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居候 リディヤ は 1にんからうしろゆびさされたみたい。
キリル は 9にんからうしろゆびさされたみたい。
キリル は ぎわくをかけられて、なきながらどこかにいっちゃったみたい。
ねぇおくさま、ききました?
あそこの森の魔女 アリョールさんったら○○なんですって!
[...はいやがらせのうわさをながしまくった。]
森の魔女 アリョール がどこかにいっちゃったみたい。
雑貨屋 ヴァレリー はあいのために 森の魔女 アリョール のあとをおっかけちゃった。
もんだいはかいけつするどころか、よけいにひがいがひろがったみたい?
きらり、きらり
夜空に星が流れる。
川は再び凍りつき、廻る水車は動きを止める。
門が開くと同時――――色とりどりの光は天へと消えていった。
あ”―――〜〜〜
[夢と、うつつと、幻の狭間
そこでまったくロマンちっくではない呻きをあげた]
……夢から覚めるのは、魔法とは違うわよね。
目覚まし時計だわ。
[ポツリとつぶやいて]
-さっきまでのこと-
[ただ、祈り。
精霊のせいなのかどうかはともかく
魔法がきいたのかは、ママにはナイショだよ!]
>>172
二人の合作なのね。
どーりで、執着してるわけだ。
いや、詳しくは知らないけど?
[肘をついてオルガンは、不協和音を奏でる。
反対の手でちびメーフィエを一人指先でつついたら
ふわっと消えたので、びっくりして。
バレてやしないかとキョロキョロした]
[>>165
何か言おうとして。
…やめて、…また唇を薄く開く]
いるわよ。
「目覚まし時計」がね。
いつかいってたわよね。
不思議な世界が終わったとしても
残っているものがあるといいって。
それを告げる鐘―
[目を伏せた。そのころ、傑作は出来上がったろうか?
魔法がきいているとかそういうのは、
きっと照れくさくてたぬきねいりで通す]
言ったっけ――?
[ヴァレリーの「食べたいと言っていた」のセリフ。
料理については、そんなふうに嘯いて。
だっていつ、どこで?]
鶏料理、作れんの?
[意地悪に笑った]
― ホール ―
[イライダが訪れたのは、いつのことだったろうか。]
……あ。
[少年の傍をきらきらと燐いていた赤い光が、
すう、とどこかへ飛んでいく。
――向かい側に座るかれの赤い光も、同じだったろうか?]
そろそろ起きる時間、――でしょうかね?
[ゆるく首を傾げて。
席を立つ
少年の姿は、黒い狼に。]
[カチューシャに心配されて、微笑む]
大丈夫。この雪だるまをあげたかった子に会えなくなっただけ。
[その微笑みに寂しさが滲む…とオレンジの欠片がサラサラと砂のように地面にこぼれ落ちる]
…?
[なすすべなくその砂を見ているしかなかった]
……おねえちゃん、遅いなー
目当ての果物が、見つからないのかな
[キーラの帰りが遅い事に気が付いたのは
スコーンの焼き上がりが、近くなった頃]
……………………?
[ぽろり ひとしずくだけ 涙が落ちる]
[調理中だからと、ポケットの中へ入れていた
みどりいろの石が
砂くらいのおおきさの
もっともっと、ちいさな粒になって
やがて消えていったこと
少女はまだ、気付いていなかった**]
村の設定が変更されました。
[現れたイライダには、きっとたどたどしい挨拶と、料理の賛辞を]
………そうみたい。
[赤色が、その色を落とし
溶けて消えるように、薄まっていく]
『きみのやさしい目をあけて、北のオーロラを迎えなさい』
だったかな。
[好きな詩が、小声で呟いても
もう、赤い聲は、出ない。]
[黒い狼に変わる姿を、懐かしそうに見て]
次に会う時は、クレーシャの想う楽園が知りたい、な。
[カップを空にしてから、花を片手に立ち上がる。
もう、この身体が狼に変わることは、無い。]
[妖精の唄は、終わり
最後の一説を終えれば、耳の痛くなるような静寂に落ちる
雪の降り注ぐ音だけが鳴り響く
しんしん
しんしん
キーラの周囲をくるくると回っていた赤いひかりが
螺旋を描いて昇華する]
[―――――ギイ]
[ゆっくりと、ゆっくりと
音を立てて、門扉が開いた ]
[おまつりが おわってゆくような
せつない おとだった]
欲しいものが有るんだ
良いかな?
[問いかけるは、ルサールカ
笑顔で催促するは美少年]
リンゴが欲しいんだ
甘い、蜜たっぷりのリンゴ
昔ね、お父さんとお母さんが遠くから仕入れてた
あの、リンゴが
[留守がちの行商人の両親と共に食べた
優しい味のコンポート
数少ない、家族団欒の記憶]
[両手を差し出せば
紙袋いっぱいの、真っ赤なリンゴ
赤い夢の続きのような、艶やかな赤
ルサールカが、淡く微笑んだように見えた]
ありがとう
完成したら、ちゃーんと振舞うからさ
[キッチンへ戻りがてら、袋から一つ取り出し齧る
甘い甘いその味は、昔味わったそれのまま
両親と過ごした時間は、まるで楽園のよう
楽園の暖かさを、皆と一緒に――**]
カツカツカツ。
[重い革靴の音。視界に飛び込んでくるのは、横の床を歩く制服姿の男]
(ああ、そうか)
[自分が横たわっている頃に、のんびりと気づいた]
――……。
――…?
――……っ!
[自分を見下ろすその男の口ひげが揺れる。何を言っているのだろうか。わからない。聞こえない。格子一つ隔てた先の景色が、どこか遠くの世界のように思える]
░▓▒▓█▓░░▓▒!
[何か叫んだと思えば、誰かを呼んでいるらしい。が、それよりも彼の足元にいる一匹の蛙の存在の方が今は気になる]
░▓▒▓█▓░░▓▒! ░▓▒▓█▓░░▓▒!
生憎、何を言っているのか……わからない。
[男の足元で喉を鳴らす蛙に答える。口は動いていなかったが、動かずとも話はできる。"彼女達"とは、そうであったから]
それは――だれ、だ?
[直後に沸く疑問。彼女達とは誰の事であったか]
俺は……しても、いいの……か。
[笑い声。楽しそうに話す声が遠く、そして近く]
ああ、わかった。
[望まれた気がして、手を伸ばす。その時、その手に何かが触れる。赤くもなく、黄色くもない。橙色の石――が
砕けた]
(……警官、牢番。この白い服を着ているのは医師か)
[気がつけば、人がいた。傾いた世界は天井を映し出し、三種の男達の覗き込む顔が間近に控えていた]
(色気のないことだ……)
[そんな呟きは、声にならない。ひび割れた唇と口蓋に張り付いた舌が、それを阻害する]
(とことん俺は……ズレ、ている)
[彼女達は何と言っていたのか。それに自分はどう答え、どう思っていたのか。微かな記憶は、有り得ない筈の思い出だった。自分はここで過ごしていたのだから。その筈なのだから]
(……ああ、そうだ)
[手の中には砕けた石の感触が僅かにあった。何故そんなものを握り締めていたのかわからない。判らないが――]
[ロランは目を閉じる。思い出す事を望む様に、忘れた事を忘れるように]
░▓▒▓█▓░░▓▒!!
[揺さぶられる。叩かれる。掛けられる騒音の中に、いつの間にか兄らしき声も混ざっていたが、最早どうでも良かった]
(俺は……)
[あの村でも、あの世界でも――自分は取り零されていた。今更こんな所で、拾われる事もない。だから大丈夫だと、言いたかったが口はもう動かない]
(░▓▒▓█▓░░▓▒……俺は少し眠る。夢を、見たくて、な)
[今はただ眠ろう。いつかまた起きる時の為に――**]
[橙の欠片がサラサラと地面に落ちたの眺めていたが、
スッと立ち上がり、傍らに立つすながみの少女に微笑みかける]
私…帰るわ…
[いつの間にか開いていた門をくぐり、
当たり前のように向かった先は……――――]
[目を覚ますとまだ外は薄暗い]
……今日も寒いわね。
[ストーブに火を入れ、朝餉の支度をする]
ナタリー起きなさーい
[今年で12になる娘を起こし、朝食を食べる]
今日は、お父さんが帰ってくる日よ。
[娘の目が輝く。恋する乙女の目である。
見透かしたように微笑み]
もちろん、ロランも一緒よ
[夫のニコライの仕事仲間であり、弟子とも言えるロランも来る。
ロランは身寄りがないために、ここが彼の帰る家なのだ。
ナタリーの輝く笑顔にこちらも微笑む]
そういえば、おかしな夢をみたわ
あなたが男の子になっていて、
ロランがとてもおとなしい青年になっていて…
このまえ火事でなくなった古い教会にいたんだけど、
新築みたいに綺麗だったの
[夢で見た光景を話す。母のこんな話も楽しそうに聞く気立ての優しい娘である。
そうこうしていると、外でナタリーを呼ぶ声]
あぁ、キーラちゃんたちが迎えに来たわ。
早く支度しなきゃね。
[外に顔を出し、]
ごめんね、ちょっと待ってて。
[これが日常の我が家である。娘を見送り、夫と“息子”を迎えるべく準備するため、
家の中に入っていった……―――**]
『きゅるる きゅるるるっ ぴあ』
[>>4:#2楽しげな声が響きわたる]
ああ・・・。
[女の大切な人形は桃色の光とともに宙に溶けて。
吐息のような声が溢れる。
そう、あの人形は女の手を離れたもの。
砦の牢獄、親友に託したその時に――たとえ貴女のもとにはなくとも]
嬉しかったわ。
[ほんのひとときでもこの手に還ってきたようで。
―――――幻であると知ればこそ。
後悔などしない。この手に取り戻そうとは思わない。
精霊の女ににっこりと微笑んだ]
[坊や達はどうしていたかしら?
その場にまだ姿があるならぽんぽんと抱きしめて、さよならを告げるように額にくちづけを]
ミーシャ。
[衣装は完成していたかしら?それとも幻と消えた?
行きましょうというように、男を仰ぎ見る。
協会への道をたどろうか。
消えてしまったもの、残ったもの。
――ひとつひとつ確かめるように]
ごちそうさまだよ。
[森のお茶会は終わり。その場にいた人にぺこりとお辞儀をして森を抜けていく。
不思議とすぐに抜けられて、教会にすぐ付くことができた。
ここはどこだとか、誰がいたりとか不安はなかった教会。
さらっと風が吹いて。髪を押さえながら見つめ]
…ありがとう。
[誰に言ったのか、誰かにいったのかわからないけどそう呟いて。横にあった水車はかたかたと、鳴っているのを心地よく感じながらその場を後にした。
雪が振っていた綺麗な、聖夜の奇跡−
この出来事は少年の胸に、いくら時間がたとうとも美しく色よく残っていくのだろう*]
……思い出すのが怖い気がするのは、私も。
レイスさんの事とか、凄く思い出したいのに……。
でも、かわりに大事な物が消えてしまう気がして。
……不思議だよね。
お父さんの事も大好きなのに。
……なんで、お父さんの顔がボヤけてしか思い出せないんだろう…?
[不安げな視線で、じっとメーフィエを見つめた]
……ごめんなさい、不安になってるのは私もみたい。
[申し訳なさそうに、目を伏せる]
でも、こうして話を聞いて貰えて、良かった。
……ありがとう。
[あぁ、やはり前にもこうして彼に話を聞いて貰って、感謝した覚えがある。
記憶には無くとも、感情が覚えている。
……重ね重ね、ありがとう…と。]
ほれ。
これやる。
[楽園に咲く花と、其処で孵るのを待っている
淡い虹色のたまご。]
オーロラにゃ、暁の女神様の名前があるんだとよ。
夜明けってなんか凄そうでカッコ良くね?
ホントは、内側に創りたかったんだけど
何度やっても上手く行かなくてさ!
これだけ、偶然出来たから。
やる。
[ん、とアリョールに向けて差し出した。]
お前がどんな魔法を使う魔女だかはこの際関係ねぇ、
絶対にオーロラを掛けろ、頑張れとも言わねー。
えーと………。
…。
う〜〜……まあ、あれだ!
お前が使った魔法の事、忘れんなよって言いたいわけでだ!
お前が居た事で起きた奇跡だとか!
まあ色々!!
[肝心要な事は言えなかった。
仕方が無い、これが生前からの男のやり方。
それはそれで、まあ良かった。
どうせ伝えた所で、叶わないのだから。]
お前さんの目覚まし時計が鳴るまでに、
もらってくれっと嬉しいんだけどなー。
[男はじっと、彼女がペンダントを受け取るまで
差し出した格好のまま動かないつもりだ。
オルガンの傍で蠢いている何かが、嬉しそうに
鳴き声を上げるその時まで。]*
―回想:教会前で―
[閉ざされた門を見上げながら。
この教会が先ほどまで居たあの教会なのか、それとも村外れの古びた教会なのか。
視界も記憶も混濁して、定かではない。
だが、一つわかる事――この中に、愛しい人が居る。
そして、自分が消えた事を悲しんでいるのではないか。
もっと、伝えたい事があった。
自分の想いを、まだ何も告げられていない]
(……せっかく、また会えたのに…)
[自分が再会の喜びに思いを馳せている事には気付かず。
寂しげな表情で、中に彼が居るであろう教会を、じっと見上げた]
[喉元を抑え、軽く咳き込む。
言葉を発しようとするも、相変わらず口をパクパクとさせるのみ]
(レイスさん……)
[大事な事は、何一つ伝えられていない。
前も、そして今度も]
(…………前…?)
[不意に教会が炎に包まれたように見え、ビクッと身を震わせ、後ずさる。
だが、次に目にした時には、目新しい白い壁。
高鳴る心臓の音に、息を落ち着かせながら、不安げな表情を浮かべていた]
[喉が痛む。胸が苦しい。
感情は狂おしい程に沸き上がるのに、記憶は断片的に映像が閃くのみ]
(……どうして、思い出せないのだろう…)
[切なげに息を吐きながら、ゆっくりと首を振る。
教会の門を押してはみるが、重い鉄の塊はびくともせず。
悲しげな視線を投げかけて、踵を返す]
(……他に誰か居るのかしら…?)
[あてがあるでもなく、ぼんやりと森の中へと歩を進めた]
― ホール ―
[立ち上がるレイスに、ぐる、と低く喉鳴らし
一声、遠吠え
赤い世界との別れを惜しむかのように]
[たん、と床蹴り
黒い風が疾る
――帰る場所へ]
[差し出されたのは、美しい色のついたガラスのペンダント。それがあの卵の形と気づけば、
小さいメーフィエや小さいオリガのことを一瞬思い出してしまったりするのもご愛嬌]
これだけに?色?……でも、
[自分が受け取っていいのかどうか分からない。
だってこのひとには他にも大事にすべき人がたくさんいてー]
……ま、まあ?!
あんたのなすべきことがうまくいく
守りの法をかけてあげたんだから
そのお礼ってことならもらってあげないこともないわ、ね!
[「まあ」の部分の声が変に上ずった。
ーー下を向いて受け取るように手のひらを向ける
困った顔をしてるのを見られるのがしゃくだから]
[相手が何も言葉にしないから、
こちらも何も言葉に出来ない。
でもきっと
そのペンダントが手のひらに落とされた時]
探すわ
きっと
[言いたいことの欠片だけ、通じ合っただろうか]
[そして]
忘れないわよ!
忘れるわけがないじゃないの
だってあたしは魔女なんだから
使える魔法のことを忘れる訳がないでしょ?
[あげた顔は、いつもどおり いままでどおり
横柄な言葉で虚勢を張る意地っ張りな魔女の姿
どこかすっきりとした 自信のある顔つきに見えたー
というのは、柄付きブラシの贔屓目かもしれない]
[目覚まし時計がなる
体が白く溶けて消える あの日あの場所の自分の森に還るための]
ーーーだから そこにいなさいよね
[小さな呼び声はどこかへと
そして、その声も消える瞬間、その両腕はその
大きな背中に回されて、そっと風になる]
[ かえる 還る 変える ]
ーーどこかしら ここ
[目を覚ましたのは、住処の森の大きな樹
地味なヨールカの飾り付けがされている]
……あたしの家を勝手にヨールカにしやがって!
あたしはもっと、…星がついてるのが好きなのに。
それと、
ガラスと銀のかざりだわ。
[彼女の胸に、小さなペンダントが光る。
それを握り、人差し指を立てると]
「さあ来なさい、跨ってあげるわよ!」
[素早く現れた柄付きブラシ。**]
[キッチンに戻れば、香ばしい匂いが漂っていた
スコーンは完成間際
抱えたリンゴの袋を見せ、笑った]
ごめん、ちょっと、色々有ってさ
[手順は色々省略
りんごを切って、煮詰める
甘さは控えめ]
[残り十数個の鎖と飾りもヴァレリーに渡し、
硝子と銀はひとつへ。
幸せを運ぶペンダントになっていく。
作業が終わり、貰い受けた天使のたまご二つを
大事そうにしまうと、ヴァレリーとアリョールに向き直り]
アリョール。
きっとあなたは、立派なヴィエーディマになれると思う。
これからもその魔法で、
たくさんの人に笑顔を届けられますように。
ヴァレリーさん。
共にひとつの作品を創ることができて、本当に楽しかったです。
…………これが最初で最後、なんて言わずに。
また、合作しましょう。
[丁寧にお辞儀をひとつ。
それから、なんとなく
二人きりにしておこうという気分になって。
ヴァレリーがアリョールに
虹色のたまごを差し出す前には、聖堂から退出し始める]
[その時、周りを気ままに舞っていた蒼い光が、
ゆっくりとこちらに向かって飛んできた。
掌に乗せると、淡く瞬き。
そして少しずつ、小さな光は更に小さくなってゆく]
――――……。
……オリガ。
少し、話を聞いてもらっていいかな。
[意識は青い世界へと。
自分を包む青い色は、掌の光が
小さくなるに従って次第に薄れ]
ある村に…どうしようもない理由で
自殺した、馬鹿な男がいてね。
そいつは死んで何もかもから逃げたかったのに
結局魂としてこの世に留まってしまい、
消えることすら叶わずに亡霊として縛り付けられた。
誰からも姿を見つけてもらえず、
誰からも声を聞いてもらえずに
――――ひとりきりで。
[微かに困ったような笑みを浮かべ。
傷だらけの掌を見つめた]
けれど、それから二年が経ったある日。
ある女の子が、男の気配に気づいて話しかけてきたんだ。
その子は男が名乗っても、死者が喋っているといって
気味悪がったり罵るような様子はひとつも見せなかった。
…………それがとても、安心した。
だから『私』は、女の子に何かお礼をしたかったけど…
話を聞いてやるぐらいしか、できなかったな。
[他人のことを語っていたはずなのに、
いつの間にか混じっていた一人称。
そうして喋る間にも、青い光はどんどん褪せる]
あの時、声を聞いてもらえてよかった。
………………本当に、ありがとう。
[どこかから、妖精の楽しそうな笑い声が聞こえてくれば。
掌の光は目に見えない大きさとなって、
最後に一度だけ強く強く輝きを放つと
青い霧として散った。
この青い世界が途絶えると同時に口にした言葉。
果たして、オリガには届いただろうか]
[もう会えないと思っていた人たちに会えた。
ちゃんと触れられるかたちある身体が得られた。
約束していた合作もできた。
自分にはもったいないぐらいの奇跡の時間。
しかし、これで心残りもない……と言い切れるほど潔くはなく。
名残惜しいのも、また本心]
…………それでも。
帰らなければ、ね。
[次に目に入ってきた景色は、
何の変哲もない教会の廊下。
灰青の眸に本来のいろが灯る。
――――燃えるように赫く、紅が**]
おかえり、おねえちゃん
スコーン、もうすぐ焼けるよ
[キーラの姿が見えれば、ほっとしたように笑んで]
[ジャムの調理の間、少女は紅茶の用意を]
[ジャムが冷える頃には、スコーンの粗熱も取れるかな]
[紅茶を飲みつつ完成を待とうと
ポットへ手を伸ばすと、
キーラは再びキッチンを出てしまうようで]
[どこへ行くのだろう――とは、問わない]
おねえちゃん
……すぐ戻ってきてね
[キーラの背へそう声を掛けて]
[黒服の姿はまだそこにあっただろうか
キーラを待つ間、カップへ紅茶を注いで
どうぞ、と差し出した**]
[弱まっていた青い光が、不意に体を包み込む。
ふわふわと光が漂いながら、優しい声が語りかけてくる]
メーフィエさん……。
[その声にホッと安堵の表情を浮かべるが、告げられた内容には、一瞬目を瞬かせた。]
[ゆっくりと。
記憶が、広がっていく。
あぁ、そうだ。ここ数年、メーフィエと話など、出来るはずが無いではないか。
だって、彼は――。]
[思い出す教会の壁は、やはり薄汚れていて。
耳を塞ぎたくなるような、様々な声。
呪詛だったり、悔悟だったり、怨嗟だったり……在らざる声に耳を取られ、思い悩んでいた時。
その悩みを聞いてくれたのは……。
……同じく、在らざる者となっていた、彼ではなかったか…?]
[じんわりと、記憶が染み渡っていく。
あの古びた教会での出来事が一つずつ思い起こされ……。
…………自らの身に何が起こったのかも、ようやく、理解出来た。]
[言葉が発せないのは、その身が一度焼け爛れた事を覚えていたからだろうか。
喉が、その痛みを覚えているのだろうか。
自らの体を見下ろせば、そこには確かに生前と同じ姿が存在していて。
目の前の建物を見上げれば、そこにはあの古びた廃教会ではなく、数々の奇跡が生まれたあの真新しい教会がそびえ立っていた。]
…私も、伝えたかった事が、たくさん有るんだ。
[その声は、青い光の中ではなく、森の中で確かに響いていた。
ふわふわとまとわりつく光は、彼の元にその声を運んでくれただろうか…?]
メーフィエさんが居てくれたから、気が触れる事もなく、あの事態を受け止める事が出来たんだと思う。
きっと、一人なら、聞こえる声に押し潰されていた……。
…………こちらこそ、ありがとう…。
[そう呟くと、漂う青い光に、はにかんだ笑みを向けた]
……皆に、ずっとお礼が言いたかった。
[この教会に来てから、様々な奇跡を目の当たりにしてきた。
だが、一番の奇跡は、こうして此処に居られる事なんだ……と、初めて実感出来た。
伝えたい、想いがある。
今度こそ、彼に――――。
じっと教会の壁を見上げる。
もう一度彼に出会う事は出来るのだろうか。
今度こそ、想いを告げる事が出来るのだるか……?]
―虹色が渡される前―
メーフィエ、ほんと…なんつったらいいか。
今度はお前の作品を飾る細工を考えておくからさ!
また創ろうな!
楽しみにしてっからよ。
[諦めていた次の機会。
信じていれば、本当に訪れるのかも知れないと
聖堂を辞す彼は止めずにそのまま見送った。]
―――…アリョール。
頑張れとは言わねえっつったけど、
負けるなとは言っておくぜ。
何べんも失敗する事だってあるかも知れねーけど
そこで足を止めてしまわない限り、お前は負けねぇ。
その内……色々出来るようになるって。
[初めて彼女の名を呼んだのは、気付かなかったか。]
[2人の傍で、愛らしい声を上げて目覚まし時計が鳴る。
瞬間、男の記憶が鮮明になり]
―――――――…。
[言おうとした言葉のほとんどを飲み込んだ。
帰るべき場所、時間へ行く彼女の背へ両腕を回そうとして]
待ってるよ。
俺、動けねーし。
[叶わなかった。
するり、風になって腕を通り抜けて行く彼女の気配だけを
少し細めた視線だけで追い掛けた]**
……帰ろう。
[二人で。
曖昧な記憶の先、
それが争いの後でも
楽しい祭りの後でも。
ともにいられれば、どんな場所だって構わない。
彼女が求めるものがあるならば、探すから。
彼女が喜ぶのならば、慣れぬ事でも試すから。]
[こちらを見た、片目だけの紅色
唸り声に、僅かに笑みが溢れる
怒らせたのは自分なのだから
ちなみにあの獣耳少年と同一人物とは、未だ思っていない
ぼろぼろの毛並み
引き摺る足
傷に塗り潰された、狼]
―――――………
君に、行く宛ては、有るの?
[明らか警戒されていた]
別に取って食いやしないよ…
[信じてはもらえないだろうが、一応言っておく]
君には、友達いっぱい居るんだろうし
[ふれあい広場で見た狼達を思う]
私はいくら嫌っても良いけど
友達は、大切にしなよ
裏切っちゃったら、もう戻れないから
[からん、と鈴の音が鳴る]
じゃあ、また。
[ホールを出る黒狼を見送りながら、ふわふわした頭を振る。
ああ、自分は何処から来たのだったか。]
[どこかで焼かれた書物の中に、紛れ込んだ古い日記帳に
知るはずの無いヨールカや名前が並んだかもしれない。
―― たのしいゆめのはなし、として。]
[目を開くと大樹の傍で、不思議なゆめの話をしながら
また陽気な男と魔女を見守るのかもしれない。]
[どれも、あるかないかすらわからない。]
[一人のホールに、鈴の音と靴の音。
かつん
しゃらん ]
[料理のあった場所は、まるでその席だけ何も置かれていなかったかのように、空けられて
空いたシャンパンと、使いさしのグラスが一つ。]
[花を持たない手には、トランクが、一つだけ。]
[聖堂の隣を通り抜け、教会の扉を開く。]
どこに、いるかな
[雪を踏みしめて、一歩。
この雪が少しつめたく感じるのも、奇跡の終りだからなのか]
[足跡の数だけ、鈴の音。]**
[唸る赤を、疲れたように見やる
警戒心を感じるも、殺されそうな気配がしないのが不思議だった
ダニールの牙は、狼の牙
いつか喰う、と言った牙
この黒獣の牙は?]
温厚というか、何というか
君、やっぱり犬だね
[ふ、と笑う]
それで戦えんの?
[未だに教会の門は固く閉ざされたまま。
遙か上方の窓をぼんやりと見上げながら、小さく息を吐く。
白い息がふわり…と舞い上がった。
やがて諦めたように踵を返し、再び森へと歩き出す。]
流石にこの格好じゃ寒いな……。
[自分の立場を思い出して、尚、寒さを感じるというのもおかしなものだが。
私服に仕事用のエプロンを身に纏っただけの姿で、雪の積もる寒空の元では、流石にぼやきたくもなる。]
――っくしゅん!!
[死者も風邪をひくのだろうか……そんな呑気な事を考えていると。
後方から、重い鉄の動く音がした。]
え……?
[振り返れば、あれほど微動だにしなかった教会の門が開いている。
そこに見える姿は――。
その、鈴の音は――。]
あ……。
[目にした瞬間、じわり…と涙が浮かぶ。
今度こそ、話が出来るだろうか。
想いを伝える事が出来るだろうか。
……触れた瞬間、消えてしまったりしないだろうか。]
[“すぐにまた、逢える”と、誰かが言っていた。
ならば、再び彼と触れあう事が出来るのだろうか。
同じ時を過ごす事が出来るという事なのだろうか…?]
[ジャムがすっかり冷えても
キーラは、まだ戻ってこない]
[けれど、探しには行かない
彼女には彼女の、逢いたいひとが
いるのだろうから]
[皿にスコーンとジャムを盛り、黒服の前へ]
……信じられないかもしれないけど
私は死者で……
おねえちゃんは、生きてるんです
もう一度おねえちゃんに触れられるなんて
もう一度穏やかなときを過ごせるなんて
夢なんでしょうか、奇跡なんでしょうか
……先生は……私達の村では
見たことがないですけど
生きているひとなら……
ときどき、おねえちゃんに会ってほしいんです
……その お嫁さんがいるのは知ってるけど
だから おねえちゃんと付き合って欲しいとかじゃなくて
私は……おねえちゃんに逢えなくなるから
少なくとも……当分 は
[もしかしたらそれは、無理な願いなのかもしれないけど
そもそも、何を言っているのかも
わからないかもしれないけれど
願わずにはいられなかった]
[私も、ずっと 一緒に居たいけど]
[彼女には彼女の、戻るべき場所があって
自分には自分の、場所がある]
……でも、あと、もう少しだけ――――
[籠にスコーンとジャム、それに小皿を詰めながら
今少しだけ穏やかな時間が続く事を 願った**]
[喋るだけ喋れば
す、と取り出す、最後のリンゴ
弄ぶように軽く投げ上げて――キャッチに失敗して、床に落ちた
器用だったキーラには非常に珍しいミス
む、と眉をしかめ、しかし落ちたリンゴを拾う事も無く
ちらり、と一瞥して、ため息をつく]
あーあ、こんなんじゃなかったのに
[言い訳をするように、獣に向かってひらひらと手を振って見せる
その右手に、指は3つしか無い
氷点下の地下室、指は凍傷で落ちた]
そのリンゴ、毒入りだから食べない方が良いよ
食べたら、楽園を追い出される――って
教会の人は言うしね
[毒で眠っている 夢の中が楽園か
目覚めのキスが楽園か
目覚めた後は、楽園か
そもそも、リンゴを食べてしまえば
楽園は壊れるか]
さよなら
[ひとつきりの紅を見据え
花が散るように、ふ、と笑う
昔みたいに またあした なんて 言わない
くるりと背を向ける
欠けた指、やつれた身体
精細を失った髪の毛は
ふわりと翻る事も無く、僅かに揺れるのみ]
ごめんね、ただいま
[キッチンへ戻ったその姿
現実を思い出せば、それに似通っていく
草臥れた姿、浮かべる笑みは、どこか壊れた、美少年]
そろそろ冷えたかな?
食べよ!
[最後の晩餐を]
――――おかえりなさい、おねえちゃん
[キッチンへ戻ってきた姉の姿は
先刻よりも随分――――]
[ 否 ]
[地下室で起こした凍傷で
欠けたのだろう右手の指
窶れた身体 艶をなくした髪]
[“変わらない”のだ
少女がさいごに見た、姉と同じ]
[少女は、“変わった”まま、“変わらない”]
[目の下の隈も、青白い顔色も、昏い眸の色も
病の証であったものは、今は、どこかへ]
[健康そのものであった姉とは
かつても いまも あまりにも対照的]
…… うん、 うん
もう、すっかり食べごろだよ
[キッチンテーブルの上へ、小皿を出して
スコーンとジャムを、載せていく
小皿の横には、あたたかい紅茶を]
このジャム、すごく懐かしくて
おいしそうな匂いなの
きっと すごく美味しいよ
[きっと、これが姉と共に過ごせる
いまは さいごの ]
[その姿が見えなくなってから、ようやく視線を外し
ちらと床に落ちたままの赤を一瞥する
――程なくして、赤は砂になって崩れた。]
[くると振り向き、黒い風はまた疾りだす]
[――そうして なんか弱そうなのを見つけた狼は、
廊下の床の上、ぱたんと座った。]
[こちらから声を掛けることはせず、
ゆるくしっぽでも振りながら、
向こうが気づくのをただ大人しく待っている。]
[こちらに近づいてくる獣の足音。
立ち止まって辺りを窺えば、
床に大人しく座っている黒狼の姿を見とめた]
クレーシャ。
[頭の中で、黒銀の獣の励ましの言葉が蘇る]
[最初に調理場で会った時と同じように、
そろそろと歩み寄っては屈み、目線の高さを合わせると]
……きみのその首飾り、
少しの間貸してもらってもいいかい?
[まず口にしたのは、そんな問い。
記憶と共に聲を交わす力も還ってきたので、
彼が狼のままでも言葉を聞きとることは出来るだろう]
大丈夫。取り上げるような真似はしないから。
[顔を上げたことで、たくさんの傷の中でも
一際大きな傷跡が目に入る。
僅かに眸を伏せながら首に両腕を回し、
器用に結び目を解いた。
いびつな形の欠けた硝子玉を
半分ほど糸から外して、新たに通すのは――
天辺に花弁の銀細工が施された、小さなたまご]
[たまごの飾りを通し終われば、外した淡碧の珠を元に戻して。
再び首元で輪を作ると結び直した]
…………これでよし、っと。
私はそこまで大したことはしてなくて
ヴァレリーさんと、もう一人凄腕の魔女がかけてくれた
魔法がほとんどだけど…。
幸せを届けてくれる、天使のたまご。
加えればこの不恰好な数珠も、
だいぶお守りらしくなるかと思ったんだ。
[傍から見ればなかなか変化には気付けないかも知れないが。
似合ってるよと、装い新たな黒狼の頭を撫でる]
………… ありがとう。
[聲の調子も表情も、変わらなかったけれど。
先刻までより増した尻尾の勢いは隠しきれないようだ。
撫でられれば、目を細めて擦り寄って、]
やり残したことは、もう、ないか?
…………うん。
心残りも果たせたし…十分かな。
それにわたしは欲張りだから、早く出て行かないと
また新しい未練ができてしまいそうだよ。
[この奇跡の記憶をどれだけ持って帰れるかはわからない。
それでもどこかには残ってくれることを、祈りたい]
だから。
一緒に帰ろう、クレーシャ。
[灰青の眸からは涙が零れていたけれど、
表情は微笑みを湛えて。
擦り寄ってきた身体をぎゅっと抱きしめる]
[腕を離した時には、そこに今までの青年の姿はない。
目の前の狼と同じ色をした、
漆黒の体躯に深緋の眸もつ狼が代わりに現れて]
くぅん
[ひとこえ、鳴いた]
― 外 ―
……!
[雪を踏みしめる足とは別の、鈴の鳴らない足音がする。
ゆっくりと頭を上げれば、此方にむかって足を進める少女。]
オリガ、……
[彼女の傍に足を進めたが、言葉が続かない。
目の前から消えたオリガと再会できたのは、最後の奇跡か。
しっかりと、腕に力を込めて、その身体を抱きしめる]
……すこし、冷えてしまった。
[また、いつかのようにケープをその肩にかければ、いつの間にか銀の薔薇も其処にある。]
此処が楽園でも 夢でも
おれはそろそろ、出なくちゃいけない
[どちらにせよ、永遠に居ることの出来ない場所だから]
ずっと、一緒だと、いいな
[ ゆめを、みてしまう ]
………
ダニール、あんた、言ってくれたもんな。
願えばなれる、って。
[それは、此処に限った話なのは解っていて
もう聲は出ないし、この声は届かないけれど。]
おれは、この子と、…オリガと、一緒に居たい。
[とても、小さな独り言。
きっと傍の少女にも届かないくらい。]
あんたにも、また会えるといいな。
[オリガを抱きしめる腕に、力を込めた]
あ……。
[ケープを肩にかけられれば、冷えていた全身が温もりに包まれる]
……前も、こうしてかけて貰ってたっけ…。
[ぽつり、と呟く。
あれほど恋焦がれていたのに、どうして今まで思い出せなかったのだろう。
感情は認知していたとはいえ、やはり、記憶が有ると無いとでは全然違う。
今では、こうして彼との想い出一つ一つをしっかりと噛みしめられる]
……あの、レイスさんは寒くない? 大丈夫?
[いつも自分の為に彼は上着を貸してくれている。
それが、気がかりでもあり、嬉しくもあり。
羽織った上着にそっと手をかけ、笑みを浮かべる。]
……いつも、ありがとう。
あの、上着の事だけじゃなくって、他にも……その……。
[しどろもどろになり、首筋までをも赤く染める。
抱きしめられれば、鼓動を高鳴らせながら、ぎゅっとレイスの背に両手を回した。]
一緒に居てくれて、ありがとう…。
[それは、決して長い時間では無かったかもしれない。
でも、少女にとっては、かけがえのない時間。]
あと、大事にしてくれて、ありがとう…。
レイスさんと、出会えて良かった。
あの……。
[赤らんだ頬で、じっとレイスを見上げる。
いつもよりも幾分緊張した面持ちで。
実際、緊張していたのだろう。
レイスの服を握る手が、微かに震えている。]
……これからも、一緒に居てくれる…?
[微かな、泣きそうな声で、そう呟いた。]
[手際良く、置かれる紅茶とスコーン
あたたかい匂い、幸せのじかん
カップを手にして
スコーンを、半分に割って
そっと、口にする]
りー、りゃ……
[掠れた声
滲んだ、と思った瞬間、次から次へと押し寄せる涙]
帰りたく、ないよ……
ここに、ずっと、いたいよ……
言えなかったんだ……
一緒に居てね、って
一緒に行きたい、って
[紅茶を手に、ぽつりと]
ごめん、ね
こんな弱いお姉ちゃんで、ごめんね……
今だけで、良いから
ここに居てくれる?
[どこにも行かないで、と言われたあの時
同じ事を、同じように]
[涙伝う頬を、舐めてやり、]
うん。
一緒に帰ろう、メーシェンカ。
[現れた漆黒の狼に、がう、と鳴いて。]
[歩みだす。
教会の外へ。そして――門を潜れば
地を踏むのは、狼の足でも、“クレーシャ”の足でもなく――――]
……おいしい!
やっぱりおねえちゃんの作ったジャムは最高だね
[さくり ジャムを塗ったスコーンを口に入れる
甘さ控え目のジャムと
ほんのり甘い香りの漂うスコーン
相性は抜群だ]
[にぱっと 満面の笑みを向ける
“生きていたころ”の日常にはなかった笑みを
“生きていれば”向けていたかもしれない笑みを]
……おねえちゃん
[姉の目に浮かぶ涙
少女もつられてしまいそうになるけれど
ぐっと堪える ぐっと ]
[帰りたくない ここにいたい
私もだよ]
[喉から漏れそうになる
けれど 言っては いけない]
[けれど
ごめんね そのことばに]
[かたん 思わず席を立って
姉の元へ、ゆっくり歩み寄る]
[痛んだ髪をそっと撫でて
その頭を引き寄せて、ぎゅっと抱いた]
ここにいる
私、ここにいるよ
またこうやって逢えて、うれしい
だいすきだよ おねえちゃん
[上手く、言葉が出てこない
なにかを言うかわりに
姉の願いに頷き、今は、傍に]
― いつかの時代、どこかの世界 ―
……おはよう、にいさん。
[狼の子は、眠そうに目をこすりながら、]
なんだかね、変な夢をみたんだよ。
えっとね……お友だちがいっぱいいて……
…………でも、なんだか悲しいような寂しいような
そんな夢……
[朝食がわりの赤い実に歯を立てる。
首許のお守りに、見慣れぬ卵がくっつけられて
いることに気がつくのは、いつになるか。
家のなかに飾られた、ちいさなヨールカのおもちゃ
枝にひかる鈴をなんとなく、指で突っついた。**]
[気遣う言葉は、笑みで返しただろう。
自分とは違う音で、彼女のおとが聞こえる]
おれのほうこそ、ありがとう
おれに、また会ってくれて、うれしい。
[かすかに震える手を、そっと握り]
[彼女は、無垢である。
だから、楽園への門を通れるのだ。
その扉を蹴ってでも、自分と来てほしいとは
幼い頃から教会の教えを受けた己には、言えなくて]
おれは、オリガが、…望んでくれるなら
一緒に、居たい。
[手に、力を込めた]
[手を取って貰えて、ホッと安堵の息を零す。
その面からは不安の影は薄れ、かわりに満開の笑みが浮かぶ。]
うん……。
私も、一緒に居たい。
ずっと、どこまでも、ついていくから。
[再び出会えた時から、そうなればいいと思っていた。
たとえ記憶はなくとも、魂がそう望んでいた。
彼と、共に居たいと。彼と、添い遂げたいと。
どのような姿でも、どのような場所でも構わない。
一緒に居られるなら、それだけで幸せ。]
…ありがとう。
レイスさん、大好き……。
[ようやく、言えた。
ずっと言いたかった言葉。
胸に秘めたまま、その生は終わってしまったけれど。
こうして、再び出会えて、想いを伝える事が出来た。
これからを共に過ごす事が出来るのならば、この小さな奇跡を、何度も積み重ねよう。
彼に、ありったけの想いを。
溢れんばかりの愛情を。
そして、二人に幸せを――。]
―森の中―
[いつから居なかったのか、
はたまた最初からそこに番人など居なかったのか。
空になった席。
雪の上には足跡すらなく――]
―森の中―
[鬱蒼と茂る森の中。
番人は何処かへと歩いてゆく。
行けども行けども、木々ばかり。
しかしもう随分と歩いたような気がするのに、
不思議と足が止まることはなかった。]
[やがてうっすらと前方に光を感じ、
番人は目を凝らす。
光の向こう、あの時計塔が
待っているような気がして。]
[兄としての名を呼ばれたことで、
垂れ気味だった両耳は嬉しそうに跳ね上がる。
尾をふわりふわりと揺らしながら、
共に教会の外へと]
[門に近づくほどに、
どこかから聞こえる歌声がだんだん鮮明になってゆく。
聲はどこまでも紅く、そして甘く。
それは懐かしい、あの旋律――――]
― いつか、どこかの未来で ―
おはよう、よく眠れた?
[兄の方は朝食も済ませ、椅子に座って読書中。
眠そうな眼をこすりながらやって来たきょうだいに、
にっこりと笑いかけた]
へぇ……僕も変な夢を見たんだ。
お星様が降ってきたり、夜なのに虹がかかったり、
魔女がほうきで空を飛んだり。
不思議なことがいっぱいな夢。
あとは、にぎやかなお兄さんといっしょに工作したり。
どんなの作ったっけ…。
[手元にあるのは、プレゼントにもらった銀細工の本。
何かを探すように、ページをぱらりぱらりと捲り]
…………楽しかったけど、
最後にはお別れしなきゃいけない気がして帰ったんだ。
きみのは悲しくて寂しい夢、か……。
[きょうだいの言葉に何を思ったのか、しばらく考えこむ。
首元に掛かった銀の鎖、その先に透明な卵が光っていることには
鈍感なこちらもまだ気づかないまま]
[やがて、窓の外の景色を眺める。
友達が迎えに来るのもそろそろだろうか。
窓際の花瓶には、本来この季節には
咲かないはずの花がいつの間にか挿してあった。
その花の名は、アカンサス。
花言葉は「美術」「芸術」「精巧」
そして、「離れない結び目」――――**]
― ヨールカの下 ―
[ひとつ、またひとつと、消えていく
結んだはずの、リボン。]
……あなたも、行っちゃうのね。
[はらり解けた白が雪の上に落ちたなら、
やがてすっかり見えなくなってしまう。]
[――すながみの娘はカチューシャを外し
くくりつけられていた黒いリボンを解く。
ふわり浮かびあがり、金と銀で彩られた星の下、
しっかりと結びつけた。]
[頭をそっと抱かれた
そのまま、泣き続けた
泣いて、泣いて、いつまでも泣いて
紅茶は、すっかり冷たくなった
しっかりした、妹
こうして誰かの頭を撫でて、抱き締めてあげられるようになった、妹]
大きくなったね、リーリャ
[たった3年の付き合いだけれども
血も繋がっていないけれども
弱い繋がりとは、言わせない]
[もぞ、と動いて
冷めた紅茶を、ゆっくりと流し込む
はぁ、と息を整えて]
そろそろ、かな……?
[にこ、と笑ってみせる
目の腫れたその顔は、美少年とは言えない残念なもの]
だから、永遠に、さよなら
弱虫の“キリル”とは、ここで、さよなら
[微笑むその顔は、傷だらけで疲弊した
それでも真っ直ぐに歩く、女性の顔**]
[ふわり、笑みを浮かべる。
もう、彼女と離れたくない。
一時の別れでも、涙がこぼれるくらいにつらかった。]
ずっと、いっしょだ。
……あいしてる
[彼女の手を握り、またいつかのように先導しながら
教会の門を、通り過ぎていく。]
[起きたくないくらいしあわせなゆめのなかで
どうしようもないくらい、理想の楽園ではあったけれど
それでも、夢からは起きなければ。
楽園を捨てるならば、出てゆかなければならない]
[彼女が、それを選んでくれるのだから
消えてしまうまで、ずっと一緒 ――]
― 何処かの子供 ―
[ベッドで目が覚める。
目の端が少し冷たい。どうやら泣いていたらしい。]
先生、おはよう御座います
[意味の無い言葉は、笑みすら浮かべなくなった。
自分の言葉は、少しずつ死んでいく。
“先生”に見つからないように書いた、覚書のような日記に
とても幸せな夢の名残を残して。]
― 大樹の傍 ―
[解けた意識が、ふと集まって
溶け掛けた意識が戻る。]
ヴァーリャ、…おはよう。
……亡霊でも、夢を見るんだな、驚いた。
[まだ、夢の中に居るような目をしながら、ぽつぽつと語りだし]
ああ、オリガも居てくれるんだろうか
あの、ヴァーリャ、オリガ、…いてくれるんだ
[兄のように慕う彼には、見えるだろうか。
愛らしい少女には、彼が見える?]
本当に、楽園のようだった。
人も、けものも、なかったよ
[ しゃらん ]
[飾られた大樹から、鈴の音。**]
[いつの間にか大樹に住み着いた人間が居た。
最初の内はむず痒くて、何処かへ行けと枝葉を振るわせたが
その人間はちっとも堪えた様子など見せなかった。
その人間は「魔女」と名乗り、薬を調合したり
まじないを唱えたりと…およそ魔の法則とは離れたものを
よく見せていたから、大樹は枝(首と思しき場所)を傾げる事が多かった。
『お前、魔法はー?』
[大樹の言葉なんか届かない。]
[風が過ぎ去り、鮮明になった記憶]
別に探さなくっても良いんじゃん。
なんでずっと思い出せなかったんだろうなぁ?
――――…なぁんだ。
[浮かぶのはいつもの、子供のような笑顔]
……全く。
これもお前の仕業か?カエル。
俺が枯れるってのは、全部が全部ウソじゃないんだろ。
[オルガンの傍、今も尚愛らしい声で鳴くカエル。
その形は仔細までは見えなくとも、なんとなく解る]
まあいいや。
俺はまだあの森で生きていて、あいつが傍に居る。
それが解っただけでも儲けもんだ。
それじゃー皆の所にコレを配りに………
[幸せのたまごを皆にも、と
足を上げようとしてふと気付く違和感。]
あー……
[両足が根を張り、床と同化してしまっていて動けない。
男は困った風に頭を横に振って]
こりゃ時間切れっぽいかなあ、起きる時間だ。
「目覚まし時計」の真横に居て、聞いてたもんなー!
――なあなあカエル。
最後にあいつらに逢って行きたいんだけど、ダメ?
それが無理なら、せめてあの兄さん達に祝いと…
レイスに先行ってるって言いたいんだけど!
[カエルは相変わらず、愛らしい声で鳴くだけ。]
―――…ふーむ、お別れかー。
でもまあ、またどっかで逢えるだろ!
そん時まで色々お預けにしてもいいか、いいよな!!
全部、言いたい事は
[全部言い切らない内、
アリョールが消えた時と同じ風が巻き起こり
男の姿は掻き消える。
一陣の風はヨールカを通り抜けてその葉を小さく揺らし、
門を潜るとそのまま散って行った。
そして
揺れたヨールカの葉、よくよく見れば
小さなたまごの首飾りがいくつも掛かっているだろう。]
[雪が降っていた
寒かった
白昼夢のような、目眩のような
僅かにふらつけば、背中がぎしりと傷む
3本きりの指を、空に掲げる
雪を掬うように、ひらりと回す]
忘れてるわけないじゃん、バカ犬――…
[街で見掛けた赤毛を、金髪を、探しに行こう
幼馴染達に、もう一度**]
おおきく……なったかな
そう、だとしたら
……おねえちゃんが
おねえちゃんのそばにいた人たちが
きっと、そうしてくれたんだよ
[それでも、まだ
わたしは ちいさなリーリャのままだよ
だって 目頭が こんなに熱い]
[姉が動けば、手を離して
冷めた紅茶を啜る姿を じっと見守る]
[笑い返す少女の目は、ほんの少し腫れていた]
そうだね
そろそろ、私も、
……………………
[別れの言葉
言いたくない言葉]
[さよなら とは 言わない]
またね
つぎに逢うときは、ほんとの姉妹だよ
[いまだって ほんとの姉妹だけど]
[キーラの背を見送りながら、呟く
やがて彼女の背が見えなくなって]
[籠を胸に抱えた少女は
くるりと振り返り、歩き出す]
[いつのまにか、そこは外で]
―いつかの森のはずれ―
[いつもの、木々を見下ろす目線。
その途中に申し訳程度に飾られた枝が見える。]
『なんだこりゃ。
俺をヨールカにするのは良いが、もっと派手にしろよ!!
お前やメーフィエだったらもっとだなぁ…なあ、レイス!
もっと隙間無く詰めてってさあ!?』
[さわ、葉が揺れる。]
『……よーう、2人揃って。今度はちゃぁんと、話出来たか?
俺もさ、なんか楽しい夢を見たぜ。
ほら、あいつも居てさぁ』
[鈴の音が静かに鳴る大樹の足元、小さく見える人影ひとつ。
魔女が柄付きブラシを呼び出した。
さぁて、今度はどうなる事やら?]
『気をつけてなあ!』
[見守る声はやっぱり彼女には届かないけれど。]
『お前がいつか俺の声が聞こえる魔法を覚えたら、
今度こそ言ってみよっかなあ?』
[その日はいつか必ず来ると信じて、
大樹はその時に言うべき言葉を温める。
密かに想う人を、一番近くで見守ることの出来る幸せを
レイス達に語りながら、今日も大樹は騒ぐのだろう。]**
― 妖精の樹の前 ―
[薄桃の差す紅い果実が生る樹の前へ
なぜかその手にあった籠を
よいしょと置いた]
……さっきね、不思議な夢を見たの
村で逢ったことのない人達と
こころの中のこえでお話したり……
[ぽたり
樹の葉からひとしずく、雪解け水が落ちた
それは透明ではなく、葉と同じ
みどりいろだったような、気がした]
……わんちゃんをいっぱい撫でたり
おねえちゃんと一緒に、お茶したり……
すごくすごく、楽しかった
でも、やっぱりお別れはしないといけなくて
……また逢えるって思ってても、寂しかったな
……あれ?
この花って……
[気が付けば、樹の傍には
いままでなかったはずの、ゼラニウムの花]
そう……夢の中でも、誰かからもらったんだ
花言葉は……えっと
「慰め」「真の友情」「愛情」「決意」
……まだ、何かあったような……
ううん……思い出せないな
[首を捻りながら
雪の上 籠の中のものへ、手を伸ばす
中には、スコーンとりんごのにおいのジャム
いつ作ったんだろう
そもそも死者の自分に、お菓子なんて作れたっけと
首を傾ぐものの]
[ジャムを塗って さくりと口に入れれば
やはりそれは、自分の作ったものの味]
[けれど、ジャムだけは――――]
不思議ね、リューバ
あなたのりんごと、違う味なのに
すごく懐かしくて、しあわせな味
[さくり さいごの一切れを口に入れれば
まっしろの空を見上げる
――今彼女も同じ空を見ているのだろうか]
[おねえちゃんと一緒に居られたこと
わたしは しあわせだよ
それは、夢の中の彼女へ
伝える事ができただろうか
おねえちゃんは――
わたしといて、しあわせだった?]
[少女の問いに同調するように、花も揺れる]
[もうひとつあった、ゼラニウムの花言葉は、
君ありて、――――**]
[ 喉の奥から変な音がした、と思ったら肺腑が燃えるように熱い。
せり上がるマグマが地面に跳ねた。]
な…………!
[ 声は出ない。
傾ぐ身体。
そうして思い出す。自分が戦場に居た事を――――――]
[ では、今まで見ていたのは。
撫でて来た子どもら。
慕ってきた幼い獣たち。
懐かしい顔。
挑んできた焦茶。
それを心配したちいさな女の子の願い。
――――夢か。
死ぬ間際、痛みを忘れる為の脳内麻薬が見せた幻。]
[ ヒューヒューと喉が鳴る。
視界はこんなに紅いのに、距離が遠いからか死にかけだからか、声は届かない。
知らず伸ばした右手は「お揃い」のようにあかく。]
[音もなく降り続ける大粒の雪の結晶は、
あたたかな光に煌めいて
まるで光の花が散るよう。]
――みんなが幸せでいられると、いいな。
[ちいさな手のひらに舞い降りた白が、風に飛んでゆく。
門をこえて、水車をこえて、森をこえて
どこまでも、どこまでも。]
これが奇跡の光なら
みんなの道を照らしてくれますように。
[ふわりと揺れる黒のフレア。
進む足は、教会のなかへと。]
[――――ばたん。]
[そっと、扉が閉じる。**]
[1]
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[10]
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