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きみは自らの正体を知った。さあ、村人なら敵である人狼を退治しよう。人狼なら……狡猾に振る舞って人間たちを確実に仕留めていくのだ。
どうやらこの中には、村人が2名、人狼が2名、占い師が1名、霊能者が1名、狩人が1名、狂信者が1名いるようだ。
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。
この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。
当日、現場に出入りできたのは今ここにいる者で全部だ。
とにかく十分に注意してくれ。
自警団長 アーヴァインが「時間を進める」を選択しました。
―一階:人形展示室―
[まるで、隠れているかのように存在する階段を見つけたシャーロットは、胸騒ぎを覚えずにはいられなかった。扉をつけてまで隠したい何かが、地下にはあるように思えてならなかったから――。]
(この屋敷、地下もあるの…?)
[地下へと続く階段には、扉があり、その扉は既に開かれていた。
扉が開いているという事は、先客がいるのだろうか。]
逃亡者 カミーラは、人形遣い ナサニエル を能力(占う)の対象に選びました。
[シャーロットが地下室に入ってくる少し前のこと。既に扉を開けていた俺はその地下へと降りて行った]
…なんだ、ここは。
[上の展示室と大差ない質のいい絨毯やうっすらとした明かり。
上とは比較にならないくらい広いその部屋は…ガラスがびっしりと貼られた大きな展示室となっていて]
…げ……。
[同じく、上とは比較にならない程の気味悪さを感じてもいた]
―地下―
[シャーロットは、何かに誘われるように地下へと下りていった。
そこで、待ち受けるものは、何だろうか――。
地下へと下りたシャーロットが目にしたものは、フロア全体が人形展示室のようになっており、ガラスケースの中にいる人形は、全て等身大で、その作りは今まで見てきた人形よりも、本物のように見受けられた。
ガラスに写る自分の姿は、まるであの人形のようにも思え、シャーロットは再び畏怖を感じ始める。
そして――。
ガラスに映る、もう一つの姿。]
だ、誰……?
[2F自室からメイド人形が掃除をはじめたために追い出され、退屈しのぎに2F展示室を見学中]
本当に人形が好きなんだねぇ。ここのご主人。
ま、生きた人間を人形のように仕込もうってんじゃない分ましかしらねぇ。
金目の物を失敬してずらかろうかと思ったけれど、待遇いいのよねえ。一宿一飯の恩義ってのを踏みにじってもあれだし、もう少し様子を見るとしますか。
[小さな声が聞こえる。女らしい少し高い声。
確かめなくてもすぐにわかった。あぁ、上の扉を開けっぱなしで来てしまっていたか]
…お嬢さんか?
[気配を消すように静かに声をかける。
明かりがうっすら見られるあの部屋。きっとあそこに「主人」がいるのだろう]
ギルバートさん…?
[ガラスに映る、もう一つの姿はギルバートだった。
思い出される、ギルバートとの会話。
シャーロットは、少し強めの口調で口を開く。]
こんなところで、何してるのかしら。
[そんな問いをしたシャーロットであったが、すぐさま後悔した。
同じ問いをされたら、何て答えればいいのだろう。]
[口調が強かろうが所詮小娘。何もびくつく必要もない]
俺が何してようが勝手だろう。
お嬢さんこそ、自分が聞かれて困るような事は聞かない方がいいぜ?
[へらりと笑い]
それとも何か、夜添い寝してくれるお人形でも探しにきたか?
(ほんと、この男と話してると腹立つわね。)
[薄暗い地下室で、一人でない事に胸を撫で下ろした事を後悔する。]
聞かれて困るような事、ないわよ。
扉が開いてたから、入ってきただけよ。
私が添い寝してくれる人形を探しにきたですって…?
そんな人形、私には必要ないわ。
[更に口調を強めて、シャーロットはそう言う。]
じゃぁ何しに来た訳だい?
わざわざ俺にいちゃもんつけに来たわけか?
地下にまで降りて来て御苦労なこった。
怖いならさっさと戻った方がいいんじゃねぇか?
[俺は頼まれても添い寝してやれないし?と下品にも笑って見せ]
俺の前で強がっても何も出ないしなぁ。
あんまり騒がない方がいいぜ?
[後ろの明かりのついた部屋を顎で指しながら]
だから、扉が開いてたから入ってきただけよ。
あなたが居るなんて、思いもしなかったわ。
[あなたがいるなら、ここには来なかった、と言いた気な表情をしながら、ギルバートに言葉を続ける。]
こ、怖くなんかないわ。
本物に見えても、所詮人形は人形よ。
何も話さないし、動きもしないわ。
[二人のやりとりを、フルートを吹く、赤茶色の長い髪を結わえた女の人形が見つめている。]
誰が、あなたなんかに添い寝をお願いするもんですか。
自惚れないでよ。
[声を荒げに、そう言うシャーロットであったが、ギルバートがある部屋を顎で指すのを見ると、視線を移し、口を閉ざした。]
な、何よ、あの部屋…
誰か、いるの…?
ふん。誰がいても入ってくるってのが不用心っていうんだよ。
人形は動かない…ね。そうでもなさそうな雰囲気だよなぁ?ここ。
[風もないのにかすかに聞こえるカタカタ、という音。
ここでも聞こえる。笑い声のように。
それは奥の作業室から聞こえる音なのか、それとも本当に人形たちの笑い声なのか。
ガラスケースに映る人形の影は恨めしそうにも羨ましそうにも見えた]
俺だってごめんだ。小娘は趣味じゃねぇよ。あのハーヴェイとかいう奴に頼めばいいだろうさ。
[鼻であしらう風にからかうと扉を見る]
…あそこに誰かいるとしたら…噂の主人だろうさ。
地下に隠れるように、か。よっぽど見られたくないんだろうなぁ、作ってる所。
案外この人形の材料ってのは人間かもしれねぇぜ?
[オートマタのリアルさ。半分これは冗談じゃない。
俺は作業室の前に積まれていた白い何か、はまだ見ていない。だからこそ言える冗談]
/*
村人きぼーだったのですが、霊を引いてしまいました…orz
全く設定を考えておりませぬ。
あははっ。
人形遣いか…うにゅ。。。。
[ギルバートとシャーロット。二人が話す声…よく聞こえる]
[どこに?][人形たちに]
[そしてその父親に]
[カタカタ] [カラカラ] [ガチャリ…ガチャ…]
[笑うようなあざけるような]
[否定するものへの…笑い声]
[羨むような 妬むような]
[動くヒトへの…ねだる声]
[ギィ] [聞こえぬほど薄く] [扉開ける音]
[そこから見る目は…] [すでに尋常なものではなく]
[ミツケタ と] [ニィ と] [笑う顔はまるで何かに憑かれたもの]
ちょ、ちょっと…
脅かさないでよ。
[まるで、人形が動くと言いたげなギルバートの言葉に、シャーロットは小さく震えた。]
動かないわよ。
人形に、意思があるわけないわ。
[そう――。
''あれ''だって、二階のあの部屋から動いたわけじゃない。
初めから、この屋敷に存在しなかったのだ。]
ハーヴェイさんに添い寝を頼む…?
なんで、私がハーヴェイさんに頼むのよ。
[怯えてるように思わせたシャーロットの言葉は、再び荒くなる。
しかし、それはほんの一瞬であった。
ギルバートの「材料が人間かも」という言葉に、シャーロットはひどく怯え始めた。]
そ、そんな事…あるわけないわ。
そんなの、人殺しじゃない。
私を怖がらせて、楽しんでるの…?
― 1F:ロビー→2F ―
[老執事の案内で歩き出す。どうやら客室は2階にあるらしい]
…ねぇ、きみ、重くない?
[そんな言葉を、荷物を運ぶメイド人形へかけながら、階段を上っていった。]
別に?あのお兄さんと仲良さそうだったから?
案外やってくれそうだよな、あの人。
[たらしには見えないが。顔はそんなに悪くなさそうだったし]
ちっこい頃は人形が動いたら、と思った事もあったろうになぁ。
今その人形が動くとお化け扱いか。
[くっくっ、と喉を鳴らすが、次のシャーロットの言葉に]
…噂、だけどな。ここが化け物屋敷といわれる噂。
聞いたらお嬢さん夜眠れなくなるぜ?聞きたいなら教えてやるが。
[壁にかけられている人形]
[床に立つ大きな人形]
[飾られた道化の面]
[足音響く度][儚く空を見ていたその視線]
[動くその人を][確かに見据え]
[メイドとともに歩くナサニエル]
[ガラスの目が ギョロリと動く]
[天使の人形 小さな口が] [ニヤリと笑う]
[みぃつけた] [カラカラカラリと] [あざ笑う]
もしかして…
私とハーヴェイさんが仲良さそうに話してるのが面白くないのかしら。
[怯えながらも、それを隠すかのように言う。
ギルバートの前では、弱い部分を見せたくなかった…のだろうか。]
私は、人形が動いたら…なんて思った事、一度もないわ。
寧ろ、動かないで欲しい…
私の前から消えて欲しい…
そう思った事なら、あるけどね。
[何故、このような事を、ギルバートに話したのだろうか。
シャーロットは、まるで自分の周りにいる人形に聞こえるようにそう言った。]
お化け屋敷…?
私も、少しだけ聞いた事あるわ。
詳しくは分からないけど……
あなたが、責任とって添い寝してくれるって言うのなら…
聞いてあげてもいいけど…?
[怖いから聞きたくない――。
そうは言えなかった。
冗談っぽく笑いながら、シャーロットはギルバートが話すかどうかを待っている。]
― 1F:ロビー→2F ―
[食堂やバスなどの設備について一通りモーガン氏の説明を聞きながらも、やはり気になるのはメイド人形のようで、時々横目で見ながら歩いていく]
…そうですか。2階にも人形の展示室が。
東洋の人形もございますか?文楽人形でしたか、大変興味深い人形もお持ちとか。
なに、人形遣いの端くれとして気になるのですよ。
技術的なからくりも…特に、女性が鬼になったりする仕掛けなど、面白いと思いましてね。
自分の人形芝居にも上手く使えたらと。
[そんな話をしているうちに、客室へと辿り着いて]
まさか。俺はお二人さんに興味はないね。
[万一俺が興味を持つとしたら「今の」シャーロットじゃないが。
そんなこと言う必要もない]
それはそれは可愛そうなお人形さんだ。持ち主に大事にしてもらえないとはね。ここにいたら恨まれるんじゃないのか?
やめた方がいいかもなぁ、そういう話は。
じゃないと…本当に君が化け物になりかねないぜ?
[化け物屋敷。それはここの主人。狂人の噂]
俺は添い寝する気はないからその話はお預けだな。
[軽く肩を竦める。半分面倒臭いともいう]
[噂…それは人殺しのこと。
ここの主人は、人の皮を剥いでそれを人形にするそうだ。
人形の肌がリアルなのは当然。本物なのだから。
髪も爪もすべて本物、えぐり取られた目玉だけが虚ろなガラス。
生きている人間が訪れると妬ましがって…最後は取り殺してしまうのだそうな。そしてそれはまた主人の手で人形に。
増える増える、人形という名の死体の数が]
[噂…それは人殺しのこと。
ここの主人は、人の皮を剥いでそれを人形にするそうだ。
人形の肌がリアルなのは当然。本物なのだから。
髪も爪もすべて本物、えぐり取られた目玉だけが虚ろなガラス。
生きている人間が訪れると妬ましがって…最後は取り殺してしまうのだそうな。そしてそれはまた主人の手で人形に。
増える増える、人形という名の死体の数が]
[予想通りの反応に、シャーロットは安堵の表情を浮かべる。]
そうね、これ以上人形に恨まれるのはごめんだわ。
[これ以上――。
既に、恨まれているというのか。]
私だって、大事にしたかったわよ。
でも……
[突然、小さく、ぽつりと呟く。
しかし、それ以上の言葉を、シャーロットはぐっと飲み込んだのだった。]
……話しすぎたわ。
私は、部屋に戻るわね。
[まだこの場に残りそうなギルバートにそう言うと、シャーロットは一階への階段の方へと向かった。]
― 2F:客室 ―
[カタカタとぎこちない動きで人形が荷物を置いている]
……。
[その表情は、と、彼女をみつめていたけれど、人形の瞳はただ目の前の荷物にだけ注がれているように見えた]
どうもありがとう。助かったよ。
…まったく健気なものだね。文句ひとつ言わずによく働くことだ。
[そうねぎらいの言葉をかけても、彼女は何も感じることのないように、冷めた表情でそのまま部屋を出ていこうとする]
[その途中、あの視線を感じる――。
憎しみ、妬み、そして、ある感情をのせた視線――。
シャーロットは、地下に潜む''存在''に、まだ完全に気づいてはなかったのだった。*]
― 2F:客室 ―
…お待ちなさい。
[そう言って、部屋を出ていこうとするゼンマイ人形の前に立つと、まるで人形がこちらを真っ直ぐ見上げてるように思えた]
[そのまま虹彩のあるような無いような、不思議な瞳をみつめ返し、視線を下げていく]
きみは…話せないのか…
[物言いたげな口元は軽く開いて、隙間から小さな歯が覗いている。もしかしたら動くのではないか、と期待しながら見つめていたけれども、彼女が言葉を紡ぐ事はなかった。]
あぁ、お休み。
[戻るというシャーロットに、自分はまだここにいるからと先に生かせる。一人になった方が都合がいい。
視線には先ほど気づいた。殺気というか、狂気というか。
今まで「仕事」でそれなりのモノには出会ってきたが流石にこの気配は普通じゃない。
ぶるり、と寒気に身震いをするとまた目的のものを探しだす。
小さな音でも妙に響くその部屋。何をしても反響する。そして]
……?こいつ…は…?
[じっとそれを見る。そこにあるのは一体の人形。赤い髪のフルートを吹く人形の隣にあった、透通るような儚い、花を抱く青い乙女]
― 2F:客室 ―
……。なんでもない、いいんだ。
いいよ、行って。荷物をどうもありがとう。
[そう人形に話しかけながら、ちょうど人間にするように軽く彼女の髪に口付けすると、そのまま廊下への道を開けて人形を促す]
[カタカタカタ…]
…行ってしまったか。
[一人部屋に残されて、ごろりとベットに横たわった彼は、帽子をベットサイドに置くと、そのまま少し眠ってしまったらしい。
起きたら、荷物の整理をしなければ――と、そう考えながらも、
あとは夢うつつ―――**]
[青い人形。紅い人形。対照的な、不思議な二体。
うっすらと開かれている目の前の4つの視線。
目が離せない。綺麗で、不気味で、恐ろしくて。
ただのガラス玉なのに。本当の死体の目よりも恐ろしい何か。
目的も忘れ、暫くその人形を魅入られるように見つめていた。
自分がその後、どうなったかも気づかずに──*]
[人形を見つめる青年。
人形はささやく。
[私に恋をしてくれる?] [貴方は私を愛してくれる?]
ならば私の願いを叶えてくれる?私は貴方の願いを叶えてあげる──
人形の囁き。脳の中に響くそれ。
次の瞬間に、俺の視界が暗転するまでそれはとても綺麗に響いていた──]
[2F廊下。例によって掃除のメイド人形に追い出されたらしく退屈そうにあちこちを覗き回っている]
でもねえ。ここの屋敷はどうも嫌な臭いがするよ。
お人形さん達やあの爺さんが頑張って掃除しているみたいだけど、カビ臭さに紛れて多分大抵の奴らは気付かないだろうけど。
あたしがいた、あの孤児院と同じ臭いだ……
それに、誰もいないはずなのに何だか見張られているような気がする。あの人形達や屋敷のあちこちに監視カメラでも仕掛けられているのかね?
逃亡者 カミーラは、修道女 ステラ を能力(占う)の対象に選びました。
[適当に飲み物でも飲むか、と再び食堂の方へ向かおうとする。階段を下りたところで遠くに見える少女の姿]
ん?結局男共はお嬢ちゃんのエスコートはしない気なのかね?いかんねえ、たるんどるよ。不安がってる若い娘なんてちょっと押せば簡単に落とせそうなのに。
[何を思いだしたのか、一人でくすくす笑っている]
しょうがないなあ。お姉さんがここは一つご機嫌伺いをするとしますかね。
[そっとシャーロットの後をつけて、彼女の部屋の前でいきなり背後から声をかけた]
昨日はありがとう。今から食堂でお茶にしようと思うんだけど、あなたもいかが?
逃亡者 カミーラは、村長の娘 シャーロット を能力(占う)の対象に選びました。
逃亡者 カミーラは、書生 ハーヴェイ を能力(占う)の対象に選びました。
―回想―
[地下室から自室へと戻ったシャーロットは、眠ろうとベッドに身を横たえるも、なかなか眠れずにいた。
外は、風が強いのか、開かない窓をカタカタと揺らす。
その音は、まるで、さきほど地下で聞いた''あの音''のように思えたのだ。
屋敷に来てから、まだほとんど日は経っていない。
しかし、シャーロットはもう何日もの間、ここに居るような気がしてならなかった。
大きく、一つ、ため息を漏らす。]
化け物屋敷、ね……
[ギルバートが発した言葉。
ここが本当に化け物屋敷であるのなら、自分にとっての化け物とはあの人形であろう――。
しかし、明日になれば、この屋敷を出られるという思いが、やがてシャーロットを夢の世界へと導くのであった。]
―回想終了―
―一階:自室―
んー……
[シャーロットは、ゆっくりと瞳を開く。
目に映るものは、自室の天井。]
今、何時…?
[部屋の中を見回すも、シャーロットの部屋に時計はなかった。
しかし、空腹感を覚えたシャーロットは、眠ってからある程度の時間が経った事に気がついた。
ゆっくりと、身を起こす。
乱れた髪を手ぐしで整えようとするが、髪はしっとりとしており、シャーロットはその手を止めた。]
シャワー、浴びたいなぁ。
こんな姿で帰るわけにはいかないしね。
[くすっと、小さく笑う。
シャーロットはメイド人形にバスタオルを持ってこさせると、一階のシャワー室(トイレと共用)に向かった。]
―一階:シャワー室―
[トイレと共用だからか、シャワー室は人一人入れる程狭いものだった。
しかし、そんな事はあまり気にならず、シャーロットは身についた汚れを清めていった。]
ふぅ……
気持ちよかったわ。
[白く細い身体を、バスタオルで包み、目の前の鏡にその姿を映す。
シャーロットの目は、鏡に映る、身体のある部分で止まっている。
そこには、一つの小さな痣――。
シャーロットは、手でそっと撫でると、先ほど脱いだ服を再び身に纏った。]
―一階:シャワー室→自室―
[シャワーを浴び終えた後、シャーロットはバスタオルを置きに、自室へと向かっていた。
自室のドアを開けようとした時、背後から自分の名を呼ぶ、女の声が聞こえた。]
えーっと……
カミーラさん、でしたね。
いえいえ、お礼を言われる程の事はしてませんよ…?
お茶、ですか。
そういえば、私もお腹空いたなぁ、なんて思っていたんです。
[いいですよ、と笑みを浮かべる。
シャーロットは自室に入りバスタオルと置くと、カミーラと共に食堂へと向かった。]
―一階:食堂―
[カミーラとここへ来るのは、二度目だった。
最初に出逢った時は、とにかく水が欲しいといった様子で、無言で水を飲み続けていた。]
そういえば、カミーラさん。
昨日、焦るというか…かなり、急いでここに来たようでしたが…
何か、あったんですか…?
[メイドが運んできた紅茶とパンを手にしながら、シャーロットはカミーラにそう言った。]
[シャーロットの後にくっついてだらだら歩きながら]
ううん。あんたが連れてきてくれなければ、いつまで玄関でぼんやりたたずむことになっていたやら。誰の返事もなかったら、幾ら図々しいあたしでも勝手に上がっていけやしない。
お腹、すいたよねぇ。お人形さんは部屋は掃除してくれるけど食べ物は持ってきてくんないしさ。
台所に何か食べ物があったかな?
[食堂に着いた後、同じく紅茶を飲んでいたが、思わずぶっと吹き出しそうになり]
え、いや、あの、その。
借金取りに追われて……ってそんなちんけな嘘つくこともないか。
あたしの恋人が…同郷人なんだけどね、そいつがあたしのこと売りやがったんだ。おかしな新興宗教の奴らに。あたしには身よりはないからね。姿を消したって誰もあたしのことは捜さないから好都合ってことらしくて。
何か人の生き血を啜れば永遠の若さと命が得られる、とかいう頭のイカれたやつらでさ。
どうせならあたしみたいな年増じゃなくてもっと若い子を選べばいいのにさぁ。
[自分を図々しいというカミーラを、シャーロットは面白い人だなぁ、と思っていた。
そのカミーラが語る、自分の身の上話。
カミーラの瞳は、どこか淋しげに思え、シャーロットは小さく呟いた。]
カミーラさん、身寄りがないんですか。
私も、ないと同じ…みたいなもんですが。
[シャーロットは、自分の両親について語り始めた。
母親が父を捨て、家を出た事――。
その父は、酒に溺れ、廃人と化している事を――。]
何だか、しんみりしちゃいましたね。
永遠の若さと、命…かぁ。
私はそんなもの、欲しいとは思わないなぁ。
本当、イカれた人達ですね。
[客人は全部で6人。急な来客、食糧庫の中身はどれほどもつか。
買い足す必要はあるまい。ここから出すなと命受けていれば。
家事に勤しむ老人に、一つドアのチャイムが鳴り響く]
…はい、どちら様か?
[急ぎ扉まで迎えでればそこに佇むのは警察。何事かと聞けば先日行方不明となった人物のこと。あぁ、とっくに「材料」となった青年のことか。
しがなきこと。どうせこの森で迷えば誰でも死ぬだけよ]
[問われたこと、空とぼけるように返答を]
はて、そのようなお方は存じ上げませぬ。
森に入られたこと、必ずしも我が屋敷で知り得ることではありますまい。
お疲れ様でございます。
何かことでもありましたらいつでもお越し遊ばされよ。
[有無を言わさぬ物言いで。重ねて警察は尋ねるか。
「ここに今、来客はあるか」と。
老人、しばし沈黙を。そして答えるのは]
…いいや?ここにはこの老人と主人だけが在るばかり。
人形屋敷に人が居ってはならぬのじゃよ
[客人を知られてはならぬ。なぜなら大事な「材料」なのだから]
どうぞお引き取りを。
[シャーロットに打ち明けるともなく身の上話を]
あたしの国では、政府が無茶苦茶でね。
育てきれない子供は孤児院が面倒見てたんだが、そこもろくに飯は与えてくれない上におきまりの虐待もありだったのさ。
そんで、そのへんが明らかになった後、有り難いこの国の小金持ちが可哀想な子供達を養子にってんで引き取っていただいたんだが…
なじめなくてね。けっきょくおん出てきちまった。
可哀想で素直で従順な……そう、あの人達が求めていたのはまさに生き人形みたいな子供だったんだろうね。
あたしじゃちょっとねぇ。
そうかい。親がいるのにこちらを見てくれないってのは、ある意味いないより辛いことかもね。
最初ッからいなければ、余計な期待など、しなくてすむもの。
[さりげなく、シャーロットの頭を撫でるように、その髪に触れる]
[取りつくしまなく、仕方なく踵返す警察を、目を細めて送り出す。
そして後ろに従える人形は、普段のメイドのそれでなく]
面倒じゃのう。……殺せ。
[隣に在るのは数体の犬のからくり。最近主人がたわむれに作ったもの。背中のゼンマイ捲いてやる。唸り声の代わりにキリキリきしむ。
飛び出すように走る犬、狙いは警察。
歯が刃であるのも戯れか。毒の爪もただの洒落。
犬はじゃれる。警察へ。みるみる飛び散る赤い飛沫。
悲鳴は中まで聞こえない。聞こえたとしても構うまい。
ただの肉塊、転がるも。からくり犬は食べもせぬ]
虐待、ですか。
酷い……
罪なき子供を、力で説き伏せるなんて……
[罪なき人形を、棄てた自分はどうなのか――。]
えー、出てきちゃったんですか。
新しいご両親、心配してるんじゃないですか…?
[馴染めないから出てきた――。
カミーラは、言葉とは裏腹に、どこか淋しげな表情を浮かべたように思った。
気のせいだろか。]
生き人形…
そんな、感情もない人を、求める人なんて、いるんですかね。
辛い…のかな。
分からない……
早く、立ち直ってくれるといいんですけどね。
[自分の髪を撫でるカミーラの手は、どこか懐かしいように思えた。
シャーロットは、優しい笑みを浮かべながら、カミーラをみつめている。]
― ゲストルーム ―
[ ……目を覚ます。
ゆっくりと身を起こし、窓の向こうを見やる。薄暗い空からは今の時刻を推し量る事もできなかった。
寝覚めは決して良いとは言えなかった。それは、この空模様のせいか、それともこの屋敷に漂う何かのせいか。
頭を振り、意識を覚まそうと試みる。
(いえ、明日の朝…約束ですよ。)]
傍らのテーブルに置いた腕時計を掴み、覗き込む。まだ、十分に朝と言える刻限だろう。
ハーヴェイは、身支度を整えると部屋を出て一階へと階段を下りて行った。]
[シャーロットの言葉にくすりと笑い]
心配はしていないと思うよ。あたしのあとで来た中国の女の子は、うまくあの人達の期待通りに振る舞ってて、その子が来てからあたしのことは全然構わなくなったから。
[シャーロットの父を想う言葉を聞いて]
そうだね。時が解決してくれるといいね。
さてはて。
お客人をもてなす準備もおわらせねばの。
[ギギギ、と鈍い音を立てる屋敷。続いてガシャン、と重い音が響く。庭先の門にも重い鍵。そこに遊ぶからくり犬]
…まぁ一人二人先死にしても構うまいて。出れぬと知らしめる為にもの。材料にするなら生きたままが一番よいのじゃがの。
ほっほっほ、主人は喜ばれるかのう?
[シャーロットは、カミーラと言葉を交わす中で、カミーラが引き取り手に戻る意思がない事を感じ取っていた。]
カミーラさんは、これからどうするつもりですか…?
[シャーロットは、カミーラをみつめながらそう言う。]
私は、お父さんが心配だし、ここにいる理由もないし…
もう少ししたら、家に帰ります。
ハーヴェイさんが、送ってくれるって言ってたし…
[そう言った時――。]
「……何か変な声がしなかったかい?
悲鳴みたいな。」
え…っ?
何も、聞こえなかったけど……
[シャーロットは、不思議そうな表情で、カミーラをみつめた。]
[かみ殺させた警察の死体。ずるりと引きずり地下へと運ぶ。
主人の部屋で伺い立てて]
…ご主人様、少々傷つきましたが…かようなものでもお使いになられますかの?
[ドアの隙間から延びる腕、人というには化け物じみた毛むくじゃら。原型とどめぬその死体、ドアの中へと引きずり込む。
ぐちゃりぐちゃり、ぽきん。
隠すことなく聞こえる「食事」の音]
…おやおや、お食事がたりのうございましたかの。すぐご用意いたしますゆえ…*
[顔色も変えない老執事。さて、主人の為次に施すのはそも何か……*]
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