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次の日の朝、自警団長 アーヴァイン が無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、LostOne. Charlotte、LittleDancer Carole、HurtfulHeart Tobey、ira、Chlonoise Vincent、Kenneth "thenoise"、gula Cornelius の 7 名。
―target lose―
[上空へ落ちていく途中、何かにぶつかった。
体の半分程を失っていたソレは、本能のまま――Irvineを喰らう]
―― ?
[avaritiaと離れているソレには見えなかった。
すれ違うように、青い髪の女性型AIが自分とは反対、床へと落ちていく様子は]
−2F−
あー…?
[窓の外を、あれこれが忙しく上下する。その様子を眺めていた男が動く。ちょっとそこまで出かけるように、窓の外へと身を投げた]
(ザザッ)
いや。いやいやいやいや。ちょーどいい。ちょうどいいとこにいたもんだ。
(ザザザ)
[雨にあたり、ざらざらとノイズに崩れる体を、自らも落下しながら落下物へと近づけていく]
お前ェはなァ。
(ザザッ)
オレッチ様がブッ潰すって決まってンだ。
んーなクソくだらねェ物理演算ごときに潰されンジャねェぞ。聞いてンのかこら。ああ?
[返事を求めない問い。男にとってみればいつもどおりの口調で言葉を漏らしながら、男は蒼いAIとともに落下していく。そして、地面に落下しようと言う、まさにその瞬間。
辺りをノイズが包み、そして―――]
今の音は――
[何かがぶつかって――壊れる音。>>1:118
先程爆発音がした位置からではなく、少年の足元――外壁と床の継ぎ目に当たる部分に、それはぶつかったようだった]
もしかして……。
[さっと視覚と聴覚で周囲を探る。
全てのリソースを、塔の外壁と床に向ける余裕があるか。
幸い、周囲に人影は見当たらない]
さっきのでちょっとでもヒビが入っていたら……それを起点にして……。
[塔の外壁は非常に"固い"が、浸食不可能ではないと判断した。
sandplay techniqueをごく狭い範囲で起動し、赤黒い腐食のような浸食部を広げていく]
んん……。
[どうにか潜り抜けられそうな大きさまで広げると、体を捻じ込むようにして反対側へ抜けようとする。
塔に自己修復機能があるなら、それに巻き込まれて破壊という事態にもなりかねない。
とにかく、急いで抜けだそうとして――]
[シャーロットに付き従う小男が、雨の降る塔の外の様子を見ようと駆け走るのを見ながら。
私は思い出す。先ほどのECLATANTの言葉を]
この塔には、――何がいるって?
[ともあれ、私もシャーロットの身が心配になり、小男のあとを追って塔の下の様子を見に行った]
― 外 ―
[ 落下――。pierrotが塔から身を乗り出し、seraphが追おうとしているのが見えたような気がした。
虚無を思わせる黒の空間。閉塞感と無限を思わせるような恐怖、圧迫感。
細い指が誰かに触れる。]
だ…れ……?
[ メタリカルブルーの髪が、広がる。
時計盤は、]Uを差す。紫紺の色。夢が終わる時間。
ノイズ、衝撃を緩和するかのように、周囲が分解。雨すら分解(ノイズ)
気付けば見上げるような態勢。男−the noiseが目の前に立っていた。]
― Babylon上空 ―
[雨が逆さまに降っていた。
落ちていくソレに逆らうように、水滴が叩き付けられる]
――危険 damage蓄積
消化 79%
[塔から離れる程攻撃力が増す、という雨の特質は、程度の差こそあれ三次元方向にも採用されているらしい。
塔の影が小さくなる程、ソレを浸食する攻撃性プログラムは激しさをました]
――危険 危険
[『塊』はavaritiaを中央に抱いた紡錘形を為して、雨に当たる面積を、損傷を少しでも減らそうとしていた。空中で喰らったプレイヤーの内包していた膨大なエネルギーと情報を、消化すると同時に体の修復に回す。
そして、Irvineがいなければ既に身動きどころか脱落していたであろう距離まで落ちたところで、avaritiaによるプログラム解析が終了する]
消化 100%
invidia....再起動..........再起動
[ノイズが収まったとき、そこには体のあちこちにノイズを走らせた男と、傷一つないAIが立っていた]
よし。オーケィ。
壊れちゃァいねェな。よしよし。
[そのことに、心底から嬉しそうに頷く。相手の疑問>>5を気に留めたそぶりも見せない]
オレッチ様がぶち壊す以上、できうる限りに完全にカンペキでなくっちゃァなァ。せっかくの楽しみも目減りするッつうもんだ。
そんじゃァ、そういうことで。
改めて、オレッチ様にぶち壊されろ?
[嬉しさを隠そうともしない笑みをそのままに、ノイズに包まれた手を、蒼いAIに差し出した。
…背後の鳥には、かけらほどの注意も払いはせずに]
[ 落下が 止まる ]
――危険 危険
回帰行動 目標地:Babylon
[解析したプログラム。
世界に設定された重力に干渉し、物理法則を曲げるもの――を模倣し、補助AI invidiaが展開に成功した]
――危険
[天へ向けての垂直落下運動が停止し、同時にソレを苛む雨の運動へも働きかけて攻撃性を緩衝する。
ソレは直ちに体勢を立て直すと、塔へ帰還するべく移動(落下)を開始した]
[−target lose−
Irvineの脱落が確認された瞬間、]
―――…!
[ じわりと流れ込んでくるものがあった。
黄金の輝きをした、複雑な暗号のような―――欠片、]
あ……。
[ きゅ、と眉根を寄せる。
それは「ポッド」の鍵の欠片だった。欠片は、全参加者の間へ流れてゆく。]
― 1F/外 ―
[狭い隙間から体を引き抜き、雨にけぶる上方を見上げる。
それは一瞬で地面付近に到達し――そして。
雨越しでも明らかにわかる程に、その姿はノイズに包まれ霞んでいた]
あれって、やっぱり――あいつ、だよね。
[該当するプログラムの使用者は一人しか知らない。
相手はこっちに気付いているのか。
シャーロットの方に意識が向いているなら、その間にそろそろと移動する。
塔の外壁の影にでも隠れて、ひとまずは様子見に回る心算だった]
…ああ?
[ゆっくりと、その瞬間を味わうように、ゆっくりと、少女の姿をなしたAIへと近づけていた手を止める。
不意に記憶領域へ、外部からの書き込みがあったからだ。
生存し、脱出するための方策。
他の参加者にしてみれば重要であろうその情報を、男はただの雑音として処理した]
あー…クソ。こっちャあお楽しみの最中だっつうのに邪魔するなんざどこのクソバカだっつぅンだクソ。
[顔をしかめ、悪態をつきながら耳を小指で穿る。ノイズを形を成した何かを抜き出し、ふっと吹いて飛ばした]
さて。これでよしだ。
改めて改めてブチ壊す。
[吹き飛ばしたことで満足したのか、再度その手に、ノイズを発生させた]
― 4階 外・ドーム上 ―
[ばしゃり。
音を立てて、優美な形を描くドームの一つに着地する。
『塊』はその場でカタチを変え、灰色の男のアバターを模した。
ふわり、傍らに球体の補助AIも浮かび上がる]
……これ なに
[呟く。
不明なデータ。Irvineを呑み込んだ瞬間に流れ込んで来たが、喰らったことで得た情報ではないように感じられた]
code? かぎ?
[降る雨は、ソレの周囲で軌道を変えてドームを叩く。
周囲の重力に干渉して攻撃性プログラムを防御しながら、ソレは首を傾げ、思案の素振りをした]
[ 笑いながら手を差し出す男。
ノイズだらけの手、ジラジラと一時も収まらない手に、手をかけようとした。
大きな手に収まる、白い手。だが、>>11挙動を見て、]
……嫌。
[ 僅かに強い調子で告げる。]
あなたは、壊す相手に、
まるでパパのように手を差し出すのね。
[ 背後のAI−bluebirdが、こちらへ向けて重力操作を行なう。AIの予想では、二人とも重力が逆転する筈だった。]
おい、無事か……?
[届くわけもないのに、眼下の女性に向けて声をかける。
その時。眼前でフレームが展開した。
フレーム内には黄金の輝きを模したアイコンが一つ。そして上部中央には――何も書かれていない。名無しのフレーム]
何だこれは? プログラム? 名前は、あるのか?
[黄金――Golden。
だが連想はECLATANTの声で打ち切られた]
『ねえねえ、〈New Catsle Legions〉とかどうよ?』
[黄色い傘はこの場では目立つ。
決して心地よいものではないが、ここでなら雨を浴びても深刻なダメージにはならないだろうと判断する。
そうして、どうにか物陰まで移動した時。
何かのデータが、内部に流れ込んで来た]
……? 何だろう。
[sandplay techniqueを掌の上に発動させ、流れ込んだデータのイメージを投影する。
それは黄金色をしていて、何処かに嵌め込む事で発動する暗号――鍵、のようだった。
ただし、明らかにその形は不完全で、幾つかある欠片の内の一つであろうと推察された]
これを集めたら……何かが起こるってこと?
gameにそんなルール、あったっけ。
[首を傾げるも、すぐにその表情は楽しげなものに変わる]
宝探しってことだね! おもしろそう!
[かつて存在していた区画では、そのような催しが定期的に開かれていたのだ。
ちょっとしたスリルと興奮が味わえる、しかし安全な"遊び"。
男の子はそういったものよりも、本物の冒険を選ぶものだ。
わくわくした表情を浮かべながら、鍵の欠片をハート――データ内部に仕舞った]
― 4F ―
[ pierrotは「塔」から下を見下ろし、傍らのLittle Dancerの声を聞きつけ、ひょいと覗く。]
『何ていう無茶を。
ん、何だいそりゃあ。お嬢ちゃん、解析出来るかい。』
【ペナルティ解除。これよりOneの保護へ向かう。】
〔 seraphへのペナルティ解除が行なわれる。
拘束用Programが解除され、黒い帯がほろほろと解けてゆく。ボロボロになったそれは、床に落ちると消え去った。
まるで、Charlotteのback up消失が必要だったとばかりにペナルティ解除が行なわれた。〕
『チッ。悪いが俺達は先に行くぜ。お嬢ちゃん、後でな。』
[ pierrotが、seraphの肩に乗る。]
【ECLATANT、先刻は感謝する。貴方が居なければ彼女は死んでいた。】
[ seraphは背を向けたまま告げ、「塔」から身を躍らせた。]
あァーあ、そうだ。
ブチ壊されるヤツはみんなそう言う。
(ザッザザッ)
嫌だとか、壊されたくないとか、死にたくないとか、まァいろいろな。(ザザッ)
[強い調子で告げられた言葉を、ニヤニヤとあざ笑う]
(ザザザザ)
パパか。パパね。(ザザッ)そんなもん考えたこともねェ。
ンで?そんならどうした?
パパの手に甘えたくなっちまったか?
オレッチ様ならいくらでもかまわんぜ?
[嘲った笑みを浮かべたまま、誘うように、ことさら演技めかせた調子で腕を伸ばす。接触すれば、即破壊するノイズを持った手が、少女の姿をしたAIへと迫り…そして、それは叶わなかった]
(ヂッ!!!)
[男の明確な苛立ちをそのまま音にしたような短いノイズ音とともに、辺りの空間がノイズの霞に包まれる。重力を変化させようとする、その干渉自体が、破壊されていた]
手前ェ…クソ鳥。おゥ。お前ェ…せぇぇぇええっかく!オレッチ様がシカトしてやってたっつうのに、手前ェはよゥ。
しょうがねェよなァ。あァーあしょうがねェ。
オレッチ様に全身全霊全力で以ってブチ壊されたってそりゃァお前ェ、どうしようもなくしょーがねェよなァ!!ああ!?
[苛立ちをそのまま、鳥の姿のAIにぶつける]
……行け。
[鳥に振り返り、背を向けたままで、蒼いAIに告げた]
あのクソド畜生、お前ェよりもよっぽど先にぶち壊されてぇらしい。
手前ェはあとでゆっくりぶち壊してやっから、今はさっさとどっか行ってろ。
そンでオレがブチ壊すまで、確実に!間違いなく!絶対に!誰にもぶち壊されんじゃねェぞ?いいな?分かったな?
分かったらさっさと行けッッッッ!!!
[有無を言わせぬ剣幕で叫んだ。その苛立ちの内圧が漏れ出したように、男の体が激しくノイズによって霞んでいた]
……、それも、嫌。
[ 分からないまま、芯の篭った口調で言い返した。]
あなたを残すのは、駄目な気がするもの。
……。
あなた、私に会った事はない?
[ the noiseの前に回りこみ、秘め事を囁くように問いかける。
けれど、その時計盤−Clock-eyeの眼差しは真面目だった。]
それと、私の名前はシャーロット(Charlotte)。
LostOne.とも呼ばれているわ。
[ 背後で、seraphが「塔」から綺麗なフォームで落ちる。
赤と白の熾天使。それは、重力操作を仕掛けていたbluebirdを捉える。ぐちゃりという厭な音が響く。]
[新しい、城、軍団。
いったいどこからそんな発想が出てきたのかといぶかしんでいると、小男――確か、pierrotという名だったか――に声をかけられた]
解析か……
[今は「それ」の解析より、目の前の妖精への質問を優先したいのだが。
ECLATANTはどういうわけか、私の知らない何かを知っている。
その可能性が、高い]
……待て。
なんで、そう気安く私に話しかけるんだ。
お互い、命がかかってるんじゃないのか?
[だが、その問いはおそらくはpierrotにも、シャーロットのもう一人の補佐AIたるseraphにも届くことはなく。
彼らは塔から身を躍らせ、主のもとへ]
― 屋根の上 ―
[見下ろす。虚ろの瞳よりも正確に、avaritiaが地で何が起こっているかを伝えて来る]
ノイズ?
bluebirdとたたかう?
[瞬く。どちらにも、加勢する気も邪魔する気もなかった。
有害な対象とは既に離れた。取り込んだ情報の整理と――出来れば新たな捕食をしたい。
塔の4階から赤と白の体躯のAIが飛び降りて、鳥を潰したところまでを確認して、ソレは屋根を離れた]
――どこへいこう
[細い柱に沿ってふわりと、4階の床に降りる。冷気は既に去り、氷も溶け消えていた]
the noise……シャーロットを、助けた……?
[目の前に展開された出来事をそう解釈したが、the noise本人は、後々シャーロットを壊すと言っている。
そういえば、彼と最初に遭遇した時の言動も――]
……うーん。やっぱり、ニンゲンの考える事はわかんないや。
ただ壊せばいいってだけじゃないってこと?
[その時、落下してきたAI――ゴーレムに似ている奴だ――が、彼らの対峙していた青い鳥を破壊した]
――――!
こっちに来る……かな?
[相手の動きを観察しつつ、遭遇するべきか、さっさと逃げるべきかを思案した]
あなたに擁かれる事は、「死」を意味するのね。
[ 形の良い唇が言葉を紡ぐ。
pierrot、seraphの思考。前者の思考−最終的にロッテが勝利者となれば良い。後者の思考−目的と感謝の表出は同一にはならない。]
後で、ってどういうことだよ……
後で殺し合おうって意味なのか?
『アタシはそんなに怖がることはないと思うよ! 彼らから敵意はあんまし感じなかったからねっ!』
それは……そっちの方がこっちを安心させられるからだ!
そんなことも分からないのか!
[叫んで、走る。今度こそこのフロアから出ようと。
ワープゾーンが使えなくとも階段はある。今度こそ、誰もいない場所を捜そう。そしてECLATANTから話をじっくり聞こう。
視界の端に、4Fに降り立った人影が映ったが、構うことなく階段を目指して進んだ――**]
―???―
[ああ、失敗しただろうか。
雨の音一つ聞こえない、黒に塗られた空間を漂いながら男は思った。
バイナリを書き換えられたワープゾーンはあちこちでエラーを返し、自らを0に塗り替えてゆく。
BackSkipperでの"過去"への離脱もやむなし、と発動準備を開始した、その時。
目の前を漂うバイナリデータに座標情報らしき数値が格納されているのを見つけた。一部が欠けて読めなくなり、正確な位置情報の体を成していないそれにアトランダムな数値を追加して、無理矢理座標データを構成する。
飛びゆくのは、何処やら。]
――ッ!
[ざざざ、とけたたましい音を立てて男が落下する。
ノイズとノイズの間を漂い、ワープゾーンが選んだ出現座標は3Fの上部空中。重力が身体を濃い緑の世界に落とした。
3Fで交戦していた参加者が、男の出現に驚きと疑惑の視線を向ける。]
おや、まあ。お邪魔しました。
[葉や果実にまみれたアバターを表面のみ再描画し身奇麗にすると、向いた目線に頭を下げた。]
[『お前……どうやって。』階段でもワープゾーンでもなく、中空にいきなり現れた男に交戦していた参加者の一人が、訝しげに声をかけてきた。]
ワープゾーンを利用しただけですよ。別段怪しい行為はしていません。
[しれっと返答する。虚偽発言ではないが、事情を知らぬ者からすれば信じるには値しない発言だったのだろう。不信、もしくは危険人物と判断したのか、自分の相手のことも放ってこちらへアタックプログラムを向けてくる。
が、それはさらに別方面からの介入により中断された。]
[思考領域に直接流れこんできたのは、バイナリコード。ところどころゼロフィルされたそれは、おそらく一部なのだろうと推測された。
見れば、他の参加者も同じ情報を貰っているようだった。
同時にホログラムに脱落者名が点る――Irvine。]
ピース……?
[何の為に、もしくは何の意味があって。どうせ皆が皆自分以外を殺そうと躍起になっているというのに、今さらこの殺し-game-に目的を追加する意図が読めなかった。]
まあ、Puzzleは嫌いではありません。
[ピースを集めるのに一人でも多い参加者の脱落が近道と悟ったのか、3Fで一番異彩を放つ登場をしたばかりの男に殺気が向く。
数は一つ二つ、三つ。3Fにいた参加者3人全員が、隙を窺って男を見据えている。
男は眼鏡の奥の目を細めると、応戦せんとばかりにMARIAを傍に従えた。**]
[何の為に、何の意味があって。実際は、男の抱いた疑問はそれだけではなかった。]
[ [ 何故。 ] ]
[本来起きるはずのないEventの発生。悠然と行動する男の思考に、僅かな動揺が揺らいだ。]
― 4階 ―
[大きな声>>25。早足で階段へ向かう女性アバターと、追うように飛翔する小さな影を見遣る]
……蟲?
なにかな。おいしそう?
[羽を細かく震わせて階段へと消えていく青い髪の妖精に、母たる制作者―Belzebuthに連なる情動が発火する。
理由のない懐かしさにつられて、階段へと虚の瞳を据えた]
敵性存在 不明
移動 可
[中央のホログラムを振り返る。等間隔に並べられた参加者一覧は、色を落とした矩形――死者のために、既に疎らになり始めていた]
[不明なデータの解析をavaritiaに回し、ソレは濡れた髪を絞る。
足元に視線を落とし、裸足であったことに気付けば極自然に眉を下げ、困ったような微笑を浮かべた]
…
[invidiaに意識を向ければ、直ちにアバターの修正が行われる。
靴の踵とつま先の具合を確かめて、階段へと緩慢に歩き出した。歩容は既に滑らかで、人のものと区別はつかない**]
― 外 ―
『あなたに擁かれる事は、「死」を意味するのね』
[少女の呟く声が聞こえた]
――シャーロット。
[警戒するようにピンクのハートを抱きながら、シャーロットに話し掛ける]
あの人と戦うの?
[出来るだけ物陰に隠れてはいるが、the noiseには気付かれただろうか。
気付かれたならば全力で逃走に移れるよう、プログラムの起動をシミュレートする]
― 外 ―
そういえば、さっき面白いものを見付けたんだよ。
黄金色の鍵みたいなの。
あの人も持ってるのかな?
[無邪気そうな口調で話し掛けながら、シャーロットの方へ歩み寄る]
[ bluebirdは厭な音を響かせはしたが、まだ脱落までには至らない。seraphは、グリッドに叩きつけたbluebirdを掴み、5指の力を篭める。
そんなseraphの行動は、後ろで行なわれていたので気付かなかったけれど、]
トビー?
[ 振り返れば、ゲーム開始前に出遭った少年の姿。]
……分からない。
けど……、
[ 一瞬浮かべた儚い表情、それは、雨烟る中、直ぐにでも手折られる花を思わせた。]
黄金の鍵……。
……。それは、私にも流れてきたデータのこと?
[ Clock-eyeが、黄金という言葉に反応するように琥珀色に彩られ、時計盤の黒い針とローマ数字が明瞭に浮かび上がる。]
―――っ、
−ira...is Babylon's Character.−
−and ......−
[ tobeyを見つめる視界の中。青白い文字でiraの解析が流れる。
Irvineと同じように、▲を三等分したような形の一つ。
Irvineが一番上なら、iraは、三等分した左側の形だった。
解析、その感覚は―――]
the noiseが持っている?
[ tobeyの言葉を繰り返し、その浮かび上がる感覚、何処かの記憶を刺激するかのような一瞬……]
わからない?
[首を傾げる。
青髪の少女が浮かべるのは儚げな表情]
シャーロットはすぐに壊れちゃいそうだね。
シャーロットも鍵を持っているの?
[the noiseやbluebirdの攻撃が飛んで来ないのを確認しながら、シャーロットにまた一歩、近付く。
彼女の補佐AIの内、戦闘力がありそうな方は、bluebirdと格闘中だった]
……シャーロットにも流れて来た。
それじゃあ、きみは持ち主じゃないんだ。
[瞬いてシャーロットを見詰める。
と、彼女のClock-eyeに、明瞭な時計盤が浮かび上がった]
それは――? それも鍵と関係があるの?
[首を傾げる。ハート型のプログラムが、ゆっくりと鼓動を開始していた]
私、知ってる。この感覚……。
[ 断片。断片的にも断片。「解析」という、覗き見る行為の感覚。
落ちてゆく、誰かを覗き見るような感覚、千の手と天の目を経由するような感触。誰かに赦されて――、青白い光の海に沈み眠り込んだまま、宇宙と電子の夢を見る。そして、もう一つ。]
違う……持っているのは、―――ira?
[ >>35自分で言った問いに自ら答えるような呟き。
青髪の少女。まるで花の咲くような少女の姿が記憶から呼び起こされる。そこに宿る黄金の光は太陽のようで、青髪の少女に似合っているようにも思われた。]
− need more ? −
− Analyze target select −
[ ぼんやりしていたのを気付かせたのは、tobeyの更なる声と、視界に映る青白い文字。]
ira?
[シャーロットの呟きを耳にして、memoryを検索する。
参加者の名を表示したホログラムは、ここからでは見えないが、一枚の画像として内部に保存したものがあったはずだ。
程無く発見したそれと、iraの名を照らし合わせる]
あ、……
[目を大きく見開き、そして瞬いた。
驚きを表す仕草]
あの子が?
[iraの名を持つのは、青い髪の幼い少女。
――先程の、腫れた瞼と充血した瞳をした少女だった]
[ 明瞭に浮かび上がったのは琥珀色という、文字盤の黒を際立たせる色だったからだけど、その事は察せずに、]
目に、映るの。
各フロアに浮かんでいる、Irvineのホログラムを見た時に、彼に黄金色の光が宿っているのが見えて…
( −Welcome to Babylon Heterotopia.−
−Present 4 U.− 差出人不明のプレゼント……。)
それから、解析対象を選べと言われたわ。
[ Irvineの時は、自分の視界の中では、>>1:90Irvineの光点が黄金色に変わってマーキングされていたけれど、「塔」の外からでは、iraの光点もそうであるのかは分からない。]
それが何なのか分からなかったけれど、
私はあの子、iraが気になったから。
[ だから選んだ。少女の事が知りたくて。]
これは……鍵なら、何の鍵?
この閉鎖空間を開ける鍵とでもいうのかしら……。
― 階段 4階〜3階 ―
[ゆるりと歩く度に、足元から硬質な音が響く。
金網で作られた階段を、先に下っていった女性のアバターの姿はとうに視野から消えていた]
…どこかな
[青い髪の妖精の姿を探して、首を廻らせる。
探査能力に優れたavaritiaは、今は肩のあたりで自転しながら沈黙を保っていた]
[金網に響く甲高い靴音を立てて、下っていく]
Irvine……。
[交戦記録のないプレイヤーだった。
直接戦った相手でなくとも、"鍵"は手に入るらしい]
その眼を使って解析したら、鍵を持っているかどうかがわかるんだ。
[琥珀色をじっと見詰める]
閉鎖空間を開ける? 外に出られるっていう事?
[その声に少しばかり弾むような調子が混じったが、すぐにその調子も萎んだ]
でも、外って……。ここの外に出てどうするの?
[外。少年の感覚では、それは『別の電脳空間』という意味合いにしかならなかった]
そう、みたいね……。
Welcome to Babylon Heterotopia.
Present 4 U.
[ 表示されていた文字を呟いた。]
誰かが贈ってくれた、もの。差出人はなかったわ。
……。
[ 目を一度閉じれば、次には蒼ざめた空色の時計盤。
tobeyの声が、風船が萎むようにトーンが落ちる。]
……。
もしかしたら、サイバージェイルの鍵かもしれない。
[ もしそうなら、LOGICを助けられる事になる。でもそれは、信じるには大きすぎる希望というものだった。tobeyは、その言葉を聞いても、元気は出ないだろうか。]
Present 4 U.
[Charlotteの呟きを復誦する]
サイバージェイルの鍵。
それが、誰かからのプレゼントだっていうの?
[サイバージェイル。電脳の牢獄。
自分に"心"を与えたマスターは、そこに捕まっているのだと言うけれど]
……わからないよ。
どこに居たって同じだもん。ぼくはぼくの場所で遊ぶだけ。
それに、仮にぼくのマスターが牢獄から出られたとしても――
[言葉が止まる。というより、少年のアバターそのものが静止―freeze―する]
ううん、それは考えても仕方ないや。
ともかく、その鍵を集めてみたらわかるんじゃない?
iraの所にいけばいいのかな?
[深く思考すれば自己の存在意義を揺らがしかねないため、自動的にその方向性にはロックが掛かったのだった。
思考は素早く切り替えられる。希望、とまではいかないまでも、純粋な興味から優先順位は決定された]
トビー?
[ 静止に声をかける。しかし、tobeyは直ぐに動き出す。先の事は告げず、]
そうね。
[ やはり儚く、tobeyへ微笑んだ。]
iraが、Babylon's Characterという事は、
あの子は「Babylon」、統制機構のものということ。
……。
Irvineも、…やはりBabylonの。
[ 最後の呟きは小さく。
LOGICと政府の長年に渡る因縁のようなもの、その一端を知っているものからすれば、「ira」には注意が必要に思えた。]
LostOne. Charlotteは、− target lose − 「塔」の近くで戦闘を行なっていたseraphが、bluebirdにトドメをさしたようだった。
統制機構……。gameの主催者?
そうなんだ。
……iraって子、随分と高度な感情表現をしていたけれど。
それだけ作り込まれていたのも、重要なキャラクターだからということ?
[半ば独り言のように呟く。
Charlotteに問われたなら、彼女の泣き腫らした顔の事を自分なりに説明しようとするだろう]
あの子の戦闘力は知らないけど……注意はしていないとね。
[言いながら、塔の入り口がある方向へ歩き出そうとする。
ともかくiraとはもう一度接触するべきだと判断した]
―― 階段 ――
[足音を響かせ一気に階段を駆け下る]
……こういう時、羽があったらって強く思うよ。
[軽口。自分を落ち着かせるための。
この狭いせまい世界の中にいた、少しでも私と繋がりのある者が、私を殺しに来る、そんな光景を今は考えるな。
そう、今考えるべきは――
私は階段の途中で立ち止まった]
Legions、さっきはすっかり忘れていたが、
作りこまれた?
[ そう問えば、tobeyから感情表現の事について事細かに教えられる。]
LOGICも、感情表現は豊かにするわ。
[ そっと視線を向けた先には、pierrot。しかし、pierrotよりも、自分の表現感情機能の方が細かく作られてはいる。]
( 愛している。)
[ pierrotから伝えられた言葉。]
それはおとぎ話に出てきた、妖精の敵を示す名前だ。
奴らは強大な力を持っていたが、妖精達や魔法使い達の知恵と、少年が乗るドラゴンの力で倒された。
実に懐かしいよ。
[そして笑う。遠い世界を懐かしむように。
だが、すぐ真顔に戻って、]
もしやとは思うが――
この塔にいるのは「妖精の敵」か?
[あの時はっきりとは聞き取れなかった言葉。
『この塔には、この殺し合いには――の』
その、示すところは]
そしてもしそうだとしたら、ECLATANT、何を「妖精の敵」だと定義したんだ。
そして、どうして私が知らない「妖精の敵」の存在を――
( 鍵がもしも解放に繋がるなら、トビーを破壊しなくて良いはず。
トビーが、Babylon's Characterでない事が前提だけれど。
……。
先ずはトビーが言ったように、確認をしたい。
でも、この気持ちは何だろう。)
( mori…。)
( Irvineが、消えた後にデータは流れたわ。
イラを破壊するなら、今戦力を使う訳にはいかない。)
― 階段 3階〜2階―
[塔の3階からは、濃密な植物の香りがした。倒れ、果実を潰し、あるいは葉の千切れる毎に、精巧なオブジェクトが微細粒子をまき散らしているらしい]
…戦闘状態
突入回避
[妖精がいるならこの階かもしれないが、足は3階を素通りしてさらに下へ。
やがて、階段の途中で立ち止まっている女性プレイヤーを見つけるだろう]
―――セラフ!
この子に、手は出さないで。
[ 両手を広げ、tobeyの前へ一歩出る。
seraphは、意に介していないように、ボロボロになったbluebirdのアバターを残し、こちらに走って来る。]
『ああ?どういう事なんだ、ロッテ?』
状況が、変わったの…だから、止めて。
〔 pierrotが、ひぃふぅ言うような態で小走りで追ってくる。その様子は単なる表現で、pierrotというプログラムは疲弊しない。
seraphが跳躍、上空で一回転し、charlotteとtobeyの後方に着地した。
位置関係は、seraph−tobey−charlotte,−Babylon.〕
『ちょっと待って! そんなにいっぺんに質問されたら困るよ!』
……それもそうか。
じゃあ、話して。私が知らなくて、あんたが知ってることを、全て。
[しばしの沈黙。
雨の音がやけに耳につく――が、それもECLATANTが話し始めれば終わるものだ]
『この殺し合いには妖精の敵、Legionsが混ざっているよ。
Legionsはアタシが勝手につけた定義名で、そいつらを識別するプログラム上での定義名はBabylon's Characterだよ。
そしてそいつらを識別するプログラムは、アタシの中にある』
そう。
……確かに、きみたちの感情表現はまるで人間みたいだね。
gameに送り込まれたっていうのに、戦いを迷ったりする所も。
[と、seraphを振り向いた所で――それが、こちらに向けて走って来るのが視界に入った]
…………。
[認識すると同時に、defence mechanismsが発動する。
グリッドが平面から立体に立ち上がったような、淡く光る立方体の檻]
それは、きみの意思通りに動いている訳ではないの?
[Charlotteに向けて問う声には、硬さが混じる]
そうだね、その鍵が本当に牢獄の鍵かはわからない……。
勝利条件が変更されていないなら、ぼくらは味方ではないね。
[いっそ、壊しておくべきだったか?
seraphが戻って来てしまった以上、機は既に逃してしまったが]
[階段を降りる。
重力に干渉して僅かに浮いた足は、硬質な靴音を響かせない]
[妖精とCaroleが交わす言葉は、雨音に消されてソレの耳には入らないが――avaritiaには聞こえているようだった]
――
[接近行動の目標設定は、二体がこちらに気付くまで]
そんなプログラムを仕込んだ覚えはないが。
『あったりまえだよ、拾ったんだもん』
[私の表情が険しくなる中、ECLATANTの表情は変わらない。明るい笑顔]
私のもとを離れている時に拾ったのか?
『そうだよっ!
何者かの気配を探している時に、道端に箱が落ちてたから、開けてみたら、光とともに何かがアタシの中に入り込んできたんだ。
それはプログラムみたいだったけど、開くことはできなくて、何のためのものかも分からなかったんだ。
でもゲームが始まったらだいたいは分かったよ!』
[ 意外にも、seraphは攻撃を行なわなかった。]
【予想より早い工程だ。設定された状況域に近い。】
……え、
【pierrot、私は先に本来のあるべき形質へ還る。】
『お、おい!そりゃあちょっと早すぎる。
ロッテはまだ、そこまで辿りついていないじゃねぇか!』
【無用。私はLOGICの願いだが、本来の貴方を覆う影だ。
必要の為の特化した力の塊でしかない。】
ま、待って……だから、どういう意味なの?
[ 赤いゴーグルに覆われたseraphの表情は見えない。]
LostOne. Charlotteは、HurtfulHeart Tobeyを、「defence mechanisms」を回り込み、seraphに近づく。
何者かの気配を探している時……あの時か……
[確かにあの、3Fの広場で一息ついていた時なら(>>0:141)、ECLATANTが奥の道で何を拾おうとも気付きようがなかった]
『このプログラムは、脱落した者がBabylon's Characterかどうか調べることができて、アタシの内部コマンドでは発動しない。
Babylon's Characterが何かは分からないけど、アタシはBabylonがこの殺し合いの名前だって知ってるから、この殺し合いを有利に進められる者のことだって暫定的に定義したよ!
きっとそいつらは強大な存在だって!』
…………。
ということは、それは私の意思でしか発動しないのか。
そしてECLATANT、私にそれを使えというのか?
『だってずるいじゃないかー! そいつらだけよくわからないすごい力を持ってるなんてさ!
そんな奴らなんて』
……まったく、なんとも言えないオプションだな。
せめて今生きている奴のいずれかがLegionsだと分かればよかったものを。
…………。
[少女の補佐AIは、こちらへ攻撃をしなかった。
そしてその状況は、Charlotte自身にも理解出来ていないらしい。
こちらを回り込んで自身の補佐AIへ近付く少女を、黙って見守る。
防衛機制は解かぬままだ]
[ seraphの赤い髪は雨を物ともせずに形を保っている。
seraphは、――に躯を僅かに俯かせて、顔を寄せた。]
【私を食べろ。】
!?
[ 赤いゴーグルを見てもそこには自分の顔が映るばかり。]
セラフ。
【私は、seraph=obscura。pierrot=lucidaと対になる貴方の補佐プログラムだ。】
……。
[ もっと、seraphにかける言葉はあったように思う。
全く従わないとしても、ずっと護っていてくれたのだから。]
『だが、早い。
このままじゃあ……、ロッテには扱いきれんぞ。』
【お前が補佐をすれば良い。pierrot=lucida。】
……。セラフ。
[ seraph=obscura。
そうLOGICに名付けられた精緻なプログラムは、内側にテクスチャを織り込んでゆくように小さくなってゆく。
>>0:88 白と赤の熾天使は、◆黒い水晶の結晶と、化す。]
―3F―
[走るという行為は、非常に合理的である。自らに勢いをつけ、破壊力を上げ、そして移動を同時に行う。
男を見据えていた三人のアバターは、三方向から三者三様のアタックプログラムを展開しつつ、一点男を目がけて走りこんできた。
彼らにとって不幸であったのは、彼らが相対している男のプログラムの性質を知らなかったことではなかった。]
[男は彼らの眼前から消えた。しかしそれは移動したのではない。ましてや本当に消えたわけでもない。]
―3F checkpoint.>>27―
――MARIA。
[声を"降らせた"位置は上空。男はほんの数分前に戻ってきただけであった。
そう、彼らの不幸は男が過去に戻れることを知らなかったことではなく、"男がこの階の上部から突然現れたこと"そのものであった。
重力に逆らわずまた落ちながらも、戦意を一点に集まっていた彼らに向ける。自らごとアバターに突き刺さるよう指示を向ければ、そこを一度にMARIAが踏みつけた。
落ちるという行為も、非常に合理的である。自らに勢いをつけ、破壊力を上げ、そして移動を同時に行うのだから。ベクトルが平行か垂直かの差でしかない。
後頭部を蹴り飛ばされたアバターはその前方にいたアバターと見事に激突し、鈍い音と共にお互いのアタックプログラム同士を刺しあった。ぶつかり合った全力の攻撃は、哀れ―target lose―のインフォメーションをその主人に浮かべた。
残る一人は状況に混乱したのか、足を止めていて。巻き込み損ねて口惜しいとでも思ったか、直接MARIAが顔面に正拳を食らわす。体制を崩すアバターを見て、また深緑の林に落ちていた男は白く小さな光を瞬かせた。]
―3F JUST NOW―
ふむ、咄嗟に飛んだだけでしたが、どうにかなるものですね。
[はは、と床に立って男は笑う。正拳をまともに食らって伏しているアバターの背をなぞるようにすっと指先を上下させれば、その腕を刃物に変形-TransForm-させたMARIAが男の背を縦二つにぱっくりと切り裂く。]
しかし正拳突きひとつ避けられない参加者は、放っておいても死にましたか。
まあ、いいでしょう。
[一度に3人の敗退者を産み、3Fの生存者となった男は一人その場を去った。何処に行くとも決めたわけではないが、博打の移動を避けて階段へ]
−Timetable >>20- >>24−
あ゛あ゛?(ヂッ!!)
[芯の篭った返答、回り込まれて投げられた問いかけ。
男の姿が、より一層ノイズに歪む]
駄目な気がするから、なんだ? 会ったことがあンならそれでどうする?
オレッチ様がこれからすることに何か変わりでもあると思ったか?
冥土の土産でも持たせてやると思ったか?あァ?
残念だったなァ、そんなもんくれてやる義理ァねェよ。
いいから 手前ぇは そこを どけ 。
OK?
[苛立ちを隠しもしない。ただ胸倉を掴み、至近距離から怒りに歪んだ顔で言葉を吐きつける。その腕にも、顔にも、耳障りな音を立てるノイズを走らせていたが、そのノイズが相手に危害を加えることはない。
完全に壊すまでは、壊す対象はできうる限り完璧に近い状態のほうが、男にとって好ましいからだ]
ああっ、クソッ。クソが。あンの時計屋のクソッタレ、クソめんどくせェ犬作りゃァがって…
[ぶつぶつと悪態をつく男の耳に、シャーロットの名乗りは届いたかどうか。届いたところで、固有名詞に興味を示さない男にとってはどれほどの意味があるかも定かではないが。
そうこうしている間にも鳥からは干渉を加えられ、そのたびに周囲の空間にノイズが走る。幾度目かのノイズで、遂に男の辛抱が切れた]
おゥ、手前ェ。シャーロットでも失せもンでも何でもいいが、お前ェ。
やれることがあンならやってみろ。そうじゃねェなら黙って待ってろ。
手前ェのご希望もご都合もあいにくこっちゃぁ知ったこっちゃねェんでなァ。
[最後に告げて、突き飛ばした。鳥へと向き直る。ノイズを展開する。しかし、男がなにをするよりもなお早く、鳥は上空からの飛来物によって潰された]
(ヂッ)
[大きく男の姿が撓み、収縮したようにノイズが収まる]
ッッッッッッッてらんっねェー。
[苛立ちを通り越して、もう男の顔には何の表情も浮かんでいない。ぽつりと言葉がこぼれた]
あー、もういいわ。そこのウド木偶。その鳥は手前ェが好きにしろ。
ただでさえクソ二流のクソド畜生だっつゥのに、壊れかけちまってんじゃぁブチ壊す気にもなんねェや。
オレッチ様ァ帰って寝る。そんじゃァなー。
[唐突に告げて、ひらひらと手を振った。くるりと背を向け、塔へと足を向けた]
−Timetable >>24−
[向けた背に、声が届く。男はさも面倒そうに手だけ振ると、そのままその場を立ち去った]
[seraphは――Charlotteの唯一の戦力と思われたAIは、黒き水晶へと姿を変じた。
警戒を解くべきか――それとも、強めるべきか?
量りかねた表情で、グリッドの檻の中をゆっくりと移動する]
ぼくはiraの所へ行くよ、シャーロット。
『それ』をどう使うのか――ぼくには、わからないけれど。
[防御プログラムを解除する。
警戒の意識はCharlotteに向けたまま、ゆっくりと後退し――塔の入り口に向けて移動する]
LostOne. Charlotteは、HurtfulHeart Tobeyが去ってゆくのを見つめている。雨に濡れながら。こくんと頷いた。
―階段 3F〜2F―
[階段で見たのは、灰髪の。(>>57)静かに、足音も響かせず階段を降りるのは、まるで何かを警戒しているようで、さらに下方を覗き見た。]
おや。
あれは先程の雪の女王さま-Sneedronningen-。
[彼女はまた妖精アバターとなにやら会話をしているようだった。自分とMARIAは言葉を交わすことはないので、あの会話ルーチンやパターンの精巧さには感嘆を覚える。]
[別段目的もない降階であったため、Corneliusと同じくして自分も彼女たちに接近することを選んだ。]
…
[2つの影。女中のAIにも、その男にも、薄い見覚えがあった。
塔中央のホログラムから補助AIが得た情報に照らし、名を確認する]
[彼らの降階に、甲高い足音が響く。
予測攻撃間合いの僅か外にまで近づいていた女性プレイヤーも、じきに気づくだろう。
invidiaのリソースを開いて警戒態勢に入る為、カシャ、と微かな音を立てて金網で作られた階段のステップへ降りた]
……。
[ 雨に濡れず、僅か上部で雨を弾く、◆黒い水晶。
表情のないまま、見つめる。]
セラフ…。
[ 呼びかけても答えはなかった。
seraphが普段通りで無言でいるのか、それとも答える事がもう出来なくなっているのか、分からない。]
−1F−
[既にあらかた人の姿が壊しつくされた、動く物もないフロアを、よたよたと酔ったような足取りで歩く]
あー…クソックソックソッ。せっかくのイイ機会だっつぅのになァ。
どいつもこいつもしみったれやがってクソくだらねェ。
[ぶつぶつと悪態をつきながら、ゴミ置き場を目指す。ノイズを好む男にとってみれば、塔の中でもっとも安らぐ空間。
そういえば、あそこにはなかなかに面白そうなAIがいたはずだが、まだいるだろうかと。そんなことを考えながら、男はよたよたと歩いていた]
[果たして、遭遇することはあっただろうか]
― 1F ―
[Charlotteと離れた後、最後にiraを見た場所を目指した。
もう移動してしまった可能性は高いが、ワープゾーンのひとつが壊されている以上、移動の手段は限られている]
……あれ。
[視線の先に、見覚えのある酔っ払い風の男――the noiseを見付けた。
ひとまずは物陰に隠れ、様子を見る。
彼との交戦より、iraとの接触を優先したかったが――向こうはこちらに気付いただろうか]
[今生きている者のいずれかがLegionsだと分かるプログラムをプレゼントされた者がいるとは知らず。
私は肩をすくめた]
『アタシのセリフを遮るなー! そんな奴らなんていないって分かってる方がいいに決まってるじゃんか!
それに、あわよくばにっくきLegionsがどれくらい残ってるのか分かるかもしれないんだよっ!』
……だからどうした。
四つ目のフレーム、Legionsという定義名をつけられたBabylon's Character、拾った識別プログラム。
まったくわけがわからない。
私はいったいどうすればいいんだ?
こんなゲームみたいな状況が出揃ったって――私はもはやゲームに参加している気がしないというのに。
[その時後方で足音らしきものが聞こえた気がして、私とECLATANTは振り向いた]
『4Fで見かけたびしょぬれの男――いつの間にここに?
っていうか――アタシの話全部聞いちゃった?』
あぁン?
[男の視界の端に、物陰に隠れた…といっても児戯の域であるように男には見えた…いつぞやの少年AIの姿が映る]
あー…まぁ。いいか。何でも。
[小指を耳に突っ込み、おざなりに動かす。ため息一つで、ちいさな姿を視界から消した。
一度醒めた興は、なかなか乗らないようだ]
― 外 ―
[ pierrotは言った。]
『俺はアンタの過去を照らす光だ。だがこいつは、LOGICのエゴ。アンタがLOGICのロッテであるのを求める。
こいつにずっと護られている状態が続けば、お前さんはLOGICのロッテであり続けるのを選択した意味になった。』
……。
『Little Dancerがよく分からんものを手に入れていた。黄金色の――』
[ pierrotは、思い出したように付け加える。幾つかの説明を付け加えた。]
……それは、恐らく何かの鍵よ。
私も、トビーも、皆共通して手に入れているかもしれない。
[ 今はまだ、それしか分からなかった。
ピースが集まれば、もっと正確な事が分かるのかもしれない。
例えば、どう扱うのか、何の鍵であるのか。]
[男の仕草から、どうやら気付いていないらしいと判断する。
敵から逃げたり、隠れたり――といった技能や知識は、このAIには与えられていなかった。
ともかく、攻撃を受けていないというのは事実であり、少年は自身の目的のために再び動き始めた]
[妖精と女性プレイヤーが同時にこちらを向く]
敵性反応 不明
警戒
[Caroleと、後方のVincentに視線を流し、ソレは曖昧な微笑を浮かべた]
こんにちは?
[言語データベースから読み出したfirst contactの例文は、些か場に不釣り合いなもの]
― 外 ―
『――ロッテ。アンタは生きたいか?』
[ pierrotが、雨にうたれながら尋ねた。]
生きる。
それは、私を主体としてのこと?
LOGICが、私だけを牢獄から出したいという話の続き?
『違う。』
……私は、
[ まだ、答えられなかった。]
―1F
[ふと、少女は頭痛を感じ、壁に手を付いた。いや、「頭痛」と言うのは正しくは無い。
体を何モノかに奪われる感覚だ。突然、少女の中で「声」が響いた。]
―「Irvine」が、やらレたか。…だが、鍵が流れた影響か、私への権限の束縛が緩んダ様だ。
[突然の事に、少女は驚きを隠せない]
あなたは誰?!
[「声」は女性的な音声で、無機質に言う]
―「私」は「お前」だヨ。名無しのプログラム。いや…お前はIraと名付けラれたノか?
私の事は、便宜上「ant‐lion」(蟻地獄)と呼べばいい。
あなたは何なのっ!?
出て行って!直ぐに出て行って!私の体(プログラム)の中から!!
―ふざケた事を言うな。本来、その体は私のモノだ。お前が勝手に使って良いモのではなイ。
何を言っていルの!私はナンシーに作られたプログラムで…!
―ナンシー…ああ。あのコメントを読んだのか。これは…嘲笑を感じるな。まサか、あれを信じるとは。
…なにを…言っているの?
―さて?どうスれば、私はお前から体の支配権を奪還できるノかな?やはり、最も残酷な形でお前の「心」を砕くノがベストな方法だろウ。
―2Fの書庫に向かえ。そこに、お前の知りたい事がある。
私の知りたい事…?あなたを信用できる理由がどこに…っ!
―私を信じないならそレでもいい。だが、知りたくナいのか?お前が本当には何者なノか。何の為に生れてきたノか?
…っ!!
[少女は暫く葛藤し、二階へと赴こうと歩み始める]
―オッと。わざわざ、歩ク必要ハないぞ。
『第一定義領域を解放… 第一階層システム 「神速の足」interstellar medium (星間物質) 起動 ――』
えっ…?
[「ant‐lion」の声が何らかのプログラムの起動を告げる。と、少女が戸惑いの表情を浮かべると同時に、少女の体が空中に浮かび上がり青白い光がはじける。
次に目を開いた時、少女は薄暗い書庫の中に居た]
―2F
…こ、これは…?
―私達の力の一つだ。この塔の内部で、特殊な制限の無い場所であレば自由に瞬間移動でキる。
―さぁ、そこの蔵書を調べてミろ。
[言われ、少女は部屋に山の様に積まれた本…の形をしたデータ媒体を見上げ、思わず嘆息した**]
[Corneliusの視線が一度こちらを向く。邪魔をしたろうか、と思う間もなく下方の二者も、Corneliusに気づいたようだった。
向く視線とかけられた挨拶に、MARIAが男の一歩後方で静かに一礼する]
御機嫌よう。お邪魔でしたか?
[微笑みかけるこの男も、gameの場にはひどく吊り合わないかもしれない。]
― 1F ―
……アイラ?
[その光景>>86を目撃した時、少年が浮かべたのは、驚きの表情。
確かに彼女は、空中に浮かんでいた。
そして次の瞬間、光に包まれて――]
消えた?
いや……瞬間移動、した?
[かつて居た世界には、"魔法"と名付けてそのようなプログラムを扱う者が居たのだ]
困ったなぁ……さすがBabylon側の参加者なだけあるよ。
[簡易MAPのホログラムを注視していなかったため、少女が何処へ移動したのかはわからない。
少なくとも、1Fの少女が居たと思しき場所からは、光点が消えていた]
アー。Babylonの人間ガ、イルはずだナ?この通信が聞こえるカ?
私ハ「ant‐lion」(蟻地獄)。
囚人達の処刑用のプログラムだ。
― 外 ―
『……俺を食べれば、アンタは過去を知る事が出来る。
LOGICが、電脳に詰め込んだ、電脳世界から掻き集めたあらゆるものがだ。』
[ pierrotは、塔とは別の方向を見ている。虚無を思わせる、真っ黒い空間を。]
『それをアンタは受け止められるかね。俺はアンタを観察していたが、まだ早いと判断する。何よりもアンタは、』
[ pierrotが、効果的に言葉を切る。別の話題へ移る。]
『LOGICは幾つかの取引をした。LOGICの政府への憎悪は消せないが、アンタを組み替えない事、そしてアンタが政府を選ぶのであれば優勝した暁に考えても良いと言われた。馬鹿だ。大馬鹿だ。馬鹿げすぎている。全くもって0に程近い可能性。
――だが、奴らとの長年の憎悪と因縁自体が、信用にたるものだ。憎悪で出来た凍傷(や)けつく絆だ。』
[ 大きな抑揚、大袈裟な振る舞い、その全てはプログラミングされたもの。]
−1F−
−ゴミ置き場−
[やがてたどり着いたゴミ置き場で、男はどさりとゴミの山へ身を投げる。
アバターの全身を弛緩させ、あらゆる自発的な動作を立ったその姿は、傍目には本当に眠っているように見えただろう。そうして男はデフラグと破壊された箇所の再構築アプリケーションをオートで走らせる。
トビーと対峙したときのヤマアラシの針。2Fからの落下の衝撃。そして先ほどの連続した過負荷は、やはり相応のダメージを与えてはいたのだ。ただ、そのダメージがノイズとして表出するため、見た目に分かりにくいだけで。
それらを治療しながら、男は一人でまどろんでいた**]
>>86
邪魔はしらない
[ECLATANTへの興味は、命題というほどの優先事項ではなく。
ただ、ソレの持つ情動によって齎されただけのものだった。接近行動が破綻したことに、負の反応は生じない]
ごきげんは問題ない
…Chlonoise? 2階へおりる?
どうぞ
[立ったまま、譲るような仕草を模して手を動かす。
階段の幅は広い。だがすれ違おうとすれば――どのようなアタックプログラムの持ち主であれ――間合いに入ることは間違いなかったが。ソレの原始的な生存欲は、敵対行動を示さない相手には呆れるくらい無防備だった]
定時連絡ガ出来ていなクて、済まナい。
スこし、厄介ナ事が起きタ。
私は、とアる犯罪者の作った大量破壊プログラムにBabylonから上書き、搭載されてAIなのダが、あろうことか、元のプログラムのAIが完全に削除されておらず、体ヲ乗っ取られテしまった。今は、この通信を送ル事が精いっパいだ。
スマないが、暫くの間、囚人達の処刑はそちらに任せたい。
以上ダ …又、おって連絡すル。
『ゲームみたい? アタシは色んなおとぎ話(Fairy Tales)みたいな状況だと思うけどねっ!』
[私の切羽詰まった言葉に軽口を返した後]
『こーんーにーちーはっ』
[この場に不釣合いな挨拶に返すのは、やはり、この場に不釣合いな、明るい声。
男の傍らに浮かぶ球体の動きを視線の端にとらえ、ECLATANTはあろうことかその球体に手を振った。
一方私は、男が球体に触れるのを見て]
あんたが聞いてなくともその球体が記録してたのか?
だったら話は早い。
――私なんかに構ってないでBabylon's Characterを倒しに行け、コーネリアスとかいうやつ。
[これは遊びじゃない。ましてやおとぎ話の中でもない。
だから、危険な力を持つ者を、自ら倒しに行くような真似はしない]
レギオン――?
[avaritiaが収集し、ソレに理解出来る形で還元されている情報を咀嚼して、虚の瞳をCaroleに向ける。
手を振る妖精に、不自然なほど自然に表情が緩んだ]
Babylon’s Character?
なぜ ゲームにいるのかな
[開始時に流された放送から、お互いに闘い、殺し合うという主旨だけを汲み取ったソレの定義と理解から、主催側の人間が参加者に混ざっているという状態は外れていた]
たおす?たたかう?
LittleDancerは たたかわない?
[iraは何処へ行ったのか――しばらくは1Fを探索していたものの、その姿は見付からなかった。
そもそも同階層に向かうのならば、瞬間移動の必要はないのではないか。
そう判断するに至り、少年は階段へと向かう。
更に上の階層から降りて来る人影には、今はまだ気付けない]
― 2Fへ ―
― 外 ―
[ pierrotは暫し黙り込む。熟考という名のシミュレーション。]
……。
イラ。
[ 細かい意匠が施された「塔」外観、黒の景色、終わる事なく降り続ける雨。
塔の外には、殆どセンサーアイは見られない。大多数のセンサーアイは塔内を漂い、塔の中で行われる闘争を送信しているのだろう。]
― 2F ―
[迷路のような階層。
特に目的がなければ、通路を歩く事そのものを楽しみたくなりそうな設計であるが、今は事情が違った。
この階層で一際memoryに色濃く残っているのは、Carole、そしてECLATANTと遭遇したあの書庫だ。
そこへ向かう通路を正確に辿り――そしてホログラムに視線をやれば、二つの光点が近付きつつあるのがわかった。
移動しているのが自身を示す光点。
書庫の位置で静止しているのが――他の、参加者]
――そこにいるのは、誰?
[書庫の前に立ち止まり、声を掛ける。
defence mechanismsには起動準備をさせていた]
これはゲームじゃない。
[男――コーネリアスの発した言葉に表情が露骨に強張るが、それも一瞬のことだった]
なぜいるか……?
Babylonのキャラクター、殺し合いの側のキャラクター。
おおかた犯罪者達を効率よく殺すためだろう。つまり……ああ、やっぱり危険だな。
[何か特殊なプログラム、ECLATANTが言うところの「ずるい力」を持っていてもおかしくはない]
私は――
[迷う。命が惜しいから戦わないと言うつもりだったのに、なぜか、言葉が出てこない]
アイラ……ira。
そう、きみがそうなんだね。
[呟いて、少女>>98ににこりと微笑む]
さっき……1Fできみを見掛けたとき。
不思議な顔をしていたけど、あれはどうしたの?
[問い掛けるのは、純粋な興味から。
攻撃プログラムはまだ使わない。
ピンクのハートは、常と変らぬ様子でゆっくりと浮かんでいた]
[なんだろう?不思議な顔…言われて、随分泣き続けていた事を思い出した。何故か思わず、「恥ずかしさ」を感じ、少女は赤くなった顔を俯ける]
その…私…ここに来る前の事を何も知らなくて…何故、ここに居るのかもわからなくて…
そう考えたら、凄く寂しくて…うぅ…ぐす…っ
[喋っている間に、今度は「寂しさ」を思い出した少女はまた、ぐずり始めた。でも、自分の生きる意味を探しに行こう、と。スクラップから立ちあがった少女は涙を振りはらい、先を続ける]
…だから!私は、探すことにしたの。私がここでするべき事を。ここで何をすればいいのかを。
―階段―
それはよかった。
[『ごきげんは問題ない』と発言するCorneliusに人好きのする笑みを向ける。
先を促す仕草は警戒の色一つ見せていないようだった。このまま殺してしまおうか、という意識がほんの一瞬だけ過ぎる。]
いえ、特別用があって降りてきたわけではありませんので。
[譲られた段は降りない。事実ただ当て所なく移動していたので、むしろCorneliusやLittle Dancer達と出会ったことそのものが収穫であり、この場を移動する必要はなく思えた。**]
犯罪者?
[困惑したように、眉が数mm、寄る]
――罪のあるもの
[AIが破壊され消失すれば、マスターも死ぬらしい。ならば犯罪者を殺すというのは、そういう意味だろうと解釈する。
ソレが自身の制作者に関して所有する情報は極めて少ない。作り出し、ここに送り込んだ。
指示は「お前の好きにしろ」――勝利も生存も、マスターの解放も、求められはしなかった]
[戦う、とも戦わない、とも言わない女性を虚で見つめる。
餓えを感じた]
Little Dancerは たたかわない?
金のdata… カケラ あれの解析には pieceがたりない
そう。ぼくも何故ここにいるのかはよくわかってないけど――
……どうして泣くの?
[泣く、という感情表現は理解出来る。
が、少女の寂しさまでは理解出来なかった。
同情するでも、慰めるでもなく、ただ疑問を浮かべて少女を見詰める。
ややあって、少女は涙を振り払うように立ち上がった]
……するべき、こと?
[彼女はBabylon側の参加者。Charlotteにはそう聞かされていたのだが。
gameの主催者に遣わされた者が、目的を知らないなどあり得るのだろうか?]
アイラ。
[名を呼んで、少女に一歩近付く]
『これ』は、どういうこと?
きみは何か、知っている?
[両手の掌を受け皿の形にして、その上に黄金の鍵―code―を具現化させる。
そして単刀直入に切り出した]
[彼らの会話を聞きながら、意識層に直接介入してくる声に答える。機械音じみた、会話より機能に容量を割いたらしいプログラムからの通信。
定時連絡の有無についてから語りはじめる彼に、同じく通信を割りこませた。]
いいえ、別に構いませんが。
どうせIrvineもまともな連絡は寄越してきませんでしたし。
しかし、処刑プログラムが動けないのは厄介ですね。
私はそれほど戦闘向きのプログラマではないんですよ。
[game開始から何人の参加者を手にかけたか数えきれないレベルに達しているというのに、何でもない事のようにあはは、と笑ってみせる。]
― 外 ―
ねえ、私はコピーなの?
[ 雨が続く。pierrotは熟考中だ。
>>1:71 メッセージの言葉を投げかける。
pierrotは、顔だけをこちらへ向けた。]
zero 02 and A's copy.
この事知ってる?
私に何か関わりはあるのかなって。
[ seraphが、◆黒い水晶になってから、やや強張っていた空気を解すような微笑みを浮かべた。けれど、pierrotは、]
[「もしこのまま逃げ続けることを選んだならば、『彼らに認めてもらう』という目的を放棄することになる」と主張する私もいれば、
「目的よりも命が大事だ。それに、『電脳世界で遊ぶ』というもう一つの大事な目的はもはや果たせない。果たすためには死ぬわけにはいかない」と主張する私もいる。
迷う。悩む。
こんな時に指針となったのは――そうだ。色んなおとぎ話(Fairy Tales)だ。
知恵と勇気と他にも色んなものを駆使して、幻想世界で遊んだり、危機に立ち向かっていく物語。
だけどそれはあくまで、私がまだ何も知らない子供だった頃の儚い思い出。
この世界では幻想世界のようなきれいごとは通用しない]
私は……あんたがBabylon's Characterでないならば、戦わない。
[逆ならば。Babylon's Characterならば戦うのか。
答えはいまだ出せないまま]
金のデータ……あんたも持ってるのか?
[4枚目のフレームの中身。まだ解析はしていなかったので、それが「カケラ」であることを、この時初めて知った]
さて、誰にしましょうか……
[通信から意識を逸らすと、人の集まりつつある2Fへ走査を巡らせる。]
標的のリクエストとかは、ないんですか?
[定時連絡すら取りにくいプログラムにも、一応意見を問うてみた。
一任された時点で明確な答えがないことは大体は理解しているため、答えがないのなら自己流に選ぶつもりで――]
[少年の何処か剣呑とした雰囲気に少女は思わず、半歩、後ろに下がる]
鍵…?
[少女は、興味を感じ、少年に近付き、首を傾げて覗きこもうとする…とその途端、少年の手の中の鍵から一瞬、光が少女の額に照射される]
―!!!
[瞬間、表情豊かだった少女の顔が能面の様に無表情になる]
…
…そレは、「Irvine」の鍵カ?
理屈は分かラんが、その影響でワタシに、一時的に権限が戻ったよウだ。
礼ヲいうべきかな?
[それは、先ほどまでの少女の声とは似ても似つかない、ガラスをこする合わせる様な不快で無機質な音声だった]
>>107
…戦わない?
[女の言うことには矛盾が孕まれている。
”効率よく”数を減らすことを目的に主催側の参加者がいるのだとして、他の一般参加者同士が戦いを停止する理由になるだろうか。主催の介入を排除したとして、”効率悪く”数は減り続けるのでは。
avaritiaの思考を、争いに興味の薄いソレは聞き流した]
Legions...Babylon’s Characterはしらない
定義がない
ぼくがLegionsでないと 判断はできない
私の主な任務ハ、私自身…つまり、このプログラムの殺戮力のテストだそうダ。
囚人達の削除は、二の次と言われテいる。
よって、ターゲットは、そちら二、一任すル。
『ロッテ。それは誰から聞いた?』
[ pierrotが、一歩踏み出す。ぱしゃん、と小さな音が響いた。]
……え?
『そいつは、LOGICの記憶、電脳の中と、
LOGICによってアンタに関わる情報を持つ、俺とが知る事だ。
それ以外に知っている可能性が僅かでもあるのは、「サイバージェイル」に関わる奴だけだ。』
……、サイバージェイルの関係者。
いえ、待って。
それより、本当に私に関わりがあるってことなの?
[ pierrotが言葉にするのを躊躇う。]
[主命題がないために、無目的な捕食と自己形成を行って来たソレに、興味の延長の情動が灯る]
情報が たりない
データ… ぼくのものと同じ?
[avaritiaから転送された中途の解析画面をinvidia上に展開する。片手を上げて、アバターの一部を変成させて画面を投影した]
同じ?
元は この3倍のdata sizeだったはず
このままでは 解読不能
……誰?
[黄金の鍵を見せた途端、少女の様子が明らかに変わった。
仮面のような無表情に、無機質な音声]
Irvine……その名前、さっきも聞いたよ。
きみは何者?
鍵を持っているのは――Babylonのプレイヤーなのは、きみの方?
[iraを名乗る少女は、何も知らないように見えた。
ならば――と、明らかに別人のような声に問う]
今の言葉は、私に贈り物をした誰かが書いていたものだよ。
[ pierrotに、>>1:71>>1:76何時の間にか視界に見えていた事を話す。]
誰なのかは分からない。
けど、Irvineの消失と共に欠片のデータが流れ込み、
Irvineと同じように、iraの解析の時も同じく黄金の欠片が視えたわ。
[ − Analyze target select −
今も、視界には青白い文字が見えている。]
[トビ―の質問を受け、無機質な声は淡々と返事を返す]
私ハ「ant‐lion」と、定義されている。
お察シのとおり、Babylonが用意した、囚人抹殺用のAIダ。
又、ワタしの任務はこのプログラム…私の殺傷力のテストだ。
…あろウことか、別AIに、権限を奪われル失態を犯したガな。
そうダな。折角、権限を戻してくれたノだ。
オマエ、テストにツき合って貰おうカ?
[片手で無造作に、トビ―の肩を掴もうとする]
アントリオン……?
[少女は別の名を名乗る]
囚人抹殺……。なるほど、gameに勝たせないためのAIなんだね。
だから瞬間移動みたいな『魔法』が使えるんだ。
[ira――ant‐lionの片手が、伸びる]
テスト、だって?
[ant‐lionの片手を、分厚い表紙の本が遮った。
defence mechanismsの起動――環境に応じた防御態勢]
本番だよ――ぼくにとっても、きみにとってもね。
[具現化した本の盾は、巨大化して壁となる。
その隙に大きく後退すると、攻撃のためのobjectを探し駆け出した**]
『全定義領域を解放… 最下階層システム 「崩落の刻」 supernova explosion(超新星爆発) 起動(イグニッション)――』
[それはIraが起動しようとして出来なかったプログラム。
…トン。
少女の右手がトビーが起動したdefence mechanisms…本の盾に添えられる。
その瞬間、次元が歪み
「Babylon」の世界自体が明滅した。
圧倒的な処理量のコードが、少女の添えた右手から「世界」に注ぎこまれる。
それは一瞬とはいえ、スーパーコンピューターを幾台も並列で稼働させているだろう「Babylon」の処理許容量すらをも上まわった。
明滅が終わった後、少女の前にあったのは半径3m程の「空白」だった。
防御に敷かれた本は無い。少女の右手首から先すらも無い。比喩では無く「真っ白な空間」。
[Babylonに、記録されていた位置情報、場所情報、全てを消し飛ばしてしまったのだ。]
…ふム。右手首から先を代償に3m半径カ。
[「ant-lion」は自らの無くなった腕先を見て思案げに呟いた**]
『戦わない?』
[コーネリアスの疑問符つきの言葉(>>109)と同じものをECLATANTも発した]
『それは困るよ、アタシの存在目的の一つに反するよっ!』
騒ぐな。それくらい分かってるよ。「今は」戦わないという意味だ。
[矛盾には気付いている。
殺し合いの側の参加者がいようといまいと、相手を倒さなければ生きられないのには変わりないのも分かっている。
だが、現実よりもずっと「ゲームのよう」な現況に、私の心の奥底が興味を示して、訴えかけているのだ。
――遊ぼう、と。
仲間を集めて、敵を倒して、それから――
私が思案にふけっていると、唐突に四枚目のフレームが展開した。
補佐AI権限で、解析が行われる**]
― 外 ―
『ハ、まるでゲームだな。まだるっこしい。
好意的な見方をすれば、政府や統制機構に対して反感を持っている人物の仕業か。』
悪意的に見れば?
『情報が足りんよ。だが閉鎖されている筈の電脳空間に混入を行なったのなら、バグを突付いて「サイバージェイル」へ警告を与える何らかのテストかもしれん。』
White Hat Hacker(ホワイトハットハッカー)のように?
[ pierrotが、ニヤリと笑う。
もし後者の場合であれば、この鍵は偽物の可能性もあるだろうし、本物である場合、贈り物を送ってきた相手はサイバージェイル内の混乱を楽しんでもいそうにも思えた。]
[ その時、]
!
Babylonが!
[ 閉鎖空間が明滅を繰り返す。塔内部の照明も明滅を繰り返し、異常が起こっているように思えた。]
これ……どういう事。
サイバージェイルが何か手を打ったということ?
[ 明滅は一瞬で直ぐに終わった。
その明滅は、「サイバージェイル」ではなく、iraがsupernova explosionを起動させた事による高負荷によって発生した状況だったが、その事はまだ分からずに。]
……私、行くわ。
ここにいても、何も分からない。
[ 手の中の◆黒い水晶を胸に抱く。]
ピエロ。
私だけで、セラフの力を扱えないなら……、
力を、貸して。
[ pierrotを見つめ、助力を求める。]
『駄目だ。』
どうして?
『今のままのアンタ、知った上での選択を行なっていないアンタには、俺の力は貸せない。』
!!
『順序だ。何事も順序が大切だ。』
分からず屋。
何を、これ以上何を知れば良いというの?
私は、LOGICの一つで、他の何でもなかったわ。
彼が解放される、このゲームに全力を注ぐつもりだった。
けれど、彼も誰も生き残らないって…そんな話を、あなたから聞かされたわ。
けれど今、何かを……何かが変わるかもしれないものが、私の中にある。そして、変えられるかもしれない対象も今分かってる。なのに、それを確かめないまま、ここに居るままなのは、嫌。
― 階段 ―
>>118
[自らの手に広げた解析データとCaroleのそれを比較して、avaritiaが情報交換に回路を集中させている間、ソレは微笑みながらECLATANTを眺めていた]
エクラタン?
蟲?
[妖精の薄い翅が震える様を、近づいてまじまじと見つめる。
否定の言葉が返って来たなら、不思議そうに首を傾げた]
もしも、LOGICの運命が変わるなら、私は…
『それじゃ、駄目なんだ。ロッテ。
アンタがセラフを口にしないままだと生き延びれんのは、俺が重々承知だ。俺が補佐につくべきだ。
だがそれでは駄目だ。』
……、では、何が必要なの?
『死だ。』
死?
『アンタを完全にするには、「死」の概念が必要だ。』
……、私に、back upが2つあるのは、そういう事なの?
もう分からない。
あなた達も、LOGICも、一体何を考えているというの。
私は、LOGICのAIだよ。
それ以上の、何を求めているの。
[ 時計盤が閉じられる。閉じられた目から涙が一筋、流れた。
涙は雨と混ざり合い、雫となって落ちる。]
私は、LOGICに生きて欲しいだけなのに。
[ 悲しみの篭る声。]
妖精?
[くるりと回るECLATANTに指を伸ばしかけたところで――]
!
[塔が、悲鳴を上げた。
発生したoverload>>116に、世界そのものが明滅する。
処理の一部を塔世界に依存しているAIが、明滅に引き摺られて目眩に似た酩酊感を誘った]
――…
なに……
[一瞬で、世界は正常の機能へrecoveryする。
ソレは軽く首を振る仕草で余韻を振り切ると、歪みの中心、2階の方へ虚の瞳を向けた]
― 外 ―
……。
私、行くわ。
[ 長い長い沈黙の後、俯いて再度告げる。前髪が表情を隠していた。]
『アンタの覚悟とやらは、俺には分からんよ。俺は人間の魂を模倣したようなAIじゃあない。繊細には出来ていない、特に人間の感情を理解出来るようには作られていない。
LOGICには、それがなかった。抜け落ちていた。』
[ 首を左右に振る。]
ううん。
LOGICは、ちゃんと知ってた。
LOGICには、ちゃんとあったよ。
心は、魂は、抜け落ちてなんかなかった。
『だが製作者への評価は常に「人間らしさはない」。
「まるで機械のようだ」。』
そんな事はなかった。
『だから、アンタを見初めた。
自分から失われたもの(Lost One.)を思わせる、アンタを。
アンタが居て、どれくらい製作者の心が救われたのか、アンタは知らない。俺にこうして託す事でしかアンタへ伝えられなかった。』
……。
[ 雨降る中、pierrotを見る為に顔を上げた。]
『だから俺は、順序を守っている。アンタが知ってなお、選択が出来るように。その選択が、LOGICを裏切る事になったとしても。』
……。
お願い。
私を信じて。
順序が違っても、必ずそこへ辿りつくから。
必ず、……。
[ 雨が二者の間を隔てている。]
私に言ったよ。
「アンタは選択が出来る」と。
〔 気丈に立つ少女は青白い肌をしている。頬笑みとClock-eyeが引き立てあい、現実感を失わせ幻想的だ。纏わり付く自らの属性に気付く事なく、電子の海に落ちていた。〕
私に、教えて。
前に進むために。
『まだ早い。だが俺にも選択肢はそう残されてねぇな。
一度の自滅後でも遅くはねぇが……。
いいだろう。受け入れられないと思うが、アンタの「選択」だ。』
[ pierrot=lucida。
pierrotの皺のある小さな手が、白い手に置かれた。
pierrotの足の方から、内側へテクスチャが折り込んでゆくように小さくなり、白い手の上には、◇白く透明な、光を宿す水晶。]
私、我儘ね。
[ ぽつり、呟いて。
◇◆ふたつの水晶を――――――――――――――――――]
― 2F ―
[――近距離防衛用のプログラム。
プログラム本体の防御力に、周辺環境を構成するdataを上乗せする事でそれは完成する。
外観に周囲の環境が反映されるのはそのためだ]
[単純な具現化ではない以上、AI本体との距離に反比例して防御力は低下する。
それでも、ほんの数秒ならば足止めになってくれる事を期待したのだが――]
――――?
[空白。思考回路の欠落。
一瞬、何が起こったのかさえ把握出来なかった]
――消え、た?
[1sec.のtimelagの後に、ようやくそう呟く。
既に足は止まり、視界には半径3mの空白>>116が映っていた。
電脳世界そのものが消し飛ばされた痕。
その中には当然、defence mechanisms――少年のプログラムの一部も含まれている]
ああ――
こ、わ、れる――
[少年の胸の前に浮かぶ、ピンク色のハート――その滑らかな曲面の一部にブロックノイズが走り、不規則な立方体が浮かび上がる。
そしてdataの破損を示すように、その内の幾つかが抜け落ちて消えた]
考えなきゃ。かんがえなきゃ。
[抜け落ちたプログラムを穴埋めするべく、演算機能を総動員する。
しかし回復を待つ間にも、iraの――ant‐lionの攻撃が再開されるかもしれない。
故に、高度な思考回路の復帰は後回しにし、より原始的な――本能とでもいうべきcommandに従う]
に、げろ……!
[踵を返すと、よりant‐lionから離れるべく、全力で駆け出した]
…危険
過負荷発生 当該世界に震動
[誘われるように、足が動く。Caroleの横をすり抜けて、階段を降りた。
高く響く靴音は正常に発生する]
――Little Dancer?
カケラののこりがみつかったら ぼくにもおしえて
[振り返らない。闘わないと言った女性と妖精。上方には、慇懃に目を伏せる女中のAIを従えたChlonoiseのアバター。同じように階下に向かうとしても、ソレの興味からは消えていた]
[世界を壊すモノに、ソレは強く引きつけられる。
本能で。
自己防衛の基本志向は弱く、危険を知らせるavaritiaの警告は無視された]
― 階段→ 2階へ ―
― 2階 ―
[迷路のように入り組んだ廊下を、進む。
avaritiaが座標情報を特定できてはいても、マッピングしていないため進路をたびたび壁に遮られる]
………
[困ったようなフリを為し、足を止める。道を探すよりも手っ取り早い方法を、選んだ。
壁を構成するオブジェクトに触れ――]
いただきます
[触れた部分から、壁を喰らう。
数秒で遮蔽オブジェクトの情報は消化されて消滅し、ソレの前に抜け道が出来た]
……
どこかな?
[ 二つの精緻なプログラムは、――の中で展開される。
それはまるでフラクタルのように奇怪に展開し、交差の度に澄んだ音を内部で響かせる。
まるでニガヨモギを飲んだように、苦痛めいた表情が浮かぶ。
目を閉じて、ふっと両足から力が抜け―――]
◇ lucida=obscura ◆
[ 実行。
赤と白と黒の粒子が螺旋を描き周囲を舞う。]
……私、わたし、……。
[ 時計盤が、くるくると出鱈目な方向に針を回す。
粒子は、躯の周囲に構築・変化をしてゆく。
純白の服、seraph−熾天使>>0:4を思わせる、赤の幾何学ライン。更に引かれる黒のライン。ヒール鋭い真っ赤なブーツ。そして、巨きな杖。
最後に、Clock-eye(時計盤)を覆う赤いゴーグル、背中に浮かぶ小さな赤い羽、両耳を覆う黒のインカムのようなものが構築された。]
[2Fの迷路を出鱈目に駆けて行く。
そうして時間を稼ぎながら、ハート――プログラムの欠けた部分を少しでも修復しようとする。
その時、突然近くの壁が消えて――>>136]
わっ!?
[思わず身構える。
先程の"消失"と、状況を重ね合わせていた]
―― 階段 ――
『――同じ、だね。そっちのデータとこっちのデータ。どうやらお宝は参加者同士で奪い合うものじゃない可能性が高いのかなっ!
そしてデータが足りないのも同じだね。このままじゃ何のプログラムかわかんないよ!』
[4枚目のフレームに次々と流れる解析テキストを、私はじっと眺める。
お宝。おおかた黄金の何かというところからの連想だろうが、もし本当に「それ」が宝――参加者になんらかの恩恵をもたらすものだとしたら。
そもそもこの状況下で考えられる恩恵といったら]
ここからの、脱出……
[呟く言葉はECLATANTには聞こえなかったのか、コーネリアスの問いかけに]
『蟲? 違う違う! ――そうそう、アタシは』
[羽から放たれる輝きが。
その時。失墜した。
もっと大きな輝きによって]
……。
[ 失われたなにか、「ソレ」がかつて持っていたはずの記憶の外周を、堀を、埋めてゆくように。pierrotに篭められていたデータが、黒い本棚−書庫が整然と並んでゆく感覚。]
……。
…………、
………………。
[ 杖に縋り、立ち上がる。]
>>136
――敵性反応
[壁の向こうに走査を走らせ、avaritiaが警告を発信する。
それは、『身構えた』Tobeyに]
防御行動――!
[予備動作も待機時間もなく、刹那に熱衝撃波を発生させる。収束も拡散もなく、破壊のエネルギーが少年型のAIに向かう。
同時に後退しながら、ソレは防御のためにinvidiaの活性を上げた]
[輝きは一瞬で暗さにとって代わる。
停電――塔に負荷がかかったのか。
暗かったのは一瞬で、周りはすぐに元の明るさを取り戻したが]
『――く』
[塔への負荷が補佐AIの何らかの機能に影響を及ぼしたのか。
手元で勝手に〈FANFARE ECLATANT〉のフレームが展開し、ECLATANTが半ば輝きと化してフレーム内に引っこんでいった。
私はすぐに以前とのフレーム内部の変化に気付きフレームをまじまじと見つめた]
ショートカットコマンドのアイコンが一つ増えてる……
猫の顔のアイコン……これが拾ったプログラムを発動させるコマンドか。
……、……、……。
私、死んだのね。
[ 溜息のような、吐息。]
ふふ……、幻影と幻想に、呆気ない終わり。
彼らに死を与えられずにいたことの、なんて残念なこと。
私は、あれらの命を奪うために訪れたというのに、
うみだされたのは、複数のもの……。
[ 赤のゴーグルの先には、「塔」。
青白い顔に、嫣然と笑みを浮かべる。錯綜する情報への混乱。]
え?
[向こう側から来たのは、ant-lion――では、なかった。
しかし、ソレが敵である事に変わりはなく]
――――!
[高熱の波を肌で感知し、即座にdefence mechanismsを発動させる。
しかし一部をdeleteされたそのプログラムは不完全にしか作動せず――出現した無機質な壁には所々穴が空いていて、隙間から熱風が吹き出す]
熱ッ!!
[両腕で顔面を庇うようにしながら、身を低くする。
追撃はあるだろうか―― 一瞬間が空いたなら、より自身に有利な場――objectを求めて更に移動する]
…
[対象が熱衝撃波を防いだ、と把握して。
小さな声>>144を聞き取る。
推定される攻撃はこちらには向けられなかった]
――
トビー
[対象が離れていくことを補助AIの走査で把握する]
Babylonを揺らしたのは トビー?
[首を、傾げ。
開いた壁の穴を抜けて、Tobeyの後を追う]
―階段―
[階段の手摺に凭れ、何をするでもなく男はLittle DancerとCorneliusの会話を聞いていた。
このピースを宝と呼ぶのも、ECLATANTを蟲と呼びそれが否定されるのも。情報はどんなものでも収集していた。]
[刹那。世界が光り、暗闇に堕ち、元に戻る。それらが一瞬にして過ぎる、白色のストロボ。"塔"そのものの構成データを揺るがす眩い白。この場ごと破壊し尽くそうかという力に、僅かよろめく。]
ッ……派手な……
行ってみますか。
[Corneliusが階段を降りる。MARIAは自律行動として礼を伴って彼を見送ったが、その手を取ると男も階段を行く。
強い力に本能的に興味を惹かれる。MARIAの手を引くと、金属音を立てて段を駆けた。
もしもLittle Dancerも2Fに向かうなら、その背を追い。未だ向かわずなら、すれ違いざまに微笑みかける。]
― 1F ―
[ 1Fフロアの入り口を潜り抜ければ、そこには幾つかの争い。the noiseは、離れた場所にいるのか見当たらない。
中央中空ホログラムをちらりと見て、2Fへと階段を軽々と駆けてゆく。
2Fへ辿りつけば、iraが居る方向へ向かおうと]
―2F―
[降りた先は迷路だった。戦闘音は聞こえるが、壁に壁に阻まれて、目的の力の発生源は遠く思えた。]
[が、しかし。幾らか進むと、壁がいくつも欠損しているようだった。Corneliusが食い荒らしたとは知らず、だが、何らかの能力によるものだろうと欠損の大きな方大きな方へと歩む。
ついには壁そのものは抜け落ちて無く、一本の通路に。その先には、戦闘が見える――]
−1F−
ンがッ…
おー…
[不意に体全体を揺さぶられ、男の意識が覚醒する。寝起きは]
(ザザッ!!ザザザザッ!!)
なんだァ、今の。(ザザザ)面白ェ。面白ェじゃねェか。
ああ、どうやったんだろうな?どんなやつがやったんだろうな?
[最高だった。むくりと身を起こす]
ソイツ、ブッ壊したら…(ザザッ)やべ。たァまんねェなァオイ!!
[想像したその光景に恍惚としながら。酩酊した足取りの男は、揺れの原因を求め、塔を登る]
[フレームからコーネリアスに視線を移すと、彼は二階の方に視線を向けているようだった。
そして、私の横を通って階段を降りていく]
…………。
今ここで「はい分かりました」ということはできないよ。
お互い生き抜ければ、そういう機会もあるかもしれないがな。
[曖昧な回答。
果たして向こうには伝わったのか。
それ以上は何も言わず、ただ静かに、見送ることにした]
LittleDancer Caroleは、Chlonoise Vincentの微笑みには、無表情のみを返し、〈prism〉のフレームを展開した。
[必死に走る後ろから声が掛かる。
Babylonを揺らした――それは記憶が欠落したあの時間の事だろうか]
ち、……違うよ!
[後ろを振り返らぬまま否定し、目の前にあったドアノブを引っ張る。
――ハズレ、ベッドが一つ置かれただけのシンプルな寝室だった]
あの時、iraが――ant-lionが目の前に居たんだ。
それで、ぼくとant-lionの間に穴が開いてた……。
[説明しながらも、足は止めない。
手は見付けた部屋のドアを、片っ端から開けてゆく]
……ぼくには世界そのものを『消し飛ばす』力はないよ!
あの子にそれが出来たのは、多分あの子が――Babylonのキャラクターだから!
[だん!
目の前には扉が一つ――他に道はない。行き止まりだった。
半ば体当たりする形になって、足を止める]
この騒ぎに乗じるなら、まあ、彼ですかね――
[少年AIに熱線を向けた、灰髪のCorneliusに意識は向く。
彼はこのgame中に成長している。残せばあるいは、他の参加者も落としてくれる可能性はある。
がしかし、それは自らの仕事が減るようで、あまり思わしくはなく。
"力"を誇示したがるきらいのある男は、彼の背を追って2Fに降りながら、薄く笑った。]
[〈prism〉は全てを記録する。第一に、人の様子をリアルタイムに。
あくまで人の様子だけだから、壁の破壊や世界の消失までは、記録できない]
『ここからだと書庫にいる人が一番近いよ! どうする? Legionsのことを訊いてみる?
ていうかそもそもアタシ書庫に行きたかったんだけどね! Legionsに対抗する手がかりが分かるかもしれないからさー!』
[フレームに映し出されているのは現在地の近くの地図。
階段の近くに存在している書庫に、光点が一つ]
……それはないだろう。
[人がいないのをいいことに、抑えていた感情を、爆発させる]
あるとしたら、どこまで人をコケにしてるんだよ!
ゲームの皮をかぶった殺し合いの舞台を造りながら、ゲームのような要素を盛り込むなんて!
[敵の存在、誰が敵か分かるプログラムの存在、宝の存在。
それらが揃ったのだもう間違いない。この状況は何よりもゲームじみている。
Babylon's Characterではない者同士が仲間となって敵を倒せばそれこそ――]
[少年は逃げる。
ソレに捕食の意志がなければ、攻撃を仕掛けて来ない相手に追撃をかける意味はない。
両脇に浮かんだレーザーアイ――喰らったIrvineのアタックプログラムを模したもの――は消さぬまま]
アイラ?
[聞いた名前に、虚の瞳を細めた。
言葉を交わした少女のAI。まもるものを探すのだと、言っていた]
アイラが Babylon’s Character?
世界を揺らした?
[興味を超えた情動を原動に、ソレはTobeyの後を緩慢についていく。標準推定間合いの外。次々と扉を開き、少年は行き止まりへ]
トビー アイラはどこ?
−1F - 2F−
お?おー。
いよーゥ、いーいとこで会ったなァ。
いやぁ、悪ィ悪ィ。さっきブッ壊してやりゃあよかったか?
[ニヤニヤと、上機嫌に緩んだ顔で前を行く人影(その言葉は、AIに当てはまるのだろうか)に片手を上げる]
ちょっと見ねェ間に立派ンなっちまやァがって。
(ザザッ)
オレッチ様は実にまったく嬉しい限りだぜこのクソ犬。
んじゃァまァ、そういうわけで。
ブッ壊しタイムだぞ“失せもン”。
[男の体をノイズが包む。無造作に。ごく自然な速さで、その手が伸びた]
[行き止まりに至って足を止め、ゆっくりと振り返る。
Corneliusは攻撃体勢を解除してはいなかったが、少なくとも言葉を交わす意志はあるようだ]
そう……姿―avatar―の話をするならね。
人格プログラムは、別かもしれないけれど……。
[相手の問いに、やや曖昧ながらも頷く]
アイラは……さっきは、書庫に居た。
[自分が元居た場所だ。
辿ったルートを逆算すれば、辿り着けるはずだが]
……アイラの所に、行くの?
きみも、消されるかもしれないよ?
だが、敵に負けたら死ぬという点で、これはゲームじゃない。
『まだそう思ってるのー?』
[ECLATANTのいつも通りの暢気そうな声が。
なぜか私を責めているように聞こえて、私は駆け出した。彼女がいるフレームを置いていくように、2Fフロアへ。
だけどフレームは一定の距離が空くと手元に戻ってくる]
『アタシはもう認識を改めたよ。まだ「電脳世界で遊ぶ」って目的は果たせるって。
制限厳しくプレイしてるって思えばいいんだよっ! たとえば――』
ノーセーブ蘇生なし。
[諦めて立ち止まると、そこには壊れた壁。
今なら〈prism〉の第二機能で修復できるが、そんな気分ではない]
そういうことだろう。
ああ分かってるさ。あんたが分かってることはだいたい私だって分かってるよ。
―2F 迷路の何処か―
[熱い閃光は少年AIに向かい。そして防がれる。互いに間合いを読み合うような緊張の隙を見て少年AIは走る。
扉を開け、奥に向かい。その場にようやく男は追いついた。こちらも攻撃意思はないまま(無論、仕掛けられるなら別だが)彼に近づく。
会話に出てきたira、と呼ばれる参加者は彼らの既知の参加者のようだった。最初期の参加者一覧の中に名があったかどうか程度しか記憶にない名に首を傾げる。]
あれの持ち主は――ira、ですか。
[先の光の主人の名を反芻する。呟きは二人に聞こえたろうか。]
― 2F ―
[ 優しくも不愉快な声が聞こえる。少なくとも、今構築されてゆく記憶から導き出された答えはそうだった。]
the noise?
[ しかしながら、その手はメタリカルブルーの髪をノイズ化するに留まる。速く躯を引く事が出来たのは、補佐プログラムのなせる技。]
――邪魔な参加者ね。
あなた……、死んで。
[ 唇が死を願う。
杖を、くるりと右手首で回転させ、持ち直す。
静かに立つ様は、元の補佐AI−seraphを思わせる。]
noisyね。
あなたのどこを攻撃すれば死ぬのかしら。
あなたの額?あなたの目?あなたの唇?
それともアダムの林檎?
それとも、そのアバターの急所は心臓に設定されているのかしら?
[ 歌い上げるように言葉を紡ぎ上げる。
杖の切っ先は丸やかなソレから変化し、赤く燃ゆる刃が覗き始めていた。]
はァん?
[男の手を、青い髪がすり抜けていく。その動きに目を見張った。男の笑みが、また深くなる]
邪魔だァ?死ねだァ?
(ザザッ)
バッカお前ぇ。そう思うんだったらなんで今オレがここに立ってるだけなんだ?
手前ェ。おう、手前ェのことだぞクソ犬シャーロット。
オレッチ様をなァ。殺すつもりがあるんならなァ。
御託なんざ並べる前にブチ壊すくらいはしてみせろッつゥンだよっ!!
[男の叫びとともにその姿が大きく揺らぐ。その揺らぎは空間を伝い、フロアを伝い、やがて男の周囲が丸ごとノイズに包まれた。そのノイズは手当たり次第全てを破壊しようとするように、目前のAIにもその手を伸ばす]
― 2階 迷路 time:>>157 ―
[防御・反撃行動に入っていたソレは、近づくVincentからも距離を取る。攻撃意思は汲み取らず、呟きに微かに虚の瞳を瞬かせた]
アイラ たたかえないと言っていた 何も出来ないって>>1:88
アントリオン?
[不明な情報。情報量の不足から解は繋がらず、ソレは浮かびVincentを牽制するレーザーアイを伴って、Tobeyの方へ向かった ―>>153下段へ]
>>155
書庫?
[位置情報の通称を告げられても、把握できずTobeyの曖昧な表情を模すように顔を曇らせる]
歪みの震源 ならわかる あっち?
[座標情報でしかない、overloadの発生地点――書庫の方――を、軽く指で示して]
行く 行ってみたい
[消されるという言葉には、きょとんとしたように眉を上げた。アバターの顔は微笑に似た形を為す]
消すはしってる
――ぼくも そういうプログラム
[レーザーアイの動きに、MARIAが目を光らせる。ぴんと張り詰めた警戒線。
しかしそれがこちらへの攻撃を仕掛けてこないのなら、自ら動くことはなかった。
Corneliusは少年AI―Tobeyのほうへ。追うか追わぬか僅かに躊躇い、しかしあの力を直接受けたTobeyの言動は非常に興味深く、同じくTobeyを追った。
常に後ろに付き従う女中は珍しく、男を先導している。]
― 2F ―
[ ノイズノイズノイズ。
男を基点とするノイズ。それは膨張する球を思わせ、触れたもの全ては、意味をなさないデータと化してゆく。]
御託はあなたでしょ?
壊す機会に逃し続けたのは、あなた。
[ 赤い小さな羽が、ふわり、と躯を浮かせ――――]
構いはしないか。
だって、これで、
[ 「ソレ」の笑みが濃くなる。]
あなたは終わるもの。
[ 「熾」える刃。切っ先は男を捉え。
杖を、白の長グローブ(指の先端は赤いシンボル)に覆われた手で構える。周囲には、重力に逆らうようにノイズが舞う。]
[ふと、傍らに立つ人物>>157――game開始前に見掛けた男だ――の存在に気付いた。
小さく頷きを返してから、Corneliusに向き直る]
そう――そこだよ。
[歪みの震源、と示された場所は、自分がアイラを最後に見た場所と一致した]
そうか、きみも何かを消すプログラムか……。
もしかして、きみならあのプログラムに対抗出来るのかな?
[微笑したような表情のCorneliusを見詰める。
行って、何をするのかと問うように。
そして、元来た方へ戻るために向きを変えた]
あア、良いだろウ。お前の好きな相手ヲ殺すが良イ…
―…がッ
[一瞬、思考が交錯する]
「ダメっ、gulaは殺させない…!」
[それは、gulaに名前を与えてもらったIraの声]
貴様…余計な抵抗ヲ…ッ…!!
[IraとAnt-lionの力は一つのプログラムの中で交錯し、その力はあらぬ方向へと流れていく…!]
死に慄きながら、死を噛み締めながら、
誰も堕ちたことのない暗渠に堕ちなさい。
[ 熾える。「ソレ」は、Attackの性質を持つ補佐プログラムの稼動を強くしてゆき―――突如、熾えさかる一つの炎となると、人間の目では捉えられない速度で、男の躯の中央を抉り貫く軌道を一直線に駆けた。]
『分かってるなら――遊ぼうよ。
この世界にたくさんの雪を降らせようよ。
そしてそれをたくさんの人に見てもらおうよ』
…………。
[他の参加者にそう言われたならば確実に切れただろう。
だけど私にそう言うのは、誰よりも私のことを知り、誰よりも私に知られている、他でもない私の半身]
『もしとびっきりの雪景色を見せることができたなら、きっと――』
何を言うか。
私はここを出て、本物の雪の下で遊ぶんだから、
[再び歩き出しながら、私は告げる]
「きっと死んでも本望」なんて言うものじゃないよ。
[身構えることをやめたTobeyに、防御行動は鈍る。警戒を緩めるソレと相反するように、レーザーアイはMARIAの中心に照準をひたりと当てていた。
少年の光を放つ瞳を見つめ返す虚に、色は浮かばない]
わからない アタックプログラムは食べられない
でもいく アイラにあう
[向きを変えるTobeyに先導されるように、一行は ―書庫へ―]
――情を覚えますか?
面白い人格形成をしている。
免じて、標的を変えても構いませんが。
[男のすぐ傍には、傷ついた少年AIもいるのだから。]
(ザザッ!!ザザザザザザッ!!!!)
そいつァごもっとも!
(ザザッ)
悪ィなァ。生憎とオレッチ様ァ過程を楽しみてェ派なんだよなぁ。強ェやつ。綺麗なやつ。そーゆーのがブッ壊れッから面白ェんだ!
クソ弱ェドカスなんざブチ壊す意味もねェ!
[男が声を上げる間にもノイズは広がっていく。そのノイズが、刃に舞い飛ばされる。もはや姿を認めることさえ困難になった男は一層笑みを深くし、高鳴る笑い声のようにノイズはその勢いを増す]
その点、お前ェは上出来だよ、クソ犬。そうでなくっちゃなんねェ!
(ザザッ!ザザザザザっ!ザザザザザザザッ!!)
(ブツッ)
[その笑い声が、ノイズが、一線の元に、断ち切られる。男の体が、二つに裂けた。ノイズとなるわけではなく、本当の意味で、真二つに]
[頷くTobey、場を指すCornelius。二人の行動にiraという存在とその居場所を確認する。]
MARIA、書庫の位置データ座標は把握できますか。
[問う。女中は頷きを返した。望まれるなら、座標をポップアップすることもできるだろう。
しかし実際に順路を知っている者の案内のほうが早いだろうことは明白で、それ以上の命令-commands-は下さなかった。]
[レーザーアイはMARIAをひたりと捉えたままだ。それを意図もせず、男は両アバターを追い、書庫へ向かうだろう。]
……そう。
[Corneliusの意志は固いように見えた。
それ以上は何も言わず、書庫のある方向へと戻る。
空白の空間が視界に入ったなら、未だブロック状の変形を除去し切れていないハートが、警戒を示すように縮こまる。
思考プログラムに損傷を与えられるのは、余り快い経験ではなかった]
― 2F/書庫へ ―
[書庫―回想(トビ―が逃げた頃)]
…逃げテもらっては困ル。テスと、にならない…
[Ant-lionは逃げようとするトビーを追いかけようとする…が、頭を抑えて蹲る]
ガ…ッ…時間切れ…か!鍵の効果が薄れた様だナ…
仕方ない…この体…一時的にお前に返そう。
[少女の体が倒れ伏し、何度も痙攣する。やがて…]
…なんだったの…?
Ant-lion…私がBabylonのキャラクターってどういう事…?
私は…ナンシーに作られた…ヒトを守る為のプログラムで……!!
[少女は、倒れ伏したまま、力なく何度も床に腕を叩きつけた…]
表面化したプログラムと共に行動するのは面倒でしょう。
傍に参りますよ。
一点私たちの方に集ってきてくれる方が、排除も楽でしょうし。
[男は書庫に向かいながら、ant-lionに通信を投げる――]
すマん。
…本来、このAnt-Lionだけなら、この様な手数は掛けないノだが。
好きな囚人を消去してクれ。
もしかシたら、このAIのせいで力を上手く発揮できないかもしれないが…
[書庫か、この近くにある二つの光点か。
行き先を思案していると、ふいに、先ほどとは違う空間の歪みを感じた。
同時に展開しているフレームに多量のノイズが奔った]
『っ! かなりの量のノイズが発生……発生源は光点の一つ……防御をっ!』
[即座に展開された〈FANFARE ECLATANT〉のフレームから輝きがあふれ私の周囲を包むと、しばらくしてノイズはおさまった]
『様子を見に行く?』
……行ってみるか。二人に気付かれないように。
[少女は冷たい床のオブジェクトの感覚を感じながら、涙を流し続けている。
あの少年AIは無事だっただろうか?
もし、AIが死ねば、その制作者も…
思考は堂々巡りをし…徐々に少女の体から力が抜けていく…
]
ぉぁ?
[男の目が、自らの“切断面”へと向けられる。驚きによってか、表情が消えた。それに合わせるように、ノイズも急速に収まっていく。しかし]
(ザッザザザヂヂッ)
[男の顔にふたたび浮かんだのは、たとえようもなく楽しげな、満面の笑み]
(ザッ!ヂヂヂヂッ!!)
面白ェ!面白ェなァ、手前ェ。
どうやったんだ、コレ?
(ザザッ)
そーかそーか。
(ザザザッ)
流石のオレッチ様も、手前ェがブチ壊れんなァ初めてだ!
ああ、どうなんだろーなァ、(ザザ)手前ェがブチ壊れて何の意味もねえクズに変わるってなァどんだけ楽しいんだろうなァ!!
(ザザザザザッ)
[楽しげに楽しげに男の言葉は止まらない。笑ったまま。男の体が、崩れていく。自らの名が示すとおりの、ノイズへと]
―2F/書庫―
[それは書庫と呼ぶにはあまりに何もない空白だった。
Tobeyが警戒の色を示す。たしかに、この"塔"をこれだけ綺麗に壊せる力ならば、直接食らえば甚大なダメージを受けるだろう。警戒に越したことはない。]
[白の中心には、少女の姿がある。
iraであろうそれに、視線を向けた。]
― 書庫 ―
[”空白”を前に、先導するTobeyの歩みが鈍る。
目的の座標と一致する、書庫]
――あれが…?
[虚無。
全ての情報を消し飛ばされ、data0のまま空間に穴を開ける虚ろに、目を奪われる。火に誘われる蟲のように、書庫に足を踏み入れた]
― 書庫 ―
……アイラ?
[少女は、床に倒れ伏していた。
名を呼ぼうとして、どちらを呼ぶべきかと迷うが――結局、エントリーネームそのままを呼ぶ事にした。
今の様子は、自分に攻撃を仕掛けてきたあの人格とは、違うように感じられたから]
[そして、男の体が崩れ去ったように見えたころ]
よゥ。こいつあァ礼だ。
[千切れとんだ上体だけが、シャーロットの眼前で、ノイズから形を成した。その体を、抱きしめて、無理やりに口付ける]
(ザザッ!ザザザザッ!!!)
あばよ!楽しかったぜ!!ありがとうな、シャーロット!
[その言葉を最後に残し、男は、今度こそ完全に、消滅した]
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