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ぃへあ
[寝呆けたまま。]
[頬を抓られながら。]
[相手の言葉を、耳に入れる。]
[死なないで。]
[ か。]
…………うん。
[生返事をかえしつつ。]
[今度こそ、完璧に]
[寝入った。]
**
………………っ。
[ここに集められたのは、容疑者であり、人狼の「餌」であると。
自分にもその発想がなかったわけではない。ただ、考えないようにしていた。考えたくは無かった]
で、でも。
ロランさんは、村長の息子だよ。
家族なんだよ…!
[声を潜めながらも、必死にドラガノフへと言い募る。
家族が「死んでも構わない人間」だなんて、哀しすぎるから。否定して、欲しかった]
家族じゃ、なくても。
…死んでも構わない人間なんて、本当はいる筈がないんだ。
[今の状況においては、虚しいだけの言葉かもしれないけれど。呟きと共に溜息が落ちた]
[夢を、見た。
昔の夢。
私は父と旅をする。
ふたりきりで、旅をする。
本来群れで行動する人狼の父に。
どんな理由があったのか、わからないけれど。
父が死んだら私は一人きりになった。
似ていても狼とは違う。
似ていても人とは違う。
私はひとりで旅をした]
― 宿の自室/少し前 ―
[くしゃみで、目を覚ます。
窓際に据えた椅子に腰掛けて外を眺めたまま居眠りしてしまったらしい]
――え、?
[うー寒い。自分のうっかりを後悔しかけたところで。
下階からの、悲鳴を聞いた]
[階段を駆け下りて。
駆けつけた先には]
あ……
[言葉が喉に詰まった。
部屋に散る赤の色は、そこでなにがあったのかを想像させるには十分で。
ゆるりとさまよう視線の先。
遺骸を覆う布が、美しかったので。
だから滲む朱色が、余計に生々しく見えた]
[何をしようとしたのか。
中途半端に伸ばした指に。
アナスタシアからあふれた朱色が移って。
小さな悲鳴をあげかけて、口元を手で覆う]
――っ
[こみ上げてくる何か。
そのまま洗面所に駆け込んだ**]
―JUDGMENT―
正午を告げる鐘が鳴る。
運命は+表+を選んだ。
{表ならイヴァン/裏ならオリガに投票して下さい。}
[水は貴重なのに。
その水をざあざあと流しながら。
口の中に入ったアナスタシアの血を吐き出そうと。
口をすすぎ]
……消えない。
[血の味が。血の香りが。
恐ろしく甘美な、とろけるような感覚は]
……ただの人なのに。
[いつまでもいつまでも、舌に残る]
[何度も手を洗って口をすすいで。
ぐったりと床に座り込む頃。
甘美な誘惑に抗えずに人を食べてしまうかもしれないという恐れの他に。
ひとつの事実に気が付く]
誰か、いる。
[自分の他に「人狼」が]
――ダレ……ドコ……?
[見ることのなかった「同胞」が]
[いる。
確信を持つ。
胸をよぎるのは不安よりも大きな、期待]
――ドコニイルノ?
[幼い頃を思い出す。
狼の姿でも、自分と父とは「会話」ができた。
自分はそれがとても下手だったけれど、確か、こう]
――キコエル?
[もしかしたら、自分のこの声を聞き取れる者がいるのかもしれないと思えば。
囁かずには居られなかった**]
[瞼を開ける。]
[そのままじっと、前方を見つめてみる。]
[それから、軽く左右を確認して。]
……寝る気はなかった。
[明らかに嘘だった。]
[寝る直前に、誰と何を話していたかすら覚えていなかったが。]
[常にやや貧血気味の体調は、元通りのようだ。]
[直前にした会話のせいなのか。]
[それとも意識の底で、薄らと聞いた話のせいなのか。]
[思い出したことが。]
[あった。]
[イヴァンがまだいたなら、軽く礼を云って毛布を返し。
立ち上がる。]
[向かう先は。]
[地下。]
**
― 食堂 ―
厨房を借りる。
[時計を見れば昼を過ぎていた。
朝から食べていない者もいるだろうと、
ブリヌイをフライパンで焼いていく。
望む者がいればその分もを用意する]
(あの人の使用人嫌いのせいで、こんな事まで仕込まされている訳だが…皮肉だな)
[こんな皮肉な構図に気づくのは自分のみか。
思考を遮断してしばし作業に没頭した]
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