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…
(ぐ、とつまる。実際、自分はこれが一人分だと習ったレシピ通りに調合しただけで、そこまで詳しいことは分からない。言われてみれば、確かにと思う部分もある。)
…そう、ですか。
(ひとまず、ヤブラスがティラエルに真の意味で害を与える気は無さそうだと理解した。…けれど。)
…残念でしたね。
僕の存在が、あの人を生に縛り付けるなんて…
あり得ませんよ…
(頑なに拒絶して。)
…とりあえずこれ、貴方が使ってください。
…僕は、今からでも作れるんですよ、解毒剤。
(ただし、作る気があるか、間に合うかは別である。実際、普通に喋ってはいるが、手足がしびれ始めていた。経験から、今回は昏睡まで一気に来るパターンだと予測がついていた。)
(体の節々が凝っているのか、首をごきっと回しながら)
君がどう解釈していようが、それが=事実とは限らない。
今は君がいればいい。
そして、この先を望むなら…僕を殺すのが一番いいのだと気付かないのか?
(バカだな、と、頭を優しく撫でる。そして、オズマの変貌をさっし、その手から解毒剤を取り上げると、彼自身がつけた傷口に注いだ)
(試験管が取り上げられたのは、感覚の無くなった指先から試験管が滑り落ちる寸前だった。)
ぁ…!
(止めようと思うが体が動かない。歯噛みしながらヤブラスの手先を見守る。)
…死ぬ…つもり…だったのに…
(咎めるように小さく呟いた。)
…僕のした…ことは…それだけ…の制裁を…受け…てしかる…べき…
(体から力が抜けると意識を失う。毒は体の自由と意識を一気に刈り取った。解毒剤が効いてくるまでは眠り続けるだろう。常人なら数分もかからないが、オズマの場合、どれだけかかるかは分からなかった。)
死を持っての制裁なんて…
ここでは無意味だよ
(崩れ落ちるオズマの体を抱き留めて、また自分のベットへと寝かしつける)
血液の循環がよければよいほど、解毒も効くのでしょうか。――――くっ
(くらりとめまいがする。毒を盛られて彼が立っていられたのは、尻を突いたあの瞬間に、別の毒を打ち込んで、一時的に効果を打ち消してきたに過ぎない。打った毒が弱まれば、オズマから受けた毒は徐々にこの体を蝕むだろう。それでも…構わないと思いながら、ベットの横に倒れた)
(どの位の時間が経った頃だろうか。)
…ッ
(暫く眠り続けたが、突然、獣の遠吠えに似た声が聞こえた気がして、目覚める。一瞬状況が思い出せないが、左腕の傷の痛みに全てを思い出した。手を握りしめてみる。)
…動ける。
(指先に痺れは残るものの、動くことは可能だった。起き上がって、辺りを見回し、すぐ側にヤブラスが倒れているのを発見すると、ベッドを滑り降りて、ヤブラスをベッドにあげようとする。が、対格差で無理なことを悟ると、諦めてそのままに、足早に自室へ向かった。)
…3時間…
(触れた様子から、タイムリミット迄の時間を予測する。解毒剤を調合するのにかかる時間とほぼ同じだった。)
…急がないと…
(自室に入るとベッドのしたから鞄を引っ張り出す。結構な大きさのそれをよいしょと持ち上げると、ヤブラスの部屋へ戻っていった。)
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