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研究者の娘 アリシア は、ギーク ジャンクス を占った。
次の日の朝、自警団長 ヘクター が無残な姿で発見された。
《★占》 ギーク ジャンクスは 人間 のようだ。
……そして、その日、村には新たなルールが付け加えられた。
見分けの付かない人狼を排するため、1日1人ずつ疑わしい者を処刑する。誰を処刑するかは全員の投票によって決める……
無辜の者も犠牲になるが、やむを得ない……
そして、人間と人狼の暗く静かな戦いが始まった。
現在の生存者は、“蒐集家” ヴァレリア、“鋼の左手” ダンテ、公安 リュミエール、コールガール ソーニャ、神父 クリストファー、苦学生 メディクス、新参ナース リーン、研究者の娘 アリシア、カルテット メノミリア、ギーク ジャンクス、“烏” ケビンの11名。
コールガール ソーニャは、ギーク ジャンクス を能力(守る)の対象に選びました。
ー回想/スラム街路地裏ー
[電話の着信を告げる振動に、少しだけびくりとして携帯を取り出す。
ディスプレイで仕事用の回線にかかってきたことを確認すると、通話をONにした。]
はい。もしもし?
あら、貴方? お久しぶりね。
[電話の向こうから聞こえる声に、わずかに頬を緩めた。]
ええ。いいわよ。嬉しいな。
バートラムホテルで良い?
ええ。
[唇は笑みの形。褪めた色の瞳は伏せられていた。]
ー回想/バートラムホテルー
[仕事が終わると、馴染みの客は手早く服を身につけた。]
相変わらず忙しいのね。
[客の素性を詮索することはない。
自分の電話番号を知っていると言うことは、他者からの紹介を得たものであると言うこと。
それ以上の保障は求めていなかった。
それでも、馴染みの客の場合、相手の方から話す言葉でその素性を伺い知ることが出来る。]
最近物騒だから、過労死しないようにね?
[ベッドに寝そべったまま笑うと、男は真面目な顔でため息をついた。
少し嗄れた声でぽつりと話す。]
都市の、閉鎖……?
Masqueradeの為に?
……そんな話も出てるの。
政府は街ごと病気を潰そうとしてるってこと?
乱暴ね。
ねえ、こんなこと私に話していいの?
私がMasqueradeに感染してたら、その話を聞いて逃げ出すかもしれないわよ?
[楽しげに唇をゆがめると、男は眉間にしわを寄せた。
苦々しい顔で、言葉を吐き出す。
その言葉に、薄い色の瞳が柔らかく笑んだ。]
……そう、ありがと。
[そのまま素っ気なく出て行った男を見送り、窓の外へと視線を落とす。
眼下には暗い川。映す瞳にも*光はない*。]
―回想・Bar"Blue Moon"―
[何事もない、普通の日々のように。
姉御や後輩たちと語らったり、笑いあったり、どぎまぎしてみたり。
そんな中で感じる、ひとつの苦しそうな眼差し。
どんなにフツウを装ったって。
どんなにフツウの頃のように笑えることができたって。
もう、後戻りはできなくなってしまったのだと、その眼差しに告げられているように、思えた。]
[でも後戻りなんてできなくたっていい。
12の時に失った父。
ボロボロの顔半分、厭でも記憶に留まり続ける痣の形。
なぜこんなことになったのか、わからなかった。
そんな少年に、母は無表情に告げた。
「殺されたのよ」と。
仇を追うため。仇を討つための力を得るため。
そのために始めた情報屋。
そしてこの前、ある雨の夜に出会った一人の男。
利用できる力は得た。あとは、討ち果たすまで。]
…後悔なんてしてるわけ、ないっすから。
[そう、ぽつりと呟いた。]
[聞こえる明るい歌声。
心は、ひと時の安息に戻される。知らないうちに、ちょっとばかしメノミリアのメロディを口ずさんでいたが。]
……なーんかその調子、真面目に行ってますぅって言いたげだなぁ、ミリア?
[おめぇに限って、んなわけねぇだろ、とでも言いたげに後輩に楽しそうに詰め寄る。]
まあ、後輩ちゃんの無実証明はメディ次第ってコトだ。
もっとも、俺の件で手一杯かも知れんが…ね。
[にぃやり。
メディクスが背負っている、もうひとつの重い荷については知る由もなく。]
[マスターがアリシアを呼ぶ声が聞こえれば、きょとんとしたが。]
へぇ、リュミ兄様が、ねぇ…。
[本当に付き合ってるんじゃ…とは言えず、ただ端末越しのやり取りにそれとなく耳を傾けた。よく聞こえなかったけれど。
賑わいの中、仔犬を抱いて静かに店を後にするアリシアに気付けば、何も言わずにそっとその姿を見詰めて。
しばらく店の面々とからかったりからかわれたりを続けた後、お先にっ、と陽気に告げて、少年もドアを開けて店から出て行った。]
―回想・了―
/*
…そういやどこで見つければいいんだろ(おまえ
赤側のみんなに聞いてみようかな…でも聞いちゃったら村側バレバレ…あーでも結社員COしてるから別にいいのかな、かな。
そしてデフォは先輩。…勘弁してくださいランダ神様!
/*
そういえばちょっと試してみたいことがあったのでした。
今日のケビン君の運勢は?悪ければ悪いほど寄生されちゃう可能性アップ!かも☆
{02女教皇:逆}
― 回想・Bar"Blue Moon" ―
[マスターにフードを頼んで、近くのテーブルへと移動しようとするが、胡椒が多めのオニオンスープには満足をしたのかカウンターへと向かいおかわりを要求した。]
おかわりー。
マスター、おいしいよー、オニオンスープッ!!
仄かに香る、たまねぎハーモニ〜♪
[受け取ったおかわりのオニオンスープ片手に今度こそテーブルに移動しようとすればケビンの詰め寄りに合い、ほんの少し涙目になる。]
うぅ〜っ。ちゃんと学校……行ってないかも…あれ?
あたしはケビン先輩よりずーっと真面目だもーんっ。
とにかく、メディ先輩に話を聞けばいいもんね。
[テーブルには注文したナポリタン、ピーマン抜きが届けられた。
いただきまーすっという言葉と共にフォークを握った。]
/*
投票デフォがソーニャ。
護衛デフォがケビンセンパイ。
うーん、両方とも明日考えればいいかなぁ。。
うにゅーん、うにゅーん。
[フォークでくるくると巻き取りながら、パスタを口えへと運んでいく。
Barと呼ばれるところで、がっつり食事をするものなのか周りを見回してはみるが、分からなかったので考えることをやめてみた。
誰もそんなことをしないなら、自分が最初でいいではないかと、という結論に至る。]
むー……。
今日は家に帰れるかなぁ……。
[またもぼんやりと考えながら、ナポリタンは減っていく。
気が付けば、アリシアがいなくなっており、ケビンも店を出ていくところだった。]
マスター、ご馳走さまぁっ!!
また、来るねーっ。
[マスターはどんな思いでこの言葉を聞いたのか。
Barには似つかわしくない客は店を後にした。]
―→自宅方面
― 自宅前 ―
[こそりと自宅の様子を伺う。
自分を銃撃してきた男たちの様子を探るためだ。
ぱっと見たところ、誰もいないように見えた。]
……大丈夫だよねっ、多分。
お風呂入りたーい、携帯も持ってかないとダメだし。
[こっそり隠れるかのうようにして、自分の部屋へと。]
―→自宅
― 自宅 ―
[若干荒らされた様子があるが、気にしない。
携帯端末をチェックすれば、アンサンブルのメンバーから連絡があったようだった。]
あー……なんだったんだろ?
あ、メールで入ってる。
[それは暫く練習は休みにしようというもの。]
えっ、えぇっ?!なんでっ、なんでっ??
[理由は、自身が銃撃された噂がメンバーの耳に入ったことだったが。それに気付くことは、できずにいる。]
…ふーん、べ、べつに、いいもんねーっ。
あたし、1人だってべつに。
[気分を紛らわすかのよう、シャワーを浴び。
布団に飛び込んだ。]
― 回想終了 ―
― 早朝・自宅 ―
[今朝は何故か自然に目が覚めた。
昨日戻ってきたことを男たちが気付いているかもしれない。
この間は助かったが今度は銃弾に倒れることも十分に考えられる。]
早めに家を出たほうがよさそう…。
忘れ物ないようにしないとなー…。
あ、パパのも持って行っとこう。
[小さなケースと携帯端末。
それから、いろいろな音楽データをカバンに詰め込む。]
あ、リーンにも後でメールしなきゃなーっ。
確か楽器ケースに入れといたはずだし。
[そろっと家を出て行く。]
― 路地裏 ―
[家からこそこそ、隠れるようにして出かける。
何も悪いこともしていないのに、何故追いかけられなければならないのか。
全く納得がいかなかった。]
今日は学校行こうかなーっ。
でも行っても、センセに怒られるだけかも。
じゃあ、街でサックス吹いてるほうがいいかなっ!
[走り抜けようとした路地裏。
己の足を引っ掛けようとしているのか、足が伸びている。]
なぬっ!そんな罠には引っ掛からないもんねーっ!!
[けれど、明らかな異臭には気付いていた。
鼻が曲がりそうな臭い。]
くっさー……何、なんの…にお…。
[伸びた足の持ち主を確認するかのよう、足を飛び越える前に立ち止まって持ち主を確認した。
ゴミ箱の陰に男の姿は隠れており、近付いて初めて確認ができた。
上空には、黒い鳥が鳴いていた気がする。]
えー……ええっ……!
[思わず、1歩後ずさる。
けれど、壁のある方向に後ずさってしまったのですぐにぶつかってしまった。]
役所のおじちゃん……?
……、え、え、これって、『Masquerade』?
[何度もストリートで怒られた。
男にとの時の面影はなく、右肩から右の二の腕の辺りが腐ったのか、ボトリと落ちている。
首筋には何か奇妙な痣みたいなものが見えた。]
パパ…パパ…。
パパの作った薬、何の役にも立ってないよ。
ほら、また1人月へと誘われた。
皆、月に還りたいんだよ、やっぱり。
[思い出す記憶。
潰した頭。
飛び散る赤。
赤
赤
赤
それから、黒。]
アハハハハ――――、ハハハ―…?
パパ、怖いかも…あたし、怖いかもしれない。
ハハ…アハハ……。
やっばい、生で見ちゃった……。
これ、記憶に焼き付けて、作曲に活かさないと……。
[言いながらも、微かな震えが止まることはなく。
視線も上手に定まらない。
周囲に漂う、腐臭がさらに意識を遠のかせた。]
……ハハ……、アハハ……。
あたしも、あたしも月に還るの、かな……?
[震える声で呟いた。
死体の前、ぼんやりそれを見つめたまま。
時間が経てば、その場に*座り込んでいるかもしれない。*]
ー路地裏/早朝ー
[まだ朝のうちに、ホテルを出る。
川沿いの道を抜け、人気のない路地裏へ。
どこかで鴉のなく声が騒がしい。]
“鋼の左手” ダンテは、コールガール ソーニャ を投票先に選びました。
[鼻を突く臭いが路地に入る前から異変を伝えていた。
生ゴミとは違う臭い。少し薬品の混じったような、腐臭。
普段なら避けて通るだろう道を進んだのは、どこか尋常でない笑い声が聞こえたから。
見覚えのあるミントグリーンの髪がゆらゆらと揺れる。
彼女がサックスを吹いている時も、同じように揺れていた。
でも、笑い声はあの時とまったく違う。少しも楽しそうじゃない。空気の漏れる音。]
どうしたの?
[がくがくと震える少女に歩み寄り、その見つめる先を確認する。]
─早朝・自宅─
[通信端末は、いつもと違う着信音。
寝起きの身体は、すぐさまソレに反応して。
音声通信を受信。
現況を知らせる声は、真剣みを通り越して悲痛なほどで。
非常事態宣言。地区ごとの分割封鎖の話。
…そして、手が足りないとも。]
…復帰、か。
構わないけど…、新しい相方は必要無いから。
[枕元に飾ったままのフォトフレーム。
そこに架けてある二本の鎖を手に取った。
写真の中、寄り添う姿は未だ鮮やかな色。]
…検体が届いてない?
[もたらされた知らせに、思わず問い返す。
輸送していたはずの担当者が行方不明と。
該当地区は、この周辺のようで。]
判った、何か見つけたら知らせる。
[ジャケットを羽織り、部屋を飛び出した。]
……Masquerade。
[その犠牲者を見るのは初めてだった。
なのにそれと分かったのは、その腐敗と首に広がる痣。
Masqueradeは空気では感染しない。分かってはいたけれど、思わず口を押さえた。ごくりと喉が鳴る。]
やだ……。警察に、連絡……。
[振り返って、少女がぶつぶつ呟いているのに気づいた。]
ちょっと!? 大丈夫?
[ぼんやりとした様子の少女の肩を揺さぶり、次の瞬間その手を離した。]
[思い出したのは街で聞いた噂。
『なりたて』はぼおっとしている。
思わず少女から一歩退き、身を守るように腕を上げた。]
“鋼の左手” ダンテは、カルテット メノミリア を投票先に選びました。
─Bar"Blue Moon"─
[……どうやってここまで来たのか憶えていない。あの赤いカプセル薬。依った状態を偽装するモノだが、記憶を失うのと感情がコントロールできない副作用が。
もちろんそんなこと、他の人は知るよしもなく。]
[黙ってカウンターの席に着く。他の客に目を配る余裕もなく]
マスター。済まない、水を、くれないか。
─スラム街─
[少年が怪しげな男と会話しているのを目撃した人物はいるものの、大したことは聞けず。]
うーん……
弱ったなぁ……
[いつもの癖で髪を弄ろうとしたら、結いあげていて髪がなく、なんとなく恥ずかしくなった。]
―― 自宅 ――
[ベッドサイドのテーブルに置かれた携帯端末が着信のコールを鳴らす
目覚ましが鳴る時間にはまだすこし早かった]
あう・・・ん・・・何・・・も・・・ぅ
[鳴りやむ気配がないので渋々と端末に手を伸ばす]
ふぁい・・・あっ、し、師長!
[眠気なんか一気に吹っ飛んで、がばりと身体を起こした]
『緊急連絡を端末に送ったからすぐに確認してちょうだい』
いつもは穏やかな看護師長の口調にいつもにない響きを感じて
簡潔に承諾の返事を返す]
んー……
[唸りながら歩いていると、携帯端末に一通のメールが届く]
ん?
[開くとそこには≪助けて≫とたった一言だけ]
へ……?
送り主……シーザ!?
[何があったかはわからないが、とりあえずシーザの端末の位置情報を検索し、そこへ向かって駆け出した。]
[あちこちを探すも、手がかりはなかなか見つからず。
路地の奥までもしらみつぶしに。
角ひとつ曲がったところで、]
………!?
[視界の端に映ったのは、忘れもしないあの姿。
短く切りそろえた、さらさらの金髪。
ビークルを停め、様子を伺う。]
[すぐさま携帯端末に送られてきた連絡を読む
―Masqueradeの感染者数増加のため政府が街を封鎖することになった。
当病院では全診療科にて重篤症状かつMasquerade検査で陰性の入院患者を
隣町に移送することを決め、昨日までに完了した。
また、自宅でも処置可能な入院患者に関しては一時退院を進めている。
在勤職員数も半数に減らすことになったので、勤務シフトを確認されたし―
感染の可能性が高い病院から人を遠ざける、ということだった]
(シフト・・・は・・・ありゃりゃ)
[添付されていたシフト表を確認すると、自分の次の勤務は2日後。
思わず面食らったが決まったことは仕方ないとため息。
自分が担当の患者さんはどうしたのかを知るために病院へ向かうことにした]
「ぶっちゃけ、感染を疑われても、殺意を向けられても仕方のない発言量なのですよ。
「中の人が風邪をひいているのが悪いのです
「それじゃー仕方ないね、ってわけには行かないのよ。
[右袖に手をやり、潜ませてあるナイフに触れる。
それを抜こうとして、Masqueradeの処置方法を思い出し、舌打ちした。
ナイフではおそらく殺せない。
また一歩退いて間合いを取り、ぼおっと座り込んだ少女に問いかける。]
……貴方がやったの?
月に還るって……何?
―― 街外れ・自宅の自室 ――
………良かった。
[解析結果を確認し、ほっと胸を撫で下ろす]
ちゃんと出来るみたいだね。
[他界した両親の研究の成果、未完成ではあるが、現時点ではおそらく最も必要とされるであろう技術]
……お父様とお母様が生きていたら、今頃は完成してたのかもしれないな……。
1日ではなく、1時間くらいで結果を示せるくらいには――。
[Masqueradeの解析を通じて、ゆくゆくは永続的に効果を示すワクチンの開発にも乗り出したいと言っていた父を思い浮かべる]
わたしは………。
『……僕には検死官としての職務があるんです……』
『…“異端審問官”ご存じですか?俺…わたしは、その構成員になったんです』
[二人の後輩の告白が脳裏をよぎる]
…いや、違う……。
[同じ顔をした例のコールガール。何かを見つめているように見えて。
ビークルのまま低速で近寄り、声をかける。]
…どうか、したのか?
[彼女の視線の先を覗き込もうと。]
―― 路地裏 ――
[自宅から病院へは大通りよりも裏を通った方が早い。
鼻歌を歌いながら早くもお気に入りになったエアボードに乗る]
[カァカァと喚く様な鳴き声に足を止め、
一瞬顔をしかめて見る方向は、病院とは反対側。
なんとなく嫌な空気が漂ってきている気がして、
そちらへ進むべく地面を蹴った]
[スラムからは離れたところ、そこに倒れている同僚の姿を発見する]
……息はまだある…けども…
[ナイフで刺されたのだろうか、腹部からの大量の血。
このままでは長くはない]
病院に連絡を……
[病院へと連絡し、現在地、負傷者の状態を事細かに伝えた。
救急車が来るのはそう遅いことではないのだが、待っている時間は非常に長く感じた。]
[コワクナイ。
そう言い聞かせるかのように、立ち上がろうとした。
けれど、立ち上がることはできなかった。
いつだったか、出会った金髪のかわいい女性。
彼女が来たことも気付かず、ずっと死体を見ていた。]
…………。
[頭の中を駆け巡るのはコード進行。
1つ1つの音が重なり合って、音楽を作り上げる。
いつかの未来完成予定の、最高傑作の音。]
………うぁ……。
[肩を揺さぶられると、ヘッドフォンがするりと肩へと落ちる。
静かな曲から激しい曲へと変わる。
ヴァイオリンの不協和音がヘッドフォンから漏れた。]
─Bar"Blue Moon"─
[からん。
心なしか、ドアベルの音がいつもより重く聴こえた。
げっそりした顔をしながら、店に入ってくる。]
あー、疲れた。
なんか、感染者の死体が出て大騒ぎになっててさ。
ぴりぴりした空気って苦手なんだよね。
でさ。
マスター、街が封鎖されてるって本当かい…?
[いつもの椅子に座り、ブルームーンを注文。
ちらりと、カウンターの一席に視線を送る。]
ん…?
メディクス、か。今日はえらく大人しいみたいだが。
[声を掛けようかどうしようかと迷っている様子。]
[けれど、肩を揺さぶった相手は離れていく。
その様子すらもただ、ぼんやりと見ていた。
問いかけの言葉するも音の羅列に聞こえた。]
………はぇ……??
……『Masquerade』が、やったんでしょ…??
『Masquerade』は人間を月へと導くんだよ……?
[力なく。
目の焦点は定まらないまま。]
アハハ、ハハ……。
役所のおじちゃんも…パパとママと一緒なんだねー…。
へへ…へ、うさぎっているのかなー……。
[震えたまま、相手にはきっと意味の分からない音を並べた。]
[すぐについた救急車。
事情を説明し、彼を連れていってもらう。
自身もついていこうかと思うが、やはり病院は鬼門で。
調査をしなくてはならないからと残ることにした。]
……助かるといいんだけどな。
[彼を診る時に血に汚れた上着はくるんでカバンにいれ、その場を後にした。]
[横からの言葉に、反射的に脇へそれる。
静かに横付けされたビークルと、搭乗者の自分を”間違えた”男。]
Masquerade。
[答える瞳は、放心した少女を指して。]
うあ、なんかくさ・・・腐臭?
[嫌な予感がますますつのる。
ダンテとそのビークルがこちらを向いているのを見ると
地面を強く蹴って近づく]
どうし・・・ま・・・
[かける声は途中で途切れ、
視線の先に最初に飛び込んできたのは、
病院で何度か見たことがある特徴のある無残な姿]
これって・・・
[Masquerade。
金髪の女性の声が聞こえればは、っとそちらを見るだろうか]
………やば、言っちゃった。
これオフレコでお願いね。
[こそっと小声で。]
なんか、うちの近所で役人のバラバラ死体が見つかったとかで。
感染…は、わかんないらしいね。まだ。
例の特徴は出てないらしかったから。
もうそのごたごたで、家出てくるのさえ大変でねぇ。
んー?
言っとくけど、アタシじゃないぞー。
アタシだったら、五体バラバラにして袋に詰めちゃうね。
誰さ、殺ったの。
[意識越しで騒ぎを確認し、『声』を投げる。]
[焦点が定まらない少女の言葉に、眉を顰め会話を打ち切る。
少女から視線を外さないまま、後から来た銀髪の男に問うた。]
……銃を持ってる?
この子、感染者じゃないのかしら。
さっきからずっと、こんな風にぼうっとしてる。
[去る前に、血だまりの中に何かが落ちているのを見つける]
……これ…ワクチン……?
あいつのか?
[本物か偽物かはわからないけれども、どうやらワクチンのようだった。
それを拾い上げ、何となく鞄に放り込んでおいた。]
[少女の後ろに、既に崩壊した肉体の残骸。]
…あぁ、間違いない。
[死体がこんな風になるなど、それ以外に考えられなくて。
ソーニャの言葉に頷く。
無意識に、冷たい鋼の左腕を押さえた。]
[また一人、路地に増えた人の気配に小さくため息を吐く。
朝とはいえ、そろそろ人が動き出す時間だ。
感染者と言えども、三人の人間を相手には出来ないはずだ。
……彼ら二人が、非感染者なら。]
[感染者という言葉が聞こえて、首を小さく振るう。]
ちがっ……違う……。
あたしは……感染者なんか……じゃない。
だって、月じゃなくって、ここにいるんだもん…。
[金髪の女性から離れるよう、後ずさりしたが、後ろには壁があってそれ以上下がることはできなかった。]
[金髪の女性の前には見たことのある色の髪]
(何でこの子が、こんなところに―)
[呆然としている姿に手を伸ばそうとしたとき、
『感染者じゃないのかしら』と声が聞こえて
出した手をふと止める]
メノミリア、ちゃん・・・?
[その声は声になったのか、なっていないのか
自分でもわからず]
可能性は、高いな。
[違うが良く似た声に右手は従って、腰に下げたハンドブラスターを手に取る。
ソレはまるで…この左手が生身だった頃と同じ光景で。
金髪の女を庇うように、銃を手に前へと歩み出た。]
………悪い、酒が不味くなるね。
マスターにも嫌な思いさせちまったかな?ごめんよ。
[グラスの中身を一息で空け、苦笑い。]
マスター、午後の死、頂戴。
…って、不気味な名前のカクテル頼むなって?
まあそこは気にしない気にしない。
─中心街─
[とぼとぼと歩いていたら、中心街へと出た。
そこにあったベンチへと腰掛け、先ほど拾った同僚の携帯端末をいじりだす]
なにか……情報は…。
[彼も調査中だったから、もしかしたら何かを掴んでいたかもしれないと、調べ始める。]
[それは、崩壊した残滓だったかもしれない。
次の宿主を見つけられず彷徨った末に、器が耐え切れず崩れたか、
それとも獣や虫達の中へ分散して逃げていったのか。
いずれにしろ、感染したものの末路なのだろう。
Masqueradeたる大きなシステムは、内に目覚めた無数の意識達に、こうして感染という拡大を強いて行くのかもしれない。]
[意識がはっきりしてきたのか、弱々しく首を振る様子はまだ若い少女の仕草にしか見えない。
けれど、それが信用できない。]
月ってどういうこと?
貴方は、Masqueradeの何を知ってるの?
[今まで聞いた話で、病気と月に関わる話などあっただろうか。]
ちょ、ちょっと・・・!
[ダンテがメノミリアに向けて銃を構えるのを見たならば
慌てて地面を蹴ってその間へエアボードごと割ってはいる]
ま、まってよ・・・
まだ、感染者とは決まったわけじゃないじゃない
[何を考えているんだとダンテを見た]
まあ。
接触した時に感染したとかって可能性はあるかな。
模擬戦闘かなんかで会った相手とかなら、その時感染させたのかも。
感染するかねぇ。
[やや自信なさげ。]
で、出てきた死体ってどんなん。
さっきはオッサンって言ってたけど。
…月へと伸び行く無数の梢、
繋がり合う無数の意識の向かう場所…
[何処で聞いたのか思い出せぬ一節。
旧世界の創作物だろうか。
肉体を捨て、精神は全てひとつに繋がりあい…]
[耳鳴りを伴った頭痛は消えぬまま。
少女と、相方に生き写しの女のやり取りを、銃を構えたまま聞いている。]
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