63 ふつーの恋愛村
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【赤】 メルダース家長女 イルゼ
>>*69
例え死んでしまってもお別れってわけじゃないわ。
その顔が見れなくなるのは少し残念だけどね・・・。
【赤】 メルダース家長女 イルゼ
それに何だかんだで全部貴女に任せてしまったからね。
貴女にもう1度会う前に・・・。
1人くらいは、こっちに送ってみるわ。
シアーズみたいに生きてるままでなく・・・。
執事 エリック
[風よりも速く、木々の間を縫い、駆け抜ける。]
見えたっ……
[遠くに浮かぶシルエット。少し開けた場所に力なく蹲るターシャを
見つけ、...は更に速度を上げる]
庭師 ターシャ
［遠くから足音とかなりの高速で
走ることにより生まれる風切り音が聞こえる。
人では不可能な速度で走り近づくこの気配は……］
……エリックさん……
庭師 ターシャ
あはっ……エリックさん……こんばんわ……
……今夜もええ月夜ですねぇ……
［自らの体から零れた血で赤黒くに染まった
ボロボロの庭師装束に身を包み、
虚ろな瞳で微笑みを浮かべる］
……ウチを、殺しに来てくれはったんですね……
執事 エリック
えぇ。
本当に……良い月夜です……
[見上げた空には、煌々と闇夜を照らし出す満月があった]
殺す……
[空を見上げたまま呟く。そして柔らかい微笑みをターシャに向け]
そう。あなたを……
ターシャさん、あなたにとどめをさしにきました……
庭師 ターシャ
［ぼやけた視界の中、相手が微笑んだように
見えたのでこちらも微笑み返す］
……あはは……ウチがこんなこと言うのもなんやけど……
出来るだけ優しく殺してくれると嬉しいですわ……
［ごほっ、と咳き込んでまた血の塊を吐く］
執事 エリック
[そのあまりにもな言葉に、...はただ苦笑するしかなく]
優しく……ですか。
何と言うか、またえらく我侭なことを言いますね……
良いでしょう。なるべく期待に沿えるよう、善処しますよ。
ところで、この世に思い残す事はありませんか？
例えわずかであっても、同じ屋根の下で過ごした仲です。
ひとつだけ、聞き届けましょう。
庭師 ターシャ
ふふ……我侭言うてすいまへん。
……エリックさんには最後まで
お世話になりっぱなしですねぇ……
……思い残すこと……ですか……
そうですねぇ……やっぱり……
ウチを拾ってくれた旦那様と奥様にご恩返しが
出来とらんことが、心残りですわ……
執事 エリック
[...の笑顔が凍りついた]
そ、そうですか……確かにそれは心残りでしょうが……
ま、まぁあれです。あなたの主には、私から伝えておきましょう。
戻って来れなくなったと。それでよろしいですか？
庭師 ターシャ
……ええ……それでかまわへんです……
［満月を見上げる。いつもなら見るだけで
高揚感を覚えた蒼い光。だがそれももう感じない］
………ああ……ほんまにええ月や……
執事 エリック
わかりました。残念ですがターシャさん……
そろそろお別れの時間です。
[...はターシャを抱き起こし、後手に抜いた短剣を
首筋から頭蓋に向けて、突き立てた]
ターシャさん……あなたとは、もっと違った形で出会いたかった……
庭師 ターシャ
ええ……そうですねぇ……
［迫り来る短剣を見つめながら微笑み］
……エリックさん、ウチはエリックさんのこと……
［ドスリと突き刺さる短剣の音を聞きながら、
意識が漆黒の暗闇へと堕ちていった］
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