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力の逆位置…過信…独断…賭けの失敗。
隠者の正位置…理論…理知…
女教皇の正位置…理性的…
人は、…過信から失敗し、理論を学び…理性に至る。
…今の様に、暴力が支配するこの列車で…人はどのように理性を保てばよいと言うの。
[その瞳はあくまで悲しげに]
[壁に背が当たれば、ズルズルと腰を落としていく。血の臭いを強く纏うサーシャを抱えたまま]
お前……気でも触れたか!?
[ナプキンの字を思い出す。彼は、どうにも『人狼』には見えなかったのだ。
こんなに痩せた人狼が居たか?
視線を扉に向ければ、酷い刺し跡が。
人狼ならば、その鋭い爪で破壊すれば良い。
あの日のように…]
[食堂車→後部車両]
[後部車両でユーリーが立てた音に顔を挙げ、立ち上がると車両後部へと歩みを進める。倒れこんでいる、ユーリーとサーシャを見つけ…慌てて駆け寄る。]
…大丈夫?何があったの?
[足元に落ちていた果物ナイフは、拾っておく]
[…の耳には少女の声など聞こえなかった様だ]
なぁ……お願いだから、離せよ。
[サーシャの握る果実ナイフの刃には、僅かに血が残っていた。彼の手首を強く握る。それでも硬く握りしめられたナイフは落ちない]
あぁ、これは誰の血だ…?
[腕の中の彼はぐったりとしていたけれど。また動かれたら困るな…と]
[エーテルが駆け付ける、まだ少し前の事…]
[左肩を抑えていた腕を上げ、彼の右頬まで手を伸ばす。手に触れたフードの端を強く引っ張る。頭を押さえ込んだ形に、ほぅと息を吐く]
次はナイフか……
−回想・廊下−
[廊下を出たところで何人か集まってるのに気づく。
ミハイルとロランの死を伝えると、サーシャが血眼でカチューシャを
探していることをきかされる。そして、複数から負傷したベルナルトを頼まれたが、
本人はよろめきながらも、ユーリーやダニールの後を追っていった。
応急処置はエーテルがしただろうか。
ユーリーに渡されたタオルと救急箱を抱えたまま、溜息をつく。]
…サーシャさんも、かなり深手を負ってたようだけど。
[本人が求めなければ無理に手当する気はない。
とはいえ頼まれるとつい体が動くのは習性だろうか。
サーシャはどうなるのだろう?本懐を遂げることができるのか。
返り討ちにあってしまうのか、それとも…。]
[サーシャの耳元で。…は繰り返す]
なぁ、頼むから落ち着けよ
手を離せ
何があったのか、教えてくれ
こんなに傷ついて
あんなに取り乱して
な、まずは体を楽にしろよ
俺に任せろよ… な?
[サーシャの事など、何にも知らなかったが。せめて安心させれば手が緩むかも知れないと。優しく優しく、言い聞かせるように]
−回想−
カードはあまりやったことないわね。
でも、トランプ占いは好きだったわ。
[恋占いとかいうのでなく、パズル感覚で。]
[サーシャのナイフを掴む手から力が抜けたのなら。もう一度手首を強く握り、捻り上げる]
[ナイフは彼の手から零れ落ち、床に落ちた…]
ん、エーテル……?
怪我、してない?
[ナイフを手放せた事に安堵の息をつき、近付いて来た女性を見上げた]
― 食堂車 ―
[視界が霞むのは、出血の為だろうか。
鎖骨の下から肩にかけての貫通傷は依然血を流し続けており、痛みを痛みと感じるだけの感覚もそろそろ無くなりつつあるようだ。]
………やべえ……
輸血も治療も出来ない此処じゃ、
銃の傷なんか……殆ど致命傷だわな。
[ロランが撃たれたと叫ぶサーシャの声が蘇る。
ロランの死因が銃によるものであれば、撃ったのは誰なのか。
食堂車の灯りの元へと辿り着けば、感覚の残る右腕で机の淵を押さえ、体を支える。
と、その机に何か文字が書かれている事に気づいた。]
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