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オリガ は、突然死した。
オリガ に 1人が投票した
イヴァン に 7人が投票した
イヴァン は村人の手により処刑された……
次の日の朝、ドラガノフ が無残な姿で発見された。
イライダ は哀しみに暮れて ドラガノフ の後を追った。
もう人狼に立ち向かえるだけの人間は残っていない……
人狼は残った人間を全て食い尽くすと、新たな獲物を求めて去って行った……
[その夜、訪れたのはドラガノフの部屋。
眠る男に跨り、その頬を一つ撫ぜる]
ふふ、善く寝てる。
[紅い舌がちろりと唇を舐める。
その皮膚の下の甘美な滴りと、甘く芳醇な肉の味を想像して]
あんたの血と、肉。
全てあたいが喰らってあげる。
誰にもやらない。
この村はあたいがこの子を産む為の、餌場なのだから。
[にぃっと弧を描く唇が、眠る男の首元へ。
とくんとくんと、脈打つ場所をぺろりと舐めた後、
その場所へと深く牙を突き刺した]
[口内に広がる、甘い味。
それを力いっぱい、啜る。
胎の子が悦ぶように命脈し、
もっと肉を寄こせと、女へと命ずるか]
そんなに慌てるんじゃないよ。
夜は長いのだから……。もっともっと、楽しんで、ね?
[下腹をそっと撫でて宥めた後、
男の服を裂き、その精悍な胸板へと指先を滑らせて。
朱に濡れる顔を、そこへと埋めた――]
[食事を終えれば、今日もまた。
窓から外へ出て、自室へ戻る。
紅く濡れた服は暖炉にくべて燃やし、別の夜着へと着替えて、
昨日と同じく満たされた腹を撫ぜ、寝台へと潜り込んだ]
[朝になって、まるで犯されたかのように。
その胸と腹を食い荒らされた男の姿を見て、
後追う者の存在など知りもせずに、女は眠る。
何時か生まれ出でる子供の事を夢に見ながら**]
― 早朝 ―
[自室。
目を覚まさせたのは人間の悲鳴ではなく。
生き物の、血の香り]
……シュテファンさん。井戸が、遠いよ。
[宿の3階。この部屋からなら、井戸が見える。
毎日通って「約束」をする場所]
私は、今日も人を食べません。
食べるときは――
……。
[目を、伏せた]
[悲鳴が無くても、血の香りが案内してくれる]
……おじさま。
[男の部屋に咲く朱色の花は、大きく、良い香りがした。
とさり、と。膝をついて]
みんな、食べられる。
[今更気づく事実が、口からこぼれる。
その事実に衝撃を受ける自分は、同族から望まれる人狼たりえるのだろうか]
[紅い”聲”が、ナタリーへと囁く]
お前の為に、肝は残してある。
さあ、お食べ。
空腹は辛いだろう?
[朱から馨る甘い香りと共に、それは抗いがたい誘惑となって、
ナタリーの心へと響くだろうか]
フィグネリア……
[同族の囁きは、何より甘美な誘惑の香り。
ふと。
血だまりに浸る自分の指に気が付いて。
恐る恐る、指を、舐める]
……おじさま、誰かが襲われるくらいなら、自分がって、思ってた?
違う、よね。
[人のために、と、思っていたとしても。
こんな最期は違う、気がした]
……駄目。
[こくり、と動きそうになる喉を。
朱色に濡れた手で押さえる]
駄目。私――
[部屋を出て、キッチンへ急ぐ。
これを飲み込んだら約束を破る。
けれど、同族が見つかった今、「人間」との約束を守る意味があるのか、ないのか。
わからないまま、繰り返し口を漱ぐ]
[誰かを食べてきたのかと問われれば、
言い逃れ出来ないような姿で。
考えるのは、伯父との約束。
『もし、それでも我慢出来ずに。
人を食べようと思うことがあったなら――
一番大切な人からにしなさい』
水の流れる音をかき消すほど。その約束は大きく重い。
伯父は、人間であろうとした私に、なんと強い暗示をかけたのだろう**]
………………………んっ?
[気づけば妖魔は其処に居た。生きた人の目には、その姿は映ることは無いだろう]
何処だ、ここは。
[ぼけっとしながら辺りを見渡す]
ああ、水車小屋か。
[死人や人外の者には辛うじて彼の姿が見えたかもしれない。
その化物は先ほどまでの名残なのか「イヴァン」と呼ばれる青年の格好をしていたけれど、それは当人にとっては比較的どうでも良いことらしかった。
だって、何も覚えていない]
[宿の中へと足を進めると、寝台に横たわり冷たくなっている少女の亡骸を見つけた]
おや、誰か死んでる。
[まるで初めて其れを見つけたという風に呟いて、覗きこむ]
―――――――…おやすみなさい。
[声に悲しみの色は無く。にこりと笑って、ただ、そう告げた**]
[暗闇に閉ざされゆく眼差しは、けれどかつてイヴァンだった妖魔の、崩れゆくその様をしかと見届ける]
…イヴァン…どうして。
[彼は何者だったのか、本物とはどういうことだったのか…混乱ばかりが頭を渦巻いた]
あ、あつめなきゃ…。
[そのイヴァンだったものの欠片さえ無くなってしまうのは耐え難いことのように思えた。
彼女自身がそうであるから]
ミハイルさんに…。
[オリガの死は未だ知らず、けれど寝込んでいた彼女に知らせる気にはなれなかった。
届けなきゃという想いだけで、床に手を突くようにして砂粒に近づいたなら、持ち合わせていた真新しいリネンにかき集める――。
それは数日前に仕上げたばかりの死と再生の意匠――右上から始まる黒糸と銀糸の絡まる枠組みは下へと延びて底辺を這って左下へと至り、左下には地塗れた長い鎌、絡まる蔦、蔦は上方へと延びて右上へ――終着には蔦の葉からしたたりおちそうな一粒の水滴]
[一粒もこぼさないように丁寧に集めて――それでも手からこぼれ落ちてしまっただろうけれど――ミハイルの部屋の扉を叩く…力なく]
ミハイルさん…。
[男はどんな表情を見せたのだろうか、彼女に知るすべはなく、またその余裕もない。
イヴァンであったものを差しだし、震える声で告げる]
ほんものだって、よかったねって、イヴァンは…、どうして…。
[支離滅裂な言葉は相手に届いただろうか。
己がかつてイヴァンであったものに死を突きつけたことだけは、どうしようもなく理解していた]
[扉を開ければ、そこには。]
…………
[イヴァンだったものを、差し出す娘。]
[真新しいリネンに包まれたそれを、震える手から。]
[取りあげる。]
…………人間だった。
[やがて。]
[支離滅裂な言葉を紡ぎだした、彼女の声を。]
[遮るように。]
あいつは、人間だった。
[見つめる灰の瞳は、氷のように。]
[無理矢理に彼女の細い顎を掴み。]
[上を向かせ。顔を近づける。]
[たとえでなく。
眼と眼がぶつかりそうな、ほどに。]
……おまえも、おおかみと、おなじだな。
[ゆっくりと。]
[静かに。]
[言葉を、紡いだ。]
[彼女の反応もろくに見ずに。突き放すように、手をどかし。]
[扉を、閉めた。]
…………あー。
[そのまま、扉に凭れるように。座り込み。]
[ぐしゃり、と。髪を掻きあげ、息を吐く。]
[わかってる。]
[これは、ただの。やつあたり。]
[それでも、なにかが。]
[自分のなかで、ぶっつりと。]
[切れてしまった。]
[空腹を満たした後眠りに着いていた女は、薄らとその眸を開ける。
身を起こし、極上のワインの様な血肉の豊潤な甘さを思い出し、
にぃ…っとその口端が弧を描いて]
……もうあたいを止められる者はいない。
邪魔な妖魔も、人が殺してくれたから。
[くすくす、くすくす。
弧を描く唇から、漏れ出る笑みが部屋の中に響いて]
此処は餌箱。
あたいと、この子の為に。
村長が用意してくれた、ね。
[下腹を一つ撫ぜ、二つ撫ぜ。
母の顔で歌うように呟いて]
……さあ、ぼうや。
お前の為に、今日はたくさんご馳走を作ろうね。
[女の相貌が紅く血の色に変貌する。
どくん、どくん……と、
胎の中から。
新たなる餌を求める子供の脈動を聞きながら]
さあ――狩りの始まりだよ。
[ゆらりと寝台から立ち上がると、
新しい餌を求めて女は部屋を後にした]
[部屋を出る。]
[占い師の姿は、もうそこには無かっただろうか。
在ったとしても。まるで目に入らないだろうけれど。]
[階段を下りる。]
[持っているのは、畳んだハンカチだけ。]
[あと、3段。]
[ひと気のない食堂の、奥。]
[2段。]
[厨房に、人影が、見えた。]
[――1段。]
[厨房でひとり、落ち着いてみると]
フィグネリア……怒った、かな。
[とっておいた、と。言ってくれたのに。
囁きを思い出して、目を閉じる。
あるいはやはり、人を喰わぬ者は同族ではないと、言われるのだろうか。それは、想像するだけで恐ろしいことだった]
[唐突に。名を]
……あ。
[呼ばれたから。びくりと肩が震えた。
けれど、名を、呼んでくれたから]
ミハイル。
[振り返ったときには多分、笑えていたと、思う]
みんな、食べられちゃうよ。
[笑みを消さぬよう注意しながら、男を見上げる]
逃げ、なきゃ。
[だってそうしなければ。
別の顔を、見せてしまいそうで]
ミハイルは、逃げなくちゃ。
[二人しかいない厨房で、同じ言葉を繰り返す]
[彼女が振り返るより。先に。]
[反応したのは、嗅覚。]
[向けられた笑顔に。]
[僅かに目を見開いた、ものの。]
…………俺は……?
[続く言葉に、それを細める。]
[なぜだか、おかしくて。]
[軽く、首を傾げ。]
……お前は?
[息が詰まる…意識が遠のき…彼女は白昼夢を見る―― 一瞬の夢 ――迫り来る過去]
げほっ、かはっ…。
[男に突き飛ばされ、体が床に投げ出される。
ひゅーひゅーと喉がなり、どくどくと血の流れる音がする]
おおか、み、とおな、じ…。
[つぅと頬を涙が濡らすけれど、突きつけられたその事実に、その衝撃に、正気が戻る]
[まして、一瞬の夢が彼女に伝えたものは、感化できぬものだった――いくつもの、死の、情景…。
そして、知りえることを隠していたというロランの裏切り…人狼の正体…妹の姿…]
マーシャっ!
[なにも伝えずにきたはずの妹が、事実のいくばくかを知りえたということ。
彼女は未来など視ない、けれど――彼女の姿を求めて、今日もまたマリーヤがこの宿をおとなうだろうという、それは確信――]
[見上げたなら、彼はどんな様子でいただろう。
己がイヴァンに引導をわたした事実よりも何よりも、今はマリーヤを逃がさなければという思いでいっぱいだった]
兄様…このままでは、食いつくされてしまう…フィグネリアさんに…村中のすべて。
ナタリーさんもまたいつ人を襲い始めるか分からない。
[ささやきは彼に衝撃を与えただろうか、それともいつものように静かに事実を受け入れたのか。
何故そんなことが分かるのかと問われたなら、視たのだとだけ告げたろうか]
だからイヴァンの事とお前の事だけ聞いておく。
イヴァンも死んだのか?
そして、お前はどうする?
[手には地下牢の鍵。彼女が自分の生存を望むのなら彼女に鍵を預けて、彼女自身をそこに入れる事を考えていた]
(その場合、体力が保つかが不安といったところだったが……)
[血を吐く彼女を見て、しゃがむ。ハンカチを出して、口元と顔の血を丁寧に拭った]
わたし、は……?
[首を傾ぐ様子に。
ぱちりと瞬きをして。
一度顔を伏せる。
なんでか、かなわないな、と苦笑が漏れた]
……私は、じゃなくて。
私から、ですよ。
[どうせなら、上手に笑った顔を、見せていたいのに。
上手に笑えないのが、くやしい]
[彼女の弱い身体ではマリーヤを連れて行くことは出来なくて、己は人殺しなのだという意識もやはりどこかにあって…]
あなたが隠してたことを知っているわ。
少しでも後ろめたく思ってくれるなら、お願い、あの子を連れて逃げて…。
[そしてこの宿を燃やしてと願う]
準備は出来ているのでしょう?
あなたが告げたことだわ。
[たとえ時間稼ぎにしかならなくともかまわなかった、マリーヤさえ逃がせたなら――。
燃えてしまえばいい、すべて――凍りついた水車も思い出したかのように時を刻み始めるのだろう…燃え盛る炎に焼き尽くされ]
[身体が悲鳴を上げる―けれど、打てる手は打っておきたかった。
死を間際にした人間は信じられぬほどの力を出すという。
ナタリーは未だ人の一線を越えてはいないようだった――片足を踏み出していたとしても]
それならば…。
[ロランは彼女を引き止めただろうか、たとえそうだとしても振り切って駆け出す。
ロランが後をついてきているような気もしたけれど、もはや気にはせず、ただナタリーの姿を求めて]
隠し事?
縁談のことか?
[意味がわからないという顔をした。感覚が麻痺しているのか、意識が違うのか]
宿には見張りがいる。直前で止められる筈だ。
止められない場合は…
[人喰いで力を得た姉さんが、既に見張りすら殺しているケース。
その場合はもう人間では人狼は止められまい]
[なぜだろうか。]
[おかしくて、おかしくて。しかたがない。]
……逃げねえ。
お前に、会いに来たんだ。
[そう云って。]
[笑う。]
このままでは俺の指示でも、外の者は動かん。
だが、村の者の頼みは、俺は聞くことにしている。
それがサーシャの望みならば、
[彼女の焦燥感を受けて、静かに言葉を継ぎ足した]
やれる事はやってみよう。//
わたし、に?
[会いに来る理由が会ったとしても]
……なんで。
[そう、笑うのだろう。
上手に。
目の前の男の笑顔なんて、そう、見たことはないのに]
ずるい。
[私はちっとも上手に笑えないのに。
少しだけ、唇をとがらせた]
だが、それよりも…
[他の者の意向。それも一番先にナタリーに聞かなければならない。
人狼として生きるか、村の者として生き続けるかどうか]
その前に姉さんに会ったなら…
[ドラガノフの部屋にあった猟銃を思い出すが]
まあ、その時はその時だ。
なあ、親友。
[部屋の窓から遠く、...は墓地のある方を見た]
これ。
返す。
[ハンカチを差し出そうとすれば。]
[目の前の彼女は、ずるい、と。唇を尖らせる。]
[……ああ。そうか。]
[なにが、おかしいのか。]
[わかったところで、また。]
お前のほうが、ずるい。
[笑みが浮かんで。]
……無理すんじゃ、ねえよ。
[彼女の頭を撫でようと。手を伸ばした。]
[差し出されたハンカチには、視線を向けるだけで。
身体も気持ちも、受け取ろうと動きはしなかった。
なにやら思いめぐらせた様子を見せて。
やっぱり笑う男に。
なんで私がずるいのかと、口を開きかけて]
……むり?
[手が、頭に触れる感触に、帽子をどこかに落としたことに、今更気が付いたりして]
無理なんか、してないよ。
[胸の前で、ぎゅっと手を組んだ]
[2・3度、撫でてから。]
[そのまま、彼女の頭を抱き寄せる。]
本当のこと、言っていい。
[いつしか、笑みは消えていて。]
……お前。
[占い師の娘が、狼と同じならば。]
[あのとき。]
[出来ることなんて、あったかどうかすら、わからないけれども。]
[それでも。]
[撫でられる感触に気をとられていて。
抱き寄せられれば、驚く間も無く相手の腕の中に収まった]
……ほんとう。
[相手の言葉よりも。
その男の香りが。
ぬくもりが。
心地よいのに驚いて]
うん。おなか空いた。
[あの時はなんて、答えたんだろう。
相手の胸に額を付けて、目を閉じる]
[返ってきた答えに、再び。]
[笑みが洩れて。]
……なら、よ。
喰えばいい。
お前にとっちゃ、それが。当たり前なんだからよ。
[もう一度、だけ。]
[彼女の髪を撫でて。]
……ずるいよ、今更、そんなこと。
[ずっと、我慢してきたのに。
髪を撫でる手が離れれば、名残惜しそうに、そっと顔を上げて]
ミハイル、食べられてもいいの?
村のみんなだって、食べ……っ
[多分、もう、抵抗はなくなるだろうと思えた。
この男を、食べたなら]
俺はずるくない。
[にい、と。唇の端を吊り上げて。]
……変わんねえだろ。
人間が、兎の皮引ん剥いて食うのと。
俺は、お前が。
――――……
[軽く、ナタリーの額を小突く。]
お前が、そんな顔してるほうが。
嫌だ。
……やっぱりずるいもん。
[にい、と笑うその顔が、間近に見えて。
思わず、むくれて唇をとがらせた]
ミハイルは兎じゃないし。
そんな正論――っ
[聞かない、と言いかけたらこづかれた]
もう、どんな顔してればいいの。
[額を撫でて、顔を隠すふりしてぎゅうと抱きつく。
と、めいっぱい背伸びをして、キスを]
[唇が触れれば。一瞬、驚いたように。]
[それから。]
[微笑んで、もう一度。]
[今度はこちらから。唇を奪う。]
……大丈夫。
[小さい身体を、抱きしめて。]
お前に喰われるんなら。
辛くない。
[驚いたような顔がかいま見られれば。
ふふん、と得意げな顔をしたが。
反撃に。ふは、と息をついて。
今更顔を赤くした]
……。
[抱きしめられた腕の中で。
このぬくもりを失うことだけが、惜しいと思う]
大好き。
[この世でいちばん。
微笑んで。
もう一度、口付ける。
先程より、深く。
そしてそのまま唇に噛みついて、
甘い香りを味わった**]
[ナタリーの元へたどり着いたそのときには…全ては終わっていて…彼女が一線を越えたというその絶望に、もはや彼女の心臓は耐えられない]
ああ、お願い…とめて、フィグネリアさんを…。
[最後の息につぶやかれた言葉は、果たしてナタリーに届いただろうか。
すべてはマリーヤを生かすためで、けれどなぜか、最後に思い浮かべたのは笑うことの出来ぬ男の――幻。
伸ばされた腕は何かをつかんだのか、空を切ったのか――彼女の意識は闇へととけて、もはや還らぬ――]
[サーシャの部屋には、イライダに贈られるはずだったリネンが一枚残される――主となるはずだった女も作り手をも失って……。
それは廻り行く季節(とき)の意匠――上底と右側面には紅い縁取り、下底と左側面には碧い縁取りがほどこされ、右上には冬毛の雪ウサギがうずくまるように下を向いて、左下には夏毛の雪ウサギが仰ぎ見るように上を向く。
視線が交差するかのように。
たとえ水車小屋の時が動いたとしても、すべてが燃え尽きたとしても…湖は凍りついたまま沈黙を守り続けるのだろうか、妖魔の森とともに――。
たとえ人狼が滅びたとしても、村人が食い尽くされたとしても…決して変わることなく――]
―― サーシャ・了 ――
――っ
[痛みは、ない。]
[ただ。]
[ナタリーの身体を、掻き抱くように。]
[腕の力が、少しの間。強まって。]
……ナタ、り――
[ごとり。]
[右腕の時計が、床に落ちる。]
[大丈夫、聞こえるから。
最期に唇を震わせた男に耳を寄せて。
そうすれば言葉さえも食べられるのだというように。
口元も、舌も、味わって。そうして――
女は厨房に立ちつくす。
全身を朱に染めて。
フィグネリアは食べ方が下手だと嗤うだろうか]
でも。残さず食べたから。
[多分、一生忘れない。今日のこと。
赤く光を滲ませる瞳が、血だまりに沈む腕時計を捉えて。
ハンカチでそっと来るんで取り上げた**]
[友人の部屋に、女の姿は在った。
友の血で赤く染まった寝台に腰をおろし、
宿の中の気配を探る様に、紅い眸を閉じて。
若い狼が覚醒した事を識る]
雄の狼と違って、雌狼は愛する人を喰らって目覚めるの。
あたいがあの人を喰らって、自分自身を識ったように。
良い子ね、ナタリー。
可愛い同胞。
[歌うように囁く声は、紅く響いて]
ちゃんと全部食べてあげたんだね。
此処に居ても判るよ。あんたの中が、とても満たされてる事に、ね。
……サーシャ?
[食堂に倒れ伏す女が見えて。
ふと、目を落とした。朱色の自分の手]
アナスタシアが喰われて。
イヴァンが森に消えて。
オリガが倒れて。
ドラガノフも喰われて。
イライダが後を追って。
ミハイルが人狼を生んで。
そしてサーシャが此処にこうしている。
ロラン。
あなたは……こんな事件の責任をとりたかったの?
[厨房に立ちつくしたまま]
本当は……ちがうんじゃなかったのかな。
[ぽつり、と。ロランの姿を見ないままに、つぶやいた**]
話をしても大丈夫か?
[食堂の椅子を引いて、腰を下ろす。返事を求めずに口を開いた]
もしステファンさんら、
村の中にまだ大事な人がいるのなら、
……姉さんは何とかした方がいいと思う。
[彼女の性格を考えれば、この村を食い尽くすぐらいの気構えでいると危惧している]
サーシャは最後まで妹の事を気にかけていた。
マリーヤの事も、済まないがお前に任せる。
[彼女が村の存続を考えるならばという前提で、
姉一人を人狼として差し出せば、
信じられるように手紙を用意しておいたと説明した]
ただ、何れ人を餌しか思えなくなるようになるかも知れない。
その場合でも自制できる内に……村を出た方がいい。
無論、同族を大事に思うなり、今までの仕打ちを怨みに思えば、
村を滅ぼす側に廻ったとしても仕方がないとは思う。
これからどこで、どう生きていけるのかは俺には判らないが…
できるだけ、元気で過ごすといい。
[彼女の血まみれの全身を下から上へと平然と眺めて]
別れを経験して、生き残った者の務めだ。
俺はな、ナタリー。
この村しか選択肢がなかったんだ。
[...は今まで通り、なんら変わらずに淡々を喋る]
だから村の住人は大事にしたいと思っている。
それが人であろうと、そうでなかろうと。
(平等に。ああ、平等に)
人であろうと、人狼であろうと、妖精だろうと、悪魔だろうと、
等しく、等しく、等しく、だ。
[何度も何度も繰り返し読んだ本。
その古臭く黴臭い主義は、
彼の中で歪んだまま芽生え、押し付けられていた]
[ロランの言葉を、黙って聞き続ける。
座る男。立ちつくす女]
……その村の住人の中に、あなたは入っていないの。
[等しくと繰り返される対象に。
知らずに握りしめた拳、指が白くなる。
声を荒げたりはしなかったけれど]
今の願いがあなたの本音?
だったら答えは決まってる。
私は、人狼。
頼む相手が、間違ってます。
[人狼であっても村の人間だと言ってくれる相手に。
静かに、告げて
一度唇を引き結ぶと、ため息をついた]
ロランも、文句のひとつも言っていいんじゃないです?
ここに、丁度良いのがいるんだし。
[手で、自分を示して]
それとも、今此処であなたの「責任」を果たせないようにしたら、大声で罵ってくれるのかな。
[喰う、と、暗にほのめかす。
毛頭、そんなつもりは無かったけれど。
男の言う「責任」に興味があったから]
[じゃあな、と背を向ける男を。
引き留めはしない]
じゃあね、ロラン。
[引き留める権利もないし。
引き留める言葉も浮かばなかった]
私とあなたは違うひと、ちがうもの。
[自分自身に言い聞かせるように。
だから理解出来ないのは当然なのだと。
でも、彼の言葉は。
自分にはいつも少し遠くから聞こえる気がして**]
……寂しい。
[ロランが去って。
足下のサーシャを見やり、しゃがみこむ]
……。
[朱色に塗れた手で、倒れ伏したまま動かぬ女の目を閉じさせて。
死者を送るときの様に、指を組ませた]
じゃあね、サーシャ。
[ロランに贈った言葉と同じものを。
サーシャにも送って。
同胞、と呼ぶ声に誘われるように、歩き出した**]
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