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〈Redfeathersの子供達〉……
LOGICは、enfant terribleとも呼んでいたわ。
彼はあなた達を見た事があった。
[ だから、知っていた。]
−1F−
−Timetable after >>185−
[背後から聞こえてきた物音に、つと足を止め、見るともなしに振り返る。
少女が、泣いていた]
(ザザッ)
なるほどなァ。
そーなったか。
(ザザザッ)
[手指を突っ込んで得られた情報。残してきたノイズ。どう作用するかはさほど気にもしていなかったが、少なくとも面白くなりそうな結果には繋がったようだ。男の笑みが喜悦によって深くなる]
オレッチ様ァ正真正銘骨の髄から犯罪者様だからよゥ。
ゲームが始まったら壊しに来い。そしたらお前ェ、オレッチ様がブッ壊してやっから(ザッ!ザザザッ!ザザザザッ!!)
[涙を流す少女の姿をなしたAIが聞いているかもお構いなしに、独り言めいた言葉をかける。ひときわ大きなノイズ音は、高らかな笑い声だった。
そうして男は、その場を立ち去った]
−3F or 4F−
−Timetable now−
おゥ手前ェ。おい。
ここにゲロカスのクソみてぇなクソAIが来ただろう?
なぁ、オイ、来てねェわけがねェンだ。
そいつがどこに行ったか、ちぃっとだけオレッチ様に教えちゃぁくんねェか? な?
[ワープゾーンから出るなり、手近にいた人間(もしくはAI)を捕まえ、襟首を掴み寄せて聞く。張り上げるでもなく、かといって抑えるでもない詰問の声は、雨音の響く回想に響き渡っただろう]
オレッチ様だってべっつに手前ェなんざブッ壊したとこでこれっぽっちも楽しかねェンだからよゥ。
な?
お前ェもな。さっさと話しちまえ。オラ。
なァ?
なんつうんだ? お互い様ってやつ?だろ?な?
[体裁こそ詰問だが、男の体は既にそこかしこにノイズを走らせている。困惑した様子の相手が返答に言葉を選ぶ間さえ待たずに、ノイズを纏った右の掌がゆっくりと近づけられ――]
(バヂィッ!)
[電撃に阻まれたように、止まった。男のProgramがゲーム開始までに暴発しないよう、特別に組まれた強固な時限式プロテクトだ]
(ヂッ!!ヂヂッヂヂヂ…)
あーあそーだった。そーだったよなァ…。
(ザッ―――)
[その顔が苛立ちに歪み、腹立たしげなノイズ音が響いたのもつかの間。それらはすぐに、嘲るようなニヤニヤとした笑いに置き換わる]
(ザッザザッ)
いやぁ、悪ィ悪ィ。ついド三品相手にオトナ気ねェことしちまったなァ。
ンで、どーだ。なんか思い出したか。あ?
[幾分柔らかくなった態度で問い直すも、収穫はなし]
ンで、そっちァどーだ?心当たりは?
[男が4Fに横たわる一塊のAIに気づくのは、もう少し先のことになりそうだった]
−2F−
−Timetable >>190 − >>191−
(ヂッ…ヂヂッ…ザッ―――――)
[鼻歌代わりにノイズ音を漏らしながら、図書室となった一角で本のページを繰る。1Fに少女を残し、向かった先で見つけたのが、この部屋だった]
あァ。クソ。暇だ。退屈だ。クソ。
[呟き、愚痴りながら、本のページを繰る。その目は文字を追ってはいない。
男がめくっていったページは全て、その文面が意味を持たない点と線に置き換わっていた。
文章データのノイズ化。男にとって見れば、梱包材の気泡を一つ一つ潰すようなものだ。それなりに暇は潰せるが、特別楽しいものでもない]
……あァん?
[その目が、つと、窓の外に向けられた。―――その窓の外を、上階へと向かい、『塊』が通り過ぎていく]
オイ。おいおいおいおいおいおい。
なんだァ、こりゃァ。おい。何の冗談だ。クソッ。
なんであのクソが紛れ込んでやがンだ、あァ?
[苛立ちをそのまま言葉にしたところで、答えるものはいない。
データを食い荒らし、食い尽くす、破壊のプログラム。男の苛立ちは憎悪であり、同属嫌悪だった]
……ブチ壊す。
[その目的を果たすため、男は上階へと向かった]
― 少し前・外 ―
[攻撃プログラムの雨に打たれながら、生まれたばかりのようなAI>>160を塔の中へ促そうとする。
しかしコーネリアスは、こちらの言葉を聞いているのかいないのか。
その場を動かずに、雨を舐め取ったりしている]
もう。本当に知らないからね!
[別にこのAIを助ける義務がある訳でもない。
くるりと踵を返して、塔に向かいずんずんと歩いていく。
小さな呟き>>161は、雨に掻き消され届かなかった]
enfant terrible……
そんな呼ばれ方があったとは、知らなかった。
というか、……そんなに恐ろしくは、なかったぞ?
まあ……あの三人が束になってかかってきた時は確かに怖かったが……いや、こっちの話だ。
『それって果たし状の件? 束になってかかられて、負けたの?』
まあそんなところだ。
[確かに彼らは多くの子供達からは恐れられていた。
私だって、好きかと訊かれたら「嫌いではない」と答えることしかできないだろう。
だけど。彼らと過ごした日々は私にとって悪くはなかった。
その悪くはなかった日々を、もう一度やり直すことなどできないなら、
私にできるのはせめて、彼らの背を変わることなく追い続けること]
ああ、私は自分の道を自分で決めているよ。
だが……自分の道を自分で決められるからといって、人間はAIと違って「プログラムされていない」と完全に言い切れるものだろうか?
― 1F/エントランス ―
[塔の内部へ戻り、雨の脅威に晒されなくなった所で、defence mechanismsを解き黄色い傘を消した。
リソースは再び、全てのプログラムの核であるピンクのハートに集中し、攻撃にも防御にも自在に回せるようになった]
[背後では塔の壁を伝い、先程雨の中に残して来たAI>>167が這い上って行く所であったが、少年AIがそれに気付くことはなかった**]
― 3F/正方形の広場近く ―
[ そう呼んでいた事の詳細な話は止しておいた。代わりに、]
それはどういう意味かしら、Little。
プログラムされていないのが人間ではないの?
[ おっとりと問いかける。]
― 4階 ―
[立ち上がりはしたものの次の行動指針を選択できずに、ぼんやりと辺りを見回していた。
本体の備える眼よりも、avaritiaのもたらす情報の方がソレにとっては理解しやすく、把握に富む。故に虚ろの瞳は定まらず無為に彷徨した]
いく
[ワープゾーンを介しての人の出入りとホログラフ上の光点の移動を何度か認識して、avaritiaがそちらを示す]
おりる たべる
[ぺとぺとと濡れた音を立てて、素足を進ませる。
ワープゾーンの方へ。
進路上を遮るものがいたならば、単純な回避行動を取るという判断を下せないままその足は訥々と*止まってしまう*]
上手く説明できる自身はないが、こういうことだ。
何か「大いなるもの」によって、私達の生命はプログラムされているのではないか。
自分の道を自分で選んでいると人は思い込んでいるが、それぞれの人の辿る道筋は既に決められていて、私達は決められたとおりの道を歩かされているのではないか。
……とまあ、そういうことを考えてしまうのが人間というものだと、私は言いたかったんだ。
[そしてこのプログラム説は、世界にもまた当てはまる。
Babylon。プログラムされた世界(Programmed World)。電脳空間の一区画。
このちっぽけな世界の外側にある現実世界もまた、「大いなる何か」によってプログラムされた世界なのではないか]
―4F―
[灰髪のAIはゆらりと立ち上がり、何事かを解析するような視線の動きを見せた後ワープゾーンに歩を進める。
付近にいたためつい身を引き、道を開けた。]
[彼が誰にも止められないなら、ワープゾーンのスパークに消え行くのを見送り。誰かに止められるなら、そちらにつと視線だけを送り。
どちらにせよ男はそっと目を伏せ、1Fでそうしていたようにそこに佇んでいる**]
「大いなるもの」
[ 目を閉じ暫しした後、薄く限りなく白い色の文字盤が現れた。]
それは神の存在かしら。
万物を作り、目に見えない運命を遍く全てに与える。
[ そっと立ち上がり、目映いそら(上)を見上げる。]
それとも、宇宙?
煌く輝き。電脳世界の珠玉のClosed Spaceを遠くから眺めるように、星雲と銀河が群れを成す―――。
[ ゆるりと持ち上げた指に、蝶々や蜻蛉など、何かが止まれば絵画のように様になった事だろう。]
大いなるものが宇宙なら、
巨大な演算機器の中に私達は居る事になるのね。
もしプログラムされているのだとすれば。
全てはこの世界は決まっているのかしら。
選び取った運命もまた、決められているのかしら。
[ ――は、Little Dancerに儚く微笑みかけた。]
面白い事を言うのね。だったら、今の道を歩いていないあなたじゃないあなたもいる事になるの?
――さあね。
[全ての問いにたった一言でけりをつけた。
所詮答えの永遠に出ない問いだ]
それにしても。ずいぶんときちんとした考えが出るとは。
まるでプログラマーの――いや、人間の性を分かっているみたいだ。
『盲目の時計職人』との対話の成果、とかいうやつか……?
[騒ぎ声が聞こえた気がして、ワープゾーンのある方をちらと見やった後]
少なくとも。
今の道を歩いていない、私とはまた別の私がいるなどとは考えたくもないな。
[目を閉じる。
暗闇に降りしきる雪が、雪に向かって手を伸ばす小さな手が、浮かぶ]
あの雪の中、誰にも拾ってもらえずにのたれ死んでいる私がいる、なんて。
[それだけを言うと、ワープゾーンに向けて歩き出した。
数歩歩いたところで振り向いて]
ああ、そういえば――雪は好きか?
[そして女性――シャーロットの答えがどんなものであれ、]
――そうか。
[花がほころぶようでも、儚げでもない、平坦な微笑を浮かべると、今度こそ彼女達の前から立ち去るのだった――**]
死…。
mori…?
[ 可能性。その分岐。]
人ではないプログラムは、いいえ、喩え人であっても、
コピーによって他の生を歩む事が出来るのでしょうね。
[ 僅かに笑みが濃くなったが、目を閉じる事によって終わる。]
その生を、他のもの(コピー)は知らないまま。
[ 呟きは消える。]
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