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…………。
[少女の補佐AIは、こちらへ攻撃をしなかった。
そしてその状況は、Charlotte自身にも理解出来ていないらしい。
こちらを回り込んで自身の補佐AIへ近付く少女を、黙って見守る。
防衛機制は解かぬままだ]
[ seraphの赤い髪は雨を物ともせずに形を保っている。
seraphは、――に躯を僅かに俯かせて、顔を寄せた。]
【私を食べろ。】
!?
[ 赤いゴーグルを見てもそこには自分の顔が映るばかり。]
セラフ。
【私は、seraph=obscura。pierrot=lucidaと対になる貴方の補佐プログラムだ。】
……。
[ もっと、seraphにかける言葉はあったように思う。
全く従わないとしても、ずっと護っていてくれたのだから。]
『だが、早い。
このままじゃあ……、ロッテには扱いきれんぞ。』
【お前が補佐をすれば良い。pierrot=lucida。】
……。セラフ。
[ seraph=obscura。
そうLOGICに名付けられた精緻なプログラムは、内側にテクスチャを織り込んでゆくように小さくなってゆく。
>>0:88 白と赤の熾天使は、◆黒い水晶の結晶と、化す。]
―3F―
[走るという行為は、非常に合理的である。自らに勢いをつけ、破壊力を上げ、そして移動を同時に行う。
男を見据えていた三人のアバターは、三方向から三者三様のアタックプログラムを展開しつつ、一点男を目がけて走りこんできた。
彼らにとって不幸であったのは、彼らが相対している男のプログラムの性質を知らなかったことではなかった。]
[男は彼らの眼前から消えた。しかしそれは移動したのではない。ましてや本当に消えたわけでもない。]
―3F checkpoint.>>27―
――MARIA。
[声を"降らせた"位置は上空。男はほんの数分前に戻ってきただけであった。
そう、彼らの不幸は男が過去に戻れることを知らなかったことではなく、"男がこの階の上部から突然現れたこと"そのものであった。
重力に逆らわずまた落ちながらも、戦意を一点に集まっていた彼らに向ける。自らごとアバターに突き刺さるよう指示を向ければ、そこを一度にMARIAが踏みつけた。
落ちるという行為も、非常に合理的である。自らに勢いをつけ、破壊力を上げ、そして移動を同時に行うのだから。ベクトルが平行か垂直かの差でしかない。
後頭部を蹴り飛ばされたアバターはその前方にいたアバターと見事に激突し、鈍い音と共にお互いのアタックプログラム同士を刺しあった。ぶつかり合った全力の攻撃は、哀れ―target lose―のインフォメーションをその主人に浮かべた。
残る一人は状況に混乱したのか、足を止めていて。巻き込み損ねて口惜しいとでも思ったか、直接MARIAが顔面に正拳を食らわす。体制を崩すアバターを見て、また深緑の林に落ちていた男は白く小さな光を瞬かせた。]
―3F JUST NOW―
ふむ、咄嗟に飛んだだけでしたが、どうにかなるものですね。
[はは、と床に立って男は笑う。正拳をまともに食らって伏しているアバターの背をなぞるようにすっと指先を上下させれば、その腕を刃物に変形-TransForm-させたMARIAが男の背を縦二つにぱっくりと切り裂く。]
しかし正拳突きひとつ避けられない参加者は、放っておいても死にましたか。
まあ、いいでしょう。
[一度に3人の敗退者を産み、3Fの生存者となった男は一人その場を去った。何処に行くとも決めたわけではないが、博打の移動を避けて階段へ]
−Timetable >>20- >>24−
あ゛あ゛?(ヂッ!!)
[芯の篭った返答、回り込まれて投げられた問いかけ。
男の姿が、より一層ノイズに歪む]
駄目な気がするから、なんだ? 会ったことがあンならそれでどうする?
オレッチ様がこれからすることに何か変わりでもあると思ったか?
冥土の土産でも持たせてやると思ったか?あァ?
残念だったなァ、そんなもんくれてやる義理ァねェよ。
いいから 手前ぇは そこを どけ 。
OK?
[苛立ちを隠しもしない。ただ胸倉を掴み、至近距離から怒りに歪んだ顔で言葉を吐きつける。その腕にも、顔にも、耳障りな音を立てるノイズを走らせていたが、そのノイズが相手に危害を加えることはない。
完全に壊すまでは、壊す対象はできうる限り完璧に近い状態のほうが、男にとって好ましいからだ]
ああっ、クソッ。クソが。あンの時計屋のクソッタレ、クソめんどくせェ犬作りゃァがって…
[ぶつぶつと悪態をつく男の耳に、シャーロットの名乗りは届いたかどうか。届いたところで、固有名詞に興味を示さない男にとってはどれほどの意味があるかも定かではないが。
そうこうしている間にも鳥からは干渉を加えられ、そのたびに周囲の空間にノイズが走る。幾度目かのノイズで、遂に男の辛抱が切れた]
おゥ、手前ェ。シャーロットでも失せもンでも何でもいいが、お前ェ。
やれることがあンならやってみろ。そうじゃねェなら黙って待ってろ。
手前ェのご希望もご都合もあいにくこっちゃぁ知ったこっちゃねェんでなァ。
[最後に告げて、突き飛ばした。鳥へと向き直る。ノイズを展開する。しかし、男がなにをするよりもなお早く、鳥は上空からの飛来物によって潰された]
(ヂッ)
[大きく男の姿が撓み、収縮したようにノイズが収まる]
ッッッッッッッてらんっねェー。
[苛立ちを通り越して、もう男の顔には何の表情も浮かんでいない。ぽつりと言葉がこぼれた]
あー、もういいわ。そこのウド木偶。その鳥は手前ェが好きにしろ。
ただでさえクソ二流のクソド畜生だっつゥのに、壊れかけちまってんじゃぁブチ壊す気にもなんねェや。
オレッチ様ァ帰って寝る。そんじゃァなー。
[唐突に告げて、ひらひらと手を振った。くるりと背を向け、塔へと足を向けた]
−Timetable >>24−
[向けた背に、声が届く。男はさも面倒そうに手だけ振ると、そのままその場を立ち去った]
[seraphは――Charlotteの唯一の戦力と思われたAIは、黒き水晶へと姿を変じた。
警戒を解くべきか――それとも、強めるべきか?
量りかねた表情で、グリッドの檻の中をゆっくりと移動する]
ぼくはiraの所へ行くよ、シャーロット。
『それ』をどう使うのか――ぼくには、わからないけれど。
[防御プログラムを解除する。
警戒の意識はCharlotteに向けたまま、ゆっくりと後退し――塔の入り口に向けて移動する]
LostOne. Charlotteは、HurtfulHeart Tobeyが去ってゆくのを見つめている。雨に濡れながら。こくんと頷いた。
―階段 3F〜2F―
[階段で見たのは、灰髪の。(>>57)静かに、足音も響かせず階段を降りるのは、まるで何かを警戒しているようで、さらに下方を覗き見た。]
おや。
あれは先程の雪の女王さま-Sneedronningen-。
[彼女はまた妖精アバターとなにやら会話をしているようだった。自分とMARIAは言葉を交わすことはないので、あの会話ルーチンやパターンの精巧さには感嘆を覚える。]
[別段目的もない降階であったため、Corneliusと同じくして自分も彼女たちに接近することを選んだ。]
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