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―回想―
[自分が人狼だという告白を終えた後、やはり皆の反応はそれぞれ困惑したものであった。 特に懐いていてくれていたショウが傍らに来る]
『サーティお兄さんは絶対に違うんだって・・・だって優しいんだもん・・・違う・・・違うよ・・・』
ごめんね・・・ごめんね、ショウ君・・・僕、壊れちゃってるから・・・本当は欠陥品だから・・・でも、ありがとう・・・キミの優しさのおかげで、僕は狂わずにいられるのかもしれない。
[悲しそうな顔をショウに向けて何度も謝る。 しかしそれでも顔を背ける事はしない、自分に言い訳をしないと決めたのだから]
ねぇショウ君、聞いてくれるかな・・・?
僕ね、ヨルさんに力を使った時―――彼女の優しさまで一緒に貰った気がするんだ。 ヨルさんは悩んでいた、自分の思想と存在の食い違いに・・・いつかその食い違いから彼女自身が破綻してしまうという事に。
でも、そんな状況にあって他の人を心配する優しさを持っている強い人だったんだよね・・・僕もそう、ありたい。
だからね、僕は綺麗で優しい"感情"を持ったキミを護りたい。
[涙に濡れ慣れた赤の青のオッドアイが少年へと注がれた]
[>>*9 攻撃的で暴力的なノイズが脳内を襲う]
僕ッ・・・は正気のつもりだよ。
皆を傷つけたくない、そう思うのはおかしいのかな・・・?
たとえ僕が停止させられたとしても、ヨルさんの時のように・・・また悲しい思いはしたくない。 誰にもさせたくない。
[ノイズなどには負けはしない、自らを襲う狂気にだって負けはしない。 自分が負けてしまったら、同じ傷を抱えている友までがいなくなってしまうから]
バク君、キミは僕達が持つ能力に影響されすぎているんだよ。
このままじゃ本当に狂ってしまう事・・・それが・・・分からないの・・・? 僕はもう誰も失いたくない、それはキミも含まれているんだ!
キミの、本当の目標を思い出して!
―回想―
[傍らには深く俯いたまま、着物をしっかりと掴んで離れないショウがいる。 その存在をありがたく思いながらぼんやりと唄っていると、スタジオ内にバクがやってくる]
(・・・そうだ、呆けている場合じゃない)
[唄うのを止め、バクの顔をしっかりと見据えたまま『人狼』としての能力を開放する]
『アクセス―――通信回路オン―――コード:人狼』
[直後、激しいノイズにオッドアイが揺れる]
(ぐっ・・・またあの透き通った・・・ノイズ)
[バクに対して声が届いていないのか、返ってきた声は平坦な感情を感じさせないモノだった。 ソレに負けないように感情を安定させる]
キミの提案には乗れない。
なぜなら、キミの目標は既に達成されていると僕は考えるから。
声を手に入れた、唄を手に入れた。 それはカリョさんのモノで仮初の力だとしても、キミはもう唄えるんだ。
爆音で叫ぶだけじゃない、その爆音は唄を紡ぐ事ができるんだよ?
もしキミが、ソヨさんを攻撃すると言うのならば。
僕はそれを阻止させてもらうよ。
キミが攻撃に特化した能力を持つ『人狼』なのだとしたら、僕は情報操作に特化した能力を持つ『人狼』・・・僕の力が及ぶ限り、キミを狂気になど渡しはしない。
[凛とした声はバクに届くだろうか]
―現在・個人レッスンブース前廊下―
[メインスタジオでのやり取りを見届け、出る前にもう一度今出ている情報を確かめた。 そして考える]
(僕は『人狼』を把握しているから情報量が多いけど、なんでサイに投票が集まったんだろう・・・? 普通に考えれば、ここはオーディションを控えたライバル達が集まる場―――投票は即ちライバルを蹴落とす手段とも捉えられる・・・サイは皆の中で異質なほどに高性能だから、それが理由・・・?)
(でもそれだと一つおかしな点がある。
それは、僕という存在。
僕はサイの後継機として発表されている。
なぜ僕ではなくサイなのか・・・『人狼』ですらないのに・・・あれ・・・?)
[一つの違和感、それは『人狼』である自分には抱く事が難しかったモノ。 異質なモノは自分達だけではなかったという点]
(ぁ・・・他社のスパイ・・・『蝙蝠』
サイは何かしら怪しい動きを見せていた・・・? そうだ、僕達にはハッキングという脅威があるけど・・・同じように『蝙蝠』が何かを企んでいる可能性だってある)
[増えた問題点に頭を抱えながら、ブース内へと立ち入る。 そこにはベルがいただろうか]
―中庭・桜の木の下―
[携帯端末をポチポチと弄くりながら]
んー調子が悪いゼ。
うまくメールが送れねー。
[さきほどからルラとスヤへメールを送信しようとしているのだが携帯端末のせいか、それとも館内全域にジャミングが走っているのか、エラーが帰ってきてしまう。やがてリトライすること10回]
やっと送れたか。
[...は安堵の息を漏らした]
From:焔音 バク
To:護音 ルラ <<転音 ソヨ>>
Text:
今日の投票先はサーティにしたい。
あいつは良い奴だ。それはわかっている。
だが、人狼を残しておくことは危険だ。
いつ暴走するかわかったもんじゃないからな。
[...は他の誰かにこのメールが送られたことに気付いていない]
From:焔音 バク
To:休音 スヤ <<猫音 シャト>>
今日の占い先の希望はショウだ。
あいつが人狼や蝙蝠だとは思えない。
しかし少しでも疑われるような状態は苦痛だと思うんだ。
あいつをその苦痛から解き放ってやって欲しい。
[...はやはり他の誰かにこのメールが送られたことに気付いていない]
―引き続き、中庭・桜の木の下―
さて、後は……と。
[ポチポチと携帯端末を操作しながら、やはりリトライを何度も繰り返してメールを送信する]
From:焔音バク
To:転音ソヨ <<妖音 ベル>>
Text:
ソヨ、この騒動について非常に大事な話がある。夜、日が暮れきった頃合に、一人で生活棟の屋上に来てくれないか?
[...は他の誰かにこのメールが送られたことを気付いていない]
―個人ブース―
『ねぇ、何から唄う?』
[ブース内へ静かに入るとベルが声をかけてきた]
僕は・・・唄えませんから。
唄える声はヨルさんのものです・・・今はやめましょう。
それで、ご用件はなんですか?
[単刀直入に聞き返す]
[メインスタジオに貼られたものと同じ文面。
コピーされたもののようだ…]
『【コード:人狼 に告ぐ】
ルラは、俺[私]の女[大切な人]だ[です]。
手を出すな[さないで]。
放置すれば[してくれれば]荷担してやってもいい[あげてもいいの]
もし、手を出したら、
絶対許さない[しません]。』
追伸『まずは、スパイ:蝙蝠なんとかしようぜ[しましょう]』
―回想・腕の端末より―
『From:逢音ショウ
To:護音ルラ
Title:あのね
ルラお姉さんへ
お願いがあるんだ。全部話すとすごく長いから、出来たら直接お話したいんだけどなあ。2人だと危ないから誰か道連れで3人ぐらいが良いかも!
何の事って思われるだろうから先に大まかなお話はしておくよ。
えーと、ルラお姉さんは誰かに投票が偏っても別の誰かに書き換える事って、出来る?
バクとサーティお兄さんに入ってもそれを僕に、とか。
お返事待ってます』
[バクとルラの話が終わるか終わらないかの間にルラへと送信し、今度こそ本当に充電の為の休眠モードへと入った]
―現在・メインスタジオ―
むぎゅ。
[奇妙な声を上げて起動する。
充電は既に終わり、時計を見るとかなりの時間が経過している事がわかる。傍に居たサーティも何時の間にか居なくなっていた]
…護りたいって思うのは当たり前だよ。
一方的に思ってるだけだけど友達だし、大好きなんだからさ。
[ぽつ、と呟いて首からコードを引き抜いて廊下へと飛び出した。
何処へ行こうか、ルラからの連絡があるかどうかを考えつつ]
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