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―本棟/屋上―
これ以上、上には行けないな……。
[給水塔のフェンスに凭れながら、空を見上げる。
そしてまた、手に視線を落とす]
一度ならず二度までも。いや、三度か。
いっぱい、助けてくれてたんだな、……ヤツカ。
あたしに、何か返せるものは、あるんだろうか。
一方的に助けられるのは、
友達とは、言わないだろう。
[空気を握る拳は、何も掴めそうにないくらい、小さい]
[夏空に入道雲、蝉の声。
考査が終われば夏休みだ。
今はその、目の前に立ち塞がる壁のことで
頭がいっぱいだけれど]
それにしても、
……微熱が引かないな。
いつから、だったか。
[じりじりと照りつける太陽に膚が焼かれる。
影に隠れて三角座り。
最上階の開けっ放した窓から、
教鞭を執る教授の声が明朗に聞こえてくる。
暗記内容と一致するから、恋愛学だろう]
落第するわけには、いかないんだが。
[魔法瓶は置いてきた。
白衣のポケットから、バニラエッセンスの瓶を取り出す。
屋上から投げ捨てようと振り被って――すぐにやめた。
もやもやした気分のまま、
飛行機雲が空に線引く下で、
触手が再生しきるまでの時間を潰している]
あの、久美様…大丈夫、です?
[ダンクシュートをきめる様子に眼を瞬かせ。ああ、何か見えた気がする]
久美様、それでは見えてしまいますわ。
売店で下着とか売ってらっしゃらないのかしら。
わたくし、見てきますね。
[売店に到着すると下着はないかたずねた
1.ボクサーパンツ
2.白いブリーフ
3.レースのTバック
4.グンゼパンツ
5.赤い褌
6.普通の女性用ショーツ
1(6)5(6)が在庫にあるようだ]
あら、男性用しかありませんのね。
どうしようかしら。
未使用ならどちらでもかまわないかしら。
[少し考えてから93をひとつ購入した。
奇数:ボクサーパンツ
偶数:赤ふん]
[ボクサーパンツを受け取り、久美のところに戻ってきた]
久美様、残念ながら女性ものがおいてなかったのですけれど、これを下に。
赤い褌よりはいいと思うのですけど。
[ボクサーパンツを差し出した]
ありがとう、早綾さん。
・・・あたしちょっとやすんでくるね。
[上気した顔でボクサーパンツを受け取り、エドをぽいとほてかるとフラフラどこかへ立ち去った。]
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