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愛されて50年
皆様に愛と夢をお届けする放送局――…
【XBC――××国・国営放送局】
番組新人警備スタッフ アーヴァインは、村人 を希望しました。
[男は、トランシーバーで報告をしている。]
あー。あー。ミズ・キャロル。聞こえていますか。報告です。
B1〜12出口まで、異常はありませんでした。
引き続きC出口、武器搬入口の点検を行います。
[トランシーバー、OFF。]
The Rolling-Over Show #2
――Dance with Bullet and Roulette――
番組プロデューサー キャロル が参加しました。
番組プロデューサー キャロルは、おまかせ を希望しました。
ハァイ、皆様。ごきげんうるわしゅう。
「The Rolling-Over Show #2」へようこそ。
私は番組プロデューサーのキャロル・M・アンダーソン。よろしくね。
ここでは、TVプログラム「The Rolling-Over Show」の説明をさせて貰うわ。
今回の舞台は――カジノ。
この国のどこかに設置したのだけれど、どこかは秘密よ。
参加者は、一般公募で選ばれた、ごく普通の人々。
でも、この舞台に上がった瞬間から――彼らには、カジノの常連たるセレブリティに変身してもらうことになっているわ。まあ最初は「衣装を着せられているだけ」かもしれないけれど、おいおいその気になってもらえれば充分よ。
村の設定が変更されました。
この番組のルールはいたって簡単。
『参加者は2つの陣営に分かれて殺し合い、最後まで生き残った人間は莫大な賞金を手に入れることができる』。
……これだけよ。
※この村では、【たとえ陣営が敗北しても、生き残っている方は勝利者としてみなす】というルールを採用しております。
生き残るためには「狼を探す推理力」よりも、むしろ「他の参加者に対する説得能力」が必要になります。「リアル人狼」のRP村ヴァージョンであるとお考えください。
そのため、全ての推理・行動にはRPを絡めていただきます。
【人狼用語禁止】+【記号使用の禁止】+【推理や発言はRPに乗せて行う】
こちらのルールは遵守していただけますようお願い申し上げます。
それから、「2つの陣営」について。
カジノの中には、ごく普通の参加者と、「ギャングスター」と呼ばれる役割を演じている人がいるの。
「ギャングスター」を演じている参加者は、毎晩1人だけ「普通の参加者」を秘密裏に殺すことができるわ。普通の参加者は、「ギャングスター」に自分たちの陣営が滅ぼされないよう、1日1人を選んで処刑することができる。
もちろん、「ギャングスター」は普通の参加者に紛れて、他の人に容疑を掛けて殺すことができるわ。だから普通の参加者は、「ギャングスター」に騙されないように注意して頂戴。
普通の参加者の陣営の中には、「ギャングスター」探しのサポートができる人が潜んでいるから、彼らの力をうまく利用すればいいと思うの。
殺し合いを何日か繰り返して、「ギャングスター」を全滅させるか、「ギャングスター」が「普通の参加者」の同数以上になったらゲームは終了。その時点で生き残っている人には、ゲームの勝利者として賞金をあげる。
……そういう仕組み。お分かりいただけたかしら?
【役職設定】
・村人=ごく普通の参加者
・人狼=ギャングスター(Gangstar)
・囁き狂人=ブラック・オペレーター(Black-Operator)
・占い師/霊能者/狩人:特に言い換えはしません。好きに名乗ってください。
★キャロルは「聖痕者」として入村しております。
これは他の方の役職希望を潰さないようにするための措置ですので、参加者の皆様は入村時に「聖痕者」を希望しないよう、お願い申し上げます。
でもね、注意して欲しいことがひとつ。
このゲームには、「最後まで生き残っていたら賞金を独り占めできる」参加者が潜んでいるの。
その名は「ハイ・ローラー」。
ゲームの最初の時点では、「ハイ・ローラー」は独占することができる権利のチケットの半券を持っているだけ。
でもね、2日目の最初の時、彼/彼女が1人を指名した時からがギャンブルのスタートよ。
指名された相手がOKを出したら、彼らペアは一蓮托生。ペアの片方が死んだら、パートナーも殺される仕組みになっているのよ。
ただし、ペアが最後まで生き残ったら、賞金は全て彼らのもの。指名された相手は、OKを出したら、自分の持っている「能力」を捨てることになるのだけれど……大きな野望の前にはそれは不要。そうでしょう?
逆に、指名相手がNOをつきつけたら、「ハイ・ローラー」のペアは生まれないわ。「ハイ・ローラー」は普通の参加者に逆戻り。それだけよ。
【役職設定】
・求婚者=ハイ・ローラー(High-Roller)
※参加人数が少ない場合は、「ハイ・ローラー(求婚者)」か「ブラック・オペレーター(C国狂人)」を削る予定です。その時は別途ご相談する予定ですので、よろしくお願いいたします。
※詳細は「求婚者」のルールをお読みください。
Wikiページにも記載しておりますので、こちらもどうぞ。
http://www.jsfun525.com/pukiwi...
ああ、そうそう。
この番組は、現在も参加者募集中よ。
飛び入り参加者も大歓迎しているから、血に飢えた猛者はどんどん飛び込んでくればいいと思うの。
……だぁれ?
「こんな悪趣味な番組に応募する馬鹿なんて居ない」だなんて言い出したのは。ま、口先三寸で渡り歩ける「戦場」を欲している人間が来れば、それでいいのよ。
その他、詳細につきましてはこちらのWikiページをご覧下さい。
3日目までの進行についても記載してあるので、ごゆっくりお読みいただければ幸いです。
■“The Rolling-Over Show #2”簡易ガイドページ
http://www.jsfun525.com/pukiwi...
プロローグ中は随時質問を受け付けております。
回答は「キャロル」もしくは「天の声」を通して行う予定ですので、お気軽にどうぞ。
また、村が始まるまでは雑談村に「Rolling2のAD」を置いておく予定です。村に入る前に質問がある方は、こちらのキャラにお問い合わせいただいても構いません。(できる限り対処できるよう頑張ります…!)
まあ、いっちばん最初の説明はこれくらいでおしまい。
あとは、参加者がここの舞台に上がってからのお楽しみよ♪
どんな人間が来るか、楽しみにさせてもらうわ。
村の設定が変更されました。
村の設定が変更されました。
★注意★
「ウェンディ」「ギルバート」は既に予約済みのキャラクターとして登録されております。
飛び入り参加をしてくださる方は、この2キャラ以外から使用するキャラをお選びいただけますよう、お願い申し上げます。
番組プロデューサー キャロルは、聖痕者 に希望を変更しました。
村の設定が変更されました。
?? (ギルバート) が参加しました。
?? (ギルバート)は、おまかせ を希望しました。
[ガラガラガラガラ……
リノリウムの床の上で、車輪がけたたましい音を立てる。
両開きの扉を開け、搬入口から滑り込んできた一台のストレッチャーは、武装した屈強な男達が周囲を取り囲む中、建物の奥へと搬送されていく。]
「そこどいて!もっと開けて!」
「C7出口入りました。スタンバイお願いします」
[喧騒に包まれたここ、楽屋裏ならぬセット裏で、放映の準備に追われるスタッフ達の間に、より一層緊迫した空気が漂った。
社名と思しいワッペンの付いた制服とボディアーマーを着た男の怒声。
ハンズフリーのヘッドセットで連絡を取るADの、ギラギラと目ばかり光る酷く消耗した顔。
出演者の衣装を運ぶ途中であった若い女性スタッフが、慌てて通路の壁にへばりついた。
人の壁に囲まれて、目の前を通り過ぎてゆくストレッチャーを、彼女は軽い好奇心から見つめた。]
[ストレッチャーの上に寝かされていたのは病人や怪我人などではなかった。
身に纏っていたのは拘束衣。
その人物は、その上から更に何条ものバンドで厳重にストレッチャーに固定されていた。
ぼさぼさの茶色の髪の下、のっぺりと白く顔の下半分を覆っているのは仮面なのだろうか?
彼女は昔観たサイコホラー映画のワンシーンを思い出していた。その映画ではシリアルキラーが似たような拘束衣を着けさせられて登場するのだった。
と、その刹那。
ストレッチャーの上の人物と目があった。]
[見開かれた琥珀色の瞳。
恐ろしいほど澄んで、だが異様な光が底に宿っている、その眼。
鋭いと言うのではない。ただ、冷たく揺らがないのだ。
そう、その眼の光は前にどこかで……]
「近付くな!怪我するぞ!」
[太い腕に強い力で押し退けられて、ハッと我に返った。
拘束衣の人物の瞳に見入られてぼうっとしていたのだと気付く間に、ストレッチャーの一団は通路の先に消えていった。
そう言えば、と彼女は大分後になってから思い出したのだった。
あの瞳は、子供の頃に連れられて行った動物園の――爬虫類館のガラスケースの中にいた鮮やかな色彩の綺麗な蛇、あれの眼に似ていた、と。**]
ハァイ。こちらキャロル。
……オーケイ。
C7出口からの参加者「搬入」、確認。
随分とド派手な登場じゃないの。ふふっ……私もさっぱり予測してなかったわ。
[ハンズフリーの向こうから、声が聞こえてくる。やたらと慌ただしい様子に、キャロルは大きく唇を歪めた。]
いつの間にうちの放送局は「化け物」を参加者として採用したのかしら…ねぇ?登場には、マイケル・ジャクソンの「スリラー」でも流して差し上げた方が良いかしら?
[ポケットから煙草を取り出し、その先に火をつけた。]
まずは彼を文明の世界に戻して差し上げて。そして、とびきりのセレブリティに仕上げて頂戴な。
……ええ。メイキャップ・スタッフの女のコ達が「食べられないように」、あなた達がせいぜい気をつけて守ってあげなさいな。
[女は煙を吐き、小さなハンズフリー・マイクの向こうに居る相手に聞こえるようにクスクスと笑ってみせた。]
[煙を吐き出しながら、キャロルは天井を見上げた。
左耳にはスタッフの騒がしい声が聞こえる。誰かに聞かせるわけでもなく、彼女は呟いた。]
……んもう。うちのスタッフは、だらしないわねぇ。
フリークスなんて見慣れてるでしょ。フィクションでは。
恐ろしくなっても、殺したりはしないで頂戴な……。
うちの番組の、貴重な「商品」なんだから。
元子役俳優 ウェンディ が参加しました。
元子役俳優 ウェンディは、おまかせ を希望しました。
[煙草とアルコールの匂いが染み込んだカジノの真紅のカーペット。フラフラとした酔っぱらいの足取りで歩いて来る姿がある。
輝くプラチナブロンド髪が眩しい小柄な彼女は、頭には大きなリボンを巻き、ディ○ニーアニメの不思議の国のアリスの様な、テラテラとした水色のエプロンドレスを纏っている。
左手には大きなうさぎのぬいぐるみ、右手には少女の姿には似つかわしく無い、黒い酒瓶を握りしめていた。]
「おいッ、カジノに幼女が紛れ込んでるぞ。流石に不味くないか?」
「バカだな、あれは出演者だ。
子どもじゃないぜ。よく顔を見てみろ──」
[スタッフがひそひそとそのような会話を交したその時、折よく、ルーレットのテーブルに腕を伸ばすようにして、彼女──ウェンディが小さく白い雪肌の顎を上向かせた。
アッ!と最初のスタッフが声を上げる。
しどけなく欠伸をした不思議の国のアリスの顔は、そのスタッフの彼がまだジュニア・スクールに上がるか上がらないかの頃、一世を風靡した有名な子役俳優だった。]
[淡いグリーンの丸い瞳、髪と同じ染色では無いと分かるプラチナブロンドの淡雪のような長い睫毛、薔薇色の頬に、ふっくらとした小さなくちびる。
声を上げたスタッフの彼がジュニア・スクールに入っても、ウェンディはずっと、ドラマの子役で、映画で、彼女は大活躍していた。現在1数歳以上の同国人ならば、有名子役だった彼女の事を知らない者はいないだろう。それに──。何時まで経っても成長しない永遠の少女のような彼女には、違法な薬物使用の噂があった事も。
輪郭がゆるくくずれ、相応の年齢を感じさせる変化の中、変わらぬ華奢なアリスも姿に、全盛期のウェンディを思い出したスタップの彼は一瞬言葉を失った。]
くだらない。本当にくだらないわ。
可愛いだとか、愛らしいだとかチヤホヤする裏で、
あたしから金をむしり取った虫ケラども。
いまだに、こんな衣装を用意するなんて──。
「おい、彼女、今幾つだよ。25,6?、イヤ30?」
「──あの格好はキツいんじゃねえの?」
[何処からか聞こえる好奇を含んだ笑い声が耳に入ったのか、ウェンディは思い切り顔を顰め、右手の酒瓶から琥珀色の液体を煽ると、残りをルーレットテーブルに*叩き付けた*。]
元子役俳優 ウェンディは、人狼 に希望を変更しました。
ビタ押し カミーラ が参加しました。
ビタ押し カミーラは、おまかせ を希望しました。
――ああ、もう!何よこれー!?またチップ吸い込み機?
[ごんごん、とスロットマシーンを叩く女性。スーツを着たいかつい男に見咎められると、慌てて立ち上がり席を後にする]
しっかし、さっぱり当たらないわね・・・。ここに出回ってる機種、一般に出回ってるのとは違うのかしら?
ビタ押し カミーラは、囁き狂人 に希望を変更しました。
うわ!っとと・・・もう。
[一応礼装と言う事でブラックのカクテルドレスを身に纏ってはいるが、しかし衣装に振り回されているかのように裾に躓いて転びそうに]
・・・気分転換にBJでもやろうかしら。それともアルコール?まぁ、時間はたっぷりあるわ。適当にぶらつきましょう。**
[紫煙をくゆらせ、女はカジノの真ん中を歩いてゆく。]
ハァイ。皆さん。ごきげんうるわしゅう。
参加者が次々と来ているようね。
さあ、彼らはこのカジノで……この「戦場」で、どんな表情を見せてくれるのかしらね?
[スロットにコインを入れ、ガチガチガチとボタンを次々に強く押す。無機質な「GAME OVER」の文字が踊る画面を見つめた女は、ピンヒールの靴で筐体をガツンと蹴った。]
……何よッ!さっきから「GAME OVER」ばっかり。
壊れてんじゃないの?コイツ!
賭けてるのが自分のお金じゃなくて良かった。
心の底からそう思うわ。
[鋭い一撃でへこんだ筐体に肘をつき、咥え煙草の口元から、機関車のように黒い煙を吐き出した。
視線の先に、不思議な格好をした女が見える。
「愛」やら「正義」やらを謳った、どこぞの夢見がちな映画のヒロインよろしく奇抜な格好をした「少女」が、うさぎのぬいぐるみと酒瓶を両脇に抱えて居るのだ。
そのひどく滑稽な姿を見て、キャロルは思わずニヤリと笑みを浮かべた。煙草が無ければ、声を上げて笑ってしまっていたかもしれない。]
村の設定が変更されました。
―出演者控え室―
[……あの糞女め。
アシスタントディレクターは、念の為ヘッドセットのマイクを切ってから、心の中でたっぷりと毒づいた。
この糞ったれな業界ではクライアントとプロデューサーの指示は絶対で、どんなに理不尽だろうと現場の下っ端は突撃命令の出た二等兵よろしく従うより他ない。
泥の中を這いずり回れと言われれば泥まみれにもなるし、猛獣の檻に飛び込めと言われればそうするしかないのだ。]
[……まさしく猛獣の檻だよな、と出演者控え室で彼は重い溜息を吐き出した。
部屋の真ん中に運び込まれたストレッチャーを見ると、緊張のあまり身震いが止まらなくなりそうだ。
事実、真新しい包帯に包まれた右手は細かく震えている。
指をへし折られた時の記憶があまりに鮮明で、飛び切り強力な薬を服用していると言うのにその恐怖が消せないのだ。
彼はポケットから更に数錠の薬を取り出して、水も飲まずに飲み下した。
その恐怖は事情を知らない者にも伝わるのだろう、壁際ではメイキャップと衣装担当の女の子二人が怯えた表情で身を寄せ合うようにして様子を窺っている。
そうでなくても、ストレッチャーの上の人物の異様な風体と、周囲に立っている警備員の物々しい警戒の様子を見れば、自分達が何らかの危険に晒されているということは容易に想像のつくことではあったが。]
[彼はこれから、猫ならぬ“モンスター”の首に鈴を付けねばならない。
その“モンスター”は、既に警備員達の手によって身体を固定していたバンドを外され、ストレッチャーから用意された椅子に移されている。
捕獲された時と打って変わって、今は不気味なほど大人しく、それが更に彼の恐怖を煽る。
見開いた眼の――明るい琥珀色の瞳が、静かに獲物の隙を狙う野獣の目に思えてくる。
「――それじゃあこれから拘束衣を外しますから。
その前にもう一度説明しますね……」
何とか気力を奮い起こし、これで何度目かになる番組出演者への説明を始める。
彼が願うことは、何とか無事に目の前の「これ」を舞台に上げてしまってとっとと重荷を降ろすこと、そして出来れば他の出演者だけでなく、いっそあの糞忌々しい女プロデューサーも一緒に始末してくれれば、ということだけだった。**]
[食堂にて]
和・洋・中と。品揃えは中々ね。私とては、カジノなんて無くたってこれだけで満足なんだけど。
あ、ウーロンハイおかわりねー!
[目の前には空になったコップの山。カウンターの奥から新しいコップを持ってウェイターが歩いてくるが、その顔は心なしか引きつっているようにも見える]
これだけ飲んでもタダなんだから、プロデューサー様様よね。
あぁ、海老炒飯頂こうかしら。小腹もすいたしね。
元子役俳優 ウェンディ がいたような気がしたが、気のせいだったようだ……(元子役俳優 ウェンディは村を出ました)
元子役俳優 ウェンディ が参加しました。
元子役俳優 ウェンディは、人狼 を希望しました。
[派手な音に続いて、アルコールの匂いが周囲に広がる。
ルーレットテーブルに、ウェンディが抱きしめたぬいぐるみを放り込んで、火を付けたならちょっとしたショーになったかもしれない。
雇われのディーラーが慌てて飛び退く様子に、ウェンディは小さな笑い声を立てた。声だけを聞くならば、鈴を転がすような無邪気な声だと感じるものも居るかもしれない。]
あははは──間抜けな顔。
でも、この糞忌々しい番組がはじまれば、貴方達も巻き込まれて死ぬかもしれないんだから、この程度で驚かないで頂戴ね。
[キャロルは、携帯電話の向こうの人間と通話をしているようだ。]
あーもう!クソったれの無能スタッフ!
何でもいいから参加者連れてこいっての!
誘拐でも何でも構わないわ。銃で脅せば、大概の人間は何とかなるわよ。
[廊下にあった消火器をガツンと一発蹴り飛ばした。]
ったくもー。最近の視聴者ってのはシケてるわよねぇ……
[煙草に火をつけ、フィルターを噛んだ。]
いいじゃない。安い命のひとつやふたつ賭けたって、どうってことないでしょうに……。当たれば大金入るんだから、いっそ死ぬ覚悟で生きてみろっての。
今どき、世襲も当然のミスター・能無し・プレジデントですら、そんなに高いお値段の命をお持ちでないでしょうに、ねぇ。
[携帯の向こう側とこちら側の双方をあざ笑うかのような口調で、キャロルは通話相手に告げた。]
……というわけで、ミスター・ロープライスさん?
人を集めてこなかったら、どうなるか分かってるわよね?
そう……いい子ねぇ。
じゃあ、私は参加者さんと戯れてくるから、ヨ・ロ・シ・ク♪
[それだけ告げて、一方的に通話を切った。]
のんだくれ ケネス が参加しました。
のんだくれ ケネスは、おまかせ を希望しました。
んあー、カジノだぁ?
俺は金なんかねぇぞぉ。そんなとこ連れて言ってどうすんだ?
[酒臭い息をまき散らし、市立公園のビニールハウスで男がくだを撒く。]
ん?
金はイラネェのか?
ただで酒も飲める?
なら良いけどな……。
[ろれつの回らない言葉で頷くと、番組スタッフが差し出した用紙に殴り書きのサイン。]
……参加者1名確保、ね。
しかも、ほど良いロクデナシっぷりね。
いいセンスしてるじゃない。
オーケイ。いい感じよ。
その調子で頑張って頂戴な。
[携帯電話の向こうの様子を想像して、女はクスクスと笑っている。]
―ホテル廊下―
[あらゆる機会を逃さず出演者を撮影するために、ホテル内に無数に設置されたカメラの一つが、赤いカーペットの敷き詰められた廊下を映している。
その視界を横切るように、手前から奥へと歩いて行く人影がひとつ。
綺麗に撫で付けられた明るい茶の髪、長身の、肩幅の広い背中、金の掛かっていそうな仕立のスーツが人目を引く。
確かに金は掛かっているのかも知れない。そのスーツは綺麗にダイヤ柄の紋様が浮かんだ蛇革で出来ていたのだから……。
急に足を止め、パッとその人物は振り返った。
顔を斜め上に上げ、真っ直ぐにカメラをねめつける。
粗野な――だが意外に端正な顔を歪めて見せたのは、カメラのこちら側の人間を嘲笑っているのか、それとも……
喉奥から、吐息に似た威嚇音が洩れたのをマイクが拾った。]
[女は、紫煙の先にひとつの人影を見た。
サクラとしてゲーム開始まで配置しているエキストラが作り出すざわめきの中で――強い生命力を帯びたひとりの男が歩いている。
女プロデューサーは、携帯電話の向こうに一方的に語り掛けた。]
――「アレ」が、その一人よね。
随分とキレイに仕立てたものじゃない。いい仕事してるわ。
[それだけ言った女は通話を切り、男の姿を見つめた。]
[カメラに背を向け、再び歩き出した……と見えた次の瞬間、]
[ガシャン!!]
[通りがかったボーイの手から飲み物の乗ったトレイを引ったくると、カメラに向かって投げつけた。
カクテルグラスの砕ける音、転がるトレイ。]
[雑踏の中で、カクテルグラスが割れる音がした。
そこかしこから悲鳴が聞こえる。
視線の先に居たのは、先ほどから彼女の目を惹きつけてやまぬ、端正な顔立ちをした長身の男。]
………。
[きわめて冷徹な表情で、キャロルはそれを見ていた。]
[ウェンディは細い首をこてんと傾け、ディーラーの顔をそのまま注視した。]
でもさ、貴方達にも。契約書にサインをしたあたし達ほどじゃないけど、相応の補償が出るんでしょうね。
あんた案外若いみたいだけど、借金でもあるのかしら。
なら、いっそ、出演者になっちゃえば良いのに。
[人形の様な淡いグリーンの瞳がくるりと*動いた*。]
[男は全員の注視を浴びながら、それを全く気にした様子もなく平然と立っていた。
整えられた髪をぐしゃぐしゃっと片手で乱し、濃紫のワイシャツの襟を緩める。シルバーグレーのネクタイを引き毟って床に投げ捨てた。]
[女は、長身の男が見せる仕草に思わず噴き出した。
髪は乱れ、ネクタイは無惨にも床に落ちた。一瞬だけ見せたあの「文明的」な美しい男はどこへ行ったのか、と。]
あらあら。面白いこと。
彼は……ヒトのカタチをした、何者かしら?
ねえ?そう思わない?
[ざわつくエキストラを横目に、キャロルは男の様子を観察している。]
おい。
[シーンと静まり返った場の中心で、凍りついたように立ち尽くしている傍らのボーイに、男は声を掛けた。
びくり、とボーイの身体が震え、上ずった声で反射的に返事をする。]
食い物はどこだ。
[男が浮かべた鮫のような微笑に、引き攣った営業用スマイルを返すのがやっとの有様だ。**]
[軽く夜食にサンドイッチをつまんでいると、にわかに食堂の入り口辺りが騒がしくなってきた。]
・・・なんだってのよ?
[きょろきょろと辺りを見回すと、スタッフが小声で「アレが人かよ・・・」や「化け物が!」などと言い合っているのが聞こえて]
何だか知らないけどヤバげな雰囲気ね・・・触らぬ神に祟り無しだわ。
ご退場は願えそうにないし、こっちからとんずらさせてもらいましょ。
[混乱をいいことに厨房を経由し、食材搬入口より食堂を*後にした*
[突如として上がったけたたましい女の笑い声に、目の前の愛想笑いを浮かべたボーイから声の主である女へ、男の視線が移った。
色の薄い琥珀の目をすっと細める。]
何がおかしい。
[全く無造作な足取りで女の方へ近付いていく。]
………何が、って。
[男と同じように、女も目をスッと細めた。]
くっだらない「文明」の枠をブチ破ろうとしては失敗する人間と、「文明」の枠に入っていることに心から安堵する人間が……ね。
[じっと女を見詰める視線には、奇妙な熱意がこもっている。
口の端が微妙につり上がっているのは笑っているからなのか――**]
まあ、貴方達の事なんて
──どうでも良いわ。
[まだ出演者の揃わない初日のメインスペース。客を待つディーラー達がそれぞれの賭博の為のスペースに控えている。彼等をまるで空気の様に無視して、ウェンディは歩く。
妖しく点滅するライトに照らされたカジノの奥へ、場違いな水色のドレスを纏った不思議の国のアリスは進んで行った。]
[それは受け取ると言うより、引ったくると言った方が適切な動作だった。バーボンのボトルにツンと上向いた小さな鼻を近付けた瞬間、アルコールの匂いに、淡いグリーンの瞳が虚ろな光を映す。]
…ああ、ホントに嫌ねえ。
[瞬き。
酒瓶を握ったのと反対側の腕が無意識に、うさぎのぬいぐるみを抱きしめた。ふんわりとした袖に包まれた腕は、白く小さく華奢だ。
その子どものような腕が震え、口元から僅かに封を切ったばかりのバーボンがたらりと零れた。]
倫理観の強い国──******。
あたしみたいな人生の落伍者たちに浴びせる仕打ちは残酷。
国営放送で、本物の殺人ゲームを放送出来る位に。
[口元を拭う事もせず、カジノの真ん中で*立ち尽くす*。]
あっはっはっはっ!!
……ごめんなさいねぇ……
残念ながら、私はこの番組のプロデューサー。
あなた達の殺し合いを飾り立てて皆様にお送りする「使命」があるの。
ゲームでご一緒できなくて、残念だわァ……
[口許を歪めて、大きく笑った]
[チッと男は舌打ちした。
瞳に宿っていた期待の色が、見る間に激しい苛立ちに変わる。]
ならさっさとゲームとやらを始めろ。
イライラすんだよ……
………ごめんさないねぇ。
こちらにも準備ってものがあるの。
そう簡単には始めちゃいけないのよ……
もうちょっと待ってて頂戴な。
[男は吐き捨てると、傍らにあったアンティーク調のテーブルを激しく蹴りつけた。
破砕音とともに、足の折れたテーブルが吹っ飛ぶ。
辺りに砕けた木片が散らばった。
既に周囲からは潮が引くように人が失せている。]
お前「たち」の都合は聞いていない。
好きなだけ暴れられると聞いたから話に乗ったまでだ。
闘う相手を用意しろよ……
俺に立ち向かってくる敵をよ。
……………。
[小さな溜息の後、肩の力を抜くように笑った。]
そうね。そうさせていただくわ……
今、探しているところよ。
ま、期日までに何とかするわよ。
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