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きみは自らの正体を知った。さあ、村人なら敵である人狼を退治しよう。人狼なら……狡猾に振る舞って人間たちを確実に仕留めていくのだ。
どうやらこの中には、村人が4名、人狼が2名、占い師が1名、霊能者が1名いるようだ。
あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。
この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。
当日、現場に出入りできたのは今ここにいる者で全部だ。
とにかく十分に注意してくれ。
― 各フロア中央中空・開始カウントダウン ―
≪11、10、9、8、7、・・・・・・≫
≪・・・・・・3、2、1≫
≪ゼロ≫
「エッホン、えーコホン。」
塔の中に気が抜けたような声が響いた。
「えー、聞こえてますかー。皆さん。」
じじじじじ、と小さな音がした後、
各フロアの中央に、新たにホログラムが現れた。
「サイバージェイル」に収容された囚人であれば誰でも知っている人物。
「サイバージェイル」の所長のバストアップホログラムだ。
「今から開会の挨拶をします。
皆さんも長いのは大変でしょうから、手短に終わらせます。」
パン、と一つ手を打ち鳴らす。
所長と「塔」の簡易MAPホログラムの周囲に、
ゲームへの全参加者のホログラムが等間隔・円形に表示された。
矩形のホログラムの下には、エントリーネーム。
自ら参加する代わりに、AIを送り出した電脳犯罪者には、
製作者の電脳犯罪者の「ハンドル」が合わせて表示されていた。
ゲーム開始前に脱落した者の名前は、邪魔とばかりに消去される。
「はい、えー。このゲームの趣旨は分かっていると思います。
勝ったら解放、負けたら牢獄戻り。
「バビる!」でお馴染みの「Babylon」ゲームです。
皆さんのお陰で「バビる!」の視聴率もうなぎ登りです。
今頃は、「Channel:nHk」の「Babylon」でオープニングトークが始まってる頃ですね。」
腕時計を見るような仕草。
ここで、そのオープニングの様子を見る事は出来ない。
辛うじて、「サイバージェイル」に収容される前に動画配信を見た事がある者が、記憶を呼び起こし、思い浮かべる事が出来るだけ。
「それで、言ってない事があったので今言います。
このサイバージェイルの収容者も随分と増えました。
コストがかかって大変ですし、
昨今の電脳犯罪者の増加もあって容量が足りません。
なので、今日は皆さんにちょっと、殺し合いをしてもらおうと思います。
はい、牢獄戻りはありません。
現実の体も死ぬようにセットしました。
AIには擬似バイタル信号を噛ませてあります。
完全に信号が途絶えれば、AIの皆さんのマスターも死にます。
えー、はい。
最初の約束通り、最後まで生き残った人は無罪放免になります。」
「ああそうそう。時限式プロテクトはもう外れていますが、
何人かペナルティを課せられてます。すぐ落ちないといいですね。
それでは皆さん、頑張って。」
―――プツン―――
所定の事は言ったとばかり、所長のホログラムが消える。
その後は、所長のホログラムがあった場所に幾つかの注意点などが流れる。
その中には、センサーアイで集めた映像・音声は「Babylon」側で編集され、臨場感溢れるナレーター音声と共に流されるという事が、誇らしげに書かれていた。*
[1F ゴミ置き場 回想 〜所長のアナウンスが流れる少し前]
[見知らぬプログラム…Corneliusに声を掛けられ、少女は、びくっ…と、体を震わせる。そうだ。自分は何をしているのだろう…?質問を受けたのだ。答えなければ]
えぐ…っ…あのっ…わ、私は…私は…
…泣いています。
[それは、あまりに愚かな答え。だが、思考というプロセスを始めたばかりの少女には、そう答えるのが精一杯だった。
いや、少女のプログラムの性能が低かった訳ではない。逆に人工AIとしてはありえない程、高すぎたのだ。
「お前は何をしているのか?」自らの存在意義を問う質問に、理念的な回答を含んだ数百、数千の回答が少女のプログラムの中で浮かび、却下され、最終的に選択された回答がそれだった]
―4F―
[すぐ傍のワープゾーンは、ひっきりなしに参加者を移動させていた。金の髪を高く結った女性アバターも、そこを通ったかもしれない。騒々しい、などと過ぎらせつつ、しかし眼鏡の男はそこを動かない。
観察対象―Cornelius―が男とぶつかり、身を守ることすらせずに転ぶ。ぶつかった男は何事か話しかけているようだった。いくつか言葉を交わしたのか、Corneliusも動きを見せる。どこか緩慢な動きの中、こちらへ視線が向けられた。ゆるく首を振り、視線をずらせば簡単にその噛みあいは外れる。Corneliusの姿はやがて、ワープゾーンに呑まれていった。]
[中央のホログラムに視線を向ければ、タイムカウンターがgameの開始を告げる。]
――時間ですね。
[独りごちる。誰に聞かせたいわけでもない、確認の呟き。
しかし今まで殆ど動きを見せなかった女中MARIAが、その言葉にようやくひとつ、頷いた]
― 開始時刻・1F ―
[ホログラムのカウントダウンが秒読みを始め――やがて、0となった。
途端に響くのは、気の抜けたような声。>>#1
そして新たに現れたホログラムに、参加者の一部がどよめいた。
その顔とmemoryデータに一致するもののない少年は、首を傾げたまま挨拶を聞いている]
[やがて、表示される沢山の顔のホログラム。>>#2
見覚えのある顔も幾つかあった。
少年の顔の下には、Tobey、そしてTanatosの名が記されている。
Tanatos――それは製作者の名だと認識出来るものの、具体的な姿はmemoryには残されていなかった]
マスターも……死ぬ?
[ルールの説明。>>#4
人間にとっては衝撃的であっただろうその発言も、少年AIからすれば特に動揺するような内容でもなかった。
顔も知らない製作者の生死など、端から気にしていない。
大事なのは、自分が生き延び――そして楽しむ事]
さあさ、早速始めようよ!
[とくん、とくん。
期待に高鳴る胸の音が、少年の周囲の空間に響く。
ハートに赤青の筋が走り、血管のように生々しく浮き上がった]
― 1階 time:game開始前 ―
>>2
ないています
[繰り返す。
avaritiaは、他の参加者には見られなかった少女の行動を大雑把に把握すると「泣いている」というtitleをつけて片付ける。
泣くという行為に関連付けられる項目は、未だ0。故になんらの共感的反応も返さずに虚ろの瞳を瞬かせる]
きみは だれ?
ぼくはコーネリアスだよ
[少女の中で駆け巡る電子信号。
「美味しそう」という、ソレの中でもっとも好意的な感情を以て、音声を紡ぐ]
[カウントダウンの終了と同時に、所長のアナウンスが響く。気の抜けるような演説と、並べられるアバター・グラフィック。己のものだけ確認すると、後は興味がないとばかり視線を外す。]
『なので、今日は皆さんにちょっと、殺し合いをしてもらおうと思います。』
[演説は続く。ゾッとするような事を平気で述べていたが、男はそれすらも平然と聞いていた。
全ての口上が終わり、所長の姿が立ち消えると、ため息を一つ。]
――困りましたね、まだ一応殺人の前科はなかったはずなんですが。
―― 4F(開始時刻) ――
[おじじは言った。子供は遊ぶものだと。
おばばはたくさんの外で遊ぶゲームを教えてくれた。
やがてメガネ型の端末を与えられると、メガネの先でつながっている誰かが、家の中で遊べるゲームを教えてくれた。
その中にはアバターを電脳世界で戦わせるゲームもあった。
私の操作したアバターは、死ぬことなく、何度も戦っていた。
だから、これもその延長のようなものだと、思っていた、のに]
『アタシ知ってるよ。こういうのを合法的な殺人って言うって』
[それだけを言うと、ECLATANTが音もなく私の前に出た]
ああ。……その通りだよ。
なまえ ないの?
[泣いている、という状態を継続させる少女を見つめる。
負の感情の発露のようだと補助AIが判断して、では名前がないことは好ましくない出来事なのだろうかと。
本来の自分に名前がなかったことは間違いない。では自分も泣いた方がいいのか。
計りかねて、ソレは結局相手を模倣することはやめた]
AI 名称選択 自己定義
―――randam table
[傍らのavaritiaの「思考」を、そのまま口にする。ソレを制作したマスターが、唯一拘りを見せたらしい、プログラムの名称の共通項に類して]
Acedia――Luxuria――Ira――
[音声を発しながら、指を伸ばす。
少女の結膜嚢を満たし溢れる涙液に、避けられなければ触れただろう]
[少年の全身から、黒と白の棘が伸びる。
それはgameに生死が掛かっていると知り、動揺して立ち竦んでいた若い男を貫いた]
あはは、やった! 一人目だ!
[胸部、腹部、大腿を貫かれ、男はまず驚愕の、そして苦悶と恐怖の表情を浮かべた。
ぱたぱたと音を立てて、鮮血が床に落ちる。
データ上の生命のやりとりに、本来なら不必要なそれは、攻撃プログラムの一部として組み込まれていたオプションであった。
その紅色は、少年のAIに組み込まれた攻撃性を、より一層刺激する]
− target lose −
[男のアバターの姿は掠れていき、やがて消えた。
周囲から恐慌の、そして叫喚の声が聞こえる。
殺し合いは否応なしに連鎖していった]
[回想]
>>10
[ ――Ira――
突如告げられたその単語に、少女は思わずきょとんとした表情を浮かべる。
…それにしても、一体、この少女には、どの様なプログラムが組まれているのだろうか。『無駄に』表情が豊かなのだ。この表情を構成する容量を攻撃プログラムのソースに回せば、とても強力な破壊コードを組む事ができただろう。
少女はIraという単語の意味を自身のデータベースと照会し、該当がない事を把握する。だとすれば…このコーネリアスというAIが自分の存在を定義してくれたと言う事だろうか?]
Ira…私は、そう、名乗っても良いの?
[少女は思いがけず、目前に宝物を差しだされ、それを貰っても良いものなのか…そんな戸惑った表情を見せた]
>>12
[少女の表情を模倣しようとして、アバターの微細な表出変化に失敗する。僅かに瞼を大きく開いた形で、ソレは少女の声を聞く]
なのってもいい?
だいじょうぶ
[少女の頬に触れた指が湿る。雨のもつ属性とは異なり、液体に攻撃性は含まれていなかった。
フル回転するavaritiaと交信しながら、指を引き戻し、唇を寄せる。涙の成分として設定された情報を、味わった]
i-r-a
[イラ、と補助AIならば発音しただろうが、ソレが口にしたのは頭に柔らかな母音を含む音]
アイラ?きみはアイラ?
ぼくは――コーネリアス
[ソレがそうだったように、自己定義としてAIの名称設定されれば、自動的にBabylonのシステムに送られる。
中央のホログラムに、やがて少女のentry nameが表示される頃、開始カウントダウンは最後の10countを数え始めた>>#0]
だが、私に殺しの趣味はないぞ。
『それだってアタシ知ってるよ! だからこうして動かないキャロルの代わりに前に――ん?』
[その時ようやくECLATANTは周囲に降る雪に気付いたようだ。
雪はECLATANTの身体には触れることなくくるくると舞っている]
前に出るだけじゃ駄目だ。
ちょっとこのフロアに雪をばらまいて来い。
身の危険を感じたら――好きにしろ。
『わかったよっ!』
[元気よく飛び立つ妖精を見送ると、私は〈Concertino in Blue〉のフレームを展開した。
雪の一部を操作して、ECLATANTの後ろを着いて回るようにする]
いきなり雪が降ったら怪しまれるからね……
上手く雪を隠すんだぞ。
[塔全体を包もうとしている恐慌が私の元に届くまで、まだ時間はあるように思えた――**]
−4F−
−Timetable >>0:210 - >>0:216−
(ヂッヂヂッ)
クソッ。クソ。あー。クソゥ。
どこ行きャアがった。クソ。
[益体のない愚痴をこぼしながら、下階からのワープゾーンをくぐり男の姿が結実する苛立ちを隠そうともしない視線が辺りを彷徨い、歩を進める。
前さえろくに見もせずに歩いていれば、すれ違うように歩いてくる何者かにぶつかるのも当然だった]
あァ? ンだァ、手前ェ……
[ぶつかり、たたらを踏んだ相手に目を向ける。相手は銀髪のAIで、その動きはぎこちなく、そしてその体はびっしょりと濡れていた。
―――男の顔が、喜悦に歪む]
手前ェ、おい、お前ェ。なんだァ、オイ、そのなりぁ一体なンだァ手前ェ。
(ザッ!ザザッ!!)
そーかーそーか。どーしようもなくどうしよーもねぇクソみてェなクソ犬以外の何もンでもねェクソッタレと思ってたが、なンだ、お前ェ。それならいいんだ。それならな。
(ザザザザザ)
[ニダァ…と殺意を満載した笑みを浮かべながら、よろめいたAIの手を取り、その肩をいかにも馴れ馴れしくばしばしと叩く]
手前ェのツラと名前、覚えたからな。
[最後に短くそれだけ言うと、次の瞬間にはそのAIの存在も、先ほどまでの苛立ちも、何もかも忘れ去ったような上機嫌で、一足先にワープゾーンへと消えていった]
−to 2F−
[ドクン、ドクン、ドクッ、ドクッ、ドクドクドクドクドクドクドクドク――――]
[心拍音は狂ったように鳴り響き、人間Playerの精神に逼迫を抱かせる。
ハートはピンクから赤に染まって、今にも弾けてしまいそうに収縮と拡張を繰り返した]
あはははっ!
[楽しげな笑い声と共に、少年は駆ける。
中央のホログラムには、最初の狂乱の餌食となった者の名が、次々と連ねられていった**]
−2F−
−Timetable >>16 - now−
(ザッ ザザッ ヂヂヂ……)
[蔵書された文章データをノイズ化するという、無為な作業に戻った男に、以前のような苛立ちはない。
ただ、楽しみを心待ちするように、時折ニヤつきながら作業に没頭していた。
今は、時さえ過ぎればそれでいい]
……あァ。やっとか。
[ようやく聞こえたゲーム開始のアナウンスに、静かに呟いた。身を起こす。部屋を出る。Programを起動する。アナウンスの中に不穏な言葉が混ざっていたが、気に留めた様子もない]
(ザッ ザザッ)
いよーゥ、兄弟。
どうしたァ?楽しんでるか?ああ?
[途中顔を合わせた、面識もない参加者に、酔っ払いの無遠慮さで肩を抱く。唐突に絡まれた参加者は、アナウンスに困惑していて、そして自分に絡んできた男が何者かに気づき、青ざめた。慌てて自らの持つProgramを起動させようとして、そして全ては遅すぎた]
(ザザザザザッ)
どーしたって聞いてンだろォ?
なァ?お前ェみてぇなド三流はなァ。
無駄にあがこうなんざ考えずになァ。
せーいぜいブチ壊されるまでの間でもゲーム楽しンどきゃァよかったのに、なァ?
(ザザ!ザザザザザザザザ!!ザッ――――!)
[肩を抱く男の腕をノイズが走り]
じゃァな。あばよ、兄弟。
[哀れな最初の犠牲者を飲み込んだ]
―target lose―
(ザッ)
(ヂヂッ)
(ザザザッ! ヂッ! ザザザザザザッ ヂッ――――)
[笑い声を、ノイズを撒き散らしながら、男は歩く]
さァて…まずはどいつからブッ壊してやろうか…?
[既にいくらか、壊したいものの目星はついている。誰に行き当たるのが最初になるかと楽しみながら、男は再度ワープゾーンへと飛び込んだ]
>>17
[少女の笑みに、少なからず――ソレの意識は混乱を受けた。
把握出来ないこと、にavaritiaは沈黙し。ソレは正体不明の感情が浮上してきたことに困惑する]
…うれしい?
[音声としては低過ぎる呟きを漏らし。首を傾けて、カタチだけの思案を模す。
「エッホン、えーコホン」塔内に放送が流れれば、安堵にも似た処理で空転するプロセスを片付けた]
― 1階 time:now ―
[「それでは皆さん、頑張って。」男のバストアップが消える>>#5まで、ふらつく虚ろの瞳はホログラムのあたりを向いていた]
たたかう ころしあい
[所長の短い演説の間に、ピリ、という感触と共にinvidiaの機能が開放されていた。
同時に、第3のSub Programにかけられていた時限式プロテクトも解除される。superbia、純粋なアタックプログラム。制作者の性格を反映してか、何のひねりもない、が故に最も少量のリソースで最大の効果を産む――熱衝撃波を操るもの。
需要エネルギーが飛躍的に増大したことで、「餓え」のパラメータ閾値が急変動する。
――食べたい]
アイラ たたかう?
アイラ ころす?
[振り返れば、先程少女が浮かべていた、作り物とするにはあまりに精巧で美しい笑顔はそこにはなかっただろう。
アイラの涙の味が記憶上に再生される]
いただきます?
[相手を模したにしては不格好な、だがはっきり友好的な笑顔とわかる表情を浮かべて、ソレは尋ねる。gameを始めますか?と]
― 3F/複数あるワープゾーンのうちの一つ ―
……。
[ 大きく目を開いて、所長のホログラム挨拶を見ていた。]
……どういう、こと?
死ぬ……? LOGICが、死ぬ?
『噂はやはり本当だったか。』
!?
[ pierrotの言葉に振り返る。]
あなた達は知っていたの?
[ pierrotとseraphに問いかける。]
あなた達は、この事を知っていたの?
[ もう一度問いかける。
pierrotが、飄々としながらも渋い表情を浮かべ、答えた。]
『確実じゃあなかった。だが、可能性が限りなく高い噂だと製作者(LOGIC)が提示した情報だ。
噂に曰く。誰も帰っちゃ来ない。ゲームに負けた者も、勝利者すらも。』
……でも今。
『ロッテ。アンタはどれだけLOGICと共に居た。
政府が、統制機構が約束を守るためしはない。』
……。
なら。その事が分かっていたなら、どうして。
LOGICらしくないわ。これはまるで自殺行為よ。
『LOGICの確定していなかった罪が確定したのさ。
その結果、LOGICは永年囚人となった。俺達の製作者は、ポッドから出る事が出来なくなっている。』
……。今、なんて?
『ロッテ。LOGICは、「サイバージェイル」から出られないと知ったんだ。』
[ 暫くの間、押し黙り、動けなかった。それはまるで、言葉が体の隅々まで行き渡るのに時間がかかるようなものだった。]
……。私は、知らされていないわ。
[ 震えるような声で漸く紡ぎ上げる。]
[アイラの反応がどうあれ、会話は途中で断ち切られる。ソレらのいる1階で始まった、殺し合いの狂乱>>11>>18に]
…
おなか すいた
[avaritiaの指示に従い、アイラから視線を外し、敵性反応の強い方へ体を向ける。
ゴミの山に隠れるような位置。主な争いからは遠かったが――逃げ込むように目の前に飛び込んで来た参加者が、一人]
…
……。
私は、永遠(とわ)をLOGICと過ごしても良かったのに。
[ へたりこみそうになるのを、何とか留めていた。]
『だが、LOGICはそれを求めなかった。
アンタを。アンタを少しでも生かしたかったのさ。』
[ pierrotは、ふぅと強く鼻息を吹き出した。]
生かす?
私はAIよ。生かすって、どういう意味?
『LOGICは、「サイバージェイル」に入れられる前、電脳世界で拾ったアンタのデータを掻き集めた。それこそ電脳世界のありとあらゆる場所からな。いいか、ロッテ。アンタは―――』
待って。
それより……それより何故、LOGICは私をここに送ったの。負けてもLOGICは死に、勝っても……彼は死ぬかもしれないのに。
[ 希望を捨てきれず、勝っても死ぬという悲観的な事を断言出来ずに居る。]
[一瞬怯んだ様子を見せた参加者は、アイラとソレが身構える様子もないことに勢いを得る。「こんなところで死ねるか」といったような音声と共に男がフレームを展開し――ソレの補助AIが警告を発した]
攻撃態勢確認 反撃 捕食
[avaritiaからの指示を反復する。
攻撃プログラムは、身に受けても食べることが出来ない。雨に触れたことで学習した自己防衛基準に則り、補助AIは行動手順を示す]
――attack
[飛んで来た無数の針状の攻撃プログラムに、起動ラグ0の熱衝撃派をぶつける。
結果的に、針を撃ち落とす行為は自身の身よりもアイラを護ったかのような無駄な効果しか及ぼさなかった。――針の予測到達時刻より前に、ソレは男の背後を取っていたから]
…いただきます
[男が息を飲む音を聞きながら、体を抱きしめるように回した腕に力を篭める。
Coneliusの胸がカタチを失い、どろりと――巨大な口を開いて、『塊』は男を呑み込んだ]
―target lose―
[男の死を告げる音声が響く。
胸に開いた口が閉じ、男の姿が消えれば立っているのは灰色の髪のアバターを模したAIだけだった。
落ち着いた表情で喧噪の方へ顔を向け、喰らった男の情報を、消化する。
最初の狂乱が収まるまでは、このゴミの山の陰にいたほうがいい、とavaritiaはソレに指示した]
ごちそうさま
『駆け引きだ。アンタが勝ち抜き、アンタの優位性を持って、俺がアンタのみの解放を交渉する。』
……。意味が分からないわ。
『アンタの価値をアピールするのさ。』
……。ねえ、何を言っているの?
[ 微笑みが強張っている事が分かる。目の前のpierrotは、先程からおかしな事を言っている。LOGICを無視して、どうしてこんな事が言えるのだろう。]
『俺達の製作者は、お前だけがこの牢獄の外に出るのを望んでいる。少し前に、俺の役目はお前に伝える事だと言いかけたな。
LOGICの望みは、願いは、シャーロット、アンタを牢獄から出す事だ。
俺も、こいつも。それだけの為に作られた。』
……。
[ 3F/ワープゾーンの近くで、今度こそ、へたりこんむ。]
『LOGICは、アンタを、愛している。』
……。
私は、彼の一部よ。
[ 視界の端に、中央中空で円形に展開された矩形ホログラムがゆっくりと回転してゆき、そのうちの一つに先程の名前のない少女が「ira」と表示されているのが*見えた。*]
― 回想・4階 time:>>15>>16 ―
[衝撃に反応して、片足が下がる。よろめきながらも、転ばないことには成功した。avaritiaは立ち直り反射の微調整の試算を始めながら、ぶつかった男が零すノイズを観察する]
てめぇ クソ いぬ
[早口でノイズ混じりの男の言葉を精確に理解することは、ソレには到底出来ず。補助AIが沈黙しているために、単語の断片を繰り返すに留まった]
それならいい?
[肩を叩かれて揺れながら、男の殺意を刹那の敵性反応として感じ取る。アタックプログラムがプロテクトされた状態で至近距離から攻撃されれば、即破壊されただろうが。男はすぐにソレを離れ、上機嫌で去っていった]
…… おぼえた ノイズ まずそう
[男の後にワープゾーンへ入りながら、呟いた。
不味そう、というもっとも非好意的な感情が発露する。喰らってもノイズの多い情報からは得られるものが少ないことを、本能で]
――いらない
[→ *1階へ*]
―4F checkpoint.>>16―
[ノイズが耳に刺さる。ざらざらと不快な音が。ノイズ男の悦に満ちた表情とは真逆、鬱陶しげに眉を寄せた。
が、ノイズ男はCorneliusの存在に満足したのか、早々にその場を去った。つまらない、だのなんだの思う暇もなかった。]
―4F JUST NOW―
[game開始と同時、脱落者欄にはまたいくつも名前が並ぶ。それを別段どうとも思いやしないが、さて自分はどうしたものかと。当然このまま誰かに殺される気もなく、かといって目の前で死の恐怖に震える"弱者"と化したアバターを倒すのも興が削がれる。
やはりここは本領を発揮するべきかと、くつくつ笑う。]
行きますよ、MARIA。私の愛しい子。
[ちかり。ほんの僅かな白い瞬きと同時に、男は姿を消した。ワープゾーンの傍にいたため、4Fにいた多数の参加者がワープゾーン経由で移動したのだろうと思っただろう。]
――――――Launch ≪BackSkipper≫
Script――Loaded.
Thread――Slept.
Point――Checked.
OK,Ready......
Go to the goddess to meet.
―1F checkpoint.>>0:101―
[男は、部屋の壁際に座り込んでいた。
広い部屋ゆえ降る雪は此処までは届かなかったが、the shadowなるハンドルの男の腕が凍りつき、そして砕けるのを囃すでも野次るでもなくただ静かに見ていた。]
[男は目の前の交戦に対して是も非も唱えず、the shadowが助けを求めても応じず、敗北するthe shadowへCharlotteが叫ぼうとも敵意は向けず(僅かな興味はあったが、すぐに打ち消えた)pierrotの口上にも動きは見せず。ただ無関心にそこに居た。]
[――わざと組み込んだ、派手なプログラム起動-Launch-メッセージの後。何刻か前の世界を男は繰り返す。ただ、あの時と違うのは、傍らの女性AIがその鳶色の瞳を開きあたりを見渡すこと。Inglourious、Rhapsody、Sting……その場にいるアバターたちのいくつものEntry Nameを彼女のSensor-Eyeが映す。]
まずは、あれから行きましょうか。
[見定めたのに理由はなかった。触れた雪がダメージにならないことに心底安堵し、自らが危害を加えられるなど微塵も思っていない様子の一人の男が目についた。それだけのこと。]
[ぴん、と指を弾く。MARIAの腕が鋭い杭のように変形-TransForm-する。指先をついと男の背に向ければ、ぞぶり、杭が男を貫いた。後ろから突き抜ける杭は赤く濡れる。機能を急激に破壊された臓腑は血液を喉元に逆流させた。背も胸も口も染まった男はいともたやすく崩れ落ちる。]
さて、次は誰にしましょうか。
[ぐるりあたりを見れば、女が一人反則よ、あんたもさっきの女もペナルティを受けるのよ、と半狂乱したように叫ぶ。]
申し訳ありません。gameはもう開始した後ですので、私にSystemがペナルティを課すのは少々難しいやもしれませんね。
[あっけらかんと笑って言う。ひょいと女を指させば、MARIAのもう片腕が甲高い声を耳障りだとでも言うように女の喉を突き刺した。]
[*―target lose―*]
―― 4F ――
[私はこの場に不釣り合いな物をじっと見つめる。
それは、蝶の形を模した背中の羽を広げ、殺し合いを始める者達の間をすり抜けるように飛び回る――青の妖精]
ざっと6、7人か。
[既に仕掛けは完了に近付いている。
満足そうに笑った――その時、視界の端にわずかな光(>>35)をとらえた。
そちらの方を見るが、ワープゾーン以外には何もない]
誰かが他のフロアに行ったか。……まあいい。
[「ゲームが始まる前の」他のフロアに行ったとは知らず、呟く]
[やがてひと通り飛行を終えたECLATANTが、残りの雪を振り落とすように天井すれすれまで急上昇して静止。
それとほぼ同時に、一人の参加者が、フロアの端に突っ立っている私を格好の標的と判断したか、こちらに向かって駆け出してきた]
――遅い。
[右手をフロア中央に向けて突き出す。その手元には〈Concertino in Blue〉のフレーム。
まずは攻撃状態に移行。これでECLATANTがばらまいた雪は触れた物を凍りつかせる。今度は、見境なく。
次に私の周囲を舞っていた雪を手元に集めて、]
[[ Icicles ]]
[氷の刃物となって目の前の参加者を襲うように、指示した]
[かくして4Fは冷気に包まれる。
床が凍り、柱が凍り、参加者の身体の一部が凍る。ある者は床の氷結部と脚の氷結部がくっついてその場から動けなくなっている。
そこに、ワープゾーンから新たに参加者が現れた]
「ひッ……!」
[一瞬驚き、だが動けない者を葬ろうと自らの攻撃プログラムを向けた。
快音と共に凍り付いていた者の身体が砕け散る。
砕けて舞った氷のかけらは再び雪となって、新たに現れた参加者に襲いかかる。
そうして凍りついた参加者に、今度は片足が凍りついたが動ける参加者が魔手を向ける。
そうやって勝手に潰し合う様を、ただ、眺める]
―target lose―
[この混沌に加わることなく氷柱に貫かれることとなった参加者には、ただ、残念そうな目を向けて――**]
― サイバージェイル独房 time:previously ―
[Babylonでの収録が始まるよりもだいぶ前。現実世界では北半球に秋が訪れた頃――電脳世界の独房に季節はない]
merde!やーっパり弱すぎルかー?
[黒髪を複雑に結い上げた女が、こめかみに刺したジャックを引き抜いた。金属性でムラのある声をあげる。
AIの破壊を告げるGAME OVERの幻視が消え、彼女の組んだテストプログラムは新たな実験開始のために仮想空間をリセットする。
蠅の王-Belzebuth-を名乗る受刑者は、粗末な寝台に転がって薄紫の唇を不機嫌に尖らせた]
ぁー…メンどくさぁい。塔ごと全部喰っちゃエば早ぇージャん?
gameとか最初に思いついたヤツ頭おかしーでソ。…言っても塔を舞台にシタ蠱毒ってコトだろォ?
[ルールを守りつつ全力を出す、という行為は彼女にとっては馬鹿げた苦行であり、故にBabylonへの参加資格を満たすAIを組む計画は難航していた]
グラたんホラァ。あっさりブッ殺されてんじゃねーのよ。
アタシのためにバビるでテッペンとれぇ?
[テスト中に行動不能に陥ったAIのError Logをロードしながら、Belzebuthは眉に並ぶピアスを弄る。細い背に広がる薄翅は、自らを標榜する「蠅」のタトゥー。
虚飾に満ちた姿と相反して、彼女のプログラムは単純さを至上とした。
ハンドルネーム:Belzebuthのクラッカーとしての認知度と評価が低いのは、彼女の生み出したgulaが破壊しか出来ない無能の巨獣であったからだった。
無能であることと全能であることは等しい。gulaを無能よりも少しだけ高性能にしようと試みることは、即ちgulaの全能性を著しく損なうことだった]
……merde!インヴィディアと同期できてネーし!?
[金属が軋るような声でひっきりなしに悪態をつきながら、彼女が作るのは「蛆」。虚ろの本質を保ちつつ、いつか蠅になって空を駆けていく。自由の蟲]
……ぁー…めんドクせぇ……
アタシはこンなとこにいたくないダケなノによぉ。
[電脳世界の独房に季節はない。
彼女が、不得手なプログラム製作に耐えてまで、【解放を謳うゲーム】に参加する事を決めたのは]
――バビるよォ。「誰も帰ってきちゃ居ネぇ」ってウワサぁ。
マジだろーナ?
アタシをこのクソッタレの世界から、【出して】くれンだろぉ?
[彼女の作るAIに似た虚無を薄蒼の瞳に浮かべて、BelzebuthはAIのデモンストレーション戦闘を再開させた]
― Belzebuth *了*―
― 3F ―
イラ……憤怒……?
[ 僅かの間、そちらへ意識が逸れる。
「塔」のシンプルMAPは、現在1Fと4Fの光点の明滅が激しい。一定時間の後、光点が復帰するのはもしかするとback up持ちなのかもしれない、とぼんやり判断する。]
……。
教えて。LOGICは何を考えていたのか、全てを。
[ pierrotは直接的には答えず、周りから答えていこうとする。]
『選択だ。アンタは選択が出来る。
製作者は「生き残り牢獄を出る事」と、アンタに言いはしたが、目的事項として組み込まなかったのは、その為だ。』
……。
そうね、コマンドではないわ。
これまでも、命令はなかった。
[ 4Fで、動かない二つの光点。それが、Little DancerとBlack Dahliaである事、Little Dancerの攻撃を「Holy Alter」で防いでいる事は、別フロアでは*気付けない。*]
― 1F ―
[少年AIに端を発した――のかどうかは今となってはわからないが、騒ぎは爆発的に広がっていった。
恐らくこれが最初の篩となり、力なきプレイヤーや冷静さを失ったものは、あっという間に脱落していくだろう]
ほらほら、食べられちゃうぞー!
[血のような紅色が空間を侵食する。
雑多なobjectに歪な手足が生えて、近くに居た獲物を追い掛け始めた。
それを見て少年の方に向かって来るプレイヤーは少なく、多くは逃げ惑い更なる混乱を誘発した。
逆に言えば、賢明なプレイヤーは既に混乱の中心からは外れているのだろう]
ねえねえ、遊んでくれる人はいないの?
鬼ごっこの鬼ばかりはつまんないよ!
[思わずそんな言葉を発するが、多くは少年の言葉など聞いてはいないか、混乱に飲まれたまま破れかぶれに向かって来るばかりだ。
詰まらなそうに唇を尖らせると、少年はワープゾーンの光がある方向へ進路を変更した]
― 3F/複数あるワープゾーンのうちの一つ ―
指向性コマンドは、ないわ。
[ 時計盤の目を閉じ、胸元に両手をあてる。
持たされた目標・目的事項。けれども、その目標は必ずではなく、違う選択も出来る。]
あなたは、LOGICが私の事が大事だと言っていたわね。
私を変えない事、手を加えずそのままを保つ事、それをLOGICは望み、私が、私だけが牢獄を出られる事を、LOGICは願っている。
私を、別個の存在として尊重しているのね。
[ 時計盤の目が、戸惑いの色を浮かべて開かれた。
中央中空のホログラム、ゲーム脱落者の矩形ホログラムは暗いモノクロに彩られ、その数は既に二桁に達していた。
最初の脱落者は1F、それからは波が広がるように明滅し、今は1Fの中央に固まっていた塊は分散していた。]
3Fでも交戦が始まったようね。
Little Dancerが警戒していた参加者かしら。
[ 話を聞いていたかったけれど、移動者が増えてきている。一旦、移動する事にした。]
1Fと4Fは激しいわ。
移動場所を変更しましょう。
2Fへ。
今なら対応するワープゾーンの近くに参加者もいないようだわ。
[ pierrotに手を貸してもらい立ち上がる。
直ぐ傍のワープゾーンへ足を踏み入れ、2Fへ。]
[1F 回想 アナウンスが流れた直後]
[塔全体に響き渡る所長の音声を、少女は呆然と聞く。解放?牢獄送り?…殺し合い?この人は何を言っているの?
だが、少女の演算機能は、現実の拒否を、思考プロセスの停止を許さない。
『最後まで生き残った人は無罪放免』
アナウンスで所長と思しき人はそう言っていた。では、此処に居るコーネリアスの様なAIは自身の製作者を助けるために、無罪放免を勝ち残る為に、此処に存在しているのだろうか。
なら、私も製作者を助けるために…
だが、そこで非情にも少女のメモリーに呼び起こされるのは、短くも少女が頼るべき指針、コメント。
『既に私の命は無いでしょう。』]
−1F−
−ワープゾーン−
(ザッ ザザッ ザッ―――)
[ワープゾーンから出るなり、男は自分がたった今出てきた光の中へと、腕を突き入れた。
鼻歌代わりのノイズ交じりに行われた作業。ワープゾーンの機能を阻害し、破壊しようとするそれ。
終わるか終わらないかといった頃合で、ワープゾーンへ近づく者に、気がついた]
……ん。おゥ。いよーゥ。ガキ犬じゃねェか。
そーかそーか、最初は手前ェか。
よしよし、流石ァオレッチ様が見込んでやっただけのことァある。そーだよ、そうだ。そうでなくっちゃぁなァ。
ンじゃあ早速…
[ずるり、ワープゾーンから腕を引き抜いた。その腕がノイズを纏い、霞む]
ブチ壊されろ?
[…私の製作者は既に死んでいる…
ならば、私は何のためにここに居るのか…。虚脱感が少女のメモリを支配する。だが…
『この子が、私の父の様に罪の無い人の助けになりますように』
私には製作者は居ない。私が守るべき人は「罪の無い人」…
…では、罪とは何?
何度、プロセスを繰り返しても。
そこで、思考は停止する。「生まれて間もない」少女が「罪」を理解するには…あまりに知識が足りなかった。
罪とは、なに?私は…誰を守ればいいの…?]
― 2F/通路 ―
[ 激しい音が聞こえてくる。周囲の壁が振動している。]
……ここも激しいようね。
誰かが何かを炸裂させているみたい。
爆弾を使っているような振動。
[ パラパラと天井から白い欠片が落ちてくる。seraphを一瞥し、]
あなたのペナルティが解除されるまで、他の参加者には会えない。
『ロッテ。その話だが――』
待って。もう少しで参加者の居ない場所へ辿りつけるから。
[ pierrotの言葉を遮り、辿りついたのは、入り組んだ通路の中に出来た、小さな広場。振動も今は遠く、そして中央中空ホログラムも見える場所だった。]
[無情にも音声が響く。
今、人間が死んだ。こんなにもあっさりと。
今、死んだ人間は「罪の無い人間」では無かったのか?
自分は今の人間を守らなくても良かったのか?
それとも、コーネリアスの製作者こそが「罪の無い人間」なのか?
無数の疑問が少女の中に沸き起こり、メモリを逼迫させる]
― 1F/ワープゾーン付近 ―
[狂乱に背を向けて辿り着いた先は、ワープゾーンの前]
おじさん、何やってるの?
それ、壊しちゃうの?
[見覚えのある男>>50――the noiseといったか?――が、ワープゾーンの光の中に手を突っ込んでいた。
何やらワープゾーン自体を弄っているように見える。
と、男はこちらに気付いたのか、振り向いて声を掛けてきた]
もう、ぼくは犬じゃないよ。
それと――
[男の腕がノイズを纏うのが見えて。
唇を尖らせながら、ピンクのハートを両腕で抱き締める]
壊されるのは嫌いなの!
[少年の足元の床が歪み、黒い鉄の棒が伸び上がる]
― 1階 ―
[オブジェクトに不格好な手足の生えた異形>>46が一体、ゴミの山を越えて降りて来る。
考えるようなカタチを模して、ソレは蠢くオブジェクトが距離を詰めるのを見た]
敵対行動 確認
[invidiaの本来の機能を発動させる]
反撃
[喰らった男の見せたプログラム>>29を、模倣して。
軽く翳した掌から、無数の針が飛び出した。 それは過たずオブジェクトを貫き、破壊する]
…
[振り返れば、少女はまだそこに、無防備な格好のままいた。
表情から、少女の思考プロセスを推定するにはまだavaritiaのデータベースは情報不足だった]
アイラ?
[無差別に攻撃行動をとるような衝動はソレには組み込まれていない。制作者の勝利への無頓着さでもあったし、肥大欲を抑制されているAIとして振る舞うための制限からでもなった]
アイラ たたかわない?
ぼくが ここからうごくと アイラ しぬ?
[二度の襲撃から、名を得たばかりのAIを護ることになったという結果をavaritiaに示されて。尋ねる。少女に自己防衛原則はないのかと]
―1F checkpoint.>>38―
["今"見えるホログラムに脱落者の名前が追記される。それを確認することもない。誰であろうとどうでもよかった。彼らはgame開始前に敗退した憐れな参加者だ。参加出来ていない者のことなど気に止める必要もない。
MARIAの腕に絡み付いていた脱落者のアバターがノイズになって消える。血液を構成していたモジュールも同じくして消えた。]
これで殺人前科者ですかねえ。
[あまりにあっけなく、あまりに現実味のない殺人。つまらなさげに呟いて、眼鏡を押し上げた。
次を探して見回せば、もう殺しがいのありそうなアバターひとついなかった。畏怖の目で震えながら見てくる者。腰を抜かして動けなくなっている者もいる。
彼らは放っておいてもいずれ脱落するだろう。面白くない、と彼らの不甲斐なさに一つため息をつきながら、"帰る"ためにゆるりと歩き出す。
MARIAの変形-TransForm-を解く直前、胡麻を擂って取り入ろうと近寄ってきた男を一人、ついでに刺し殺しておいた。]
[―target lose―]
―4F Loaded.>>35―
[戻り来た時間は零下の世界だった。氷による束縛、それに慄く者ここぞとばかりに襲うもの。男はそのどちらにも属さず、ワープゾーンの付近に立っている。
す、と目線を向けたホログラムには先の脱落者の名前は載っていない。game開始前の脱落者はとうの昔にClearされていた。
さもそれが当然であるかのように、生存者としての表示が消えている。ただそれだけ。]
[血気盛んなのか、状況に狂ったのか、男に向かって一人のアバターが殺意を剥き出しに駆け込んでくる。
目線だけをそのアバターに向ければ、傍らのMARIAが駆けくる顔面を正拳で叩き落とした。
冷たい床に叩きつけられるアバターの頭をMARIAが踏みつける。痛みを訴える悲鳴が響くだろう。]
――もう少し、スマートに美しく倒しなさい、MARIA。
[氷の欠片ひとつ纏っていない"帰ってきたばかり"の男は、眉根を寄せた。]
あーァそうだよ。そうだ。我、壊すゆえに我ありッつってなァ
(ザザッ)
ンでもコレブチ壊すのァ後回しだ。
ブチ壊すんならお前ェの方が面白ェ。
[とつとつと言葉を漏らしながら、身構えるでなく、警戒するでなく、ただぶらぶらと無防備に歩き、トビーへ近づく]
はンッ。犬じゃねェだ?
壊されんのが嫌ェだ?
(ザザッ)犬っころが生意気なこと言ってンじゃねーぞ、ガキ犬。
[伸び上がる鉄の棒に、ひたりと触れる。その隙間から、ぬぅと顔を近づけた]
手前ェのご意見なんざ聞いちゃァいねぇんだ。
いいか?
(ザッ!)
手前ェは
(ヂヂッ)
オレに
(ヂヂヂヂヂッ!)
ブチ壊されろッてんだよっ!!
(ザッ――――――!!!)
[男の手を押し当てられた箇所から、ノイズが嵐となって鳥籠を包む。男は、ただ純粋な力押しで、鳥かごの防壁を破壊しにかかっていた]
[自身に名前を与えてくれた存在。
コーネリアスは、あろうことか自分を守ってくれた。
一体どうして?
製作者の居ない私は、守るべき人を見いだせない私は、「生きる」意味があるのだろうか?
訥々とした…しかし、それでも、無価値な筈の自分を気にかけてくれる、コーネリアスの声>>57に
泣き虫な少女の胸は又熱くなった]
コーネリアス…さん。
コーネリアスさんは、どうして戦うの…?食べるの?
コーネリアスさんにとって製作者は…守るべき人?
[アウトプットされた質問は、質問者の意図を掴めない断片的なもの。
突然問われれば、意味の掴めないだろう言葉の欠片。
だが、それが少女の最も知りたい疑問だった]
ぼくの方がおもしろい? そうかな?
[近付く男に首を傾げた。
無邪気そうな表情。犬と揶揄されようが、それを崩す事はなかった、が――]
わあっ!?
[檻の隙間から男が顔を突っ込む。
そして――鳥籠を包むノイズの嵐]
おじさん、ただものじゃない――
[ハートがきゅうと縮こまる。
怯え、萎縮するかのような動きだが]
――ねっ!!
[次の瞬間、まるで弾け飛ぶように――無数の棘が、少年の全身から外に向けて射出された]
―― 4F ――
[氷がひしめく光景を目に焼きつける。何か恐ろしいものから目をそらすべく。
このゲームには私の命がかかっていると分かった。
ならば私は、「生きるために」この電脳世界を駆け抜けなければならない。
「欲望の赴くままに」では無論なければ――]
『たいへんたいへん! あっちで攻撃が防がれたよっ!』
[ECLATANTが戻ってくるなり甲高い声を張り上げた]
見てたよ。……周囲に自分に有利な「場」を展開して雪を、消し去ったんだ。
『なるほど!』
[喰らった個体が2つに増えたことで、人を模すための参照情報量と演算速度は上昇していた。言葉の欠片を投げかけられて、眉を顰めるようにアバターの顔は変化する]
どうしてたたかうの?
食べるの? 食べる――
[少女が、身を守る気がないと言えば、この場で喰らう心算だった。折角美味しそうなのに他の誰かに殺されては勿体ないから。
かちり、とはまるように言葉がカタチを為す。]
…ぼくが「喰らう者」だからだよ
[自身の中を探り、言葉を探す。少女の求める解にはなり得なくても、虚ろであるソレにとっては無二のもの。
avaritiaに残された制作者からの短いメッセージを再生し、紡ぐ]
ぼくは マスターをまもるようには できていないみたい
マスターは ぼくの好きに するように って
アイラはだれ?
アイラはまもるの? まもりたいの?
タダモンじゃねェだァ?
[飛来する棘を避けようともせず、結果、体のあちこちを吹き飛ばされ、あまつさえ頭の上半分を消失させたままで、男はなおも言葉を続ける]
んーなこたァどーでもいいんだよ。
それともアレか?オレッチ様がタダモンじゃなかったら手前ェ、オイ、お前ェが尻尾振ってブチ壊されてくれんのか?ああ?
[問いの形を成していても、男の言葉は回答を求めるものでもない。
ただ、そうしている間にもノイズとなった体は再構成されていき、男が掴んだままの鳥かごは、徐々にその厚みを減じていく。
それが心底楽しそうに、男は修復されていくその顔に、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。…ノイズにならないままに針を受け、アバターの損傷した箇所もそのままに]
― 2F/小さな広場 ―
Nymphaea……。
[ 三角座りをして、プログラムを起動する。このプログラムの使い方も分からない。
仄かな光と、睡蓮が周囲の空間に漂う。ゆっくりした速度で動いていた。顔の近くに漂ってきた睡蓮の葉を、ふぅと息で流した。
seraphの肩に当たって、別の方向へ漂う。]
……。
( 希望は、ないの?)
[ 話を、聞かせて。
本来ならpierrotにそう切り出し、話を聞かなければとは思う。
けれど、誰もかれも死ぬのなら…―――LOGICの命は。]
[コーネリアスの言葉>>65が少女の胸に突き刺さる。
自分は誰を守りたいのだろう?]
…わたしは…罪の無い人を守ってって。
そう、製作者に言い残されたの。
だから、「罪の無い人」を守らないといけない。
でも…罪って何?
それは…それは、一体だれっ!?
[自らの内面に溢れる激情に耐えかねて少女は、コーネリアスの背後から抱きついた。
コーネリアスは戦闘中だ。
或いは攻撃的な行動と取られるかもしれない。さっきの男の様に吸収されてしまうかもしれない。
だが、それでも良かった。寂しがりのAIは、これ以上、一人ぼっちでいる事に耐えられなかった。
製作者が居ない事は、少女にとっては親の居ない子供の様なものだった。
例えコーネリアスが人では無いAIでも。
それが、偽物でも、仮初めのものでも、ただただ、誰かの温もりを傍に感じていたかった。]
[十年以上も前に、電脳世界は「生きるための」場所になった。
指名手配された私に、狭いせまい現実世界だけで生きることは不可能だった。ゆえに広大な電脳世界にて、金しだいで色んなことを請け負い、様々な人脈を得て、様々な情報を得て。
その全てが「生きるため」のものだった。
全てが。
他の子供達と、彼らと遊んでいた場所の全てが、
安全だと思っていた、楽園だとすら思っていた世界の全てが、
ある時を境に反転し、もう戻らない]
なあ、見たよな? 私が参加者を、氷の刃で刺したところを。
そして理解してるよな?
――これは遊びじゃない。生きるために必要なことだ。
そして生きるためには、危険はなるべく避けなければならない。
[ヤマアラシの針の一撃を受けて、なおも男の言葉は続いていた。
回避――はしていない。それは、体のあちこちに穴を空けた男の姿を見ても明らかだった]
うわあ、びっくり。これで壊れないなんて。
[目を見開き、そしてぱちくりと瞬いた。
大抵のアバターは、全身を棘で貫かれれば消滅してしまうのだが。
そうして見ている間にも男の体は再構成され、逆に鳥籠は厚みを減じていく]
……おもしろいね、おじさん。
[後退して男から距離を取ると、役に立ちそうにない防御プログラムを自ら解除する]
どうすればおじさんを壊せるの?
[ハートは常よりも速いテンポで鼓動を刻む。
少年の足元からは、円状に空間の歪みが広がり、少年AIの支配下に置かれていった]
― 2F/小さな広場 ―
な…に……。
[ それは、Irvineの矩形ホログラムを眺めていた時だった。
視界に、▲を三等分したような形のものが浮かぶ。それは、くるくると傾き回転し、太陽のような黄金の光を放っている。]
−Welcome to Babylon Heterotopia.−
−Present 4 U.−
−zero 02 and A's copy−
−From......−
[ 青白い光の文字が更に映る。]
[アイラの言葉を理解出来ない。
生き残れるのは一人だけだと、主催につきつけられたという記録からではなく、”罪”の定義がソレの中にはかった。
データベースから掘り出されるのは意義の薄い通説]
「暴食は罪」
ぼくは つみのないひとは―― っ
[avaritiaが少女の動きを攻撃態勢と判断しなかったために、タイムラグ0で少女を弾き飛ばせたはずの衝撃波による自衛反撃が発生しなかった。
背後からぶつかられてたたらを踏む]
?
[首を回す。
接触されたこの至近距離で攻撃を受ければ即座に破壊されるだろう]
アイラ?
[まだ水気を含んだ体に顔を埋めるような少女に、困惑とも憤慨とも労りともつかない混乱した色の声をかける]
こうげき?
なにしてるの?
あぶない よ
[動かない少女の腕に片手をかけて、視線をゴミの山――から滑空するようにこちらに飛来する槍の形のオブジェクトに向ける。
一瞬後、衝撃波が槍を大破させる様をavaritiaが記録した]
[噛んで含めるようにECLATANTに話しかける。
なぜなら「生きるために必要なもの」として組まれていないこの妖精は。
放っておけばどこへでも「遊び」に行くからだ]
だから、「場」を展開した参加者――確かアーヴァインとか言ったか、あいつとは戦わない。
つまんないなんて言わせない。もし戦いたいなら……。
『一緒に戦う相手を探すんだね?』
そういうことだ。
[ワープゾーンに向かって歩を進めた時悲鳴が聞こえた(>>59)。
出所は……なんということだ、ワープゾーンの近くじゃないか。
私は慌てて立ち止まった。だがECLATANTは止まらない。徐々にワープゾーンへと近付いていく]
止まれECLATANT! そっちは危険だ!
あァン?バカかァ、手前ェ?御馬鹿様かお前ェ。もしくは阿呆か?
そんなもん教えるわきゃアねェだろうが。
(ザッザザザッ)
[ニヤニヤと嘲るような笑みを浮かべたまま男は支配された空間を意にも介さず歩く。ただ、触れて、トビーを破壊するために]
( …… プレゼント、フォーユー?)
『どうしたロッテ。』
[ pierrotが問いかける。]
いいえ、何でもないわ。
[ どうやら見えているのは自分だけのようだった。]
( 差出人は書かれていない。
LOGICなら、こんな手を込むような事をしないとは言い切れないけど、雰囲気が違うように感じるわ。
……このzero 02 and A's copyというのは誰のこと?)
−Analyze target select−
−Analize target ......−
[ 視界の端に映る青白い文字。解析対象を要求している。]
― 2F/小さな広場 ―
……。
[ 何故だかこれは、自分で選ばなければならないものだと分かった。でも、誰を?]
[高度な筈の少女の論理演算機能は完全にその役割を放棄していた。ただ、幼子の様に咽び泣くAI。強さだけが求められる、この塔の中で。今現在、間違いなく、この少女は最も無力で、最も無価値な存在だ]
…えっぐ…ぐす…
ごめんね”
コーネリアス…迷惑だよね…
[それでも、少女は、まるで、その手を離すと奈落の底に落ちてしまうとでも言うように、コーネリアスの腕をひしと掴んだまま。唯、涙を流している。やがて、ぺたんと…床に座り込み]
…私…探さなきゃ…罪の無い人を。
それで…その人を…守らないと…。
[少女は腕の中で、コーネリアスの放った衝撃波が槍をいとも簡単に粉砕した事に目を見開いた]
コーネリアス…は、強いんだね。
…コーネリアスは、これからどこへ行くの?
『何言ってるのー?』
[くるりと振り向いて、彼女は首をかしげる]
『そもそもここに、安全な場所なんてあるのかな? アタシはないと思うよ!
だけど、誰もいない場所はあるかもしれないから、さっさとここを出て、誰もいない場所を探そうよー!』
…………はは。
[その言葉に、笑いそうになるのをなんとかこらえて]
じゃあ、行こうか。
[周囲に雪を降らせながら、ワープゾーンに向けて改めて一歩を踏み出した――**]
うーん。そうだよね。
[少年が苦笑いする間にも、男はこちらへ近づいてくる。
攻撃される可能性など、全く考えてもいないように]
じゃあ、やーめた。
だって壊し方わかんないもん。
[ピンクのハートが紅に染まると同時、今度は少年ではなく男の足元から、明るい色彩の棒が伸びる。
それはくねくねと直角に曲がり、或いは四方八方に分岐しながら、無数の立方体の辺を作り出していく。
古い時代について書かれたデータベースには、それと良く似た遊具の名が記されているだろう。
――ジャングルジム、と]
じゃあね、おじさん!
[無限増殖するジャングルジムの檻を、抜けるのか破壊するのかは知らないが。
ともかく少しは時間稼ぎになる事を期待しながら、少年はその場を駆けだした]
めいわくは しらない
[床に座り込んだ少女を、やはり美味しそうだと思う。
摂食を行ったばかりで、餓えを示すパラメータは閾値には至っていないが、攻撃行動を行う度にエネルギーは消費される]
アイラは ひとさがし
まもる? アイラはまもりたい…
[少女の話す行動目的を記録して。
だが自分の身すら守る術を「知らない」なら、このAIがあと数時間もしないうちに辿りつくだろう結末は容易くシミュレートできた]
まず じぶんをまもる では?
どこへいこう
[掴まれた腕を振り払いもしないまま、虚の瞳を彷徨わせる。
宙空から1階の様子を観察しているavaritiaからの返答は簡潔だった]
危険領域 ...ワープゾーン周辺
回避 推奨行動:待機
[次点としてavaritiaが示すのは雨の降りしきる外への移動。
数秒、考えるフリをして]
…とくに ない
[ソレの意志が行動欲求を示さないために、選択できなかった]
アイラは どこへいきたいの?
[妖精を模したAIが舞い飛んで来る。『止まれECLATANT!』叫ぶ声も、遅れて。
自動駆動-Automatic-モードのMARIAがそれに意識を向けるが、足元のアバターの存在に動きが僅か追いつかない隙に、男が手動操作-Manual-で止めた。
ECLATANTと呼ばれたAIは主人らしき女アバターを振り返り、声を上げる。それを受けてか、女アバターは再びワープゾーンに向かってくる。
はらはらと雪が散る。周囲の空気はまた冷えた気がした。]
――嫌ですね、人を危険人物みたいに。
[彼女とすれ違うなら、にっこりと満面の笑みを見せた。**]
バッカ野郎手前ェ。
分かんねぇからって諦めるやつがあるかっつぅンだ。
壊してェと思ったんならブチ壊れるまでブッ壊してやんのが筋ってもんだ!
(ザッ!ザザザ!)
…あァ?
[ひときわ大きく笑ったのもつかの間、その周囲に骨組みだけの立方体が無数に現れる。古い時代などに興味のなかった男は、ただその規則正しく構成された構造物の形状を、ひと目でいたく気に入った。
しばしの間、ひたすらに構造物をノイズと化する作業が続いた]
……(ヂッ)逃げたか。
(ザザッ)まぁ、いーか。
どうせそのうち会うだろ。
[ジャングルジムと呼ばれるものだったソレの残骸であるノイズを辺りに漂わせながら、男は呟いた。また、あてずっぽうにぶらぶらと歩き出した]
― 2F/小さな広場 ―
[ 解析。それは気になるものをかけるのだろう。
その定義で言えば、気になるものは三人居た。
最初エントリーされていなかった以外にも、何故か気にかかる「ira」
(「the noise」も同じように気にかかるけれども。)
一度脱落し、再度現れた「Cornelius」
そして、「gameはもう開始した後」と言っていた「Chlonoise」
あの時は、争いが収まった後に再び争いが起こるのが嫌で、ワープゾーンに飛び込んで離脱したのだった。]
……。
[ 選択。
今までは、LOGICへの補佐、そして提示だけだった。
選択するのは、自分の道を決めるのは人間だった。]
筋って言われてもー……
[少年は、得体の知れない男を警戒していた。
先程から、自分のmemoryと照らし合わせて違和感を覚えていたのだが――]
簡単に壊れない相手は初めてなんだもん。
[かつて少年が行った事は、攻撃性を持たないキャラクターの虐殺であり、バトルという意味での経験はシミュレーション以外ではなかった。
その事実に気付いて、体勢を立て直す事を選んだのだ]
……逃げ切った、かな?
[背後を振り向く。
酔っ払いのような男の姿は、視認出来る範囲にはなかった]
[「じぶんをまもる」…それは、つまり、コーネリアスの様に戦うと言う事だ。
そんな事が自分にできるのだろうか?
そもそも、何かか戦う為の武器等、持っているのだろうか?
自分自身のプログラムを確認する。
・Sub Program 1:interstellar medium
・Sub Program 2:oolt cloud
・Sub Program 3:supernova explosion]
…?
[試しに「supernova explosion」と定義されたプログラムをキックしてみる
―error:code 00:no permission]
[返って来たエラーに少女は嘆息した。やはり、自分は役立たずだ。戦う為のプログラム等、自分は持っては居ない。
だが、それでも…。もしも自分に、何か生まれた意味があるとするならば…それを捜しに行こう。
少なくとも自分には、このAIが…コーネリアスが与えてくれた「アイラ」と言う名前がある。
ならば…「アイラ」は、この場で泣いて終わりを待つだけの存在で有りたくは無い]
私が行きたい所…
…私は…何も出来なくて…直ぐに壊されるかもしれないけれど。
それでも…私は…自分の出来る事を捜しに行きたい。
だから、私は…アイラは出かけて来ます。
[そう言って笑顔を浮かべた。そして強く握りしめていたコーネリアスの腕をゆっくりと離した]
コーネリアス…名前、有難う。私、とっても嬉しかった。
コーネリアス…死なないでね。コーネリアスが死んだら、私とっても悲しい…
[少女は泣き腫らした顔に満面の笑みを浮かべ、もう一度だけ、コーネリアスにぎゅっと抱きついた。
そして、ゲートの方へと向かい歩き始めた。目覚めて初めて…このスクラップの山から足を踏み出す事を意識しながら…**]
……もう、大分壊れちゃったなー。
[改めて周囲を見回すと、随分と騒ぎも沈静化しているようだった。
残っているのは、最初の混乱を生き延びたか、そもそも関わらずに居たもののみだろう。
つまり、先程のノイズのような、一筋縄でいかない相手ばかりという事だ]
じゃあ、楽しいのはこれから、かな?
[死への恐怖は、未だリアルに感じられる事はなく。
少年は楽しげな表情のまま歩き始めた**]
― 2F/小さな広場 ―
セラフ。
拘束のペナルティ解除はまだね。
……私、行きたい所があるの。
[ 光点。
Irvineの矩形ホログラムに宿っていた黄金の光が、4Fの光点にも宿っている。]
『ペナルティ解除までの時間までここに居るんじゃないのかい。』
そう考えていたけど、行きたい。
[ pierrotが訝しげな表情を向ける。]
[腕を離されて少女を見下ろす。
攻撃態勢に入る様子はやはりなく。聞いた言葉を解析する]
アイラに できること?
…かなしいは しらない
[直ぐに壊されるかもしれないという言に、勿体ないと思う。その表出感情に「悲しい」と暫定のラベリングをしながら、アイラの満面の笑みを記録する。
食べたい という要求を行動に移さないまま]
アイラも しなないといい
[歩き去るAIに、憤怒を表すiraという名は相応しくなかったが。ソレの空虚な思考はそこまでには及ばない]
[襲って来るオブジェクトは絶えていた。プログラムの使用者がこの場を去ったらしい。
移動をするならavaritiaの示す通り外へ行くべきかと、崩れたスクラップの一部を口に放り込みながらソレは思案にふけるフリを始めた**]
『話の詳細は後でだな。だが必要な事を一つだけ言おう。
アンタがある状況を選んだ時、俺達はプログラムとして本来の形態をとる。その時になれば、アンタにもどうしたら良いのか分かるだろうよ。
或いは俺達が一つの状況に陥った時だが、そっちは願い下げたいもんだ。』
[ pierrotは、よっこらせと立ち上がった。]
『アンタがその選択を出来る事を願いたいね。』
[ 口悪く一言。]
分かったわ。
[ 続いてseraphが長身を起こす。]
― 2Fワープゾーンへ ―
……何。
[ 複数あるワープゾーンの一つへ足を踏み入れようとして、異変に気付く。白い光で満たされていたそれは、灰色のノイズが一部走っている。]
誰かが壊したみたいね。
時間が惜しいわ。階段を使いましょう。
[ 共通システムを使用しているなら他のワープゾーンも使えない。
そして使える場合であっても、2Fの迷路を歩き、他のワープゾーンまで行くのは大変だと判断し、階段を使う事にした。
ワープゾーンから然程離れていない場所に、塔の外周に添うような緩やかなカーブを描く幅広い階段がある。分厚い金網で作られた段は、硬質で甲高い音を響かせる。
スロープがあってもおかしくない、なだらかな勾配。
幅の広さから、場合によっては階段を舞台にし、殺し合いを考える参加者がいるかもしれない。]
― *4Fへ足を踏み入れる* ―
―― 4F/ワープゾーン近く ――
……この場所のどこに、危険ではない人物がいるというんだ?
[女中を連れてたたずむ男の言葉に、半ば独り言のような言葉を返す。
男は満面の笑みを浮かべるが、そんなもので私が警戒を解くと思ったら大間違いだ]
笑おうがピーピー泣こうが命乞いしようが知ったことか。
私は生きる。そのために立ちはだかる者達は全て――倒すんだ。
[立ちはだかるなら容赦しないと暗に示しながら、ワープゾーンに足を踏み入れた。
そして異変に気付いた。
階層が表示されるはずのフレームが、灰色のノイズで埋めつくされている。]
まさか……!
[離れてみれば異常がないように見えるワープゾーン。
だが]
まさかとは思うが、どのフロアにワープするか分からないんじゃ……
いったいどうなってるんだ?
[とは言うものの、身をもって確かめるのはためらわれて。
私はただ黙って、次の手を考えていた――**]
― 4F/階段を上がりきった場所 ―
[ そこは疎らな雪が降っていた。けれど、ある参加者は凍り付いて氷像化し、果てに脱落。澄み切った音を響かせ、氷像が壊れ、暗い影のグラフィクスに変化し− target lose −
命が途絶える瞬間にしては呆気ない光景。
無事なのは、ワープゾーン近くに居るLittle Dancer、Chlonoise、そして「Holy Alter」を展開しているIrvine……Black Dahliaを含め、開始当初初期の狂乱に巻き込まれずにいる強者のプレイヤー達だった。]
……。
[ Clock-eye−時計盤を細める。凍り付きそうな冷気が漂っているものと思われたが、徐々に雪は消えている。「雪」が強く存在しているのは、Little Dancerの周囲。]
( これをLittle Dancerが行なったというの?)
[ Little Dancerは今、階段から離れたワープゾーン付近でChlonoiseと対峙をしている。
Irvineは今、複数のプレイヤーと戦闘を行なっていた。「場」とアタックプログラム、その双方を駆使し戦闘を行なっているように見えた。]
あれは……処刑具?
[ 厳かな雰囲気を湛える場が、Irvineを中心とした半径10mに展開されている。
その中で、あるプレイヤーが両腕を拘束されギロチンに掛けられており、その首が刎ねられる瞬間を目撃する。
また、>>0:21別のプレイヤーは、巨大なメスやレーザー光線を発射する器具の攻撃を避け、もしくは攻撃を弾きながら、Irvineへ刀を振るっている。]
― 1階 出入り口 ―
[アーチ型に切り取られた、開け放たれたままの扉をくぐる。
最初の狂乱から逃れようと外へ出たプレイヤーが数名、いたはずだった。
温い雨の中へそのまま踏み出そうとして、ふと自身の濡れた髪に触れる]
あめはいたい
[模倣のプログラムであるinvidiaが付加機能を展開させた。
ソレの灰色の髪の上に、石突きに歪なハートの飾りのついた黄色い雨傘が出現する。微弱な攻撃性プログラムが傘を叩き、世界の音が変わる]
…だいじょうぶ
[素足をグリッドの入った黒い床に進める。
びしゃびしゃと水を跳ねながら、ソレはまず塔の周りを一周しようと扉から離れた]
[ 刀を扱うAI−今、脇差を更に抜き、9つのドームを支える柱の間を、柱を蹴りながら軽々と移動し続け、Irvineを煙に巻こうとしている。
対して、Irvineの指示は的確だったが、AIの反応速度に追いついていない。
鋼鉄製の箱、同じくリッサの鉄柩、圧死を齎す超重量の車輪、赤く熱された棘が構築された檻、触れれば鋸で引いたように醜い傷跡を残す鞭。
「Holy Alter」が展開し追い縋るそれら全てを、刀を扱うAIは回避し、Irvineに接近する。]
……!
[ Irvineの肩口が切り裂かれ、微細なクラスタが辺りに散らばった。血液を飛び散らすようなエフェクトは実装していないのだろう。]
[ 刀を扱うAIは、跳躍・後退。鋸状の鞭を、脇差が掃い、半径10mより下がった。
Irvineは、そのAI−Mushaというエントリーネーム、濃紺色の姿をした−を歪んだ笑みを向けながら睨みつける。
その笑顔は、愉しいのか憎しみを浮かべているのか、分からない。愛憎合い半ばなのかもしれなかった。]
( 彼に、黄金の光は宿っている。)
[ 本来の視界に重ねあわされるように、煌くクラスタ−▲を三等分したようなものが見えている。
その事には、やはり皆気付いていないように思える。]
……。
[ Irvineが笑いながら、別のプログラムを起動する。Mushaが、駆けるその傍らで、先程>>97首を刎ねられたプレイヤーがBack upを利用し、復活を果たす。
収束する光、鮮烈な赤、禍々しい色はアタックプログラムを復帰と同時に仕掛ける事の予兆だった。
凝縮した輝き、赤の魔法陣が先に空間に現れ、続いて人型が構築されてゆく。時計回りに回る魔法陣の周囲に描かれた●から、Irvineの場を破壊しようとする凶悪な凶ツ星が吐き出された。
その数、8つ。]
[ 8つの赤い凶ツ星、破壊を齎す赤い彗星に薙ぎ払われる「Holy Alter」の処刑具。Mushaは、灼熱地獄と化した「Holy Alter」の中を一線に駆ける。
「Black Dahlia」の攻撃、レーザー器具による照射を回避し、レーザー器具の一つを下から上へ断ち割り、Irvineの胴を薙ぐ。
Irvineの傍らを駆け抜けた直後、もう一つの刀で心臓を破壊。Irvineの消失。しかし、光点は消えていない。
復活のポイントを探すように、復帰したプレイヤー−Merlinが辺りを見回す。Mushaとの連携を見る限り、協力体制を一時とっているようにも思えた。]
[ Musha、Merlinの状態が変化したのはその直後だった。
先程、Irvineを破壊したMushaの切っ先がMerlinへ向けられる。]
「チッ、私の次はお前の番か!」
[ Merlinが、憎々しげに叫びながら次は青の陣を展開する。]
「さっさと正気に戻れ!」
[ 知る由はなかったが、仲間割れと見えるそれは「Forgotten」、MushaがIrvineを破壊する前に起動させたプログラムの効果だった。
機動力、そして攻撃力に優れたプレイヤーが混乱に陥れば、これ程怖い事はない。]
[ Musha、Merlinの混乱を横目に、Irvineが、破壊された場所から離れた場所で復帰を行なう。その姿は、影が蠢くように黒い。
やがてIrvineが、黒玄の人型から元通りのカラーへと戻る。しかし、「Holy Alter」は破壊された様子だった。
残るプログラム、対象の解体を目的としたアタックプログラム「Black Dahlia」、そして「Forgotten」を即座に起動出来る待機状態に移し、Irvineは周囲を眺めた。]
「新たに目晦ましのプログラムでも組むか?」
[ Irvineは小さく呟き、アタックプログラムを戦い合う二者へ向けて差し伸ばした。*]
― 1F ―
[少年は1Fを彷徨っていた。
階層を移動するならば、ワープゾーンなり階段なりを見付けねばならない。
今まで使用していたワープゾーンは、先程the noiseと交戦した場所にあったため、彼から逃走した今は必然的に離れてしまっている。
尤も、彼が戦闘直前にやっていた事を考えれば、もはやそのワープゾーンは機能していない可能性すらあった]
この階のおもちゃも楽しいけど、そろそろ他の階でも遊びたいなあ……。
[少年AIの思考は、より有利な状況で戦う事よりも、この遊びに"飽き"を感じない事を優先した。
しかし、絶えず歩き回っていた足も、止まる時が来る]
……なんだ、あの子。
[視界に入ったのは、青色の短い髪の少女>>88だった。
少年の足を止めさせたのは、彼女の外見が自分と同じくらいに幼いから――ではない]
目が赤くて……まぶたが、腫れてる。
……何かの、感情表現、かな?
["泣く"という行為は知っていても、現実世界の人間が泣いた時に身体に残る影響を、少年は知らなかった。
随分と高度な感情表現をするアバターの後を、少年は追った]
―4F なごり雪の降る転移点―
ここにいる、と言ったら信じてくれるので?
[小首を傾げてわざとらしく問うが、MARIAに頭部を踏みつけられたままのアバターが叫ぶ。『誰が信じるものか!』]
生にしがみつくのは良いことです。実に素晴らしい。
誰だって死にたくはありませんからね。――私も、生きましょうとも。
[こちらも同じスタンスである、と言外に告げる。見た目だけなら人好きのするだろう笑みを浮かべたまま、ワープゾーンを使おうとする女を見送ろうと。]
[しかしワープゾーンは作動しない。先ほどとは明らかに挙動を変えたワープゾーンに警戒し、女アバターは身を引いた。]
――ワープゾーンに手を出した者がいるようですね。
面白い。
[何処にワープするかわからない、という予想に興味を惹かれ。戯れに身体を触れさせてみれば、なるほどたしかにノイズを吐くようだ。]
あちらも騒がしくなってきたようです。
下手事に巻き込まれる前に、退散させてもらいましょうか。
[あちら、とIrvineらの戦闘を見やる。舞うように標的を狙う処刑具の数々に(良い趣味だ。)と笑みながら、彼らの"潰し合い"にGood luck.と心のなかでエールを送った。]
それ、眠らせておきなさい。
[MARIAの足元でなおも生かされていた参加者を指す。その指を上へ向けると、女中はアバターの体躯を思い切り蹴り上げた。白いモスリンの内スカートまでも翻り、ドロワーズが晒される。
高い天井にはアバターはぶつからない。空に打ち上げられた身体はそのまま床面に落下し、意識を失ったのか動かなくなった。
敗退者表示は、出ない。]
[男は眼鏡を直すと、MARIAを従え、ちかりと光る瞬きと共にノイズまみれのワープゾーンに飛び込んでいった。**]
― 外 ―
[avaritiaが警戒信号を発して、 Babylonの出入り口のちょうど真裏あたりで歩みを止める。
程近い位置に対峙する、四本腕を具えた巨躯のアバターと、小さな鳥型AI]
…
[塔の外壁に片手を添えた状態で、ソレは首を傾げた。
1階を出た時には、外にあった光点は5つ、だったはず]
「bluebird…消えろ」
[雨に減衰する声は四本腕のもの。身の丈を超えるガトリング砲型のアタックプログラムを青い鳥へと構えた。
雨を防ぐために使っていたリソースを攻撃に回したのだろう、四本腕の背が急速に濡れていく様子をavaritiaが観察する]
攻撃態勢 危険 防衛準備
[銃口は鳥に向いていたが、avaritiaの指示通りソレは防御姿勢をとる。Corneliusという人を模したカタチを溶かし、打撃や銃撃といった物理的破壊に強い無形の『塊』へ]
「――無駄ナ行為」
[鳥が囀った]
[轟音。銃口から8000rpmの速度で吐き出される銃弾の帯がblue birdへ一直線に襲いかかり――対象を粉砕することなく全てが軌道を逸れ、上空へと飛び去った]
「くっ!?」
[四本腕の驚愕の声。
さらに銃撃が勢いを増し、降りしきる雨が弾に撃たれてもうもうとした煙に変じた。連続した爆音が続いたのは、10second程]
「――愚カ。落チロ」
[鳥の囀りを聞くや否や、四本腕が宙に飛び上がった――ように見えた。
黄色の雨傘の下で、avaritiaが座標変化と加速度を計測する。
巨躯のアバターは、自らの意志ではなく、鳥の攻撃によって位置を変えさせられていた。世界に設定されたGのパラメータが反転し、体重を支える地面を失った四本腕の体は「重力」に従って――
長く尾を引く叫び声を残し、涯てのない空へと『落下して』いった]
―― 4F ――
…………。
[無言。
男に言いたいことは女中に踏みつけられている奴が寸分違わず言ってしまった。
ふと横を見るとECLATANTが残念なのかがっかりしているのか定かでない、複雑な表情をしている]
……気にするな。よくあることだ。
言いたいことを他の奴に言われるのは。
[とりあえず慰めるようなことを言っておいた]
外か……。
[視線を向けるのは、Babylon出入り口からほぼ反対側の壁、やや上方。
外のグリッドは平面的に広がっていたはずだから、爆音の主は壁にでも張り付いている事になる]
ううん……そういえば、塔の壁には階段みたいなのがついていたから、そっちかな。
[塔の外観をmemoryから引っ張り出して、現状と照らし合わせる。
そして、青髪少女の方にちらと視線を向けた後、壁に歩み寄った。
掌を付け、sandplay technique―― 一定空間内のobjectを浸食し、支配下に置くプログラムを起動する]
さすがに……固いや。
[内部はともかく、舞台外壁の破壊はそう易々とはさせてもらえないらしい。
そうしている内に外の戦いは決着したか、長い叫び声が聞こえてきた――何故かそれは、空に向かって加速しながら移動していたようだったが]
−2F−
−hall−
あーあァー、ったくなんとも実に呆気のねェことで。
オレッチ様ァなんともがっかりしてんだがそこンとこどーだ?あ?なンか言いてぇことは?
[アバターを構成する情報そのものをプロテクトに包み、あらゆる攻性Programをはじきながら、確実なCounterを入れる。それが彼のスタイルだった。
2Fのhall最後の生き残り(noiseを除く)である、彼の。
そしてたった今、男の手によって体をノイズにされ、それでもなお、自らを保護するプロテクトによって首だけになってさえ脱落を許されない、彼の。]
やっぱなァ。お前ェらダメだわ。ぜんぜんまったくなっちゃァいねェ。
ったくよォ…いっくらクソ雑魚のド三流ッつっても十把一絡げの一山いくらでブッ壊したらちったァ面白ェかと思って期待したんだけどなァ…
[実に不満げな様子の男は、その手に持ち上げた、彼の頭部にたらたらと不満を垂れる。
その彼の頭部もちりちりと首からノイズの侵食が這い上がってきている。そう時間を置かず、消滅することだろう。男は興味を失い、手にした頭部を投げ捨てた]
さて。次いくか。
[呟き、歩を進める。探しているのは階段だ。ワープゾーンを使って一階まで降り、ワープゾーンを壊した上で上階へと向かう。その道々で参加者を丹念に潰していけば、そのうちお目当ての参加者とも出くわすのではないだろうか]
あンのガキ犬か、時計屋ンとこのメス犬か…ああ、ゴミ山の犬っころとか…あのイイ女でも悪かねぇなぁ…
[指折り数えながら歩を進める。その顔は、期待にニヤニヤと笑っていた]
あのクソッタレもさっさとブッ壊して…
…あァ?
[外から響く戦闘音に顔を上げる。手近な窓を見つけて、覗き込んだ]
……はァん。なるほど。そりゃ見逃してたわー。
[塔の外に出ることは盲点だった。どうしたものかと思案する。予定通りこのまま上階を目指すか、1Fに戻って外も含め、回りなおすか――――]
[男と女中に私達を攻撃する気はないと判断した私は、彼らが(無謀にも?)ワープゾーンを使ってどこかに去るのを黙って見送った。
去り際に瞬いたのは男の持つプログラムなのか――知る術はない。
残されたのは私達と、女中に足蹴にされて動かなくなった、男]
『おーおー、アーヴァインとかいう奴、派手にやりあってるねぇ!』
[ECLATANTの声に視線をそちらの方にやるが、すぐにそらした]
[引力を操るAI-bluebirdがソレの方へひらりと翼を広げた]
「gulaダナ?ゴキゲンヨウ。イイ天気ダ]
[鳥の囀りに敵性反応アリ、とavaritiaが判断する。
新たな防御行動として、塊は『腕』を伸ばし、塔の外壁と自身の一部を同化させて固定した。音声を発生させる]
――てんきは あめだよ
[聞こえてなどいないかのように、鳥は嘴で羽根を繕う仕草をしながら囀りを紡ぐ]
「見タゾ。オ前ハgame開始前ニ、戦闘ヲ行ッタダロウ。
ぺなるてぃガナイノハ、不公平ダト思ワナイカ?」
ふこうへいは しらない
[ソレの反応に、鳥は器用に鼻を鳴らす]
「畜生ダナ。著シク低イ知能ト状況判断力。ロクナ攻撃ぷろぐらむモ防御ぷろぐらむモナイ。脱落スルノハ時間ノ問題ダ」
… たたかう?
「くく く?一昨日オイデ。ぺなるてぃヲヤロウ。受ケ取レ」
[鳥が軽やかに囀ると同時。
ソレの上で雨を遮っていた雨傘が空へと『落ちて』行く]
―― !
[警告音]
[浮遊していた小さな球体が重力変化に呑み込まれ、上空へ舞い上がった]
avaritia!
[『腕』を伸ばす。有機的に雨を照り返す触手が落下する補助AIを追い――8m上空で捉えた]
ぎ 。
[補助AIを救出した瞬間、『塊』の全身に強い上向きの力がかかる。
グリッドの入った床を離れて落ちようとする力に、塔を掴む腕が抗しきれずにずるずると伸びた]
「伸ビタ伸ビタ。一緒ニ落チルカナ?落チルカイ?」
[楽し気に囀りながら、小鳥ははたりと羽ばたく]
――
[腕の中のavaritiaが新しい警告を発する。
上空から、今度は床へ――ソレに向けて斜めに落ちてくるモノ。四本腕のプレイヤーが持っていた、ガトリング砲だった]
危険 破壊 不能
緊急回避行動
[己が身を叩き潰そうとする銃身に熱衝撃波をぶつけて勢いを殺し、ソレは塔の外壁と一体化していた『腕』を切り離す。
重力に従い、落ち始めた。真上に]
―― !
[斜めに掠った金属の塊に体の半分程を吹き飛ばされながら、ソレは涯てのない天へ落ちていく。
ガトリング砲はBabylonの外壁と床の継ぎ目に衝突して大破する。
銃の持ち主が落ちてくることはなかった――脱落表示ははるか空の向こう――]
― 4F ―
[ Irvine、Musha、Merlinの三者の混戦は、MerlinをIrvineと錯覚したMushaの攻撃で、はっきりとした優劣が付いていた。
Merlinのクラスタが、巨大な手術台めいた台の上で文字通り「解体」されるに至り、更にMushaの首が巨大なメスで薙がれ、9つのドームの柱の間に体がバラバラに吊り下げられ、Irvineの勝利が確定した。]
− target lose −
− target lose −
[ はっきりとした明瞭な殺意、否、愉悦のようなものを湛え、こちらを向くIrvine。塔の縁に居る。彼の背景は、雨。]
Little Dancer、あなた彼と敵対しているのなら。
私に力を貸してくれないかしら。
この雪で攻撃を仕掛けて欲しいの。
[ 離れたLittle Danceに囁いた時だった。
目の前がいきなり青く染まる。青い青い部屋。周囲の様子は見えるけれど、出られない。]
!?
これ、……。
[ 狼狽の表情を浮かべる。
更に警告メッセージが目の前に流れてゆく。]
いずれかのプログラムを削除しなければ、バックアップを一つ消去する……?
[ 青い部屋の外では、pierrotが何事か言っているのが分かるが一つも声が聞こえない。seraphは拘束が行なわれている故に、無力だ。]
( 彼らを消す事は出来ないわ。
残るは、この睡蓮のプログラムだけれど。
私は……選べない。いいえ、)
選ばない事を選ぶ。
[ 呟いた瞬間、硝子が砕け散るような綺麗な音が、自身の内部で響いた。
LOGICが初期に設定していた、back upが消去される音。蒼が砕けるようなその音を聞きながら――]
[ Little Dancerだろうか、それとも別の事情だろうか。
兎も角も、Irvineが意識を逸らしているその中、Irvineへタックルを行なった。
否、タックルというよりは縺れ合いながら落ちる。
あまりにも無謀。自らの補佐AI−seraphのペナルティが解除されていないとはいえ、あまりにも無謀だった。]
『ロッテ――――!!!!』
[ pierrotの叫びを後方に聞きながら、Irvineと共に「塔」から落ちる―――。
そこには偶然に「塊」が迫り、既にMushaとMerlinとの戦闘でBack upが0になっていた「Irvine」が呑まれるのに丁度良い態勢で交差する。
Irvineと縺れ合った腕が解け、自らは「塔」をそのまま落ちて遥か下のグリッドへと落ちてゆく。]
あらゆる処刑具が武器とは悪趣味な……付き合いきれないな。
『そんなこと言ってる場合じゃないよっ! アーヴァインが敵対してた二人を倒したよ! こっちに来るかもよ!』
それがどうした。
ならば逃げるまで――
[その時、離れたところから私を呼ぶ声が(>>119)。
声色から誰かは分かった。振り向かずに応対する]
何を言ってるんだ?
奴と敵対などする気は……
[だから、彼女が青い部屋に呑まれたことにも気付かぬままだった]
『そんな悠長なことを言ってる場合じゃないって! アタシ知ってるんだよ!』
[だが、私の思いとは裏腹にECLATANTが前に出てきた。
羽の輝きに合わせて、彼女の手近に舞っていた雪が――空中を舞う炎に変化する。
そして、彼女が何かを言いながら放つ炎の弾はアーヴァインを狙い撃つ]
『この塔には、この殺し合いには――の』
[ 落ちてゆく中、視界に映る青白い文字は―――]
− Analyze Target ...ira...−
[ 既にsetされていたtarget、その解析が、*始まる。*]
[その言葉の先を聞くことはできなかった。
それは炎の放たれる音のせいか。
アーヴァインにタックルを仕掛ける女性の補佐AIの叫びのせいか。
それとも――]
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