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追われし者 ユーリー は アナスタシア に投票した
城主 イライダ は 騎兵長 グレゴリー に投票した
アナスタシア は 伯爵令嬢 カチューシャ に投票した
敗残兵 ベルナルト は 騎兵長 グレゴリー に投票した
伯爵令嬢 カチューシャ は フィグネリア に投票した
騎兵長 グレゴリー は ヴェロニカ に投票した
フィグネリア は 騎兵長 グレゴリー に投票した
ヴェロニカ は 騎兵長 グレゴリー に投票した
騎兵長 グレゴリー は村人の手により処刑された……
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、追われし者 ユーリー、城主 イライダ、アナスタシア、敗残兵 ベルナルト、伯爵令嬢 カチューシャ、フィグネリア、ヴェロニカの7名。
―厨房―
[グラスを煽りながら、二人の会話に耳を傾ける。
だが、心中はどこか焦っていた。
門を開けるために必要な条件。場合によっては――**]
[昔、誰かに好きなものを問われた事がある。
好きの意味が分からずに直ぐには答えられなかった。
何が欲しいかと問われても矢張り答えられない。
欲しても手に入らぬものだろうし
それを言葉にすることで何かが崩れてしまうのが怖かった。
城主が傍にある者に言葉にして求めたのは
時折で良いから城主の名を紡ぐこと。
冗談でも紡ぐかのように遊んでとねだるくらい。
矜持のせいで求められぬ何かを感じながらも
それに気付かぬふりをして――
逃げたままでいるから満たされぬ想いを抱えたまま――]
私が誰かを思うのは私の勝手だもの。
[本当に、と眦を細め]
そう言えば…確かに返して貰ったわよ。ダニールの服。
[手の中のボタンを暗い灯火に透かした]
残りは貴方の好きにすれば良い。精々風邪など引かぬようにね。
[逃げるように駆け出してしまったナティアの後ろ背を見送る。
その姿が建物の中へと隠れてしまえばくすりと笑みを零した]
可愛らしい反応をする子ね。
ふふ、あのことは大違い。
[指についた自らの血をぺろりと舌で掬い取る。
自らの血を拙いと思うのは自傷を避けるための本能か]
――…おいしくない。
ナティアの気分が悪くなってなければ良いけど。
[案じるような言葉を紡ぎ銀糸を肩へと流した]
― 厨房・争いの終わる頃 ―
[突如、体が軽くなった。血の絆が断たれたと本能で悟る。
顔を上げる。気配が途切れたのは北の――]
……。吸血鬼がいなくなったわ。
「グリーシャ」という鍵が開いた。
あと、一人?
[色のない声で呟いて、フィグネリアは無事だろうかと*思った*]
――
父と子と精霊の御名において
闇の住人グレゴリーの魂を、聖なる炎で浄化し給え。
その道ならぬ衝動を断ち
ぬばたまの黒馬は正しき閨へ
その魂は安寧の地へと導かれ給う
常にその癒しと共に。
常にその赦しと共に――。
[深碧は輝きを失う。
武器にも躊躇わず、ヴェロニカを取り押さえようと腕を伸ばす。
例え自らの血が滴ろうと身体は止まらない]
………わたしは、いいから。
[だがそれでも、娘には自我があった。
上辺だけの力。ヴェロニカが振り払えば、崩れ落ちる*だろう*]
グリーシャ 、 が――
ど … し て ?
[アナスタシアの言葉。
精神が理解を拒んでいる。
背中に堅いものがあたり、自分が壁に倒れ掛かっていることに気づいた。]
―― 回想・一年前>>9:+95 ――
[娘の双剣が此方へと向けられる。
銃扱う狩り人よりも娘の方が御しやすかろうと思った]
私の最期は今では無い。
[闇を漆黒の大鎌に変えて娘の攻撃に備えた。
狩り人の初撃を受けた左腕にジンと衝撃が伝わる。
城主の意識は目の前の娘に集中していた。
だから、気付くのが遅れた。
狩り人の持つ銀が此方に狙いを定めていた事に。
安全な部屋に置いてきたはずのディアーナが抜け出した事に]
『イライダ様!』
[ディアーナの声が聞こえた。
視線を其方へと向ければディアーナの胸を貫く銀色。
時が止まったかのようにその光景は瑠璃色に焼き付く]
―― 回想・一年前 ――
[驚愕に見開かれた瑠璃色が揺れる。
感情が抑えきれず闇が暴走した。
強き風を思わせる闇の衝撃波が狩り人たちを襲う。
ふたりは弾かれ僅かの間意識を薄れさせようか]
ディアーナ……っ!
[駆け寄り銀を身に受けた彼女を腕に抱く。
生を望んで欲しいと願いながら彼女を見詰めるが
彼女はただ微笑むばかりでそれを口にはしなかった。
城主を庇い致命傷を負った彼女が事切れたのと
狩り人たちが呻き意識を戻したのは同時]
ゆるさない。
[ポツと感情の見えぬ声が城主の口から漏れた。
夜を思わせるほどの大きな闇が生じ
狩り人たちをぬばたまの檻に捕らえ後は堕ちてゆくだけ**]
―城門前―
[一瞬、城主の首筋に赤が滲む。
吸血鬼に噛まれたかのような赤い花弁。
指で拭えばそれも直ぐに消えてしまい
あたかも夢の中の出来事の如くある]
――…渇きは癒えたかな。
[肉体を失って尚渇きを覚え血を求めた者を思い呟く。
艶やかに濡れた瑠璃色をふ、と細め
城主は居室へ向かった**]
── 厨房 / グレゴリーの死んだ後 ──
[アナスタシアが嘘を告げる必要もなく、グレゴリーの「滅び」は事実なのだろう。
鉛を流し込まれたかのように重たい躯を引きずり起こし、テーブルに手をついて支える。]
………、
…彼は、何処で?
吸血鬼の能力で、それを掴んでいるなら教えてください。
[さっきまでとは別人のような掠れた声で問う。]
彼は──わたしの友だ。行かねば。
[ユーリーに顎を引いて頷く。
疾く、友のもとへ]
貴方は彼を失いたくなかったのね。
…ごめんなさい。
[甘い理想。
その心根が好ましいと思うから、低く、彼の運命を歪めた事への悔いを口にした]
北の塔。一番上よ。
[場所が気になる。あそこに居たのは。
グレゴリーを止めるまでは死なないと言っていた娘の深碧が脳裏に過ぎる]
フィグネリア・エーリンと争ったなら……彼女も無事ではないかもしれない。
[フィグネリアの「答え」は聞いたから、心なら踏み止まってくれるはずだけど]
もし、もう一度牙を受けていれば――
―――。
[ゆらりと立ち上がる。
テーブルに手をつくユーリーの背中に指先を僅かに触れさせ、瞑目した。
数秒。
嘆息と苦笑を同時に漏らす]
……。駄目ね。
貴方を連れて跳ぶ程の力はないみたい。
悪いけど先に行くわ。
[闇の中に溶け入ろうとして、ベルナルトにぬばたまの瞳を向け]
――今なら走ることもできるはず。
ついて来てね。
私、どうせなら貴方がいいの。
[霞へ消える寸前、意地悪な笑みを浮かべて胸を指差した**]
[少なくとも、フィグネリアはふらつきはするだろう──
咄嗟に、グレゴリーとカチューシャの間へと割り込む。其が可能だったのは、カチューシャの祈りの力だろうか?
再び、マイン・ゴーシュを構える──]
カチューシャは、私が守る…!
[──チャンスは、逃さずに。
今ロザリオを取り出した所で、圧倒的──自分の力では叶わない。ならば、相手の力を利用して、その牙を剥く瞬間まで、切り札は隠しておこう。
その餌は、自分自身 ]
[ヴェロニカと気持ちが通じた気がした。
彼女がぶつかってきたなら、よろめき壁へ背から打ち付ける。
すぐには追えない。
その間にも、彼女は吸血鬼と少女のもとへ]
…………っ、あ、
[手の短剣を自らの脚へ向ける。
薄れる意識を引き戻す。
ここで自我を失うわけにはいかない。絶対に。
しかし次の瞬間――ふいに呪縛が解けた]
[耳に届くのは、少女の祈りか]
……逆らってみせるわ。
[少女を守ると。間に割り込み、自らを餌にしようとするヴェロニカ。
彼女からはこちらが伺えるだろうか。
視線を交わせたなら、娘はいつもの深碧で語り掛ける]
< うしろから まず 一撃を >
[ヴェロニカに意識を逸らせていたか、
先程の祈りの衝撃もあったか、
グレゴリーは娘の微かな気配に気付くのに、――遅すぎた]
――――ッ
[刺す力は残っていない。
たから彼の母へと同じ、首筋を狙い振り払った。
赤がぱっと舞い散り、視界を染める。
それに魅入られた隙。
グレゴリーが反撃したか、娘は短剣を弾き飛ばされ、もう*戦えず*]
[ごめんなさい──と。
めったに素直な気持ちを表すことのない女が、人間を糧とする吸血鬼が、そう言った。
だから──
それはなおのこと、心にしみた。]
彼は…貴女のことを恨むと、一度も言いませんでした。
避け切れなかった自分を「お恥ずかしい」と笑っただけで。
そういう──男です。
[背中に触れた冷たい指。
もうひとつのつれない謝罪と、もたらされたひとつの名前とに頷く。
フィグネリアとの約束。
それは、自分の義務だ。
彼女があの「言葉」を言えば――]
──それ以上、苦しめはしない。
[グレゴリーの形見となった剣に指を触れる。]
[闇に溶けたアナスタシア――吸血鬼の能力を目の当たりにしても、もはやたじろぐでもなく、ベルナルトの足へ一瞥を投げた。
先ほどの行為が、おそらく、治癒の手だてだったのだろう。]
自分の腕も直せないくせに…な。
[笑うなら笑え。私は私の決めたとおりにする──、
そんな彼女の強い意志が、今は何処へ向かっているのだろうかと思う。]
北の塔、最上階だ。
[棚に腕を伸ばして未開封のヴォッカを一本手に入れると、時を刻むような正確な歩調で、友が瞑った場所へと 向かった。*]
[──その身は、カチューシャの前へ
──強く、足で床を蹴り付けてブレーキをかけて。
目の前に、グレゴリーの姿を見た。血の色に染まった瞳、外見より大きな威圧感──
……一瞬、気圧されそうになる。
しかし、黄昏の威圧の後ろから深碧の瞳が輝く──もう、彼女に迷いの色はなかった。
其に力を与えられて、強く頷けば足に力を込め
横凪ぎに光る短剣が見えて──
緋色が舞い、短剣を弾き飛ばされた姿を見ると同時に、足を前へ]
[壁に縋り立ち上がれば、髪から浴びた血が滴り落ちた。
娘の内にも流れる――グレゴリーの朱。
母に逆らったせいだろうか。
それが肌に触れると、痛いほどに冷たいのに熱くもあって。
沸き上がるなにかに耐えられず、視線の先の短剣さえ拾えない。
苦しげに息を吐くと、3人を、力強く踏み出すヴェロニカを、見つめた]
[血飛沫が舞う──血は反対に飛沫を飛ばす。
瞬、その深緋色の瞳が向こうに取られる──
──グレゴリーに走り寄る
祈りの声が耳に届く──剣を棄てる
緋色に染まらなかった瞳を感じ──ロザリオを抜き出し
熱い 祈り 願う
──『浄化を』──
祈りは、其が胸に 深く───深く───]
──グレゴリー…
[──そのまま、押し倒す。
ヴァンパイア・ハンターを名乗った彼が者は、
そのまま灰へと化すか、一時でも人の顔を取り戻すだろうか?
……自らを城へと導いた、あの声は聞けるだろうか。
その魂は、どちらにあるのだろう──
そんな事を考えながら、共に倒れ込んだ**]
―居室―
[寝台で娘をあやしていた城主であるが
娘が泣き止めば卓上に置かれた水差しを示し飲むよう促す。
アヴァクームが何時の間にか取り換えている冷たい水]
――…また、吸血鬼が屠られた、か。
[未だ声は聞こえぬけれどその気配は伝わり]
……………。
[一つ、二つ、声が聞こえ口を噤む。
思い悩むように細い顎に手を宛がい]
オリガ、留守を頼んで良いかな。
――…紅茶を用意して待っていて呉れる?
[彼女の髪を撫で言い残せば、ふ、とその姿は掻き消えた]
― フィグネリアの部屋 ―
[古めかしくも品の良いチェストが床に落とす影。
その一つから這い出して、吸血鬼は微かに顔を顰めた。
血の薫 ]
[床に膝をついたまま、顎を上げる。
真っ先に視界の隅を横切ったのは、部屋に設えられた小さな鏡だった。
映る人影は暗くてよく見えない。
怒っているようにも、心配しているようにも、いつものように笑っているようにも]
―― にいさま…
[霞んで滲む視界を開こうと瞬けば、幻は消え失せて其処には顔色の悪い黒づくめの女が間抜け面でこっちを見ていた]
[片腕でチェストに縋って体を起こす。
首を廻らせれば、壁際で苦し気に息を吐く血塗れのフィグネリア。
祈りの形に指を組んで目を閉じるカチューシャ。
そして床に倒れた二つの体]
…二つ…?
[子である吸血鬼との絆が断たれたのは間違いない。
トリスのように灰になっているものと思ったグレゴリーは、未だそこに在った]
……
[首を裂かれ、心臓にロザリオを打ち込まれ、屠られた吸血鬼の――最後に浮かべた表情を、束の間見下ろして。
けれど真っ先に向かうべくは彼の所ではないと視線を外し、
噎せ返るような血の臭いの中を泳ぐように、壁際の娘の元へ]
フィグネリア・エーリン。
[伸ばした手は触れるか触れないか、
髪から滴る返り血を指の背で受けるようにして、フィグネリアの顔を覗き込んだ]
[霞みそうになる意識を、必死で繋ぎ止める。痛い、苦しい。でも]
あれ、は……
[耳に届くのは、カチューシャの聖なる祈り。
そして視線を向けどもしっかりと把握出来ぬ中で、鮮明に映るのは―。
小さなひとつの十字架。
鈴蘭の少女、リディヤの胸にあった、それで。
白く輝く。刺すように眩しい。
人の身ではないからだろうか、目を開けてはいられなかった]
[どれほど後か]
…………っ、
[ふいに何かが切れた、感覚。
ヴェロニカは、カチューシャは、……グレゴリーは?
ほんの一瞬、光に焼かれ失った意識が戻ってくる。
深碧を巡らせ映ったのは、倒れ伏すふたりの姿と少女、そして]
――ニコラエヴナ、さま
[漆黒の姿は、美しき吸血鬼。
ゆるゆると顔を上げれば、闇より深いぬばたまの双方。
細い指が伸びる。
それを避けずにじっと、深碧は彼女を見つめ続けた]
[我が名を呼ぶ娘の声を聞く。
ぬばたまを見返す深碧の瞳に宿る光を覗いて、口許を緩めた]
――まだ正気ね。
[体を離して、指先を赤く汚した血を舐める。
吸血鬼の血は舌に苦かった]
いいわ。
殺す手間が省けたもの。
[そう素っ気なく嘯いて]
[右腕に巻かれた蒼いハンカチを解く。
フィグネリアの頬と髪に掛かった血を雑に拭った]
ほら。ぼーっとしてると噛み付くわよ?
……後でお湯を出してもらいなさい。
こんななりじゃ美人が台無しじゃない。
[「親」がいなくなれば、絆の呪縛は遥かに薄くなるだろう。
今この瞬間彼女を覆う血臭の、誘惑に負けさえしなければ。この後も堕ちることはないだろうと。
予想でしかない。
だけどそれは願望ではなく、彼女の現実であり未来だと思った]
[――闇の中、膝を抱える男を前に紡いだ言葉は届いたか如何か]
あなたが私の死を望まぬように
私もあのこの死を望んではいないよ。
[終わらせようという意志があるならば
血に狂ってしまったわけでもないだろう。
ぬばたまの女を思いながら紡いだ聲は闇に溶けて]
── 北塔・最上階 ――
[数えるつもりもない階段をのぼり、辿り着いた場所。
空気に、雷が落ちた後のような、独自の匂いがする。
聖なる力が炸裂したことは知らないまでも、ふと足を止めた。
前髪を掻きあげてひとつ息をつき、廊下から声をかける。]
ユーリー・レオノヴィチ・ザハーリインです、失礼します。
[カチューシャが直ぐに攻撃行動に移らないことだけを確認して、倒れたヴェロニカをぎこちなく片腕で助け起こした頃。
遅れて上がって来たユーリーの声を扉の外に聞く]
── フィグネリアの部屋 ──
[先に到着したアナスタシアに頷き、三人の女性を順に見渡す。
殊に、フィグネリアには長く視線を留めた。
アナスタシアの警告のこともある、
親吸血鬼を殺した反動は心身に影響を及ぼしてはいないかと。
軽く拭き取られた血。
だが、その中心にある双眸は、あの「頼み」を受けた時同様に自己犠牲を厭わない光を宿しているように見えた。
フィグネリアから視線を反らし、ゆっくりとした口調で問う。]
──城に残った「宴の客」はこれで全てですか。
[もしもアナスタシアが吸血鬼としての生を望むのであれば
ここにいる殆どの者が感染して屈するか
それとも彼女を倒すか、それしかないのだから。
少女はロザリオに目をやった。]
カチューシャ・ブランシュ。
アナスタシア・ニコラエヴナが吸血鬼であることは、わたしも確認しています。
[抑揚を欠いているが故に、ことさらに冷静な響きで告げる。]
加えて、先ほど、アナスタシア・ニコラエヴナより情報提供があった内容を報告しておきます。
城門を閉ざしているのは城主、
全員が「生きて」城を出るためには、全員が吸血鬼になればいい。
あるいは、客の中に混じる吸血鬼を滅ぼせば、門は開く──と。
そして、どのような形であれ、死んだ者は城に囚われることも、ルールのようです。
…誰であれ、この「理」の裡で、進むべき未来を選ばねばなりません。
各自、心を決めておいてださい。
美しいお嬢さん。
吸血鬼もたいがい傲慢だけど、聖女の正義も傲慢ね。
[辛辣な言葉を、慈しみに近い静かな声に乗せて。
口を開いたユーリーへと視線を流した]
>>50
わたくしは
あなたの意思をお伺いしたいと思っただけですわ。
殆どあなたの事を知りませんし、
どういうおつもりでいらっしゃるのかは
知っておこうかと。
わたしからの報告は以上、
今度は、そちらの情報をいただきたいと思います。
…グレゴリー少尉について──ここで起きたことの報告をお願いします。
[床は、そこにあるものは、見ないようにしていた。
それでも、彼の名を呼ぶ時、わずかに声が震える。]
[鼓膜を震わすアナスタシアの言葉に想う。
自分はまだ正気なのだと。
そしていつまで――彼女のように惑わずにいられるのかと]
ころす、手間……。
[甦るのは、礼拝堂で聞いた彼女の台詞。
自らも吸血鬼でありながら―。
褪めた色、素っ気ない口調の奥底の温かさを感じながら、
拭うハンカチに身動きもしないまま]
ありがとう、――。
[なぜか、それ以上詰まったように続かなかった。
瞳は潤まないけれど、唇が震えて。
彼女がカチューシャに目を遣る内に落ち着けば、ドアの外に気配。
響いた声に、知らず緊張が解けた]
[意思を聞きたいというカチューシャに頷くように顎を引いて。
ユーリーに報告するのはヴェロニカだろうか。
話が済むまでは黙って聞いているだろう]
>>52
ユーリーさま。
おそらくですが、グレゴリーさまの魂は
天に戻られたかもしれません。
彼の魂はあるべきところへ戻ったのではないかと。
>>54
この宴の最初のころ
光と闇についてみなさまのご意見をお伺いしましたね。
―わたくしは光を正義、闇を悪とは思っていませんわ。
ただ、二つは混濁し得ない。
光差す後ろには闇が。またその逆も。
[ユーリーの声が響く。全員が、…或いは、滅ぼせば。
既に、腕の震えは限界まで達していて]
嗚呼、説明を──
──彼は、カチューシャを、襲おうとした。
だから、私が。私が──ロザリオで──
[ユーリーからグレゴリーの身体が見えるように、身を退ける。
再度、深く目を瞑って──壁を背に、もたれかかった]
[カチューシャの言葉に無機質に微笑する。]
どのような形であれ、死んだ者は城に囚われる──
それがルールだと申し上げたはずですが、信じないと仰られるのなら、それでも結構です。
――…あの時、狩り人に屠られていたら
[一年前のあの日から幾度となく考えた事。
なくしてしまったものは多くて
けれどのこしているものも多くて
結局、あの時は怒りのままに力を振るった。
ながらえていればいつか求めるものが得られるかもしれない。
そんな淡い期待を抱きながら気の遠くなる時間を過ごした。
けれど同時に求めるものは得られないのだという諦めも抱いていた。
狩り人の言う通り“人を惑わし血を啜る魔性”なのだから
求めるものが得られぬは当然の報いと知る]
[壁によりかかるヴェロニカに腕を差し伸べる。]
ヴェロニカ・アルマゾフ、ありがとう、
辛いことを言葉にさせて、申し訳ありませんでした。
状況は把握したつもりです。
フィグネリア・エーリン、着替えをお持ちください。
そのままでは──よろしくない。
ヴェロニカ・アルマゾフ、彼女の着替えに、あなたの部屋をお借りしてよろしいですか。
着替えた後は、食堂でなにか暖かい飲み物でも飲んで、休んでください。
…気が変わったわ。
だってここの庭、とても綺麗でしょう?火事にしちゃうのは勿体ない。
[つまらなさそうに呟いて、さらりと流れた黒髪を耳にかける]
檻そのものを壊す必要なんてなかったんだわ。
宴を過ごして、庭で遊んで、そして帰れば良い。城に住まう者は、好きだからそこにいる――
[扉の開いた檻ならば、そこに虜囚はいない。短絡的にそう考えて]
/*
失礼。
更新直前ですがまだ方針が定まらず?
まだ来られていない方もおられますし、
暫定処置としてとりあえずの延長処理をしてしまいましょうか?
[着替えの勧めに、ようやく自分の姿を思い知る。
そしてその瞬間、意識の外に追いやっていた血の香までをも――]
――。
……ええ、分かりました。
[掌から自らの血が伝い、床の朱に混じる。
強い痛みで打ち消した。
周りに悟られぬよう、蒼白な顔に無表情を浮かべ立ち上がる]
――…嗚呼。
オリガに伝えるのを忘れていた。
茶会をするから、カップはたくさん必要だ、って。
[門番と交わした約束を思い出し小さく笑う]
更新時間が24時間延長されました。
>>71
[自分が滅びればよい、と言う言い草に自嘲を感じた。]
…。
(この方は、それで良いのかしら?
本当にそうしたいと望んでいるのかしら?)
[着替えに立つヴェロニカとフィグネリアに礼をする。]
すみませんが、わたしはここに残ります。
カチューシャ・ブランシェ、アナスタシア・ニコラエヴナ、
あなた方も部屋を出ていただいてよろしいですか?
ひとりきりでグリーシャを…、
友を悼む時間をください。
[ヴェロニカに、カチューシャも同道してくれるよう頼む。
どうせ一緒にお茶というわけにはいかないだろうアナスタシアを呼び止めた。]
アナスタシア・ニコラエヴナ、
貴女は、彼との別れは、もう──?
[グレゴリーの血に染まる身体。
ユーリーの前にあり続けることは娘に出来ず、覚束ない足を叱咤する。
去り際、倒れ伏す姿を見て――小さな祈りを]
[掻き消えた「母」の呪縛。
出来た心の空洞は、まるで凍えるように冷たかった]
紅茶、温まりそう……嬉しいです。
[弱い笑みをヴェロニカに*向けて*]
[姿を人間には見えなくしてしまう魔法。
一時的に眷属と同じ状態へと変じる其れ。
息吹を吹き込むような口接けをオリガ+66に与え緩く目を細める]
紅茶の用意は直ぐでなくても良いよ。
そろそろ宴も終わり、門を開く刻が近そうだから。
――…終わったら、皆で茶会をしよう。
キミにも此処に住まう皆を紹介したいから。
[ふ、と考えるような間の後]
キミが望むなら永遠をあげる。
けれどその永遠は私が消えれば解けてしまうかもしれない。
――…今度も、そうだけど。
これからも危ないことがないとは言えない。
[争い事には向かぬだろう可憐な娘にそんな前置きをして。
それでも傍に居て欲しいとは言わぬのは
城主が城主であるがゆえに]
[酒瓶に向けられた視線、そして先ほどのアナスタシアの発言が連結する。]
少しだけ待ってもらえますか。
グリーシャの追悼をしてからこれを──
ああ、
その方が、彼も喜ぶかもしれない。
[悪戯を思いついたように、ほんの少しだけ感情のこもる笑みを取り戻して告げた。]
喜ぶ?
[笑みに宿る生気に首を傾げ]
そういえば…この人、宴でお酒を召して、……酷かったわね。
[酔って歌い出した醜態を思い出して顔を顰めた。
思いついた罵り言葉を幾つか口中で転がしながら、グレゴリーの遺体に僅かに触れて瞑目する]
[祈りはしない。
出来なかった]
[アナスタシアが、グレゴリーとの別れを済ませ、廊下へ出て行った後。
誰もいなくなった部屋にひとり佇む。]
グリーシャ――…
[ようやく、「そこ」へと目を向ける。
ナタリーと同じように灰になっているとばかり思っていたグレゴリーの躯が、死の状況のままの姿で横たわっているのを見て、つかの間、目を覆った。]
勝手に死ぬなと言ったのに──…馬鹿野郎…
[自死などしない男であることは承知していた。
皆を城から出してやりたい──限りなく甘く見込みの薄そうな願いに、グレゴリーは嘲笑することなく、つき合ってくれた。]
[グレゴリーの胸に刺さったリディアのロザリオに手を伸ばす。
一度は、この手に渡ったロザリオ。
書庫でフィグネリアに懺悔するときには傍らにあり、献灯式の夜にニコライに捧げたもの。
ヴェロニカが持つと決めたのを認めたのも自分だ。
これが今、グレゴリーの心臓を刺し貫いている。
リディアの時と、同じように──
ロザリオに手をかけてゆっくりと引き抜くと、グレゴリーの亡骸は、灰になってサラリと崩れた。]
──…
[改めて、この男は吸血鬼になったのだと悟る。
教会に埋葬してやることも、できない。]
[ロザリオを置いて床に膝をつき、灰を掌に掬う。
闇の眷属と呼ばれながらも、その残滓は夜に染まってはいない。
持参したヴォッカの栓をあけ、瓶に直接口をつけて呷った。
喉に流れ仕込んだ液体は、むしろ渇きにも似て喉を灼き、ユーリーはその熱さに咽せる。]
…か…ッ
こんな酒、ストレートで飲むもんじゃないだろう。
おまえの肝臓は鉄か。
[眦に涙を浮かべて悪態をつきながら、今度は気をつけて口に含み、一口二口と飲む。]
[たいした量は飲めなかったが、構わなかった。
空いた空間に、寄せ集めたグレゴリーの灰の一部を注ぎ込む。]
おまえに似合いの棺桶だろう。
[白く濁ったヴォッカの瓶にふたたび封をし、
まだ指先に残る灰を――舐めた。]
[自分だけの追悼を終えて、部屋を出る。]
お待たせしました、
アナスタシア・ニコラエヴナ、
[グレゴリーの灰を含んだヴォッカの瓶を差し出す。]
後は、あなたの手で。
どうなろうと、多少、派手なくらいが彼にはふさわしいと思いますし。
[その人柄を思い出すように、小さく笑った。*]
嗚呼。
[酒瓶の中に揺蕩う残滓に、目尻を下げた]
本当に。
派手なのはお好きでしょうね。
[片手で瓶を耳元まで持ち上げ、揺らす]
…意外かも知れないけど、ナイト様。
貴方の趣味の悪い格好、結構好きだったわ。
[瓶の肌に朱唇を寄せて、重大な秘密の如く声を潜めて囁いた**]
[オリガの応え>>+74に目を細めるは求められると知るからか。
後悔しない、その言葉に過る感情の名は知れず]
暫く宴は必要ないかもしれないね。
[彼女をそっと抱き寄せその耳朶に囁く。
滑らかな曲線描く首筋にそのまま顔を埋めた。
柔らかで張りのある感触がくちびるに伝う]
オリガ、同じ時間を共に――…
[彼女が紡いだ言葉を呟いて白い肌に牙を宛がう。
つぷり、オリガへと食い込む牙に真紅が触れた。
甘美なる血の味に城主の瑠璃が愉悦の色を湛える。
穢れなき魂を闇へと堕とすその行為は快楽を伴う行為。
貪りたくなる衝動を自覚すればきつく柳眉を寄せた。
瑠璃は揺らぎ、そろりと彼女から牙を引き抜く。
首筋から零れた赤を舌先で掬い取れば其処に残るは二つの花弁]
[居室の前に出ていたオリガに何事か呟いた城主。
未だ部屋に戻る気はないらしい。
人の気配の感じる方向へと視線を向ける]
用事を済ませてくるよ。
待つのに飽いたら好きに散策しておいで。
[そう告げれば城主の輪郭は揺らぎ姿は消えて
次に姿を現すのは北塔に居る
アナスタシアとユーリーの前――]
[アナスタシアの手にする酒瓶をチラと見遣り
彼女とユーリーを交互に見比べる]
――…何のご相談かしら。
[ゆるく頸を傾げ問う仕草をみせた。
物騒な話までは聞いてはいないのだけど]
[次に戻す視線の先にはぬばたまの彼女。
アナスタシアを、じ、と見詰め]
ダニールが纏まらないと言っていた言葉を伝えに来たよ。
始まりは、そんなに心配なら生きて欲しいと伝えれば、と
そんな言葉を向けた所からなのだけど、ね。
『「生きてほしい」ですか。
……うん、それを伝えていただくことは、一度考えました。
でも同時に「あの子がこちら側に来たなら……」という思いもよぎって。
心の中で、ぐちゃぐちゃと絡まったまま解けなかったんです。』
[今度は声を真似る事はせずにその言葉だけをそのまま伝える]
――…人間は、いや、ダニールは複雑だね。
[少しだけ困ったような貌をして口を噤む。
ダニールがどちらかを選べなかったそれ。
アナスタシア自身が選ぶべきそれ。
さて、言えなかった当人もそろそろ来る頃だろうか。
ふ、と、彷徨わせた瑠璃にその姿はまだ映らなかった**]
[受け取った酒瓶を抱くアナスタシアは、片腕を失ったアンシンメトリーの中にあっても美しく、彼女と血の絆を結ばれたグレゴリーは、本当のところ、少し喜んだのではないかとすら思う。]
貴女が服に執着するのは知っていますが、
どうせなら、「彼が」好きだったと言ってやってください。
[あながち、間違ってもいないだろうと、人に好かれるも嫌われるも極端だった男のことを思いながら、アナスタシアの右腕に指を伸ばす。]
その手の再生に、血が必要ですか?
その姿を、痛ましいと思うのはわたしだけではないはず。
「ダニール」のために、わたしの血をお分けしても構いません。
[求められるなら、何か血を受ける器を探そうと視線を巡らせた時――]
[イライダが訪れる。
夜明けを偽って部屋に差し込む銀。
それが、天国に属する色ではないと知った今でも、花は花。美は美。
ほんの少し、距離を詰めるだけで心音が跳ね上がるのがわかった。
甘やかに。焦がれて。
この人に会わずに、どうして昼と夜を越えられたのかと思う。]
……。
後ほど身支度を整えた上で、こちらから──と考えていましたが、
[託されたメッセージに、ひとつ頷く。]
わたしは、死に栄光を求める勇者ではありません。
生きろと、そう言ってくれる者がいるならばなおさら──
けれど…、
わたしが生きる場所、わたしの生き方はわたしが選びます。
そのためにも──、
[アメジストの瞳はイライダから離れることなく、その優雅な挙止を追い続ける。]
あなたに、3つだけ質問をすることをお許しください。
ひとつ、
あなたは吸血鬼なのですか?
ふたつ、
あなたは、人間をどうお思いですか?
最後に、
あなたはわたしに嘘をついていますか?
―ヴェロニカの部屋―
[静かに、絨毯を確かに踏みしめ、彼女の部屋を訪れる。
そこにはカチューシャの姿もあったろうか。
ハンカチで拭いきれなかった血を落とし、
ヴェロニカが貸してくれるという服を身に纏った]
アルマゾフ様、有難うございます。
……リディヤ様のロザリオを、貴女が持たれていたのですね。
[書庫ではユーリーの元にあったそれ。
どのような経緯かは知らぬが、
柔らかさの中に強い意志を秘める彼女に渡り、よかったと思う。
だからそこに咎める色などは浮かばない。ただ]
申し訳ありません。
私の母である彼を――自らが灰にしようと決めていたのに。
貴女に、止めを……。
[ヴェロニカはカチューシャを守ろうとした。
そうとは分かっているが、
彼女に止めを刺させてしまったことは胸を痛ませて]
…………。
[グレゴリーの、アナスタシアの、ユーリーの、
様々な表情が浮かび上がり、少しの間沈黙する]
―食堂―
[そうして何か言葉を交わしながら、
ふたりと共にだったか、食堂かサロンへと移動する]
……美味しい。
[淹れられた紅茶にそう呟く。
温かさが体温の低い身体に浸透すれば、小さく息をついた。
内に出来た空洞を埋めてくれればと思うほど、
その味と香りは娘の精神を落ち着かせてくれるもので]
[だからだろうか。
ヴェロニカの瞳を見つめ、問いかけた]
……吸血鬼を滅ぼせば、城門は開く。
そしてあるいは皆が吸血鬼になれば、と。
貴女はどちらを選ぼうと思われますか。
[彼女には娘の姿はどう映っているのだろう。
吸血鬼か、それともまだ人間寄りにか。
それを問うことなく、彼女の答えがどうであろうと聞けたなら、
空のカップを置いて立ち上がる]
外の空気を吸いに、庭へ行って参りますわ。
すぐに戻りますので心配なさらずに。
[淡い笑みを浮かべ、丁寧に紅茶の礼を言って。
カチューシャもいたなら祈りへの感謝も。
そうして扉の向こう、朝霧の漂う庭へ*消えてゆく*]
[遠まわしの固辞。
図らずも心を試されて、傷ついたように唇が歪む。ざわりと伸びようとする犬歯と、渇えに鳴く喉を忌々しいと思う]
そうね…情熱的に迫ってその首を差し出すのなら、ひょっとしたら考えてあげるかも?
[揶揄う言葉と掠れた笑い。
今ニンゲンの、ユーリーの血を受ければ、箍が外れてしまう気がして怖かった。
欲の深さは腕一本分では済まないから。とどめられなくなれば、吸血鬼の牙は充たされるまで獲物を放そうとはしないだろうと、思う]
[己の道をかけた問を発した後、「ダニールの言葉」を伝えるイライダと、それに応えるアナスタシアの柔らかな笑顔とを眺めている。
囚われた黒と囲い込む銀は、いずれも優雅で毅然とした風格をそなえ――
ユーリーはふと、イライダもかつてはこの「理」への試練に直面したことがあるのではないかと想像した。]
[イライダは、ただ言葉を伝えるためだけにここを訪れたのか?
先ほどのアナスタシアの計画を、見えない僕の誰かが城主に報告したこともありえる。
城門を壊されることは、城主としてのイライダの立場として好しとするところではあるまい。
イライダが城門を閉ざすのにかけた「理」を知った今では、正直なところ門を壊しても外へ出るとことは不可能ではないかとユーリーは考えている。
けれども――、
希望をもって為す者に協力を惜しまない――それは、自分がグレゴリーにしてもらったことのひとつだから、自分もアナスタシアを援けたいと思う。]
[此度の客人は変わり者が多い。
このような宴に招いた私を未だ城主として扱う。
ユーリーの眸に恐れの色は見られなかった。
その対応は初めて出逢ったあの時と変わりないように思え、惑う。
――彼と話した私はどのような私だっただろう。
一瞬過ぎる奥底の不安を押し隠し、城主は漸く微かな笑みを浮かべた]
待ちきれずに逢いに来たのだと言ったらあなたは笑うかしら。
――…もう、忘れられてしまったのかと思っていたわ。
[意思の滲むユーリーの言葉を聞けば少しだけ安堵したような
それでいて何処か淋しげな色が白い顔を彩る。
一度瞼を伏せてから、彼を見上げ]
その言葉を聞けば、あのこも安心するでしょう。
[彼の生きる場所は此処ではない何処か。
既に選んでいるものと思っているからそれを疑わない。
コク、と其れに同意するような頷きをみせた。
城主はロランをまつろわぬ血を持つ者と思っていたのだけれど
この人もまたそうなのかもしれぬ、とそんなことを感じていた]
[ユーリーからの三つの質問には瑠璃が驚いたように瞠られる。
はたり、瞬いてから、城主は綻ぶような笑みを浮かべた]
――…言わなくても知っているとばかり思っていたわ。
ひとつ
私は吸血鬼、人の血を喰らう魔性に相違ない。
[一つ目の質問には思いのほかすんなりと言葉が出た。
二つ目の質問には少しだけ考えるように頸を傾げる]
ふたつ
――…嫌いではないよ。
[己の感情を理解し上手く口に出来ぬ女は迷いながらそう告げた]
[最後の質問には思い返すような間が空く。
ユーリーへと向けた言葉に偽りを混ぜた記憶は無く]
最後に、
嘘を吐いた心算は無いわ。
[素直に彼に答えてみるものの
如何してそのような質問をされるのかが分からない]
嗚呼、けれど……
私はあなたに隠し事をしていた。
[問われなかったから言わなかっただけ。
けれどあの時問われなかった事に何処かで安堵していた。
僅かな途惑いを感じながらもそれを口にする]
[白薔薇思わせるアナスタシアの笑みに瑠璃色がふっと和らぐ]
纏まらぬ思いでも――
知らぬより知っておいた方が良いか、と、ね。
[如何にもほおっておけぬ彼女の兄と彼女に対しての城主のお節介。
彼女が駄目ねぇと紡いだその人の最期が
ユーリーが釦を落として其れを追ったように
『取れたボタンを階段から落として、
拾おうとした拍子に自分も転落した』
だなんて、城主も未だに知らない事なのだけれど**]
―本塔→外へ―
[見えぬ空は既に、瑠璃から菫へ変わっているのか。
霧深いこの場所でも闇夜は淡く色を薄め、
赤や白の薔薇を、白百合を、――全てを、包み込んでいる。
葉から落ちる透明な水滴はきらりと光った]
…………。
[白い薔薇の茎。立ち止まり、無造作に指を滑らせれば。
鋭い棘は白い肌に朱の珠を浮かばせ、
ゆっくりと伝い花弁に落ちる間、傷は既に塞がり始める。
ほんの少し前とは、もう違う生き物なのだ。
吸血鬼ほどではなくとも人間よりはるかに早く、治癒して。
娘はそれを噛み締めるように見届け、
赤に染まった薔薇を摘むと足は城門へと]
[ナタリーの消えた場所。
風に舞っていた白銀の灰は、そこに残ってはいなかった。
跪き、地面に手を触れさせる。
吸血鬼となり、最期、何を想っていたかは分からないけれど、
グレゴリーとユーリーに向けた叫びは覚えている]
私、貴女ともっとお話したかった。
初めてだったの。あんな笑顔を、向けてくれたひと。
――――。
[ナタリーは死に、グレゴリーは吸血鬼となり、
自らは人間ではなくなり、そしてグレゴリーを殺した]
[生を望んだだろう、者ばかりだと]
[なのに何故自分は。
そう考えることは、死者への冒涜なのだろうか]
[血に染まった薔薇を手向けはしない。
娘の幻想かもしれない、でも今どこかにナタリーがいるなら、
似合うのは太陽を向く草原の花だと思うから]
[彼女が、アナスタシアが、グレゴリーを噛まなければ]
[そしてそのナタリーが――。
考えても何もかも遅く、ただの自らへの慰めだと分かっている]
[絡まった思考は、もう解けることはない]
――今の私は、人間? 吸血鬼?
そのどちらでもない半端もの、ということかしら。
[アナスタシアの口ぶりでは、そうなのだろう。
誰も来ないなら礼拝堂へ赴き
静謐な空気の中、ただじっと椅子に座り祭壇を*眺め*]
ダニールは、ご城主様から逃れたいとは思っておらぬよう。
それでも…死者が囚われた我が身を少しでも恨むことがあったなら、私はそのような檻は毀れるべきと、思うのです。
[今回の宴について語ったときに、城主に憂いの翳りを見た気がした。見誤りと思えずに、その心は如何あるのかと]
死した魂まで囲い込む「理」は、
まこと貴方の望む呪縛でしょうか?
僭越ながら
[ぬばたまを瑠璃に据える。永遠にも等しい時間を経て来たのだろう、城を統べる者へ。慈しみに似た柔らかな闇を宿して]
最前、死者を絡め取るからくりについては言葉を濁されましたね。
私にはそれは、イライダ様の、孤独を――恐れる稚けき心が、生み出したもののように思えます。
[カチューシャを傲慢と評した口は、自らも傲慢に己の思想を垂れる。笑うなら笑えと]
この城は、黒き檻ではなく
「開かれた庭」であっては、いけませんか?
[一年前に城に踏み入った吸血鬼狩りの者が為した行為をアナスタシアは知らない。
語るのは甘怠い夢。絶望の縁で一度は拒絶した幸福な結末だった]
…私が死なせた若者は、今もこの城にいるのでしょうね。
[名は何だっただろう。聞いた気もするけれど]
宴とは本来楽しむもの
城主も、眷属も、集ったみんなも
食べ、飲み、踊り、交流を深めて
しあわせに。
[名も思い出せないのに、井戸のほとりで聞かされた夢物語ははっきりと胸の裡にあった。
どこか遠くを見るような青年の声音を甦らせる]
――死せる魂が牢獄の中にあるなら、許せないと思った。悲嘆と怨嗟の声の上に立つ楼閣なら、燃えて灰になってしまえばいいのにと。
だけど…そうやって過ごすのは、悪くないわ。
ここが開かれた庭であるなら。
[ヴォッカの瓶に眠る灰をゆるりと揺らし、斃れた吸血鬼達を思う]
私は海が見たい。潮の風を感じてみたいわ。
ナタリーの故郷のお祭も、見に行こうと決めたのよ。
[生きたい、と言う代わりに、望みを口にする]
それに、うちの陰気臭い両親のところへ、ダニールを連れて行って――安心させてあげないとならないし。
ここに囚われたりはしたくないの。
気紛れにほっつき歩いて――イライダ様が望むなら、いつか土産話を肴にお茶会を。するのよ。
宴が終わったら
ご城主様――客人をかえすだけでなく、どうか
[叶わないとしても、言うならタダだといっそ強引に]
迷い込んで出られなくなった死者達の魂を――にいさまを、自由にしてくださいませんか。
[深々と頭を下げた]
[城主はアナスタシアが吸血鬼となった事は知っている。
けれど彼女が何をなそうとしているかまでは知らずにいる。
闇を通じて聞こえた呟きに誰かが何かを燃やそうとしている事だけは
伝わってきたのだけれど未だ何の事か問うていないから
点を繋げる為の線は描けはしない]
――…何が正しい道かは私には分からない。
それでも、然様な言葉が聞けるなら伝えに来て良かったと思える。
[何を思い伝えにきたかはなどは言葉にしない。
自らの事は問われぬ限り言う必要がないと思っている。
アナスタシアの心の変化に気付かぬまま名を呼ばれぬばたまを見詰めた。
紡がれた理と彼女の意思に一つ頷くは相槌にも似て]
そう……。
なら、聞かせて頂きましょう。
[彼女の性分を少しだけ羨ましく感じるも
如何して羨ましく思うかまでは分からずに
ただ、少しだけ眩しげな眼差しで彼女に先を促した]
[アナスタシアが自身の兄の名を紡げば瑠璃は微かに伏せられる。
彼の本意を城主は未だ理解できずにいた]
檻は毀れるべき、か。
[彼女の言葉に苦い表情が過ぎる。
思い悩むように柳眉を微かに寄せて]
――…如何、なのかな。
[迷うように紡いだ言葉は自身の心が分からずにいるから漏れたもの。
心の奥底にある望みを口にすることは弱さを認めることのようで
わからぬ、と言う代わりゆるゆると銀糸を揺らした]
[ふと彼女へ戻した瑠璃がぬばたまに囚われる。
アナスタシアが紡ぐは城主が隠そうとしていた事。
図星をさされるかたちとなれば動じた瑠璃色が揺らぐ。
其れを認める言葉は紡げない。
知らぬとも言えない]
…………………。
[些か長い沈黙の後、溜息まじりの吐息が零れた]
「開かれた庭」に魔性が住むと知って
訪れる奇特な者はいるのかしら、ね。
[ぬばたまの檻がなければ独りになってしまうだろう。
何時か消えてゆくだろう者を思い哀しげにも見える表情が浮かぶ]
――…此処で死した者は此処にいる。
[誰かの名を紡ぐことなく肯定の言葉を向ける。
アナスタシアの言う本来の宴の姿に微かに頸を傾いだ。
貿易商の彼に語った過去の宴はそれに似ていたかもしれない。
ただ、しあわせ、というのが城主にはよく分からぬ儘ではあるが]
悲嘆と怨嗟の声、か……。
[独りでなければ其れも良いかと思っていたが
今、城で聞こえる声はそれとも違っていて。
彼女の紡ぐ未来を聞き終われば微かに目を細める]
……アナスタシアの言葉はまるで御伽噺みたい。
[彼女の想いを確かに心に刻みながら
御伽噺に耳を傾ける幼子のような微笑を一瞬過ぎらせた]
――…彼らを、自由に。
[ぽつり、呟き、こと、と頸を傾げる。
無意識の産物であるから如何すれば自由に出来るか
城主自身にもよくわからずにいた。
求めるものを得られたとは今は思えず
満たされることを知らぬままの女は
アナスタシアが頭を下げると困惑を露にする。
抱える闇は深すぎてすぐに答えを出す事は出来ず
彼女に“顔をあげて”と伝えるのが今は精一杯――**]
[言いたい事を言ったらすっきりした。
久しぶりに新鮮な空気を吸った気分]
…お返事は急ぎません。
”私達”には時間なら幾らでも、ありますよね?
[困惑も露な城主に悪戯っぽい笑みを閃かせた]
「奇特な者」なら、此処にいそうですけど。情けなくもイライダ様に骨抜きの信奉者が。
[厭味を一つ、アメジストの男に投げて。
吸血鬼の意識は朝靄の中に聳えるだろう城門へと向かう――**]
[アナスタシアとイライダが交わす「檻」の話。
それは自分には関わりがない話に思えて、口をつぐんでいた。
何故、離れたいと思うのだろう──?
それが、率直な思い。
自分がここにいるのは何のためか──、伝えなければならない。
静かに、一歩、足を踏み出す。]
[「待ちきれずに」そんな言葉を含むイライダの臈長けた唇。
素直にシグナルを口にしてしまいたくなる。
だが、それは矜持が許さず。]
新月の晩もにも、月が壊れたと思う者がいないように、
誰があなたを忘れたりできるでしょう?
本当に大事だからこそ──
あなたの名はみだりに呼ぶまいと、わたしは己に軛を課したのです。
すべてにケリがついてから、堂々とあなたの前に立とうと。
あなたの「答え」も、わたしの気持ちを変えるものではありませんでした。
むしろ──安堵しています。
そのままのあなたを──わたしは求めていいのだと。
わたしがここにいる理由は、最初から少しも変わってはいません。
まだ、訴状に着手もしていないのは、怠慢ではありますが──
[それを指摘されたことへのわずかな羞恥と、嘆願を覚えていてもらったことへの限りない喜びに仄かな笑みがこぼれる。]
ただ、わたしは、人の上に立つ者として、あの「宴」の状況に怯え、苛立ち、惑う者たちを、混乱の中に放置しておくことは、とうていできませんでした。
民草を守るのは貴族の努めであり──わたしの血そのものに刻み込まれた理念です。
[その声は双眸は、「宴」によって引き起こされたことを思い返し、徐々に悲しみの色を宿す。]
秩序を守ろうと、わたしは懸命の努力をしたつもりです。
けれど──、
多くの者が命を落としました。
あまつさえ、グリーシャ…
グレゴリー少尉は──…
[拳を握り込む。
守りたいと願いながら、伝えておきながら、阻止できなかったグレゴリーの死。]
…わかっています、
誰も、「宴」を終わらせ、城から逃げるためにグリーシャを殺したのではないと。
脅威を打ち払わんと──最も直裁的な方法をとっただけなのでしょう。
けれども、わたしにとっては、
「吸血鬼」がひとり、「滅びた」のではなく、
助けようと尽力した人間たちの手で、
「友」 が 「殺された」 のです。
…あの「革命」で、
優しかった両親も、穏やかだった使用人たちも、
本来は弱き者たちの数と武器によって惨殺されました。
それと──同じでした。
[それはユーリーが抱き続けた心の闇。
自分がどれほど奢った思想をしているか、それに気づくことのない、滅ぼされつつある階級の純血種、
支配する側、守る側であること、貴族としての矜持と義務によって、かろうじて自我を律し、周囲とのバランスをとっていたユーリーは──、
もはや、 彼らの間に 居場所を失う。]
もはや、彼らはわたしが守るべき「民」ではなくなりました。
吸血鬼となったアナスタシア・ニコラエヴナは、わたしの保護など求めないでしょうし。
[でしょう? と一瞥を投げて。
彼女があえて茜と山査子の棘を踏みしだき、薙ぎ払い、傷つきながらも自分の道を突き進む姿に、心で喝采しつつ。]
[唯一、ユーリーが「庇護される」立場を求めた城主へと視線は戻る。]
本当は、もうあなたの名を呼んでもいいのかもしれない。
けれど、本来はここにいるはずではなかったベルナルト――グリーシャ殺しに加担しなかった彼は、できることなら無事に外の世界へ帰してやりたいと思っています。
彼がわたしを──わたしの庇護を拒まなければですが。
あとは──できるなら、ニコライ・ミハイロフとロラン・シエルを葬ってやりたい。
それが済めば、わたしは訴状作成に取りかかれます。
[城から出るという考えは最初からなかったのだと、
アナスタシアの評した“奇特な者”は、穏やかな──むしろ狂気を孕むほどの静謐さをたたえてイライダをまっすぐに見つめる。]
身仕舞いを整えて、御前に参ります。
待っていて、くださいますか?
[ニコライとロランの埋葬のため、礼拝堂へ向かおうとした足をふと止めて、イライダを振り返る。]
あなたには──死者の声が聞こえるのでしたか?
今のわたしを見たら…
グリーシャは叱るでしょうかね。
[指先に目を落とし、拳骨の形に握りこむ。]
………約束したから。私は、守ると。
それに、貴方が刃を向けてくれたから、私もカチューシャも生きてると思う。
──貴方には、謝る事なんて何もない。
[その沈黙に応じるように、彼女から目線を外す。
ただ──城に入る時に見た、グレゴリーの笑顔だけは、頭から離れない。
あの時に見た彼の姿とは異なっていた、カチューシャへの明確な殺意が見えたのだから
そう、自分に何度も言い聞かせる。それでも──]
[あの状況でも、気丈に話していたカチューシャ。…彼女のような強さは、自分にはなく──
そっと、記憶を辿ると目を伏せて]
─回想・食堂─
[何を話していたかは、まるで覚えていなかった。ぽつり、ぽつりと何かを話した記憶ばかりはあるのだけれど
…食堂へと移動すると、フィグネリアに…同行していたならば、カチューシャにも、紅茶を供して。
>>101 カチューシャの呟いた言葉を聞いて、ほっと息をついた
…その瞳と、目が合って]
………私は、死して祈られるものでありたい。そう、今は願える。
「貴方の事も。」
[目を細めて、はっきりと答えた。目前の瞳は、自分から見ると「祈る者」のそれだったから。
……そう伝えると、去りゆく後ろ姿をじっと見つめ]
『私は、人として生きるつもり』
[揺れる空気に、そっと呟きを乗せた]
─回想/了─
[しばしの間、その場に留まっていた。冷めた紅茶は、その香りを舌に残しながら飲み下した。そして、カップを片付けて。その場にカチューシャが居れば、自分も出ると告げて食堂を出る]
「いのるもの」「闇」「人間」「吸血鬼」…
[次々と頭を巡る単語。人間と吸血鬼で、区別する気持ちはとうに消えていた。
ただ、祈りを知るか、衝動に任せるか。目指すものがあるか──
アナスタシアの瞳は、確かにぬばたまのなかに輝きを宿していた。
それは、恐らくはどの者よりも強い力を宿して──
その理由までは、知る由もなかったけれど]
………『グレゴリー』………
[あの場で、もしもグレゴリーのカチューシャに対する意識が違っていたら。
紅を宿したぬばたまの瞳、その声が、変わっていなければ。
あの優しい笑顔を、勇敢な命を
散らせたのは]
[嗚呼。今の自分には 祈りと後悔しか残っていない]
───
[帰る場所は、在る筈なのに もう、とても遠い場所]
[気付けば、4階の大きな扉にもたれかかって、大きな声で
泣いていた──]
[悪戯な笑みがアナスタシアから向けられると
きょとんとした表情が浮かんでしまう。
何時も揶揄るのは城主の方だったから奇妙な感覚があった]
考える時間が頂けるなら有り難いね。
――…“私達”と言うなら、
あなたは、人の世に戻る道は、選ばないの?
[彼女の選ぼうとする道を確かめるが如く問いを向ける。
奇特な者の話にははたりと瞬いて視線の先を追うのだけれど
アメジストの双眸とぶつかれば更に困惑するばかり]
[新月の月に喩えるユーリーに城主は思わずくすりと笑みを零した]
あなたには言葉で敵う気がしないわ。
言葉だけでなく意志においてもそうなのでしょうけど。
――…あなたはそう言うけれど、
私は、自分で自分を忘れてしまいそうになるの。
[長い一人きりの時間で本来の名さえ忘れてしまった。
時折で良いから名を呼んで欲しいと眷属に乞うほどに
誰かに呼ばれるのを何処かで待っていた]
だから、もう、あなたには忘れ去られてしまった、と。
[宴の前に挨拶を交わした他の客人たちも忘れている、と。
ユーリーの課した軛の意味するところは計り知れぬままある]
[此処にいる理由が変わっていない事をユーリーから聞けば
城主は小さくひとつ頷いて]
怠慢であるとは思いません。
宴らしからぬ宴になったのですからそれは仕方なきこと。
それに、礼拝堂での雄弁さには……
人の上に立つに相応しい、と、そう思いもしました。
[貴族であればこそかそれとも彼自身の資質か。
其処までは分からぬながらも何処かで通じるものを見出していた。
グレゴリーの話には言葉の区切りごとに相槌が打たれる。
悔やむように握られた拳にふと城主の手が揺れた。
城の住人に対してなら触れていたであろう手。
けれど、既に正体を晒しているというのに、触れる事に躊躇う]
[助けようと尽力した者の手で友が殺される。
上に立つ者として守ってきたはずの民から家族を奪われる。
ユーリーが心に負うものは彼の言うとおり同じに思えた]
――…苦しいね。
[宴の発端は城主自身であるから
宴の犠牲者を憐れむことも憚られ、
ただ重ねるようにポツと其れだけを紡いだ]
[守るべき「民」ではなくなった。
そう言いながらもベルナルトの事を案じるユーリーに
城主は僅かに艶めくくちびるを綻ばせた]
あなたには未だ守るべき者が居るじゃない。
少なくともベルナルトはあなたにとって守るべき民なのでしょう。
ニコライとロラン……
葬るであれば私も手伝いましょう。
[是の言葉をユーリーに向けて薄く笑む。
身体の事は余り気にしていないような気もするが
ユーリーの言葉を聞いてほおってはおけないとも思うがゆえに]
――…待っていたら戻ってきてくれるの?
[問いに問いで返してしまうのは理解しきれぬからか。
穏やかな狂気を孕むユーリーの双眸に
呑まれてしまいそうな気がして――。
揺れる心を隠すかのように胸元で両の手を重ねた]
[保護は要らぬだろう。アメジストの一瞥に考える。
確かに護られ、導かれる事は求めていない。
女もまた貴族の家に生まれ、大陸をいずれ覆い尽くそうと各地を舐める革命の焔を”安全”な都から見て来たが――ユーリーの指すそれは、女の生まれついての気質と言えた]
…。
[ユーリーの視線は城主を向いていたから、ハンカチが解かれて侵食の見え隠れする右腕を思う。
痛々しいだろうか。
動かせるまでにせずとも、外見だけを再生するなら…と、そこまで考えて苦笑すると、言葉を交わす二人から離れ、とろり、闇へ――]
――…死者の声なら聞こえているわ。
今のあなたを見てその彼が如何思うかは分からないけれど。
あなたに向けられた言葉を伝えておきましょうか。
[グレゴリーが吸血鬼に変じる切欠や灰にした者を思って
零された言葉ではあるが城主には与り知らぬ事]
『ユーリー殿、女性には気を付けた方が宜しいですな。』
[彼が紡いだ言葉をユーリーに向けてことと頸を傾げた]
― 城門 ―
[しっとりと薔薇の薫を含んで満ちる霧の中。
朱を帯びた空の色合いから、太陽が天空に顔をだしていることは知れた。眩しさが呼ぶ頭痛を堪えて眉間を揉む。
酒瓶を慎重に地面に置き、ひたりと冷たい扉肌に左手を触れた。
開くべき時を待って沈黙するぬばたまの黒い門]
あなたが、永遠とともにあるのなら永遠を。
あなたの滅びのときには滅びを望みます。
[自分の指から紋章の指輪を外して、床に置く。
吸血鬼の嫌う銀だから。
家名に依らず、ひとりの男として告げたいから。]
わたし──
ユーリが望むのはあなた自身です。
[――…待っていたら戻ってきてくれるの? と、
その眼差しは、数百年を生きた吸血鬼とも思われず、
これほどまでに切ない声は、シラブルは聞いたことがなかった。]
──必ず。
あなたがこれまでにどれほど辛い寂しい想いをしてきたとしても──
百の世紀にただひとり現れる男と認めさせてみせます。
[そのためにも、果たさねばならぬ義務はある。
埋葬を手伝うとの申し出には謝意を示した。
人を寄越すのか、異能を使うのか、そこは与り知らぬところではあったが。]
[跳ね橋を下ろすための鉄の滑車と鎖。
絡み付く無数の荊棘の幻には白い薔薇も赤い薔薇も咲いていない]
どんな魔力によるものかしら。
[好奇心は時折首をもたげては女の気を散らす。
せいぜいが、治癒と吸血、闇を渡る移動くらいしか能のない生まれたばかりの吸血鬼には与り知らぬ事]
……日光浴する気分じゃないわね。
[見上げる美しい古城。塔と塔のあわいから射す曙光は、未だ吸血鬼の凭れる城門には届いてはいなかった]
[階段を下りながら、
イライダから告げられた友の言葉を思い出し、く…、と喉を詰まらせる。]
まったく──、
女性は、いつだって革命を起こす側だということを忘れていたよ。
── 城館の外 ──
[すでに日は昇っているらしかった。
霧の向うにその姿は見いだせないまでも、世界の明るさでそれとわかる。
わずかに目を細めたものの、立ち止まりはせず、ユーリーは城門に向かって歩き出した。
どんな宴も人生も終わりの刻が来る。
だが、それは破壊ではなく、出発であるべきだ。]
そういえば……
アヴァクームとシュテファン……
本当に酔いつぶれたりはしてないわよね。
[結局確かめず仕舞いの懸念を零し微かに柳眉を寄せる]
あの子は…?
光の子。
[もっとも気丈で、もっとも迷いを知らず、もっとも光に近いカチューシャ。
滅ぼされるなら、あの金の鱗粉は嫌だと苦く笑う。
あれは痛かった]
[滑車と鎖に絡み付く茨へ、ヴォッカの瓶を傾ける。
幻の棘がこの世ならぬアルコールに濡れて、濃く、命なき色を匂い立たせた]
……。
[ベルナルト。
あまりに重い物を負わせようとしながら、同時に出来るならこのまま来ないでくれればいいと、願って。それでもぬばたまの眸は霧の中に金糸を探して彷徨う]
[アナスタシアと擦れ違うように現れたぬばたまの影。
どうせなら手を引いてくれば良かったと思ったが口にはせず]
ほんとうに困ったひとね。
[小さく独り言ちて彼の姿が其処から消えれば ふ、と目許を和ませた]
[門に寄りかかる黒衣に呼びかける。]
ナスターシャ、君は、生きるべきだ。
[この場に集う、すべての存在に呼びかける。]
どうか護り給え──
最後の「吸血鬼」がいなくなれば、
宴はおしまい。
[その後にどうにかイライダをなだめすかして?あるいは脅してかしら。真摯に説得してみようか。
城主が城を開くまでは、この庭に滞在してあげるのも悪くはない。
女の中では、これは出発だった]
――…お茶会に来てくれるなら器を失ってはいけないよ。
茶を飲む為に私の身体など借りたくはないでしょうし。
[零すは城主の描く未来。
何処かで誰かを泣かせたくないと思ってもいたから]
[霧の向こうから姿を見せた人物に、顔を上げて――
そして少しだけ 笑った ]
生きるべきかしら?
どっちでも いいのよ。
私は 私だもの。
―――……。
[城門は、礼拝堂の窓からも伺える。
しかしそちらへ未だ視線を向けず、向けられず。
何故。確かな理由など分からない。
頬を伝い落ちる雫は、ただ熱く、音も無く]
どうか、―――
[自分の心のあるままに、祈った]
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