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えーと、ダニールさん?
[向かった先に、首を傾げるように声を掛ける]
……頑張ってください!
[ぐ、と拳に力を入れるように]
クレーシャも、レイスおにーちゃんも
なんか、どんくさそう
ダニール先生! ちゃんと面倒見てね!
[“幼稚園の先生”のニュアンス
良い大人のレイスに対して、どんくさいの一言
他人の機微を察する思考は、幼い少女には無かった
成長したキーラなら、流石に直接どんくさいとは言わない――
かどうかは少し疑問の余地が有るが
それでもここは、彼女にとっての赤い夢
幼い幼い赤い夢
ここに居るのは、小さな小さな、寂しがりの、ガキ大将]
[フィグネリアに連れられるようにして、あちこちを歩いて回る。
危なくなれば支えはするが、向ける視線はひどく険しく。
無言で睨みつけるようにすれば、心配というには幼い表現はきっととても伝わりにくい。
ダニールへ酒瓶投げつけるあたりなど、女の気の強さに、知ってはいたが沈黙する。
ざまあみろと思うには、男には彼への恨みも何もないように、思っていた。
妹とのやり取りでさえ、喋る娘の様子は『そういうもの』という認識だった。
知らない話、知らない思い出。
記憶は靄の中へ覆い隠されて、此処にあるのは彼女と共にある思いだけ。
>>55飾りの希望に、ふと顎へ手を当てて。]
………… 何を。
[何かという曖昧さでは何も作れない、と融通の効かぬ答え。
先を尋ねるのは、少なくとも聞く意志があることを示していた。
冷たい風がふけば、寒いのは大嫌いだ。
肩を縮めて、眉を寄せた。+パー+]
[リディアに抱きしめられた腕の中にいたのは5.6才くらいの小さな男の子。
ぽんぽんとあやす様にな仕草に気持ちよさそうに目を瞑って大人しくしていたが…ぱっと顔をあげると]
おねぇちゃん…だーれ?
僕どうしてこんなところにいるんだろう?
[ちょんと首を傾げてリディアの顔を大きなヘイゼルの瞳でじぃっと見つめた]
あー! きっとかくれんぼうの途中なんだ
ぼく…さがさないといけなの
[いつの間にか頬に伝わる一筋の涙に首を傾げる]
あれぇ?
もしかしたらぼく泣いてた?
なんだか…目しばしばするし お鼻もいたい
ぼく…泣き虫だから。
ナタリーちゃんにいつも笑われちゃうんだぁ
[しゅんっ小さく鼻をならして恥ずかしそうに笑って]
もしかしたら…おねぇちゃんが慰めててくれた?
ありがとう
[初めて会った人を相手するようににペコリと頭を下げた]
[しかし、震えるだけで何もおこらない。
ふ、と息を吐いていると、服の端が引っ張られた。
振り向いたそこに、
カエルがいた。]
……………………… ???
[沈黙。
人によっては可愛らしいと形容するかもしれないひげ面のカエルと
全くもって愛想の欠片もない男が、黙って見つめ合った。]
[感じるのは、呼ぶ気配。
此方へと、引っ張る気配。]
[その手を払おうとすればカエルは一度身を引くが、
数歩歩いて振り向けば、ついてきていた。]
………………
[さらに、見つめ合い。
先に諦めたのは、男のほうだった。]
(わかった。行かなきゃいけないなら、行くから。)
[素直に受け入れているのは、信心深い親の教えのせいか、
この不思議な環境のせいなのか。
アレは妖精だと気づいてしまった。
それでもすぐには従わないのは、いつの間にか自身に灯った光のため。]
『なあ。お前、彼女にはもう……………してんの?』
[お節介な服飾仕事の仲介者。
男が女と近しくなったことに驚き、おめでとうと言ってくれた男が、
(男にとって)この間持ちかけてきた問い掛けだった。
年齢的に、『行き遅れ』とも言われかねない女を気遣ったらしい。
全くもって無頓着な男にやっぱりとため息をつきながら、
はっきりしとけ、と尻を蹴飛ばすようにして、急かしてきた。]
[どうやって、などと仕事の合間に考えていた。
気がつけば、教会の壁にもたれていたのだが。]
泣きたい時に、泣いたらいいのよ
笑う子は、笑わせておいたらいいの
……笑う子だって、きっと本当は
泣き虫さんなんだから ね
[あれ、ナタリーちゃんって今、このひと言った?
でも調理場に居たナタリーは男の子だったような]
[懐からハンカチを取り出して少年の目元を
柔らかく拭う]
ううん
いってらっしゃい、ラビさん
あ、そうだ
イライダさんって、わかる?
その人が、アップルパイ作ってくれてるから
食べてきたらいいんじゃないかな
たぶん、ホールにあると思う
[そう告げて、少年がその場を辞すなら
小さく手を振って見送って]
[ホールの場所を知らないと言われたら示すだろう]
[悩むようにぶつぶつとぼやいて、
はやく、とついてくるひげ面カエルに背を向ける。
家へ通ってきていた、あのお節介な娘あたりなら
聞けたかもしれないが、とても今更だった。
それでもこの光は、そのために此処にあるのだろう、
と思ってから気がついてみれば、欠片の一つも、
傍にいたはずのフィグネリアの姿もなく。]
……………………。
[お前のせいじゃないだろうな、とカエルを睨んでも、
反応はないというか、妖精の視線はどうやら男に釘付けらしい。
ちっとも嬉しくない。
再度背を向け、歩き始める。]
一度もなった事がないのか、忘れちまったのか――……
そんなんで喰事出来てたのか、オマエら。
[ 瞑目する。
――深呼吸、のち、獣。
服は霧散し、そこには黒銀の毛並を持つ大きな肉食獣が現れた。]
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