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―― 12月22日・黄朽葉駄菓子店にて ――
えー!? そうだったの!?
[明日に向けて、うきうきとライダースーツの手入れをしていたら。
未だ現役で、スクーターじゃなくバイクを乗り回してる駄菓子屋の
ばーちゃんに、二人乗りはもうちょっと経たないと出来ないよ、と
教えられた]
な、なんてことだ……。そういや教習所で習った気もしたけど、
すっかり忘れてた。
うー、じゃあ結華ちゃんとの約束までには、サイドカーなんとしても用意するとして……
い、いいもん。
バイク乗ってたら着れない服着て行くもん。
来年乗るもん…… ぐすっ。
[泣く泣く、ライダースーツを折りたたみ。
今年の天皇デートは、目的地まで電車と足で行く事にしました]
―― 12月23日・駅前 ――
……うん。うん、そんなわけで。
ひなちゃんたちと遊びに行くって言ったときも、ちょっと返事に間があった気がするし。
イベント事って、一緒に過ごしたいって思ってくれるものなのかな……?
飲食店は忙しそーな日だから、ぼくに時間をとらせるのも悪かろーというのもあったんだけど。
[スリットが深く入った、チャイナ風潤◆ワンピースから伸びる足を組み替え。
耳に当てた携帯の相手には見えないが、三つ編みにした髪を揺らし、首をかしげた。
朝から電話に付き合わされているのは、[めざせFTRライダー 流海]かもしれない]
まあ、うん。あ、会いたいって言って貰ったし、クリスマスにも会うけどっ。
むしろあれだよー、毎回毎回、なんかこー手際悪くて呆れられてないかと……
え?
……まあ、そーだけどー……。
あ、もう時間か。ごめんね長電話しちゃって。
それじゃ、一足早いけど、メリークリスマス。またね。
―冬休みのある日―
[美術顧問の八木先生がよろよろしながら20号ほどの油絵の大作を美術室の前の階段の踊り場へ飾り付けると少し離れた位置からその絵をみつめにこにこと笑う]
どっこいしょ…ここにかけるとここから良く見えますかねぇ
ふむ、やっぱりいい絵ですよね
あの時、天体観測を許可したかいもあったですかねぇ
[描かれていたのは林間学校のキャンプファイアーを思わす様な大きな篝火――それは明るい橙や優しいピンク静かな青い炎…いろんな色をたたえ、今にもパチパチと弾ける音が聞こえそうな火花をあげていた。
その炎の上、うねりあがる上昇気流にのって小さな銀色の蝶が空へと舞いあがる。
その羽根は色とりどりの明るい炎できらきらと光を放ちながら…とおくくらい夜空をまっすぐめざして羽根を広げる
―そう、果てしない夜空に輝く昴の星を目指して]
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