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[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
魔法少女 エリー に 2人が投票した(らしい)。
主席候補生 フラン・A・入坂 に 1人が投票した(らしい)。
魔法少女 エリー は村人達によってたかってぶち殺された。
人狼は食い損ねてお腹が空いているようだ。
村人達が勝ちやがりました。
─艦首(内) 〜打ち破るちから─
[ガッ! 宇宙服のあちこちをぶつけながら、隔壁に飛び込む。主砲は溜め時間が必要だから、そこは心配していない。
それより、自分が外にいることによる、前衛への負担を気遣ってのことだった]
[テルオに後ろに下がる様に声を掛けられる。
──しかし]
──お前さんみたいなちびっこに任せて…後ろでおどおどしてるなんざ、性じゃ無えんだッ!!
[爪を受け止めるテルオをフォローする様に、対峙する超大型の其に。
──斧を振るう、何度も、何度も。
テルオが爪をおさえている内に少しでも傷を付けられたらと。]
……ん?
[あまりの集中の為に、ずっと息を止めていた。
宇宙服を脱ぐ気力もなく、深呼吸を繰り返していたところで、ふと周囲を見回す。
どこがどう、というわけではない。
ただ……メイドに抱きしめられている(抱擁の場合と、固め技の場合あり)時のような感覚。それで直感して]
……まさか。
ジュリエットさん……A.H.O.を補体として吸収しようとしてるのか?!
それで装纏出来なかった?!
[宇宙服の頭部を解放すると、強引にそこから抜けだし、逆方向に走り出した]
ああもう急がしいったらっ!
『全員に通達!孔が開きかかってるわ!あっちからこっちにくるのかこっちがあっちにいくことになるのか分からない、いつでも体勢が立て直せるように警戒怠らないでっ!』
[通達を入れている間に、待っていた報告が上がる>>6:+118]
あああタイミングいいんだか悪いんだか…
…ジュリエットさん、孔の観測お願い!
主砲のチャージ、開始するわ!
[叫ぶように告げながら、エネルギーを調節する。主砲へ回す分と、回避に回す分、それに突撃するため、推力に回す分も。どれが多すぎてもどこかが足りなくなる。どれが足りなくても、事態の打破には至らない。その一線を、読む]
"――スコルさんっ"
[敵は巨大で、竜の如き鱗は硬い。
それでも、怯む事も諦める事もなく、スコルは斧で挑み続けている]
"く、ぉの……!"
[ハンマーを動かす事は出来ない。
ならば、と思いっ切り頭突きを喰らわせる]
"これで、どうだ!"
[一瞬だけ竜の力が緩んだその隙に、左腕を振り上げさせ、スコルが切り付けた部位を強かに殴らせる。
痛みを感じるなら、怯ませるくらいは出来るはずだと]
愛も、希望も。ってか。
なあ、お前――…それ、本気で言ってんのか。
[ハニエルの機内から、普段とは違う光が明滅し始める]
本気なら、ハニエルが…姉貴が警戒するはずねーんだけどな。
そうじゃねえって言うなら、単に姉貴がヤキモチ焼いただけなんだろうけどよ…。
お前の言う愛や希望は本当に此処に在るか?
[去って行くフランの背へと投げ掛けた言葉は届くとは思えなかったが、それでも]
─司令室─
[本来はド後衛の青年だが、ここ三カ月で前衛を張るようになっていたのが幸いした。息を切らしながらも、艦を駆け抜けて司令室へ]
ジュリエットさん!
愛して……あべし!!
[飛び付いた勢いで床に叩きつけられながら喜ぶという、常人には不可解な再会の挨拶をかわした後]
市長、ジュリエットさんが出撃できない理由が分かった!
今、ジュリエットさんは、最後の進化しようとしてるよ。そして、それが終わったら、もっと強くなれるハズ……!
"――孔が!?"
[と、明朱佳>>4の通信に顔を上げた]
"間に合うか――いや、どっちにしろ、主砲と同時に突破するしかないんだ!"
[少年が見据える目標は、地球上空に空いた孔――即ち、敵の親玉の後方]
"明朱佳さん! いや、他のみんなも――"
[通信を開き、呼び掛ける]
"地球の上に空いてる孔は、オレ――メガマリオンの力でなんとかする!"
[それはもしかしたら、メガマリオンにしか出来ない仕事かもしれない。
だから、孔に最接近する最大のチャンスを、見逃すわけにはいかなかった]
[よろめく巨体、頭突きも…殴り突けた其も、幾らかのダメージを与える事には成功している様で。
その様子に、閃いた]
"──どうやら普通にぶん殴った方が効くらしいな!
良く見つけた、ナイスだ、テルオ!"
[分かってしまえば訳は無い、斧を投げ捨て、自身の右拳を力任せに叩きつける。
尻尾や腕、振るわれる其をひとつひとつ避けて。
只管に拳を振るい続ける]
強くなんのはいいけど後にしてっ!
こっちゃ忙しいのよっ!
[駆け込んできたユージィンに叫ぶような声を返す。主砲を扱うだけでも数人は機関要員が必要なのだ。観測索敵に作戦指示まで加えていては余裕のかけらもない]
主砲内加圧開始、出力充填24%、『ルッカ、爆雷散布右舷後方にお願い!』リミッターロックボルト開放、照準前方…
[ぶつぶつと呟きながら、時折指示の声が飛ぶ。が]
…ちょっと待って最後の進化って今、こんなときにっ!?
[驚愕で一瞬目が逸れた瞬間に。コンソールのコントロールが、ジュリエットさんに奪われていったかもしれない]
――ッ
『了解っ!任せるわよテルオ君っ!!』
[今は気を取られている暇はない。再びコンソールを睨みつけ、乱打しながら、テルオ少年に返答を返した]
ジュリエットさん、いっぱい我慢した後のほうが気持ちいいって市長が言っ……あべし!
[青年を黙らせてから、ジュリエットはひとつうなづき]
「一理あるでしょう。ひとまずは突撃及び主砲発射に協力します。主砲関連及び動作関連はまだ、変化させませんので、御心配なく」
[引き受けたコントロールで、生身では限界がある作業を、こなして行く]
[>>6フェイトに振り返る。]
言ってるよ。
[帽子の淵に手を添えたまま。
帽子の影となった両眼には薄いマゼンタの光。]
ごめんね、フェイトくん。
人類が設定した、愛や希望という言葉に与えられた意味って理解出来ないんだ。
[愛や希望。胸のうちで輝く光そのものという意味。]
でも、それがこの宇宙に危機を招く'感情'って分かってる。
フェイトくんのような生物達が理解出来ていたなら、
この宙域は『盟約』を守れるようになったのかなあ?
[スコル>>9に褒められたのは予想外だった。
少年としては、無我夢中で出来る事をやっただけだったから。
それでも、掛けられた声に表情を明るくし]
"ありがとうございます!"
[叫ぶように言いながら、自身もハンマー、そして時に拳で打撃を与えていく]
"――スコルさん"
[と、明朱佳>>10の余裕のない叫びが届いて]
"AHO号が主砲を発射したら、オレは同時に、一気に敵の向こうまで突き抜けます。
ここの前衛は、スコルさんだけになるかも……"
[不安と決意を半々に、スコルに確認を取った]
……「ひとりじゃないぜ!!」
[テルオの言葉>>13に答える、新しい声があった。
それは……機械化連隊中隊長・ボールドウィン]
「いつまでも寝ていられないからな!」
艦首衝角回転開始、出力充填48%…ッ…側方回避右舷15…
ありがとジュリエットさん、助かるわ!
[ジュリエットさんが引き受けたコントロールで作業負荷がかなり減った。索敵に目視を加える余裕も加わった]
主砲と同時にって…
テルオ君、作戦は突撃よ。AHO号も同時に敵の懐に飛び込むの。それを突き抜けていったら…
[心配と共に、作戦の修正も必要となって少女は言葉を止める。
艦護衛戦力が減ることは、突撃のそれ自体によってある程度は補えるだろう。
中心核に向かうことで増加が考えられる宇宙怪獣に対する対処は…]
はぁ!?
[不意に飛び出した>>14、けが人だったはずの男によって解消するしかないのだろうか]
『あんたちょっと何やってんの!?さっきまでけが人やってた男が無理して戦場に出て足手まといになったらどうするつもりよっ!戻りなさいっ!!』
"その声――"
[聞き覚えのある声だった。
かつて一度、メガマリオンの通信機越しに聞いていた声]
"ボールドウィンさん!?
もう、動いていいんですか!?"
[驚き、そして訊ねながら、一方でわかっている。
今は彼の力を借りるしか、先へ進む道はないのだと]
"すみません!
スコルさんと、AHO号の事、お願いします!"
この声って。
ルッカ!そこにいるの?ルッカ!
[>>:A0聞こえたからには、全力全開。
”孔”を思う存分広げに力を使う。
構うものか。まずは救出。]
ええい、詐欺アーマー、まだ動けるか!
[去っていくフランは今は触れる事はできない。
代わりに、”孔”へと視線を向けて。
目いっぱい広げるんだから、守る力もまた、必要なのだ]
[鼻血を押さえて、副艦長席によじ登り、今日これ2回目だな、と内心つぶやく。
主砲に溜められつつあるエネルギー、巨大すぎる宇宙怪獣、その向こうの孔を見て]
【 Another Hope of Ours 】
星空に浮かぶ、希望……。
"……うん、オレも戦艦も危険になるってのはわかるよ"
[明朱佳>>16の言葉に答える。
普段よりやや小さくはあったが、奥底の響きは固かった]
"でも、もしかしたらあいつは、AHO号に攻撃を受けた瞬間から逃げるための孔を開けるかもしれない。
そこから封印が間に合わなかったら、敵を取り逃がすかも――"
[それに、空間転移の位置によっては、今以上に危険な所に巣が出現するかもしれない。
無論、全ては予測に過ぎないのだが]
『馬鹿を言うな!君たちのような若者に任せて寝てなどいられるものか!
君たちは若くて半人前、私は怪我して半人前だ。何、君たちの足手まといにはならんよ!』
[少女の問い>>16に、暑苦しい男の声が返る。根拠はともかく、自信と勢いならば十分以上と言えるだろう]
『ああ、任せてくれ!君たちに助けてもらったこの命!
ブリジットと…娘にもう一度会うためにも!
私はここで負けなどしないさ!』
[テルオ少年の言葉>>17にサムズアップで返す。その口元で輝く白い歯が、眩しかった]
『行くぞ宇宙怪獣ども! 機械化連隊第三Wolf中隊隊長ボールドウィン、推して参るッ!!』
[雄叫びを上げながら、男は手にした戦斧…ジンロボ用のものをそのまま、生身…もといサイボーグの体で振り回し、スコルに加勢せんとドラゴンへと挑みかかっていった―――]
いや、そっちにかかってるなら、私がなんとかしてみせる!
フェイトは言いたい事全部言っていけ!
[くるな、宇宙怪獣来るなよ、と祈りながら……シームルグを、メガマリオンを、待つ――
まだ、市長が向こう側だとしらず。
インカムに叫び。]
『孔開いたよ!見つけた!場所は、……ここなんて場所かわからないけど、空をみればわかると思う!』
ここで「動けない」つったら、姉貴にはっ倒されちまう。
つーか髪が乱れただけだし、いつでも行けるぜ!!
フランは…そっち片付いたら追いかける、エリーこそ無茶してんじゃねーよ。
[もうフランと呼ぶべきかどうかも解らなくなってしまった今でも、その名を呼んだ。
そんな頭の隅で思うのは、アカデミーで眠っているだろう彼女の兄に何と告げれば良いのかという辛さ]
ううん、駄目。
フェイトくん。
愛や奇跡の力は、盲目的。
自らの生存を優先してしまい宇宙を変質させる。
これから、わたしは稼動因子を増やしてゆく。
この宙域に一定数が混ざり込み、
必定の時の破壊へ向けて行動することになる。
[正に異種族の祖《エイリアン・オリジン》となることを宣言。
フェイト>>21と其れの距離は、まだ遠くない。]
"ボールドウィンさん……!"
[暑苦しい漢の叫び>>22に、感激し、そして勇気付けられた。
彼がドラゴンに殴り掛かって行く姿を横目に、己もその瞬間までは守りぬこうと、竜の鱗をハンマーで打ち砕く。
そして――>>25]
"はいっ!
――大丈夫です、これだけ味方がいるんだから、絶対、絶対勝てます!!"
[雲霞の如き怪獣の群れと比べれば、こちらの人員のなんと少ない事か。
それでも、明朱佳の強い強い後押しのお蔭で、体の芯まで確信が行き渡っていた。
今は目の前の敵を倒しながら、ただ、その刻を待つ――**]
わたしは『みょう』でいいよ。
フランは、結理人おにいちゃんの妹だから。
[名前。其れが選んだ唯一のもの。]
おにいちゃんやテルオくんによろしくね。
フランは行方不明になったと言えば、いーよ。
[帽子の影の中で、フランの笑顔で笑ったようだった。]
ええい、そっちはそっちでどうなってんのよ!
それじゃあまるで――。あの質問は――
フェイト、そっち行けええええええええええええええ!!!
[ダイシチョーが動くなら、”孔”は大丈夫だ。そう判断する。
あえて、ダイシチョー内部からの報告には反応しない。
反応してしまえば、フェイトは”孔”へと行ってしまうだろうから]
出現位置があそこで、進路がこうなわけでしょ?このまま突撃したらダイシチョーが…
[主砲の出力は収束され、ダイシチョーの装甲もたやすく貫きかねない。突撃の進路から行って、ダイシチョーの位置は、肉塊を貫くその直線上だ]
…艦長…いえ、ジュリエッタさんに聞くわ。
最後の進化って言ったわよね?
その進化は、ダイシチョーと同化することも可能?
[吸収分解と、装纏の違いを少女は知らない。けれど、突撃により肉塊を破壊し、なおかつダイシチョーを守るとすれば、方法は他にない。…こうしている今も、肉塊からあふれた宇宙怪獣がダイシチョーに迫っているのだ]
突撃はこのまま実行、その過程でダイシチョーを同化することさえできれば!
対象の完全撃破も見込めるはずなのよ!
[それは、タイミングの偶然とこの戦局を作り上げた人間たちの奮戦が作り上げた、起死回生の一手]
─AHO号:司令室─
<射線上にいる総員は、退去して下さい。
A.H.O.回頭します>
[ジュリエットは艦外に居るメンバーに警告すると、その場にすっくと立ち上がり、その瞬間を待つ]
……?
市長、どうしたの?
[動揺の声>>28に、青年は視線を向けて]
[ジュリエットは視角デバイスをスクリーンごしの肉塊へ向けたまま、計算を行い、5秒で完了した]
「可能です。装纏開始から終了まで、およそ30秒。ダイシチョーの各部能力をおよそ2割から3割程度、上昇させることが可能だと推測します」
――ダイシチョー内・某所――
『市長、市長―飲み込まれて、どこへ、どこへ行ってしまったんだ!
”孔”が開いてしまっているのに。』
『落ち着け!市長がいなくても、我々が陣桜市を、この場を、守らなくてどうする!
各班応答せよ!
各自シティ詩論に開いた”孔”の警戒に当たれ!
宇宙怪獣が出てきた場合迎撃せよ!』
『『『『『了解ッ!!!』』』』』
『了解ッ!”孔”を封鎖!
また、エリーさんの位置へ市民のいるシェルターを投下せよ!』
[市長がいなくても、市長の指示を守り、この場にいれば市長がどうするか考え、陣桜市を、守る。
その為に動く事は、変わらない。]
[ダイシチョーから、コンテナシェルターが、背後へと投下される。
フェイトの加勢にも、”孔”からくる怪獣への積極的な迎撃も、
この場を離れられない以上、難しい。]
”セカイ”を守る第一歩、か……
ええい、やってやろうじゃないの。
[後ろには、陣桜市の避難市民。前方上空には、”孔”。
強気に、微笑み、この場を、死守しようと、杖を構える。
”孔”は閉じられない。ルッカが、シームルグが、
――皆が還ってくるのを信じる。]
―ダイシチョー内・各所―
『もしもし、危機管理課さんですかっ? こちら機関室です。出力は安定してますよっ!』
『了解した!各銃座、警戒怠るなよ!市長が守るまで、陣桜市の防衛は俺たちの双肩に掛かってると思え!
市民生活課!そちらはどうか!』
『ええ、こちらも大丈夫。シェルターへの誘導は完了してます。備品管理課の皆さん、よろしくお願いしますね』
『了っ解!それじゃコンテナシェルター、投下するよーっ! すぐやる課の皆さん、お手伝いよろしくねっ!』
『へいへい任せとけ。市長が戻ってきたときどやされちゃたまんねーからなー。機関室、姿勢制御頼むな』
『機関室、了解ですっ!ダイシチョー左腕、降ろしますよっ!』
[各々が各々の判断を下し、ダイシチョーは動き、市民を載せたシェルターを降ろして孔へと手を伸ばす。そこに、市長の機関を疑うものはいなかった]
なら。あたしは答えなきゃねっ!
[通信が聞こえたわけではない。けれど、その動きが、何よりもそのことを示している。少女の瞳が、希望に燃えた]
──最終決戦・その場──
[加勢。
ジンロボ用の戦斧を担いだ、以前自身の助けた相手
──ボールドウィンが、並ぶ様にドラゴンに対峙する。]
助太刀感謝だぜ。
ま、病み上がりだろ? 無理はしないでくれ。
──注意を引いてくれりゃあ、それで良いからよ。
[言って、ボールドウィンの後ろに下がる。
相手はうまいこと注意を引く事に成功してくれるだろう。
その間に《ドラゴン》の背後へと回り──]
───ッ!
[背後から《ドラゴン》の首を掴み、そのまま後ろへと折り曲げる。
途中、尻尾が自身を狙ってくるなれば、推進力で位置をずらして回避を。
そのまま《スラスター》の推進力を増して行けば──]
やい、フラン!!
[そうして、エリーの傍から離れて今度こそフラン…
今は『みょう』と名乗る存在>>29を追いながら声を掛けた。
本来ならそちらで呼ばなければならないのは理解してはいるが、やはりフランの姿を取っている以上はフランなのだ]
話前後すっけど、テルオやお前の兄貴に…お前が行方不明になったなんて言ったら、きっと地の果てまで捜しに行くぞ。
そうなるなら、俺は正直に…死んだって言うつもりだ。
俺だってまだ信じたくねーけどな。もうここまであいつと違う所を見ちまったらそうも言ってらんねーしよ。
だから、あいつがまだこの地上で寝てるって場所があるなら、さっきの質問には答えたから教えやがれ。
[変わらずマイペース、難しい事は口にしないし思い描く事もしない。
まずはそっちが先決だ、と要求する。
これから滅びの道を歩むかも知れない今であるのに、敢えてそれを問う中に何か打開するものがあるのかと言えば…]
[そんなものは欠片も無かった。
残念な男はどこまでも残念なのだから**]
ジュリエットさんが、僕以外の誰かに装纏されるなんて……。
[市長との会話を聞きつつ、副艦長席で難しい顔]
……ここでそんな歴史はなかったことにしてしまう方がいいのか?
いや、でもジュリエットさんがそれを望んでるなら、僕は……。
ぐすん。
分かった。
教えるだけ?
それとも案内しよっか?
[もしフェイト>>43が後者を選ぶのなら、
フェイトが此方まで来るのを待った後にその手を握り、
場合によってはハニエルによるフライトでその場へと向かうだろう。]
フランを返す方法は、
なくはないんだけれど、ね。
[その場では多くを告げずに。
小さな声で言葉で零した。**]
―― シルヴァクロックアカデミーから ――
[機械身体の中の脳は夢から覚めた。
同時に、機械身体はぱちりと目を開けた。
きょろ、ぎょろ、と黒い瞳だけを動かして、目覚めた場所を見回す]
(……どこ)
ド コ ?
[寝起きの身体の血の巡り、もとい魔力の巡りは未だ万全では無かった。その所為で上手く動かない人工声帯が震わす声は、何処か金属質なそれ。
その姿はまさに、メンテナンスルームに搬送されるべき不調状態のメカと形容できる、それ]
ダ レ ? ……コ コ、ドコ ?
ココ、あかでみぃ?
[顔かたちだけは生身のような、"フランの兄貴"だと称されたこの人の形が発した、問いの言葉]
[やがてその"怪我人"は、人形のようにぎこちなく上体を起こした。
壊れたテープレコーダーのように発生されるコトバは、記憶の中の言葉を繋げたもの]
…………
ゼッタイ かえル
いっしょニ かえッて 。
いっしょに かえろ 。
……かえって、くる。
[少しずつ、流暢さを取り戻す言語。
その生身の脳裏に今映されている人の姿は――**]
ダイシチョー!?
[進路上に、突如出現した巨大質量。>>28
それを回避するのか、援護するのか、判断を迷っていた矢先。
ジュリエットさんの回答が明朱佳へ届いたのだろう、通信越しに威勢のいい声が響く>>38]
"――了解!"
[スラスターを操り、正面から近寄って来たドラゴンをハンマーで強引に立ち退かせると、艦首方向へ急ぐ]
"メガマリオン、準備完了! いつでもいけます!!"
[両手を基本の構えに戻し、合図を待った]
─AHO号:司令室─
[エネルギーのチャージは完了した。後はルッカの砲撃室への到着、味方の退避と、タイミング……]
<ルッカ、どう? いける?>
-AHO号、火器管制室-
<任せといてっ!
…照準はド真ん中で良いよね?
合図が有れば、何時でも撃ちこんでやるからっ!>
[艦橋に行く途中で見つけ、
駆けこんだそこから通信を返す。
艦橋の操作卓ほど策敵範囲などは広くないが…
それでも、主砲の照準を合わせて放つには十分で。]
─司令室─
[ルッカの返答を聞き、艦長を仰いでうなづく。
背筋をピンと伸ばし、艦長は計算の全てをそこに注いだ]
[す、とその右手が上がる。
音が消えたがごとき、緊張の中]
…あんたねー…
そんなに不満だったら、ジュリエットさんに確認するか何とかしなさいよ。自分の気持ちとか相手の気持ちとか。
[目前の敵とはまったく無関係な泣き言を言う副艦長>>44に呆れた声を投げながら、その手はコンソールを踊って止まらない。
主砲の発射シークエンスは発射寸前で待機しているからいいものの、その間にも飛来する宇宙怪獣の迎撃のため、索敵と対空砲撃を止めるわけには行かなかったのだ]
『照準ど真ん中、発射シークエンスは大体終了してるわ!
目標まっすぐ!やっちゃいなさいルッカ!』
[火器管制室にルッカが戻れば、主砲は任せられる。息をつきながら、火器管制室へと声を飛ばした]
―ソフィア・パーク跡地―
――…あ、いや。
ちゃんと居るんならその場所まで。
後で確認すりゃいいかなと思いはしたけどよ、
やっぱちゃんと俺自身の目で確かめた方が、なんか。
[「なんか」の先は続かず。
フランが立ち止まり、待っている所まで静かに近付いた。]
[艦長の指示に応じ、砲撃手が撃鉄を降ろす。
限界を超えて高められた内圧が、AHO号の前面を覆った]
艦長…ジュリエットさん!
操舵こっちに回して!
あなたは合体に集中して頂戴っ!
[艦長席のジュリエットさんに声をかければ、じきに艦の操作が少女のコンソールに送られる]
『総員対閃光耐衝撃用意ッ!!
AHO号、突撃ぃいいいいいいいいいッッッ!!!』
[全艦に轟いた叫ぶようなその声を皮切りに、AHO号がその速度を上げる。
群がっていた宇宙怪獣たちを蹴散らし、持てるすべての破壊力を伴って、前へ――――!!!]
ハ、アハハハハッ!
[嬉しそうに、涙を流しながら、ルッカの声に頷いて]
なら、此処で全力全開行っちゃっていいよね。
今までの詠唱でいけるのかわからないけど……。
――我、古の盟約を引き継ぐ者なり
――我、世界を憂うものなり
――我――セカイを手にするモノ、エリーの名において命ずる
[”孔”から見える、肉の塊。多分コイツを吹き飛ばせば、終わると信じて。
けれど、違う。
最初の一人が消えたから、盟約が変わってしまったから、この詠唱では、魔法は使えない。]
……っ!考えろ、考えるんだ……
[どう変わった?何が残った?――]
[主砲発射と突撃による振動が、一番安全に守られているはずの司令室をも揺さぶる]
ジュリエットさんの決定が、僕の全てだから。
[市長の声>>53には、いつもの言葉で答える]
そもそも、ジュリエットさんは感情ないらしいから、気持ちって言っても……。
[発射の合図>>54と同時に、少年は通信機に向かって叫んだ]
"行きます! ――メガマリオン、ゴー・ファイト!!"
[同時に、スラスター噴射コマンドを、限界ギリギリの強度で入力する。
体が押し潰されそうな程の強烈なGに耐えながら、視線は前方の肉塊を、そしてその先の孔を睨む。
一瞬後に、輝くエネルギーの奔流が、怪獣の群れを一直線に貫いた]
"らあああぁぁぁぁぁっ!!"
[AHO号の前方に飛び出し、持てる機動力の全てを出し尽くしてメガマリオンは翔ける。
しかし宇宙怪獣は、早くも主砲の開けた穴に殺到しつつあった]
"邪魔だぁぁぁぁぁぁっ!!"
[前傾姿勢のまま、ホルダーからジンロボ用ハンマーを引き抜かせる。
頭上でバトンの如く一回転させ、大きく振り被る。
そして勢いを減ずる事無く、怪獣の群れへと突っ込んでいく――!]
……つまり確かめたことはないわけでしょ?
あんたが決め付けてどーすんのよ。
喋って、判断するんでしょ? できるんでしょ、ジュリエットさんは。
だったらまずは確かめなさいっ! もう時間はそんな残ってないわよっ!!
[宇宙怪獣を蹴散らし進む。その群れによって進路が逸らされることのないように。
ダイシチョーの元へ、そして倒すべき肉塊に届くまで。
艦の進路を微調整するべく、AHO号の側面スラスターを吹かせる少女の手がコンソールを乱打する。
少女の言葉は事実だろう。じきにダイシチョーの元へと辿り着く]
……そうだね。
確認、したことないんだ。
聞いたら答えてくれると思うんだけど、……実を言うと、怖くて。
[市長に言われ、苦笑をこぼす]
ジュリエットさん。
ねえ。
ずっと聞きたかったんだけど。
君は、機械だとしたら、オーバーテクノロジーすぎる。
生き物だとしたら、制約が多すぎる。
だから、君は機械でも生き物でもない。
……ジュリエットさん。
君は、本当は「何」?
"見えたっ!"
[怪獣の群れを突き抜けた先、親玉――オリジンに空いた巨大な風穴が見えた。
しかしその穴は、徐々に塞がりつつある。
何兆何京――桁もわからない数の細胞が、傷口を修復せんと分裂を繰り返しているのだ]
"傷が……ちょっとずつ塞がってる?"
[口調に焦りを混じらせつつも、その手は――スラスターを後方に噴射させ続けている手は、止まる事はない]
"いや、だったら尚更迷ってられない……。
オレは主砲の開けた穴をそのまますり抜けます!"
[言うが早いか、メガマリオンは肉塊の穴へと飛び込んだ。
穴を埋めるべく無数に生えた生物の部品が、まるで森のようだ。
蠢き、狭まり、こちらを取り込もうとするかのような肉塊を、ハンマーで圧し折りながら突き進む]
わかってんだけど、なー。
[フランが手を差し出して来ると、普段なら大喜びする場面なのだろうになとその小さな手を見つめ、戸惑いがちに握り返す]
ま、それはそれ、これはこれ。
やっぱフランだけど違う、違うけどフランだ。
それじゃー…空から行った方が早いな、お前なら落ちても大丈夫だろーけどしっかり捕まっててくれな。
[適度に軽口を叩きながら、天使は飛び立った。
これから向かう先で、まず何を言えば良いのかなどと考えながら]
[振動の音、宇宙怪獣の声、銃撃の音、それらを背後に、まだ立ったまま、スクリーンを見つめていたメイドは、青年に視線を向ける]
「HHH(人類救済級)を超えるモノ、EEE(地球救済級)として作られた、機械精霊です」
[メイドは淡々と事実を述べる口調で答えた]
「正式名称、J=Universel=Ledy type/Identity/Element trival technology=System。
魔法科学によって製作されました。機械への憑依・変形に魔法技術を応用しております」
父さん、何を作ってるんだ……。
いや、書いてあったな、そう言えば。>>0:10傑作だって。
[予想以上の正体に、目を丸くしつつ、ゆっくりと立ち上がり、艦長席の前に歩み寄って]
僕は君を愛してる。
これからも気味の傍にいていいかな?
[――そも、怨念たちは消えた。
あの顔達との戦いが終わってから使えなくなった、と考えるのが妥当。
ならば――。
その時、一筋の光が、エネルギーが、肉塊をつきぬけ、地上へと落ちる。 だが、肉塊はまだ、動いている。]
猶予もなさそう、よね。
――もう一度考え直さないと……盟約は生きていない?もしくは――歪む前の、盟約に戻った?
だとすればっ!
――我、古の盟約を引き継ぐ者なり
――我、世界を憂うものなり
――我――セカイを守るモノ、エリーの名において――
だったら確かめるよりもっと怖いあたしに脅されたってことにすればいいわ。
時間がないからさっさとしてよねっ!!
[苦笑交じりのユージィンの声>>62には、急かす声で応じる。その口調が返答は不要と告げていた。
その声と共に、ぐいっ!と操舵パネルを大きくずらす。より巨大な振動が艦橋を襲っただろう。目前に、またドラゴン型が迫っていたのだ。今は、かかずらわっている暇はない。
テルオ少年からの通信>>64が入ったのはそんなときだ]
『了解、こっちでも確認したわ!
…後戻りはできなくなるけど、止めたりしないわよ、テルオ君!
行ってきなさいっ!
こっちもすぐに追いつくからっ!!』
[ハンマーを振るい進むテルオ少年を、目視と索敵観測データの両方とで確認しながら、前へ進んでいく少年の背へと、声をかけた]
「不要もしくは不快もしくは不都合になったら、処分しますので、問題ありません」
ジュリエットさん……。
[青年は最上の微笑みを浮かべた]
じゃあ、傍にいることを許して貰えてる間は、常に君から「必要で・楽しくて・具合がいい」って言われてるのと同じだね。
……愛してる。
[メイドの前に膝をつき、靴の上からその足の甲に口づけをし、青年は意気揚々と副艦長席に戻った]
この地球は!!!! 僕たちが!!!!
守る!!!!!!!!!!!!!
再生するなら…何発でも撃ちこんでやるっ!
[エリーが向こうで待ってるんだから。
そう呟いて、副砲を装填する。
あちこちに傷をつければ、少なくとも再生は遅くなるだろう。
そう考えながら、装填が完了次第傷口を広げるように副砲を発射した。]
終わったんなら早くしてっ!
ダイシチョーは目の前よっ!!
あたしに陣桜市を貫かせるつもりっ!?
[愛を確かめた(?)ユージィンに、それを噛み締めさせる暇は与えない。
否、その暇はない。これで間に合わなかったら全力で殺してやると言わんばかりの殺気立った目でユージィンとジュリエットさんを一緒くたに睨みつけた]
――――命ずる!
[この場は――
町の郊外。
使えるのは、瓦礫と、
そして、残っている、自然。
肉塊は再生を続けている様に見える。
一撃で終わるような魔法では、通用しない。
それに、軽い攻撃が余り通じるとは思えない。
――ならば、貯める。一言ずつ、魔力を大きく込めて。]
――――――岩よ
[この場にあって、使えそうなくらいごろごろとしている瓦礫。これらも、岩と呼べるといっていいだろう。
人々の建造物の残り滓が、蠢きだす。]
んもお、市長は無粋だなあ。
解ってるってば!
ジュリエットさん……行くよ!
<総員、巻き込まれたくない物は、宇宙服なり適当な機体なりで退避して! ちょっと今までやったことのないタイプの装纏するから、僕にもどうなるか解らない。
でも、もし命を僕らに預けてくれるっていうなら……力を貸して!>
―詩論シティ上空―
返す、って。
[空を行く間、彼女が小さく呟いたその声。>>45
今現在の彼女の声全てを聞き逃すまいと集音機能を最大まで上げて居る為に余す所なく拾い上げる]
お前――…あいつは死んだって確かに言ったよな。
そんでまた、意識はもうないとも。
[天使にとって大変難しい言い回しではあったが、先程の対話の中で簡潔にまとめられた言葉>>6:41をどうにか引き摺り出す]
一度あの世に行っちまったものをどうやって『返す』?
形だけフランでも、意識…つーか魂とか心とかそういうもんは理解出来るか?
それがなけりゃ、そいつはお前みたいにフランだけどフランじゃない、フランじゃないけどフランとすら言えない…ただの『フランの形をした何か』にしかなんねー。
お前はその辺り、どう考えてるんだ?
[天使には全く理解出来ないだろうが、敢えて問う。
彼女が戻って来る可能性が0でないのなら、と]
【機甲兵装>合体】!!
機動せよ、Jul=I=Ett387!!!
地球救済級の名を持つ機械精霊として……守ろう! 地球を!
[ずぼっ、と、怪獣のなりかけのような破片を散らしながら、メガマリオンは肉塊の向こう側に抜けた。
モニタの前方方向には、懐かしい光景が――地球の風景が、広がっていた]
でも、今はまだ、帰れないや。
[空間を繋ぐ孔に、メガマリオンの左腕を向ける。
Factor of Universal Interface――宇宙の境界を司る因子を、撹乱する装置。
メガマリオンが何のために生まれたのか、少年は知らなかった。
それでも今は、全てがこの瞬間のためにあるのだと思えた]
"――チャージ開始"
[初めて装置を、自らの意志で起動させる。
低い唸りが、振動としてコックピットに伝わる。
背後で、肉塊の無数の瞳が、こちらを睨むのが見えた]
"――今だっ"
…命を預ける、かぁ…
[くすりと、笑う。
『死ぬ』のが嫌で、消えるのが嫌で逃げたけれど。
元から自分に命は有ったのだろうか?
考えた所で答えなど出ず、それなら…]
有るか無いかも分かんない物なら、
預けちゃったって問題ないでしょっ!
退避はしないけど、どうなるかの説明ぐらいは頼むわよっ!?
[明朱佳>>69の声が、後を押してくれたような気がした。
左手を開き、孔に向けて翳す]
"メガ・封印・ブラスタァァァァァアアッ!!"
[叫びと同時に、左腕に収束されたエネルギーが、掌の砲門から孔に向かって放たれた。
懐かしい風景の中央にひびが入る。
ひびは、じれったい程にゆっくりと、孔の全体に向かって広がって行く]
"砕けろぉぉぉっ!"
[溜めていたエネルギーを全て打ち切って。
とどめとばかり、左腕を振り上げたその瞬間。
背後に居たはずの、肉塊が"消えた"]
"え!?"
[違う。正確には、肉塊の在る方向が見通せなくなったのだ。
メガマリオンと肉塊の間に、新たに開いた「孔」によって]
――――巨大な
[そう、集ったけれど、これではあの肉塊には足りない。
さらに大きく、なる必要がある。
周りの石や、土や、アスファルトをかき集めていく
――その時、肉塊を抜けてきた、メガマリオンが視界に入る。
このまま詠唱を続けると――だが、今更どう止める?
詠唱を遅くして、ディレイを作り出す位しか――]
[その一方で、アカデミーの通信士である親友の元へハニエルの現在地を示す信号を送る。
何の為にそうしているのかすら腕の中の“フラン”には筒抜けだろうから、もうわざわざ説明する事もしない]
あの兄貴、気付いたらこっち来るかも知れねーけど一応俺の座標は知らせておかなきゃなんねぇからな。
別に構わねーだろ、人が増えたって。
[彼女からの返答はあるだろうか。
機嫌を損ねる事も多分ないのだろうとは薄々思いつつ、
やがて彼女が示す場所へと降りて行くだろう]
[ジュリエットが、両腕を開いた。天の雨を受けるように。
同時に、司令室が、いや、戦艦の全てが震えた。
パーツのひとつひとつが振動し、生き物のように自ら動き、乗務員の体を包んでいく。
そして巨大な戦艦が「ほどけて」いく]
[パーツの集合体となった戦艦は、そのままダイシチョーへ向かい……そして、再び必要な形へと再構成されてゆく]
フランと、俺デ、帰る。
俺は行ク……フランの処ヘ、行く。
[若干まだ、拙く機械じみた発声の混じった口調で、この部屋に見えた人影から顔を背けて言い放った。
そして相手の話もこの時は真面目に聞こうともせずに、その窓から飛び立とうとして……気づく、違和感。
背に翼が生えている感触が、無い]
……、……。
[フェイトから>>56>>65すれば小さな細っそりした手。
フランはこの手でメカマリオンを、そしてグノーシスを操っていた。]
落ちたら少しは痛いんだよ?
[ぎゅっと握れば、ハニエルが飛翔する。
重力に逆らい両足が浮き、天使の力で詩論シティを駆ける。]
あ、そっちそっち。
詩論シティのセメタリーに向かって。
死んだ場所も知りたいなら、先にそっちに行く?
[そんなやりとりをした後、ハニエル=フェイト>>79が問いかける。]
[全長2kmに渡る莫大ダイシチョーの姿が、覆われてゆく。戦うために造られた人造精霊が、武器として防具として装着され、そしてその体を「自分の体」のように自在に動かす制動装置=意思が与えられる]
……さあ。
[その意思のひとつ、修理工の青年が、市長に話しかけた]
言って。
>>0:74完装を告げる言葉を。
地球救済級たる、この機体の名前を。
──主砲発射後の其、合体迄──
[主砲を関するだけある、超威力の其。
続く様に突撃するAHO号、そのボディに張り付く様に──]
"──オーケー、元よりそのつもりだぜ!"
[少し後、耳に届く通信には快諾の様子を示し。
揺れる戦艦、自身を包み込む《戦艦のパーツ》]
"さあ、行こうぜ、副艦長さんよ!!"
[自身を包む其に身を委ねて───!]
あー、そっか……別に一回開いて終わりじゃないよなぁ。
[ほのかな絶望に苦笑を浮かべながら、自身を呑み込もうとする孔を眺め。
そして気付く。
先程の一瞬、孔の破壊に集中していたはずのメガマリオンに、背後からの攻撃がなかった事に]
"聞いてっ!"
[通信を全員に向かって開放し、叫ぶ]
"今、こいつはメガマリオンに向かって孔を作り出してる――それに集中してる!
今なら、攻撃の手が鈍ってる、はずだよ!!"
[そして通信の向こうからは、明朱佳の、ユージィンの、ルッカの――繋がっている全ての人々の声が聞こえるだろう。
彼らならきっとやってくれる。
それを信じて、もう一つの孔に左腕を向けた]
"リミッター解除!"
[恐らく、これで孔を消し切れなかったら、次はない。
けれど、これに賭けるより生還の道はないのだ。
120%、150%――カタカタと機体が小刻みに揺れる。
装置、どころか、機体の限界が近いのかもしれない]
"オレは……左腕の最後の一撃で、どうにか脱出する。
それに賭ける。
だから後は、よろしく! 信じてるからな!!"
[そしてメガマリオンの機体は、新たに開いた孔に呑まれて消えた]
構うものカ。
とりあエず、やッてみろ。
[自分を"普通の人間"ではないと受け入れた上で、機械の身体に生体の脳を持つ青年は、はっきりと答えた]
[AHO号が接触した瞬間に。否、装い纏い、ダイシチョーーを覆った瞬間に。ダイシチョーと通信が繋がる。懐かしい…まだ離れて間もないのにそう聞こえる声が、少女の耳に届く。
―――けれど、感傷に浸っている時間はない。今は]
『広報課ッ!!この通信を今すぐにダイシチョー全館全シェルターに繋ぎなさいっ!!
たった今!すぐよっ!!』
[そうしている間にも、AHO号は解け、ダイシチョーを包み込む。鬼気迫った少女の声に応じ、通信が行き渡ったことを知らせる声が響く]
『みんな、きこえてる?
こちらは陣桜市市長、石神明朱佳よ。
急な話で悪いけど、説明している時間がないの。よく聞いて!
ダイシチョーは…陣桜市は、これより、宇宙怪獣の親玉をぶち砕くわっ!!
そのために、みんなの力をあたしに貸してっ!!』
[通信機越しに、どよめくような声が上がる。
それは、通信機を介することのない、市民たち全員の反応だろう。少女はひとつ、瞑目する]
―――…そうだなー。
でもね、フェイトくんはわたしがフランじゃないって言うまで、
分からなかったじゃない。
魂、心、意識。
それらは、記憶や考え方や自己認識から成り立つものだと思わない?
精神に刻み込まれた魂《意識》があれば、
成り立つと思うんだけどなー。
例えばフェイトくんが、
その人をその人だって認識するのはどうやって認識するの?
姿・魂・匂いすらも、全て同じ存在は、
その人の紛い物って言えるの?
――槍となりて――
[どうする?さらに”孔”が出来てしまっている事から考えると――、あの孔に干渉するために手をとられるか、それとも自分で干渉しにいくか、
それに、今形作られていっている地から生えるごとくそびえた槍は?
そんな事を悩む間に、メガマリオンが視界から消えていく。]
――――”セカイ”の敵を貫けぇぇぇぇえええええ!!!
[いろんな考えと、不安をふっきり、杖を、肉塊へと指し示す。
迷うな、やれ、そんな風に、受け取った
だから、地から真っ直ぐに、肉塊に向かって、槍を伸ばす。
しとめ切れなくても――縫い付ければ――向こう側で、ルッカが、市長が、何とかしてくれると信じて――]
[機械の精霊が介在しているのだろうか。
魔術的素養のない少女にも、繋がった精神が伝わってくる。市民一人一人の。ボールドウィンの、ルッカの、ユージィンの、あるいはスコルもそこにいただろうか。精神が、感覚を通して伝わってくる。
通信機は、もう必要なかった]
<行くわよっ!!右手に意識を集中して! そこにAHO号の衝角を装着する!
向かってくる敵は、各自撃破して!このダイシチョーAHOならできるはず!>
[精神と、脳波で繋がる機甲に、ややこしい指示は邪魔になるだけだ。
直感的にそう判断し、声を響かせる]
ひとつは、フランを用意する。
もうひとつは、わたしがフランのままでいる。
二番目は、フェイトくんとエリーが、
口を閉ざしてくれなきゃならない。
それとグノーシスの攻撃のことがネック。
[グノーシスによるマゼンタの光の攻撃。
それさえどうにかなれば可能な事ではある。]
お墓参りは多くったっていーよ。
けど、おにいちゃんに教えるとショックを受けちゃうと思う。
フェイトくんって、案外残酷なんだね。
[やがて目的地は見えてきただろうか。]
知らねーよ。
[案の定、彼女の問い>>100には素っ気無い一言]
確かに、俺はお前が俺の知ってるフランじゃねえって知ったのは言われてからだし、言われなきゃちっとも解んなかっただろーよ。
そこまで完璧に真似できる奴がいるなんて思ってなかったからな。
でも、例え毛筋ほどの違いも無い全くの同じような存在が居たとしてもだ。
なんか…どっかで、何らかの綻びってのが出来て来るんじゃねえかって思うわけだ。
[それについては突っ込むなよ!と自分勝手な事を言ってのける。
そうした視界の先、セメタリーが見えて来た]
――…ちゃんと、寝る場所には連れて来てもらってたんだな。
<あー、ごめん、アタシは近接苦手っ!
銃座使って迎撃やるよ…
…一匹たりとも、近づかせないっ!>
[元々戦闘機のパイロットを想定されて居た...には、
近接戦の経験など全く無く…
けれど、迎撃ならば得意分野で。
思考の殆どを火器管制に回し、宇宙怪獣が迫り次第迎撃できるよう備えた。]
[降下する間に聞く、フランを『返す』為の2つの法。>>105
前者は天使の考えの及ぶ所ではないと把握したが、後者については自信があるのか強い口調で]
ああ、俺な。
隠し事が苦手で、いっつも友達から恨まれてたな。
[内緒にしてねと言われた事も、数分後には誰かに喋る。
そもそも、このフランの件だって座標をいちいち知らせなければ、事は大きくならなかったはずで]
つーかさ。
お前が“フラン”になるのは良いけど、それじゃーお前はどうなる。フランとして生きる分、エイリアンとしてもお前の存在は?
それもあれか。「何かの為に犠牲になる」ってアレ。
[口にするのも嫌だと言わんばかりに声音が低くなる]
[頭脳パーツとして取り込まれたのは、ユージィン、アスカ、ルッカ、スコル、ボールドウィンの5人。
この中で、一番機甲の装纏に慣れていたのは青年なので、強い意思で持って、ダイシチョーAHOの制御を奪おうと思えば出来ただろう。
だが、戦闘センス及び、巨大機体の操作において、他に遅れを取る自覚はあった。青年は一歩引き、動作のスムーズ化や、本職である修理や整備に意思を注ぐ]
[市長の攻撃の声>>103には、息を合わせ、各部の強化を行った]
全てがベストだ……!
いける!!!
―???―
[また別の宇宙に送り出されたか、と思ったが、予想に反し、そこには何も――星の光さえも、存在しなかった。
敵を捉えるためだけの異空間、という所か]
ダイシチョーAHO、か……。もうちょい粘れば見られたのになー。
[最後に聞こえた通信>>99を思い出し、呟く。
闇に紛れてしまったか、ここと裏宇宙を繋ぐ孔の所在がわからない。
或いは、既に閉じてしまったのだろうか]
いや、……まだ間に合う! 諦めちゃだめだ!!
[敵はこの空間へ送り込むのに、地球上の孔と同じ性質の因子を使っていた。
これが敵を捉えるためだけの、「どこでもない空間」とするなら、この空間そのものがF.U.Inの満たされた世界だと言えまいか]
だったら、虚空(セカイ)ごと打ち破ってやる! 打ち破って、……地球に、帰るんだ!!
『エネルギー充填率200%! 警告、砲撃により機体が重大な損傷を受ける可能性が――』
構うもんかぁぁぁぁっ!
敵に突っ込むって決めた瞬間から、覚悟、決めてるんだっ!!
[そしてその両手は、"引金"を引いた]
[その瞬間、鮮やかなオレンジの光が迸って。
メガマリオンの左腕が、爆発した。
同時に、モニタ全面を覆った虚空(ヤミ)が、無数の破片になって砕け散る。
そしてそこは――]
……どこ、だ……?
[空間が砕けたら、何処に行くのだろう?
何処に行けばいいというのだろう?]
地球、は……どっち、なんだろ……。
[自分自身の、そしてメガマリオンの手を伸ばす。
何かを掴み取ろうとするように。
帰るべき場所……帰らなければならない理由。
――約束]
フラン…………っ!
― 詩論シティ/セメタリー ―
[其処は、広大な公園を思わせるセメタリー。
等間隔に建てられた白い墓標群。
詩論シティで亡くなった人々が埋められている。
中には、名前を記されていない墓標もあれば、
墓標の下にまだ眠っていない場合もある。]
それは、フェイトくんが心配する必要はないよ。
[一拍置き、]
さっきの話を、"犠牲"だと感じてるのはフェイトくん。
どうして犠牲だなんて思うんだろう。
[フェイト>>107へ対しての返事の音程は変わらない。]
ま、とりあえずだ。
あいつの兄貴が来ない事を祈りてえけど、やっぱちゃんと知ってた方がいいんじゃねえかとも思うわけだ。
人から伝えられるより、きちんと自分の目玉で見て…
でないと、最期の時まで捜しに行くんじゃねえかなって。
[セメタリーに降り立った天使は、翼を閉じて。
彼女から降りるというまではお姫様抱っこのままで指し示されるままに周辺を歩き回る]
[メガマリオンへと集中していた肉塊に、地から長く聳え立つ槍が迫る。
そして――貫く。致命傷ではないのかもしれない。
軽傷程度なのかもしれない。
けれど、折らせはしない。
杖を地面に刺して、肉塊を貫いたまま固定にかかる。
的を作り上げる]
『ルッカ、聞こえる?
でっかい肉塊、何とかこの槍で縫いとめてみる。
どれだけ保つかはわからないけど――』
[現状、この肉塊と対峙しているものだろうと考え、連絡を入れる。
……誰がやったか解らないで混乱とかも、怖くなったから。
伝わればいいけれど。
消えたテルオのことには触れない。消えた事で動揺を広げたくはないから。]
[エリーからの通信は、全員に伝わっただろう。
ソレに応えるべく、宇宙怪獣を迎撃しながら回線を開いた。]
了解っ!
こっちは、裏宙で皆であのデカブツ仕留めようとしてる…
コレ終わったら帰るから、待っててねっ!
[迎撃の砲火が一段と強くなったのは、
決意を新たにしたからか気持ちが盛り上がったからか。]
― ????>>112 ―
[...は、.........から成る巨躯。
黒き姿、その表面、暗色紫を主とした様々な色のスペクトルが亀裂のように走る。ゆらり―――何処とも分からず、何処でも在る次元、メガマリオンの視界に、一瞬だけ半透明の陽炎のようにゆらりと姿を現した。―――然し、それだけ。
再び、メガマリオンは、その場に唯一の存在となるだろう。]
[残るは酷く重い重力子の残り香。それも本体が視えなくなると共に感じられなくなるだろう。]
[其れが生物であるのか機械であるのかも、分かることはない。]
―― 詩論シティ・セメタリー ――
[今その"天使"たちが居る位置からは少しずれた座標軸――少しだけ過去の時間軸において"天使"が歩き回っていた箇所へと、その青年の姿は現れた]
テンソウ、されたノ、か……ぅ、ぐっ、
[頭が重く、やたらとずきずきして感じられる。
馬鹿からさらに阿呆が増すのでは、と思われる程のずきずきした感覚。
膝を折って俯いて、頭を抱え込んでしまう]
……ッ、……生体、向かなイ、って、こういゥ……
[実際のところは判らないが、思わず、そんな風に思えてしまい。
転送までの手引きをしてくれた人の姿は此処にはないけれど、あたかもさっきまで同じ場所に居たかのようなノリで、ひとりごちた]
フラン……?
[砕けた空間の破片が乱舞する、闇と、虚無の空間。
その中に、遠く離れた地球にいるはずの、少女の声が聞こえて来た。>>115
コックピットの中で、少年は周囲を見回す。
そんな事をしても、見付かるはずがないと、心の奥底では思いながら――]
――ぁ、
[そのはずだった、のだが。
その瞳に、一瞬、そこにはないはずのもの>>118が映る。
陽炎のように実体はなく、しかもすぐに消えてしまったけれど]
フラン、……なのか?
[少女とは似ても似つかぬ姿だったのに、先程声を聞いたせいか、ついそう呼び掛けていた。
と、メガマリオンの機体が、何かに引かれたように傾く。
丁度手を伸ばした姿勢だったから、まるで手を引かれたようだと思った]
そっちに行けば、いいの?
[問うても答えはないし、全ては少年の思い込みかもしれない。
それでも、他には道標一つない空間だったから、少年は信じる事にした。
フランが、導いてくれたのだと]
――待ってろよ。
[随分と弱まった気のするスラスターを噴射し、引かれた方向に向かって只管前進する。
長い、長い、先の見えぬ旅路。
その果てには――]
[*****。地球の言葉に変じれば、その言葉となるだろうか。
無言で虚空《ソラ》を見上げていたが、]
フェイトくんは、墓標にフランの名前があるとは思ってないよね。
今、テルオくんの声が聞こえたけど、
フェイトくんは聞こえた?
[こっちそっちと指差しつ、視線はいまだに虚空《ソラ》に在る。]
[墓標と墓標の間を、時には空いた地を。
滑るように歩いて行く]
まーな、最初は…適当に打ち捨てられてんのかって思ってた。
行き先が此処って分かってから、「ああ、ちゃんと見送ってもらってたんだな」って。
確かに集音機能はフルに使ってるが、今テルオの声の反応は無かった。
そもそもあいつがいるならメガマリオンが在る筈だろ?何処にもそんな気配は無いし、反応もねえ。
[指される方へ歩を進めながら視線を彼女へ下ろす]
お前にしか聞こえねー何かがあるんじゃねぇの。
『応ッ!!すべての準備は整ったッ!!
往くぞ諸君ッ!! 我らの拳で、虚空に巣食った悪を撃ち貫くッ!!
この拳はッ!!
地球の明日を掴む拳だッ!!!』
[鼓舞する声は隊長としての職能のうちだろうか。ボールドウィンが、暑苦しい雄叫びを上げる。
宇宙怪獣の攻撃は強まっている。もはやドラゴンやスキュラたちでさえ雲霞のごとくに湧き出している。
けれど、それさえももはや取るに足りないもののように。
ユージィンによって最適化された巨体が、その外見に似合わぬ身のこなしで群れを捌き、そしてルッカの操る砲撃がそのことごとくを撃ち落し、そしてスコルの意思が外敵を食らう。
ダイシチョーの巨体と、宇宙怪獣を吐き出す肉塊とがまさに交錯せんとした、そのとき。
―――肉塊が、ぽかりと口を開いた]
<―――ッッッ!
回避は間に合わないっ!みんな、衝撃に備えて―――>
[口にしかかった少女の目前でその口が飛来した巨大な“槍”によって、縫いとめられる。
宇宙怪獣の、オリジン、巨大な肉塊が、その動きを縫いとめられている]
<―――ありがとエリーっ!>
[その槍を放ったであろう魔法少女に、感謝を告げて]
<食らいなさい宇宙怪獣っ! これがっ!!
人間の―――いえ、ちがう。地球に暮らす、みんなの力よっ!!>
[そこにあったのは、人間だけの力ではなかった。サイボーグもいれば、機械精霊だっている。
機械も、魔法も、そこにある。
その力のすべてを、拳に込めて。
ダイシチョーAHOの拳は光の螺旋を纏い、宇宙怪獣を貫いていく――――]
理解出来ない。
わたしはわたしであることは忘れないよ。
[それに利害は一致する。]
思い当たることはあるけど。
[お前にしか聞こえない何かと言われればそう返事をし、
顔を傾けるようにして視線をハニエル=フェイトと合わせる。]
そこ。
[視線を合わせたまま、指だけ向けた先は新しく作られたばかりの白い墓標。誰かが持ってきたのか、萎びた花が置かれている。
墓標の表面には―――…]
ええい、そこで大人しく――――
縫いとめられときなさいっ!
[下手すると肉塊の肉の圧力で折れそうな槍を、魔力で支え、固定し続ける。
歯噛みし、冷や汗を流しながら、槍を維持し続ける――
肉塊に重力がかかってしまえば、それも持たない、そんな事は承知の上――。
最後の攻撃は、見えていないけれど、やってくれる、と信じて――]
『Samus Rawn』
[そう、読み取れるだろう。]
知り合いの人だろーね。
[置かれた花のことだろうか。
降ろして貰った後か降ろされる前か。そう言う。]
[光の螺旋が肉を穿つ。巨大な拳が虚空を撃つ。
肉塊に浮かんだ顔が、苦悶に歪む。断末魔の叫びを上げる。
それが、打ち込んだ拳さえ爆ぜるような砲火を浴びて、塵となって、消えていく]
[そして、残ったのは]
──少し前のお話──
[身体を包み込む"戦艦"、それは大きな形を為して。
──ダイシチョーAHOとして、顕現する≪世界の救世主≫
包まれる自身、その意思が呼応する様に。
ダイシチョーの直ぐ脇、元のサイズから大きく形を変えた、《相棒》の姿。
自身から繋がる、《相棒》の其。
ダイシチョーの隣、共に怪獣を《喰らい》ながら突き進む]
──行けええええええええ!!!!
[叫びを乗せて、ダイシチョーと共に、《相棒》は駆ける**]
終わっ―――た――――?
[頭部ユニット内で、少女の声が響く。その視界に、もはや異質な肉の塊は残ってはいない。
呆け、力尽きたことを示すように、機甲とリンクしていた精神、脳波が離れていくのを感じる]
…孔はっ!?テルオ君は!?
[そこには、もう一人。少年の姿があるはずなのだ。
少年が駆るメガマリオンの姿が、あるべきはずだった。
けれど、その姿が、見当たらない。
少女はとっさに、通信機を手に取った]
『テルオ君!? テルオ君! 返事しなさいっ!
テルオ君っ!!』
[漸く顔を少しだけ上げて、僅かにぎこちなく首を動かして"転送先"を確かめた。
真っ先に目に映ったのは、一つの白い墓標。それから、墓標の列。
墓場、と言えば少し宜しくない幼い記憶もあったりはするのだけれど、今は別に何の恐ろしいものを察する訳でもなく]
しッかし、
[この転送は誰の座標に合わせて行われたものと聞いたのだったか。
夢の中で誰の声を聞いてから、目覚めて直ぐにフランを追いかけようとしたのか]
……天使ノ導きで、こンな処に、か。
……おわ、った……?
[ほっと一息……途中までが残った聳え立ったままの槍を放置して、力を抜く。
後でまた、この槍はどうにかしないといけないが。]
『全員”孔”からでれ・・いや、メガマリオンどうなったの?そっちにいる?!』
[ルッカ直通の通信機で先ほど視界から見えて、そして消えたメガマリオンの行方を問い。
それは、AHO号の他の皆へと伝わるだろうか]
男の人の名前。
大破したテスト機に居たフランに、
手を差し伸べた。
花を置いたのは、
同僚か家族か。
そこまでは分からない。
彼は詩論シティで三日前に殉職したの。
わたし《フラン》を庇って。
…………?
おい、ちょっと待て。
俺はフランの居る所にって言ったはずだ。
聞いた感じじゃ、ここに居るのは少なくともフランじゃねえって事にならねーか。
それじゃあ3日前にフランが死んだってのは一体何なんだ。
姿を借りるとか…渡したとか…
ううん。
姿は違うけど、フランなんだ。
姿の擬態はね、相手の姿を借りるの。
同じ人が二人ではおかしく思われるから、
姿を渡すしかなかったの。
三日前に死んだフランと、
死ぬ前に姿を交換したんだ。
[心の擬態は、姿の擬態とはまた別で、その人の心を読み取る事。
と、付け加えて。]
――…。
それじゃあ…姿格好は違うけど、フランは此処に居るって事は間違いなさそう、か。
[少しずつ語られる、本当のフランについて。
天使は、今度は漏らさず聞いていようと要所を記録しはじめた。**]
[気の遠くなるほどの時間移動した気もするし、もしかしたら一瞬だったのかもしれない。
突如、メガマリオンの機体は、何かに阻まれたように前進を止めた]
行き止まり?
いや……違う。ここに"何か"があるって事だ!
[メガマリオンに、残った右腕を振り上げさせる。
そこに握っているのは、ハンマーではない。
"貫く"ための、パイルバンカー]
オオオオォォォォオオオオッ!!
[気合いと共に、それを不可視の"壁"目掛けて振り下ろす]
メガ・パァァイル…………クラァァァァァァアアアアッッシュ!!
[――ブチ抜いた、確かな手応えがあった。
そして――]
『――――君!? テルオ君! 返事しなさいっ!
テルオ君っ!!』
[明朱佳の声が、通信機越しに聞こえる。
つまり其処は、"声"の届く場所だった**]
"――聞こえます。
聞こえます、明朱佳さん!"
"メガマリオン、ただいま帰還しました!!"
― ???>>121 ―
[其れは「どこでもない場所」。
故に、夢。故に、叶えられたもの。]
『…テルオくん…』
『…そっちじゃないよ…』
[重力によって湾曲する空間に沿って落ちるテルオに語りかける声。
その声はもしかすると聞こえないかもしれない。それは「この世」には既になかったものだから。]
[光の粒子の群れ。光の粒子は何者をも形作る事はなく、この異次元には存在しない風に流されるように、一筋の形状でメガマリオンに並走する。
メガマリオンが、テルオが気付かなくても、正しき路へ至るようにと。まるで「願い」を籠めるかのように。]
[やがて、メガマリオン>>146が何かに阻まれるように立ち止まる。
光の粒子は、メガマリオンの喪われた左腕の辺りに停宙する。]
『…お願いがあるの…』
『…これから、沢山の大変なことがあると思う…
…でも、それに負けないで、目を見開いて…
…地球を護って欲しいの…
…わたしは、皆が好き…
…でもね、もう、何かを為すことは出来ないんだ…』
『…メガマリオンが全てを貫くように…
…未来への路を、テルオくんのその拳で撃ち貫いて…
…絶望に負けず希望の力を忘れないで…』
『…一足先に、還っているね…』
[>>147>>148"不可視"の壁が撃ち砕かれた瞬間、
不可視の壁の欠片達が消えゆくその中で、光の粒子もまた…消えた。**]
──そして、最後に残るのは──
["塊"に浴びせられる様々な攻撃。
"塊"に浮かぶ苦悶の表情、そして、断末魔の叫び]
『終わっ―――た――――?』
[頭部ユニットから少女の声が響いた。
その先には、既に先程まで眼前に存在していた、"塊"は無く───]
終わった───。
[漏れたのは、安堵の呟き
けれど、其処には、少し先に突撃をした──少年の姿は無い
明朱佳の"通信"にも反応の無い少年、見えないその姿。
──不安が、膨らんで行く]
──そして──
『"――聞こえます。
聞こえます、明朱佳さん!"
"メガマリオン、ただいま帰還しました!!"』
[不安を拭う、威勢の良い通信が届いた。
姿こそ見えない物の、無事な様子を伝えるその通信。
それだけで、周りの雰囲気が軽く、明るくなるのが分かった]
──これで、もう安心だな。
[呟いて、自身も安堵の息を吐いて]
『エリー!? …そっちにも、いないの…?』
[ジュリエットさんが伝達しているのだろうか。本来ならば、ルッカにしか届かないはずのエリーからの通信>>137が聞こえる。
それは、地球にも、未だテルオ少年が戻っていないということ。
テルオ少年は、“孔”を封印していた。そして、それが宇宙怪獣を引き付けることになっていた。
テルオ少年の働きがなければ。エリーの槍が肉塊の口を縫いとめるよりも先に攻撃を受けていたかもしれない。ダイシチョーに乗った、陣桜市の市民が、犠牲になっていたかもしれない。
そのテルオ少年が、今、そこにいない]
……ッ
お礼くらい、言わせなさいよ…ッ!
[通信機を手に、少女が顔を伏せた、そのときだ]
"――聞こえます。
聞こえます、明朱佳さん!"
[声が、聞こえたのは]
"メガマリオン、ただいま帰還しました!!"
[通信機越しに、テルオ少年の声が響く]
『………遅いッ!! 心配したわよッ!!』
[その声に、怒鳴りつけるような声が、返り]
『おかえりっ!』
[労いと、感謝と、安堵と、嬉しさと。そんな有象無象の感情がない交ぜとなって、テルオ少年を出迎えた]
『テルオ君、ダイシチョーの両手のひらがカタパルト…格納庫直通の通路に繋がってるわ。ジンロボの運用が前提のカタパルトだから、メガマリオンでもちょうどいいでしょう。
そこから戻ってきて頂戴』
[数瞬とかからず平静な調子を取り戻した少女の声が、テルオ少年を誘導する。
少女の意思を受けてか、ダイシチョーAHOの手のひらが、メガマリオンを出迎えるように差し出された]
『エリー、今からそっちに戻るわ。もうちょっとだけ孔の維持、お願いね』
[通信機越しに、告げて]
さぁ、戻りましょう。
あたしたちの地球へ!
[頭部ユニットを介し、声が届くものすべてに聞かせるように、高らかと凱旋を宣言した]
『……え?えーと。メガマリオンはそっちで見つかったんです、か?
”孔”は…………
ぶっちゃけて言うと、維持しなくても開きっぱなしになっちゃってます。
原因は不明ですけど…………メガマリオンの妨害因子が消滅したとか激減したとか、そんな理由ではないかと。
もしくは・・・他の因子の影響で私の維持化を離れたからか、というところかと。
一先ず維持を一応しておきますね。』
[通信を中途半端に聞いていたせいか、ある程度聞き逃してしまっていたかもしれないが、とりあえず、再度杖を構えての……”孔”の制御の回復と維持へと戻り。]
コレでひと段落、かぁ…
[へたりこむような場所も無いが、精神的にへたりこむ。
火器管制に回して居た思考を解放すると、一気に気が楽になった気がした。]
えーと、エリー?
もうすぐ帰るから・・もう少し待っててね?
[帰ったらどう言って謝ろう。そんな事を、小さく考えた。]
『ええ、たった今戻ったところよ。ごめんね、連絡が遅れて』
[エリーにメガマリオンのことを問われれば、そう答える]
『ふぅん…まぁ、孔や因子のことはあたしじゃあてずっぽうな推測くらいしか言えないし…。
了解。念のために、よろしくね』
[“孔”の制御に戻りかかるエリーには、そう、告げておく。
そうこうしている間にも、ダイシチョーは動き出していただろうか。地球へ、帰る。その意思が後押しとなって]
『まったく。色々あったんだから。
しばらく膝枕の刑で。』
[ちょっとぶーたれた口調でルッカに速くちゃんと戻って来い、と。]
『あぁ、それならいいんですよ?
……地上側に何か伝えたい事はありますか?』
[維持に集中しながらも明朱佳へ伝言くらいは、と。背後のコンテナをちらり、と振り向いてみて。
彼らだって不安だっただろうから]
『そうね、それじゃ一言だけ』
[エリーに問われ、思案するような間を開ける。
けれど、実際には思案さえも必要ないのだ。伝えたいのは、一つだけ]
『すぐ、戻るわ。そう伝えて頂戴』
[通信機越しにでも、にやりとした不敵な笑みが浮かぶような。そんな自信にあふれた声で、エリーに返す]
『エリーも、ご苦労様。あたしの街のみんなを守ってくれてありがとね。すぐ戻るから、もう少しだけ待ってて頂戴』
…りょーかいっと。
あんま柔らかくは無いけど、勘弁してよ?
[そこまで硬い訳でもないが…
流石に、普通の少女と比べると柔らかいという自信は無い。
膝枕ついでに暫く撫でてあげるかなぁと思いながら、
ぼんやりとどうすれば足が柔らかくなるだろうかとどうでも良い事を考えていた。]
『りょーかい。伝えておくね。』
すー…………市長からの伝言いくよ!
すぐ戻るから、宴会の準備して待ってて、だってさ!
[伝言に、余計な一言付け加えて、コンテナの方へと叫び、大勝利を演出する。
明るい声と、心配かけた分罰は当たるまい、という奴である。]
『むー。勘弁しちゃる。
だからまた事故ったとかないように無事に気をつけて帰ってきなさい、ルッカ』
[そう、コンテナでの準備を尻目に、口調はぶすっとしているけれど、口元に、笑み。]
―少し時間は遡り―
『――――くん…』
[どこでもない空間を、あてどなく彷徨っていた少年の耳に、声が届いた>>149]
『…そっちじゃないよ…』
[声の響きだけなら、それは先程聞いた声と同じで。
でも、何故だろう、何かが違うと感じていた。
例えるなら――本物の奇蹟に、触れているかのような]
[光の粒子が、並走しているのが見える。
進路のほんの僅かなずれが、光の粒子の流れを示しているかのようだった。
メガマリオンは、今こそ手を引かれていた]
フラン?
[少年は、"声"の名を呼んだ。
胸の中に詰まっていたいろいろなもののせいで、声が震えた]
お願い、って……。
なんだよいきなり大層な事言って。
オレ、フランみたいに頭も良くないし、器用じゃないし――
[彼女との約束を果たす事を、彼女の許に帰る事を望んでいた。
なのに、待ち望んでいたはずの彼女の声>>151>>152を聞くたび、胸の奥から大事な物が引っこ抜かれていくようで]
な……なん、だよ、その言い方さ……。
それじゃまるで、フランが――
[口にした言葉は、"声"に伝わっているのだろうか。
もし伝わっていなかったとしても、その言葉>>153を聞いた瞬間、叫ばずにはおれなかった]
フラン!!
きみは何処にいる?
きみは――何処に行ってしまったんだ……?
[問いに答える声はない。
きっと、還ると言った、その言葉が全てなのだろう。
手を伸ばした所で、触れるものは何もなかった]
……もう、いないんだね。
[口に出してその事実を確かめ、ゆっくりと息を吐き出す。
一瞬だけメガマリオンの操作系統を止めると、両手で頬をパンと叩いた]
うん。
ここで立ち止まっていたら、駄目だ。
[フランの想いを、託すと言った言葉を聞いていたから。
メガマリオンはパイルバンカーを振り上げ、自分の帰るべき場所への道を穿つ。
光の粒子――フランの願いの残滓は、こちら側の世界へ至る事なく、消えた**]
―そして今―
"は、はい! ――ただいまっ!"
[明朱佳>>157の、色んな感情が籠もった出迎えの言葉に、少年も心から答えていた。
間髪入れず、常と同じに戻った市長の声>>158が、メガマリオンを的確に誘導する]
"了解っ……あ、ちょっと機体がガタついてるから、時間かかるかも!"
[外部から見れば、メガマリオンの軌道はふら付いているように見えたかもしれない。
左腕を喪い、エネルギーの不足した状態では、少年の細心の注意を払った操縦でもこれが限界だった。
しかしやがては、ダイシチョーAHOの差し出す掌が視界へ入り。
宿木へ止まるように、メガマリオンはその場所へと降りて行く]
"――到着!"
[カタパルトへ無事降り立ったその時、明朱佳が凱旋を宣言した]
"はい!!"
[メガマリオンを格納庫へ向かわせながら、少年は全霊を籠めてその声に答えていた**]
――コンテナシェルター内――
『勝った、勝ったんだ!』『俺たちの市長が勝ったんだ!』『市長だけじゃないって、これは地球の勝利なんだ!』『え?あ、でも宇宙怪獣がやってくるって話もないよな、確かに。』『『『いやったぁぁぁ!!!!!!』』』
『よっしゃ宴会やるぞ!』
『私、ステーキ焼いてきます!』
『まて、戻ってくるまでどれくらいの時間かわからん!じっくり煮込む料理の方が良さそうだ』『じゃあカレーで!』『おい蜂蜜もりんごもないぞ?』『辛口でいいんですよ辛口で』『牛肉そんなにあるか?って乾燥豆腐で……だと……!?』
[てんやわんやで、宴会の準備が始まる――]
[会話の記録に至った思考はもう相手にはばれているだろうが、どのような意図で以ってそれを行うのかを伺う『様子』を見せているようなら、ただ一言]
俺、なんでも記録してねーと右から左で忘れるから。
覚えていたい事は特に、こうして手元に置いておくんだよ。
[アカデミーで学んだ事はほとんど記録されてはいないが、
誰かの言葉や約束、待ち合わせの地図や座標など…そんなものだけがハニエルのデータフォルダの中には収められていた]
[それから、ふと。
天使は墓標の前で膝を付き、祈りの形に手を組んだ]
墓に挨拶すんのが後回しになっちまった、悪い。
此処にいるのがフランでも、そうでなくても、挨拶はしなきゃ
いけねーよな。
[そして祈りの後、まだ疑問な点があったか
視線をフランの顔へと移し]
でもさ。
この墓標の奴って、元はお前なんだよ…な、違うか?
お前が嘘をついていないなら、確か宇宙から来たエイリアンだ。でもこの墓の奴はどう見てもこの惑星で生きた普通の奴にしか見えねー。
って事は、フランと同じように入れ替わってたのか?
要するに、お前というエイリアンはフランの前はこの墓の男で、またその前には別の誰かだったのかって。
もしそうなんだとしたら、お前はなんで自分でない何かになって今まで過ごして来たんだ。趣味か?
後、俺やエリーに聞いたあの質問も何度か聞いて来たのか。
その内でお前が考えてるものに響いてくる返事はあったか?
[尋ねる風ではあるものの、どこか『そうだ』と確信したような口調で問い掛けた]
まあ、どっちにしろ。
お前がフランで居てくれた事にゃ感謝はしてるけどよ。
おかげでクジラは倒せたし、あの兄貴もフランに逢えたし。
出来ればフランのままで居てくれたらなーって気はあるけど、お前はお前で破壊だとか物騒なやる事あるみてーだし、俺の目ではもうフランとは違うって分かっちまったから今までと同じようにはなんねえんだろうけどさ。
[祈りの前に、傍に降ろした彼女の言葉にはどんなものであれ驚くだろうが、感謝はしている事を改めて告げた。
そうして一旦視線を外し周囲へと視線を巡らせると、
小さかった生体反応が少々大きくなり、こちらを向いている事に気が付いた。>>140]
――――あ。
[その姿を見、思わず声を上げてしまう。
まず、その身の無事(天使からはそう見えた)を喜ぶべき所なのに、その一文字から先を続ける事が出来ず凝視するだけに留まっていた**]
ふらん、
フランッ、
[速度を高めても、まだ重く感じられて上手く前に運べない両脚。
まるで手負いの生き物のような、覚束なく頼りない足取り。
辿り着くまでの時間は、ひどく長く、感じられた。実際、本当に長い時間を掛けなければ、すぐ近くにまでは寄れなかったのだろう]
フランっ……!!
[たどたどしく叫ぶ声も、まだ、擦れていて、か細い。
彼女と"天使"の美しい声も、はっきりと聞こえてはこない]
[進む身体に触れた風は穏やかで静かで。
少し前までのシティの戦火も収まったのだと思わせる涼やかささえ、あった。
ソラを空高く見上げることも、ソラの向こう側の宇宙《ソラ》での戦いの結果を知ることも、未だ無かったのだけれど]
(どこにも、いかない)
(おれが、いる フランも、ここにいる)
(いっしょに かえる)
(おれと、フランで ふたりで)
(どこにも、いかないで)
(はなれて、いかないで)
(『…………』)
フランっ!
[ここまで己を辿り着かせる結果を導いた"天使"への、感謝(悪態)を呼びさます感情も、まだ意識しないまま。
彼女――に見えた――の凝視の意味も察しないまま。
"たったひとりの兄"は、フランに届くか届かないの距離のところで、その右腕を伸ばした**]
[青年が“フラン”の元へ辿り着く瞬間、顔の向きはそのままに
レンズアイの向きは白い墓標へ]
―――――…
[それから、目の前にいる“フラン”と青年に視線を戻した。
多分、彼女は今までどおりのフランとして語りかけるのだろうなと少しほっとしたような、どこか悲しいような気持ちで。]
― 地球 ―
『みんな、そろそろ孔から出るわよ。 着地に備えて体を安全索に固定なさい』
[頭部ユニットから、ダイシチョーAHOの全館へ。声が響き渡りその指示が実行されるころには、その巨体は地球の重力に引かれ始めていた。
一瞬の、落下]
[ ず
ず ぅ
う ぅ
ん]
[巨大な地響きと、静かな揺れを伴って、ダイシチョーAHOの巨体は地球へと帰還する。
片膝をつき、その衝撃を受け止めたダイシチョーが再び立ち上がるのと、ほぼ同じころだっただろうか。
地球救済級の名を持つ機甲が、ダイシチョーから離れていった]
『エリー、ただいま!戻ってきたわよ!』
[まず第一に、そう告げる。告げるまでもなく見えていただろうけれど、今、このときの『ただいま』の言葉は大事にしたかった]
……っはー……
おわった。
帰ってきたのね。
[そこは、陣桜市の市長室だっただろうか、それともAHO号の艦橋だっただろうか。体に掛かる地球の重力を感じながら、実感のこもった呟きが、少女の口からポツリと漏れた]
『みんな、お疲れ様。あたしが留守の間の報告を受けたいとこだけど、今は固いことは抜きよ。
最低限の警戒を維持して、みんなゆっくり休んで頂戴。
あたしたちは、勝ったのよ!
本日ただいま現時刻を持って、今日のこの日を市の祝日にするわ!』
[通信機を通して行われる勝利宣言。陣桜市のあちこちから、わっ!と歓声が上がったのが通信機を介するまでもなく聞こえてくる]
さってとー…市民みんなはこれでいいとしてっと。
あたしはこうもしちゃいらんないわ。
各部署の実地検分に慰労、エリーんとこにも御礼に行かなきゃだし、もろもろ終わったら危機管理課に回って警戒代わってあげて、それから首都の復興支援を企画広報課と話し合って―――
[やっと帰ってきた陣桜市で、なさねばならないことは山積みだ。指折り数えて確かめる…けれど、その指を見つめていたはずの視界が、なぜだか霞みぼやけて数えられない]
あっ…あれっ…
なん…で……
[その目に手をやり、こすって霞を払おうとして、初めて。
少女は、自分が涙をこぼしていることに気がついた]
……っ…
もう絶対っ…泣いたりなんかしないって決めたのにっ…
ああっ…もうっ…なんで…
止まんないのよ…
[少女がその手で、拭っても拭っても、次から次にあふれてくる涙が止まることは、なかった]
-シームルグ機内-
っと、了解…って、安全索何処っ!?
[探しても、機内にそんな物を付けた覚えはない。
慌ててシートにしがみつくが、その時にはもう着陸寸前で。]
っ…や、やっぱ地味に響くなぁ…
さてと、エリーが待ってるし早く行きますかっ!
[小さい揺れでも若干めまいはする。
それでも、待っている人が居るからと機から駆け降りて、
ダイシチョーの中を走って行った。]
[鈍く身体に響く振動と衝撃、其を身体が感じなくなった頃。
裏宇宙に居た時には感じなかった、身体へ掛かる重力を受けて。
──戻ってきたのだと、感じる事が出来た。
日が経った訳でも無いけれど、久しぶりに感じた其は、戻ってきた感覚を強く引き起こさせる
機甲が身体から離れ、地上に降り立った。]
ふう。
[大きく吐いた溜め息、けれど表情はとても明るかっただろう]
―地球―
[己の体に、懐かしい重力が戻って来る。
訓練も受けないまま数々の戦闘を潜り抜けた体には、その負担は軽いものではなかったが、帰還の喜びが姿勢を支えていた]
帰って……来たんだ。
[しかしぽつりと呟いたその瞬間、少年の頭を占めていたのは、今はもういない少女への感傷だった。
帰って来ると約束した、その言葉が最後まで少年を支えていたのに、彼女の方が先に去ってしまった]
フラン……。
[その約束を交わした相手が、既に"フラン"ではなかったのだと気付くはずもない。
なんとなく勝利のムードに加われなくて、そのままAHOの方へと向かっていた。
――そのしばらく後だった。艦橋に、明朱佳の背中>>189を見付けたのは]
明朱佳……さん?
[常と少し様子の違う彼女に、遠くから恐る恐る声を掛けた]
ッ…!!
こっち見んなぁッ!!
[背中に声をかけられ、思わず叫ぶ。自分でも取り乱しているのが分かる。まだ、涙は止まらないけれど。せめて息を整える]
…今は、見ないで。おねがい。
[それだけを告げた。自分でも、なぜ泣いているのか、分からない。そんな姿を、相手が誰だろうと見られたくはなかった]
『おっし、明朱佳お帰りっ!
祝日でお祭りでヒャッハーいくよっ!』
[なんだか訳のわからないテンションを伝えていく。コンテナの方のテンションが伝わったせいかもしれない。
そして、通信機を変えて]
『というわけでルッカは私の元に直行する事。』
─地球:AHO司令室─
[なじんだ解装の感覚。
戻って来た副艦長席で、一息をつく。
さっきまでの、2kmにもわたる巨大な体であった感触を思い出す。地球救済の名にふさわしい大きさと力。
だが今は比べれば誤差の範囲に入ってしまうような、ただのちいさな人間]
さすがに二度はやりたくないかな。
――――!!
[明朱佳>>196の叫びに、思わず足を止めた。
小さく告げる声に、頷いてそのまま踵を返しかけ。
けれど、結局はそのまま踏み止まって]
それで、いいの?
[訊ねていた]
明朱佳さんはすごいよ、かっこいいよ。
みんなきっと、明朱佳さんのそういう姿が大好きで……そんな市長さんと一緒に戦いたかったから、ここに集まってたんだと思う。
でも――
[また怒られるかもしれない、嫌がられるかもしれない。
それでもその足は、明朱佳の許へ駆け出していた。
そして、精一杯の勇気を振り絞り]
一番弱ってる時の明朱佳さんは、独りぼっちでもいいの?
[明朱佳を自分の方へ、振り向かせようとした]
[通信機から聞こえてきた声に、くすりと笑う。
嬉しさが半分、もう半分は秘密で…]
『言われなくても、直行中で…
アレ?今、エリー何処?』
[しばらくダイシチョーの中の通路などを歩いていたが、ふと気が付いて問いかけた]
わたしは、擬態をしてるからね。
[(>>174前半)フェイトが口にしない言葉に返事を行った後。]
そうだよ。
この人の姿も借りてた。
この地球に来た時には、何も知らなかった。
社会も文化も心も魂も。
[けれども何時しか知り、具(そな)えた。
具えるのは擬態としてではあったけれど。]
趣味じゃないよ。
[くすり、とフェイトに笑う。
そして、天使が祈る傍ら>>175>>176へ歩み、
白の墓標に飾られた萎びた花に指先を伸ばし、いとおしむように撫でる。]
それが、わたしの運命だから。
その為に産出<う>まれたのに、違う生き方なんてない。
魚は誰に教わらずとも稚魚の時から泳げるように、
火は誰に言われずとも地球上では燃えるように、
風は誰に聞かれずとも全ての間を駆けるように、
植物の種が太陽と水によって芽吹くように……
知的生命体の間に混じり必定の時に破壊を齎す。
それが、わたしの運命なんだ。
[>>176ふいに、ハニエル=フェイトを見た。答えはない。]
フェイトくん、あなたがわたしを決して理解出来ないように
わたしも、あなたを分かっても理解が出来ない。
全てが視えても理解が出来ない。
フェイトくん達の感情を理解出来ないし響いても来ない。
[運命に従っているからこそ、響いてくる返事がないとも言える。]
……だ…からっ…!!
[振り向かせようとする力に抗うように、体をよじる。けれど、続く言葉に虚を突かれて。その隙に、テルオ少年と、目が合った]
いいのっ! それでいいのよっ!
あたしは、みんなが笑っていればそれでいいっ!
敵も倒して、みんなで揃って帰ってこれて!!
そんなときに泣いてるなんて、あたしだけで十分なのっ!
お願いで足りないなら命令でもいいっ!なんでもいいからほっといてよっ!!
[自分でも支離滅裂なことを言っているんだと分かる。テルオ少年が言うとおり、自分は今、弱っているんだろうか。
考えても分からず、それがまた頭の中をかき混ぜて。
涙交じりの叫び声が、止まらなかった]
『うぅ…
動き回ったりするの無しだからねっ!?
絶対見つけて見せるんだからっ!』
[相手の位置が分かるなどの器用な能力なんてない。
ダイシチョーの中全体を足で歩きまわって探すしか無くて…
エリーが移動していないなら、72分後ぐらいに見つけただろうか。]]
[>>178>>179両者の「あ」という声が聞こえる。
―――振り返る。黒髪が弧を描き落ちた。
>>180何度も呼びかける入坂結理人の、声。]
………。
[酷く、長い時間が過ぎた。
だが其れには個人に基づく体感時間である事は分かっている。
細く、嗄れたような、掠れてハスキーにも聞こえる声。
セメタリーを微風がかけぬける。
全てが終わったと思えるかのような、長閑さで。
心の声>>182が、ずっと聞こえていた。故に―――…]
[おにいちゃん、と呼ぶ声に、向き合って]
もう、離れ離れには、ならない。
離れ離れには、しない。
一緒に帰ろう、フラン。
[強く、細いその身体に両腕を回した**]
[ほんの一瞬だが、涙を零す明朱佳>>207と目が合った。
息を呑み、真剣な顔で、視線を逸らされてもずっとその顔を見詰め。
泣き声混じりの叫びが返されてから数秒、ようやく、肩に掛けた手を離す]
……わかった。
[長く、息を吐き出す。そしてゆっくりと瞬き]
命令は聞くよ。
でも、いっこだけね。
[そう言って、市長に背を向けた。そして、数歩離れる]
明朱佳さんの方は見ないし、何もしない。
だから――
一緒に泣かせて。
[その言葉だけはっきり言い切ると、後は沈黙が訪れる。
否、何かを押し殺したような響きが、微かに聞こえて来るだろうか]
『……待ってるからね?
〜〜〜30分後〜〜〜
………遅い。
[苛立ちが見え始めた]
〜〜〜1時間後〜〜〜
……ルッカ、もしかしてエネルギーぎれ、とか』
[不安な表情になってあたりを見回している]
なっ…んで…
[テルオ少年から返ってきた言葉。続いて、すぐに聞こえてきた音。混乱を深めるには、十分すぎた]
なんで、テルオ君が泣くのよっ?
あたしっはっ…あたしは、みんなが笑ってればいいって、だから、あたし一人でいいって…なのに、なんで泣いてるのよ!
[理不尽なことを言っているのは、分かっている。けれど、今度は、少女が問う番だった]
『…えーと。
もしかして、ダイシチョーの外だったりする?エリー。』
[一時間走り回っても見つからない上、
向こうからは心配する声が聞こえてきて。
もしかして、と思った疑問を問いかけて見た。
外にいると言われたらすぐ向かえるように、出口の方へ走りながら。]
『……それどころか、外で突っ立ってるよ?私。』
[え、何で中にいると思ったんだろう、とか首を捻る。
腕を組んで悩みながら答えが出ずに、頭から湯気が出そうになっていた。]
…………そんなに中でどっしり構えてるようにみえてたのかなぁ。
…うん、見つからないわけだよねコレ…
[思い返せば、ダイシチョー内部に居ればあの合体の時分かるはずで…
派手な勘違いを誤魔化すように、軽く首を振った。]
『…えーと、もうちょい待ってね。今外出たから。』
[ダイシチョーの中よりは見通せる。
あちこち走りながらエリーを探して、
見つけ次第まっすぐそちらに走っていくだろう]
なんで、……って……
[明朱佳から問い返される。
自分の方の涙は彼女より先に納めるつもりだったから、焦ってしまって。
ごしごしと何度も目許を擦る]
オレも、みんなと一緒に笑わなきゃ、て、思ってたけど……っ
でも、笑えなか、たから……。
[言葉を切り、少しの間息を整えた]
何処に行けばいいのかわかんなかった。
でも、明朱佳さんの事見たら、泣いていいんだって思えたから……。
『ん、寝転がって待ってる』
[ごろん、と疲れていたからか、瓦礫で埃まみれにもかかわらず寝そべり、ルッカの到着を待つ。
そういえば、”灰色、多数の顔”の残骸もすぐ近くに残っているのだが
……まぁ、それはそれである。そのほうが説明しやすいし
ルッカをみつければ、手を振りながら腕を広げて立ち上がって]
[擦る手を止めた。
まだ一雫、二雫零れるものがあったが、それをそのままに]
帰って来た瞬間に思い出したのが、居なくなった人の事だったんだ。
絶対に帰って来るって約束して……だからオレは、帰って来れたのに。
[名を告げぬまま、ぽつりと呟いた]
お、エリー見つけ…なんだろ、アレ。
[良く分からない残骸が見えたが、
気にせずエリーの方へ走っていく。
飛びつこうかとも思ったが、
流石に怒られる気がして前まで行って足を止めた。]
えーと…ただいまっ!
よっし、おかえりっ!
[そのまま腕広げてまつも、飛び込んでこなくて物足りなげに。
そして、視線を少し残骸に向けて]
えーと、報告。
多分、”呪い”が終わった、と思う。
…わかった。
[テルオ少年の言葉を、呟きを、聞いて。そっと、目を瞑る。その言葉の意味を、すべて理解したとはとても言えない。けれど、テルオ少年の涙の理由は、分かる。
その目を開いて。涙が滲んで赤くなった瞳を隠そうともせずに、テルオ少年につかつかと歩み寄る]
泣いてもいいわ。
もう、ほっとけとも言わない。
だから。
[ぼふっと、互いの顔を隠すように、抱き寄せる]
だから、ちょっとだけ肩、貸して。
[互いの涙の意味は、違うかもしれない。けれど、泣きたかったし、泣いてほしかった、のだろうか。結局、少女には分からないままだったけれど。
分からないままに、少女は静かに、涙を流していた]
…消えたの?あの性悪呪い。
[新種の怨念ゴーレムか何かの様な残骸を見ながら、
エリーをとりあえず抱きしめる。
呪いが無いなら、少なくともエリーが消える心配は無くなったんだから。]
じゃ、パーティにはソレのお祝いも追加しなきゃね。
…まぁ、あまり大勢じゃ祝えないと思うけど。
んー。多分としか言えないかな。
少なくとも、元の意志は、あーなってる。
[と、灰色の残骸を指差して。
力を抜いて身を預けながら。
まぁ、”呪い”みたいなものと説明したけど”呪い”だったか同かもわかんないんだよねぇ、なんて今更言えず。
詠唱が変わったから、多分多少変わってるとは思うけれど]
むしろ地球守ったーだけでいいと思うよ?うん。
あの怨念ゴーレムっぽいの、
呪いの元だったんだ…
………まあ、アタシとしてはエリーが消えないならソレで良いんだけどね。
[抱きしめたエリーを撫でながら、くすりと笑う。
自分には無い、本当の温もり。
ソレが消えずに済んで良かったとしみじみ思って]
ま、全部まとめて祝っちゃえばいいじゃない。
良い事は、幾つまとめても良い事なんだし。
[大雑把に、そんな事を言いきった]
[歩み寄る音が聞こえた。
つい緊張して強張らせた体が、ぼふっと抱き寄せられて]
えっ?
[それは一瞬、泣いていた事を忘れてしまうくらいの衝撃だった。
横目で恐る恐る明朱佳の様子を伺う。
けれどこちらから顔を見る事は出来ず、彼女と触れ合う首筋と肩だけが、静かな涙を感じていた]
……はい。
ちょっとと言わず……いくらでも。
[こちらから顔を埋めるのは、意味が違ってしまいそうだから、やめた。
ただ、明朱佳を抱き止めたままで、空を見上げる。
引っ込んだ涙が再び滲んで来たとしても、きっと、そのままで居るだろう**]
呪いっていうか、盟約の元っていうか。
説明ややこしいしそれでいっか。
ま、私もそれが一番、かな?……ゆっくり考えられるし。
[あ。でも、と空を見上げる。
まだ後始末が残っていた、と]
あー。祝う前にもう一仕事。
”孔”閉じないと。
……できれば、馬鹿でかい方も。
……ん。ありがと。
[呟くように、そうとだけ告げて。しばらく、一言も発さないまま、時が流れる。
やがて、流れる涙も止まるころ。抱き寄せたときと同じくらい唐突に、少女は体を離した。
その顔は涙で濡れて、瞳も真っ赤に腫れぼったくなっていたけれど。
その顔には、もう、笑みが戻ってきていた]
ありがと、テルオ君。おかげですっきりできたわ。
あたしが思うにね、…さっき、テルオ君から、理由聞いといてなんなんだけど、ね。
あたしが思うに、あたしのは嬉し涙だったんじゃないかなって思うの。
ううん、そうじゃなくても、そうと決めたわ。
だって、宇宙怪獣も倒した。みんな無事に帰ってこれた、あたしも、陣桜市に帰ってこれた。
これで嬉しくなかったら嘘だもの。
だからってわけじゃないけど。
[体を離したときに、肩に添えたままの手をそのままに。少女は微笑む]
テルオ君の涙も、今は嬉し涙じゃないかもしれないけど。
嬉し涙だって、思えるようにしない?
あたしは、そのいなくなったって人のこと、よくは知らないけど。
絶対帰るって約束して、その約束をテルオ君は果たしたんだもの。
それが嬉しくなかったら、約束した甲斐がないじゃない。
違う?
[確かめる問いを投げかけるころには、少女の笑みは、にやりとした不敵なものへ]
だから、まずは。
[手を解き、顔を艦橋から出て外へと向かう通路へと向ける]
帰ってきた喜びを力いっぱい噛み締めるわよっ!
[エリーがコンテナシェルターを宴会場にしていることまでは知らないまでも、陣桜市には『祝』う『日』の宣言を出している。適当に陣桜市に出歩くだけでも、お祭りムードは味わえるだろうと判断して。
少女はテルオ少年を先導するように、歩いていく**]
[2人の距離が縮まる前に天使は背を向ける。
“フラン”がフランのまま、青年と向き合っていたから]
(フランのままで居てくれたら良いなって思ったのは、やっぱ
あの兄貴に俺と同じような事にゃなって欲しくないからな。
まあ、随分と身勝手な願いだとは思うし、あいつのやる事はとてもじゃねえが俺には理解出来ねえ。)
[自分の時は目の前で姉が死ぬ所を見てしまったし、もう居ないんだという自覚に至るのは結構早かった。
しかし、やはり後になればなる程その喪われたものの大きさはいや増しに増して苦しんだ事も思い出す]
じっくり、あちこち回ったりしながら考えようよ。
宇宙怪獣の大元もなんとかしたし、
基本やや平和になると思うから…
[釣られて空を見れば、そこには帰って来るときにエリーが開けた穴。
まだ残っていたソレを見て、不思議そうに首をかしげた。]
…あの穴って、基本なんか呑み込んだら消えなかったっけ?
ユージィンの時とかアタシの時とか。
[残っている理由は知らないけれど、石か何か投げ込んだら消えないだろうかなどと適当な事を思っていたり。]
(――――ちょっとばかしあの兄貴が羨ましいとか)
[今はその両の腕で“妹”を抱き締めているのだろう、青年に]
(思わねーよ、思わねー)
[自分の姉は、姿形を変え会話もままならないがすぐ傍に居る。
少々自分への能力補正には納得が行かないが、このハニエルと共にある限りは離れ離れになる事もないのだから]
(あいつのやって来た事は、言う通り俺には全然これっぽっちも欠片も毛筋ほども理解出来ねえ。
今何を思ってああやってるのかすら、俺には解らんが)
良かったな、逢えて。
(どんな形であれ、あの兄貴は今救われてる。
それを祝うくらいは、してもいいだろ)
[一言だけ、声にして背中越しに送る。
残念な、愛を司る天使の残念な祝福の言葉だった。**]
とりあえず、今日はゆっくりやすもっか。
……疲れて、ちょっと、眠い……。
平和になったんだから、少しくらい寝ても大丈夫だろーし……
[ただ、孔の方を見上げれば、それだけはやっとこー、と小さな白い杖をかざして]
あー……私のは違うかな?
開けたら閉じない限りあけっぱなのよ。
これで私のとルッカのでワームホールつくってルッカに詩論に言ってもらって色々云々かんぬん予定だったけども。
[だから、閉じるねー。とねん込めてみて。
ゆっくりと小さくなっていく。]
わたし……。
[それが偽りだとしても。
フランの身体に回される両腕。]
ゼツボウ
希望は、あっても……
[それが家族ごっこだとしても。
兄の身体に伸ばされる細っそりとしたフランの両腕。]
傍に…居るよ。
[それが相容れない種同士だとしても。
寄り添う合う偽りの身体同士は―――今だけは兄妹のまま、で。]
ただいま。 [そして] おかえり。
[詩論シティの頭上では”孔”が閉じ始めて――いた。それは恰も、全ての脅威が消え去ったと*錯覚させるように。*]
[かりそめの乗組員が降りて行った艦内は静かだ。
陣桜シティの修理工たちも、まずはダイシチョーの整備にかかりっきりだろう。
ユグドラシル級の大質量とはいえ、ダイシチョーに比べれば小さな別シティ紋の戦艦など、後回しに違いない]
……ジュリエットさん。
この後どこに行く?
[ひとまずは着替え、調理室の携帯食料を食べて、一息ついてから、青年はメイドに尋ねた]
「どこにも参りません」
[いつもの一拍遅れた笑顔で、メイドは答えた]
[フランに対しては、人ではない姿をさらしてしまったからこそ、この身の事を打ち明けたものの。
他の家族――両親の前でまで事情を話せる確かな意志があるかと言われれば、No。
"家族ごっこ"という意識までは持ってないにしても、"偽る"ことになるのだろうとは薄らと思う。
まさか目の前の彼女までもが"偽り"だとは思いもしていないが]
[そんな、偽りの"入坂結理人"の身体であっても]
[《機械の身体でも、悪魔の身体になったとしても》
そう告げてくれた人が、ここにいる。
こんなにも絶望に満ちていると思われた身体の自分であっても。
かっこいい、と教えてくれた人もいる。
こわされるのはみたくない、と伝えてくれた人も、いる]
["たったひとりの妹"を抱き締めたまま、ふと天を仰いだ]
……"孔"、が。消えてるの、か?
[まさに、一つの決着を示しているかのように思われたその光景。
この先に何時か待ち受けている新たなるステージを、まだ知る由は無いとしても]
ああ、
[今のステージの終わりを予感しながら、遠く、この地上を離れて戦いに出ていたかれらのことを、思う]
《ねえ、》
《……かえって、きた?》
[今ここから己が声を届けられるひとは、たったひとり、だけれど。
届くことが叶うならば、きっとその声色は、《アイ》と《キボウ》に満ちていることが判るだろう]
陣桜シティに住むってこと?
市長に大きい借りが出来そうだなあ。
[聞き返す青年を、メイドはいいえ、と一蹴した]
「1つ。
地球の救済は完遂したと判断します。
よって、役目を終えた機械は分解され、
仕事を終えた精霊は帰還するのが道理です。
2つ。
私の進化は、すでに最終段階に達しました。
これ以上は、私自身が地球への脅威になる可能性があると判断します。
以上により、私はここで私を分解します」
── ──
[地上へ降り立って、一息付いた所。
少し離れた所では、明朱佳が涙を流し、それをテルオが宥めているのが見えた。
そんな様子を尻目に、届いた通信へ]
"ああ、少し前に戻った。
──言っただろ? 戻るってよ"
[声を乗せる。
少し前まで聞いていた声より、明るい声色に聞こえる其に自然と此方も声色が明るくなる]
"──なあ、今、何処だ?"
[尋ねる声、いる場所を聞けたのならば、直ぐにでも向かうつもりで]
[外部音声を切り、目を閉じる。
振り返らなくても解る、男の思い描いたままの再会が在る事に複雑ではありながらも、笑みを浮かべて]
なー、姉貴。
あいつらはもう…大丈夫かな。
少なくとも、なんかの裏があってあの兄貴と逢ってるわけじゃないみてえだしさ。
あいつら、こっからもずっと一緒に居られっかなあ?
[問い掛けの声に、機内は迷うように明滅した。
是とも否とも取れないその瞬き、男は薄目を開けて覗き見る]
―――…まあ、解らねえよな。
あいつはあいつで、いつかは何かの目的を持って動くかも知れねーし…。
[しばらく時が流れた後。
ふっと、明朱佳の体の温もりが離れる。>>232
引き止める事なく体を離してから、慌てて自分の方の顔を拭う]
嬉し涙……。
[明朱佳の言葉を、少年はすんなりと受け止める。
結局、それが一番彼女「らしい」と思えたから。
微笑む彼女の言葉を、小さく頷きながら聞いて]
オレの、も……?
[自分の涙について言及され>>233、不意を突かれたように瞬く]
う、うん……。
そうだね。約束は果たしたし、もう一つ別の約束もしてきたから。
[フランの最期の言葉、お別れだけではなく託されたものの事を思い出す。
今、目の前に彼女が居なくとも、二人の繋がりはずっと未来まで続いていくのだと、そう思えた]
うん。嬉しい。
帰って来れて、良かった!
[こちらもまだ涙の残る顔だったけれど、無理にでも満面の笑みを浮かべてみる。
明朱佳の彼女らしい笑みのように、少年も自分らしいと思える顔をした]
……へへっ、外はすっごい賑わってるもんなー。
[艦橋から外へ向かう明朱佳を、やや小走りになりつつ追い掛ける]
あ、オレ、カラオケやりたい。
結局ゴーレム相手に歌えなかったし!
[そう楽しげに語る言葉は、行く先の歓声に呑み込まれていった]
(かいじゅう、そらで、たおしてきて
ぶじに、かえってきて、くれた)
(『…………』)
(『あいつまで正義の味方ぶるとか、有り得ないんだよ』)
(『……忌々しい』)
(『………、……』)
[入坂結理人は、胸の奥に何かの違和感を感じた気がした。
けれどそれも今は気にならない程に、心から光るものが込み上げてきていたのだった]
うん、よろしい!
[満面の。テルオ少年のテルオ少年らしい笑顔に満足げな頷きでもって返す。そこにあったのは、安心、だっただろうか]
ええ、お祭り騒ぎは防衛に告ぐ陣桜市の十八番よ。
[怨念ゴーレムとの戦いで培った経験と。何よりも、強い団結が、そうさせるのだろう。言い切った少女の言葉は、自信に満ちていた]
ふふん。歌ならあたしだって負けないわよ。
思い切り楽しみなさい!
[告げて、少女はテルオ少年を引き連れ、歓声の中へ…]
…うん、のんびり休もう。
何かあったら起こしてあげるから、
安心してゆっくり寝て良いよ?
[そっとエリーを撫でながら、くすりと笑う。
自分より小さな、自分より年上の女の子。
この場合、どっちが保護者なのかなぁとどうでも良い事を考えながら、
縮んで行く空の穴をのんびりと眺めていた。]
[歓声上がるその場から、少しだけ距離を置き]
"──詩論シティの…OK、セメタリーだな。
分かった、直ぐに向かう"
[無事で良かった、の言葉には笑った声を乗せて。
場所を聞いたなら後は向かうのみ、喧騒から更に距離を離して《飛ぶ》]
[そう経たぬ内に、詩論シティに到着する事が出来ただろう。
記憶を頼りに、セメタリーへと──]
そっか、ん。ちゃんと起こして、ね。
おやすみ……なさい。
[”孔”が閉じきるのを確認したら、目を閉じ、腰にしがみつく形でそのまますやすや、と眠る。
――――それを見届けたかのようなタイミングで、砂埃が舞い、灰色の欠片が風に飛んで消えていく。
セカイの欠片に、還っていく。]
──そして、再会──
──イルッ!!
[その姿を見つけると、声を上げてから、駆ける。
其処には知った相手1人と、見知らぬ相手が1人居たが、特に気にすることも無く。
相手が無事そうな様子を見れば、安心したように]
無事だったかあ、よしよし。
"妙なの"…じゃねえ、フェイト、だったか。
お前さんも一緒だったんだな。
──で、其方の嬢ちゃんは?
[周りの面々も含めて、声を掛けただろう。
自己紹介をされたなら、自身も名乗って返す]
《はやく きて》
《あいたい》
[子供じみた素直な言葉を、機械仕掛けの"テレパシー"に乗せた。
そして、ソラを仰いで、彼が飛んでくる姿が見えてくるのを、待つ。
フランを抱く腕は少しだけ緩めるものの、離してしまう訳でもなく――]
…っと…ごめんなさい、テルオ君。
先に行っててくれる?
[先導しようとしていた少女が、はたと止まる]
やっぱり、今回の戦闘の功労者だものね。
ユージィンも誘ってやんなきゃ。
損害が出たんなら、そっちの修復に関してもうちの市から協力受けたぶんのお返しはしなくちゃだし。
ちょっと話しつけてくるから、先に行ってて頂戴。
適当に誰か捕まえれば、案内は頼めるはずよ!
[告げて、艦橋へ続く道を戻る。テルオ少年がどうするか…たとえばついてきても、それを止める理由はないし、先刻の笑顔を思えば何の心配もないと判断して]
…なに?どうしたの?
[辿りついた艦橋。叫び声を上げるユージィン>>249の姿が、そこにあった]
[むにゃむにゃと、無防備な寝顔晒しながら。
小さく口が動く。]
『ま、ちがえる、な。
――これは、――終わりじゃなくて、始まり、だ。
”セカイ”は過去の遺物ではなく、今を生きる者が守る事を君たちは選んだのだ。
だから、ま、ちがえ――るな』
[それは、エリーの声ではなく、
この場にいるルッカ達には聞き覚えはないだろうけれど。
多数の顔にいた、”最初の一人”の声。
それは、そんなの大きな声量でもないはずなのに辺り一体に、響き渡っていく。
彼流の、最後のメッセージだったのかも、しれない]
おやすみ。
良い夢見てよ?
[自分にしがみついて眠るエリーを撫でながら、
何かうれしくなって小さく笑う。
明日からはどうしようかと考えたりしながら、
風に飛ばされて行く灰色を眺めていた。]
…良いね。こういうのも。
[呟きは、誰に向けた物だったのか。
ソレは、自分にも分からない…]
…守ってみせるよ。
エリーが生きるための未来だもん。
………幸い、時間は人よりあるからね…
[『誰か』の声に、呟くように返す。
まだ見つけて居無かった、命と引き換えにしても守りたい相手。
今ようやく見つけた相手を撫でながら、
呟いた言葉は届いただろうか…]
って……、知り合い、だったのか。お前ら。
["フェイト"、アカデミーに居た頃にその名前をおぼろげにでも聞いては居たような気はしたが。
何にしても、はっきりとその名を意識したのはこの時で]
っと、ああ、この子は――
[フランからの名乗りがあるならば、自ずから口にはしない心算だった。
何にしても"フラン"という名はここで伝わることにはなるのだろう]
俺の、妹。
[むにゃむにゃと、あどけない寝顔。
ちょびっとよだれが口元について、ころん、と寝返り。
撫でられているのが、夢にでも影響しているのか、嬉しそうな、甘えているような表情で。
声の主にはもう届いていないだろうけれど。
地味に頬が赤いのは、きっと気のせいである。]
[メイドは人ではないから間違えない。人ではないから容赦しない。人ではないから……感情がない。論理と生まれた目的と効率を優先する。
だから、その理論と結論は変わらない]
[救いを求めるような視線が、市長を捕えた]
あ……。
[何度か見上げた空にはもう、孔は無い。
つまり、見送ってもらったエリーや他の皆もおそらくは無事なのだろう事は天使にも理解は出来る、はず]
んー…
あいつら、裏宇宙からちゃんと帰って来たんかな。
後でちょっくら行ってみようか、姉貴。
[幸い、あの巨大な姿…ダイシチョーは此処からでも目視出来るのだから、一声くらいはと思っての事。
ハニエルの内部がまた温かな光に灯される、是の印]
…また、なっさけない顔して…
『あ。』じゃないわよ。
何があったのか手短に説明なさい。
[市長の職にある以上、助けを求める視線は見慣れている。
そのすべてを助けられるものではないということも、経験から分かっている。
けれど]
協力は惜しまないわよ。
あたしはあんたたちに借りがあるからね。
[陣桜市に帰ってくることができたという、大きすぎる借りが]
そう……そうだ。
市長がいる!
ねえ、ジュリエットさん! ジュリエットさんの今回の大成果っていうのは、あくまでダイシチョーに装纏したからこその結果だよ。
だから、けしてジュリエットさんが最強ってわけじゃない。ジュリエットさんが地球に対して脅威になったら、きっと市長が止める!
だから……その2は解決するよ。
[言い募ってから、市長に向かって早口で説明する]
ジュリエットさんが、ここで自壊するって言うんだ。
役目が終わったし、このまま存在していたら、自分の役目に矛盾するって。
──なんだい、そんなに待ち遠しかったってか
[通信と二重で届く其に、軽く噴き出した。
実際に聞こえた声は、少しばかりぎこちなかったが…復帰したてだったからだと思う事にする。
そう経たぬ内に相手の声の調子も戻っただろう]
──おう、そこまで詳しい訳じゃないけどな。
[知り合いだったのか、と言われた声には、軽い調子で返し。
続けて、相手に紹介されたのは──]
妹だあ?
えーと…お前の、だよな?
[──予想していなかった答えに、確認する様に、イルの事を指差して尋ねただろう]
えっ? どうしたの?
[立ち止まった明朱佳>>262に、きょとんとした顔を向ける。
けれど説明を受ければ納得して]
そうだなー、ユージィンさんにはオレもお世話になったし。
[と、艦橋に戻る明朱佳を見送ったが]
……あ、オレからも頼んだ方がいいのかな?
[ふとそう思い直し、彼女の後を追おうと足を踏み出しかける。
――その時だった、聞き覚えのない声>>263が耳に届いたのは]
……わかってるよ。
[声に向けたつもりで、呟く]
フランとも約束したんだもんな。
――絶対に、守ってみせる。
なるほど、ね。
[ユージィンの言葉と、ジュリエットさんに言い募っていた言葉と。聞いて、事態を把握する]
役目って、地球救済?
それが終わったって?
ばか言ってんじゃねーわよ!
肉塊ぶっ飛ばすだけぶっ飛ばしてそれで地球の英雄気取り?
はんっ。笑わせないで。
地球はそんなちっちゃくねーのよっ!!
[事実、怨念ゴーレムを操る秘密結社や、私掠に走る軍事組織、その裏で暗躍する死の商人たちなど、地球の敵など挙げ連ねたら枚挙に暇がない]
あんたが最強ですって?
たかが武器風情が。人間なめてんじゃねーわよ。
敵になるってんならやってみなさい。
あたしが!あたしたちが完膚なきまでぼっこぼこにぶち潰してくれるわよ!
[その言葉はジュリエットさんに。ユージィンが聞いたらどう思うかなんてのは、この際斟酌しない]
ああ、俺の妹だ。
髪の色は違うけど……それでも、俺のたったひとりの妹。
ずっと、離れてて……でもやっと、会えたんだ。
[その言葉には、何の迷いもない。
腕の中のフランを、もう一度見下ろした。
其処に居るのは確かに、入坂結理人の"たったひとりの妹"の姿]
ふたりで、一緒に帰ろうって……暮らせるって。
……フラン。
[この言葉は暗に、スコルと一緒には暮らさない、ということを示してもいて]
あーあ、よだれ付けちゃって…
ほら、一応女の子なんだから。
まぁ、それだけ信頼されてるってことなんだろうけどさ。
[微笑みながらエリーの口元を拭う。
ダイシチョーの方を眺めて、
宴が始まったら花火でも上がるだろうかとふと思ったり。]
―エピローグ/1ヶ月後―
[地球の命運を賭けた戦いから1ヶ月。世界は少しずつ、元の姿を取り戻しつつあった。
少年の通う公立中学校にも、避難所やシェルターで生活していた生徒が戻り、授業も平常通りのスケジュールで行われる事が多くなった。
そして、先の見えない戦いの中では疎かにされがちだった、あのイベントも巡って来る]
『目賀田 照夫くん。入って』
[担任教師の落ち付いた声に呼ばれて、返事と共に放課後の教室へ入る。
担任以外の姿はない。二人っきりだ]
『目賀田くん。――これは、本気かい?』
[言葉と共に担任が机の上へ広げたのは、「進路希望調査」と題されたプリントだった。
幾つか並んだ項目の内、1.進学希望の所に丸が付けられ、下の空欄には志望校の名が書かれている]
『ここは工業系じゃなくて、普通科しかない進学校だよ。
それに、今まで希望してた高校からすると、3ランクくらい上になるけど』
[何かの間違いではないかというように、担任は言うまでもない事を口に出して確認を取ってきた。
それに対し、少年は驚きも迷いも見せず]
はい。ここの高校に入ります。
頑張って勉強すれば、なんとかなるでしょ?
―9年後―
『――続いてのニュースです。ゼペット社開発の音声コマンド式自律歩行人型ロボット「フェロッキオ」が一般公開され、早くも話題を集めています。
メカバトルアリーナでのお披露目には、研究主任である葉加瀬 機作氏も姿を見せ――』
[真新しい、六畳一間のアパートの一室。
そのど真ん中で、胡坐をかいてご飯を掻き込みながら、青年はテレビを見ていた]
っと、ヤバい。遅刻遅刻!
[口の中の米粒を味噌汁で流し込むと、テレビを消し、慌てた様子でテーブルの上を片付ける。
始めたばかりの独り暮らしは慣れない事だらけで、生活のペースも未だ掴めていない。
ただ、今日は絶対に遅れてはならない行事があった。
身支度だけは念入りに整えると、駆け足で部屋を飛び出していく]
おはようございまっす!
[青年がその場所に到着した時には、既にほとんどの人が決められた場所に着席していた。
多くは緊張した面持ちで、今は無人のステージ上を見詰めている。
程なくして、舞台端から歩いて来た人物が「市長」と書かれた席に着くと、緊張の度合いはピークに達した。
――期待に胸躍らせたような表情で、その席を見詰めている青年を除いては]
『時間になりましたので、一同、ご起立願います』
[ざん、と、一糸乱れぬ音が響いて、全員が起立する。
青年の視線の先で、市長も凛とした姿勢で直立していた]
『只今より、○○年度陣桜市入庁式を開会致します。
一同、礼!』
[司会の号令と共に、青年はぴしっと上体を45度曲げお辞儀した。
その胸には、真新しいネームプレートが光っている**]
〈すぐやる課 目賀田 照夫〉
[>>274>>279ふたりの言葉を聞き、メイドは静かに頷いた]
「お忘れですか? 私は「進化する武具」です。
相手が強ければ強いほど、それを学習し、それを取り入れ、それを越える形に変化する、それが私の特徴です。
生身の「英雄」はいつか寿命が来ます。しかし、私は違う……」
"──そっか…待たせて、すまなかったな"
[俯いた相手から届いた其に、同じ様に通信を用いて返し
自身とフェイトを交互に見やる相手へ]
そうかそうか、俺はお前さんに会うの、待ち遠しかったぞ。
[──なんて、言って見せたり]
─
[相手の言葉を聞いていれば、余程大事なのだろう。
その事が良く分かった。
腕の中にいる妹、とやらに視線を移すも、直ぐまた相手へと戻して]
──大事に、してるんだな。
[暗に伝えられた其、けれど仲睦まじい様子を見せられれば。
何かを言う事も躊躇われて、口を閉ざす]
[よだれを拭いてもらえば、こう。
真っ赤なまま、地味にプルプル震えている。
…………狸寝入り、しっぱい。
してるのに気づかず続行する有様である。]
[青年の瞳に絶望が落ち……だが、やがて疑問に変わって行った]
ねえ……ジュリエットさん。
地球救済が完了してないってことは、市長に同意だけど……。ジュリエットさんは、完遂した、と一度は判断したんだよね。
じゃあ、きみはなんでその時に、即座に自滅しなかったんだろう。
きみはなぜ、今ここにいて、今ここでそれを言うんだろう。
ジュリエットさんは聞いたらなんでも教えてくれるけど、逆に言ってって言われないことは、基本言わない。
きみは……もしかして……。
僕に、自壊を止めて欲しいんじゃないかい?
「現状では、その質問に返答できません、ご主人様」
[青年は、自分の服を握ったり放したり、自分の髪をひっぱったりして考えた。考えた……]
あんたこそ忘れてんじゃねーわよ。
あたしは。あたし『たち』って言ったのよ?
そりゃ生身の人間は有限よ。
あたしだって、そりゃそのうち死ぬわよ。
けど、人間は。あたしが守った陣桜市はなくならない。
『進化する武具』?上等じゃない。
あんたの進化と、あたしの陣桜市の進歩。どっちが上か、競って見る?
とーぜん、負けてやる気はないけど。
[自信満々不敵に笑う。 少女が守った陣桜市は、少女一人で動いているわけではない。少女がいなくとも、立派に戦場へと駆けつけて見せてくれた。
その事実が少女の誇りで、自信だった]
…余計だったかしら?
[ユージィンがさらに言葉を重ねる姿には、ふと首をかしげながら]
………
[震えているエリーを見て小さく笑い、
ひたすら頭をなでることにした。
狸寝入りして居るのなら、
我慢できなくなって起きて来るまでなでるまで。
…やってる側は恥ずかしくないからできることである。]
―――…いや、むしろ俺からすれば
お前ら知り合いだったのかって言いたいくらいなんだけどよ。
しかもなんかすげぇ仲良さそうだし。
確かに俺は愛の天使、ハニエルだけど…そーかそーか。
まあなんだ、険悪なのよかマシだよなあとは思うけどよ?
[天使の方こそ青年とスコルを交互に見、何かを知ったかのように腰に手を当てて何度も頷いて見せる。
大丈夫、この残念な天使は知っているようで何も知らない。]
ジュリエットさん。
きみの目的を、優先順位の高い順に言って。
[青年の言葉に、ジュリエットは答えた]
「1:自己の完成
2:地球の救済
<越えられない壁>
最終:あなたのメイド
……という順となっています」
――10分後――
[真っ赤なまま、まだ耐えていた。
ただし、頬が赤すぎるくらいになっているけれど。
寝返りを打つ振りをして、ごまかしてみて]
――1時間後――
[目が覚めた振りをして、かるーく伸びをして、目擦り。
エリーがTKOである。
起きた振りをしたけど、耳まで真っ赤、という体たらく。]
その……。
第一位と、第二位がいつか矛盾するから、両立できないから、自壊するって言うんだね。
ジュリエットさん。フレーム問題だよ、それは。
ロボット三原則が搭載されたメカなら、すでに解決案が提示されてる。
簡単に言うとね……。
答えが出ない時、矛盾して解決策が存在しない問題は、「一時保留」にするんだ。
ジュリエットさん。それは、今決めることじゃない。
将来的に、実際にジュリエットさんが脅威になってから、考えればいい。
だから今は……。
その最終目的、「僕のメイド」でいて。
アポカリプス・ナウ
[何時かの時へ向けて、わたし達は行動するだろう。
そして、何時しかわたし達はこう呼ばれるに違いない。]
ヤバンナキョウジンタチ
[*MAD PEOPLE*―――と。]
[然しそれは未来の、もしかすると平行世界の、話かもしれない。
全ての可能性は枝分かれ前の運命の幹に全て宿っているのだ。
それに今は―――…]
初めまして。
おにいちゃんの妹のフラン・A・入坂です。宜しくお願いします!
[スコルへ、綺羅綺羅光る黒眼と共に笑顔を向けて、兄の胸に顔を寄せるのだった。とても、幸せそうに―――…。]
ジュリエットさん……愛してる。
……だから、たぶん喜びのベアハッグはだめだめだめだめ! 折れちゃう背骨折れちゃう!
あっあっあっ、ミシミシ言ってる! なにか聞こえてるから!
あっ……!! 死にそうなくらいにイイ!!! もっと!
《……ばか ううん きてくれて ありがと》
[殆ど口癖のような愚痴を、通信に軽く載せてしまいつつも。
静かな穏やかな表情を、貫こうとしていたのだったが]
えっ、
(『な……』)
[待ち遠しかった、という言葉に、瞬いた。
微かに洩れた胸の底の声を聴くことのできる"人間"は居ないだろう]
いや、その……ありがとう、おっさん。
だったら、俺も、その、嬉しくない訳じゃない。
[そんなことを口にしながらも、満更でもなさそうな顔色で]
ああ。
フランにとっても、俺は、たったひとりだから。
[幸せそうに、はっきりとスコルに名乗るフランにまた目元が少しだけ、緩んだ。
兄妹だと告げていなければ、恋人への惚気と受け取られても致し方ない、そんな柔らかい声色だった]
《 『……最初から、期待してなかった』 》
《 『共に、在りたい、なんて』 》
[青年の顔色は、柔らかい笑みを湛えたまま。
入坂結理人ではない、"イル"の声が、通信に一瞬だけ混ざる]
《……なんでも、ない。おっさん》
おはよー・・・う?
[ルッカの表情を見て、悟ってしまった。
ぼふっ。そんな音がするくらい真っ赤になって。
軽く目を背け]
き、気づいてたならいってよ……
――こちらGuardian Angel Type -Haniel-
そっちにゃもう解ってるだろうと思うけど。
見えてるダイシチョーに寄ってから、帰還する。
今のところは…色々、見届けたかったもんを見届けたから。
後の事はまた、その時に考える。
セメタリー方面、俺の座標の位置に数人乗りのジンロボ辺り手配しておいてもらえるといいんじゃねーかなー。
多分。
[チラ、と寄り添う兄妹と…兄と親しいらしい男とを見て。
流石に歩いて戻るには酷だろうし、スコルだけで2人を運ぶのは無理ではないかと思って、密かに。]
―9年後・陣桜市入庁式―
[その日。少女だった女性は、変わらず市長としてその場にいた。
壇上で新たな職員たちを見回して。そこに懐かしい顔を見つけて、片目を瞑って目配せをする。今から、市長の挨拶だ]
『みんな、よく集まってくれたわね。みんながそれぞれの意思でここに集まってくれたこと、あたしは嬉しく思う』
[告げて、一呼吸]
『難しいことを言うつもりはないわ。この街は、10年前のあの日から、今もずっと防衛の最前線よ。
そのことの意味は、ここにこうして集まっている時点で、あなたたちが一番よく分かってくれていると思う』
[そう。稼動因子が撒いた破壊の種は、今も地球のどこかで芽吹いている]
『あたしの言葉に従うだけじゃなくていい。あんたたちは軍人じゃない。
あなたたちは、あなたたち自身の意思で、目の前にある危機と戦って頂戴。
それが、市長としてあたしが期待することよ』
[言葉を切って。―――危機を知らせる警報が響いてきたのは、そのときだ]
『さっそく実践よ!各自各部署の指示に従い、力の限りを尽くしなさい!
あたしの、あたしたちの陣桜市を!あたしたち自身の手で守りぬくの!総員、散開!!』
[叫ぶような。どこか宣言するような声が行動に響き渡る。
市長自身もまた、自らの職務を果たすべく、市長室へ]
『機関室!準備いいわね! 目の前の敵をぶち砕くわよっ!!』
[その言葉を受け、『都市』は立ち上がる]
―エピローグ/1ヶ月後・その2―
[地球の命運を賭けた戦いから1ヶ月。
そこにはもう一つ、負けられない戦いがあった――]
『――そこまでっ! 勝者、目賀田 照夫!』
[審判の宣言と共に、周囲から歓声が上がる。
少年は、対戦相手のメカマリオンに覆い被さった形の自機を持ち上げてどかすと、操縦者に向かって一礼した。
割れんばかりの拍手の中、司会者が決勝戦の開始時刻を告げた]
[二度のお預けを喰らったメカマリオン世界大会決勝戦が、アリーナ跡地の仮設会場においてついに開催されたのだった。
会場は、1年前以上の熱気に包まれている。
その理由は、今大会の優勝最有力候補であり、今やメカマリオンプレイヤーのみならず誰もがその名を知る少年にあった]
ついに決勝、か……。
[しかし、会場を埋め尽くす程の観客の視線を浴びながら、少年の表情は晴れなかった]
うん、負けないよ。
オレが負けたら、みんながっかりするだろうから。
[かつてヒーローに憧れ、ヒーローの背中を追っていた少年が、今はいろんな人の期待と憧れを背負い立っている。
だから勝たなくてはいけないし、勝って来た。
きっとそれは、喜ぶべきことだ]
でもさ……
本当に、オレが優勝でいいのか?
オレが本当に、戦わなきゃいけない相手は――
[少年の憂いを余所に、司会は、決勝戦の対戦相手の名を告げた――**]
可愛かったから、敢えて言わずに見てた。
[悪びれもせず、きっぱりとそんな事を言いきる。
悪戯っぽく笑って、目を背けているエリーの頭を軽く撫でた。]
………大好きだよ?
[その言葉に込めた幾つもの意味は、
果たしていくつ読みとれただろうか…?]
―小さな箱の中からの言葉―
誰かの為に犠牲になるのは嫌。
誰かが誰かの為に犠牲になるのも嫌。
誰かが自分の為に犠牲になるのも嫌。
かっこ悪く突っ込んで、うやむやの内にそれが絶対に回避
させる事が出来るのなら…それは、良いかも知れない。
でも、きっとね。
フェイトはまだ自分にとって大切なものが無いからそう言えるのだと思うのよ。
本当の本当に大切なものが出来た時…同じ事が言えるのかしら。
その時が来たら、また応援しちゃおうかな?
それまでは大人しくしといてあげるわ。
大切な、弟。
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