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[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
追われし者 ユーリー は 忌み子 リディヤ に投票した
城主 イライダ は 忌み子 リディヤ に投票した
アナスタシア は 忌み子 リディヤ に投票した
海賊紳士 トリス は 忌み子 リディヤ に投票した
敗残兵 ベルナルト は 忌み子 リディヤ に投票した
伯爵令嬢 カチューシャ は 忌み子 リディヤ に投票した
貿易商 ニコライ は 忌み子 リディヤ に投票した
忌み子 リディヤ は 城主 イライダ に投票した
騎兵長 グレゴリー は 忌み子 リディヤ に投票した
オリガ は 忌み子 リディヤ に投票した
フィグネリア は 忌み子 リディヤ に投票した
遊牧の民 ナタリー は 忌み子 リディヤ に投票した
薄命の青年 ロラン は 忌み子 リディヤ に投票した
ヴェロニカ は 忌み子 リディヤ に投票した
忌み子 リディヤ は村人の手により処刑された……
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、追われし者 ユーリー、城主 イライダ、アナスタシア、海賊紳士 トリス、敗残兵 ベルナルト、伯爵令嬢 カチューシャ、貿易商 ニコライ、騎兵長 グレゴリー、オリガ、フィグネリア、遊牧の民 ナタリー、薄命の青年 ロラン、ヴェロニカの13名。
まぁ、イライダさまが…?
いつの間にそんな事が
[その口調はどこか上の空だった。
押し寄せる色彩の波を追い払おうと精一杯だったのだ。]
―食堂―
とにかく、様子を見ないとどうにも始まらないですよ。
城主様の姿もお見えにならないんだ。
……いつもあのお部屋にいらっしゃるとは限らないみたいだし。
[ユーリー、グレゴリー、そしてアナスタシア。
彼らの意見の対立は最もだろう。他人事のように思う。
声が聞こえずともよい。なんだか、急に色々なものが遠く感じた]
ごちそうさまです。
[改めて食後のあいさつをすると、唐突に立ち上がる。
残る人々にひらりと手を振って、食堂から姿を消した]
なんであれ、秩序の為に皆して一カ所に押し込められるなんて気の重い話ね。
[その場に残ったのはどれほどの人数だろう。
食事はとうに終わっていた。ゆっくりと腰をあげる。立ち上がれば目の前が昏くなる、目眩]
御馳走様。
誰かと共に、いればいいのでしょう?
[先に立った者を追いかけられる程の速度は出ない。
暗い視線を巡らし――ナタリーに笑んだ]
お嬢さん、私と――書庫にでも行かない?読書がお嫌なら、音楽室か、庭でもいいわ。気の晴れる所へ。
[互いに身を寄せ合うことへの不安。
吸血鬼の毒は確実に人の心を侵食している。]
おまえたちは、
人を信じることなく、光の道を歩めるのか──?
[そう告げる自分の中にこそ、人間性への昏く深い煩悶があるものを。
またひとつ、人としての何かが欠け落ちる。]
何度も何度も……ですか。
何故貴女がそれを知っているのか、気にかかるものですなあ。
[貴族の末弟とはいえ爪弾き者。
そういった者に回ってくる情報など、高が知れている。
現にリディヤの言葉がなければ、吸血鬼という言葉にたどり着かなかったことだろう。]
何度も何度も繰り返し行われていて、軍に情報が下りてこないとは……。
案外、貴族社会も深いものですな。
[信用ならないという言葉に、嘆息>>0。
――全員を騙し通せるほどの力はなかった、転職は諦めよう。]
まあ、言葉のみで論じても空しいもの。
結果を見て御賞賛を頂戴できれば、それに越したことはありません。
[慇懃に礼をし、フィグネリアの後を追った。]
[フィグネリアの後ろ姿を捉え、声をかけようとすると
彼女は礼拝堂を見て立ち止まった。
思わず礼拝堂を見ると見覚えのある影―]
あれは…
[思考より先に体が動いていた。男は礼拝堂に向かって走りだした]
―ごちそう様、でした。
[会話を聞きながらも食事を終える。]
[きゅっと組んだ両手におでこをちょんとあてて、感謝の意を。]
[退出していく人たちへは、視線だけで会釈を送っていたのだろう。]
[もう一呼吸してから、自分もと思ったが…。]
あ、ええ。
私も書庫には行ってみようと思っていました。
[アナスタシアに笑みを向けられて、瞬きながらうなずいた。]
逆に…
自身が不浄なる魂の持ち主であれば
怯える事なく、相手を選べるでしょう。
わたくしは、何か異な事を申し上げていますでしょうか?
―酒庫―
おっ、俺のカンもたまには当たるみたいだな。
[青年が姿を現したのは、ひやりと冷気のただよう酒庫であった。
樽や酒瓶から漏れるワインの気配。
物知らずの身でも分かる。これは上物だ]
ニンゲンの身ではこれで十分だよなー。
吸血鬼は、こんなんじゃ足りないのかねえ。
[だれも居ないのをいいことに、一本年代物の瓶を失敬する。
暗がりに、中の液体は儚い輝きを放った]
[そう言いながら、何か自分の言葉>>13にひっかかった。
何かが頭の片隅にひっかかっている…。
真実に近い何かが。
だが、同時にそれは打ち明けるには危険に思えた。]
― 礼拝堂 ―
[礼拝堂に駆け込むと、薄日が差し込む先にうつ伏せで倒れている人影―
それは紛れもなく昨日見た…赤いケープ]
リディヤ…?
[男は慌てて倒れている人影のもとへ駆け寄った]
―廊下―
[アナスタシアに応えている間に、随分と距離が離れていた。]
あちゃー、どこだー?
[偶然外を眺め、フィグネリアの姿を認めた。]
居た。
[慌てて駆け出す。]
[目の前に倒れていたのは、やはりリディヤだった。
彼女が倒れている床は…血で溢れており、すでに生きてはいないであろうことが容易に推測できる]
リディ…ヤ
[男は何の躊躇いもなくリディヤを仰向けにした。
彼女の胸には―ロザリオが深々と刺さっていた]
な…ぜ……
[複数の目があれば、確かに吸血鬼は動きが取りにくいのかもしれない。]
[けれど、相対して間もない人々がその状況を許すか―]
[それは自分が言うよりも他の人たちが口々に拒んでいるのだった。]
[自分は別にそれでも構わなかったけれど。]
じゃあ、私もこれで失礼しますね。
[書庫へと向かうために立ち上がって、にこりと会釈を。]
[アナスタシアの側に行けば、ふらりとする様子に手を伸ばした。]
だ、大丈夫ですか?
[腕を貸して欲しいと言われて、こくこくと頷いて。]
えっと、書庫って2階でしたっけ、行きましょう。
[アナスタシアを支えながら食堂を後にした。]
[無意識のうちにロザリオを引きぬき、握りしめた。
―その手が小刻みに震える]
…………っ!
[男の目から涙が一筋……頬を伝った。]
闇に堕ちる、か。
……闇に墜ちたら、俺は亡霊連中の声を気にしなくて済むかな。
そんなら、いっそ――
[光があるから、影が見える。
影の存在を、より色濃くしてしまう。
それならば、いっそ影に溶けてしまいたい。光の世界にいたって、亡霊を招く機会はある日突然やってくるものだ]
何も知らない……貴族の箱入り連中が。
[呟いた声は己も驚くぐらいの憎悪に満ちていた。
低く舌打ちし、酒瓶の栓を抜いて一口煽る。葡萄の味がした**]
―礼拝堂―
[ステンドグラスの色を纏う光が、祭壇に降り注ぐ。
厳かで幻想的な光景。そこに十字架がなくとも十分すぎるほど。
ああ、でも。
視線が逸らせない。広がる赤、そこに横たわる――]
――――……あ、ぁ……
[十字架はあった。血に濡れ、鈍く光を浴びて。
ゆらり、彼女に寄り添うニコライが視界の中で霞んでゆく]
-- 廊下 --
いいえ。
私も…ちょっと。
[どうしたらいいのか困っていたのは自分も同じ。]
[アナスタシアに礼を言われてふるふると首を振った。]
えっと…ナティア、です。ナティア・コサリコフ。
ナタリーって呼んで下さい。
[アナスタシアを支えながら、名を告げる。]
[昨晩とは微妙にアナスタシアの様子が違うのを感じていた。]
アナスタシアさん…本当に、大丈夫ですか?
無理なさらず、お部屋で休まれた方がいいのではないかしら?
[地階から1階へ上がると日の光が強い気がした。]
[もう一つ階段を上り2階へ着いたとき、書庫へ向かうかどうするか首を傾げた。]
-- 書庫 --
はは、それも…そうですね。
では行きましょうか。
[屈託なく笑って書庫へと足を向け、その後聞こえた言葉にえっ?と。]
か、かか、可愛いなんてそんな。
ええ。これは皆が持ってる服で…お祭りとかで着るんですよ。
[ありがとうございます、とにこりとしたけれどすぐに表情を翳らせた。]
でも、私…アナスタシアさんや城主様みたいな素敵な人になりたいな、って。
城主様は肖像画でした拝見したことないですけど…。
[そう言ってはっとする。]
[恥ずかしくなったのか、ちょっと焦りながら書庫の扉を開けた。]
[本の保管をするための部屋には、明かりを取るための窓。]
[今度はすこし薄暗くて、また目を細めた。]
[書庫に入ると、ナタリーの腕を外して改めて礼を言った。
インクと皮の薫に包まれる]
さて……
[棚の一つ一つを、*あらためていく*]
――よいこだね。
[素直に返事をするラビの首筋へとくちびるを寄せる。
其処は昨夜ロランが口接けた場所。
白く艶やかな肌からは薔薇の香りがした]
嗚呼、一年――…
キミが此処に来て経た歳月だ。
師は三月で屈したというのに、ね。
[脱がさぬまま指先はその輪郭をなぞり臍を擽る。
あの玲瓏な響きも城主は好ましく思っていた。
ラビの内に宿る血が本来の持ち主の力に反応して
焦がすような熱を強く持とうとするか]
ああ――…
眠り姫、キミは、生きたい?
[先ほど語られなかった問い掛けが終ぞ零れる]
―本棟四階/居室―
――…あの薔薇はあのことの思い出。
穢してはならぬモノ。
[常よりも低い声で呟いて寝台に膝をつく。
名も知らぬ赤いケープの少女が別の場所を望んだなら
気が進まぬながらも連れてゆきはしただろうが
あの場所だけはそのままが良いと思う。
白薔薇の似合う穢れなきディアーナ。
けれど今腕にある白は別の魂――]
ふふ、その時期になったらご招待しましょうか?
[くすりと笑って首をこてり。]
[もちろん、ここから出られたらの話ではあるがそれは敢えて口にはせず。]
えっ?
[その後のアナスタシアの言葉>>48はすごく意外だった。]
[口は悪い、木や屋根に登る、スカート嫌い…挙句乗馬まで。]
[自分と殆ど同じじゃないか、と。]
えっ…それって…私も、ですけど。
[彼女の時が止まってしまっていることは知りもしない。]
[今はこのままでも時が来れば女らしくなる…ということだろうか?と捉えた。]
だって、画だけでも魅力的で…。
本物はどんなにかと思うとそわそわしちゃいます。
[城主に対しての言い方に違和感を覚えたが、抱いた憧れは消えることはなく。]
何か、調べごとでもあるんですか?
[書棚を見始めたアナスタシアに問いながら、自分も別の書棚を見上げる。]
[自分が探しているのは、吸血鬼についての記述。]
[どうも自分だけ、危機感が希薄な気がするのだ。]
[それはもちろん、噂や伝承の伝わり方が緩いし、実感が湧いていないせいなのだが。]
えーっ、と。
[背表紙をじーっと眺めていく。]
[何を探しているのかと聞かれたなら素直に答えるのだろう。]
[吸血鬼を知りたい、と。**]
[トリスの言葉がどんなものであれ、拒む心算は元よりなかった。]
分かりましたわ。
出来るか分からないけれど、お約束します。
[だから。]
嗚呼……。
早く、早く、お逢いしたいですわ。
[うっとりと、心からの願いを乗せて漏れ出る吐息は甘く。
始祖に魅入られたる娘の貌は、城に来てから最も美しい笑みだっただろうか。**]
[男はすでに冷たくなっていた少女に語りかける]
リディヤ…なぜ一人でいってしまったんだい?
リー…リャ……!!!
[愛称が口をついて出た瞬間、男は目を見開き、膝から崩折れる]
リーリャ……!!
[男の記憶から封印されたはずの…
二度と思い出すまいと決意したはずの…
それは男の―娘の名]
だから……そう…だった…んだ。
[今となってはわが子の顔も朧げなのに、リディヤの名を聞いた時から言いようのない愛おしさを感じていた。
それが何故か分からなかったが…気づいたときにはもう
何もかも手遅れだった]
好い声で啼く……
[愉しげな音色を滲ませた。
ラビのうなじに顔を埋めあたたかな舌を肌に這わせる。
一対の鋭い牙は宛がうこともなく――]
嘘を言っても仕方あるまい。
キミの啼き声を聞いて、あれの心も折れたらしい。
今は我が僕となり従事している。
[影のまま姿を現すことなくある眷属の一人がそれなのだと。
やわらかそうなくちびるから紅く濡れた舌先が覗けば
首筋に埋めた顔を離しラビの眸を見詰める]
[名を呼ばれるのは心地好い。
求める声はなによりも心を揺さぶるよう。
ドレスの裾を捲し上げ濡れた気配ある其処を外気に晒そうとし]
――…イヤなら止める?
[首をかしげ問い掛けて、いやと紡ぐラビの唇に口接けを落とす]
私、と。
キミの師、と。
刃向かわぬなら、逢わせてあげるよ。
[内腿を撫でれば震えが伝わり城主は愉悦を滲ませた]
[震える咽喉の漏らす音色が耳朶を擽る。
白い咽喉――思わず牙を立てたくなる衝動を抑えこむのは
魂に喰らいついても眷属に出来ぬから。
ラビの誘うようなその喘ぎと仕草に城主の一部も熱を持つ]
――…あれには媚薬の香を嗅がせていたからね。
囚われの小鳥の囀りに欲を煽られ堕ちてしまった。
我慢できない、と。
欲しいのだ、と。
赦しを請うてきたよ。
[大事な者を奪った相手に容赦はしなかった。
責め苦は酷く昼夜を問わず行われた。
それだけ城主の怒りと哀しみは深かった。
庇護下にある者には格別の想いがある]
[吸い付くような絹の肌になぞりあげれば溢れた蜜が指先を濡らす。
ぬるりとあたたかな感触に誘われるようにその花弁に触れた]
本当に素直で――…可愛いね。
[抗い続けた吸血鬼狩りの弟子の姿とは似て非なるもの。
今は情欲に煽られ熱に浮かされるただの娘に見える]
こんなに濡れていたンだ。
[蜜壷を長い指先が掻き混ぜ水音をラビに聞かせんとした。
染まる肌、此方だけを見詰める眸。
今はその虜となったような態で彼女と睦みあう]
――…ラビ。
永久を望み我が眷属となるか――…
このまま身体が朽ちるのを待つか、どちらが良い?
[眠り姫は自らを魂だけの存在と理解しているのか如何か。
言葉を選び問い掛けるはラビのこれから]
キミが望むならば――…
望むものをあげるよ。
[一年退屈を紛らわせた事に対する報いか。
ラビ自身を気に入っているのか]
それほどまでに甘い囀りだった。
何時までも聞きたくなるほどに。
[クツクツと笑いながら信じようとせぬラビを見据え]
信じる信じないは自由。
会わす顔が無いとあれも暫くは現れぬだろうし。
[彼女の師の話をするのにも飽いたか
官能を知らせる吐息に誘われたか語るのを止めた]
いじわるなことを言われ反応してるのは誰かな……
[艶やかな嬌声を聞きたいと思いながら
ふ、と目を細め口の端から零れる銀の雫をちろりと舐め取る]
……漸く、聞けた。
あげると約束したからには迎えにゆくよ。
キミの身体、と……ロラン、は……
あれの返事次第になるけれど……
[望む声に満足げな笑みを浮かべ応えを向ける。
彼女の全てが今は自分のものだと主張するかのように
くちびるを塞ぎふかくふかく貪るような口接け]
ずっと傍においで。
全てが終わるまで、傍に。
[甘く囁けば水に戯れる指先はそろと引き抜かれて――
其れの代わりに濡れる花の中央に楔を宛がいて
彼女の望むまま快楽で満たさんとした**]
――…ン。
[微かに掠れたような音色が響く。
寝台から下りれば常と変わらぬ城主の姿]
咽喉、渇いた。
[気だるさを漂わせながらふらりと歩む先は水差しのある卓。
アヴァクームがかえたであろう水と注ぎ其れを煽る。
は、と息を吐き揺れる水面を見詰めた]
眠り姫を迎えにいかねばならぬか。
[眷属になることを望んだ白い小鳥。
始祖の血は彼女の身体を密やかに生かし続けていた。
深い眠り、仮死の状態はそう長くは続かない]
――…ロラン、ね。
[願われた事のもう一つを思い出し悩ましげな貌。
何れ会わねばならぬ存在の名を紡ぎゆると首を振る。
退屈を感じる間もないのだから喜ぶべき事だ]
ああ、あのこの所に行けば会えるのかしら。
[ぽつりぽつりと呟くも直ぐに動く気配はない]
――…抗う、か。
今回は眷属に害が及ぶことはないとは思うけれど。
[名も知らぬ生贄の少女の声は未だ聞こえない。
一年前の惨事を教訓としてか今回の宴では眷属を見えぬようにした]
血を流すを望むは人か魔性か。
嗚呼、武器庫の件も伝えるべきか。
[気が進まぬ気配を滲ませながら物憂げな吐息を零し
玻璃の湛える水をこくりこくりと嚥下する**]
―酒庫―
やっべぇな。
こいつは絶品だ。
[何口か葡萄の酒を呑んで漏らした感想。
朝食を食べたばかりではあるものの、喉にすんなりと染みこんでいく]
同じ『あか』だけど……味は全然違うんだろうか。
俺には血なんて鉄臭い匂いしか感じねーけど、飲む人が飲めば酒よりもうめえのかな……
[再び地下の暗がりに酒瓶を翳す。
戦場に散った『あか』も、こうして瓶に集められれば美しく輝いたのだろうか]
え、アナスタシアさんが反社会的だった…?
[アナスタシア>>62に想像できません、と首をかしげる。]
私も反抗的…な部分はありますけどね。
[活発である理由に姉への反抗心があることを今は自覚していた。]
[どうしても比較されるならば、違う土俵で姉の上を行けばいいと。]
[結果それが自分の願望を膨らませてしまうことになったのだが―]
[そこまでは気がついてはいない。]
―ん?
[舌打ちのような音が聞こえた気がして、瞬いた。]
[けれど薔薇が似合うと言われてうふふと笑う。]
薔薇が似合うって…私もちょっとオトナになったかなって。
そんな風に思っちゃいます。
[くすくす、と屈託なくうれしそうに。]
わっ、ありがとうございます。
[吸血鬼の伝承の本を受け取って、ぺこりと。]
[それから書棚を離れ、近くの椅子に座って頁を捲る。]
[おどろおどろしく描かれた挿絵やエピソードを流し読んで、これはと思った。]
[自分が抱いていた印象よりもずっと…恐ろしいものとして描かれている。]
[ただ、なんとなく得心が行かなくて―]
[ううん、と小さく悩むような声を漏らし*頁を送る。*]
どんなもんなんだろうな。
やっぱ痛ぇのかな。
[だれも居ない酒庫に、男の笑い声が響く。
臆病な青年は、首筋に掌を当てて笑う。
贄の少女の甘い声。彼女には傷跡はなかった――けれど]
よし。
こいつは失敬させてもらおうっと。
[瓶の口に無理矢理栓を詰めなおし、青年はボトルを抱えて酒庫を去る。
少しぶらついた後、部屋にボトルを置きに行く心算**]
──…。
[不安ならばひとりきりにならないように、と告げたことが、むしろ客たちの間に互いへの不信を増した様を観察している。
「誰がそう(吸血鬼)だと判らないのに」というヴェロニカの第一声は、避けるべきものが見えていない彼女の状況をストレートに伝えており、
即座にロランの体調を気遣うニコライは善良そのものと感じた。
このふたりが吸血鬼であることは、まずないと判断する。]
[他の者たちはよくわからない。
追従して疑惑を避けようとするようにも、そもそも相部屋に慣れていない貴族としての拒絶反応ともとれる範疇。
ベルナルトの興味なさそうな声に、彼は生きることに飽いたのかと少しだけ気がかりになった。
昨夜同様に目立たぬ態で食堂を出てゆく背を見送る。
彼を密偵として使えたなら便利だろうと思うが、その方面は現時点では未知数のまま。]
[感情を抑えることは慣れている。
貴族ゆえではない、そうせずにはいられなかっただけだけれど。
気づかぬうちに零れていた雫を拭い、
ふらつく足のまま、リディヤを抱くニコライの下へ]
――あなたは、Lily of the valley(鈴蘭)のようだった。
[彼女の顔を覗く。安らかに、微笑むようなそれ。
かすかに震える白い指が、少女の額に掛かる髪を直した。
ニコライはそれにどう反応しただろう。
誰かが礼拝堂に来るまで、ただ静かに佇んで**]
[吸血鬼の能力が伝承どおりなら数でかかっても太刀打ちできないと示唆するトリストラムに向き直り、テーブルに肘をついて指先を組み合わせた。]
孤立しないことによる得策を説明します。
数を集めることによる、犯行側への心理的圧力。
民間の方に、魔物を退治せよとまでは求めません。
相互監視によって、誰が敵なのか、発見さえすればいいのです。
後のことは戦い方を知る者――グリゴリー少尉がわかっておられる。
[立役者グレゴリーの仕掛けに加担した。]
しかし、聖別された武器についての貴重な情報…あるいは伝聞をありがとうございます。
[吸血鬼に関する伝承をすべて鵜呑みにしたら、この部屋は護符の類で埋まるだろうかと思いつつ。]
[ロランが投げかけた「人を信じているんですね。立派だなあ」というあっけらかんとした感想。
そして、「己を信じる前に、他人を信じるのか」というオリガの問い。
むやみに人の手をとるのは、信用ではなく盲信だとカチューシャは評した。
組んだ指先を軽く唇にあて、恬淡と抑制された声で応える。]
わたしは自分を疑ったことはない。
そして「他者は自分と同程度に信用すべきだ」と、これは父が常日頃、わたしに諭していたことです。
むろん、父はその信念を守った結果を身をもって示したのだけれど。
[──「人は自分が見たいと思うものしか見ない」
いにしえのユリウス・カエサルの言葉を思う。]
[自身の魂は清浄であり、怯えは正常だという白薔薇の少女の論拠。
──それならば、この提案をしたわたしこそが、
もっとも怯えから遠いものを。
だが、それを自ら口にすることはせず。
誰かがそこに気づけば、こちらに向けられるであろう疑惑の刃を思い、唇薄く微笑んだ。]
単独行動をするなと、強要することはしません。
これはひとつの提案に過ぎない。
どうぞ、ご自身によかれと思う方法をお取りください。
わたしも──そうするでしょう。
[食堂での対話を続けつつ、視線の端で、民族衣装の娘を誘って出てゆくアナスタシアを見ていた。
健康的に日に灼けたナタリーと、蒼白と表現してよいほどに色をなくしたアナスタシアの膚は対称的で。
振り返る首筋の──紅。
アナスタシアの姿は、真鍮のティーポットに映ったけれど──]
[ベルナルトと「礼拝堂の虜囚」
ニコライと「ロランの病気」
城主の不在と「繰り返される宴」
気になるものはいくつもあるが、やはり、アナスタシアを追おうと椅子をひいた時、グレゴリーが食堂へ来て、リディヤの死を告げる。]
──何故…、
[脳裏に赤いケープを抱きしめたのは一瞬。
すぐに背筋を伸ばし、グレゴリーに詳細の報告を求めた。]
場所は。死亡状況は。死因は。死亡推定時刻は。第一発見者は。
[尋ねながらも現場への案内を促す。
グレゴリーは無資格ながら軍医を務めていたのだ。
状況把握は的確と思われた。]
― 書庫 ―
[探していたのは、城の歴史を著したもの。
これほどの古城ならば由来や所有の変遷が遺されていないかと]
――そう甘くはない?
それとも、ある日突然霧から生まれ堕ちて、それ以来ずっと同じ主が統べているのかしら。
[薄暗い書庫に棲む旧き過去の遺産。
引き出し、手繰り、耳を傾けても彼らは語らない。
女の求める解。
"片割れ"を欠いて空ろになった半身を、再び充たす術は――]
これといって益になることが書いてありそうもないわね。
[つまらなさそうに、文字を追った視線を外す]
こんな面白半分の怪奇譚よりも、当事者に聞いたほうが早いと思わない?
[腰を屈めて本を覗き込む姿勢のまま、ナタリーにぬばたまの*瞳を向けた*]
[フィグネリアが近づきリディヤの頬に触れる。
男は黙ってそれを見ていた。]
……
[リディヤを祭壇に横たえた。
まだ埋葬する場所すら分からないのだ。無闇に動かさないほうがいい…そう思った。
ユーリーが来ればリディヤの状況を説明しただろう。
ロザリオについて彼が触れなければそのまま持って、
ロザリオを渡せと言われればこれだけは手元に置かせてほしいと嘆願するだろう。]
ユーリー殿、申し訳ないですが部屋に戻ってよろしいですか。
[肯定されれば部屋に、未だしばらくいるようにと言われればそれに従う]
―― 1階廊下 ――
どう…しようかな。
[ぽつぽつと緩い足取りで、だが歩みは自然と自室への経路を選んでいた。
あの子が亡くなったことに驚きはしたけれど。
どうして、とか。殺されたの、とか。
そういう疑問は余り無くて。これから調べるという騎士の答えには、
結局吸血鬼の三文字しか残らないんじゃないだろうか…理由無く、そう感じた]
[自室に篭ってばかりいたら、あのユーリーという人あたりは、
自分を怪しいと疑いでもするのだろうか。
――別に疑われて、困ることなどないけれど]
ラビの眠りを邪魔されるのは厭だなあ。
[絨毯の敷かれた廊下は音を立てない。
生活感が無いよね、なんて思う。
此処には生の賑やかさが無い。
在るのは寧ろ死の――]
―ロランの部屋―
[二階の西側、窓のある一室に城主は現れる。
躯は熱から解放されているというのに魂は未だ熱に苛まれ
甘く切なく囀り続けた小鳥の眠る場所]
部屋の主はいないみたいね。
[あたりを見回しぽつと紡ぐ。
ロラン一人ならば何れ話さぬといけないのだし
見られても構わないかと思いながらラビの躯に歩み寄る。
眠るような彼女の頬へと手を宛がう。
今ならば彼女よりも城主の手の方があたたかいだろう]
――…眠り姫、目覚めの時間よ。
[囁きかけるその声は酷く優しく響いた]
―ロランの部屋―
[白く滑らかな肌からは薔薇の薫香。
ラビの首筋へとくちびる寄せて白く鋭い牙をその肌に宛がう。
柔らかくも弾力のある肌をちろりと舐めるが
魂が抜け落ち意識なきその躯は反応を示さない]
――…吸血の快楽を味わいたいのであれば
この躯へと戻り愉しむが良い。
[誘う声をラビの魂へと向けてわらう。
待つのは少しの時間。
軽く顎を引けば白く薄い肌をつぷりと破り牙の尖端が埋まる。
自らの血と少女の血とが混じる複雑な味が口腔へと広がった。
牙を深く穿ち溢れる血を啜り眷属としての生を吹き込む]
――…ン、……くっ。
[漏れる吐息に滲む甘さは愉悦の色]
―― 自室 ――
小鳥が、飛ばない保障は――無いからね…
[其れは何かの予兆だったか。
自室のドアノブに指を伸ばして、呟くはそんな戯言]
ただい―― ……え…?
[眼前に有り得ない人物が――まだ肖像画でしか見たことのない此の城の女城主の姿が、
吸血鬼だとラビが言っていた人物が……
自らの小鳥を我が手に戻さんと、その牙を闇に眠る娘に伸ばしていた]
―礼拝堂―
[少女はなぜ、このようなことに――?
異端とされ吸血鬼と疑われたのか。
それにしても、まだなにが起こったわけでもないはず。
ならば吸血鬼に襲われたのか。
いや、それならば十字架などで貫くはずはない]
――どうか安らかに。おやすみなさい。
[ニコライが祭壇に横たえるのを見つめる。
最後の選択肢。それは、彼女自身が。
少女の血塗れの手を目に留め、その可能性を思う]
―本棟廊下―
[ぶらり歩きながら独りごちる。
喧騒は遠く、確かなのは手元のボトルの感触だけ]
アナスタシアさん……流石に食堂には居ないよな、もう。
[間違いなく、何かはあったのだ。
例えば城主に会ったとか?]
結局、宴の正体が何なのかも気になるよなー。
皆殺しの宴だったら、とっくに吸血死体の一つや二つは出ててもいい頃だろ。
[虜囚の首筋に吸血跡はなく、リディヤの死も知らないが故。――もっとも、知っていたとて、それが吸血による死ではないとしたら同じこと。
濃厚な鉄にまみれた死の匂いに比べれば、むしろ心地のよい死の気配だった]
― 自室 ―
[ユーリーからの事情徴収を終え、部屋に戻ってきた。
懐からロザリオを取り出し、見つめる]
『…生きて!』 『…戦って!』
[―突然自らの意思とは真逆の思念が頭を駆け巡る]
やめろ……
[この城に来てから、いや、この城に来る前からとうに生きる気力を失っていた。
そして、リディヤの死により男の心は射干玉の闇のごとく暗く、暗く打ち沈んでいた。
そんな男にとってこの思念は到底負いきれるものではなかった]
[イヴァンの問い>>+21には直ぐに答えられない。
同じ頃紡がれたダニールの言葉>>+22に状況を理解する]
ごきげんよう、ダニール。
血の匂いと騒がしかった理由はあのケープのこが原因ね。
結局、聖別を自らの血で為そうとした、か。
――…血は、私にとって糧、と言ったのに。
[聖別は聖水と聖者の祈りによりなされると記憶している。
人の世では血を穢れとするところも多い。
それは魔性が血を好むからなのかもしれぬと密やかに思う]
さすがに零れた血を啜る趣味はないから……
後で誰か片付けてくれると良いんだけど……。
自らの血で十字架に聖別を施そうとした少女が
命を自ら絶ち闇の住人へとなった――。
それを見つけた者が騒いでいる、という所かしらね。
[イヴァンへと予想する其れを紡いで億劫そうな様子]
[挿話のほとんどは客観的に捉えたら人間の方に非があるような気がした。]
[例えば、手ぶらで狼の領域に立ち入って噛み殺された…そんな印象。]
[そこで覗き込むアナスタシア>>78を視界の隅に感じ、頁を捲る手を止めた。]
いいえ、難しくはないんですけど…
やっぱり伝聞だとわかったようなわからないような。
[ううん、と息を一つこぼしてアナスタシアの方へ顔を向ける。]
[さらさらとこぼれ流れる黒い絹糸の間に見えたのは、紅い―小さな華二つ>>79]
――っ?
[挿絵にあった噛み痕のイラストを思い出し、紅い華をじっと見た。]
[そこへストレートな言葉>>80。]
当事者?えっと…えと、あは、はは。
[そういえば、彼女はグレゴリーの問いに、なんと答えていたか。]
[あは、と苦笑しながら敢えて一度とぼけた。]
[ああ、自分も怖がっている。]
[噂は本当で、吸血鬼は―居るのに。]
[読んだ挿話を素直に信じた自分と、好奇心でそわそわとし始める自分。]
[怖い。]
[でも―。]
[見て、みたい。]
[吸われて、みたい。]
[―その先を、知りたい。]
[もう、郷里に帰れなくなってしまうのかもしれない。]
[それに…すぐ傍にいるアナスタシアが吸血鬼になってしまった可能性もある。]
[だとしたらもう、遅いのかもしれない。]
[でも。]
[嗚呼、これ以上は抑えられない。]
そうですね。
吸血鬼のこと…私に教えて、ください。
[くすと笑って返した言葉は、とぼけた時とは違う柔らかな声音で。]
[けれどその向こうには貪欲な知りたがりが見え隠れしているのだろう。]
[アナスタシアの首元から視線を動かせぬまま、口元だけに笑みを見せた。**]
―ロランの部屋―
[考えてみれば客人をおかえりと迎える城主の姿など滑稽か。
血を得て艶めく眸をロランへと向けたまま]
――…はじめまして、が妥当ね。
ようこそ、――あのこの宴の客人。
[自らの宴だとはもう思っていない。
表舞台に立つことなど望んではいないのだから。
連れてゆくのかと問われるとゆるく頷き]
小鳥が自らの望んだから、連れてゆく。
――…ロランも、と小鳥が言うのだけど
あなたがロランであっているかしら?
あのこ…? 貴方の宴じゃあ、無いの?
[不思議そうに瞬いて、じゃあ他にも吸血鬼はいるんだ、と。ぼんやり頭の片隅で思う。
――小鳥が望んだ。
予想出来た台詞を聞けば、薄く笑みを引いた唇を苦く開いた]
嗚呼、…やっぱり。
ラビの魂は、貴方も望んでいたから。
肌で触れたらそれが…解ったから。
俺の手の中に、留めておきたかったけれど――…
[仕方ない、小鳥だものね、と淡く笑う。
続く言葉には、再び長い睫を瞬いて]
……俺も? ああ、うん。俺がロランなのは間違いないけど…。
――あのさ、連れて行かれたら、どうなるの?
[今更な質問を、投げて]
……今回は私の宴ではないわね。
[肯定をロランに返し
物分りの良い様子に淡い笑みを浮かべる]
望まれていたとは知らなかったけど。
[少なくとも求めを自らの耳で聞くまではわからなかった。
その点ではこの青年の方が彼女を理解していたのだろう]
――…あなたの手の中で小鳥が朽ちるのを待つの?
[ラビの望みは既に聞いているから
彼女に関する望みは聞かず問いのみを向ける]
ロラン
[ポツと名を紡げば問いへの答えを綴る]
闇の眷属となり永久を生きることになる。
……あの子は、なにかを選んだのかしら。
[リディヤはほんの数分言葉を交わしただけの少女だった。
でもこれは誰かによるものではないと。
まるで娘は少女がそう教えてくれているかのように、感じる。
理由は分からない。直感か、幻の囁きでも聞いたのか。
落ち着きを取り戻した表情は今までと変わらず、
その様子は、駆けつけたユーリー達に何を思わせただろう]
<<薔薇の刺に、気を付けてね。――鬼灯のお姉さん>>
[狂気を孕んだ純粋な笑みを思い出す。
愛らしくとも毒を含む、Lily of the valley(鈴蘭)のようなそれを。
じくじくと、未だ塞がらない傷>>3:69が痛んだ]
―食堂―
皆さん、落ち着いて聞きなさい。
――リディヤ嬢が何者かに殺されました。
[極めて感情を排した声色で、告げた。
周りの空気が一変する中、冷静な反応を返したユーリーに向き直る>>76。]
場所は礼拝堂、状況は周囲に人の気配、争った形跡まるでなし。
リディヤは胸部を刺されていました……心臓まで届いておりましたので、即死の可能性もあり得ます。
凶器は……ロザリオ。
時刻は断定できませんが、血の乾きようから見て、半刻経ったか経たないかと言ったところです。
発見者は私、ニコライ殿、フィグネリア嬢。
[一息に報告を告げる。
血相を変えて飛び出したヴェロニカを制止することはせず見送り、トリスにリディヤの特徴を述べた>>61>>82。]
彼女が吸血鬼と見紛われた?トリス殿、貴方なら――。
[懐に手を差し入れた。]
凶器のロザリオは、貴方の目の前にあるこれの一回り――いや、二回りは小さかった。
貴方の掌でも覆い隠せそうなほどに、だ。
[トリスの眼前に突き出した短剣を下ろし、胸元に収める。
昨夜の宴会で交わした握手。
男にしては――と疑問を抱いたことは告げず。]
さて、トリス殿。そんな頼りない得物で吸血鬼と相対し、見事それを討ち取れるとでも?
私なら勘弁ですなあ、まだ素手の方が使いようがある。
殺人者は吸血鬼に怯える人間か、はたまた吸血鬼か――どちらにせよ、リディヤ嬢は人だからこそ、死に至ったのだと思いますな。
[そう告げ、再び礼拝堂へと引き返しただろう**。]
今は人の眼には映らないだろうけれど
門番や宴の仕度をしていた侍従を見なかった?
私に連れてゆかれるということは彼らと同じになるということ。
[眷属に吸血の衝動は見られないから
宴の主となっている存在の其れとは少し違うのかもしれない。
何処か儚く見える青年の姿を見詰めながら小さく息を吐く]
ちっ、面倒くせえな
眷属が見える状態なら直接話もできようが……
[廊下の途中で立ち止まる
どこに居るとも分からない亡霊やイライダの眷属に向かって言葉を放つ]
誰でも良い、イライダに俺の部屋に来いと伝えろ!
招待客をああするとはどう言う事か聞かせてもらおうか!!
[グレゴリーの詳細報告は、求めていたものをすべて与えてくれた。
真相だけはもたらされぬまま。]
あの子は──「殺された」のだね。
よりにもよって、神聖たる場所で…
吸血鬼に追われて、逃げこんだのだろうか?
時刻からすれば、朝食の前あるいは最中か。
最中であるならば、遅れてきたトリストラム、ロラン――あるいは…
城主ということになろうが…
[ゆるりと首を振る。]
[微かな吐息を零し悩むように顎に指を宛がう]
私に抗う、ね。
庇護を求めぬ者の願い、叶えるか如何か。
[其れは生贄の少女と生前交わした其れ。
庇護下にある者に対しては甘い城主ではあるが
庇護を求めぬ者、抗う者にまで甘くはない]
私の薔薇が血に染まるのはイヤだわ。
吸血鬼が凶器のロザリオに触れ得るかはわからないが、それを構えたリディヤを何かに叩きつけた、という方法もとれるだろう。
哀れな――…
[グレゴリーと並んで、大きな歩幅で礼拝堂までの距離を踏破する。]
── 礼拝堂 ――
[クーポラから吊るされていた綾布は取りのけられており、冷たい色大理石に横たえられているのは、白ではなく緋を被る少女。
悲嘆に背を丸めた貿易商がリディヤを、別の名で呼びながら慟哭している。
寄り添うように膝をつくフィグネリア。
その指先に血の色を認め、ポケットに入っていたシルクのハンカチを差し出す。]
[リディヤの亡骸はすでに動かされ、発見当時を復元すべくもない。
幼い被害者を前にフィグネリアとニコライに詳細な尋問をするのも酷だろうと判断し、凶器のロザリオのみは検分させてもらったのの、裏に刻まれた銘からもリディヤのものに間違いはないようで、処遇はニコライの望みどおりにさせようと思った。]
──誰か、葬儀を取り仕切れる者は?
居なければ、わたしがやろう。
地区の教会で、一年、読師の奉仕をしただけだが、手順はわかる。
[フィグネリア、そして駆けつけた女性陣に依願する。]
庭園から花を集めて、祭壇を飾ってくれませんか?
白い花を。
[アリョールという名の娘が
赤いケープの少女とユーリーを探している。
記憶をなくしていた彼女も徐々に其れを思い出しているよう。
別の眷属の後者に対しての呟きを思い出せば微かに笑みが乗る。
――もてそうな方。
確かに興味深い人間には違いない。
同族がいなければ近付くこともあっただろうか。
詮無きことと思えば微かに目を伏せ物憂げな素振り]
宴って複雑なんだ。
[そう感想を返すに留め、続く言葉にはちょっとおどけた様に肩を竦めた]
まぁほら、いきなり逢った俺の方を直ぐ向いてくれるって思える程、自惚れ屋でもないし、俺。
[飄々と、でも一抹の寂しさを滲ませて。
もう一度寝台の小鳥を見遣れば、目を細め、
視線を眠り姫に向けた侭…呟く]
どうしたかったのかな、俺は――。
俺の我儘をぶつけるのは厭だけど、
彼女を独占したいという欲望もあって、
けれど其れはきっと意味の無いことだってわかっていた。
だからね、朽ちるのは待たない。
小鳥が…望むならば望むだけ、此の手の中で休めばいいと。
[視線を上げて城主を強い眼差しで見、俺の願いはそれだけだよ、…そう優しく添えて言葉を結んだ]
眷属、かあ…。
なんだか御伽噺みたいだなぁ、ほんと。
ああ、あの人達がそうだったんだ。
[迎えてくれた門番や主従の姿を思い出す。
普通の人間っぽかった。
呼吸もしてたし、会話も出来た。
ただ――しいて挙げれば生活感は、無かった。
この城の全てと同じ様に]
眷属になれば、
俺のこの…病の苦しさからも解放されて、
ずっとずっとラビと一緒に居られるのかな。
[自らの胸に、手を当てて。
ゆるりと目を瞑り、其の鼓動を確める様にしばらくそうしてから。
――困った様に眉根を下げて、イライダを上目遣いに見上げた]
うーん、でもさ。
眷属っていうからには、一番は貴方になっちゃうんだよね?
白い花、ですね。行って参ります。
[立ち上がりはふらつくが、しっかりと足を踏み出す。
ユーリーが他に何か問うなら反応してから、
そこにいた女性たちと花の咲き誇る庭へと向かうか]
……薔薇以外の花はあるのかしら。
[実は奥まで進んだことのない、その場所。
酔わせる甘い香りの中、手向けの花を丁寧に探す]
[複雑、と零すロランにくすりと笑う。
確かに複雑になってしまったかもしれない]
――…それでも眠るその時まで
ロラン、と、貴方の名をずっと呼んでいたでしょう?
[微かに覗く寂しさに重ねる声は少しだけ柔らかく]
欲深な小鳥はあなたのことも欲しがっていてよ。
[独占したいと零した彼に感じた事を密かに紡ぐ。
望むなら望むだけ、誰かに向けた想いと重なるような気がして
城主は少しだけ困ったような笑みを浮かべた]
では、小鳥を連れていっても構わないわね。
[確認の言葉を彼に向けて]
人にしてみれば私の存在も御伽噺のようなものなのでしょう?
[伝承のなかにのみあるものと思われる存在。
不確かな、けれど人に恐怖を与える存在]
――…病を得てしまったの。
小鳥はそれを感じていたのかしらね。
眷属になれば病の苦しみから解放される。
ラビとも同じ場所で同じ時間を過ごせるようになる。
[少しだけ頼りない彼の相貌。
ロランに一つ歩み寄り距離を縮める]
私が一番か如何かは分からないわ。
だって、彼らに尋ねたこともないのだもの。
[ロランの応え>>117に少しだけ愉しげな表情]
ラビはあなたとも一緒がよいと望んだけれど
あなたが望まないなら私はあなたを連れてはゆかない。
――…メーフィエ。
[門番である彼の名を紡ぎ其方へ意識を向ける]
武器庫の開放を望む声があるのだけれど
如何したものかしら、ね。
[少しだけ困ったような声音でメーフィエの意見を求めた]
――アレはチカラ、よ。
[好奇心は時にヒトを殺すね、お嬢さん]
善も悪もない。物語とは違うもの。
[日向の薫の娘。
対極のようとさっきは否定したが。
好奇心がなければ人生はどんなに退屈だろう。ナタリーの危うさを孕む欲望は女には我がことのように理解できた]
夜の向こう側が見える。
貴方の知らなかった世界。
[誘う。 娘の気を惹こうと言葉を選び]
知りたいなら――たずねるといいわ。
気に入られれば、きっと教えてくれる。
[ナタリーの耳朶を擽るように、低く囁いた。毒の名を]
―――トリストラム・シアーを。
―廊下―
[丁度グレゴリーがリディヤの死を告げていた頃合いだったろうか。
吸血鬼による死者?
だが、漏れ聞こえる声に眉をひそめる。儚い期待があっさりと打ち砕かれるのを感じる]
ロザリオで胸を……?
どこの戦場での死に方だよ、そりゃ。
[呆れたように呟いて、廊下の角から再び出て行く人間を遠く見送った。
確固たる殺意がなければできない殺し方だろうとは思う]
アナスタシアさんは、いないな。
……夕食の時にでも聞きゃあいいか。
[結局、ボトルを部屋まで持ち帰ることを優先する]
……。
[血に負ける気などさらさらない。牙を受けた以上は同胞と化す事も甘んじて。
我慢ならないのは、
――お前の方からせがむようになる―― ]
(反吐が出るわ。 お こ と わ り よ)
[既に虚勢に近しいという自覚に蓋をして、苛立ちは深く。
乱暴に手櫛で黒髪を整えて、重い書庫の扉を押し開けた]
――…一番、ね。
[想いは移ろうものと城主は思う。
だから誰かに其れを言葉で求めた記憶はない。
厭うは退屈と孤独。
戯れる間向けられる刹那の想いがあれば良かった]
人間の考えはわからないわ。
[ゆるく頸を振り考えるのを止めた]
[一度部屋に戻り、サイドテーブルにボトルを置いた。
寝る前に一人で酒盛りと洒落込むのも悪くない]
……そういや、散歩してるって言ってたよな。
にしちゃあ、全然会わないっつーのも……
[白いドレスの虜囚のことが思い浮かぶ。
広い城だから、ただ単純に見てないだけなのかもしれないが]
……。
……彼女も死んでるなんてことはないよな、流石に。
[世話を焼いた人間が死ぬのは寝覚めが悪い。亡霊をもう一体自覚してしまう。
ロランの様子を鑑みればその可能性は薄いだろうが。
ふたたび宛のない城内の放浪に乗り出すことにした]
―ロランの部屋―
[小鳥の躯が消えるまであと僅かだろうか。
ちらりと眷属にした者を見遣り目を細める]
――…失礼するわ。
機会があらば、何れ、また。
[ふわりとスカートの裾を翻せば城主の姿は闇にとけた**]
[柔らかな声は不思議と耳に心地よかった。
紡がれる言葉は喜びを連れて青年の周りを舞う]
それが本当なら、…嬉しいな。
[はにかんだように笑う。
だが相手が不似合いに困り顔を滲ませれば、僅かに瞬いて、]
貴方も、いろいろあるみたい。
[ふと心に浮かんだままを素朴に声に出した。
確認されれば、嗚呼…と寂しげな吐息零して]
そっか。眷属って、見えなくなっちゃうんだっけ。
…あのさ、最後にちょっとだけ二人だけの時間をくれない?
[自分の存在も、と言われて面白いとばかりに顔をほころばせた]
はは、そうだね。
俺にとっては貴方も御伽話の絵本から出てきたようで――
だからかも。
[距離の詰まった存在に、
覗き込むその深い眼に。
動揺したら、其の時点で飲み込まれてしまうから。
…微笑う。]
もっと貴方のことを知れば、
貴方の眷属になるのも素敵なことだと思うのかも…しれないね。
[本気とも戯言とも取れる口調で]
[と、辞去の挨拶とともに、不意に城主の姿は闇に溶けた]
あ……。
扉は、通らないんだ。
[自由にあちこち移動できて便利だな。
浮かんだのは、そんな場違いの感想]
はーー、緊張したなあ
[ぎゅーっとばかりに一度大きく伸びをした]
[指先に新たな紅が加わるのを見て、フィグネリアの指を濡らしていたものはリディヤの血ではないと気づく。]
…どこかで、お怪我を?
[不自然な早さで傷が癒えたりしないこと、それは吸血鬼でない証拠ともなるが、
もしそれが。
ロザリオに触れたためにできた「傷」ならば、意味はまったく逆になる。]
[朝食の時、フィグネリアの指には既に傷があったか?
思い出そうとしたが、無理だった。]
血が止まるまで、ハンカチはそのままお持ちを。
用済みになったらランドリールームにでも置いておけばいい。
くれぐれも、ご自身の部屋には置かないように。
吸血鬼が――血の匂いに引かれてくるかもしれませんので。
[耳元をくすぐる囀りには、
先程から気付いていた。
幸せそうに目をつぶって。
其の甘い囁きを聞き漏らさぬよう…]
ああ、困ったな。
俺、君のお願いに弱いんだよ?
決めたのに、また未練が募る――…
[優しく応えて、そして青年は闇を選んだ小鳥の元に*近づいた*]
少尉、手伝ってもらいたい。
[上着を脱いでシャベルを抱え、
礼拝堂の南西…日の燦々と当たるあたりに、リディヤを横たえるための穴を掘る。
棺桶はなくとも、亡骸は彼女の部屋のシーツで幾重にもくるめばいいだろう。]
[シャベルで掬った土を背後に投げながら、グレゴリーに声をかける。]
昨夜のリディヤの問い――貴官に関してなら答えが出た。
わたしは、おまえとであれば 「生きたい」
殺すのも殺されるのも面倒な上、ましてや──
貴官と「人間を止めて永遠に一緒」など、想像するだに恐ろしい。
だから──勝手に死ぬな。
命令だ。
[除隊した身に、そんな権限はないことは百も承知で。
リディヤを埋葬する準備が整えば、弔鐘を鳴らして人を集めた。]
[礼拝堂を出る前、ユーリーに問われ一拍の間。
昨夜のものだというのに治らぬ傷。
棘が鋭かったせいか、それとも他の要因でだろうか。
この館ならどんな理由でも当てはまる気がする]
…………薔薇の棘で。
[怪しまれるかもしれぬとは思う。
しかしただ一言、場所も明かすことなくそれだけを返した。
表情にはさして何の色も浮かんではいない]
トリストラム・シアー…海賊さん、ですね。
あの人が、そうだったんだ。
[耳朶をくすぐるように伝えられたのは、あの人の名前。]
[手を取ってくれた時の事を思い出し、無意識に自分の腕を掴んだ。]
えっと、…ありがとう。
もう一つだけ…
城主様はどこにいらっしゃるが知りませんか?
[書庫を出ようとするアナスタシアに、明るく声をかける。]
[吸血鬼は、城主とは違う人物だったのだ。]
[肖像画だけでなく、本人に会ってみたい、と。]
[―もちろん、会えた所で気の聞いた事を言えるわけはなかったが。]
[アナスタシアの返答が如何様でもにこりと笑む。]
[そして、扉を開くのを視線で見送った。]
――……。
[本能が危機を察知してはいる。]
[しかしそれはここに来た時からずっとで。]
[跳ね橋が降りなければ逃げ場もないのだ、今更躊躇しても遅い事。]
[昼の象徴たる太陽は、対極の夜の象徴たる月を求めて回る。]
[そんな話を小さいころに聞いた覚えがある。」
[民族に伝わる古の言葉で太陽を示す言葉、”ナーティ”]
[それを由来に名づけられた娘もまた―]
[ぬばたまの夜へと手を伸ばそうとしている。]
[伸ばす手の先にあるのは―**]
[自分達の間に何事もなかったかのように会釈するアナスタシアにくくっ、と笑って左手を振る]
まだ人間でいられるとは、大した精神を持っている
まあ、そうでなければ血を与える意味もないが
[脆弱な奴に与えても血に飢えて欲望のまま貪る化け物が出来るだけだーーー]
だが、あの男達が動くと言うならそれ以上待っても居られんからな
同じ穴の狢にお前もなってもらおうか?
[疑問形ではあるけれど、それはもう決定事項なのだと言わんばかりの言い振りだった]
─礼拝堂─
………ッ…
[在った。祭壇に横たわる、赤いケープの、真っ赤な姿。
貴族の冗談だと思いたかった、それが
──目の前で、息絶えていた。
その傷は、まともに死を目にした事のない娘には重い]
…何故。如何して。………如何して。…どうして……!
[本来なら、目も向けていられないだろう。
如何して、自分はこの姿を見ていられるのか。
如何して、この傷で。……如何して、この遺骸は、
ここまで安らかで在るのだろう ? ]
[気付けば、リディヤの傍で、呆然とした表情で涙を流していた。
彼女が逝った理由になど、辿りつけはしない。
ただ、その意思が『求めた』事だけは、朧気に理解できた──]
………安らかに………
[流す涙も拭わず、膝をついて両手を組む。
瞳を閉じれば、瞳から溢れて止まらない雫は、
ただ ドレスに深色の跡を創りだして]
―本棟廊下―
[鐘の音が聞こえた。
死者を弔うために鳴らされたのだろうか]
……俺の足、掴んでくれるなよ。
[呟き、小さく十字を切る。
死者は増えれど城は静まり返ったまま]
やっぱり、会わないもんだなあ……
[それとなく探す白いドレスの影も未だ捕まらない。
煮え切らない思いで足を進めた]
-- 書庫→ --
[礼拝堂の鐘の音の残響が切れる。]
[いつもと違うことが起きたのだ。]
[おそらくは―誰かが亡くなった。]
[閉じたまま膝の上に置いていた本を書棚へ戻す。]
[そして書庫の扉を開く。]
――っ?!
[そこにもし、アナスタシアとトリスいたならびっくりして―]
[ぺこりと一礼して立ち去ろうとする。]
[聞きたい事はあったけれど。]
[いきなり遭遇したら何をどう言っていいのかわからなくなる。]
[触れられたら、きっともう抗えない。
膝を折れと耳元で喚かれているようで頭がガンガンした。
泣いて、縋って、慈悲を請え。
もっと奪って欲しい。もっと与えて欲しい]
れいはい…
嗚呼 、い ――
[何を口にしようとしたのだろう。
扉が開き、ナタリーが出て来て震えが止まった]
――…何処にでも居て何処にも居ない。
[なぞかけのような言葉をアリョールに零し]
人の居ない場所なら何処でも良いわよ。
場所が思い浮かばぬなら私の部屋にでもお招きしましょうか?
ナタリー。
いきなり噛み付きゃしないわよ?
[呼び止めようとする。
トリスがナタリーに気を取られるならその隙に、自らもその場を離れるつもりで]
[棘がある華を手向けるのは如何なものかと思った事、…それに、何かよくないような気がして白い『薔薇』を捧げる気にはなれなかった]
[薔薇を避けて白の花を集めると、礼拝堂へと戻って、ユーリーの指示を受ければ葬の準備を手伝うだろう]
イヴァンが忘れないで居て呉れるなら安心かしら。
[忘れてしまうのがこわいのか。
忘れられてしまうのがこわいのか。
何処かで恐怖を感じながら城主は自分の思いに気付かぬふりをする]
彼は私を吸血鬼と知らないから。
知れば、まっすぐな人間は刃を向けるかもしれない。
[吸血鬼を嫌悪する人間は多い。
血を喰らう魔性なのだからそれも当然なのだけど]
―四階/居室―
[灰色の亡霊の呼びかけに応え
闇をたゆたう城主は居室へと姿を見せた]
――…そういえばあのこも呼んでいたようだけど。
宴の主となっているのだから
ほかの客人方のお相手に忙しいでしょうし。
[言伝は聞いてはいるらしい]
――…はいっておいで。
扉は開けなくても平気でしょう?
[迷っていた様子は気配でなんとなく分かって]
あの、ね。
誰かを探す時は聲を頼りにすると良いよ。
そのほうが、簡単だから。
イヴァンは教えてくれなかった?
[アリョール>> +42を呼び寄せた城主はことりと首を傾ぐ]
礼拝に?
[アナスタシアの言葉>>157に露骨に眉を寄せてトリスを見る。]
[――、ない。]
[とだけ、思った。]
[吸血鬼だって礼拝を気にすることもあるのかもしれないけど。]
私は何かあったのかなって思ったのですけど…
いままで鐘なんて鳴ったの聞いたことないし。
[それでも場を離れようとするアナスタシアを引きとめようとはしない。]
…らしくないって…、こういうときも、あります。
[トリス>>159に向かってぶうと口を尖らす。]
[だってそうだ。気を許した人間が吸血鬼だって言われて焦らない方がおかしい。]
こんな時間から…―、って、トリスさん、ほんとに、貴方…。
[その先は言わなくてもきっと。]
――そう。
そのうち慣れると思うから気にしなくて良いよ。
[姿を見せたアリョールに緩く頷き]
その、女の子が如何かしたの?
――…ロザリオに聖別を与える為に自ら犠牲になった、かな。
最初は飛び降りて自決する気であったようだけど
その手伝いは私に益のないことばかり故、遠慮させてもらった。
[アリョールの怒りの理由など城主にはわからない。
ただ知ることのみを静かに告げる]
[トリスへ何か辛辣な言葉を投げようと唇を開き、溢れる熱い息に眉を顰めた。
ベルナルトが何か言うのに意識を集中させようと固く目を瞑る]
リディヤ…?ええと…
[男の声が、随分遠く聞こえて感じた。
覚えのない名前。名乗り合いすらしなかったかもしれない少女]
……っ
[目眩を振り払おうと数度首を振り、壁に片手をついたままずるずると廊下に踞る]
――忌々しい ったら…
[怨嗟はごく小さな声にしかならなかった]
おい、そこのーーーベルナルドとか言ったな
俺はアナスタシアを部屋に送り届けてくる
礼拝堂へは、時間があれば行ってやる
[勿論詭弁以外の何物でもない
時間があろうとなかろうと、最初から行くつもりはないのだから
アナスタシアが抵抗したとしても、押さえ込むのは容易い事だ
そのまま行こうとしてつ、と足を止める]
レディーの荷物を探るのは紳士に反するな
ナタリー着いて来い、看病を手伝え
[そのまま自室に戻ろうとも思ったが、礼拝堂にフィグネリアも居たということを思い出し、礼拝堂に足を向けた。
途中でユーリーたちに追い抜かれたが、特に足を早めるでもなく、ゆったりとした足取りで。
二人に遅れてその場に着く。
しかし血の匂いに中に入る事はせずに、入り口に立った。]
男手があるのに、利用しないとは勿体無い。
[ひゅう、と口の中で息を吹きトリスを見据え。
トリスの腕の中のアナスタシア。僅かに不可解そうな視線を投げた後]
じゃあ、俺、ユーリーさんとグレゴリーさんにお伝えしておきます。
”トリスさんは、お葬式には事情があって来れないそうだ――”と。
それで宜しいですね?
[いいんですか?と言外に込めて首をかしげた]
ああ、もう一つ。
あなたの探しているユーリー。
此処に客人として来ているわよ。
残念ながら彼にはあなたの姿が見えないでしょうけど。
[アリョールに其れを教えたのに他意はなかった]
ねえ、リディヤはどうして…ロザリオで…
殺されてしまったってこと?
[まさか自刃とは思い至らずベルナルド>>166へ向けて問いかける。]
[この城に着いたときに、にこりとしあったあの子だ。]
[最初に挨拶したフィグネリアとリディヤは印象に残っていて。]
[誰が、と再度問いかけようとしたところへトリスの囁き>>165]
ふぇ?え?
[”ああいう事”がなんなのか咄嗟に理解できずとリスを見て瞬いた。]
[吸血が、悦楽を伴う行為だとは―文献にあったとしても記憶に残っていない。]
[ただ、その声音が鼓膜を振るわせたとき、ふあ、と甘い息をついた。]
じゃあ、礼拝堂に私も行き…えっ?
[場を離れようと思ったのに着いて来い>>167、と。]
[眉をちょっと寄せ、渋々という態で頷いた。]
[オリガに承諾の意を返す。]
死者のために祈る心があれば、それで充分ですよ。
[現に手伝いを申し出た誰も喪服など着てはいないのだ。
しかし、オリガの弁は貴族社会では立派に正当な“口実”
そのルールを遵守して、去ってゆくオリガからすぐに視線を逸らす。]
[ぽつぽつと散文的に、しかし意思をしっかりと持った言葉が耳に飛び込んでくる>>136>>137。]
貴方が吸血鬼の手にかかるのも吸血鬼となった貴方を我が手にかけるのも……御免こうむりたいですな。
まして、貴方と永遠に一緒など――胃が穴だらけで無くなってしまいますな。
[軽口を叩くが、土を掘り起こす音は重い。
続く命令の言葉に、頷いた。]
――了解。もちろん、私は死ぬ心算はありません。
ですが、貴方を守り切れるとも限らない――いえ、なまじ貴方の腕を知っている分、私は貴方に自衛を求めるでしょうな。
私の部屋のクローゼットに、剣が一本。
[呟いて、再び土を掘り起こす作業に戻る。]
[これは、漠としれない不特定多数に対する
人間観の問題では無い。
ただ
豹の檻の中に人間を一緒に入れて
”さあ、信頼しましょう”と言っているのと同じ事]
[…ひょっとしたら、ユーリーとは話し合っても
理解し合えないかもしれない。でもそれでも構わないわ。
彼が信頼を胸に、豹の檻に入りたければ
彼は入れば良い――そうしたいのだろうから。]
(わたくしは、入らない。
勇気があるのと愚かなのは違う。
勇気は他に使うわ。)
[―そして他の可能性についても思い巡らす]
[アリョールの表情はころころ変わる。
打てば響くその反応に弧を描くくちびる。
彼女が出て行った扉を見詰め]
アリョール、か。
かわいいこだね。
この城にはいなかったタイプのこ。
[物珍しさゆえかそんな感想を漏らした]
―本棟→外―
……拳でどうにかなる?
拳銃、捨てなければよかったか……
[男勝りな女程厄介なものはない。どれだけの実力か、さっぱり読めないし――いざとなった際に、『女』であることを突きつけてこないとも限らないからだ。男に対して潔癖であるようなら、尚更。
せめて空でも拳銃があれば、脅しくらいなら役に立ったであろう。
先見性の無さを軽く恨んだ]
――やむなし!
俺が死ぬのは構わないけど、俺の足に触った人間だけが死ぬのは御免だ!
[ぴしゃりと頬を叩き、本棟を出る。
ユーリー、居るならばグレゴリーと合流しようとの心算]
(ユーリーの正体は人なのかしら?それとも…?)
わたくし、外の空気を吸って来ますわ。
[席を立ち、庭へ。そこでリディヤの死を知る。]
―回想・了―
[グレゴリーが言うのは、あの悪趣味な剣のことだろう。
それでも、男の分身のようなあの剣の隠し場所を託されたことに唇を引き結ぶ。]
今度、軍を慰問することがあったら、貴官の新しい肩書きを新兵たちに広めておいてやろう──ヴァンパイヤ・ハンター。
[そんな軽口で感謝を伝えられるこの男を失いたくない。
思えば、ひどく遠回りをしたが。]
…そろそろ祭壇の方は整ったかな。
人の集まりを見つつ、会葬の礼を始めよう。
-- アナスタアシアの部屋 --
[聞きたいことがあるならついてこい。]
[そういわれてしまってはついていく他はない。]
[リディヤの亡骸へはあとで祈りに行こうと決め、そのままトリスの後を着いてきた。]
…アナスタシアさんを、どうするんですか?
女性の荷物を漁るわけにはいかないって、トリスさん言ってましたけど…?
[何をするつもりか意図がわからぬまま、首を傾げた。]
── 礼拝堂 ──
[フィグネリアの手で死に顔を整えられた少女は、静謐の裡に目を瞑っていた。
女たちが用意してくれた白い花に囲まれ、ほんの少しだけ――ここから逃げた「小鳥」にイメージが重なる。]
それでは、リディヤ――
[思い返せば、姓さえも知らない。]
…我らが魂の妹の葬儀を執り行います。
[男はバスルームにワインとロザリオを持っていく
ロザリオにワインをかける。
聖水の代わりのワイン…それでロザリオを清めた]
私には負いきれないんだ…
[男は部屋を出た]
[客人は誰かを探しに行ってしまった。
いっておいでと言ったのは自分だけれど
取り残されたような若干の寂しさ]
――…退屈ではないけれど。
[ポツと零すは独り言]
遊んでくれる誰かを探しにゆこうかしら。
[真意の読めぬ呟きが広い居室に響く]
[死者への射祷を唱える。]
Requiem aeternam dona eis Domine, et lux perpetua luceat eis. Requiescant in pace.
(主よ、永遠の安息を彼等に与え、絶えざる光を彼らの上に照らし給え。彼らの安らかに憩わんことを)
Fidelium animae per misericordiam Dei requiescant in pace.
(願わくは死せる信者の霊魂、天主の御憐れみに依りて安らかに憩わん事を)
──Amen.
― 2階廊下の突き当たり ―
[廊下の突き当たりに窓があった。
男はロザリオで窓を割る
窓枠にのり一瞬城の中を振り返った。
誰かが見ればニヤリと笑う男の顔を見ただろう。]
…
[男はロザリオを廊下に落とし…窓から身を投げた]
[寝台の枕元にそっと腰掛けて、
何処か恍惚さを浮かべた小鳥の貌を眺める。
露になった首筋には、目を奪う…二対の紅の華]
…ラビ……。
[甘い吐息で彼女を呼んで、
その柔らかな髪を指先で梳った。幾度も。
見下ろす青年の表情に滲むのは、恋情と、そして寂寥か]
またね、と言えばいいのかな。
其れとも、お幸せに…サヨナラ、と言うべきなのかな。
俺の全てを君にあげると云った此の気持ちに嘘は無いけれど……
『一緒に、生こう?』…そう囁いた君の眸は、どっちだったのかな。
[色欲に溺れた熱い眸と、玲瓏さを宿した澄んだ眸と]
俺に…生きて、と云った君の本音が未だ見えないから――
だからまだそっちには生かない。
[梳る指先が震えた。抑えるよう、自らに引き寄せる。
もう片方の手を被せて、ぎゅ…固く握り締めて。
笑おうよ。お別れじゃない。
泣き顔なんて見せないって、決めたんだから。
くしゃりと崩れた泣き笑いを浮かべた青年は震える唇を、開く]
例えもう逢えなくなったとしても……
俺が望むのは、君の幸せ。
君が笑顔で在るならば、俺は、其れだけで幸せだから…
[覚えていてね。と。大好きだよ、…と。
想いを篭めて交わす最期の唇。小鳥の姿はやがて消えゆき――…]
声をかけたい方はどうぞ、リディヤの側へ。
死者へのお別れが済んだら、外へ移動してください。
リディヤを埋葬します。
お力を貸していただける有志の方は、リディヤを運ぶのを手伝ってください。
女性の方は、祭壇の花を、埋葬場の方へ。
[礼拝堂から、薔薇園を通って城の中へ。
先程ユーリーが「白い花」と指定した所為か、それとも夢のシーンが頭を過ぎった所為か。
無意識に白薔薇の咲く一角で足を止めた。]
……イライダ、様?
[華の中に見えた、銀糸の人影に思わず声を掛けたが、しかし其れは幻で。
手を伸ばし、1本手折る。その香りを胸に吸い込みながら、唇から漏れるは夢と同じ言葉。]
――――。
[焦がれる存在――城主に逢う為のトリスとの契約を、遂行するために。
城の中へと入れば、真っ直ぐに自室へと向かった。]
[白薔薇を手にしたまま、自室へと向かい――そのまま通り過ぎる。
宴の席でアナスタシアの部屋が自室の隣という事を聞いていた。
迷わず隣の部屋をノックする。]
こんにちは。
いらっしゃるかしら?
[返事を待つ。]
/*
失礼します。
匿名メモを貼りました。目立たな過ぎて埋まるのもなんなのでアピールさせて下さい。
お目汚し失礼しました。
*/
>>198
え?、ああ…
[なんだか鷹揚とも取れるその口調に若干戸惑いを感じながら]
持っていますわ。
でも、今は持っていませんわ。
―?
(都合が悪くてこれない?具合は悪くないのに?)
何故、いらっしゃらないのかしら。
確かに、殆ど見知らぬ仲とは言え
最後のお別れですのに…。
[彼女の姿が消えてゆくのと同じくらいに、
弔いの鐘の音が聞こえただろうか。
其れは小さな少女のものであったけれど、
何処か、小鳥の為にも鳴っている様で。
何処か、最初に礼拝堂で逢った別れ際を連想させて。
嗚咽を飲んで緩く笑む表情は長い前髪に隠された侭。俯いて、しばらく…]
[トリストラムの欠席を告げるベルナルトの伝言(?)に小さく頷く。
城に閉じ込められたのはほんの一握りの人間。
誰が来て、誰がいないかは一目瞭然だったが、ここへ来る前にベルナルトがトリストラムと会っていた、という事実は把握した。]
[皆がリディヤとの別れを済ませれば、穴の底にその亡骸を横たえ、白い花を撒いて、土を被せてゆく。]
…幼き魂が、迷わず主の御下にゆけますように。
[祈る頭の片隅に「檻の虜になれば出られない」と、蠱惑的な唇に牙を覗かせて告げたアナスタシアを思い出す。]
──吸血鬼の行く手に、茜と山査子の棘がありますように。
[グレゴリーがリディヤに教えていたおまじないを呟き、静かに十字を切った。]
オリガ?
[ローズグレイの瞳の子。
声を聞き、覚えていた名を呼ぶ]
御蔭様で。
貧血が酷い以外は絶好調よ。
[重い瞼を片方だけ開いて、ラベンダー色のドレスを見遣った]
何か御用?
……。
[グレゴリーの後ろ姿を一瞥する。
参加している女達の姿を順々に見やった。
お手伝いします、とユーリーの横にさりげなく並び]
俺も、警備をお手伝いしますよ。
……ただ、武器がないんです。
武器庫みたいな場所があればいいんですけど……
[埋葬を手伝いながら、どこかイラついた調子でぼやいた]
[どのくらい部屋で呆としていただろうか。
――ガシャン
何かが割れる硬質な…嫌な予感を感じさせる響きに、
はっとして慌てて自室を飛び出し、廊下を見回した]
>>212
…
武器があるかどうかは解りませんが
最初に城主さまにご挨拶に伺った時、
本棟の地下には何やら重々しい扉が幾つかありましたわ。
…地下牢すら、ある様子でしたわ。
―― 2階廊下 ――
[突き当たりに人影があった。
外気を抑えていた筈の窓硝子は四方に皹が入っており、
人の背丈くらいの位置――窓枠のすぐ上には丁度良く大きな穴が空いている。
大のオトナが一人、通れる位の。
そして振り返った人影の、貌を見れば]
――――…ニコライさんっ!!!?
[城主への不満を洩らすグレゴリーに一瞬だけ堅い表情を向ける。
ベルナルトが傍らに来たのに気づけば、その目は和らぎ、彼の申し出に頷いた。]
昨夜は暗かったから、まだ調査しきれていない場所も多い。
後で、見回ってみよう。
あちらのお嬢さんもああ言っているようだしね。
[カチューシャの方を示す。]
レディの護衛も兼ねて、後ほど、案内してもらうことにしよう。
[やがて、リディヤの姿は見えなくなり、掘り返された場所にもまた白い花が散らされると、ユーリーは会葬に集まった顔ぶれを見渡した。]
ご列席ありがとうございました。
この場を借りて、あらためて正確な情報をお伝えしておきます。
リディヤの遺体からは、吸血鬼の襲撃によるものとおぼしき外傷は確認されていません。
疑心暗鬼こそが無用な悲劇の引き金と心得、軽挙妄動は慎むよう、お願いいたします。
ひとつの幼き命が奪われたことは不幸な出来事ではありましたが──
悲嘆にくれるばかりではなく、
これを機に、各自が自分と隣人の身の安全にいっそう留意し、助け合うことを祈念します。
──それが、死者への功徳になると思ってください。
[背中がぞくりとした。鳥肌が立つ。
なんだ、なんだ――その貌は。
いつもの優しい笑顔の、商人然とした善良さは何処にも無く…
ニヤリ…と。
くっきり口角に刻まれた、其れは狂気に満ち満ちた笑み]
ニコライ…さん……貴方、いったい……どうして……
[青年は蒼白な表情を浮かべた。
一歩…二歩…とふらふら勝手に足が進む]
そして、もし、ここに吸血鬼が混ざっているならば──
あるいは、どこからか、この場を眺めているならば──
[よく通るテノールを落とし、アメジストの目を細めた。]
わたしは、あなた方の魂の安寧のためにも祈りましょう。
──Kyrie eleison.
[ニコライは何も応えない。
ただ、ただ――声無く嗤う。
此方に気がづけば、…掲げる様にそのロザリオを、
一度こちらへ示しただろうか。
壊れた窓から直接差し込む陽光が、ロザリオに反射しキラリ輝く。
だが其のロザリオは赤く濡れていた。
血ではなく聖なるワイン――だけれども、
未だ距離のある青年には、それを判断することは出来ず。]
[ユーリーの演説さえも聞こえてしまうのは
呼びかける相手に自分も含まれているからなのだろう]
――…魂の安寧。
[憂いを帯びた眸が揺れる]
本当に……?
[こと、と首を傾げ、ふるりと首を振る。
彼の真意がわからない。
だから、今はその言葉の意味を考えることを止めた]
ユーリが領主となれば良き指導者となるかな。
既にその風格も気質もあるようだし。
[一人呟き、再び部屋の奥へと消える]
-- アナスタシアの部屋 --
[一体、なにがどういうこと?]
[トリスは吸血鬼で、アナスタシアには吸血痕があって…]
[オリガ、も?まさか吸血痕が?]
[そんな風に思っていたときはオリガの首元をじっと見ていたのだろう。]
[けれどそんな痕はどこにも見当たらなそうで。]
え、あ、ええ…。
[オリガ以外は通すな。]
[つまりもう今後は誰も通すなというトリスの命令に曖昧に頷いた。]
[よくわからないけれど、見てしまっては後には戻れぬ何か―の気がした。]
[だがそこから逃げ出すことはせず、アナスタシアのベッドから数歩離れた所に立つ。]
[好奇心は、身を滅ぼすこともある。]
[けれどその危機を侵してまでも、見てみたいものも、ある。]
……畜生!
[声を漏らして毒づく。
動かない左足に。拳銃のない懐に。
息を喘がせ、本棟の玄関をくぐる。
ただ単にトリスが、アナスタシアを送っただけならば何も問題はないのだ――だが、彼女は一向に姿を見せない。もう埋葬が済んでしまったというのに!]
……ガラスなら……
[痛む足を引きずり、自室に戻る。
サイドボードに置いたワインを、壁にかけた軍用コートで包んだ]
――。
[右腕を持ち上げて、頬に触れるオリガの手に己のそれを重ねた。
引き剥がそうとするようにも、捕まえようとするようにも。
しかし結局、甲に掌を重ねただけで女の手は止まった]
[手を大きく伸ばし、
高いたかい位置から、ニコライが指先を緩めた。
時間が急に遅くなった様な感覚。ゆぅっくりと…ロザリオが宙を滑る。
そのまま下に、下に――
赤い絨毯の長い毛先に柔らかく受けとめられて。
其れに一瞬魅入った。
だから、見逃した。]
……使うことになったら、ごめんなさい。
使わなかったら……やっぱり、盗んじまってごめんなさい。
[ワインを小脇に抱えて。
見舞いの品にも、鈍器にも成り得る]
[さて。]
[彼女の部屋は――どこだ?]
――っ!? ニコライさん!!?
[それは悲鳴に近かっただろう。
慌てて駆け寄った。
けれど伸ばした手は空を掴んで……
窓枠を乗り越えたニコライは、
―――――…下に、 下 に
誰の手も届かない、場所へ。
最期まで、あの笑みを浮かべて……]
だけど生憎、私に牙はないのよね。
[首元に唇を寄せて、囁いた。
甘い薫に酔う。誘われるまま舌を這わせながら左の手を、
手を伸ばす。
枕元に置かれた短剣へと]
だから、そんなこと言われても困るわ――?
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