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[必死に走る後ろから声が掛かる。
Babylonを揺らした――それは記憶が欠落したあの時間の事だろうか]
ち、……違うよ!
[後ろを振り返らぬまま否定し、目の前にあったドアノブを引っ張る。
――ハズレ、ベッドが一つ置かれただけのシンプルな寝室だった]
あの時、iraが――ant-lionが目の前に居たんだ。
それで、ぼくとant-lionの間に穴が開いてた……。
[説明しながらも、足は止めない。
手は見付けた部屋のドアを、片っ端から開けてゆく]
……ぼくには世界そのものを『消し飛ばす』力はないよ!
あの子にそれが出来たのは、多分あの子が――Babylonのキャラクターだから!
[だん!
目の前には扉が一つ――他に道はない。行き止まりだった。
半ば体当たりする形になって、足を止める]
この騒ぎに乗じるなら、まあ、彼ですかね――
[少年AIに熱線を向けた、灰髪のCorneliusに意識は向く。
彼はこのgame中に成長している。残せばあるいは、他の参加者も落としてくれる可能性はある。
がしかし、それは自らの仕事が減るようで、あまり思わしくはなく。
"力"を誇示したがるきらいのある男は、彼の背を追って2Fに降りながら、薄く笑った。]
[〈prism〉は全てを記録する。第一に、人の様子をリアルタイムに。
あくまで人の様子だけだから、壁の破壊や世界の消失までは、記録できない]
『ここからだと書庫にいる人が一番近いよ! どうする? Legionsのことを訊いてみる?
ていうかそもそもアタシ書庫に行きたかったんだけどね! Legionsに対抗する手がかりが分かるかもしれないからさー!』
[フレームに映し出されているのは現在地の近くの地図。
階段の近くに存在している書庫に、光点が一つ]
……それはないだろう。
[人がいないのをいいことに、抑えていた感情を、爆発させる]
あるとしたら、どこまで人をコケにしてるんだよ!
ゲームの皮をかぶった殺し合いの舞台を造りながら、ゲームのような要素を盛り込むなんて!
[敵の存在、誰が敵か分かるプログラムの存在、宝の存在。
それらが揃ったのだもう間違いない。この状況は何よりもゲームじみている。
Babylon's Characterではない者同士が仲間となって敵を倒せばそれこそ――]
[少年は逃げる。
ソレに捕食の意志がなければ、攻撃を仕掛けて来ない相手に追撃をかける意味はない。
両脇に浮かんだレーザーアイ――喰らったIrvineのアタックプログラムを模したもの――は消さぬまま]
アイラ?
[聞いた名前に、虚の瞳を細めた。
言葉を交わした少女のAI。まもるものを探すのだと、言っていた]
アイラが Babylon’s Character?
世界を揺らした?
[興味を超えた情動を原動に、ソレはTobeyの後を緩慢についていく。標準推定間合いの外。次々と扉を開き、少年は行き止まりへ]
トビー アイラはどこ?
−1F - 2F−
お?おー。
いよーゥ、いーいとこで会ったなァ。
いやぁ、悪ィ悪ィ。さっきブッ壊してやりゃあよかったか?
[ニヤニヤと、上機嫌に緩んだ顔で前を行く人影(その言葉は、AIに当てはまるのだろうか)に片手を上げる]
ちょっと見ねェ間に立派ンなっちまやァがって。
(ザザッ)
オレッチ様は実にまったく嬉しい限りだぜこのクソ犬。
んじゃァまァ、そういうわけで。
ブッ壊しタイムだぞ“失せもン”。
[男の体をノイズが包む。無造作に。ごく自然な速さで、その手が伸びた]
[行き止まりに至って足を止め、ゆっくりと振り返る。
Corneliusは攻撃体勢を解除してはいなかったが、少なくとも言葉を交わす意志はあるようだ]
そう……姿―avatar―の話をするならね。
人格プログラムは、別かもしれないけれど……。
[相手の問いに、やや曖昧ながらも頷く]
アイラは……さっきは、書庫に居た。
[自分が元居た場所だ。
辿ったルートを逆算すれば、辿り着けるはずだが]
……アイラの所に、行くの?
きみも、消されるかもしれないよ?
だが、敵に負けたら死ぬという点で、これはゲームじゃない。
『まだそう思ってるのー?』
[ECLATANTのいつも通りの暢気そうな声が。
なぜか私を責めているように聞こえて、私は駆け出した。彼女がいるフレームを置いていくように、2Fフロアへ。
だけどフレームは一定の距離が空くと手元に戻ってくる]
『アタシはもう認識を改めたよ。まだ「電脳世界で遊ぶ」って目的は果たせるって。
制限厳しくプレイしてるって思えばいいんだよっ! たとえば――』
ノーセーブ蘇生なし。
[諦めて立ち止まると、そこには壊れた壁。
今なら〈prism〉の第二機能で修復できるが、そんな気分ではない]
そういうことだろう。
ああ分かってるさ。あんたが分かってることはだいたい私だって分かってるよ。
―2F 迷路の何処か―
[熱い閃光は少年AIに向かい。そして防がれる。互いに間合いを読み合うような緊張の隙を見て少年AIは走る。
扉を開け、奥に向かい。その場にようやく男は追いついた。こちらも攻撃意思はないまま(無論、仕掛けられるなら別だが)彼に近づく。
会話に出てきたira、と呼ばれる参加者は彼らの既知の参加者のようだった。最初期の参加者一覧の中に名があったかどうか程度しか記憶にない名に首を傾げる。]
あれの持ち主は――ira、ですか。
[先の光の主人の名を反芻する。呟きは二人に聞こえたろうか。]
― 2F ―
[ 優しくも不愉快な声が聞こえる。少なくとも、今構築されてゆく記憶から導き出された答えはそうだった。]
the noise?
[ しかしながら、その手はメタリカルブルーの髪をノイズ化するに留まる。速く躯を引く事が出来たのは、補佐プログラムのなせる技。]
――邪魔な参加者ね。
あなた……、死んで。
[ 唇が死を願う。
杖を、くるりと右手首で回転させ、持ち直す。
静かに立つ様は、元の補佐AI−seraphを思わせる。]
noisyね。
あなたのどこを攻撃すれば死ぬのかしら。
あなたの額?あなたの目?あなたの唇?
それともアダムの林檎?
それとも、そのアバターの急所は心臓に設定されているのかしら?
[ 歌い上げるように言葉を紡ぎ上げる。
杖の切っ先は丸やかなソレから変化し、赤く燃ゆる刃が覗き始めていた。]
はァん?
[男の手を、青い髪がすり抜けていく。その動きに目を見張った。男の笑みが、また深くなる]
邪魔だァ?死ねだァ?
(ザザッ)
バッカお前ぇ。そう思うんだったらなんで今オレがここに立ってるだけなんだ?
手前ェ。おう、手前ェのことだぞクソ犬シャーロット。
オレッチ様をなァ。殺すつもりがあるんならなァ。
御託なんざ並べる前にブチ壊すくらいはしてみせろッつゥンだよっ!!
[男の叫びとともにその姿が大きく揺らぐ。その揺らぎは空間を伝い、フロアを伝い、やがて男の周囲が丸ごとノイズに包まれた。そのノイズは手当たり次第全てを破壊しようとするように、目前のAIにもその手を伸ばす]
― 2階 迷路 time:>>157 ―
[防御・反撃行動に入っていたソレは、近づくVincentからも距離を取る。攻撃意思は汲み取らず、呟きに微かに虚の瞳を瞬かせた]
アイラ たたかえないと言っていた 何も出来ないって>>1:88
アントリオン?
[不明な情報。情報量の不足から解は繋がらず、ソレは浮かびVincentを牽制するレーザーアイを伴って、Tobeyの方へ向かった ―>>153下段へ]
>>155
書庫?
[位置情報の通称を告げられても、把握できずTobeyの曖昧な表情を模すように顔を曇らせる]
歪みの震源 ならわかる あっち?
[座標情報でしかない、overloadの発生地点――書庫の方――を、軽く指で示して]
行く 行ってみたい
[消されるという言葉には、きょとんとしたように眉を上げた。アバターの顔は微笑に似た形を為す]
消すはしってる
――ぼくも そういうプログラム
[レーザーアイの動きに、MARIAが目を光らせる。ぴんと張り詰めた警戒線。
しかしそれがこちらへの攻撃を仕掛けてこないのなら、自ら動くことはなかった。
Corneliusは少年AI―Tobeyのほうへ。追うか追わぬか僅かに躊躇い、しかしあの力を直接受けたTobeyの言動は非常に興味深く、同じくTobeyを追った。
常に後ろに付き従う女中は珍しく、男を先導している。]
― 2F ―
[ ノイズノイズノイズ。
男を基点とするノイズ。それは膨張する球を思わせ、触れたもの全ては、意味をなさないデータと化してゆく。]
御託はあなたでしょ?
壊す機会に逃し続けたのは、あなた。
[ 赤い小さな羽が、ふわり、と躯を浮かせ――――]
構いはしないか。
だって、これで、
[ 「ソレ」の笑みが濃くなる。]
あなたは終わるもの。
[ 「熾」える刃。切っ先は男を捉え。
杖を、白の長グローブ(指の先端は赤いシンボル)に覆われた手で構える。周囲には、重力に逆らうようにノイズが舞う。]
[ふと、傍らに立つ人物>>157――game開始前に見掛けた男だ――の存在に気付いた。
小さく頷きを返してから、Corneliusに向き直る]
そう――そこだよ。
[歪みの震源、と示された場所は、自分がアイラを最後に見た場所と一致した]
そうか、きみも何かを消すプログラムか……。
もしかして、きみならあのプログラムに対抗出来るのかな?
[微笑したような表情のCorneliusを見詰める。
行って、何をするのかと問うように。
そして、元来た方へ戻るために向きを変えた]
あア、良いだろウ。お前の好きな相手ヲ殺すが良イ…
―…がッ
[一瞬、思考が交錯する]
「ダメっ、gulaは殺させない…!」
[それは、gulaに名前を与えてもらったIraの声]
貴様…余計な抵抗ヲ…ッ…!!
[IraとAnt-lionの力は一つのプログラムの中で交錯し、その力はあらぬ方向へと流れていく…!]
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