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[――あれから。
着替えて帰ってきたは良いものの、阿太郎は皆に顔を合わせことはしていなかった。
ダンボールでこそこそと動き、ログハウスからまた砂浜へ移動したのだ。
本当のところを言えば、阿太郎もバーベキューにとてつもなく興味があった。
今まで大人数で騒いだことなどない。
素顔を晒すことも出来ない彼に、大人数で何かをする、というのはとてもすごく大変なことなのだ。]
……ふぅ。
[何となくタイツは脱いでいる。
……砂浜の端なので、自分のように一人になりたいものでもなければ、そう簡単に見つかることはないだろう。]
じゃ、いこっか。
[ぞろぞろとバーベキューの方へ移動を始める。
たどり着くと火を見ているらしい山田と双海の顔が見えた。
やきそばを作るのを眺めていたが]
……。
[火の加減を見ている山田の方をじっと見る。]
山田君…。もう火がついたんならしばらくは離れてても良くないかな。
西野君が一人で肉とお野菜やいてるし。手伝ってあげるといいと思うの。
[と、促した。]
[バウムクーヘンの説明を横目に、練炭の火を眺めつつ、じ、と観察するのは山田の体。]
…ううん、女の子に見えないわ。
[誰かが女の子でなければ、このプログラムには穴がある事になる。
けれど女子は7人、男子は9人。]
この謎を解く方が面白、じゃなくて。優先…よね。だって、下手したら個室が男子と組まされちゃうもの。
どう見ても男にしか見えない風峯君とカルロス君は除外してもいいわよね。
[火の傍に屈んで、指を折り始めた。
風峯がやってきて竹に穴を開け始めているのが見える。
一人一人男子を目で追ってから、推理を働かせた。]
御手洗君…もたぶん男性でいいと思うし、城君は女性だと思って見れば……ううん、男性ね。
女性が少ない事に気づいてなかった西野君って怪しいわよね。
結城君、も男の子だろうし。
白目むいてたもの。
[痛そうだったな…と遠い目をした。]
宇留間くんはまだログハウスにいるのかな?
鶯谷くんの姿も見えないし、どこいったんだろう。
考えられるとしたらこの辺りの人よね。
[しばらく考え込んでいたが。肉の焼けるいい匂いに立ち上がった。]
私も手伝おっか。
焼けたの大皿に移して行った方がいいよね。焼くスペース考えると。
[バウムクーヘンの方には手出しできなさそうだと、そちらを手伝う事に*した*]
……むう。
[唸る。
年輪が少しずつ歪んでいく。
傍らの鈴が焼くバウムは、キレイな同心円状を保っている]
……むむう。
[唸る。コツを呑み込んだらしい鈴が、アドバイスをくれる。
オーケー、頑張る。
頑張ってダメだったら、まあ、その。
年輪は南側に偏るっていうし。リアリティ、ってやつで。ダメかな]
[というか、割と忙しい。
何本かの竹が並列進行中なので、気をつけないと、山火事現場の年輪になりかねない。
担当分をてきぱき捌く鈴の様子は、どこか杏に通じるものがあるな、そう思った]
(ホントは、もう一人くらいいると良いんだけど……)
[杏はまだ、鉄板で戦闘中だ。
青は、まあその、止めておこう。
自分の焼くのが歪んだ年輪なら、青のは四次元のミステリーサークルになりかねない。
ほかに手が空いてそうなのは……と、休みなくバウムを世話しつつ、周囲の様子を窺った]
うん。私も初めて。焼くのも、もちろん。
[かくかくしかじかを終えて]
……まあ、口で説明するよりやったほうが早いかも。
[と、ある意味、丸投げた。いざというときは、鈴がなんとかしてくれる、はず。
だって、一杯一杯の自分がみると、被害が拡大しかねない。うん。だから仕方ない。
……まあ、かつての大惨事を思うと、不安はあるけども。
料理とお菓子作りは、また微妙に違う部分もある。そこに期待しよう。そう祈った]
―BBQ会場にて:バームクーヘン―
こうか。
[謂われた通りに手伝い始める]
よい匂いだ。
手作りのバームクーヘンか、
いいものだな。
[すこし笑みを浮かべた。]
……そいえば。青ちゃん、部屋のこと、聞いた?
男女の数あわないから、女子は3:4で……みたいな流れ、だけど。
[焼きながら]
青ちゃんはあれかな、風峰くんと同室な勢いなのかな。西野くんがなんか、そんなこと言ってたけど。
[にたーり。と。含みのある笑顔]
聞いたぞ、
見事に部屋が8つしかなかった。
てっきり個室か、さもなくば
男女別の大部屋かと思ってたんだが。
うん、ベッドも広かったし、
いいんじゃな、…は、
[山吹色の眼を丸くした。
ちょっと手元が狂う]
待っ、何故そう。男女別だろう、普通。
…西野、あいつは
何を謂ってるんだ…
[その笑いはなんだ、と困ったような戸惑ったような表情だった]
ふむう。アヤシい反応です。
どうでしょう、解説の鈴さん、これは夜が楽しみですね。
[鈴が、だねえ、と頷いた。
ガールズトークの本番は夜と、相場が決まっているのだ。
まあ、鈴の場合は純粋に楽しみなのだろうけど]
っと、危ない、焦げちゃう焦げちゃう――
[他愛もない会話できゃっきゃうふふしつつ、バウムを焼き続ける]
驚くに決まってるだろう、
解説ってなんだ、スポーツの実況か。
[夜。修学旅行。眠る前のテンションで、
楽しい話に花が咲くは自明の理。だがしかし。]
っ、と。いけない。
[焦がさないように、焼く。
デザートもバッチリの食卓が完成しつつあった。
へと見回して]
鶯谷はまた居ないのか…
[タイツがあったので無事らしいが
また探しにいく方がいいかな、とも考える。
結城は頑張れ、だった。]
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