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それは……その通り……
……なん、だ……が………。
[体を掴まれて、数秒停止。瞬いた。]
…………
そう…だ、な
なにしに……きたんだった……か……ね……
[揺れる世界の中で、体を掴む体温だけが確かな現実。
バランスが崩れれば抵抗する術もなく、
火浦真に体を預けた。]
……は、……ぁ……。しんどい……。
だけど……あったかい…な…。
[青木さんは目を瞑った。うっすらと微笑んでいるように見えた。]
ちょ……。
[予想外の状況に思わず言葉を詰まらせて。
思わず周囲を確認する。]
――、家どこだ。
近けりゃ送ってやるから。
………色々と危ない、いや本当に。
……あぶな、い……?
な………にが、だ。
[青木さんは言葉を詰まらせる火浦真を見上げた。
見つめる瞳も暫しの間。再び瞑って、息を吐いた。]
………家、か。
帰る……家が、
……あ…れば、よかった、のだけど……ね……。
………………、
青木総合病院を……知ってるかな……。
そこが、私のウチ……だ…よ。火浦、まこと。
………ここ数ヶ月、帰っていないけど……な。
[悪戯がばれた子供のように、青木さんは笑いました。]
最初に俺が危なくなって、
次にお前が青木が危なくなる。
っと、本当に辛そうだな。
[もう一度辺りを見回して、
一番手頃な空き部屋の扉を開ける。
恐らくは今は消滅したサークルが使用してた部屋だったのだろう。
いくつか放置された椅子の一つに青木をゆっくりと座らせた。]
ああ、あのでっかい病院な。
……なんだ、家出でもしてんのか?
[笑う意味が良くわからず、
少しだけ首を傾げる。]
― 地下迷宮 地下五階 ―
[水鳥 あきなが扉をくぐると、そこは部屋のようだった。
怪しげな光を発している部屋の中心には、長いローブを着た、小柄な男が立っている。男は、あきなに気づいて振り返ると、こう叫んだ]
「異邦人よ、消え去れ!」
[男は、ゆっくりと手を振り、念じ始めた]
“MAPIRO MAHAMA DIROMAT”
[あきなは何処かへ移送された。その行く先が迷宮の中の何処かなのか、大学の特別講習所――補習地獄と通称される場所――であるのかは、この男にもわからない事だった]
…?
私が危なくなる、は
…なんとなく、分かるが……
………ありがとう。
[椅子に座らせられれば、幾分か楽になる。
近くの机に身を預けてた。]
……そうだな。
家出、のようなものだ。
最近は、構内で寝泊まり…している。
……内緒だぞ。火浦真。
[しい、と自分の唇に人差し指を寄せた。]
理性的な意味で俺が危なくなって、
性的な意味で青木が危なくなるってことだよ。
[特に悪びれする事もなく、さらりと言う。]
まぁ、戻りたくないってんなら何も言わないけどな。
……それで大丈夫なのか?
― 翌日 本棟の何処か ―
うー、まだ頭ががんがんする……。
[昨日は、あのあと突然「鬼畜になれええええ」というサラウンド念波爆弾が脳裏に響き渡ってふらふらになってしまい、体調を崩して学校を早退してしまった。らしい。]
昨日のあれって結局なんだったんだろ。電波ドラッグか何かが可聴域外で鳴ってたりしたのかなぁ。怖いなぁ。
[ときおりふらつきながら、空は歩いている]
更新時間が24時間延長されました。
…せ、
[火浦を見た。]
…………
[右を見た。]
…………
[左を見た。]
………な、
なるほどな。
理解……した。
…ばかひうら。
[どこでもない場所を見ながら呟いた。
血流がよく聞こえるのはきっと貧血のせいだろう。]
…………
帰りたくない。
[顔を机にうずめた。]
帰っても……
………
…例えば。
例えば火浦は
やはり、夫人を獲得するとして
……この国の暗黙に、従うんだろう?
[一夫多妻。
一夫一妻は白い目でみられるアレ。]
理解してもらえたなら結構だ。
……言わせんな恥ずかしいとでも言っておけばよかったか?
[なにやらさ迷う視線を見て
思わず笑いを噛み殺す。]
帰りたくないってんなら何も言わねぇさ。
……まぁ、暗黙っつーか。
男が少ないってのは嫌でもわかるからな。
事実。俺とモリスン、それにサブロー他、数えるほどしか男いねぇし。
でもまぁ、だからって無理矢理女作る気なんぞない。
好きな奴は好きだし、どうでもいいやつはどうでもいい。
結果的に好きな奴が一人だってんなら、
それで良いと俺は思ってる。
それで文句言われるってんならあれだ。
その一人と10人ぐらい子供つくって周り黙らせてやりゃいいんだよ。
………、
[顔を向けて、火浦真の声を聴いていた。
彼の表情はいつもより真剣のようにも見える。]
ふ、ふふ。
10人、か。
……さぞかし、賑やかになるんだろうな。
火浦真の……家族は。
夢みたいな話だけど。夢の無い話より、楽しそう…だ。
名前も、ちゃんと、決めて…やれよ。
……途中、から、いい加減になったりすると
後で、うらまれるぞ。
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