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― 現実世界・収容施設「サイバージェイル」/112層目 ―
〔そのフロアは薄暗く、足元には最低限の光しかない。
否、一つのポッドに明かりが満ちていた。
小さな電子音が響く。
卵型をしたポッドの一つが、殆ど音なく滑らかに開いた。
ポッドには、一人の男が収納されていた。その男の電脳世界での名前は、LOGIC――。
盲目の時計職人と呼ばれている。〕
……。
〔囚人服は両肩から先はだぶだぶであり、両目はなかった。
ポッドから足を踏み出し、一瞬、体が揺れる。長きコールドスリープからの解放に、体が現実世界に即座には順応出来ずに居るように。
明かりがフロア天井にあるかのように、天井を見上げる。〕
〔自らの電脳から、「サイバージェイル」管理システム端末へ、そして中枢へハッキング。「サイバージェイル」内部のMAP、及び脱獄時に設けられているであろうシステム・ドローン等の位置を把握。
電脳内に仮想的な「サイバージェイル」のフロアが構築された。〕
……。
〔男が何を考えているのかは不明。
自らの電脳内の時間を加速、灼き切れる直前まで上げて、必要なプログラム構築を行い始める。
そして、フロア出口へ向けて、歩み始める。〕
― サイバージェイル独房 ―
Dioneは、壊れたんだねェ…
[gulaが映す金色のコードに片目を眇めて、女は金属を軋らせるような声を零した]
…………merde
[電脳世界の独房に女の声は減衰し、消える。
目の前のアバターの薄い唇がもの言いたげに開くと、女は黒く塗られた爪先をそこに押し付けた]
『? かあさん? あめは きらい』
――そーぉかい。
アタシは雨なんか降らしチャいねーョ。
― 現実世界 ―
〔男は、内側に在る対話者−Charlotteへ言葉を向けた。〕
「AIの人格部分を’2体’掬い上げて来たのは何故だ。
統制機構のAIだ。」
『いいえ、2体ではないわ。LOGIC。
既に彼女達は混ざり合っている。
片方を削ればもう片方にも及ぶわ。』
「しかし出来ない訳ではない。」
『それが、’アイラ’の、ゼロフォードの子の意思だとしたら?
あなたは、ゼロフォードを』
― 独房 ―
ま。
折角ゥ…鍵があるンだ。こんなクソッタレな世界――ぶっちぎっちまォ。
[こめかみにジャックを刺して、女はピアスの一つを撫でる。
蠅のプログラムに心底愉快そうな笑みを向けた]
グラたん。アタシのポッドの位置、覚えタね。
シミッタレた牢獄ゥ…セキュリティ領域は全部喰ってもイイ。アタシが許す。今のアンタなら弁別できっダロ?
――ついてきなァ?
[言葉と同時。
囚人のアバターは光に包まれて*消えた*]
〔男と少女の対話は電脳内で行われ続ける。〕
「私がDioneの存在を「サイバージェイル」の電脳看守に教えたと疑っていたのだったな。その根拠は?」
『あなたが私を愛しているから。』
「’愛情を抱く男’を私が告発したとの確信は出来るか?」
『……それにはノーよ、LOGIC。』
「そういう事だ。だが、お前に疑われているというのは心地よい。」
『馬鹿な事よ。』
「ケネスにキスをされたとあれば、少しくらい意地が悪くもなる。」
「セラフをコピーする。gulaが使用されるなら喰らわせても構わん。
肥大化速度は速い方が良い。」
『……。』
「ゼロフォードとの約束は一つだ。Dioneを停める。
私にとっては、あの男の存在は腹立たしい限りだが、平和的にこの世界を良きものにしようという思想は嫌いではなかった。
私には出来ない事、盲目のままに破壊という名のプログラムを送る事しか出来はしないのだから。」
〔電脳から、各種システム・ドローンへの攻撃プログラムと対処プログラムが放たれた。各種管理システム経路を流れ、ドローンに辿りつけば、彼らは使い物にならなくなるだろう。
ダウンロードした「サイバージェイル」地図を参照し、現在のフロアを出た。何れは、ベルゼビュート・キャロル達と遭遇するかもしれない。〕
「あの少女の外見は私が造った。
ここを出る事が出来れば、もう一度造るのは容易い。」
〔何時になく饒舌に会話を交わすと、暫しの間、電脳内でも沈黙する。だが、データでの交流と交感は*続いている。*〕
―― 現実世界 ――
[昔の話をしよう。
ある冬のこと、私達は家の近くに、雪に埋もれる小さな植物の芽を見つけた。
不思議なことにその芽は、メガネ型の端末をかけていないと見えない――電脳世界にしかない植物だった。
しかし私達はその芽に、本物の植物に接するかのごとく接し、ついにその芽は花を咲かせた]
愛情、ねぇ……
[奇跡的に赤とオレンジのフレームに記録されていた少女の言葉(>>4:63)の断片を思い出して、独り、問いかける]
あんたは作り手の愛情に応えてそんな真っ直ぐな奴になったのか? それとも、そうプログラムされていたから?
私達が育てたあの芽も?
[答える者はない。
なぜならここはサイバージェイルの現実世界側。
電脳世界側で刑を執行されている者に、現実世界側から投げられた問いに答えられるわけがない。
そして、共に「Babylon」を駆け抜けた青い妖精は、現実世界側には端末を介してしか存在できない]
どこかに端末はないのか……!
[ひとまず私は出口を目指して歩くことにした]
― 現実世界・収容施設「サイバージェイル」/19層目 ―
…はぁ、 …は
[白の貫頭衣だけをまとった小柄な人影が一つ。手の平ほどの小さな端末を握りしめ、暗い廊下を小走りに駆ける]
っ は。 もぅ…息切れとかぁ…
[肩の辺りまでの黒髪を揺らす――少女。13歳のまま2世紀余を冷たい眠りの中に時を止めていた体は、彼女の脳の感覚から離れて動かしにくい]
――やってらん な
[細い声に金属性の硬い響きはない。
手の中の小型端末に薄蒼の視線を走らせた]
グラたん…役に立つじゃん。
このシステムダウン…他にも脱走者、いるね? ――あの2人
[監視・警護のシステムドローンが沈黙する廊下を、素足のまま、少女は駆ける。暴食の蟲は、既に彼女のいるフロアの管理システムを全壊させていた]
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