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[ちら、とユーリーを見る。]
……どちらかに希望を見いだせていたら、違ったかもしれないわ。
例えば、ジェーニャが喰べられてなければ、人狼に味方していたかも。
可笑しな事を訊くのね。
選べる訳ないでしょう。どちらもかけがえのないわたしの一部だもの。
[ユーリーに鼻白んだ貌を向ける。
人狼には――いや、愛を知ったばかりの彼には、理解出来ないのだろうか。]
[地上では、サンドラの腕に赤が走る。彼女も漸く赤に染まったのかと、狂人の思考回路が一瞬働いた。]
……ベルナルト。
[泣く少女を。近づくベルナルトを、あきらめ混じりの無表情で見つめる。
見えてしまった結末。声は届かない。……そして、赤。]
……。
[ぎゅっとコートの胸元を握った。
この結末も、ある種のハッピーエンドなのかも知れない。別たれた者たちは、生を厭うた者たちは、ほら、みんなこちらにやってきた。
夕方の自分なら、死に溢れた列車を見て笑っていただろう。
死の直後の自分なら、シャノアールをなんとか殺す方法は無いかとあがいていただろう。
……今は、あっけない結末に、ただ薄い悲しみを感じるだけ。]
[人間の聴覚では捉えられない言葉を、『何か』と会話するナタリーの姿。
彼女とシャノアールの遺体を確認に向かった時の、暗い廊下での事を思い起こす]
[今でさえ淡々とした彼女の様子。
怖い筈が無かったのだろうと、今更に理解をした]
…………ベルナルトくんっ!!
[少女に向かい手を差し伸べるベルナルト。
彼に縋り着く少女の手には、白銀の煌き。上がる紅]
[死者の叫びなど届く筈も無く、彼は地に崩折れる]
[コートの胸元を握り締めるサーシャに、近寄ると、その手をぺろりと舐めた。
顔を近付け、擦り寄る]
まぁ、今まで、俺らん為に、ご苦労さん。
[労いの言葉をかければ、人の姿に戻る]
あーぁ。もぅすぐか。
あっちは朝日で眩しいな。
[と、東の空を見やる]
ちょっとお待ちなさい。
[サーシャの思考>>+151を受け取ってしまい我に帰る。]
僕は望んでここに居る訳じゃありません。
終れません、こんな所では終われないんですよ…!
[胸に一つ、硬く光る希望をぎゅ、と握りしめている。]
地縛霊になるとか、呆けた事言ってる場合じゃあありませんねぇ…。
[「この列車で暮らせるのというのは、魅力的なお話でしたけれど。」
いつかのように、何かを決意したかのような、澄んだ表情で佇んでいる。]
愛は、理屈じゃないのよ。
だから、直接の加害者でなくとも――
……わたしは、人狼も人間もまだ赦せない。
[ぽつり。
ユーリーに答えた後]
その感情と、紅茶を振る舞いたいって云うのは別物だけれど。ね。
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