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まあ、うん……吊られるのはおれになりそうだけど、結果的には同じことだよな……
……死んだ後の世界なんてオオバは信じていないだろうから……おれが願っておくよ……
……うん、死んだ後も、ふたりでいられるといいな……――
最後の悪あがきに、ネコヤさんに一つ提案をさせていただこうと思いまして。
今日、オオバさんに投票を致しませんか?勿論彼は狂人です。死んだところで村にとって困りはしません。
私はオオバさんに投票します。
オオバさんは……そうですね、誰か適当な人でも投票すれば良いのではないでしょうか?
そしてネコヤさんが協力して下されば、私に2票。オオバさんに2票。
――ふふ、ここからは運次第、ですね。
ずっと私を支えてくれていましたから、心苦しくはありますが……まあ彼は元々頭がおかしいですし、楽しんで死んでくれるでしょう?
私には、ナナさんとナナシさんが縁を切ったなどと思えないのです。
どうして振られたはずのナナシさんが、ナナさんの味方をするのか。
ナナシさんが何の疑問もなくナナさんに従っているのは、なぜなのでしょう?
だってそこの小娘はナナシさんを利用し返事を保留し、更に振った上で今でも利用しているのですよ。
私には人間の恋だのなんだのは理解できませんから、不思議で仕方がないのです。
そんな境遇に立たされてなお小娘への愛を捨てられないというなら、その哀れな男を私はどうすることも出来ません。
みすみす小娘に勝利を譲るだけならば、まあ許すと致しましょう。
けれど、せっかく混乱に陥れたこの村で私が敗北するばかりか、更に「そして二人は幸せに暮らしました」なんて――我慢がなりません。
ネコヤさんは小娘とナナシさんを信じるとおっしゃいました。
それが「恋人たちの勝利を応援する」という意味であれば、引き下がりましょう。
しかし「自分自身の勝利」を少しでも望んでいるのなら、協力して頂きたいのです。
私は本日小娘を襲撃いたします。断言致しましょう。
もし私がネコヤさんを騙して勝ちを狙ったとして、結局恐ろしいのは狩人の小娘ですから、どうあっても小娘の襲撃をするしかありません。
彼女たちが自ら主張する通り恋を成就させていないのならば、ナナシさんは死にません。後を追う理由がありませんからね。
それならそれで良いのです。私は安心して、吊られることが出来ます。
明日、即座に小娘を吊れば、めでたく村は勝利する、というわけでございます。
小娘の言う通りに彼女がナナシさんを振ったのならば、ネコヤさんにとってこの協力は一切マイナスにもならないと思いませんか?
もし小娘が嘘をついてナナシさんを振っていなければ、私の勝利となりますけれど、私を吊るという選択肢を変えない限りはどちらにせよあなたは敗北するのですから、何も変わりません。
残る時間、少しだけでも考えていただければ幸いです。
というわけで、オオバさん。
私のために――死んで下さい。
(あの男のことだから、きっとこのまま私が死んでものらりくらりと生き延びて新しい主人でも探すのでしょう。
そのことも我慢がならないからこその提案ですが――まあここでは言わずとも良いですね)
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