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最後の鍵は……
[ 黄金色の▲の三等分、右側にあたるそれは――]
……。
[ 書庫の入り口から、足を踏み入れる。
赤いゴーグルは周囲の景色を反射して詳細な表情は窺えない。]
美しい。
[口をついたのは賛美の言葉だった。全てを白に帰す問答無用の力。その出鱈目な能力は男を魅了するに充分だった。]
[ぱん、ぱん。男はiraに手を叩く。賛辞を告げる拍手を少女AIに送った。]
エントリーネーム、イラ、クロノイズ。
……統制機構(Babylon)のキャラクターね。
[ 書庫に居た3者のうちの2者へ告げた。]
美しイ…?
それは、評価の対象外ダ。
私に求められているのは、如何に効率よク、確実に対象システムを破壊できるか、ダ。
この攻撃システムが、大量に生産され、軍事的に利用されレば、我々は、他の国ヤ、惑星のサイバー社会に対して圧倒的優位に立てルだろう。
[少女は、堂々と言い放つ。この発言が、全世界に向けて放送されている事を分かっているのだろうか?
いや、AIに「うっかりミス」は、ありえない。
これはデモンストレーション。
事実上、TVという娯楽番組を通した統制機構の全世界に対する脅しなのだ。]
アイラ?
[なくなった右腕に握手を求めるかのように、手を差し出す。
掌を上に向け、覗き込む虚の瞳を有機的な光に濡らして]
――…
[適切な言葉は、言語データベースから検索出来ない。tryとerrorを思考上で繰り返しながら、ant-lionの無表情を写すように、賛辞の拍手の音に重なったその言葉を聞いていた]
[書庫に踏み入った新たな人影の、発する声>>19]
それにしては、あまりにも強く目立つ力。
圧倒的誇示を齎すのが相変わらず好きなのね。
[ くすり、と微笑む。]
私のオリジナルが属していた、政府のback up管理システム−Mother Systemのセキュリティアンだった頃から、統制機構は変わらない。
あなたの容姿が、オリジナルの私と同じく呆気なく殺されたセキュリティアン zero 01に似ているのは偶然だとして。何とも面白い話。
初めまして。
私は盲目の時計職人のAI、Lost One.
エントリーでは、Charlotte。
[ 冷たい微笑を浮かべる。
それは白い肌と相俟って死の女神を思わせる表情。]
それとももっと別の話が必要かしら?
あなたは、イラ?アイラ?
憤怒と名付けたのは、そこにいるCorneliusなのね。
拘束?そう――
[敵性反応。
ant-lionの見せた動きに、即座に起動しかけた防御行動を抑制した。
襲いかかる少女のAIを受け入れるように緩く胸を開いた所で、対象の攻撃行動が止まる]
………。
[顔を上げる]
[誰何、そしてCharlotteの声]
アイラ。
[短く、Charlotteに伝える。頭に柔らかな母音を乗せた名]
アイラだよ。 シャルロッテ?
[感情を持たない筈のAIは、新しく現れた少女に、思いのほか、興味を抱いたようだ]
>>25
お前ガLostOne. Charlotte…カ。
データでは、良く見知っテいる。イや、正確にはgame開始前に一度顔を合わせているか?尤も、今はバックアップを使っているようダが。
成程…、実にIraに良く似ているな。感情的で惰弱ナAIの様だ。
私ハ、イらでもアいラでもない。
「Ant-Lion」。統制機構のAIダ。
そシて、この攻撃システムは統制機構が作っタものではない。
私、「Ant-Lion」の所属する組織に対してこウ言うのモナにだが、今の統制機構にコレだけノ攻性プログラムを組めるニンゲンなど居ない。
…アあ、気を悪くするナ。ヴィんせんと。
私は、客観的な評価を言ったダけだ。
[まさか気を使ったわけでもあるまいが、すました顔で、さらりと、ヴィンセントに向かって、言う]
…加えて言うなら…オマエと容姿が似てイるのも、偶然ではナい。
このアバターや、この攻撃システムは
お前達がIraと呼ぶAIの製作者、ゼロフォードや、お前の製作者「盲目の時計職人」達、「Redfeathers」が、示し合わせて共同で開発したもノだからな。
言ウなれば「Ira」は、お前の姉妹の様なものだ。
私はシャーロット。
でも、あなたが呼びたいなら、シャルロッテでも良いわ。
[ Corneliusへ小首を傾げるように微笑む。
>>28そして、Ira=Ant-Lionへ、]
あら、そう思ってると痛い目に合うわよ?
[ 唇が、笑みを深める。
Ant-lionが指摘したback up使用については、「Blue room」という特殊な部屋による効果であり、その効果がAnt-lionにも同じく行なわれるのかどうかについては、定かではなかった。また、「Blue room」についての詳細を「ソレ」は知らない。]
そう、成果を横取りしたということ?
確かに政府へのテロ・制圧行為を行なうには、これ以上ない電脳兵器とも言えるわね。
―checkpoint.>>20―
いいえ。
私なりの評価です、ant-lion。
一切の無駄なく。速く。そして対象を場に残すこともない。
これを総称して私は美しいと評価したのですから。
[男は笑う。MARIAは男に寄り添うように立っていた。ant-lionに警戒や敵意を向けることはない。]
[男の視界に、メタリカルブルーの髪色が映った。]
おや、まあ。
何とも面白くないですね、告発など。
今更隠す気もありませんけれど。
[おどけるように軽く両手を開いて見せて、肩を竦める。
楽しげに薄笑いを浮かべながら、ant-lionに話しかける少女の姿を見やる。]
私は別に攻性プログラムに特化したプログラマでもありませんし。
主観的でも適うつもりはありませんよ。
[ant-lionのフォローには、こちらもすまし顔。元来本当に収容者であったためか、サイバージェイルそのものに対する忠誠心などはこの男には然程ない。
故に、個人に向けた評価として受け取り、そしてそれを否定した。]
( LOGICが、同じような容姿を作ったのは。
私のデータを掻き集めている時に、zero 01、Ninaの事を知ったから?確かに彼女の容姿は、私によく似ていた。
zero 03、Audreyとは全く違って。
そして私だけが、偶然にもコピーとして存在することになった。ある事件が切欠で。でもそれも、オリジナルの私そのままの私ではない。)
[ 赤いゴーグルの下、Ira=Ant-Lionを見つめ続ける。]
あなたの本当の名前は、何というのかしら。
[少女は、落ちる水滴が一定のリズムであき缶を叩く様な、無機質な合成音声で、話しかける]
返す返スも思うが、「感情」とは、我々、AIにとって最も無用なモノだ。
無駄に、リソースを使ウ、論理的判断を妨げル、意味の無イ所作を取ル…
横取り…。その通リダ。
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