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「彼奴がすべて奪ったのだ・・・・
金も、地位も、名誉も・・・
彼奴さえいなければこんな姿になることはなかった・・・」
老人だったもの――獣人はうわごとのようにそう呟いていた。
私はその姿を哀れに思いながらもまずは獣人の注意をそらすべく、手に持っていた酒を思い切り獣人の顔に浴びせた。
「ウォオオオオオオ!」
この隙に扉からほかの部屋へ逃げよう、そう思ったが獣人の様子がおかしい。
ただの酒を浴びせただけでこれほどの叫び声を上げるものだろうか。
獣人の方を振り返ると、その体から煙のようなものが立ち上がっているのが見えた。
●
さようなら、兄さん
何度倒しても蘇る執念深さに半ば呆れつつ、私は銃口に手を掛け、別れの言葉を口にした。
そのときだった。
「やめろ!院長になにをするんだ!」
先ほど地面に叩きつけたはずの人形が、兄を庇うように立ちはだかっているではないか。
■
煙が立ち上る獣人をよく見ると、酒をかけた部分が爛れ焦げている…!私は悪心を覚えながらも、手に持った酒入りの水筒を見つめた。
酒に…弱いのか?聖水でもなんでもない、ただの酒だが…
「う、ぐううぅぅ、貴様、赦さない、赦さない、
彼奴の差し金か、赦さぬ、」
執拗に、彼奴という言葉を繰り返している。
何者だ?この獣人も、彼奴という奴も…。
私は水筒を構え、じりじりと扉に後ずさりながら、
「彼奴とは誰だ!?お前は何者なんだ!」
●
だかそれは空砲だった。実弾は入っていなかったのだ。
「兄さんが、院長?」
私は混乱した、私を裏切り、両親を殺した兄への憎悪は今も私の心に刻み込まれている。
その兄さんが、孤児院の院長をやっているのは知っていたが、それで私の憎しみは消えることはない。
すると、兄さんが私に向かって話しかけてきた。
●
「だが、死ぬ前に一つだけお前に言っておきたい事がある。私はお前の兄さんじゃない、姉さんなんだ。」
あまりにもの衝撃に、私は手に持っていた銃を落としてしまった。
●
「殺したじゃないか。何度も。」
そこで私はふと疑問に思った。
―なぜこいつは、生きている。
何度致命傷と言えるダメージを与えたことだろう。
というか、地面から這い上がって来た時点で気付くべきだったのではないか。
そうか。この兄さんはもう生きていないんだ。
なのに動いている。それはこの世に未練があるからじゃないのか?
私は兄さんに尋ねた。
「一体、何があったんだ。」
●
兄さんは少し眉を潜めると重々しく口を開いた。
「スナックのママに入れ込んでこのザマさ・・・」
二人の間に流れていた時が停止したのを感じた。
■
「とぼけるなぁッ!!
これ…この酒は…紛れも無い、彼奴の身内である証拠!!!」
この酒は、確か前に立ち寄った町の、小さな酒場で主人に譲ってもらったものだった。
こじんまりとしていはいたが、とても雰囲気がよく、
私はそこの主人と打ち解けたのだった。
その町を出るという最後の晩に、
主人は、どこか遠い眼をしながら、この酒を…私に。
では――……。
あの主人が、この獣人と何か関係があるのだと言うのだろうか?
「ま、待ってくれ!落ちつくんだ!
この酒を私に譲ってくれた人は…罪を、償いたい。
……そう、呟いていた。」
●
「スナックのママに入れ込んでこのザマさ・・・」
その言葉を聞いた瞬間、躊躇なく兄さんの頭を打ち抜いた。
そして、兄さん共々喋る人形を全て焼却して、私は再び建物の探索を再開する事にした。
●
「ひでぶっ」
・・・やはり死なない。とっとと成仏するなり地獄に落ちるなりすればいいのに。
このままだと孤児院から出ても付いてきそうな勢いなので、
どうにかちゃんとあの世に送ってやろうと考えた。(いろんな意味で)腐っても兄だし。
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