まあ、気をつけるよ。というか、ムービーこそ気をつけた方が……いや、心配しすぎるのも失礼か。
……仕事が仕事だから、一手順増やすくらいはね。……?
[最後の一言が妙に意味深に聞こえ、首を傾げた。けれど、あなたはもう背を向けていたので、呼び止めるまではしなかった。]
[ホバーボードに乗るムービーを見送り、先ほどの繰り返しの様にライカへも手を振ってみせれば、この男も帰宅を兼ねた遊歩へと戻っていく。]**
>>112 ライカ
[生首怖いと言ったのはムービーではないだろうか。それはおいといて。
手を握り返そうとしたライカの願いは、やはり叶わなかった。ただ、その瞬間ムービーと目と目を合わせることが出来たかもしれない。]
>>113 リスリー
私、最悪ビーム出せるから心配しなくても大丈夫。
[その一言だけ、あなたに返していたことだろう。]
[やがて小人族の若者を乗せたホバーボードは、小さく振動した後に夜の街を走りはじめた。振り返りざまにムービーが、ばいばいと小さく手を振っていた。**]
>>モモ、リスリー
[そうして、二人に手をふって見送る。姿がすっかり見えなくなるまで。
空気を介さぬ吐息をこぼして、胸の通信機にそっと触れた。]
(早く、来て下さい。)
(とってもすてきな、優しい人たちが、ここにはいます。)
(それを知ったら、どれだけ喜んでくれるでしょう?)
[触れていた指先は祈りのような願いを込めるように、いつの間にか通信機を握りしめていた。
その指を解かぬまま、広告ホロへと視線を戻す。
広告ホロがその光を下ろすまで、ずっとそうしている。**]
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