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[目についたなるべく大きな桶に、水>>24を溜めて部屋へ運ぶ。
残量に目をやる。本来なら大勢の人間を収容するはずだった宿屋だ。こうした作業に用いてもまだ水に余裕はありそうだ。とはいえ、近く汲みに行く必要はあるだろうが]
……
[廊下から部屋へと戻った時、人の気配>>22はない。
クララもシモンも、直に戻るだろう。少しでも進めておくべきか。
水と共に、無いよりいいだろうと見つけた数枚のタオルがある。
それを握って、遺体に身を寄せた]
ジムゾンさん、エルナさん、……
[少し前まで話していた人たち。今は物言わぬ骸たち。
悲しみの代わりにぽかりと空いたままの胸に、彼らの姿を映して得た感情を落とし込みながら、膝をついて]
……あ、…… ……?
[手を止めた。何か、違和感を覚える。
なんだろう、あってはならないものがある気がした。
ぱちり、ぱちりと瞬いて、彼らをじっと見る。見つめる。
噎せ返りそうな血臭すらも、意識の外に追いやられる何か]
[記憶が蘇る。鮮血溢れた司祭の首、仕立て屋の喉。
肩口に食らいつく黒の髪の、人の姿をした獣>>2:266。
そうして、そのまま折り重なって倒れて――]
……じゃあ、これ……
[司祭の腕にある傷>>22は、いつ付いた?
人を食らう獣は、エルナは今、ジムゾンと共に眠っているのだ。
もう彼に傷が増える道理などない。ない筈だ。
傷なんて、こんな、まるで噛み傷のようなものができるなんて有り得ない]
[――もし、人狼が一人ではないとしたら。
その可能性に思い至ったのは、恐らく誰かがこの場に訪れてから。
それまでは一人、何を考えているのか分からない、色のない顔で、骸を見つめている。
人が来たなら、僅かに体を震わせて、言葉を迷いながらも一言告げるだろう。
“人狼は、まだいるかもしれない”、ただそれだけを]
[がらら、がたん、と響く音に身を震わせ、騒音の原因へ目を向ける。
ひっくり返った掃除道具と、咄嗟に謝るクララ>>30を見て、何が起こったかは理解した、けれど。
それを拾いに行くこともなく、今も自分は骸の傍にいる。
先に異変を悟った彼女の問いかける声に、眼差しだけがゆらりと揺れて、ようやく口にできた言葉。絶句するクララ>>31を気遣うだけの余裕もない。
告げられるのは、先程気付いた一つの事実]
……こんな傷、無かった筈なんだ。
首と、肩……その二箇所、で。
でも、二人が倒れる際についた、とも思えなくて、だから。
[先程の見解に至るのだ、と伝えるように。
その頃シモンも戻るようなら、同じように自分の考えを告げるだろう]
[叶うなら彼らに否定してほしいと思う。
気にしすぎだと言ってくれたらいい。
だが、二人も同じか、似た結論を導くようなら、骸たちに視線を落としたまま]
……言わないと。
まだ、終わってないみたいだって。
……人狼を、探さないといけないんだ、って……
[覇気のない声はやがて小さく、消え入るように。
死に行くカナリアの囀りと似た不穏を、漏らす他なかった]
[掃除も後に回すことになるだろう。
談話室にいるであろう彼らに伝えなければならないのだから]
[転がる道具を傍らに、ジムゾンとエルナの元に跪く。牙を剥いたエルナを思い出した。
なぜ、ああもひけらかすような振る舞いを――ややもすれば、見顕されたがっているようですらあったのか。
……まだ、仲間が残っていたからなら]
エルナさん……わたしが問い質した時も
少しも隠そうとしなかったんです……人狼、って。
どうしてって、ずっと考えてて…。
[また目前の人間が牙を剥きはしないか気が気でなかったが、ヨアヒムにしろシモンにしろ、先に戻っていたなら服なり布なりで隠す事も出来たように思う。
自分なりに意見を補強して、俯いた。>>32
一度は終わったと思っていただけに、絶望は深い]
どうしよう……夜が、来ちゃう…。
[決して良い手を打てた訳ではなかったが、
不安な一夜を分けあった同士で疑い殺し合わずに済んだのを慰めに思っていた。
ほんの少しの間に、前提が覆る。
この場にいる者を窺い見て、頷くしかなかった。
先に待つのが不穏だと、消えゆく声で分かっていても]
[………………ふう。
内心で、深い、深いため息をついた。
自身の憂鬱さを吐息にして、"わたし"の運命をもてあそぶ者たちに吹き付けてやるように。
……"リーザ"が目にしたのは、厳密に言うと一部始終>>6じゃない。
"パレス"は"リーザ"を甘やかす癖がある。
"リーザ"にお話しを聞かせるようにして、誇張や創作さえやりかねない。さすがに複数の観察者がいる場面でそうしたことはできないけれど。
見えたのは、エルナの金色が黒へと変じ>>2:265、その黒き腕が繰り出す爪が神父の首に十字を――そう、彼があがめる神の十字だ――刻み、わずかな間もなく白金がエルナの喉を貫く。
二人の体が力なく重なり、互いの体を赤く赤く染め上げていく>>2:266…………そんな光景だった]
[『おねえちゃん!!!!』
"リーザ"は変わり果てた姿のエルナを何の躊躇もなくそう呼び、すでに事切れたその体に駆け寄った。
もともと"狼さん"を恐れる道理は"リーザ"にはない。そしてその"狼さん"は大切なおねえちゃんなのだ。
出会ってほんの3日間だったけれど、エルナは"リーザ"にとってそれだけ大事な存在になっていた。
"リーザ"は自分の体が血に濡れるのもいっさい構うことなく、休息に冷たくなっていくエルナの体、その胸の上にすがりついて泣いた。
止めるものはいなかった。
止める余裕など、誰にもなかっただけかもしれない。
"リーザ"は近くに放り出していたあのクッションを、倒れたエルナの顔と床の間に挟み込むようにした。
せめてわずかでも安らかに、という彼女にできる精いっぱいの弔いだろう。
エルナを送るのには、エルナがくれたものを返すことで。
……あのクッション、部屋の始末をしたであろうあの傭兵、シモンによって、すでに片づけられているだろうか]
["わたし"は泣きじゃくる"リーザ"に向けて静かに、あくまでも静かに、霊(たましい)の座を譲るよう促した。
"リーザ"は、"わたし"を含めた霊の存在を知らない。知ることのないように、"わたし"が決めた。
はじめは"わたし"こそが"リーザ"と名付けられた唯一の霊だったのだ。その霊を自ら分かち、"わたし"を産み育てた両親にとってあるべきかたちへと決めたことで、今の"リーザ"が生まれた。
その弊害は大きく、"わたし"は転生前より神から授かった大きな力のほとんどを失うことになった。そして力は暴走し、"リーザ"のほかにも次々とこの体のうちで霊が分かたれていった。
はじめは"わたし"がそれらを統制しようとしたが、かえって力は暴走するばかりだった。
"わたし"の存在は望まれていない。両親にも、そして自分自身にさえ。
"わたし"はあきらめて眠り、"リーザ"たちにこの体を明け渡すことにした。この村にもやがて来る、人狼騒動のそのときまで。
だが眠りは深く、結局"わたし"は今の今まで眠り続けることになる]
今、"わたし"こそがリーザだ。つまり、あるべきかたちに戻ったのだ。
だが、力はない。見た目通りの幼い娘。
真実の言葉を語るだけで、あらゆる人外からその仮初めの姿をはがし取り、現世に存在することを禁じることさえ可能であったはずの力は、もう。
だか、それでも武器になるのは言葉だけだ。
"わたし"はそれで戦おう。
レムスのように自らの存在を誇示するつもりはない。
できるかぎり元の"リーザ"のまま振る舞う。それが基本方針だ。
"レムス"のやつがすでにずいぶんとまわりを気味悪がさせてしまった。これ以上違うものが出てきては、"リーザ"のほうが人外扱いされてしまう。
それに"わたし"の存在など、今この場に集まる者にとってはどうでもいいことだ。堂々と存在をひけらかして、よけいなことを語りたくはない。
必要なのは人狼をどう見つけ、滅ぼすか。それだけだ。
そのために必要だと言われたら、そのときは語ろう。
まあ"わたし"の存在に感づかれるか、"わたし"が人狼だとみなされてしまったときになるが。
"リーザ"が眠っていったあとも、"わたし"はエルナの胸にすがりついたままでいた。
"わたし"も悲しかった。これは本心だ。
だが、一方で、何かが"わたし"に告げていた。
これで終わりではない、と。
そう、なにかがおかしい。でなければ"わたし"が出るきっかけにはならないはず。
そもそも何度も何度も転生をしてきた中で、人狼が自ら正体を現し、しかもそのまま命を絶つなど、前代未聞のこと。
警戒心が強く立つ。
そうだ。狼さんをさがす遊びはまだ終わっていないのだ。
だからこそ"わたし"の出番がある。
『人外はすべて殲滅せよ』
あの"影"の気配を感じる。"リーザ"にとっては父親の幻影、"わたし"には、すべての人の子の偉大なる"父"の影。
――言われなくたって、やってやるのよ。
"リーザ"の悲しみは、"わたし"の怒りに。
ただ、その怒りは幾重にも重なった"わたし"の生の一つに過ぎないのだけれど。
やがて、シモンに促されるままに、"わたし"はこの場を離れた。あくまで幼い娘、リーザとして。
そして談話室へ……]**
はぁ、はぁ、はぁ、うう・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!
[暫くは、何を言われても返す事ができなかった。
カタリーネが、どうしてここまで強気を保つ事ができていたのか。
それは絶対の信念と自信があったからに他ならない。
それもエルナの真実によって、根こそぎ奪われてしまった。]
[人狼がまだいるかも知れない。
驚きを感じると同時に、どこかでそれを察している自分がいた。
それでも、今更それに脅威を覚える気にはなれやしなかった。]
これ以上、何が居るってのさ。
私にどうしろってんだい。
ねえ、教えておくれよ。
[カタリーネはぽろぽろと涙を流す。
持ってきたエルナの服を片手でぎゅっと握りしめる。]
[再び戻って来てみれば、扉が開いていた>>26>>30。
二人は先に中へ入っているのだろう。
傍の部屋に置いた分を回収し、足下の見えない状態で
ゲルトの部屋へと入りこんで]
[――見事に、掃除道具>>31>>34を蹴っ飛ばした。
会話に挟まる、からんという軽い音]
……すまん。続けてくれ。
[そう伝え、横目で辺りを見回し、汚れの少ない箇所へ
シーツをとすとす積んでいく――その間、他の作業音は無い。
振り返ってみれば、ヨアヒムとクララは何故だか二人して
死者の前で手を止めたまま]
[流石に不思議で、どうしたんだと尋ねたならば
そこで漸く、推測と対応>>29>>33>>34について
二人から聞くことができただろう]
[驚きで、瞳が一瞬丸くなる]
[――そうか。他の人狼騒動を知らなければ、
狼が一匹である可能性も、濃く見られるものなのか、と]
取り敢えず、談話室へ戻ろう。
……話して、考えないといけないだろう
[ヨアヒムの意見>>33へと同意を示し、荷物も皆置いて
ここを後にしようと、動揺抜けきらぬ二人を促す。
二人の意見を把握するべく、短い移動の合間には
“誰かが出入りする所を見たか”なんて話も振った]
“俺は一度戻ったが、静かなもんだった”
“ただ、ゲルトの時は気付けなかったから、
さっきも既に中へ居たのかもしれない”
[こちらの情報を問われたならば、そう返したことだろう]
[――止めてしまってもよかったのではないか。
占い師ですら、平和が来たと錯覚してしまったなら
逃げ場が無くとも、生き延びられたのではないか]
[そんな夢想を過ぎらせた為に
口調こそ淡々としているが、発する声は常より低く、重く]
[少し前に部屋に戻ってきたシモン>>45に促されるようにして、談話室に向かう為に手をついて立ち上がる。
その時、自身の手にべとりと触れるものがあった。立ち上がる際に床に触れて、指先から血に浸してしまい、ついたもの。
持っていたタオルで軽く拭いながら、出入りについては首を横に振り]
僕は、桶を持って戻って……その時には、誰も。
クララは僕の後に、来ました。
[一度は戻ったが何もなかったらしいとの話には頷いて、それから何気なく、二度往復した理由を問いかける。一度にシーツを運べなかったから、と知るなら、納得して頷くだろう]
[普段よりも重い声、などと、それを聞き分けられるだけの聡さは無いのだ]
それ、は、
本当のことなんですか……?
[誰にでもなく、問いかける。
自分は、確かに、見た。
エルナの魂が、人狼であったことを。
であれば、その報せは
彼女以外にも人狼が紛れているということに他ならない。]
[クララの袖口の血。
あれは、結局何だったのだろうか。
カタリナは、ずぶ濡れになって、
何をしていたのか。
エルナが人狼だと告白した時、
何故彼女はあんなにも怒ったのか。
それは、仲間だからこそ、
正直に言われたくなかったのではないのか。
ぐるぐる。ぐるぐる。
紅茶で落ち着くどころではなく、
再び疑念の渦へと飲み込まれていくのだった。]
―談話室―
私は、ずっとここを離れなかったよ。
もちろん、そこの2人もね。
[ニコラスとリーザを指さしつつ、ぽつりぽつりと答えつつも、どこか上の空のままだった。
片手がだらしなく椅子の横へと垂れている。]
悪いけど、もうそっとしておいてほしい。
投票して、人狼を処刑する。
……それしかないと、思います。
だって、終わらせないと、ゲルトさんもジムゾンさんも……エルナさんですら、無駄死に……でしょう。
[ それにわたし、死にたくないんです。
震える声さえ遠く感じながら、席を立つ。
夜を前に衝撃と疑心暗鬼に揺れる人々の中で、一番に投票箱に近づいたのは、一見大人しそうな司書だった。まだ投票していないとはいえ、煽るような行動。
書き記す名前は――カタリーネだった**]
― 談話室 ―
[報せに対する反応を、言葉もなく見つめている。
いつも気丈なカタリーネ>>42は泣いていた。
ニコラス>>50は手を震わせ、共に報せを伝えたクララ>>43は考え込む。
リーザはどうだろう、そろりと視線を送って窺う。
だが、見た所で判断の材料には到底乏しい。
人狼か人間か分かる、便利な眼なんて持ってはいない。
ならば、別の手立てで探さなければならないのだろう。
乾いた口は話すのに少し厄介だから、紅茶で湿らせてから]
……談話室に、戻ったのは。
ニコラスさんと、カタリーネさん、それからリーザ……
あの、この場から離れた人はいましたか。
[そう尋ねて、真っ先に答えたのはカタリーネ>>53だったか。
ニコラスとリーザへも視線を――疑念に満ちたというよりは、整理をするような、作業じみた眼で見つめながら、彼らの返事も待った]
結局、それをするのかい。
どうして急にこうなっちまったんだろう。
道が塞がれちまうまでは、あいつもただの仕立て屋だったのにさ。
人のままで、居られなかったろうか。
[動き出したクララを尻目に
半分独り言のようにカタリーネは呟く。]
せめて、最初から狼の形をしてくれていりゃあ
クララさん……。
もう、誰が人狼かとか、目処がついたんですか?
[先ほど、ようやく他にも居るとわかったところなのに?
強い言葉もそうだが。
どうして、そんなにもすぐに腹が括れるのだろう。
己との差異を感じてか、
幾分訝しんだ視線を彼女に向けるのだった。]
― 談話室 ―
[ニコラスもカタリーネも、状況を受け入れられるだろうかと
思わず考えてしまう程の姿だった>>42>>50。
ともすれば、リーザの方が落ち着いていたかもしれない]
[ヨアヒムの問いに、カタリーネは三人一緒だったと返し
>>53、ニコラスがそれを肯定する。
――確かめるように、疑いを撒くように、次いで問う]
――ここに来たタイミングも、全員同じか?
[それであれば、絞れて“しまう”なと、淡々とした思考。
やるべきことを整理していく。
個別に来たならば、その全員が疑い先となり得るが
もしカタリーネ達が、一緒に談話室まで来たというなら
残るは男を含む3人。嘘をついたか、隠したか、だ]
[――意見を聞かれたならば、そこまで一息に話したろう]
……
[人狼を処刑するのだと告げて、投票箱に近付くクララ。
動揺もなく、状況の整理を行うシモン。
傍から見るなら、自分も含むのだろうけど。
たった二人。そう気付いた時、感情の曖昧な眼が瞬きと共にいびつに揺れる。
事実如何に関係なく、認めたくないものもある、と]
……厨房に。
それは部屋から移動して、すぐってこと、ですよね……
[ニコラスが談話室を離れた時間があった、と告げた。
自分たちが作業の為にあの部屋を離れた時間に、彼らが共に居たと言えなければ、選択肢はまた元に戻るのだ。
安堵、落胆、そのどちらでもない何かを小さな溜め息で逃す]
[最初に異変に気付いたこと、新たな傷を見つけたこと。
その二点において疑いをかけられてもおかしくはない。
黙ればいいのに報せるだろうかという反論は、その印象を狙った、とも言えば覆る範囲か。
――それらの疑念、あるいは保身に繋がる思考は、意識からすっぽりと抜け落ちたまま、意見を問われた場合は、先程抱いた考えをぽつりと漏らす]
……エルナさんは、人狼であることを隠さなかった、と聞きました。
その理由が、残る仲間を守るためであった、とするなら……
[人のままであったなら、そう独りごちたカタリーネ>>60。
いなくなったエルナを探し、骸にも縋っていたリーザ>>37。
その二人へ向ける眼差しは、静かに]**
私とエルナはただの商売上の間柄じゃなくてね。
似たもの同士だったんだから、すぐに仲良くなったんだ。
[目を瞑りながら、寂しそうにそう語る。
ほんの一時前までは当たり前だった、その時間を夢想する。]
私が羊飼いになったのも、エルナが1つの理由になっていたんだよ。
だから分からなかったんだ。
どうして・・・・・・
[そこで息を詰まらせる。
だが、カタリーネの脳裏に過ぎった言葉は、その場にいた多くが想像した言葉ともまた違ったものだったであろう。]
悪いけど、暫く独りにさせておくれ。
[やがて立ち上がると、そのままふらふらっと蹌踉めくようににして、部屋から出て行ってしまうのだった。]
[都で流行っている娯楽小説では、時に語り手が信用できないものであるという。混乱の中で、自分でさえ信頼しきれるだろうか。
――最後には、自分が信じたいものを信じるしかない。責任を持つという意味でも。
談話室から三人は出なかった、という。>>53>>57
それが真ならば、疑わしいのはゲルトの部屋で作業しようとしていた自分たちだけれど。
憔悴しきったカタリーネ、何もない宙を見つめるほど衝撃を受けていたニコラス、エルナにすがって泣いていた少女の目を絶対のアリバイとは思えなかった。
本人を前に言い澱むが、誰かに問われれば
こう前置いてから話し出そう]
……絶対の自信は、ありません。
言い出しておいて卑怯だけれど。
それでも…このまま、また誰かや自分が死ぬのを待つよりは……勝算があると。
[ニコラス>>62にぽつりと答えて、用紙を折り畳む。まだ投票はしない――人々の動向を窺うかのように]
人狼というのは夜ほどでなくとも
恐ろしい生き物だと思うんです。
エルナさんがそうだったみたいに……一対一になったら、きっと敵わない。だから、残りは一匹……最悪でも二匹。
[自分には鋭い論戦は無理だから、考えたことをゆっくり話していく。
人の数が勝っているうちに動かなければと思ったから、誤る恐怖、殺されうる恐怖を抑えて]
ヨアヒムさんやシモンさんが、ジムゾンさんを……き、傷付けたなら。
誰か来る前に隠しておけば、少なくとも一晩は稼げたんじゃないかなって…。
[辿り着いた結論は、ヨアヒム>>48が言及したものに近い。隠し守られているなら犯人が絞られる状況を避けるのではと。
騒動経験の有無が生んだ認識の差から、シモンが淡々と昏い口調の裏で考えていたことは察せられていなかった。>>45>>46
しかし、カタリーネ>>72の指摘が尤もに思えて、話が中途半端に途切れる。迷いがあるのは、確かで。
なかなか談話室の会話に追い付けず頭をパンクさせていると、彼女が席を立った。>>73]
遊びじゃ……ないのね。
[わたしは、自分の長い沈黙をようやく破る。
ティーカップをゆっくりとテーブルに戻し、クララに向けて言った]
狼さんがだれか決めて、その人をしょけいするのね。
しょけいされたら、ほんとうに…………しぬ………ん、だよね?
[恐怖にかられて燃え上がっただろうクララの殺意は、しかしまだどこかに迷いと怯えを残している。
わたしは、だが、そんな彼女の目に問うた]
そうなんだよね!?
[覚悟は、できているか、と]
[エルナがゲルトの部屋に行くのを止めていたら。此処で死んでくれと言えていたら。
何か変わったのでは。
ジムゾンは死ななかったのでは。
きっと、狼の死を共有できず
新たな犠牲者が出たのだろうけれど、
正解のない後悔にずっと苛まれていた。
頭が働かないのに、時間ばかりが過ぎてゆく]
……昨日、カタリーネさんと話してた時。
彼女、言ってたんです。
魔日って知ってる?って――。
[冗談めかした言葉。>>1:129
飄々とした羊飼いの瞳に何処か本気の色があったのは、何かしら隠しているからではと思った。彼女の内心も、外出も知らなかったけれど。>>2:218]
この中では割と楽観していたカタリーネさんが、何か知っていて予感してるみたいだった。
エルナさんは正体を明かしたあと、ジムゾンさんを連れてニコラスさんの元――ゲルトさんの部屋に行こうとした。
[そこにいたのは、ニコラス、シモン、カタリーネ。最期に仲間の元に行きたいと思ったのでは、と]
……わたし、彼女を疑って、ます。
なんで………おねえちゃんが…………
狼さん、みいつけた………だけじゃ………だめなの………?
[眠っているはずの"リーザ"の霊の慟哭が、"わたし"の霊を震わせ、共鳴させる。
体を震えて、瞳が大粒の涙を落とす]
おねえちゃんは、狼さんが、いやだったの……?
ニンゲンを、本当に…………
"コロシテシマウカラ……?"
[だが、"リーザ"が見たエルナの、人狼の瞳は、美しい金色だった。それはエルナの本来の髪の色のように。
人の血と肉に餓え、殺戮に狂う人外の瞳ではなかった。
エルナは、なぜ、あんなことを……?]
だったら……わたしは人狼を見つけるの。
見つけて……しょけいして……おかしな遊びをおしまいにするの。
[そう言いきって、わたしはエルナの血に染まった袖で乱暴に涙を拭うと、忌まわしき箱――人狼騒動には決まって使われる投票箱――を睨みつけた]
誰が人狼か、ということで考えれば。
こんな時に何処に出かけていたのか、
ずぶ濡れだったカタリーネさんは
怪しくはあります。
それに、エルナさんが自白した時にも、
怒っていたように見えたし……。
[そんな訳はない、と怒りを露わにした可能性も、
当然ありはする。
その可能性を踏まえつつも、
一つ一つ疑いの理由を口にする己に気付けば、
自然と苦い表情が浮かんだ。]
そう考えると。
[残る面々へと視線を向ける。
心を決めたらしき、クララ。
我知らず頼りにしていたシモン。
そして――…新たなる友、ヨアヒム。
昨日芽生えたばかりの友情を疑うのは、
ちくりと心が痛んだ。
信じる。ではなく、信じたい。
思考が願望によって染められていく。
たとえ、今の彼が何を考えているかわからなくても。
妙に物静かな様子に、心のどこかが騒いだとしても。]
疑わしいのは、貴女ではないんですか。
クララさん。
[思考の迷路を抜け出た先。
だが、その選択肢が正しいかどうかなど、
男にはわかるはずもない。]
朝から気になって、言えなかったのだけど。
[躊躇いながらも、視線は一箇所に定められる。
時間が経って、幾分くすんだ紅色に。]
貴女の袖口についているの……。
それ、血ではないのですか?
[明確な疑いを口に出せば、
あぁ、もう引き返せない……と
心の内に後悔が満ちるのだった。]
―― 談話室 ――
―― ゲルトの部屋から戻ったすぐ後 ――
[ニコラスが用意したティーカップ>>18には、手を付けなかった。
本当はすぐにでも飲み干したいくらいに、乾いた口と頭は、その中身を欲していたけれど。
紅茶はいい。一杯飲めば、わたしの思考を澄み渡らせてくれる。
クララ>>8、気弱そうな青年>>12――ヨアヒムだったか。どこかで見たような顔だが――、シモン>>16の三人は、部屋にとどまったようだ。あの部屋を片付けるために。
……本当なら、その現場に立ち会いたい。
彼らの言動を監視していたかった。
三人のうちの誰かが犯人ならば、犯行現場に留まる行為には大きな意味がある。人狼が尻尾をちらつかせるであろう貴重な機会だ。
だが、今のわたしがそうした行動を取るのは不自然すぎる。
シモンに促されるまま>>17に、談話室へと戻るしかなかった。
談話室でソファに座り込み、言葉もなく、泣きはらした目で虚ろに視線を彷徨わせる。
――もちろん、この場にいるニコラスとカタリーネ、二人の様子をうかがうためだ]
[談話室に戻ってから、ニコラスは幽霊のような足取りで厨房へと消えていった>>18。厨房はどんづまりでどこへもいけないことは、昨日までに"リーザ"が歩き回って>>1:133確認している。
今、ニコラスの表情は手にしたティーカップから立ち上る湯気に隠れてよく見えずらい>>19。
きっと今も血の気を失い、幽鬼のごとき表情をしているのではないだろうか。
そんな彼が人狼だなどということがあるだろうか……。
リーネはエルナの服を握りしめたまま、ずっと泣きじゃくっている>>42。あの気丈な振る舞いを見せていた彼女が、今はその色あせた頭巾と同じように、すっかり色を失ってしまっている。
エルナとリーネの間には、"リーザ"のように一日二日でできたものとは違う、ただの商売仲間でもない、もっと深い絆を感じさせる。
それはいったい……人狼であったエルナとの友情……。
やがて、それはわずかな時間であったかもしれないが。
クララ>>43、シモン>>45、ヨアヒム>>56。
三人が談話室へと戻ってくる。
三人の土産話>>43にあからさまに怯えを見せるニコラス>>50……演技とは思えない。
見た目通りの線の細い男に思える。]
[ヨアヒムの問い>>56に、リーネがわたしとニコラスを含めた三人のアリバイを証言する。>>53
ニコラスはそれに同意する>>57。もちろんわたしもだ。
だが、リーネの発言は、この場の三人を守るためのものとは思えなかった。悲しみの果てにすべてを投げ捨ててしまったかのようにも見える。
……なにか、嫌な予感がする。
だがそれを案じる隙はなかった。
クララが動いたのだ。
投票箱に、リーネの名前を投じたのだった>>55。
『投票しかない。人狼を処刑するしかない』
打ちひしがれるニコラス>>59
誰にともなくつぶやくリーネ>>60
わたしはこの二人が演技をしているとは思えない。それに二人は三人が言ったような新しい噛み傷を残せないではないか……]
[………いや。
もし彼らのいうジムゾンへの噛み傷。
これが、ただの嘘(ブラフ)だったとしたら?
わたしたち三人の中から狼をあぶりだすために、示し合わせた虚偽の証言だったとしたら?
ああ、これだから人狼騒動はやっかいなのだ。
敵は人狼だけではない。むしろニンゲン同士の疑心暗鬼こそが、最大の敵となる……。
わたしは過去いくどとない転生の中で、この恐るべき敵に何度も敗北を喫することになった。
人外どもより恐ろしい敵。
人の世でなによりも恐ろしいもの。
それはほかならぬ人自身。
誰が最初にそう言ったのか]
ヨアヒムの推測>>68はとりあえずの共感を得やすいものだろう。
だが、エルナの瞳の奥に見せていた光が、それだけの単純な理由だとは認めさせない。
シモンはその出自にふさわしい冷静な言動(>>63〜)を見せる。
人間ならば心強いが、そうでなければもっとも手ごわいタイプの相手だ。
『元々、人を喰い慣れて無かったのかもな。>>71』
……ずいぶんと人狼の側に寄った言葉ではないか?
出かかった疑念を喉元で止めた。
ダメだ。今はまだこの男に警戒されたくない。
それにこれまでの"リーザ"から出てくる言葉ではない。
リーネが三人のアリバイを補強してくれる>>72。
だが、そのままこの場を離れてしまった。
エルナとの深い絆をにおわせて>>73
いますぐ彼女を追いたい衝動に駆られるが、ぐっと抑える。
そしてわたしは、自分の長い沈黙をようやく破る>>78]
『お姉ちゃん、オオカミさんはいつやってくるの?』
『私、オオカミさんといっぱい遊ぶの!』
『将来はね、オオカミさんのお嫁さんになるんだ』
[それはリーザの台詞?
いいや、それは幼い頃のカタリーネ自身の言葉。]
[ニコラス>>87に内心の同意を示しつつ、クララへの疑い>>89をかけるや否やという瞬間に、わたしは]
リーネおねえちゃんを探してくる!!
[と言い捨てて、談話室を飛び出した。
もちろん彼女の行く当てなど検討もつかない。
レムスの持つ土地勘と嗅覚が頼りだ。
彼女は人間だ。直感がそう告げる。狼が好きだと言った彼女。それは自分が人狼であるという意味とはまるで別のものではなかったか。わからない。だが、彼女は何かを知っているのではないか。
だとしたら。
彼女の絶望を知らなければならない。
この判断こそが魔の誘いかもしれぬという考えを、今は振り払った]**
[雨の中カタリーネはどこへ向かう?
頬を濡らすのは雨粒か、それとも涙か。
カタリーネにも親が居て、そして兄弟が居た。
しかし、それは理想の家族からはかけ離れていた。
末っ子として産まれたカタリーネは親から真っ当な愛を受けて育つ事はなかった。
特段酷い事をされた訳ではない。
代わりにそれは、徹底的な無視として現れた。
森の動物たちだけが、赤ずきんの友達だった。]
[特に仲が良かったのは、オオカミだった。
勘違いをしてはいけない、人狼でなく、それは人の敵でも味方でもない、ごく普通のオオカミ。
老狼には自然を生き抜く知恵を、
成狼にはそれまで知らなかった親の愛情を、
仔狼には仲間を信じる大切さを教わった。
そんな彼女が"人狼"の言葉を知ったのはいつだったか。
彼女には理解できなかった。
何故、美しい狼の姿を捨ててまで、人の姿をとるのかと。]
[ある時、一晩森で明かした朝に帰ると、そこに生きた家族は居なかった。
その場で何があったのか。
彼女はすぐに理解できた。
不思議と怖くは無かった。
自分は解放されたのだと、ほっとする気持ちすらもあった。]
私を呼んでいるのかい?
ごめんよ。
お土産、あげられないかも知れないや。
[遙か彼方より聞こえた遠吠えに、ピュアーっと不思議な音色の口笛で返した。]
[幸せは長くは続かなかった。
度重なる人狼騒動。
その渦中にあってカタリーネはオオカミを引き連れた不気味な少女として懐疑の目に晒され続けたのだった。
オオカミずきん、それが彼女に付けられた通り名だった。
1匹、また1匹と。
あらぬ誤解で仲間を失った。
だから怒りを押し殺して決心した。
人狼が自分の前に現れたのなら、人の代わりの餌を探してやろう。
それすらも叶わぬのなら、この手で全てを終わらせてやる。
その日カタリーネは羊飼いになった。]
[この村へ移り住んだのはそれから間もない頃。
村人達からは、ただの羊飼いとしか思われなかった。
時々ジムゾンのいる教会へ行き、ゲルトに仕事を押し付けられ、そんな生活。
いずれ記憶は過去の物となり、すっかり普通の羊飼いとなっていた。]
それなのに・・・・・・!
[強く唇を噛む。]
[瞳の色を無くしたカタリーネは、小屋に立てかけてあった刃物を手に取った。
そのままゆらっと羊達のいるほうへと向かう。
出発の時間か。
そう思ったのだろうか、羊達は立ち上がり、カタリーネのほうへと寄ってくる。
そして。]
ザシュッ
[いきなり鉈を振り上げると、目の前まで来ていた羊を斬り殺した。]
ザシュッ
[屠殺ではなく、力任せに乱雑に。
羊を叩き斬っていく。]
ザシュッ
[羊達の叫び声が、村中に響き渡った。]
…………
[自身の意見を肯定するかの台詞>>71を、瞬きだけで受け止めた。
そうして疑念を抱いた二人へ視線を送るが、ふと、思い出したようにシモンへと向き直る]
“喰い慣れて無かったのかも”……
[先程聞いた言葉をなぞるように繰り返して、僅かに首を傾ぐ]
シモンさん、人狼について……何か知っていますか?
[過程を省略して真っ先に口に出したのは問いだ。
彼がその問いの理由を尋ねたか、あるいは説明不足と思って自ら付け足したのが先か、どちらにせよ続けて]
人狼が、人を襲う、食べる……
その理由が食欲なのか、それ以外なのかは知りません。
でも、……慣れてない、とは思わなかったので。
[エルナを見る限り、人狼が彼女の姿を真似て成り代わった、とは思わなかった。決して親しくはなかったが、昔の記憶にある彼女の延長線にあったと、この日が訪れるまで決して気付きはしなかったが、元から人狼であったのだと考えた。
で、あれば。今までも――自分たちの知らない間に、人を食らって生きていたのだろう、と、思い込んだ。
真実などこの手に無く目にも見えず、重ねるのは仮定と推論のみ。真実は永久に眠る黒髪の彼女が秘めたまま。そう、これは全て想像の中]
喰い慣れた、あるいは、喰い慣れていない。
人狼はもっと狡猾だ、とか……
そういうことを、知っているように思えたので。
シモンさん……経験が、あるんですか?
[ぽつりぽつり、内心を言葉にして並べて、冒頭の問いを形を変えて再び告げる。
それは決して“人狼”か、とまっすぐな疑念になるようなものではない。だが、経験があるならば、何故明かさなかったのか、とは問うだろう。
無論、それ以前に、エルナの振る舞いから想像を膨らませただけと否定されたなら、それはそれで受け止めざるを得ないのだが。
眼差しは物静かに、男をじっと見ている]
―― 村の西のはずれ ――
廃坑まで探すとなると面倒だぞ…。
[レムスはひとりごちた。全力で駆けており、足が地面を蹴るたびに雨水と泥のしぶきが跳ね上がり、足元をしたたか濡らす。
エルナの服は血と雨水と泥でぐしゃぐしゃだ。
赤い傘は置いて来た。傘をさして雨空の下を散歩している場合ではない]
どこだどこだどこだ!!
さがせさがせさがせさがせ!!
目を凝らせ、耳を澄ませ、鼻を利かせろ!
[人が歩きそうなところをしらみつぶしに探す。
そんななか、思わず"リーザ"の家の前を通りかかってしまった]
つっ!!
[頭痛。
"リーザ"が無理に忘れようとしていた意識。
母の存在。
この人狼騒動で、母は、一人で、逃げ出せたのか。
動悸が止まらない。
雨に打たれているというのに、レムスは冷や汗をかくのを感じる。
だが、その足は家の中へ。
…………もぬけの殻だった]
(誰かが、逃がしてくれた……? でも、誰が……)
[思案しかけたそのとき、羊の群れが断末魔の声を上げているのが、レムスの耳に届いた]
[レムスは何事もすばやい。霊の切り替わりも至極速やかだ。
羊たちの叫びの中に、リーネはいた。
彼女の体、細い腕には不釣り合いに大きく見える鉈を振り上げては、その刃を羊の一頭へ、また一頭へと、叩きつけていく]
リーネおねえちゃーーん!!
[わたしは叩きつける雨音に負けまいと声を張り上げて叫びながら、リーネのところへ駆け寄った。
まるで、"リーザ"がエルナを探して叫んだように……。
一瞬よぎった嫌な連想は、頭を振って振り払う]
……分かりました。
[カタリーネ>>72はニコラスの潔白を再び繰り返す。
リーザについても嘘をつきようがないと言う。実際は物置や他に移動している最中、意識も漫ろであるなら分からない可能性もあって、必ずしもそのまま鵜呑みにはできないが、彼女の言い分は理解できた。
主張は尚も変わらない。二人は違うと伝えている。
エルナとの縁から関連付けて見た彼女が語る、エルナとの過去>>73。
瞑目の裏には思い出が描かれているのだろうか、どのようなものか分かりはしないが、苦しげに息を詰まらせる姿は確かに見た]
……じゃあ、誰だと思いますか。
[二人が違うというのなら。
誰も疑わないから不審だ、とは言うまい。何より先日の自分がそうであったから。
それでも、何もせずにいられはしない。クララ>>75が話すように、絶対の自信がなくとも――選ばなければならなくて。
その問いに応えはあったか、それとも独りにしてくれと告げて背を向けられてしまったか。追いかけはせず、漏れたのは溜め息だけ]
どうして……こんなこと………こんなことするために……?
[彼女の手にある鉈に不穏さを覚えつつも、わたしは彼女のほうで一歩、また一歩と近づいた。
鉈についたはずの血は、激しい雨によってすでに流れ去っている。土に流れたはずの羊たちの血も同じか、ここからは見えない。まるではじめから血など通っていなかったかのよう……?
いや、それは想像がたくましすぎるというものだ。
たとえリーネの姿からも、生気らしきものが感じられないとしても……
考えすぎだ……考えすぎだ……]**
[現れたのはあの少女だった。
会った瞬間に、カタリーネは驚いた。
その姿は昔の自分にそっくりだったから。
その言動も何もかも瓜二つだったから。
思わず目をかけてしまって。
だから、今ここに現れた少女が。]
く、来るな!
[怖かった。
過去が自分を連れ戻しに来たように感じて。
震える両手で持った鉈を前に差し出す。
声が上ずる。]
[鉈を構えて『く、来るな!』と叫ぶリーネと向き合う]
おねえちゃん………。
[すぐには言葉が続かない。雨音だけが二人の沈黙を埋める。
聞きたいことはたくさんある。
だが、今は何を問うても無駄だ。
彼女は……追い詰められた羊か]
かえろ…………?
[そう言って、手を差し伸べた]
[暫し、皆の様子を眺めていたが。
やがて、リーザが席を立った。]
リーザちゃん……!?
[カタリーネを探しに行くという。
この、雨の中。
が。今一番危険な存在は、人狼に他ならない。
カタリーネが人狼ではないならば、
危険は無いのでは。と、そんなことを考える。
それよりも。危険なのは。
と、不意に芽生えた考えに、
残る面々へと視線を移す。
ぞくり。背筋が震えた気がした。]
[それは昨晩の事。
カタリーネはリーザを雨の中探した。
山へと消えた自分と同じ道を歩ませたくなくて。
帰ろうと手を差し出した。
どこにも帰る場所のない孤独は、辛い。
立場を換え、既視感すらも覚える光景。]
嫌だ、嫌だ。
来ないでよぉ・・・・・・
[荒い吐息。
全てを拒絶する獣がそこには居た。]
もう、終わりなんだ。
私は人間だ。
だから、狼と本当の友達にはなれない。
[人とオオカミ、そして人狼。
全てが共存できる理想郷を作りたい。
荒唐無稽とも思えるその目標のためだけにこれまで生きてきた。
それがあろうことか親友の手で壊された。
目の前で壊された。
もう羊飼いである意味もこれで無くなった。
人としてある意味が、掻き消えた。]
だけど、人とも友達にはなれなかったよ。
人としてのエルナを守ってやれなかった。
[吠えるように赤ずきんは語る。
雨はより一層激しさを増し、いよいよ雷鳴が轟き始めた。]
私の帰る場所は、暖かいスープのある家じゃない。
人間の暮らす村じゃない。
私は・・・・・・
[すり寄ってきた仔羊を力任せに蹴飛ばした。]
森へ、帰りたい。
[刹那走った稲光に、赤い血に染まった赤ずきんの姿が浮かび上がった。]
[何が彼女を追い詰めているのか。断片的な知識から推測できるのは、エルナの死。むしろほかにない。
エルナがそこまでリーネの心の支えとなっていたならば。
わたしがいくらかえろうなどと言ったところで、聞き入れるはずもない……そうか]
かえるのは……エルナおねえちゃんのところ……なのね……!?
[狂ったように叫びだしたリーネに、問い返す。
だが、届かない。
リーネに呼応するかのように激しさを増す雨、雨、雨。
雨に打たれて、歌うように叫び、回る。
赤ずきんが、くるくると。
かすかに 『森へ…』 と、聞こえた刹那。
真っ白な閃光と轟音に照らされて、
あたしは彼女の姿をはっきりと見た]
[エルナのところに帰るのか、
リーザの言葉に首を振った。
私に帰る場所は最初から無かった。
それなら私が作ってやる、そう思っていたんだ。
[それがこんな結果を招くだなんて。
これまで私は、何のために生きてきたのか。
今となっては、涙すらも涸れ果ててしまった。]
私がオオカミだったら。
せめて、半分オオカミの人狼だったなら。
[やがて壁際まで後ずさりをすると、その場に崩れ落ちた。
羊の死体に埋もれ、赤と白のコントラストにカタリーネは沈んでいく。]
[所詮は小娘のわたしに止められるとは思ってはいなかった]
[繰り返す転生のなかで、わたしになら彼女を止める言葉を探すことができたはずだ]
[
二つの相反する言葉が、あたしの心中をぐるぐると渦巻いている。
いや、むしろその二匹の蛇が、互いに互いの尻尾を食い合うように。
赤く濡れた赤ずきん。白に埋もれる赤ずきん。彼女はもう動かない……]
狼さん、好き?
[彼女の耳元に近づいて、わたしはそうささやいた]
ああ、大好きさ。
[耳元で囁かれた言葉に、ぴくりと反応する。]
羨ましいよ。
私にも、狼の姿を分けておくれよ。
[項垂れるカタリーネ。
一瞬の静寂が訪れる。]
ずるいよ。
馬鹿にするんじゃないよ、私はこんなに焦がれているってのに、どうして人狼ってやつは。
[止まったかに思えた運命。
一度は色を失った瞳に、最期の狂気が浮かび上がる。]
わざわざ人の姿でいるんだい?
そうさ、きっと私を絶望の谷にたたき落として、それを楽しんで見ているんだ。
はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・
[強まる語気と共に、口角が釣り上がっていく。
禍々しい色に包み込まれる。]
見せてくれ。
見せておくれよ。
私が愛して止まない、その牙を! 爪を! 毛並みを!
ふふ、ふふふ。
はははははは。
[鉈を握る力がぐっと強くなる。
一気に立ち上がると、狂ったように笑いながらリーザを置いて小屋の外へと走り出す。
血にまみれ、鉈を振りかざしながら宿へと向かった。]
もう1匹、いるんだろう?
行くよ。
お前の元に、今から行くよ!
[その姿を見て、宿の者はどう思うか。
理性すらも失ったカタリーネには、どうでも良い事だった。]
オオカミさん、遊びましょ。
[宿へと辿り着いた赤ずきんは扉を蹴破り、部屋の中へと駆け込んできた。
真っ赤な血を滴らせて。]
[そうして話しているうちに、カタリーネが話を打ち切り
外へ出て行ってしまった>>96。
後を追ってリーザも>>97。
走れない男には到底二人を止めることが出来ず
男が言葉を紡ぐ相手は、必然、残る3名へと変わる]
[――ヨアヒムはこちらを気にしていたかもしれないが、
整合性の取れている証言>>87>>112に加え
他にも人がいるときに為された、ニコラスの指摘>>89
ふたつ揃ってしまえば、矛先を変える方が、自然だった]
司書の嬢ちゃん。
……それ、どうして付いたんだ?
[ニコラス>>89の後を継ぐように、鋭い眼差しを向けた]*
(なん……だ……!!? 人狼に……なろうとしている……?)
[赤ずきんの内側からはじけ飛ばんほどの肉体が膨れ上がり、その全身が黒い剛毛で覆われ、両手の指先からは羊を引き裂くことなどたやすい爪、割れんばかりに開いた口からはいくつもの牙が伸びる.
それらのことがわずかな瞬きの間に起った]
ウソだ……ウソだ……ウソだウソだ!!
[そんなことがあってたまるか。いまのいままで彼女は人間だった! それが突如人狼になるだなんて……!
今度の転生、どうなっているんだ…こんな騒動は見たことも経験したことも……
だがそんなあたしの動揺などあっというまに飛び越えて>>127人狼と化したリーネは棚を軽々持って走り去っていった
どこへ……方角からも宿屋しかありえない!!]
わたしは、やはり魔を開いてしまってしまったの……?
[悔やむ間はなく、宿屋へと戻る……]**
[少女>>78は叫ぶ。
処刑されたら、本当に死ぬ、そうなのかと。
それは自身が確認の為に行う問いというよりかは、聞くものに認識を問う響きがあった。
続く問答>>79>>82>>83を聞き、彼らの意識が別に向く中、自分でも考えた。
シモンも似た類のことを尋ねていた、疑うのが怖いか>>70、と]
……こわかったはず……
[ぽつりとこぼれる独り言。人狼がいると聞き怯えた。恐怖から逃れるために意識から追いやろうと努めた。疑念を抱くことすら恐れて直視しなかった。
それが、どうしたことか。
顔を知る人たちの死を目の当たりにして――それらが全て、ぽかりと抜け落ちてしまった。
恐らく許容量を超えたのだ、端から小さく脆かった感情の器が、あの時壊れて砕けたのだ。それとも、あるいは。案外、死なんて大したことがない、とでも思ってしまったのか。自分でも分かりはしないけれど]
[胸の辺りを指先で掴めば、かつりと硬質のものがあたる。
貰い物。今は亡き、あの優しい司祭のくれた]
…………
[人並みに涙を流して彼を、彼らを悼めたらよかった。それも叶わないようなので、せめて形だけでも祈りの形をとった。教会もろくに通わなかった不格好なものを、ほんのひととき。
恐怖と悲しみをどこかに忘れて、でも目的はあった。
ほんの少ししか掬えなかった感情のままに、この騒ぎを終わらせること]
[それ>>130が、リーネの見せた思わぬ生命力を目の当たりにしたことによる、数々の転生前の記憶との混線であることに気付くまでには、それなりの時間を要した]
かなり……疲れているの……。
[ただでさえ雨のなかを走り通しで、そのうえ緊張状態が続いているのだ。しかも"わたし"は長年の眠りから、まったくの想定外(イレギュラー)なタイミングでの覚醒をすることとなった]
とにかく宿屋へ戻らないと……
[しかしそこが安住の場所であるはずもなく。
狂気に侵されたとしか言いようのないリーネ。
まるで状況が読めない]
このままじゃ、投票がどうのとか言ってる場合じゃないの……。
[残された力で、宿屋へと向かう]**
あの日……僕が見た時。
クララは倉庫の前で……震えてました。
……ゲルトの部屋を見て、逃げてきた、んだと。
彼女、目が悪いんです。
……窓は割られて、破片も散らばってましたから。
[怪我をしていても、別におかしくはないのではないか。
そう匂わす形で、彼女へ向けられた言葉に横から答えた。
改めてクララが話すようなら、それをまたじっと聞くだろうけれど]
[人は人を殺せる。
今の姿であれば、己の、人狼のことも]
[――とにかく、あの鉈を持たせてはいけない]
[走れない男が、次に出来る事と言ったら
振り抜いた片手の杖を、今度は鉈へと投げる位]*
[鉈は手に取ることができずに、空振った。]
リーザぁ?
んー、しーらない!
[何の迷いも無いようなその笑み。
子供であれば微笑ましかっただろうそれも、この状況では不気味さだけを増幅して。]
おいで、おいで。
頭を撫でてあげるよ。
[見えない何かをつかみ取ろうとするように、掌が宙を搔く。
そのままふらりと4人へ迫る。]
見せておくれよ。
この世界が終わってしまってもいいからさ。
[杖が鉈を弾いて、からからと床を滑る。
鉈は床に血のラインを引いて、転がって彼女から離れていく]
知らないって、待って、
……カタリーネ、さ……
[羊飼いが腕を伸ばす様を見て、ずるりと躙り下がった。
思い出すのは白金の牙、あれが見えた時には肉に沈んでいったのだ。
まさかリーザを殺したのか。何故、理由は。分からない、人であるならそんなことをする道理がない。それが獣の血であると知らぬが故に、思考は異なる方へと走る。
もし、もしも彼女が人狼であるなら。
ならばあの腕から――獣の爪が現れても、おかしくはないのではないか]
寄らないで、……来るな、
[この体を動かす原動力を知らない。何かの感情が彼女の接近を拒絶し、咄嗟に取り出したのは黒のナイフ。
自らが持つ唯一の、小さな抵抗の形]
殺すの、……僕たちを?
[灯りを反射し鈍く光るナイフを握って、カタリーネに向けて問う。
返事如何に関わらず、彼女が歩みを止めないのなら、それを振り翳すつもりで。
“殺し方”も知らない抵抗が、どれほどまともに傷をつけられるかなど分からないが、逃げるつもりだけはないのだ]
んふふふ・・・・・・
どこ? どこなの?
[ナイフを差し向けられても、赤ずきんの動きは止まらない。
その瞳には何も映ってはいなかった。]
あなたは違うの?
ねえ、教えてよ。
もう人である必要なんて、ないじゃないのさ。
[その言葉は、あるいは違った意味にも取ることができたか。
言い終わると、4人の真ん中に飛び掛かった。]
……、……ッ、
[その言葉>>146が契機に、ナイフを握る右手に力を籠めた。
“人である必要なんてない”――ああ、最早人狼となるのに、一刻の猶予もないのだと、そう思い込んだが故に。
凶器どころかクルーク一つ持たないカタリーネが距離を縮めた時、自らもまた一歩前に出て、下から大きく振り上げる]
う、っ! …… …………
[それはこちらへ伸びていた腕だったか、それとも別の箇所だったか。分からずとも、噴き出した鮮血が顔にかかれば、彼女に傷を負わせたことだけは分かる。
深いか、浅いか。分からない、なにも、わからないけれど。
未だ彼女が動くのなら、ふらりと尚も近付いて]
……終わらせないと、
[唯一この目で見た“殺し方”を真似るように、彼女の首を掻き切らんと。
逃げるか暴れるようなら体を押さえつけてでもして、ナイフを振り上げた]
[前触れのない死がこわい。
鉱山の暗がりや獣の爪牙は恐ろしいけれど
人を殺したとしても 殺されたとしても
たぶん、その方がずっと良かった]
え――。これ、は。
[ニコラス、シモンに指摘されたことに対する反応が一拍遅れたのは、心身の疲労が大きかった。
ヨアヒムの証言に続けて口を開こうとしたその時だ。
真紅の赤ずきんが現れたのは]
[体を傷つけられ、鮮血が吹き出しても動揺する事はなかった。
最期のその時まで、何かに焦がれるように。]
もう、充分さ。
人である私に、抗うのは。
愛してる。
私の・・・・・・大切な・・・・・・を・・・・・・・・・・・・。
[振り下ろされるナイフ。
運命は赤色に染まり、そして再びその瞳が光を宿す事はなかった。]
[まだ鮮やかな赤は何の――誰のものなのか。
戦慄しながら立ち上がれば、シモンがいち早く杖を振り上げる。
投げ出され、それでも止まらないカタリーネ。
とても尋常には見えない狂喜に、発しようとしていた身を守る言葉も猜疑も吹き飛んでゆく。
ただ分かるのは、最早
彼女は狼に喰われる赤ずきんでも
活発な羊飼いでもないということ。
迫り来る彼女をどうにかしなければならないということ――]
―― 明くる朝 ――
[東の村に太い遠吠えがこだました。]
『大変だ、オオカミが来たぞ』
[あわてふためく村人達。
その時、あるものを目に入れた村人がいた。]
『あれはもしかして、リネの飼っていた?』
オオカミの群れの真ん中に佇んでいたのは、カタリーネの飼っていた立耳の牧羊犬。]
[ところで知っているだろうか。
牧羊犬ってのは犬種にも大方相場が決まっている。
それはどれも耳の先端が折れ曲がっていて、ぴんと立てた耳なんてなかなかお目に掛かる事はできない。
そしてこの耳は、誇りあるオオカミの血の証。
群れを引き連れ先頭に立つその姿は、この群れの長である自身を誇示するようだった。]
[雨は小降りになりつつあったが、道が元の状態に戻るには時間がかかる。
しかし村人達も手を決してこまねいていた訳ではない。
と言いたいところだが、こまねく他無かった。
大自然の脅威を前にして、人はあまりにも無力だった。
やがて、西の村人が新たに事態を察知するのはいつになるか。
救援が動き出すまで、まだ今暫く。**]
[何かの血で染まる体を、自らの血で更に赤く彩りながらも。
彼女は取り乱しもせず、……逃げもせず]
…………カタリーネ、
[ふつりと沸いた違和感は、見ない振りをした。
血を浴びようとも、二つの眼は立派にその姿を見てたというのに。
ティーカップが割れる音>>153も、何かを求めるように紡がれた言葉>>149も聞いていたというのに。
彼女を鮮やかな真紅に染め上げて、光を失う瞳をただ、見下ろした。
がちがちに固まって手から落ちもしない、元の色を忘れたナイフは羊飼いと同じ色。
勿論、返り血を浴びた己もまた同様に。
誰かの声があるだろうか、何を言っているか、きちんと理解出来る気はしないのだけど]
……これで、終わるよね。
[色のない眼でぽつりと漏らしたなら、彼女の骸も、エルナの所に運んであげたほうがいいかな、とも続けて、その場にいる人間に手伝いを乞うだろう]
[男が見つけた時、ヨアヒムはもう着替えていただろうか]
[大丈夫かと掛ける声には、心配が滲んでいたし
そこに嘘は無かった――ヨアヒムは、恐らくは始めて、
人を殺したのだ]
辛いか。
[仕方なかったと、そう言う事はしなかった。
だから聞いて何が出来る訳でもない。
これから与えようとしている死が、救いだとも思っていない。
そこにあるのは共有だけ。抱え込まず、零した思考を
互いに取り込んで、胸の内に相手を形作るだけの行為]
[――男にとってすれば、
己の所行を自覚する役にしか、立ちはしない]
耐えるしかないし、続けるしかない。
一度始めてしまうと、止まれなくなる。
最初に思ったことが、少なからず己を縛る
……だから、すまないな、ヨアヒム。
[先達として、戦場にいたものとして語っていた言葉は
その瞬間、人狼としてのものに、変わる]
俺は……止めるつもりが、ない。
[服を着替えて、血を洗い流す。ナイフの血も洗い流そうとして、それを眺めている内に先程のことを思い返した。
カタリーネが遺した言葉。
“もう充分”、“愛してる”、“大切な”、
断片を蘇らせながら、最も気になる一言を自身の口で繰り返す]
“人である私に”……
[今際の嘘だと、そう断じてしまえばいい。
だが嘘であるなら、その理由は。
人であると、人狼ではないと抵抗したならまだ理解できた。
それすらないのに、そう告げる理由はあるのか。
血塗れのナイフをそのまま胸にしまい込み、覚束ない足取りで自分の部屋へと戻る。
どうか、終わったと言ってほしい。
どうか、カタリーネは人狼だったのだと示してほしい。
どうか、人を殺したのだと、思わせないでほしい。
はもう、何の恐れも抱かなくていいのだと、言ってほしい]
[僕がジムゾンさんのように敬虔な人間であったなら、神の声が聞こえたのだろうか]
[寝台に腰掛けて、顔を俯かせていた頃。
気配には気付かず、呼びかける声でようやっと顔を上げた。
気遣いが滲む声色>>161、その響きに少し、息ができたものの]
……“辛い”と言う資格は、あるんでしょうか。
[終わらせなければならない、その目的に従って動いた結果だ。
だが、殺したことに変わりはない。
いくら都合があったとしても。
辛いと言えば殺した行為が軽くなるのか、なりはしないだろう。
その上――本当に正しかったかのすら、今は]
カタリーネさん、最後。
……“人である私が”って、言ったんです。
[この言葉の意味が彼なら分かるだろうか。
人狼の狡猾な嘘であると、彼なら断じてくれるだろうか。
眼差しは縋るように彼の眼を覗く。
だから、逆接に繋がれた言葉>>162に、瞬いて、次の瞬間]
…… ………… なに
[謝った理由を問うより先に、黄金色の眼>>163が一つ。
どうして色が変わったのかと、更に問うべきものが増えても]
ぁ゛、ッ…… ……! …………っ
[突如伸びた腕が喉を強く掴んだ。その圧迫に呼吸を遮られ、声はろくに漏れはしない。
身をもって思い知らされる。まだ終わってなかった。人狼はいた。まだいるのだ、誰か――そう思えども、助けは呼ぶ声は持たない。
咄嗟に首を掴む腕を指でがりがりと引っ掻く。しかし獣の力はその程度の抵抗で緩みはせず、失われ行く酸素と共に、力も次第に抜けていく。片腕がだらりと落ちる]
… 、 ………… い、 だ
[滲む視界にある金色の輝きはぼやけている。
何を考えているか>>161読み取るなんて到底できやしない。
分かるのは――死が目前に迫っており、最早逃れられないということ]
[馬鹿げたことにこんな際になってようやく、死にたくないと気付いた。
何もかも感情を閉ざしていたのは、ちっぽけで脆弱な心が恐怖から逃れるための防衛反応だったと、今更知っても、何の役にも立ちはしない。
だが、でも、せめて――終わらないのなら、続いてしまうのなら]
[最期の力を振り絞り、胸に隠していたナイフで獣の腕に刃を立てんと。
けれどそれは、拘束から逃れられるような深い傷ではなく、ほんの少し――せめて明日一日、残る傷であれと願うもの]
[意識を失う前の幻聴は、鈴のような軽やかな小鳥の歌声。
ああ、そうだ、彼らのように。
僕の死にも、どうか価値がありますように]
[己の出したクララへの疑いを、
ヨアヒムは真っ直ぐに否定した。
果たして。
当人からの反応はどうであるか。
じっと待っていれば。
”それ”はやってきた。
信じていた人による、騒動が。]
え――…
カタリーネ、さん……?
[何故、彼女が。
翡翠色の瞳が、丸く見開かれる。
血に塗れた姿。
狂ったような笑い。
手にした鉈。
口にするも恐ろしい姿。
だが――…だが、それは
人狼による恐怖といって良いかは、定かではない。]
[果たして、彼女は何を言っているのか。
その言葉の意味を理解することも出来ずに。
ただ、呆然と事の顛末を見守る。
彼女は違うと思ったのに。
何を間違えていたのか。
自分の推理は間違えていて、
皆が、クララが正しかったのか。
わからない。
何も、わからない。]
[1]
[2]
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