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……?
ええ、そうですよ。
[今も尚、傍らにある海のように七色に輝く瞳。目の前に居る機人の瞳の表面にうっすらと映り込んでいる。けれども、気付かない。集積体の汚染を受けてからは他者とは違った視界が広がっている。とても自分の都合の良い世界が。
機人の質問の意図が分からずに更に訝しんでみせる。勿論人だと肯定する。]
………。
[ 赫眼の水平ラインの奔流は既に停まり、オレンジ色の光は明滅ではなく灯ったままで、ジムゾンを見つめている。]
まだ、そうみたいですね。
[にっこり]
[もう会わないだろうと思っていた擬人がいた。
それと、話にのみ聞いていた神父らしき人物。
二人の会話は風にさらわれ、聞こえない。
自分がひどく場違いな気がした。**]
[ちらちらと視界を掠める、空から降り続ける白い雪。舞うように空を漂い、砂浜の上に落ちて ゆく。
機人は意味深な言葉に眉を顰めた。まだ、とはどのようなつもりなのか。そう問いただそうとして、昨夜遭った男の声がして、止める。]
貴方は昨夜の……。どうして此処に?
……ええ。
[当然男が此処に来た理由を知らない。まさか浜辺で出くわすと思わず、真っ先に浜辺に来た理由を訊ねる。
無事だったのかと言う呟きに不思議に思いながらも頷く。
その後直ぐに男の側に若い青年の姿を見つけて、挨拶代わりに一礼する**]
うん。そうよね。
“いわゆる物質”が意思を持つなんて、やっぱり有り得ない話だと思うの。
それでも、「ない」という証明は難しいから。探査内容に含めなければならないのよね……。
[他の知的生命体など存在しないと考えている為、それに関して興味が薄い様子。]
この星の大気に、何らかの影響を与えているのかもね。
現象の原因が解明できなかったのは少し心残り。
でも、滞在を延ばす程の重要性は感じないし。
[これ以上の探査は無意味だろうと考えている。]
―街の中心部―
[弱い者たちは、言葉通り身を寄せあって生きている。
枯れ木のように萎れた者も、奔流のように言葉を溢れさせる者も、同じように、緩やかな時を過す]
あっ、ほら。
我慢は禁物なんだよ。
こんなおかしなお日和なんだから……。
[背を擦り、言葉を交わし。
今までの自分は気楽すぎた、と思った。この中の幾人が、こんなふうに日々変わりゆく世界を生きていけるだろう?]
んー?
大丈夫。生まれた時からずっといるんだもの。
この辺りは、ずいぶんマシだし。
これまでだって何とかやってこれたんだから。
[あちこち行き交って、物や人とのやり取り。
時折、懐の端末に情報が転送されていないかを気にしながら、飛び回る。
白い息が、泡のように空へ消えてゆく]
……魚みたい。
[馬鹿みたいな呟きも、一緒に溶けていった**]
ターン・オーバー。
[ 形の良い唇が起動言語を囁いた。秘め事を紡ぐように、寒気という張りつめた弦を指先で撫でて震わせるように。]
[ それは変身と呼ぶに相応しい変貌。瞬きする間に、人工亜空間に貯蔵された物質が生成プログラムに添って形あるものとしてこの世界に現れた。
一瞬、それは鋼の蝶の翅めいた物を思わせた。最終的には、一対の隙間の空いた翼としてするすると伸び、辺りの空間を覆った。浜辺に舞う雪が、スラスターの上に舞い降りては、暫くしてゆるりと融ける。]
それではご機嫌よう。
[にっこり]
[ 赫眼を開き、浜辺に居る幾人かにぺこりと頭を下げ、スラスターから蒼白い粒子を零しながら、遠き海上へと飛び発った。*]
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