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[何の為に、何の意味があって。実際は、男の抱いた疑問はそれだけではなかった。]
[ [ 何故。 ] ]
[本来起きるはずのないEventの発生。悠然と行動する男の思考に、僅かな動揺が揺らいだ。]
― 4階 ―
[大きな声>>25。早足で階段へ向かう女性アバターと、追うように飛翔する小さな影を見遣る]
……蟲?
なにかな。おいしそう?
[羽を細かく震わせて階段へと消えていく青い髪の妖精に、母たる制作者―Belzebuthに連なる情動が発火する。
理由のない懐かしさにつられて、階段へと虚の瞳を据えた]
敵性存在 不明
移動 可
[中央のホログラムを振り返る。等間隔に並べられた参加者一覧は、色を落とした矩形――死者のために、既に疎らになり始めていた]
[不明なデータの解析をavaritiaに回し、ソレは濡れた髪を絞る。
足元に視線を落とし、裸足であったことに気付けば極自然に眉を下げ、困ったような微笑を浮かべた]
…
[invidiaに意識を向ければ、直ちにアバターの修正が行われる。
靴の踵とつま先の具合を確かめて、階段へと緩慢に歩き出した。歩容は既に滑らかで、人のものと区別はつかない**]
― 外 ―
『あなたに擁かれる事は、「死」を意味するのね』
[少女の呟く声が聞こえた]
――シャーロット。
[警戒するようにピンクのハートを抱きながら、シャーロットに話し掛ける]
あの人と戦うの?
[出来るだけ物陰に隠れてはいるが、the noiseには気付かれただろうか。
気付かれたならば全力で逃走に移れるよう、プログラムの起動をシミュレートする]
― 外 ―
そういえば、さっき面白いものを見付けたんだよ。
黄金色の鍵みたいなの。
あの人も持ってるのかな?
[無邪気そうな口調で話し掛けながら、シャーロットの方へ歩み寄る]
[ bluebirdは厭な音を響かせはしたが、まだ脱落までには至らない。seraphは、グリッドに叩きつけたbluebirdを掴み、5指の力を篭める。
そんなseraphの行動は、後ろで行なわれていたので気付かなかったけれど、]
トビー?
[ 振り返れば、ゲーム開始前に出遭った少年の姿。]
……分からない。
けど……、
[ 一瞬浮かべた儚い表情、それは、雨烟る中、直ぐにでも手折られる花を思わせた。]
黄金の鍵……。
……。それは、私にも流れてきたデータのこと?
[ Clock-eyeが、黄金という言葉に反応するように琥珀色に彩られ、時計盤の黒い針とローマ数字が明瞭に浮かび上がる。]
―――っ、
−ira...is Babylon's Character.−
−and ......−
[ tobeyを見つめる視界の中。青白い文字でiraの解析が流れる。
Irvineと同じように、▲を三等分したような形の一つ。
Irvineが一番上なら、iraは、三等分した左側の形だった。
解析、その感覚は―――]
the noiseが持っている?
[ tobeyの言葉を繰り返し、その浮かび上がる感覚、何処かの記憶を刺激するかのような一瞬……]
わからない?
[首を傾げる。
青髪の少女が浮かべるのは儚げな表情]
シャーロットはすぐに壊れちゃいそうだね。
シャーロットも鍵を持っているの?
[the noiseやbluebirdの攻撃が飛んで来ないのを確認しながら、シャーロットにまた一歩、近付く。
彼女の補佐AIの内、戦闘力がありそうな方は、bluebirdと格闘中だった]
……シャーロットにも流れて来た。
それじゃあ、きみは持ち主じゃないんだ。
[瞬いてシャーロットを見詰める。
と、彼女のClock-eyeに、明瞭な時計盤が浮かび上がった]
それは――? それも鍵と関係があるの?
[首を傾げる。ハート型のプログラムが、ゆっくりと鼓動を開始していた]
私、知ってる。この感覚……。
[ 断片。断片的にも断片。「解析」という、覗き見る行為の感覚。
落ちてゆく、誰かを覗き見るような感覚、千の手と天の目を経由するような感触。誰かに赦されて――、青白い光の海に沈み眠り込んだまま、宇宙と電子の夢を見る。そして、もう一つ。]
違う……持っているのは、―――ira?
[ >>35自分で言った問いに自ら答えるような呟き。
青髪の少女。まるで花の咲くような少女の姿が記憶から呼び起こされる。そこに宿る黄金の光は太陽のようで、青髪の少女に似合っているようにも思われた。]
− need more ? −
− Analyze target select −
[ ぼんやりしていたのを気付かせたのは、tobeyの更なる声と、視界に映る青白い文字。]
ira?
[シャーロットの呟きを耳にして、memoryを検索する。
参加者の名を表示したホログラムは、ここからでは見えないが、一枚の画像として内部に保存したものがあったはずだ。
程無く発見したそれと、iraの名を照らし合わせる]
あ、……
[目を大きく見開き、そして瞬いた。
驚きを表す仕草]
あの子が?
[iraの名を持つのは、青い髪の幼い少女。
――先程の、腫れた瞼と充血した瞳をした少女だった]
[ 明瞭に浮かび上がったのは琥珀色という、文字盤の黒を際立たせる色だったからだけど、その事は察せずに、]
目に、映るの。
各フロアに浮かんでいる、Irvineのホログラムを見た時に、彼に黄金色の光が宿っているのが見えて…
( −Welcome to Babylon Heterotopia.−
−Present 4 U.− 差出人不明のプレゼント……。)
それから、解析対象を選べと言われたわ。
[ Irvineの時は、自分の視界の中では、>>1:90Irvineの光点が黄金色に変わってマーキングされていたけれど、「塔」の外からでは、iraの光点もそうであるのかは分からない。]
それが何なのか分からなかったけれど、
私はあの子、iraが気になったから。
[ だから選んだ。少女の事が知りたくて。]
これは……鍵なら、何の鍵?
この閉鎖空間を開ける鍵とでもいうのかしら……。
― 階段 4階〜3階 ―
[ゆるりと歩く度に、足元から硬質な音が響く。
金網で作られた階段を、先に下っていった女性のアバターの姿はとうに視野から消えていた]
…どこかな
[青い髪の妖精の姿を探して、首を廻らせる。
探査能力に優れたavaritiaは、今は肩のあたりで自転しながら沈黙を保っていた]
[金網に響く甲高い靴音を立てて、下っていく]
Irvine……。
[交戦記録のないプレイヤーだった。
直接戦った相手でなくとも、"鍵"は手に入るらしい]
その眼を使って解析したら、鍵を持っているかどうかがわかるんだ。
[琥珀色をじっと見詰める]
閉鎖空間を開ける? 外に出られるっていう事?
[その声に少しばかり弾むような調子が混じったが、すぐにその調子も萎んだ]
でも、外って……。ここの外に出てどうするの?
[外。少年の感覚では、それは『別の電脳空間』という意味合いにしかならなかった]
そう、みたいね……。
Welcome to Babylon Heterotopia.
Present 4 U.
[ 表示されていた文字を呟いた。]
誰かが贈ってくれた、もの。差出人はなかったわ。
……。
[ 目を一度閉じれば、次には蒼ざめた空色の時計盤。
tobeyの声が、風船が萎むようにトーンが落ちる。]
……。
もしかしたら、サイバージェイルの鍵かもしれない。
[ もしそうなら、LOGICを助けられる事になる。でもそれは、信じるには大きすぎる希望というものだった。tobeyは、その言葉を聞いても、元気は出ないだろうか。]
Present 4 U.
[Charlotteの呟きを復誦する]
サイバージェイルの鍵。
それが、誰かからのプレゼントだっていうの?
[サイバージェイル。電脳の牢獄。
自分に"心"を与えたマスターは、そこに捕まっているのだと言うけれど]
……わからないよ。
どこに居たって同じだもん。ぼくはぼくの場所で遊ぶだけ。
それに、仮にぼくのマスターが牢獄から出られたとしても――
[言葉が止まる。というより、少年のアバターそのものが静止―freeze―する]
ううん、それは考えても仕方ないや。
ともかく、その鍵を集めてみたらわかるんじゃない?
iraの所にいけばいいのかな?
[深く思考すれば自己の存在意義を揺らがしかねないため、自動的にその方向性にはロックが掛かったのだった。
思考は素早く切り替えられる。希望、とまではいかないまでも、純粋な興味から優先順位は決定された]
トビー?
[ 静止に声をかける。しかし、tobeyは直ぐに動き出す。先の事は告げず、]
そうね。
[ やはり儚く、tobeyへ微笑んだ。]
iraが、Babylon's Characterという事は、
あの子は「Babylon」、統制機構のものということ。
……。
Irvineも、…やはりBabylonの。
[ 最後の呟きは小さく。
LOGICと政府の長年に渡る因縁のようなもの、その一端を知っているものからすれば、「ira」には注意が必要に思えた。]
LostOne. Charlotteは、− target lose − 「塔」の近くで戦闘を行なっていたseraphが、bluebirdにトドメをさしたようだった。
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