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…。
[叩かれた。
慣れてきたが、揺れるので今はやめてください。]
…。
[矢口が先に回って207号室の扉を開けてくれた。
さらに矢口は中に入って掛け布団をめくる。]
…。
[静かに、ベッドに寝かせる。
…この人物は、男だろうか、女だろうか。
子供と言うのが一番イメージに合うかもしれない。
男にしては軽かったが、男のような気がした。
持ち上げた感じでは、だが。]
そうだな、その二人が居るなら大抵の事は大丈夫だろ。
[力のガルシア、技の結城といえる。]
ん、双海はなんか色々あったらしくて、な。
俺も料理をしようかと思ったが断られたってわけだ。
[残念、一人暮らしで培った手抜きの男料理を披露しようかと思ったんだが……と肩を竦めて更科の隣に座る。]
―回想・昨夜?―
[寝台割りは矢口と一緒。明日は碓氷と一緒の様だ。
布団に潜り込んで暫し。少しだけ眼が冴えて、ぱちりと瞬いた。寝れない。
ごろりと寝返りを打って、天井を見上げる。不自然なぐらい染み一つない。
色褪せもない、本当に新しい建物なんだと何となく思った。]
……。
[気持ちいいぐらい眠りに落ちている友人を横目見て
その頬を、ていと軽く押す。 …あ、身動ぎした。起きる?
そう身構えて、少し息を詰めるものの結局は起きる事はなかった。
少しだけ安堵する。流石に起こすのは忍びない。]
…えい。
[もう一回。今度は、人差し指の腹でそっと押した。
うむ、弾力があって、かつ瑞々しい。いい肌だ。とても羨ましい。
…え?同い年だよ? そんなまさか
少し肌の曲がり角が来た人間の発言とかじゃ決してないよ?]
――…、
[もう一回!もう一回!]
[画面の前のアンコールに応えて、ザ・ソフトタッチ。
頬の中央に沈めた白く細い指を、つう、と滑らせていく。
顎から、細い首へ。凹凸の低い少女特有の喉の横を通って、
あまり陽に当たらない所為か、白い鎖骨へと至る。
鎖骨の窪みに到達して、ようやくそっとその指を離した。
それより下は、浴衣に阻まれて触れることが出来ない。
少しだけ残念そうに、眉を寄せた。]
…白いなぁ…。
[心のアンコールに応えて、ザ・ソフトタッチ。
頬の中央に沈めた白く細い指を、つう、と滑らせていく。
顎から、細い首へ。凹凸の低い少女特有の喉の横を通って、
あまり陽に当たらない所為か、白い鎖骨へと至る。
鎖骨の窪みに到達して、ようやくそっとその指を離した。
それより下は、浴衣に阻まれて触れることが出来ない。
少しだけ残念そうに、眉を寄せた。]
…白いなぁ…。
[先日の海で、多少は赤くなっているようだけれどそれでも充分白い。
今度はその襟の淵をなぞる様にして指を滑らせる。
浴衣を重ねた所で直ぐに行き詰った。…丁度、胸元の中央上だろうか。
…少し緩んだ襟口を、もう少し開いてしまえば――
少しだけ、身を起こしてもう一つの寝台の方を窺った。
碓氷…も寝ている。ぐっすり…かどうかは流石に判り兼ねるが、
大きな音を立てない限り、眠りから呼び起こす事も無さそうだ。
隣で眠る友人に、再び視線を下ろす。
無防備に寝ちゃって、まぁ。
…おかしいな、そんな趣味は無かった筈なのだけれど。
しかしガイアが私に輝けと囁いている。]
[ごくり。息を飲んだ。]
[っていう夢を見た。
どこから夢で何処からか現実なのか少々曖昧だが
でも非常に残念…そう、残念なことに、
矢口と自分の浴衣を脱がせた記憶は、夢の中でも残っていないので、
寝起き時に互いの浴衣が前全開状態だったのは、
互いの寝相が悪かっただけ。 の様だ。
もう本当、非常に残念。]
…朝だ。
[既に矢口も碓氷も部屋から出たらしい、自分を除いてもぬけの殻だ。
サイドテーブルへと、もぞもぞ手を伸ばすと
既に多機能時計と化してしまった携帯をぱちりと開けた。
示す数字に、一度瞬いて小さく溜息を零す。嗚呼、寝坊だ。
…結果は非常に惜しかったと言わざるを得ないが、
大変夢見が良かった分、少し寝過ぎたらしい。
サイドテーブルに携帯を戻して、ぼふん、と枕に顔を埋めた。
うう。眠い。
ゆっくりと目を伏せて――ふと、館内に突如入ったアナウンスに再び目を開く。
廊下から聞こえる音に、耳を澄ました。
…個室内には響かないから、そこら辺の配慮はあるらしい。
どういう意味での配慮かは知らないけど。]
……ティナちゃん、大丈夫かなぁ…。
[しっかりした治療が受けられるならば、それに越したことはない。
少しだけ、安心する。ここに来てからあまり顔も見れなかったし。
早く元気になると良いな、と少しだけ思って、脳内で撤回した。
……このプログラムが終わるまで治らない方が良いか知れない。
特別プログラムとやらを回避出来るのならば、その方がきっといい。]
…?
[身支度を整えている最中に何だか急に愛美ちゃんが羨ましくなったり
杏ちゃんに、私の事はどう思っているのかと
小一時間問い詰めたくなったりしたが、気のせいだと思う事にした。
ぱたぱたとゆっくり階段を下りていく。
ちょうど碓氷と杏が城へ食事を届けに部屋へ入ったところだったのか
タイミング良く誰とも遭わなかった。…あわなかった事にしてくれ。
頑張ってログを読んだけど、タイミング的に移動が多くて誰がどこ行ったかもう判らなかったので理解を放棄したなんてそんな事はないが、ちょっとそこら辺頑張って配慮したらもう脳みそがショートしそうになったというかもうゲシュタルト崩壊しそうだったからそうしてほしいな!]
[食堂に居る面々に少しだけ遅い挨拶をして、少し遅い朝ご飯。
多分食堂には西野とかカルロスが既に居て、
その後に杏とか宇留間とか城とかが来た頃だと思うんだけど、
正直誰がそこにいるのかそろそろ判らなくなってきた。
唯一覗けた時間は、誰かと誰かに遠慮した結果この早朝に大連投とかそんな感じの結果だ。正直すまない。…だから誰か欠けてても嫌いなわけじゃないから本当ゴメン許してほしいな!!
セロリとかも、平気なので何の問題も無く食していく。
朝ご飯が和食だと幸せです。米大好き米。
ところでセロリが苦手な人には、こっそり内緒で
セロリをみじん切りにして、米と一緒に混ぜて炊いてしまうと、
匂いも味も何もかもセロリダメな人が、全く気付かずに完食してしまうので
食べ終わった後に種明かしをすると、とんでもなく狼狽える様子が見れて面白いよ!
…別にいやがらせがしたい訳じゃないよ。]
[途中自分の名を呼ばれた気がしたものの、
話の流れが読めなかったので、気のせいだと思ってスルーする事にした。
何か問題あったら、ほら…杏が反応しているだろうし。
ね!
途中で突然、その杏ががキッチンを飛び出してしまったけれど
やっぱり会話の流れを掴み損ねたので、何が起こったかは理解出来ない。
おろおろとした結果、再び席に座ってもぐもぐと食事に勤しむことにした。
城が、杏を抱き締めている所を目撃していたら、
うっかり珍しく手が出る所だったに違いなかった。危ない危ない。
…常日頃は何となく大人しい気がするけれど、
あくまで 双海 杏と同じ血を分けている。
…おわかりいただけただろうか…。]
[結局、引き続きいそいそと食事を終えてから
昼食までその場でまったりする事にした。
…というか、紅茶が美味しい。
家で飲むティーバックのものとは少なくともえらい違いだ。
日本政府が揃えるモノは、茶葉まで凄いのだろうか。あり得る。
――ああそうだ、昼のおやつにレアチーズケーキ、食べようかな。
たまに突然、俺の屍を越えて行け!とか
階上に向かって叫びたくなったりしたけど
…何でだろうな? うん、*判んない*。]
―207―
[――ひんやりする。
目を覚ました時に思ったのは、そんなこと。]
…………。
[ぱっと見では、どこなのか分からなかった。
しかし、沈殿していた記憶は緩やかに浮かぶ。
確か、これより前に一度目が覚めた。
そして矢口に薬を飲まされ、眠りに就いたのだ。
意識の明滅ではない、きちんとした眠りに。]
………、夢じゃ、ないんだよね。
[更にはもう一つ、前のこと。
思い出しても腹立たしいあの光景。
突然モニターに現れた戸田と、………。
まだ、夢ではなかったのかとの考えを端に追いやるために、モニターはどうなったのだろうと想像した。
……夢であったに違いないと思い込んだところで、何がどうなることでもないのだ。]
[打ち付けた左拳が、ずきんと痛む。
表情を落として見れば、確りと包帯が巻かれていた。]
―――…。
[包帯に、おしぼりに、細かな傷の治療もしてある。
鼓動を真似て疼く傷を、優しく抑えてくれた。]
矢口さ――、
[見渡すと、周りに矢口はいないらしかった。
恐らく、自信の昼食を食べに行ったのだろう。
暫く何もない空間をさ迷わせた後、天井に戻す。
そのまま瞼を閉じれば、部屋は途端に*静かになった*。]
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